説明

ウインドウガラスの分離装置

【課題】大きなウインドウガラスであっても速やかに能率よく車体から分離する。
【解決手段】ウインドウガラスの分離装置は、カッター5を連結している移動台6と、移動台6をカッター5の切断方向に移動させる駆動ロッド8と、駆動ロッド8に連結されて回転する駆動ロッド8で移動台6を移動させる駆動機構7と、移動台6を駆動ロッド8に沿って移動させるガイド9と、駆動ロッド8を回転させるモーター12と、駆動ロッド8の端部を回転できるようにガイド9に連結している支持台10と、ガイド9をウインドウガラス3に脱着できるように装着する吸盤11とを備える。分離装置は、吸盤11を介してガイド9をウインドウガラス3に装着し、カッター5を窓枠部2とウインドウガラス3との間の接着剤4に挿通し、移動台6でカッター5をウインドウガラス3の周縁に沿って移動させて、ウインドウガラス3と窓枠部2との間の接着剤4を切断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車のウインドウガラスを窓枠部から外す装置に関し、とくにバスやダンプカー等の大きなウインドウガラスの取り外しに最適なウインドウガラスの分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
接着剤で車体の窓枠部に固定しているウインドウガラスは、破損されると車体から外して新しいものに交換する必要がある。このとき、ウインドウガラスと車体の窓枠部の間の接着剤を切断する必要がある。ウインドウガラスと窓枠部との間の接着剤を切断する装置は開発されている。(特許文献1ないし4参照)
【特許文献1】特開2003−26061号公報
【特許文献2】特開2002−264645号公報
【特許文献3】特開2000−6657号公報
【特許文献4】特開平8−1598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1は、車体の窓枠部を高周波誘導加熱して接着剤を剥離する装置を記載する。この装置は、導電性のある車体の窓枠部にコイルを接近させて、コイル高周波電流を流して、窓枠部を加熱する。加熱された窓枠部で接着剤を加熱して、窓枠部から剥離する。この装置は、全体の構造が複雑となるばかりでなく、外部に高周波の電磁波が漏れる欠点がある。また、コイルは、その近傍にある窓枠部を加熱するので、窓枠部の全体を同時には加熱できない。このため、一部を加熱するときに他の部分が冷却される欠点がある。この欠点を解消するために、加熱温度を高くすると、窓枠部が熱で変形し、あるいは表面の塗装等に熱の悪い影響を与える欠点がある。
【0004】
特許文献2は、窓枠部とウインドウガラスとを固定する接着剤にピアノ線を挿通し、ピアノ線を往復運動させて接着剤を切断する装置を記載する。この装置は、バス等の大きなウインドウガラスの全周を接着している接着剤を切断するのに極めて手間と労力が必要で、スムーズに能率よくウインドウガラスを分離できない欠点がある。
【0005】
さらに、特許文献3は、ウインドウガラスと窓枠部とを固定する接着剤にワイヤーを埋設し、このワイヤーを引っ張って接着剤を切断することが記載される。この構造は、車両を製造する工程でワイヤーを埋設するので、製造工程に手間がかかる欠点がある。
【0006】
また、特許文献4は加熱ナイフで接着剤を切断する装置が記載される。この装置は、加熱ナイフを手で持ち、これをウインドウガラスに沿って移動させるので、大きなウインドウガラスの切断には手間がかかり、簡単に能率よくウインドウガラスを外すことができない欠点がある。
【0007】
本発明は、従来のこれ等の装置が有する欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、簡単かつ容易に、大きなウインドウガラスであっても速やかに能率よく車体から分離できるウインドウガラスの分離装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のウインドウガラスの分離装置は、前述の目的を達成するために以下の構成を備える。
ウインドウガラスの分離装置は、車体1側の窓枠部2に接着剤4を介して固定しているウインドウガラス3を分離する装置である。ウインドウガラスの分離装置は、ウインドウガラス3と窓枠部2との間の接着剤4に挿入されて、ウインドウガラス3と窓枠部2との間の接着剤4を切断するカッター5と、このカッター5を連結している移動台6と、この移動台6をカッター5の切断方向に移動させる駆動ロッド8と、この駆動ロッド8に連結されて回転する駆動ロッド8で移動台6をカッター5の切断方向に移動させる駆動機構7と、駆動ロッド8の長手方向に設けられて、移動台6を回転しないように駆動ロッド8に沿って移動させるガイド9と、駆動ロッド8を回転させるモーター12と、駆動ロッド8の端部を回転できるようにガイド9に連結している支持台10と、ガイド9をウインドウガラス3に脱着できるように装着する吸盤11とを備える。この分離装置は、吸盤11を介してガイド9をウインドウガラス3に装着し、カッター5を車体1の窓枠部2とウインドウガラス3との間の接着剤4に挿通し、モーター12で駆動ロッド8を回転させて駆動機構7で移動台6をカッター5の切断方向に移動し、この移動台6でカッター5をウインドウガラス3の周縁に沿って移動させて、ウインドウガラス3と窓枠部2との間の接着剤4をカッター5で切断する。
【0009】
本発明のウインドウガラスの分離装置は、駆動ロッド8を、外形の断面形状を円形とするロッド8とすると共に、駆動機構7が、ロッド8Aの外周面に接触して設けたローラー46を備えることができる。駆動機構7は、ローラー46の回転軸をロッド8Aの中心軸に対して傾斜して配置し、回転するロッド8Aで駆動されるローラー46がロッド8Aに沿って回転して、移動台6をロッド8Aの軸方向に移動させることができる。
【0010】
本発明のウインドウガラスの分離装置は、駆動ロッド8をネジ棒8Bとして、駆動機構7をネジ棒8Bが挿通されるナット48とし、回転するネジ棒8Bがナット48を介して移動台6をネジ棒8Bの軸方向に移動させることができる。
【0011】
本発明のウインドウガラスの分離装置は、ガイド9をウインドウガラス3に沿って湾曲させることができる。
【0012】
本発明のウインドウガラスの分離装置は、変換機構7と移動台6とを、折曲できる傾動機構13を介して連結することができる。
【0013】
本発明のウインドウガラスの分離装置は、支持台10が、ガイド9と駆動ロッド8との相対的な角度を変更できるようにジョイント25を介して駆動ロッド8の端部を連結することができる。
【0014】
本発明のウインドウガラスの分離装置は、ガイド9を、角材15の両面に平板16を固定して、平板16の間にガイド溝9Aを設けた構造とすることができる。
【0015】
さらに、本発明のウインドウガラスの分離装置は、カッター5をL字状とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のウインドウガラスの分離装置は、簡単かつ容易に、大きなウインドウガラスであっても速やかに能率よく車体から分離できる特長がある。それは、本発明のウインドウガラスの分離装置が、接着剤を切断するカッターを連結している移動台を、カッターの切断方向に移動させる駆動ロッドと、移動台を駆動ロッドに沿って移動させるガイドの端部を支持台で連結し、吸盤を介してガイドをウインドウガラスに装着すると共に、モーターで駆動ロッドを回転させて駆動機構で移動台をカッターの切断方向に移動させ、車体の窓枠部とウインドウガラスとの間の接着剤に挿通したカッターを、ウインドウガラスの周縁に沿って移動させて、ウインドウガラスと窓枠部との間の接着剤をカッターで切断するからである。この構造の分離装置は、モーターで駆動ロッドを回転させ、回転する駆動ロッドが駆動機構を介して移動台をガイドに沿って移動させて、移動台に固定したカッターで接着剤を切断する。このため、カッターをウインドウガラスの周縁に沿って速やかに移動させて、移動するカッターで、ウインドウガラスと窓枠部の間の接着剤を能率良く切断できる。このため、大きなウインドウガラスであっても、速やかに能率よく接着剤を切断して車体から分離できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのウインドウガラスの分離装置を例示するものであって、本発明はウインドウガラスの分離装置を以下のものに特定しない。
【0018】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0019】
本発明のウインドウガラスの分離装置は、車体の窓枠部に接着剤を介して固定しているウインドウガラスを窓枠部から分離する装置であって、ウインドウガラスと窓枠部の間の接着剤をカッターで切断して、ウインドウガラスを車体の窓枠部から分離する。
【0020】
図1ないし図4に示すウインドウガラスの分離装置は、ウインドウガラス3と窓枠部2との間の接着剤4を切断するカッター5と、このカッター5を連結している移動台6と、この移動台6をカッター5の切断方向に移動させる駆動ロッド8と、この駆動ロッド8に連結されて回転する駆動ロッド8で移動台6をカッター5の切断方向に移動させる駆動機構7と、移動台6を駆動ロッド8に沿って移動させるガイド9と、駆動ロッド8を回転させるモーター12と、駆動ロッド8の端部を回転できるようにガイド9に連結している支持台10と、ガイド9を車体1の窓枠部2に脱着できるように装着する吸盤11とを備える。
【0021】
カッター5は、ウインドウガラス3と窓枠部2との間の接着剤4に挿入されて、ウインドウガラス3と窓枠部2との間の接着剤4を切断する。車体1は、図3の断面図に示すように、ウインドウガラス3を固定する開口部に段差部を設けて窓枠部2としており、この窓枠部2の表面に接着剤4を介してウインドウガラス3を固定している。カッター5は、ウインドウガラス3の外周縁と車体表面との間の境界隙間14から挿入されて、先端を窓枠部2の内部まで侵入させる。
【0022】
カッター5は、金属製で全体の形状をL字状としている。図3ないし図5に示すカッター5は、移動台6に固定される固定端部5Bと、この固定端部5Bの先端に設けた切断部5Aとからなる。固定端部Bは平らな板状で、移動台6に固定するための連結孔5Cを中央部に開口している。切断部5Aは、中間でL字状に折曲して、両側に刃縁を設けている。両側に刃縁を有する切断部5Aは、カッター5の移動方向に関係なく両側の刃縁で接着剤4を切断できる特長がある。さらに、L字状の切断部5Aは、図3に示すように、ウインドウガラス3と窓枠部2との境界隙間14から挿入されて、先端を窓枠部2の内部まで侵入させる。接着剤4は、図に示すように、ウインドウガラス3と窓枠部2の対向面から、ウインドウガラス3の端面側まで延長して介在されることがある。図に示すように、切断部5AをL字状とするカッター5は、ウインドウガラス3と窓枠部2の間に介在する接着剤4を同時に切断できる特長がある。
【0023】
さらに、カッター5は、切断部5Aの先端を境界隙間14から内部に挿入できるように、切断部5Aを細く成形している。この形状のカッター5は、切断部5Aの先端を境界隙間14に沿って挿入した後、切断部5Aの先端が窓枠部2の内周縁よりも内側に突出するように回転させてウインドウガラス3と窓枠部2の間に挿通される。
【0024】
移動台6は、ガイド9に沿って移動する走行部6Aと、カッター5を固定する固定部6Bを備える。走行部6Aは、ガイド9に沿って移動できる構造としている。図に示すガイド9は、両側に沿ってガイド溝9Aを設けている。このガイド9は、図3に示すように、角材15の両面(図では上下面)に平板16を固定しており、角材15の両側であって平板16の間にガイド溝9Aを設けている。走行部6Aは、このガイド溝9Aの内側に沿って回転する走行ローラー50を両側に備えている。
【0025】
図3と図4に示す走行部6Aは、ガイド9の上面に沿って配設された本体プレート部51を備えると共に、この本体プレート部51の両側部を下方に折曲して垂直プレート部52を設けており、両側の垂直プレート部52の内側に走行ローラー50を回転できるように連結している。図に示す走行部6Aは、左右に2個ずつの走行ローラー50を備えており、これらの走行ローラー50をガイド溝9Aの内面に沿って回転させて、ガイド9に沿って往復運動できるようにしている。
【0026】
さらに、図に示す走行部6Aは、ガイド9に沿ってスムーズに走行できるように、垂直プレート部52がガイド9に接触するのを防止する補助ローラー53を備えている。図の走行部6Aは、本体プレート部51の前後の両側に、ガイド9の両側面に沿って補助ローラー53を備えている。図に示す走行部6Aは、本体プレート部51の前後に補助プレート54を連結しており、これらの連結プレート54の両側に一対の補助ローラー53を回転できるように連結している。補助ローラー53は、その外周面が、ガイド9の上側の平板17の側面に、垂直プレート部52よりも接近するように配置されており、ガイド9に沿って走行する走行部6Aの垂直プレート部52がガイド9の平板17の側面に接触するのを防止している。この構造の走行部6Aは、ガイド9に沿って滑らかに走行できる特長がある。
ただ、走行部は、必ずしも走行ローラーで走行し、また、補助ローラーで走行時の摩擦を低減する構造とする必要はなく、ガイド溝に沿って滑らかに往復運動できる他の構造とすることもできる。
【0027】
固定部6Bは、図3と図4に示すように走行部6Aの側面に固定されており、ガイド9の側縁から外側に突出してカッター5を固定している。図の固定部6Bは、走行部6Aの垂直プレート部52に固定している。この固定部6Bは、ガイド9に沿って移動する走行部6Aと一体となって移動する。したがって、固定部6Bは、ガイド9に接触しないように、走行部6Aに固定している。図3と図5に示す固定部6Bは、走行部6Aに固定される固定台17と、この固定台17の側面であって、カッター5を装着する装着面に脱着自在に固定される挟着板18とを備える。この固定部6Bは、固定台17と挟着板18とでカッター5を挟着して、カッター5を定位置に保持する。挟着板18は、止ネジ20で固定台17にネジ止めされる。固定台17は、カッター5を定位置に保持するために、カッター5を嵌入する嵌入溝21を装着面19に設けている。この固定部6Bは、固定台17の嵌入溝21にカッター5を嵌入した状態で、装着面19に挟着板18を配置し、止ネジ20をねじ込んで挟着板18を固定台17に固定する。カッター5は、挟着板18と連結孔5Cを貫通する止ネジ20によって固定台17に固定される。カッター5は、切断部5Aがウインドウガラス3と窓枠部2の間に位置するように固定部6Bに固定される。
【0028】
以上の構造の移動台6は、駆動ロッド8で駆動されて、ガイド9に沿って往復運動する。すなわち、駆動ロッド8は、移動台6をカッター5の切断方向に移動させる。駆動ロッド8は、ウインドウガラス3の表面に配置されるガイド9に沿って、ウインドウガラス3の表面に対してほぼ平行な姿勢で配設される。駆動ロッド8は、端部を、支持台10を介してガイド9の端部に連結している。駆動ロッド8は、回転されて移動台6を移動させる。したがって、駆動ロッド8は、端部を回転できるように支持台10に連結している。
【0029】
駆動ロッド8は、図2に示すように、一端にモーター12が連結されて、モーター12で回転される。図に示す駆動ロッド8は、モーター12との連結部に、連結具22を設けている。モーター12で回転される駆動ロッド8は、駆動機構7を介して移動台6をカッター5の切断方向に移動させる。したがって、駆動ロッド8は、駆動機構7を介して移動台6に連結している。
【0030】
駆動機構7は、駆動ロッド8に連結されて、回転する駆動ロッド8で移動台6をカッター5の切断方向に移動させる。すなわち、駆動機構7は、駆動ロッド8の回転力を、移動台6の軸方向への駆動力に変換する。この駆動機構には、回転力を軸方向への駆動力に変換できる全ての機構が使用できる。図に示す駆動ロッド8は、外形の断面形状を円形とするロッド8Aである。このロッド8Aは、たとえば、金属シャフトが使用される。ただ、ロッドには、中空の金属パイプを使用することもできる。また、ロッドは、金属以外の材質、たとえば、硬質プラスチック等も使用できる。断面形状を円形とするロッド8Aである駆動ロッド8は、図2ないし図4に示す駆動機構7を介して移動台6を移動させる。
【0031】
図に示す駆動機構7は、移動台6の上部に連結されたボックス45と、このボックス45内に設けられた複数のローラー46とを備えている。ボックス45は、中央にロッド8Aを挿通しており、このロッド8Aに沿って軸方向に移動できるようにしている。複数のローラー46は、その外周面が、ロッド8Aの外周面に接触しながら回転できるように、回転軸となる固定ネジ47を介してボックス45に連結している。図に示す駆動機構7は、軸方向に離してボックス45の両側に、それぞれ3個ずつのローラー46を等間隔で配置している。さらに、これらのローラー46は、ロッド8Aの回転力を、軸方向への駆動力に変換するために、回転軸をロッド8Aの中心軸に対して傾斜して配置している。各ローラー46は、それぞれの回転軸を、ロッド8Aに対して同方向に傾斜して配置している。この駆動機構7は、ロッド8Aに沿って回転するローラー46が、ボックス45をロッド8Aに沿って移動させ、移動するボックス45を介して移動台6をロッド8Aの軸方向に移動させる。
【0032】
以上の構造の駆動機構7が、回転するロッド8Aで移動台6を軸方向に移動させる原理を図6の概念図に基づいて説明する。
(1) 図の矢印Aで示す方向にロッド8Aが回転されると、回転するロッド8Aは、周囲のローラー46を矢印Bで示す方向に回転させる。
(2) 回転するローラー46は、その回転軸がロッド8Aの中心軸に対して傾斜しているので、ロッド8Aを矢印Cで示す方向に移動させようとする。このとき、ロッド8Aは、軸方向に移動できないので、その反作用でローラー46が矢印Cと反対方向へ移動する。すなわち、ローラー46は、ロッド8Aの表面に沿って回転しながら矢印Dで示す方向に移動する
(3) ロッド8Aに沿って移動するローラー46を介して、ボックス45が矢印Dで示す方向に移動する。
(4) ロッド8Aに沿って移動するボックス45が、移動台6をロッド8Aの軸方向に移動させる。この状態で、移動台6は、ガイド9に沿って移動する。
【0033】
ガイド9は、ウインドウガラス3の表面に接近して、駆動ロッド8の長手方向に配設している。ガイド9は、移動台6を回転しないように駆動ロッド8に沿って移動させる。ガイド9は、移動台6の走行部6Aを駆動ロッド8に沿って移動させるガイド溝9Aを両側に設けている。図4に示すガイド9は、角材15の両面に平板16を固定しており、角材15の両側であって平板16の間にガイド溝9Aを設けている。この形状のガイド9は、走行部6Aの走行ローラー50をガイド溝9Aから脱落させることなく回転させて、移動台6をガイド9に沿って往復運動できる。ただ、ガイドは、必ずしも図に示す構造とする必要はなく、移動台を脱落させることなく往復運動できる他の全ての構造とすることもできる。
【0034】
ガイド9は、駆動ロッド8とほぼ同じ全長を有する。ガイド9と駆動ロッド8の全長は、好ましくは、ウインドウガラス3の長辺とほぼ等しくし、あるいは、短辺とほぼ等しくする。ウインドウガラス3の長辺または短辺の接着剤4を一度の作業で切断するためである。ただ、ガイドと駆動ロッドの全長は、ウインドウガラスの長辺よりも短くすることも、短辺よりも長くすることもできる。ガイドと駆動ロッドがウインドウガラスの長辺よりも短い分離装置は、ウインドウガラスの長辺側の接着剤を切断する場合には、複数回に分けて接着剤を切断する。
【0035】
さらに、図2に示すガイド9は、ウインドウガラス3の表面に沿って湾曲させている。自動車に使用されるウインドウガラス3は、通常、表面が多少湾曲している。ガイド9は、図に示すように、ウインドウガラス3の表面に固定されて使用される。したがって、ガイド9は、下面をウインドウガラス3の表面に沿うように、中央凸形状に湾曲させている。この形状のガイド9は、ウインドウガラス3の表面に沿って配置できる。とくに、図に示すように、角材15の両面に平板16を固定してなるガイド9は、ウインドウガラス3の表面に沿う形状に湾曲しやすい特長がある。それは、湾曲させた角材15の表面に沿って平板16を反る状態で固定して簡単に湾曲できるからである。
【0036】
このように、下面が中央凸に湾曲するガイド9は、直線状の駆動ロッド8とは、平行にはならない。ただ、駆動ロッド8が挿通される駆動機構7のボックス45と、ガイド9上の移動台6との距離は一定であるので、中央凸に湾曲するガイド9上を移動台6が移動するとき、図2の鎖線で示すように、駆動機構7のボックス45の上下位置は変動する。このように、上下位置が変動する駆動機構7と駆動ロッド8とを無理なく連結するために、図に示す分離装置は、ガイド9と駆動ロッド8の相対的な角度を変更できるように、駆動ロッド8の端部を支持台10に連結すると共に、駆動機構7を垂直面内で傾動できるように移動台6に連結している。
【0037】
図2の支持台10は、図の鎖線で示すように、ガイド9と駆動ロッド8の相対的な角度を変更するために、ジョイント25を介して駆動ロッド8の端部を連結している。このジョイント25の拡大断面図を図7に示す。図に示すジョイント25は球関節で、駆動ロッド8を回転できるように支持しながら、駆動ロッド8を、図の矢印で示すように傾動できるように支持台10に連結している。このジョイント25は、駆動ロッド8の端部に設けた球部55と、この球部55を両側から挟着する挟着部56とで構成している。図の駆動ロッド8は、支持台10との連結部分に球部55を備えており、この球部55を、軸方向の両側から挟着部56で挟着している。支持台10は、駆動ロッド8の挿通部に貫通孔10Aを設けており、この貫通孔10Aに駆動ロッド8の球部55を配置すると共に、この球部55を挟着部56で両側から挟着して球部55を所定の位置に保持している。挟着部56は、内面を球部55の外周面に沿う球面形状に成形してなるプレートで、中央部に駆動ロッド8を貫通させる貫通孔56Aを開口している。この貫通孔56Aに駆動ロッド8を挿通する状態で球部55を両側から挟着して、一対の挟着部56を支持台10の両面に固定している。図に示す挟着部56は、貫通孔56Aを円形としている。この構造のジョイント25は、球部55を挟着部56の内面に沿って移動させて、駆動ロッド8を三次元的に首振りする状態で傾動できる。ただ、挟着部の貫通孔は、上下方向に延びるスリットとして、駆動ロッドを上下方向に傾動できる構造とすることもできる。
【0038】
さらに、支持台のジョイントは、必ずしも上述の構造とすることなく、駆動ロッドを回転できる状態に支持しながら、少なくとも上下方向に傾動できる他の全ての構造とすることができる。たとえば、ジョイントは、駆動ロッドを回転できるように軸受で支承すると共に、この軸受を、回転軸を介して支持台に連結して、垂直面内で傾動できるように支持する構造とすることもできる。
【0039】
さらに、図3と図4の移動台6は、傾動機構13を介して駆動機構7を垂直面内で傾動できるように連結している。図に示す傾動機構13は、ボックス45の下面から下方に突出する突出部57と、移動台6の上方に突出して、ボックス45の突出部57を連結して支持する連結支持部58と、この突出部57と連結支持部58とを傾動できるように連結する回転軸59とを備える。図に示す傾動機構13は、駆動ロッド8の軸に対して垂直な方向であってウインドウガラス3と平行な方向に回転軸59を設けており、駆動機構7を駆動ロッド8の軸を含む垂直面内で折曲させて傾動できるようにしている。この傾動機構13は、図4の矢印Aで示す方向に駆動機構7を傾動させて、駆動ロッド8の傾斜に関係なく、駆動機構7と駆動ロッド8とを無理なく連結する。
【0040】
ただ、図示しないが、傾動機構は、移動台に対して駆動機構を傾動できる他の全ての構造とすることもできる。傾動機構は、たとえは、球関節とすることもできる。傾動機構を球関節とする構造は、移動台に対して駆動機構を三次元的に傾動できる特長がある。
【0041】
さらに、図示しないが、ガイドは、下面をウインドウガラスの表面に沿って湾曲させるだけでなく、平面視(ウインドウガラスに垂直な方向から見る)においても湾曲させることができる。たとえば、ウインドウガラスの種類によっては、外周縁の直線部分が、多少湾曲する形状のものもあるからである。このような形状のウインドウガラスの接着剤を切断する場合は、移動台を湾曲するウインドウガラスの周縁に沿って移動させることが好ましい。したがって、ガイドは、ウインドウガラスの周縁に沿う湾曲形状とすることができる。この場合は、ガイドと駆動ロッドの位置関係が平面視で左右方向にずれることになる。したがって、この構造の分離装置は、駆動ロッドと駆動機構とを、ウインドウガラスに対して平行な方向と垂直な方向の両方向に対して、すなわち、三次元的に傾動できる構造として、移動台を湾曲するガイドに沿って無理なく移動できる。この分離装置は、支持台のジョイントと移動台の傾動機構に、三次元的に傾動できる機構、たとえば球関節等を使用する。
【0042】
モーターは、駆動ロッド8の先端に連結されて、駆動ロッド8を回転させる。モーターは、駆動ロッド8を回転させて移動台6を移動させる。モーターは、駆動ロッド8を正転させて移動台6を一方に移動させ、また、駆動ロッド8を反転させて逆方向に移動させる。このモーターには、サーボモーターや減速モーターが使用できる。これらのモーターは、図示しないが、駆動ロッドの先端に固定する固定式のモーターとすることもできるが、ネジ棒の先端に脱着自在に連結する脱着式のモーターとすることもできる。
【0043】
図2に示す分離装置は、脱着式のモーター12を駆動ロッド8に連結する構造としている。図に示す駆動ロッド8は、モーター12を連結するために、一端に連結具22を固定している。この駆動ロッド8は、連結具22の連結ロッド22Aの先端にモーター12が連結されると共に、連結ロッド22Aが回転されて駆動ロッド8が回転される。とくに、脱着できるモーターとして、図に示すように、電気ドリル等の電動工具23を使用することができる。たとえば、電気ドリルは、先端のドリルを脱着自在に交換するために、先端にチャック24を設けている。このチャック24を駆動ロッド8の先端の連結ロッド22Aに連結して、この電動工具23に内蔵されるモーター12で駆動ロッド8を回転できる。とくに、充電式の電動工具23を使用することによって、電源への配線が不要になるので、使用場所に制限を受けることなく極めて便利に使用できる。ただ、電動工具は、必ずしも充電式とする必要はなく、電源コードから電力が供給されるものも使用できる。
【0044】
支持台10は、駆動ロッド8の端部を回転できるようにガイド9に連結している。図に示す支持台10は、前述のジョイント25を介して、駆動ロッド8を回転できるように連結している。この支持台10は、駆動ロッド8を、ガイド9から所定の間隔離れた位置に配置している。支持台10は、下端を固定プレート44に固定しており、この固定プレート44を介してガイド9の一端に固定されている。
【0045】
吸盤11は、ガイド9をウインドウガラス3に脱着できるように装着する。図1と図2に示す分離装置は、ガイド9の両端部に一対の吸盤11を備えている。図1において左側に位置する吸盤11は、固定プレート44を介してガイド9の一端に固定しており、右側に位置する吸盤11は、位置決連結具30を介してガイド9の他端部に連結している。この位置決連結具30は、ガイド9を嵌着してウインドウガラス3の所定の位置に配置する嵌着溝30Aを有する。この位置決連結具30は、ガイド9に沿ってスライドできるようにしており、吸盤11の連結位置を変更できるようにしている。
【0046】
各々の吸盤11は、位置調整機構31を介して固定プレート44またはガイド9に連結している。位置調整機構31は、図8に示すように、吸盤11を駆動ロッド8に垂直な面内で傾動させる角度調整機構31Aを備え、吸盤11の吸着面とガイド9の下面との相対的な角度を調整する。図の角度調整機構31Aは、固定プレート4あるいは位置決連結具30に固定される固定ケース33と吸盤11との相対的な角度を調整する。図の角度調整機構31Aは、固定ケース33と、吸盤11に連結される傾動ガイドプレート34との相対位置を変更して吸盤11の傾動角を調整する。
【0047】
傾動ガイドプレート34は、金属プレートをコ字状に折曲したもので、対向する折曲面を、固定ケース33の対向する側面の両外側に積層させている。傾動ガイドプレート34は、吸盤11を傾動できるように、湾曲スリット37を開口している。さらに、傾動ガイドプレート34は、湾曲スリット37と反対側の端部に貫通孔(図示せず)を開口している。傾動ガイドプレート34は、対向する折曲面の貫通孔と固定ケース33とを貫通する止ネジ38を挿通すると共に、反対側において、止ネジ38の先端部にナット(図示せず)をねじ込んで、止ネジ38を傾動ガイドプレート34の傾動軸としている。さらに、傾動ガイドプレート34は、対向する折曲面の湾曲スリット37と固定ケース33とを貫通する止ネジ39を挿通すると共に、反対側において、止ネジ39の先端部にナット(図示せず)をねじ込んで、固定ケース33と傾動ガイドプレート34との傾動角を調整しながら傾動ガイドプレート34を固定するようにしている。
【0048】
吸盤11は、ウインドウガラス3の表面に密着される吸着面を前面に有する吸盤本体40を備える。さらに、吸盤11は、この吸盤本体40の背面に固定プレート41を固定している。固定プレート41は、図8に示すように、断面形状がL字状となるように折曲されたプレートで、プレート本体41Aを吸盤本体40の背面に固定して、折曲部41Bを背面に突出させている。図に示す吸盤11は、この折曲部41Bを位置調整機構31の傾動ガイドプレート34の背面に固定している。
【0049】
さらに、吸盤11は、固定プレート41にグリップ42を連結している。グリップ42は、手で握ることができる太さのロッドを湾曲成形したもので、その両端をプレート本体41Aと折曲部41Bの先端にそれぞれ固定している。このように、吸盤本体40の背面にグリップ42を備える吸盤11は、このグリップ42を手でもって吸盤本体40の吸着面をウインドウガラス3に正確に脱着できる特長がある。ただ、吸盤は、必ずしもグリップを連結する必要はない。さらに、吸盤11は、吸盤本体40の背面に、吸盤本体40の吸着面側の空気を排気するエアーポンプ43を備える。このエアーポンプ43は、吸盤本体40の吸着面をウインドウガラス3の表面に密着させた状態で、吸着面側の空気を排気して吸着部分の圧力を下げて、吸盤11をウインドウガラス3の表面に吸着させる。
【0050】
さらに、本発明のウインドウガラスの分離装置は、図9ないし図11に示す構造とすることもできる。これらの図に示す分離装置は、駆動ロッド8をネジ棒8Bとし、駆動機構7をネジ棒に挿通されたナット48としている。この分離装置は、回転するネジ棒8Bがナット48を介して移動台6をカッター5の切断方向に移動させて、この移動台6でカッター5をウインドウガラス3の周縁に沿って移動させて、ウインドウガラス3と窓枠部2との間の接着剤4をカッター5で切断する。
【0051】
これらの図に示すウインドウガラスの分離装置は、ウインドウガラス3と窓枠部2との間の接着剤4を切断するカッター5と、このカッター5を連結している移動台6と、この移動台6に連結しているナット48と、このナット48を介して移動台6を軸方向に移動させるネジ棒8Bと、移動台6をネジ棒8Bに沿って移動させるガイド9と、ネジ棒8Bを回転させるモーター12と、ネジ棒8Bの端部をガイド9に連結している支持台10と、ガイド9を車体1の窓枠部2に脱着できるように装着する吸盤11とを備える。
【0052】
移動台6は、ガイド9に沿って移動する走行部6Aと、カッター5を固定する固定部6Bを備える。図に示す走行部6Aは、ガイド9の内面に沿って移動できるように、ガイド9の内形に沿う形状としている。図11に示す走行部6Aは、走行部本体49の両側に走行ローラー50を備えており、両側の走行ローラー50をガイド9の内面に沿って回転させて、ガイド9内を往復運動できるようにしている。図のガイド9は、移動台6の走行部6Aをネジ棒8Bに沿って移動できるレール状としている。図11に示すガイド9は、細長い金属プレートを溝形に折曲加工して内面の両側にガイド溝9Aを設けており、このガイド溝9A内で走行ローラー50を回転させて走行部6Aを移動できる構造としている。溝形に折曲されるガイド9は、両側縁部を折り返してガイド溝9Aを設けており、このガイド溝9Aの内側に走行ローラー50を配置できるようにしている。この構造のガイド9は、走行部6Aをガイド9から脱落させることなく、移動台6をガイド9に沿って往復運動できる。
【0053】
さらに、移動台6は、ガイド9に沿って配置されるネジ棒8Bを挿通しているナット48を上部に連結している。ナット48に連結される移動台6は、ネジ棒8に沿って移動するナット48と一体となって移動する。ネジ棒8Bは、移動台6に連結されたナット48を挿通している。ネジ棒8Bが回転されると、ナット48がネジ棒8Bに沿って移動し、移動するナット48を介して移動台6がガイド9に沿って移動する。ネジ棒8Bは、一端にモーター12が連結されて、モーター12で回転される。
【0054】
ナット48と移動台6は、折曲できる傾動機構13を介して連結している。図11に示す移動台6は、球関節を有する傾動機構13を介してナット48に連結している。図に示す傾動機構13は、上下の球関節部60をロッド61で連結している。傾動機構13は、走行部本体49の上面とナット48の下面とに上下の球関節部60を固定している。ロッド61で連結している上下の球関節部60は、ロッド61の上下で互いに折曲しながら、走行部6Aとナット48の角度と距離を調整する。この構造の傾動機構13は、走行部6Aとナット48との角度と距離を調整しながら一体的に移動できる特長がある。さらに、傾動機構には、図示しないが、前述の機構や弾性体も使用できる。
【0055】
支持台10は、ネジ棒8Bの端部を回転できるように連結している。ネジ棒8Bの端部に連結される支持台10は、前述のジョイントを介してネジ棒8を回転できるように支持する。図9に示すネジ棒8Bは、左端には連結ロッド22Aを固定しており、この連結ロッド22Aを介してネジ棒8をモーターに連結するようにしている。
【0056】
さらに、図に示す支持台10は、全体の形状を箱形としている。箱形の支持台10は、対向する側面であって、ネジ棒8Bの軸方向に位置する対向面に貫通孔26を開口しており、この貫通孔26にネジ棒8Bと連結ロッド22Aとを貫通させる状態で配置している。
【0057】
吸盤11は、ガイド9をウインドウガラス3に脱着できるように装着する。図9と図10に示す分離装置は、ガイド9の両端部に一対の吸盤11を備えている。図において左側に位置する吸盤11は、支持台10に連結しており、右側に位置する吸盤11は、連結台28を介してガイド9に連結している。連結台28は、全体の形状を箱形とすると共に、下端部にガイド9を挿通する貫通部29を設けている。この貫通部29は、ガイド9の外形とほぼ等しい外形を有し、この貫通部29にガイド9を挿通して連結台28をガイド9に沿ってスライドできるようにしている。さらに、箱形の連結台28は、対向する側面であって、ネジ棒8の軸方向に位置する対向面に貫通孔62を開口しており、この貫通孔62にネジ棒8を貫通させる状態で配置している。
【0058】
各々の吸盤11は、位置調整機構31を介して取付台10及び連結台28に連結している。位置調整機構31は、吸盤11の吸着面とガイド9の下面との相対的な位置や角度を調整する。位置調整機構31は、図12と図13に示すように、吸盤11をウインドウガラス3と垂直な方向にスライドさせる上下調整機構31Bと、吸盤11をネジ棒8に垂直な面内で傾動させる角度調整機構31Aとからなる。上下調整機構31Bは、支持台10または連結台28に対して平行移動する直動ガイドプレート32を備え、支持台10または連結台28と直動ガイドプレート32との相対位置を変更して吸盤の上下位置を調整する。角度調整機構31Aは、直動ガイドプレート32の背面に固定している固定ケース33に連結している傾動ガイドプレート34を備え、固定ケース33と傾動ガイドプレート34との相対位置を変更して吸盤11の傾動角を調整する。
【0059】
直動ガイドプレート32は、金属プレートをコ字状に折曲したもので、対向する折曲面を、支持台10または連結台28の対向する側面の両外側に積層させている。直動ガイドプレート32は、ウインドウガラス3と垂直な方向に延長して、直線スリット35を開口している。直動ガイドプレート32は、直線スリット35を貫通する複数の止ネジ36を支持台10または連結台28の側面にねじ込んで、支持台10または連結台28と直動ガイドプレート32との相対位置を調整しながら直動ガイドプレート32を固定するようにしている。
【0060】
傾動ガイドプレート34は、金属プレートをコ字状に折曲したもので、対向する折曲面を、直動ガイドプレート32の背面に固定している固定ケース33の対向する側面の両外側に積層させている。傾動ガイドプレート34は、ネジ棒8Bに垂直な面内で吸盤11を傾動できるように、湾曲スリット37を開口している。さらに、傾動ガイドプレート34は、湾曲スリット37と反対側の端部に貫通孔(図示せず)を開口している。傾動ガイドプレート34は、対向する折曲面の貫通孔と固定ケース33とを貫通する止ネジ38を挿通すると共に、反対側において、止ネジ38の先端部にナット(図示せず)をねじ込んで、止ネジ38を傾動ガイドプレート34の傾動軸としている。さらに、傾動ガイドプレート34は、対向する折曲面の湾曲スリット37と固定ケース33とを貫通する止ネジ39を挿通すると共に、反対側において、止ネジ39の先端部にナット(図示せず)をねじ込んで、固定ケース33と傾動ガイドプレート34との傾動角を調整しながら傾動ガイドプレート34を固定するようにしている。
【0061】
以上の構造の分離装置は、以下のようにして使用する。
(1) 分離装置をウインドウガラス3の所定の位置に配置する。分離装置は、ガイド9をウインドウガラス3のひとつの辺に沿って配置する。このとき、移動台6の固定部6Bの装着面19が、ウインドウガラス3の周縁の境界隙間14に位置するようにする。さらに、位置調整機構31を調整して、ガイド9と吸盤11の位置関係が最適となるように調整する。位置調整機構31は、好ましくは、吸盤11をウインドウガラス3に固定した状態で、ガイド9の下面がウインドウガラス3の表面に密着する状態となるように、角度調整機構31Aを調整する。ガイド9を所定の位置に配置した状態で、吸盤11をウインドウガラス3に吸着させて固定する。
(2) カッター5をウインドウガラス3と窓枠部2の間に挿入する。カッター5は、先端の切断部5Aを境界隙間14に沿って挿入し、その後、切断部5Aの先端が窓枠部2の内側を向くように回転させる。このとき、切断部5Aの刃縁でウインドウガラス3と窓枠部2の間の接着剤4を切断しながらカッター5を回転させ、切断部5Aの先端を接着剤4から突出させて窓枠部2より内側に位置させる。
(3) カッター5の固定端部5Bを移動台6の固定部6Bに固定する。カッター5の固定端部5Bを固定台17の嵌入溝21に嵌入し、挟着板18を当てた後、ネジ止めして固定する。
(4) 駆動ロッド8をモーター12で回転させる。脱着式のモーター12を使用するときは、駆動ロッド8の一端に設けた連結具22の連結具ロッド22Aにモーター12を連結した後、モーター12を駆動して駆動ロッド8を回転させる。
回転する駆動ロッド8は、駆動機構7を駆動ロッド8に沿って移動させる。駆動ロッド8に沿って移動する駆動機構7は、移動台6を移動させる。移動台6は、ガイド9に沿って移動し、移動台6に固定されたカッター5がウインドウガラス3の周縁に沿って移動する。カッター5は、ウインドウガラス3と窓枠部2の間の接着剤4を切断しながら移動する。
(5) カッター5を、ウインドウガラス3の一辺に沿って移動させ、この部分の接着剤4を切断する。
なお、ウインドウガラス3の一辺がガイド9の全長よりも長いときは、上述の作業を複数回に分けて、すなわち、ガイド9の装着位置を変更しながら、ウインドウガラス3の一辺の接着剤4を切断する。
(6) ウインドウガラス3の他の辺についても、(1)〜(5)の作業を繰り返して、ウインドウガラス3の4辺の接着剤4を切断する。
(7) その後、ウインドウガラス3の4隅の接着剤4を切断する。ウインドウガラス3の隅部の接着剤4は、ピアノ線で切断する。ピアノ線は、窓枠部2の内外に挿通した後、窓枠部2の内外方向に交互に引っ張りながらウインドウガラス3の隅部に沿って移動させて、この部分の接着剤4を切断する。
(8) 周縁部の接着剤4が全て切断されたウインドウガラス3を窓枠部2から取り外す。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施例にかかるウインドウガラスの分離装置の使用状態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す分離装置の使用状態を示す断面正面図である。
【図3】図2に示す分離装置の移動台を示す断面側面図である。
【図4】図2に示す分離装置の移動台を示す断面正面図である。
【図5】図4に示す分離装置の移動台の固定部を示す分解斜視図である。
【図6】図4に示す分離装置の駆動機構の原理を示す概念図である。
【図7】図2に示す分離装置のジョイントの拡大断面図である。
【図8】図2に示す分離装置の吸盤の連結構造を示す斜視図である。
【図9】本発明の他の実施例にかかるウインドウガラスの分離装置の使用状態を示す斜視図である。
【図10】図9に示す分離装置の使用状態を示す断面正面図である。
【図11】図9に示す分離装置の移動台を示す断面図である。
【図12】図9に示す分離装置の支持台と吸盤を示す断面図である。
【図13】図9に示す分離装置の吸盤の連結構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0063】
1…車体
2…窓枠部
3…ウインドウガラス
4…接着剤
5…カッター 5A…切断部
5B…固定端部
5C…連結孔
6…移動台 6A…走行部
6B…固定部
7…駆動機構
8…駆動ロッド 8A…ロッド
8B…ネジ棒
9…ガイド 9A…ガイド溝
10…支持台 10A…貫通孔
11…吸盤
12…モーター
13…傾動機構
14…境界隙間
15…角材
16…平板
17…固定台
18…挟着板
19…装着面
20…止ネジ
21…嵌入溝
22…連結具 22A…連結ロッド
23…電動工具
24…チャック
25…ジョイント
26…貫通孔
27…貫通孔
28…連結台
29…貫通部
30…位置決連結具 30A…嵌着溝
31…位置調整機構 31A…角度調整機構
31B…上下調整機構
32…直動ガイドプレート
33…固定ケース
34…傾動ガイドプレート
35…直線スリット
36…止ネジ
37…湾曲スリット
38…止ネジ
39…止ネジ
40…吸盤本体
41…固定プレート 41A…プレート本体
41B…折曲部
42…グリップ
43…エアーポンプ
44…固定プレート
45…ボックス
46…ローラー
47…固定ネジ
48…ナット
49…走行部本体
50…走行ローラー
51…本体プレート部
52…垂直プレート部
53…補助ローラー
54…補助プレート
55…球部
56…挟着部 56A…貫通孔
57…突出部
58…連結支持部
59…回転軸
60…球関節部
61…ロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体(1)の窓枠部(2)に接着剤(4)を介して固定しているウインドウガラスの分離装置であって、
ウインドウガラス(3)と窓枠部(2)との間の接着剤(4)に挿入されて、ウインドウガラス(3)と窓枠部(2)との間の接着剤(4)を切断するカッター(5)と、このカッター(5)を連結している移動台(6)と、この移動台(6)をカッター(5)の切断方向に移動させる駆動ロッド(8)と、この駆動ロッド(8)に連結されて回転する駆動ロッド(8)で移動台(6)をカッター(5)の切断方向に移動させる駆動機構(7)と、駆動ロッド(8)の長手方向に設けられて、移動台(6)を回転しないように駆動ロッド(8)に沿って移動させるガイド(9)と、駆動ロッド(8)を回転させるモーター(12)と、駆動ロッド(8)の端部を回転できるようにガイド(9)に連結している支持台(10)と、ガイド(9)をウインドウガラス(3)に脱着できるように装着する吸盤(11)とを備え、
吸盤(11)を介してガイド(9)をウインドウガラス(3)に装着し、カッター(5)を車体(1)の窓枠部(2)とウインドウガラス(3)との間の接着剤(4)に挿通し、モーター(12)で駆動ロッド(8)を回転させて駆動機構(7)で移動台(6)をカッター(5)の切断方向に移動し、この移動台(6)でカッター(5)をウインドウガラス(3)の周縁に沿って移動させて、ウインドウガラス(3)と窓枠部(2)との間の接着剤(4)をカッター(5)で切断するようにしてなるウインドウガラスの分離装置。
【請求項2】
駆動ロッド(8)が外形の断面形状を円形とするロッド(8A)で、駆動機構(7)がロッド(8A)の外周面に接触して設けられたローラー(46)を備え、このローラー(46)の中心軸をロッド(8A)の中心軸に対して傾斜して配置しており、回転するロッド(8A)で駆動されるローラー(46)がロッド(8A)に沿って回転して、移動台(6)をロッド(8A)の軸方向に移動させる請求項1に記載されるウインドウガラスの分離装置。
【請求項3】
駆動ロッド(8)がネジ棒(8B)で、駆動機構(7)が、ネジ棒(8B)が挿通されるナット(48)であって、回転するネジ棒(8B)がナット(48)を介して移動台(6)をネジ棒(8B)の軸方向に移動させる請求項1に記載されるウインドウガラスの分離装置。
【請求項4】
ガイド(9)がウインドウガラス(3)に沿って湾曲している請求項1ないし3のいずれかに記載されるウインドウガラスの分離装置。
【請求項5】
変換機構(7)と移動台(6)とを、折曲できる傾動機構(13)を介して連結している請求項1ないし4のいずれかに記載されるウインドウガラスの分離装置。
【請求項6】
支持台(10)が、ガイド(9)と駆動ロッド(8)との相対的な角度を変更できるように、ジョイント(25)を介して駆動ロッド(8)の端部を連結してなる請求項1ないし5のいずれかに記載されるウインドウガラスの分離装置。
【請求項7】
ガイド(9)が、角材(15)の両面に平板(16)を固定して、平板(16)の間にガイド溝(9A)を設けている請求項1ないし7のいずれかに記載されるウインドウガラスの分離装置。
【請求項8】
カッター(5)がL字状である請求項1に記載されるウインドウガラスの分離装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2007−160421(P2007−160421A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−357031(P2005−357031)
【出願日】平成17年12月9日(2005.12.9)
【出願人】(501387301)有限会社仁木ガラス (3)
【Fターム(参考)】