ウェットワイプスおよびその製造方法
【課題】一方の面で粗拭きができ、他方の面で仕上げ拭きができるウェットワイプスを提供する。
【解決手段】不織布に液体を含浸してなるウェットワイプスであって、不織布の一方の面の表層の見かけ密度が乾燥状態で0.030〜0.10g/cm3であり、不織布の他方の面の表層の見かけ密度が乾燥状態で0.12〜0.20g/cm3であり、少なくとも見かけ密度が小さい方の面において繊維が起毛していることを特徴とする。見かけ密度が小さい方の面には粗い畝溝が、見かけ密度が大きい方の面には細かい畝溝が形成されている。細かい畝溝は水流吹付けにより形成され、粗い畝溝は水蒸気吹付けによって形成される。
【解決手段】不織布に液体を含浸してなるウェットワイプスであって、不織布の一方の面の表層の見かけ密度が乾燥状態で0.030〜0.10g/cm3であり、不織布の他方の面の表層の見かけ密度が乾燥状態で0.12〜0.20g/cm3であり、少なくとも見かけ密度が小さい方の面において繊維が起毛していることを特徴とする。見かけ密度が小さい方の面には粗い畝溝が、見かけ密度が大きい方の面には細かい畝溝が形成されている。細かい畝溝は水流吹付けにより形成され、粗い畝溝は水蒸気吹付けによって形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェットワイプスおよびその製造方法に関する。特に、おしり拭き等に用いられるウェットワイプスおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
吸引部に沿って周回する開孔パターンネットを備えたパターン付与工程に、水分率が50〜85重量%の繊維シートを移送させ、該繊維シートを上記開孔パターンネット上に保持した状態で吸引すると共に、該吸引と同時に又は該吸引の前後に熱量付与部によって該繊維シートに5kcal/kg以上の熱量を水蒸気の吹き付けにより付与して、該繊維シートに該開孔パターンネットに対応するパターン付けをし、次いで乾燥工程において乾燥させることによりパターン付けされた嵩高紙を得ることを特徴とする嵩高紙の製造方法が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3461122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された嵩高紙は、水蒸気の噴射圧力により、所定の水分を含んだ繊維シートを支持体である開孔パターンネットに押さえつけ、開孔パターンネットに対応するパターンがついた繊維シートであるがために、パターンネットによりできた凹凸賦型は、巻取り・スリッター等の工程により潰れ易く、嵩維持が難しい。また、蒸気の圧力で押えつけパターン付与しているため、エンボス同様に熱可塑性繊維等を使用しないとウェット状態で形状を維持することが難しい。また、繊維シートを押し込んで凸凹賦型を付けていることより、見かけ上は嵩高になっているが、繊維が移動しているわけではないため、繊維密度は賦型前のシートと比べ同等もしくは部分的に高密度化している。また、繊維交絡のされていない繊維シートであり、強度を保持させるために紙力増強剤等の併用が必要である。また、パターンネットによって、凹凸形状が付いておりワイプスとした場合、その分接触面積が低下し、拭き取り性が悪くなる、等の課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、湿式水流交絡不織布の少なくとも片面側の繊維を起毛させることにより、上記の課題を解決したものである。
すなわち、本発明は、不織布に液体を含浸してなるウェットワイプスであって、不織布の一方の面の表層の見かけ密度が乾燥状態で0.030〜0.10g/cm3であり、不織布の他方の面の表層の見かけ密度が乾燥状態で0.12〜0.20g/cm3であり、少なくとも見かけ密度が小さい方の面において繊維が起毛していることを特徴とする。
【0006】
好ましくは、見かけ密度が小さい方の面において、起毛している繊維が、同一の方向に平行して延びる多数の第一の畝を形成し、隣接する2本の第一の畝の間に第一の溝が形成されている。
好ましくは、見かけ密度が大きい方の面に、第一の畝と同一の方向に延びる多数の第二の畝および第二の溝が形成されている。
好ましくは、第一の畝の頂部と第一の溝の底部の距離は第二の畝の頂部と第二の溝の底部の距離よりも大きい。
好ましくは、隣接する2本の第一の畝の間隔は、隣接する2本の第二の畝の間隔よりも広い。
好ましくは、隣接する2本の第一の畝の間隔が1.0〜3.0mmであり、隣接する2本の第二の畝の間隔が0.3〜1.0mmである。
好ましくは、第一の畝の頂部と第一の溝の底部の距離が0.15〜0.60mmであり、第二の畝の頂部と第二の溝の底部の距離が0.05〜0.10mmである。
好ましくは、不織布を構成する繊維の30%以上が吸収性繊維である。
好ましくは、吸収性繊維がセルロースを含む。
好ましくは、不織布を構成する繊維の繊維長が20mm以下である。
好ましくは、起毛は水蒸気を吹き付けることにより交絡の弱い繊維が吹寄せられて形成されたものである。
好ましくは、第一の畝と第一の溝が水蒸気を吹き付けることにより形成されたものであり、第二の畝と第二の溝が水流を吹き付けることにより形成されたものである。
【0007】
本発明は、また、前記ウェットワイプスを製造する方法であって、繊維と水の混合物を支持体上に供給して、支持体上に水を含むウェブを形成する工程、ウェブの幅方向に等間隔に並べて配置された水流ノズルからウェブに水流を吹き付けて、繊維を交絡させる工程、ウェブの幅方向に水流ノズルの間隔よりも広い間隔で並べて配置された水蒸気ノズルから、水流を吹き付けたウェブの水流を吹き付けた面とは反対の面に、水蒸気を吹き付けて、繊維を起毛させる工程を含む方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明のウェットワイプスは、表裏の見かけ密度が異なり、少なくとも見かけ密度が小さい方の面において繊維が起毛しているので、汚れの拭き取り効果が高く、かつ粗拭きと仕上げ拭きが1枚のシートで可能である。また、起毛しているため、嵩高でかつフンワリ感が出ることにより、おしり拭き等の柔らかい風合いが必要な対人用ワイプスとして使用することができる。また、起毛部分はシート部分と比べ保水性が低いため、肌に触れた時のひんやり感が低減可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明のウェットワイプスの模式拡大斜視図である。
【図2】図2は、本発明に用いる不織布を製造するための不織布製造装置の一例を示す図である。
【図3】図3は、水流ノズルの一例を示す図である。
【図4】図4は、水流吹き付けによってウェブの繊維同士が交絡する原理を説明するための図である。
【図5】図5は、水流が吹き付けられたウェブの幅方向の断面図である。
【図6】図6は、水蒸気ノズルの一例を示す図である。
【図7】図7は、水蒸気吹き付けによって、ウェブの繊維がほぐれ、繊維が起毛する原理を説明するための図である。
【図8】図8は、実施例1において、水流吹き付けした後のウェブの水流吹き付け面の写真である。
【図9】図9は、実施例1において得られた不織布の水蒸気吹き付け面の写真である。
【図10】図10は、実施例1において得られた不織布の水流吹き付け面の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明を説明するが、本発明は図面に記載されたものに限定されない。
【0011】
図1は、本発明のウェットワイプス1の模式拡大斜視図である。本発明のウェットワイプス1は、不織布に液体を含浸してなるものであるが、図1では液体は表示されないので、図1はウェットワイプスを構成する不織布2の模式拡大斜視図でもある。
【0012】
本発明のウェットワイプス1においては、不織布2の一方の面の表層の見かけ密度が乾燥状態で0.030〜0.10g/cm3であり、不織布の他方の面の表層の見かけ密度が乾燥状態で0.12〜0.20g/cm3である。以下、表層の見かけ密度が乾燥状態で0.030〜0.10g/cm3である面を、見かけ密度が小さい方の面ともいい、表層の見かけ密度が乾燥状態で0.12〜0.20g/cm3である面を、見かけ密度が大きい方の面ともいう。図1においては、見かけ密度が小さい方の面はAで、見かけ密度が大きい方の面はBで表示されている。ここで、表層とは、表面の凸部の頂部から厚みの30%までの部分をいう。ここで、厚みとは、一方の面の凸部(第一の畝部)の頂部から他方の面の凸部(第二の畝部)の頂部までの距離t0をいう。すなわち、図1中、tA=tB=0.30t0であり、tAが見かけ密度が小さい方の面の表層に相当し、tBが見かけ密度が大きい方の面の表層に相当する。
【0013】
乾燥状態での表層の見かけ密度は、次のように測定する。
不織布の断面をマイクロスコープ等により、50倍以上に拡大撮影し、tAまたはtBの深さ×幅0.5mmの単位面積中の繊維本数を計測し、その結果より繊維重量を算出し、見かけ密度の算出を行なう。
【0014】
本発明のウェットワイプス1は、少なくとも見かけ密度が小さい方の面Aにおいて、繊維が起毛している。ここで、起毛とは、不織布を構成する繊維の密度を部分的に低くした状態のことをいう。起毛は水蒸気を吹き付けることにより交絡の弱い繊維を吹寄せて形成することができるが、製造方法の詳細については、後述する。
【0015】
見かけ密度が小さい方の面Aの表層の見かけ密度は、乾燥状態で0.030〜0.10g/cm3であるが、好ましくは0.04〜0.09g/cm3であり、より好ましくは0.05〜0.08g/cm3である。面Aの表層の見かけ密度が小さすぎると凸部の繊維本数が少なすぎへたり易くなりやすく、逆に大きすぎると繊維本数が多すぎ、汚れが入り込み難くなり拭き取り性が悪くなる。
見かけ密度が大きい方の面Bの表層の見かけ密度は、乾燥状態で0.12〜0.20g/cm3であるが、好ましくは0.13〜0.19g/cm3であり、より好ましくは0.14〜0.18g/cm3である。面Bの表層の見かけ密度が小さすぎると接触面積が小さくなり拭きあげが荒くなり、仕上げ拭きに適さず、逆に大きすぎるとペーパーライクになり易く、触感が硬くなり易い。
【0016】
本発明の好ましい態様においては、見かけ密度が小さい方の面において、起毛している繊維が、同一の方向に平行して延びる多数の第一の畝3を形成し、隣接する2本の第一の畝3,3の間に第一の溝4が形成されている。一方、見かけ密度が大きい方の面Bには、第一の畝3と同一の方向に延びる多数の第二の畝5および第二の溝6が形成されている。
【0017】
本発明の好ましい態様においては、第一の畝の頂部3Tと第一の溝の底部4Bの距離d1が第二の畝の頂部5Tと第二の溝の底部6Bの距離d2よりも大きい。
第一の畝の頂部3Tと第一の溝の底部4Bの距離d1は、好ましくは0.15〜0.60mmであり、より好ましくは0.17〜0.55mmであり、さらに好ましくは0.20〜0.50mmである。距離d1が狭すぎると起毛繊維が短すぎ、汚れ絡め取り効果が低くなり、逆に距離d1が広すぎると賦型形状を維持し難くなったり、繊維抜け量が増加する。
第二の畝の頂部5Tと第二の溝の底部6Bの距離d2は、好ましくは0.05〜0.10mmであり、より好ましくは0.06〜0.09mmであり、さらに好ましくは0.07〜0.08mmである。距離d2が狭すぎるとペーパーライクになり触感が硬くなる、逆に距離d2が広すぎると接触面積が小さくなり仕上げ拭き効果が悪くなる。
【0018】
本発明の好ましい態様においては、隣接する2本の第一の畝の間隔p3は、隣接する2本の第二の畝の間隔p5よりも広い。
隣接する2本の第一の畝の間隔p3は、好ましくは1.0〜3.0mmであり、より好ましくは1.2〜2.5mmであり、さらに好ましくは1.5〜2.0mmである。間隔p3が狭すぎると吹寄せられる繊維量が少なくなり、d1が高くなり難くなる、逆に間隔p3が広すぎると左右から吹寄せられた繊維が合わさって凸部を形成しているが、合わさらなくなり大きな凸部が形成できなくなる。
隣接する2本の第二の畝の間隔p5は、好ましくは0.3〜1.0mmであり、より好ましくは0.4〜0.8mmであり、さらに好ましくは0.5〜0.7mmである。間隔p5が狭すぎると凹凸が形成され難く、逆に間隔p5が広すぎると繊維交絡の弱い部分ができ、シート強度バラつきが大きく発生する。
【0019】
第一の畝3と第一の溝4は水蒸気を吹き付けることにより形成することができ、第二の畝5と第二の溝6は水流を吹き付けることにより形成することができるが、製造方法の詳細については、後述する。
【0020】
好ましくは、不織布を構成する繊維の30%以上が吸収性繊維であり、より好ましくは35%以上が吸収性繊維であり、さらに好ましくは40%以上が吸収性繊維である。不織布を構成する繊維のすべてが吸収性繊維であってもよい。
本発明において使用することができる吸収性繊維としては、針葉樹や広葉樹の化学パルプ、半化学パルプおよび機械パルプなどの木材パルプ、これら木材パルプを化学処理したマーセル化パルプおよび架橋パルプ、麻や綿などの非木材系繊維ならびにレーヨン繊維などの再生繊維のようなセルロース系繊維、ポリビニルアルコール繊維などが挙げられる。吸収性繊維は好ましくはセルロースを含む。
吸収性繊維以外の繊維としては、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維およびポリアミド繊維のような合成繊維などが挙げられる。
【0021】
不織布を構成する繊維の繊維長は、好ましくは20mm以下であり、より好ましくは1〜15mmであり、さらに好ましくは2〜12mmである。繊維長が長すぎると水中で均一に分散し難くなり、地合いが悪くなり易い、逆に短かすぎると抄紙時の歩留まりが悪くなるとともに、水流交絡し難くなり強度が低くなり易い。
【0022】
本発明のウェットワイプスは不織布に液体を含浸してなるものであるが、不織布に含浸する液体としては、蒸留水、プロピレングリコール、パラベン等の防腐剤の混合溶液が挙げられる。
【0023】
本発明のウェットワイプスは、
繊維と水の混合物を支持体上に供給して、支持体上に水を含むウェブを形成する工程、
ウェブの幅方向(ウェブの進行方向に垂直な方向)に等間隔に並べて配置された水流ノズルからウェブに水流を吹き付けて、繊維を交絡させる工程、
ウェブの幅方向に水流ノズルの間隔よりも広い間隔で並べて配置された水蒸気ノズルから、水流を吹き付けたウェブの水流を吹き付けた面とは反対の面に、水蒸気を吹き付けて、繊維を起毛させ、表裏で見かけ密度が異なる不織布を得る工程、および
得られた不織布に液体を含浸する工程
を含む方法によって製造することができる。
【0024】
以下、本発明のウェットワイプスの製造方法を詳しく説明する。
図2は、本発明に用いる不織布を製造するための不織布製造装置の一例を示す図である。
【0025】
まず、繊維と水の混合物を調製する。繊維と水の混合物は、原料供給ヘッド11によってウェブ形成コンベア16の支持体上に供給され、支持体上に堆積する。支持体は、水蒸気が通過可能な通気性を有するものであることが好ましい。たとえば、ワイヤーメッシュ、毛布などを支持体に用いることができる。
【0026】
支持体上に堆積した水を含む繊維は吸引ボックス13により適度に脱水され、ウェブ30が形成する。ウェブ30は、支持体上に配置された2台の水流ノズル12と、支持体を挟んで水流ノズル12に対向する位置に配置された、水流ノズル12から噴射された水を回収する2台の吸引ボックス13との間を通過する。このとき、ウェブ30は、水流ノズル12から水流を吹き付けられ、上面(水流ノズル12側の面。以下「B面」という。)に第二の畝と第二の溝が形成される。
【0027】
水流ノズル12の一例を図3に示す。水流ノズル12は、ウェブ30の幅方向(CD)に並んだ複数の水流31をウェブ30に向けて吹き付ける。その結果、ウェブ30の上面には、ウェブ30の幅方向に並び、機械方向(MD)に延びる複数の溝32が形成される。溝32は第二の溝6に相当する。
【0028】
また、ウェブ30が水流を受けると、上述のようにウェブ30に溝32が形成されるとともにウェブ30の繊維同士が交絡し、ウェブ30の強度が高くなる。ウェブ30が水流を受けると、ウェブ30の繊維同士が交絡する原理を、図4を参照して説明するが、この原理は本発明を限定するものではない。
【0029】
図4に示すように、水流ノズル12が水流31を噴射すると、水流31は支持体41を通過する。これによりウェブ30の繊維は、水流31が支持体41を通過する部分42を中心に引き込まれることになる。その結果、ウェブ30の繊維が、水流31が支持体41を通過する部分42に向かって集まり、繊維同士が交絡することになる。
【0030】
ウェブ30の繊維同士が交絡することによりウェブ30の強度が高くなることによって、後の工程で、水蒸気がウェブ30に吹き付けられても穴が開いたり、破れたり、および吹き飛んだりすることが少なくなる。また、不織布原料に紙力増強剤を添加しなくてもウェブ30の湿潤強度を増加させることができる。
【0031】
水流のエネルギー量は、0.125〜1.324kW/m2であることが好ましい。水流のエネルギー量は次式から算出される。
水流のエネルギー量(kW/m2)=1.63×噴射圧力(Kg/cm2)×噴射流量(m3/分)/処理速度(m/分)/60
ここで、噴射流量(m3/分)=750×オリフィス開孔総面積(m2)×噴射圧力(Kg/cm2)0.495
水流のエネルギー量が小さすぎると、ウェブ30の強度があまり強くならない場合がある。逆に、水流のエネルギー量が大きすぎると、ウェブ30が堅くなりすぎてしまい、ウェブ30の嵩が、後述の高圧水蒸気によってあまり高くならない場合がある。
【0032】
水流ノズル12の孔径は90〜150μmであることが好ましい。水流ノズル12の孔径が90μmよりも小さいと、ノズルが詰まりやすいという問題が生じる場合がある。また、水流ノズル12の孔径が150μmよりも大きいと、処理効率が悪くなるという問題が生じる場合がある。
【0033】
水流ノズル12の孔ピッチ(隣接する孔の中心間の距離)は0.3〜1.0mmであることが好ましい。水流ノズル12の孔ピッチが0.3mmよりも小さいと、ノズルの耐圧が低下し、破損するという問題が生じる場合がある。また、水流ノズル12の孔ピッチが1.0mmよりも大きいと、繊維交絡が不十分となるという問題が生じる場合がある。
【0034】
2台の水流ノズル12と、2台の吸引ボックス13との間を通過した後のウェブ30の幅方向の断面を図5に示す。水流によってウェブ30の上面に第二の畝5および第二の溝6が形成される。
【0035】
その後、図2に示すように、ウェブ30は、吸引ピックアップ17によってウェブ搬送コンベア18に転写される。さらに、ウェブ30はウェブ搬送コンベア19に転写される。次に、乾燥ドラム20に転写される。乾燥ドラム20は、たとえば、ヤンキードライヤーであり、水蒸気により約120℃に加熱されたドラムにウェブ30を付着させて、ウェブ30を乾燥させる。
【0036】
この乾燥ドラム20による乾燥によってウェブ30の水分率は、10〜45%になることが好ましい。ここで、水分率とは、水を含むウェブの総質量100gに対する含まれる水のg数である。ウェブ30の水分率が小さすぎると、ウェブ30の繊維間の水素結合力が強くなり、後述の水蒸気によってウェブ30の繊維をほぐすために必要なエネルギーが非常に高くなる。一方、ウェブ30の水分率が大きすぎると、後述の水蒸気によってウェブ30を所定の水分率以下に乾燥させるために必要なエネルギーが非常に高くなる。
【0037】
次に、ウェブ30は、円筒状のサクションドラム15のメッシュ状の外周面上に移動する。このとき、サクションドラム15の外周面の上方に配置された水蒸気ノズル14から水蒸気がウェブ30に吹き付けられる。図2には、2列の水蒸気ノズル14が配置されているが、水蒸気ノズル14は1列でもよいし、3列以上でもよい。水蒸気が吹き付けられるウェブの面は、水流が吹き付けられた面(B面)とは反対の面(以下「A面」という。)である。サクションドラム15は吸引装置を内蔵しており、水蒸気ノズル14から吹き付けられた水蒸気は吸引装置によって吸引される。水蒸気ノズル14から吹き付けられた水蒸気によって、ウェブ30のA面に第一の畝3と第一の溝4が形成される。
【0038】
水蒸気ノズル14から吹き付けられる水蒸気は、高圧水蒸気である。水蒸気吹付け圧力は、好ましくは0.3〜1.5MPaであり、より好ましくは0.4〜1.2MPaであり、さらに好ましくは0.5〜1.0MPaである。水蒸気吹付け圧力が小さすぎると繊維の吹寄せ効果が弱く、凸部形成が出来難くなり、逆に大きすぎるとシートへのダメージが大きくなり過ぎ強度が低下し易くなる。
水蒸気ノズル14から吹き付けられる水蒸気は、空気などの他の気体が混ざったものでもよいが、水蒸気のみからなることが好ましい。
【0039】
サクションドラム15の上方に配置された水蒸気ノズル14の一例を図6に示す。水蒸気ノズル14は、ウェブ30の幅方向(CD)に並んだ複数の水蒸気51をウェブ30に向けて吹き付ける。その結果、ウェブ30のA面には、ウェブ30の幅方向に並び、機械方向(MD)に延びる複数の溝52が形成される。溝52は第一の溝4に相当する。
【0040】
ウェブ30に高圧水蒸気が噴射されると、ウェブ30の繊維はほぐれ、そしてウェブ30の嵩は高くなる。これにより、転写のときの圧力および水流で堅くなったウェブ30は、柔軟性が高まり、ウェブ30の触感が改善される。ウェブ30が水蒸気を受けると、ウェブ30の繊維がほぐれ、ウェブ30の嵩が高くなる原理を、図7を参照して説明するが、この原理は本発明を限定するものではない。
【0041】
図7に示すように、水蒸気ノズル14が水蒸気51を吹き付けると、水蒸気51はサクションドラムのメッシュ状の外周面54にあたる。水蒸気51は、大部分は外周面54にはね返される。これによりウェブ30の繊維は、巻き上がり、そしてほぐされる。また、水蒸気51によってウェブ30の繊維は、かき分けられ、水蒸気ノズル14直下は目付が低下する(第一の溝)。かき分けられた繊維は、水蒸気51が外周面54にあたる部分53の幅方向側に移動して集まり、ウェブ30の嵩が高くなるとともに、繊維が起毛した状態が形成される(第一の畝)。繊維交絡の比較的弱い、水流交絡処理の反対面に高圧水蒸気処理を行うことで、水流交絡面に比べ容易にほぐすことが可能であり、かつ下層側の水流交絡部で繊維が交絡固定しているため、起毛構造になり易く、また、交絡部は破壊しないため、シートの強度低下を最小限にとどめることが可能である。
【0042】
水流によってウェブ30の強度は高められているので、高圧水蒸気51をウェブ30に吹き付けるとき、ウェブ30が水蒸気51によって吹き飛んでしまうのを防ぐためのネットをウェブ30の上に設ける必要がない。したがって、水蒸気51によるウェブ30の処理効率が上がる。また、上記ネットを設ける必要がないので、不織布製造装置のメンテナンスおよび不織布の製造コストを抑えることができる。
【0043】
水蒸気ノズル14から吹き付ける水蒸気は高圧水蒸気であり、その水蒸気圧力は0.3〜1.5MPaであることが好ましい。水蒸気の圧力が0.3MPaよりも小さいと、ウェブ30の嵩が、水蒸気によってあまり高くならない場合がある。また、水蒸気の圧力が1.5MPaよりも大きいと、ウェブ30に穴が開いたり、ウェブ30が破れたり、および吹き飛んだりする場合がある。
【0044】
水蒸気ノズル14から吹き付けられた水蒸気を吸引する、サクションドラム15に内蔵された吸引装置により、サクションドラム15がウェブ30を吸引する吸引力は、−1〜−12kPaであることが好ましい。サクションドラム15の吸引力が−1kPaよりも小さいと水蒸気を吸いきれず吹き上がりが生じ危険であるという問題が生じる場合がある。また、サクションドラム15の吸引力が−12kPaよりも大きいとサクション内への繊維脱落が多くなるという問題が生じる場合がある。
【0045】
水蒸気ノズル14の先端とウェブ30の上面との間の距離は1.0〜10mmであることが好ましい。水蒸気ノズル14の先端とウェブ30の上面との間の距離が1.0mmよりも小さいと、ウェブ30に穴が開いたり、ウェブ30が破れたり、吹き飛んだりするという問題が生じる場合がある。また、水蒸気ノズル14の先端とウェブ30の上面との間の距離が10mmよりも大きいと、高圧水蒸気におけるウェブ30の表面に溝を形成するための力が分散してしまい、ウェブ30の表面に溝部を形成する能率が悪くなる。
【0046】
水蒸気ノズル14の孔径は、水流ノズル12の孔径よりも大きいことが好ましく、かつ水蒸気ノズル14の孔ピッチは、水流ノズル12の孔ピッチよりも大きいことが好ましい。
【0047】
水蒸気ノズル14の孔径は150〜600μmであることが好ましい。水蒸気ノズル14の孔径が小さすぎると、エネルギーが不足し、十分に繊維を掻き分けられないという問題が生じる場合がある。また、水蒸気ノズル14の孔径が大きすぎると、エネルギーが大き過ぎ基材ダメージが大きくなり過ぎるという問題が生じる場合がある。
【0048】
水蒸気ノズル14の孔ピッチ(隣接する孔の中心間の距離)は1.0〜3.0mmであることが好ましい。水蒸気ノズル14の孔ピッチが小さすぎると、ノズルの耐圧が低下し、破損の恐れが生じるという問題が生じる場合がある。また、水蒸気ノズル14の孔ピッチが大きすぎると、処理不足で柔軟性改善効果が低下するという問題が生じる場合がある。
【0049】
水蒸気を吹き付けた後のウェブ30の水分率が、水蒸気を吹き付ける前のウェブ30の水分率よりもできるだけ大きくしないようにするため、水蒸気の温度は、乾燥ドラム20の温度よりも高いことが好ましい。たとえば、水蒸気の温度は、130〜220℃であることが好ましい。これにより、水蒸気をウェブ30に吹き付けているときもウェブ30の乾燥は進むことになり、ウェブ30は、嵩が高くなるのと同時に乾燥する。ウェブ30が乾燥するとウェブ30の繊維同士の水素結合が強くなるので、ウェブ30の強度は高くなり、ウェブ30の高くなった嵩はつぶれにくくなる。また、ウェブ30の強度は高くなることによって、水蒸気の吹き付けによりウェブ30に穴が開いたり、切れたりすることが防止される。
【0050】
水蒸気を吹き付けた後のウェブ30の水分率は、45%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましい。水蒸気を拭きつけた後のウェブ30の水分率が45%よりも大きいと、後述の乾燥ドラムによる乾燥によってウェブ30の水分率を5%以下にすることができない場合がある。この場合、さらに追加の乾燥が必要であり、不織布の製造効率が悪くなる。
【0051】
その後、図2に示すように、乾燥ドラム20とは別の乾燥ドラム21に転写される。乾燥ドラム21も、たとえば、ヤンキードライヤーであり、水蒸気により約150℃に加熱されたドラムにウェブ30を付着させて、ウェブ30を乾燥させる。乾燥ドラム21を通過した後のウェブ30は十分に乾燥していることが必要であり、具体的には、乾燥ドラム21を通過した後のウェブ30の水分率は5%以下であることが好ましい。
【0052】
乾燥したウェブ30は、不織布として巻き取り機22に巻き取られる。
【0053】
製造された不織布に液体を含浸することにより、ウェットワイプスが得られる。液体を含浸する方法は、特に限定されないが、例えば、スプレー含浸、浸漬含浸が挙げられる。
【0054】
高圧水流交絡処理は、繊維を交絡し不織布を締めて(高密度化し)、不織布強度を高める。
高圧水蒸気処理は、繊維を解して(低密度化し)、不織布を嵩高にする。この時、高圧水流処理の方がエネルギー量が高いために、高圧水蒸気処理において、不織布の一部が解れるだけであり、繊維がバラけることなく起毛させることが可能となる。
【0055】
高圧水流吹き付け処理を行った面側に、高圧水蒸気吹き付け処理を行った場合、水流吹き付けエネルギーの方が高く、繊維を解すことが難しい。また、繊維が強く交絡している部分であり、ウェブ強度を発現している部分でもあるため、水流交絡面側の繊維を解してしまうと、著しく強度低下が発生する。よって、本発明では高圧水流吹き付け処理面とは反対側の、比較的繊維交絡の弱い面側に高圧水蒸気拭き付け処理を行うことにより、起毛状態と水蒸気吹き付けスジ跡による凹凸賦型を行う。
【0056】
本発明のウェットワイプスによる汚れの除去は、次のように行なうことができる。
先ず対象汚れに対し、繊維が起毛している面A(大きな畝溝が形成されている面)側で固形物汚れを絡め取り、除去する。繊維が起毛している面Aの起毛部(第一の畝)と水蒸気吹き付けによりできた水蒸気吹き付けスジ跡(第一の溝)に大きい固形物汚れを絡め取り、除去する。次いで、見かけ密度が高い反対面B(小さな畝溝が形成されている面)で、拭き残し等の微小汚れを仕上げ拭きすることができる。水流吹き付けスジ跡(第二の溝)で微小汚れを擦り取る。
1枚の不織布の表裏構造を変えることにより、粗汚れ拭きに優れた面と微小汚れ拭きに優れた面を設けることができ、1枚で粗拭きと仕上げ拭きが可能なワイプスを実現することができた。また、粗拭き面が凸凹だけでなく、起毛した繊維を使用しているため、凸凹のみに比べ、汚れの絡み取り効果が高い。
【実施例】
【0057】
実施例1
図2の不織布製造装置10を使用して、次のとおり不織布を製造した。
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)(カナディアン・フリーネス・スタンダード(cfs)700cc)70質量%と、繊度が1.1dtexであり、繊維長が7mmであるレーヨン(ダイワボウレーヨン(株)製コロナ)30質量%とを含む不織布原料を調製した。原料供給ヘッド11を使用してウェブ形成コンベアの支持体(日本フィルコン(株)製 OS80)上に不織布原料を供給し、吸引ボックスを使用して不織布原料を脱水してウェブを形成した。このときのウェブの目付は50g/m2であった。その後、2台の高圧水流ノズルを使用して高圧水流をウェブに吹き付けた。高圧水流ノズルの孔径は92μmであり、高圧水流ノズルの孔ピッチは0.5mmであり、2台の高圧水流ノズルを使用してウェブに吹き付けた高圧水流のエネルギー量は0.284kW/m2(0.142kW/m2×2)であり、ウェブの走行速度は70m/分であった。
ウェブは、2台のウェブ搬送コンベアに転写された後、120℃に加熱されたヤンキードライヤーに転写され、乾燥された。
次に、水蒸気ノズルを使用して高圧水蒸気をウェブに吹き付けた。このときの高圧水蒸気の圧力は0.7MPaであり、温度は約175℃であり、水蒸気ノズルの先端とウェブの上面との間の距離は2.0mmであり、水蒸気ノズルの孔径は500μmであり、孔ピッチは2.0mmであり、ウェブの走行速度は70m/分であった。また、サクションドラムがウェブを吸引する吸引力は、−1kPaであった。サクションドラムの外周にはステンレス製の18メッシュ開孔スリーブを使用した。
次に、ウェブを、ヤンキードライヤーに転写し、乾燥して、巻き取り、不織布を製造した。
【0058】
水流吹き付けした後のウェブの水流吹き付け面の写真(乾燥して撮影したもの)を図8に示す。図8(a)は平面写真であり、図8(b)は傾斜写真である。
得られた不織布(水蒸気吹き付けし乾燥したもの)の水蒸気吹き付け面の写真を図9に示す。図9(a)は平面写真であり、図9(b)は傾斜写真である。
得られた不織布の水流吹き付け面の平面写真を図10に示す。
【0059】
得られた不織布について、不織布目付、乾燥厚み、密度、表層見かけ密度、乾燥引張強度、乾燥引張伸度、湿潤引張強度および湿潤引張伸度を測定した。測定結果を表1に示す。
【0060】
得られた不織布を、縦150mm、横200mmに裁断し、不織布の乾燥質量に対して3倍量の蒸留水を含浸して、ウェットワイプスを作製した。
【0061】
作製したウェットワイプスを用いて人工汚れ拭き取り性試験を行ない、高圧水流吹き付け面および高圧水蒸気吹き付け面のそれぞれについて、汚れ除去率を測定した。測定結果を表1に示す。
【0062】
実施例2
高圧水蒸気吹き付け前のウェブ水分率を10%とした他は、実施例1と同様の条件にて不織布を製造し、ウェットワイプスを作製し、評価した。測定結果を表1に示す。
ウェブ水分率10%が、高圧水蒸気吹き付け処理で、繊維が起毛し水蒸気吹き付けスジ跡が付く最低水分率であり、これ以上水分率が低いと、繊維間の水素結合力が強くなり、繊維を動かすことが難しい。
【0063】
実施例3
高圧水蒸気吹き付け圧力を、繊維が起毛し水蒸気吹き付けスジ跡が付く最低限の0.3MPaになるように調整した他は、実施例1と同様の条件にて不織布を製造し、ウェットワイプスを作製し、評価した。測定結果を表1に示す。
【0064】
比較例1
高圧水蒸気吹き付け処理を行わなかった他は、実施例1と同様の条件にて不織布を製造し、ウェットワイプスを作製し、評価した。測定結果を表1に示す。
高圧水流吹き付けによる細かな水流吹き付けスジ跡の擦り取り効果で、ある程度拭き取り性は発現可能であるが、起毛していないので、接触面積が少ないのと凸凹が小さいため、拭き取り性を高めることが難しい。
【0065】
比較例2
高圧水流吹き付け処理を行っていないウェブに高圧水蒸気吹き付け処理を行なった他は、実施例1と同様の条件にて不織布を製造し、ウェットワイプスを作製し、評価した。測定結果を表1に示す。
水流吹き付け処理を行っていないため、ウェブが凸凹賦型し易いが、繊維の絡みが弱く、起毛させようとすると、解れすぎ繊維脱落が発生し、起毛状態を作ることが難しい。また、起毛していないため、見た目は嵩高であるが、接触面積が低下し拭き取り性は良くない。
【0066】
比較例3
高圧水蒸気吹き付け圧力を繊維が起毛し難い低圧0.2MPaになるように調整した他は、実施例1と同様の条件にて不織布を製造し、ウェットワイプスを作製し、評価した。測定結果を表1に示す。
高圧水蒸気吹き付け圧力が低いと、繊維を解す力が弱く、繊維を起毛させることが難しい。
【0067】
【表1】
【0068】
なお、水蒸気吹き付け前ウェブ水分率、水蒸気吹き付け後ウェブ水分率、巻き取り時ウェブ水分率、ウェブ目付、乾燥厚み、密度、表層見かけ密度、乾燥引張強度、乾燥引張伸度、湿潤引張強度、湿潤引張伸度および汚れ除去率は、以下のようにして測定した。
【0069】
[水蒸気吹き付け前ウェブ水分率]
乾燥ドラム20で乾燥したウェブを30cm×30cmのサイズにサンプリングし、乾燥ドラム20の出口質量(W1)を測定し、その後サンプル片を105℃の恒温槽に1時間静置し絶乾させたのち質量(D1)を測定する。水蒸気吹き付け前ウェブ水分率(%)を下式により算出する。なお、水蒸気吹き付け前ウェブ水分率は、10個の測定値の平均値である。
水蒸気吹き付け前ウェブ水分率(%)=(W1−D1)/W1×100
【0070】
[水蒸気吹き付け後ウェブ水分率]
1つのサクションドラム15上で水蒸気ノズル14からウェブに高圧水蒸気を吹き付けたウェブを30cm×30cmのサイズにサンプリングし、水蒸気ノズル14通過後の質量(W2)を測定し、その後サンプル片を105℃の恒温槽に1時間静置し絶乾させたのち質量(D2)を測定する。水蒸気吹き付け後ウェブ水分率(%)を下式により算出する。なお、水蒸気吹き付け後ウェブ水分率は、10個の測定値の平均値である。
水蒸気吹き付け後ウェブ水分率(%)=(W2−D2)/W2×100
【0071】
[巻き取り時ウェブ水分率]
乾燥ドラム22を通過し、巻き取られたウェブを30cm×30cmのサイズにサンプリングし、巻き取り後の質量(W3)を測定し、その後サンプル片を105℃の恒温槽に1時間静置し絶乾させたのち質量(D3)を測定する。巻き取り時ウェブ水分率(%)を下式により算出する。なお、巻き取り時ウェブ水分率は、N=10での測定値の平均値である。
巻き取り時ウェブ水分率(%)=(W3−D3)/W3×100
【0072】
[不織布目付]
不織布目付は、巻き取り時ウェブ水分率を測定した際の絶乾サンプル質量D3(g)を、その面積(0.09m2)で割り算することより算出した。不織布目付は、10個の測定値の平均値である。
【0073】
[乾燥厚み]
15cm2の測定子を備えた厚み計((株)大栄科学精器製作所製 型式FS−60DS)を使用して、3gf/cm2の測定荷重の測定条件で、製造した不織布の厚みを測定した。1つの測定用試料について3ヶ所の厚みを測定し、3ヶ所の厚みの平均値をプレス前乾燥厚みとした。
【0074】
[密度]
プレス後乾燥嵩密度は、ウェブ目付と、上述のプレスの後のウェブの乾燥厚みより算出した。プレス後のウェブの乾燥厚みは以下のように測定した。プレス後のウェブを、液体窒素に含浸させて凍結させた後、剃刀でカットし、常温に戻した後、電子顕微鏡(たとえば、キーエンス社VE7800)を用いて、50倍の倍率でプレス後のウェブの厚みを測定した。吸収性物品を凍結させる理由は、剃刀によるカット時の圧縮により厚みが変動するのを防ぐためである。そして、プレス前のウェブの目付に厚みを割って密度を算出した。
【0075】
[表層見かけ密度]
不織布の断面をマイクロスコープ等により、50倍以上に拡大撮影し、tAまたはtBの深さ×幅0.5mmの単位面積中の繊維本数を計測し、その結果より繊維重量を算出し、見かけ密度の算出を行った。
【0076】
[乾燥引張強度]
製造した不織布から、長手方向がウェブの機械方向である25mm幅の短冊状の試験片と、長手方向がウェブの幅方向である25mm幅の短冊状の試験片とを切り取って、測定用試料を作製した。機械方向および幅方向の測定用試料を、最大荷重容量が50Nであるロードセルを備えた引張試験機((株)島津製作所製 オートグラフ 型式AGS−1kNG)を使用して、それぞれ3つの測定用試料について、100mmのつかみ間距離、100mm/分の引張速度の条件で引張強度を測定した。機械方向および幅方向の測定用試料のそれぞれ3つの測定用試料の引張強度の平均値を機械方向および幅方向の乾燥引張強度とした。
【0077】
[乾燥引張伸度]
製造した不織布から、長手方向がウェブの機械方向である25mm幅の短冊状の試験片と、長手方向がウェブの幅方向である25mm幅の短冊状の試験片とを切り取って、測定用試料を作製した。機械方向および幅方向の測定用試料を、最大荷重容量が50Nであるロードセルを備えた引張試験機((株)島津製作所製 オートグラフ 型式AGS−1kNG)を使用して、それぞれ3つの測定用試料について、100mmのつかみ間距離、100mm/分の引張速度の条件で引張伸度を測定した。ここで、引張伸度とは、引張試験機で測定用試料を引っ張ったときの最大の伸び(mm)をつかみ間距離(100mm)で割り算した値である。機械方向および幅方向の測定用試料のそれぞれ3つの測定用試料の引張伸度の平均値を機械方向および幅方向の乾燥引張伸度とした。
【0078】
[湿潤引張強度]
製造した不織布から長手方向がウェブの機械方向である25mm幅の短冊状の試験片と、長手方向がウェブの幅方向である25mm幅の短冊状の試験片とを切り取って、測定用試料を作製し、測定用試料の質量の2.5倍の水を測定用試料に含浸させた(含水倍率250%)。そして、機械方向および幅方向の測定用試料を、最大荷重容量が50Nであるロードセルを備えた引張試験機((株)島津製作所製 オートグラフ 型式AGS−1kNG)を使用して、それぞれ3つの測定用試料について、100mmのつかみ間距離、100mm/分の引張速度の条件で引張強度を測定した。機械方向および幅方向の測定用試料のそれぞれ3つの測定用試料の引張強度の平均値を機械方向および幅方向の湿潤引張強度とした。
【0079】
[湿潤引張伸度]
製造した不織布から長手方向がウェブの機械方向である25mm幅の短冊状の試験片と、長手方向がウェブの幅方向である25mm幅の短冊状の試験片とを切り取って、測定用試料を作製し、測定用試料の質量の2.5倍の水を測定用試料に含浸させた(含水倍率250%)。そして、機械方向および幅方向の測定用試料を、最大荷重容量が50Nであるロードセルを備えた引張試験機((株)島津製作所製 オートグラフ 型式AGS−1kNG)を使用して、それぞれ3つの測定用試料について、100mmのつかみ間距離、100mm/分の引張速度の条件で引張伸度を測定した。機械方向および幅方向の測定用試料のそれぞれ3つの測定用試料の引張伸度の平均値を機械方向および幅方向の湿潤引張伸度とした。
【0080】
[汚れ除去率]
模擬汚れとして、カーボンブラック12.6質量%、牛脂極度硬化油20.8質量%、流動パラフィン質量66.6%の配合比率のペーストを調製する。そのペーストとヘキサンを85:15(質量比)の割合で混ぜ合わせる。ヘキサン希釈ペーストをガラス板上に0.05mL滴下する。高温高湿室(20℃、湿度60%)で24時間乾燥後、色味をスキャナーでスキャンする。テスター産業株式会社の摩擦係数測定装置で、150mm/分、加重60gの条件にて拭取り試験(1回)を行う。試験後、色味の変化をスキャナーでスキャンし、スキャンした面積のうち16.9mm×16.9mm面積の色味の変化率を次式により算出し、汚れ除去率とする。
汚れ除去率(%)=(C0−C1)/C0×100
ただし、C0は拭き取り前の色味であり、C1は拭き取り後の色味である。
色味除去率が大きいほど、汚れが除去できていると判断できる。N数=3で測定し、3回の平均値を汚れ除去率とする。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明のウェットワイプスは、おしり拭き等に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0082】
1 ウェットワイプス
2 不織布
3 第一の畝
4 第一の溝
5 第二の畝
6 第二の溝
10 不織布製造装置
11 原料供給ヘッド
12 水流ノズル
13 吸引ボックス
14 水蒸気ノズル
15 サクションドラム
16 ウェブ形成コンベア
17 吸引ピックアップ
18,19 ウェブ搬送コンベア
20,21 乾燥ドラム
22 巻き取り機
30 ウェブ
31 高圧水流
32 溝
41 サクションドラムのメッシュ状の外周面支持体
51 高圧水蒸気
52 溝
54 サクションドラムの外周面
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェットワイプスおよびその製造方法に関する。特に、おしり拭き等に用いられるウェットワイプスおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
吸引部に沿って周回する開孔パターンネットを備えたパターン付与工程に、水分率が50〜85重量%の繊維シートを移送させ、該繊維シートを上記開孔パターンネット上に保持した状態で吸引すると共に、該吸引と同時に又は該吸引の前後に熱量付与部によって該繊維シートに5kcal/kg以上の熱量を水蒸気の吹き付けにより付与して、該繊維シートに該開孔パターンネットに対応するパターン付けをし、次いで乾燥工程において乾燥させることによりパターン付けされた嵩高紙を得ることを特徴とする嵩高紙の製造方法が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3461122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された嵩高紙は、水蒸気の噴射圧力により、所定の水分を含んだ繊維シートを支持体である開孔パターンネットに押さえつけ、開孔パターンネットに対応するパターンがついた繊維シートであるがために、パターンネットによりできた凹凸賦型は、巻取り・スリッター等の工程により潰れ易く、嵩維持が難しい。また、蒸気の圧力で押えつけパターン付与しているため、エンボス同様に熱可塑性繊維等を使用しないとウェット状態で形状を維持することが難しい。また、繊維シートを押し込んで凸凹賦型を付けていることより、見かけ上は嵩高になっているが、繊維が移動しているわけではないため、繊維密度は賦型前のシートと比べ同等もしくは部分的に高密度化している。また、繊維交絡のされていない繊維シートであり、強度を保持させるために紙力増強剤等の併用が必要である。また、パターンネットによって、凹凸形状が付いておりワイプスとした場合、その分接触面積が低下し、拭き取り性が悪くなる、等の課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、湿式水流交絡不織布の少なくとも片面側の繊維を起毛させることにより、上記の課題を解決したものである。
すなわち、本発明は、不織布に液体を含浸してなるウェットワイプスであって、不織布の一方の面の表層の見かけ密度が乾燥状態で0.030〜0.10g/cm3であり、不織布の他方の面の表層の見かけ密度が乾燥状態で0.12〜0.20g/cm3であり、少なくとも見かけ密度が小さい方の面において繊維が起毛していることを特徴とする。
【0006】
好ましくは、見かけ密度が小さい方の面において、起毛している繊維が、同一の方向に平行して延びる多数の第一の畝を形成し、隣接する2本の第一の畝の間に第一の溝が形成されている。
好ましくは、見かけ密度が大きい方の面に、第一の畝と同一の方向に延びる多数の第二の畝および第二の溝が形成されている。
好ましくは、第一の畝の頂部と第一の溝の底部の距離は第二の畝の頂部と第二の溝の底部の距離よりも大きい。
好ましくは、隣接する2本の第一の畝の間隔は、隣接する2本の第二の畝の間隔よりも広い。
好ましくは、隣接する2本の第一の畝の間隔が1.0〜3.0mmであり、隣接する2本の第二の畝の間隔が0.3〜1.0mmである。
好ましくは、第一の畝の頂部と第一の溝の底部の距離が0.15〜0.60mmであり、第二の畝の頂部と第二の溝の底部の距離が0.05〜0.10mmである。
好ましくは、不織布を構成する繊維の30%以上が吸収性繊維である。
好ましくは、吸収性繊維がセルロースを含む。
好ましくは、不織布を構成する繊維の繊維長が20mm以下である。
好ましくは、起毛は水蒸気を吹き付けることにより交絡の弱い繊維が吹寄せられて形成されたものである。
好ましくは、第一の畝と第一の溝が水蒸気を吹き付けることにより形成されたものであり、第二の畝と第二の溝が水流を吹き付けることにより形成されたものである。
【0007】
本発明は、また、前記ウェットワイプスを製造する方法であって、繊維と水の混合物を支持体上に供給して、支持体上に水を含むウェブを形成する工程、ウェブの幅方向に等間隔に並べて配置された水流ノズルからウェブに水流を吹き付けて、繊維を交絡させる工程、ウェブの幅方向に水流ノズルの間隔よりも広い間隔で並べて配置された水蒸気ノズルから、水流を吹き付けたウェブの水流を吹き付けた面とは反対の面に、水蒸気を吹き付けて、繊維を起毛させる工程を含む方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明のウェットワイプスは、表裏の見かけ密度が異なり、少なくとも見かけ密度が小さい方の面において繊維が起毛しているので、汚れの拭き取り効果が高く、かつ粗拭きと仕上げ拭きが1枚のシートで可能である。また、起毛しているため、嵩高でかつフンワリ感が出ることにより、おしり拭き等の柔らかい風合いが必要な対人用ワイプスとして使用することができる。また、起毛部分はシート部分と比べ保水性が低いため、肌に触れた時のひんやり感が低減可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明のウェットワイプスの模式拡大斜視図である。
【図2】図2は、本発明に用いる不織布を製造するための不織布製造装置の一例を示す図である。
【図3】図3は、水流ノズルの一例を示す図である。
【図4】図4は、水流吹き付けによってウェブの繊維同士が交絡する原理を説明するための図である。
【図5】図5は、水流が吹き付けられたウェブの幅方向の断面図である。
【図6】図6は、水蒸気ノズルの一例を示す図である。
【図7】図7は、水蒸気吹き付けによって、ウェブの繊維がほぐれ、繊維が起毛する原理を説明するための図である。
【図8】図8は、実施例1において、水流吹き付けした後のウェブの水流吹き付け面の写真である。
【図9】図9は、実施例1において得られた不織布の水蒸気吹き付け面の写真である。
【図10】図10は、実施例1において得られた不織布の水流吹き付け面の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明を説明するが、本発明は図面に記載されたものに限定されない。
【0011】
図1は、本発明のウェットワイプス1の模式拡大斜視図である。本発明のウェットワイプス1は、不織布に液体を含浸してなるものであるが、図1では液体は表示されないので、図1はウェットワイプスを構成する不織布2の模式拡大斜視図でもある。
【0012】
本発明のウェットワイプス1においては、不織布2の一方の面の表層の見かけ密度が乾燥状態で0.030〜0.10g/cm3であり、不織布の他方の面の表層の見かけ密度が乾燥状態で0.12〜0.20g/cm3である。以下、表層の見かけ密度が乾燥状態で0.030〜0.10g/cm3である面を、見かけ密度が小さい方の面ともいい、表層の見かけ密度が乾燥状態で0.12〜0.20g/cm3である面を、見かけ密度が大きい方の面ともいう。図1においては、見かけ密度が小さい方の面はAで、見かけ密度が大きい方の面はBで表示されている。ここで、表層とは、表面の凸部の頂部から厚みの30%までの部分をいう。ここで、厚みとは、一方の面の凸部(第一の畝部)の頂部から他方の面の凸部(第二の畝部)の頂部までの距離t0をいう。すなわち、図1中、tA=tB=0.30t0であり、tAが見かけ密度が小さい方の面の表層に相当し、tBが見かけ密度が大きい方の面の表層に相当する。
【0013】
乾燥状態での表層の見かけ密度は、次のように測定する。
不織布の断面をマイクロスコープ等により、50倍以上に拡大撮影し、tAまたはtBの深さ×幅0.5mmの単位面積中の繊維本数を計測し、その結果より繊維重量を算出し、見かけ密度の算出を行なう。
【0014】
本発明のウェットワイプス1は、少なくとも見かけ密度が小さい方の面Aにおいて、繊維が起毛している。ここで、起毛とは、不織布を構成する繊維の密度を部分的に低くした状態のことをいう。起毛は水蒸気を吹き付けることにより交絡の弱い繊維を吹寄せて形成することができるが、製造方法の詳細については、後述する。
【0015】
見かけ密度が小さい方の面Aの表層の見かけ密度は、乾燥状態で0.030〜0.10g/cm3であるが、好ましくは0.04〜0.09g/cm3であり、より好ましくは0.05〜0.08g/cm3である。面Aの表層の見かけ密度が小さすぎると凸部の繊維本数が少なすぎへたり易くなりやすく、逆に大きすぎると繊維本数が多すぎ、汚れが入り込み難くなり拭き取り性が悪くなる。
見かけ密度が大きい方の面Bの表層の見かけ密度は、乾燥状態で0.12〜0.20g/cm3であるが、好ましくは0.13〜0.19g/cm3であり、より好ましくは0.14〜0.18g/cm3である。面Bの表層の見かけ密度が小さすぎると接触面積が小さくなり拭きあげが荒くなり、仕上げ拭きに適さず、逆に大きすぎるとペーパーライクになり易く、触感が硬くなり易い。
【0016】
本発明の好ましい態様においては、見かけ密度が小さい方の面において、起毛している繊維が、同一の方向に平行して延びる多数の第一の畝3を形成し、隣接する2本の第一の畝3,3の間に第一の溝4が形成されている。一方、見かけ密度が大きい方の面Bには、第一の畝3と同一の方向に延びる多数の第二の畝5および第二の溝6が形成されている。
【0017】
本発明の好ましい態様においては、第一の畝の頂部3Tと第一の溝の底部4Bの距離d1が第二の畝の頂部5Tと第二の溝の底部6Bの距離d2よりも大きい。
第一の畝の頂部3Tと第一の溝の底部4Bの距離d1は、好ましくは0.15〜0.60mmであり、より好ましくは0.17〜0.55mmであり、さらに好ましくは0.20〜0.50mmである。距離d1が狭すぎると起毛繊維が短すぎ、汚れ絡め取り効果が低くなり、逆に距離d1が広すぎると賦型形状を維持し難くなったり、繊維抜け量が増加する。
第二の畝の頂部5Tと第二の溝の底部6Bの距離d2は、好ましくは0.05〜0.10mmであり、より好ましくは0.06〜0.09mmであり、さらに好ましくは0.07〜0.08mmである。距離d2が狭すぎるとペーパーライクになり触感が硬くなる、逆に距離d2が広すぎると接触面積が小さくなり仕上げ拭き効果が悪くなる。
【0018】
本発明の好ましい態様においては、隣接する2本の第一の畝の間隔p3は、隣接する2本の第二の畝の間隔p5よりも広い。
隣接する2本の第一の畝の間隔p3は、好ましくは1.0〜3.0mmであり、より好ましくは1.2〜2.5mmであり、さらに好ましくは1.5〜2.0mmである。間隔p3が狭すぎると吹寄せられる繊維量が少なくなり、d1が高くなり難くなる、逆に間隔p3が広すぎると左右から吹寄せられた繊維が合わさって凸部を形成しているが、合わさらなくなり大きな凸部が形成できなくなる。
隣接する2本の第二の畝の間隔p5は、好ましくは0.3〜1.0mmであり、より好ましくは0.4〜0.8mmであり、さらに好ましくは0.5〜0.7mmである。間隔p5が狭すぎると凹凸が形成され難く、逆に間隔p5が広すぎると繊維交絡の弱い部分ができ、シート強度バラつきが大きく発生する。
【0019】
第一の畝3と第一の溝4は水蒸気を吹き付けることにより形成することができ、第二の畝5と第二の溝6は水流を吹き付けることにより形成することができるが、製造方法の詳細については、後述する。
【0020】
好ましくは、不織布を構成する繊維の30%以上が吸収性繊維であり、より好ましくは35%以上が吸収性繊維であり、さらに好ましくは40%以上が吸収性繊維である。不織布を構成する繊維のすべてが吸収性繊維であってもよい。
本発明において使用することができる吸収性繊維としては、針葉樹や広葉樹の化学パルプ、半化学パルプおよび機械パルプなどの木材パルプ、これら木材パルプを化学処理したマーセル化パルプおよび架橋パルプ、麻や綿などの非木材系繊維ならびにレーヨン繊維などの再生繊維のようなセルロース系繊維、ポリビニルアルコール繊維などが挙げられる。吸収性繊維は好ましくはセルロースを含む。
吸収性繊維以外の繊維としては、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維およびポリアミド繊維のような合成繊維などが挙げられる。
【0021】
不織布を構成する繊維の繊維長は、好ましくは20mm以下であり、より好ましくは1〜15mmであり、さらに好ましくは2〜12mmである。繊維長が長すぎると水中で均一に分散し難くなり、地合いが悪くなり易い、逆に短かすぎると抄紙時の歩留まりが悪くなるとともに、水流交絡し難くなり強度が低くなり易い。
【0022】
本発明のウェットワイプスは不織布に液体を含浸してなるものであるが、不織布に含浸する液体としては、蒸留水、プロピレングリコール、パラベン等の防腐剤の混合溶液が挙げられる。
【0023】
本発明のウェットワイプスは、
繊維と水の混合物を支持体上に供給して、支持体上に水を含むウェブを形成する工程、
ウェブの幅方向(ウェブの進行方向に垂直な方向)に等間隔に並べて配置された水流ノズルからウェブに水流を吹き付けて、繊維を交絡させる工程、
ウェブの幅方向に水流ノズルの間隔よりも広い間隔で並べて配置された水蒸気ノズルから、水流を吹き付けたウェブの水流を吹き付けた面とは反対の面に、水蒸気を吹き付けて、繊維を起毛させ、表裏で見かけ密度が異なる不織布を得る工程、および
得られた不織布に液体を含浸する工程
を含む方法によって製造することができる。
【0024】
以下、本発明のウェットワイプスの製造方法を詳しく説明する。
図2は、本発明に用いる不織布を製造するための不織布製造装置の一例を示す図である。
【0025】
まず、繊維と水の混合物を調製する。繊維と水の混合物は、原料供給ヘッド11によってウェブ形成コンベア16の支持体上に供給され、支持体上に堆積する。支持体は、水蒸気が通過可能な通気性を有するものであることが好ましい。たとえば、ワイヤーメッシュ、毛布などを支持体に用いることができる。
【0026】
支持体上に堆積した水を含む繊維は吸引ボックス13により適度に脱水され、ウェブ30が形成する。ウェブ30は、支持体上に配置された2台の水流ノズル12と、支持体を挟んで水流ノズル12に対向する位置に配置された、水流ノズル12から噴射された水を回収する2台の吸引ボックス13との間を通過する。このとき、ウェブ30は、水流ノズル12から水流を吹き付けられ、上面(水流ノズル12側の面。以下「B面」という。)に第二の畝と第二の溝が形成される。
【0027】
水流ノズル12の一例を図3に示す。水流ノズル12は、ウェブ30の幅方向(CD)に並んだ複数の水流31をウェブ30に向けて吹き付ける。その結果、ウェブ30の上面には、ウェブ30の幅方向に並び、機械方向(MD)に延びる複数の溝32が形成される。溝32は第二の溝6に相当する。
【0028】
また、ウェブ30が水流を受けると、上述のようにウェブ30に溝32が形成されるとともにウェブ30の繊維同士が交絡し、ウェブ30の強度が高くなる。ウェブ30が水流を受けると、ウェブ30の繊維同士が交絡する原理を、図4を参照して説明するが、この原理は本発明を限定するものではない。
【0029】
図4に示すように、水流ノズル12が水流31を噴射すると、水流31は支持体41を通過する。これによりウェブ30の繊維は、水流31が支持体41を通過する部分42を中心に引き込まれることになる。その結果、ウェブ30の繊維が、水流31が支持体41を通過する部分42に向かって集まり、繊維同士が交絡することになる。
【0030】
ウェブ30の繊維同士が交絡することによりウェブ30の強度が高くなることによって、後の工程で、水蒸気がウェブ30に吹き付けられても穴が開いたり、破れたり、および吹き飛んだりすることが少なくなる。また、不織布原料に紙力増強剤を添加しなくてもウェブ30の湿潤強度を増加させることができる。
【0031】
水流のエネルギー量は、0.125〜1.324kW/m2であることが好ましい。水流のエネルギー量は次式から算出される。
水流のエネルギー量(kW/m2)=1.63×噴射圧力(Kg/cm2)×噴射流量(m3/分)/処理速度(m/分)/60
ここで、噴射流量(m3/分)=750×オリフィス開孔総面積(m2)×噴射圧力(Kg/cm2)0.495
水流のエネルギー量が小さすぎると、ウェブ30の強度があまり強くならない場合がある。逆に、水流のエネルギー量が大きすぎると、ウェブ30が堅くなりすぎてしまい、ウェブ30の嵩が、後述の高圧水蒸気によってあまり高くならない場合がある。
【0032】
水流ノズル12の孔径は90〜150μmであることが好ましい。水流ノズル12の孔径が90μmよりも小さいと、ノズルが詰まりやすいという問題が生じる場合がある。また、水流ノズル12の孔径が150μmよりも大きいと、処理効率が悪くなるという問題が生じる場合がある。
【0033】
水流ノズル12の孔ピッチ(隣接する孔の中心間の距離)は0.3〜1.0mmであることが好ましい。水流ノズル12の孔ピッチが0.3mmよりも小さいと、ノズルの耐圧が低下し、破損するという問題が生じる場合がある。また、水流ノズル12の孔ピッチが1.0mmよりも大きいと、繊維交絡が不十分となるという問題が生じる場合がある。
【0034】
2台の水流ノズル12と、2台の吸引ボックス13との間を通過した後のウェブ30の幅方向の断面を図5に示す。水流によってウェブ30の上面に第二の畝5および第二の溝6が形成される。
【0035】
その後、図2に示すように、ウェブ30は、吸引ピックアップ17によってウェブ搬送コンベア18に転写される。さらに、ウェブ30はウェブ搬送コンベア19に転写される。次に、乾燥ドラム20に転写される。乾燥ドラム20は、たとえば、ヤンキードライヤーであり、水蒸気により約120℃に加熱されたドラムにウェブ30を付着させて、ウェブ30を乾燥させる。
【0036】
この乾燥ドラム20による乾燥によってウェブ30の水分率は、10〜45%になることが好ましい。ここで、水分率とは、水を含むウェブの総質量100gに対する含まれる水のg数である。ウェブ30の水分率が小さすぎると、ウェブ30の繊維間の水素結合力が強くなり、後述の水蒸気によってウェブ30の繊維をほぐすために必要なエネルギーが非常に高くなる。一方、ウェブ30の水分率が大きすぎると、後述の水蒸気によってウェブ30を所定の水分率以下に乾燥させるために必要なエネルギーが非常に高くなる。
【0037】
次に、ウェブ30は、円筒状のサクションドラム15のメッシュ状の外周面上に移動する。このとき、サクションドラム15の外周面の上方に配置された水蒸気ノズル14から水蒸気がウェブ30に吹き付けられる。図2には、2列の水蒸気ノズル14が配置されているが、水蒸気ノズル14は1列でもよいし、3列以上でもよい。水蒸気が吹き付けられるウェブの面は、水流が吹き付けられた面(B面)とは反対の面(以下「A面」という。)である。サクションドラム15は吸引装置を内蔵しており、水蒸気ノズル14から吹き付けられた水蒸気は吸引装置によって吸引される。水蒸気ノズル14から吹き付けられた水蒸気によって、ウェブ30のA面に第一の畝3と第一の溝4が形成される。
【0038】
水蒸気ノズル14から吹き付けられる水蒸気は、高圧水蒸気である。水蒸気吹付け圧力は、好ましくは0.3〜1.5MPaであり、より好ましくは0.4〜1.2MPaであり、さらに好ましくは0.5〜1.0MPaである。水蒸気吹付け圧力が小さすぎると繊維の吹寄せ効果が弱く、凸部形成が出来難くなり、逆に大きすぎるとシートへのダメージが大きくなり過ぎ強度が低下し易くなる。
水蒸気ノズル14から吹き付けられる水蒸気は、空気などの他の気体が混ざったものでもよいが、水蒸気のみからなることが好ましい。
【0039】
サクションドラム15の上方に配置された水蒸気ノズル14の一例を図6に示す。水蒸気ノズル14は、ウェブ30の幅方向(CD)に並んだ複数の水蒸気51をウェブ30に向けて吹き付ける。その結果、ウェブ30のA面には、ウェブ30の幅方向に並び、機械方向(MD)に延びる複数の溝52が形成される。溝52は第一の溝4に相当する。
【0040】
ウェブ30に高圧水蒸気が噴射されると、ウェブ30の繊維はほぐれ、そしてウェブ30の嵩は高くなる。これにより、転写のときの圧力および水流で堅くなったウェブ30は、柔軟性が高まり、ウェブ30の触感が改善される。ウェブ30が水蒸気を受けると、ウェブ30の繊維がほぐれ、ウェブ30の嵩が高くなる原理を、図7を参照して説明するが、この原理は本発明を限定するものではない。
【0041】
図7に示すように、水蒸気ノズル14が水蒸気51を吹き付けると、水蒸気51はサクションドラムのメッシュ状の外周面54にあたる。水蒸気51は、大部分は外周面54にはね返される。これによりウェブ30の繊維は、巻き上がり、そしてほぐされる。また、水蒸気51によってウェブ30の繊維は、かき分けられ、水蒸気ノズル14直下は目付が低下する(第一の溝)。かき分けられた繊維は、水蒸気51が外周面54にあたる部分53の幅方向側に移動して集まり、ウェブ30の嵩が高くなるとともに、繊維が起毛した状態が形成される(第一の畝)。繊維交絡の比較的弱い、水流交絡処理の反対面に高圧水蒸気処理を行うことで、水流交絡面に比べ容易にほぐすことが可能であり、かつ下層側の水流交絡部で繊維が交絡固定しているため、起毛構造になり易く、また、交絡部は破壊しないため、シートの強度低下を最小限にとどめることが可能である。
【0042】
水流によってウェブ30の強度は高められているので、高圧水蒸気51をウェブ30に吹き付けるとき、ウェブ30が水蒸気51によって吹き飛んでしまうのを防ぐためのネットをウェブ30の上に設ける必要がない。したがって、水蒸気51によるウェブ30の処理効率が上がる。また、上記ネットを設ける必要がないので、不織布製造装置のメンテナンスおよび不織布の製造コストを抑えることができる。
【0043】
水蒸気ノズル14から吹き付ける水蒸気は高圧水蒸気であり、その水蒸気圧力は0.3〜1.5MPaであることが好ましい。水蒸気の圧力が0.3MPaよりも小さいと、ウェブ30の嵩が、水蒸気によってあまり高くならない場合がある。また、水蒸気の圧力が1.5MPaよりも大きいと、ウェブ30に穴が開いたり、ウェブ30が破れたり、および吹き飛んだりする場合がある。
【0044】
水蒸気ノズル14から吹き付けられた水蒸気を吸引する、サクションドラム15に内蔵された吸引装置により、サクションドラム15がウェブ30を吸引する吸引力は、−1〜−12kPaであることが好ましい。サクションドラム15の吸引力が−1kPaよりも小さいと水蒸気を吸いきれず吹き上がりが生じ危険であるという問題が生じる場合がある。また、サクションドラム15の吸引力が−12kPaよりも大きいとサクション内への繊維脱落が多くなるという問題が生じる場合がある。
【0045】
水蒸気ノズル14の先端とウェブ30の上面との間の距離は1.0〜10mmであることが好ましい。水蒸気ノズル14の先端とウェブ30の上面との間の距離が1.0mmよりも小さいと、ウェブ30に穴が開いたり、ウェブ30が破れたり、吹き飛んだりするという問題が生じる場合がある。また、水蒸気ノズル14の先端とウェブ30の上面との間の距離が10mmよりも大きいと、高圧水蒸気におけるウェブ30の表面に溝を形成するための力が分散してしまい、ウェブ30の表面に溝部を形成する能率が悪くなる。
【0046】
水蒸気ノズル14の孔径は、水流ノズル12の孔径よりも大きいことが好ましく、かつ水蒸気ノズル14の孔ピッチは、水流ノズル12の孔ピッチよりも大きいことが好ましい。
【0047】
水蒸気ノズル14の孔径は150〜600μmであることが好ましい。水蒸気ノズル14の孔径が小さすぎると、エネルギーが不足し、十分に繊維を掻き分けられないという問題が生じる場合がある。また、水蒸気ノズル14の孔径が大きすぎると、エネルギーが大き過ぎ基材ダメージが大きくなり過ぎるという問題が生じる場合がある。
【0048】
水蒸気ノズル14の孔ピッチ(隣接する孔の中心間の距離)は1.0〜3.0mmであることが好ましい。水蒸気ノズル14の孔ピッチが小さすぎると、ノズルの耐圧が低下し、破損の恐れが生じるという問題が生じる場合がある。また、水蒸気ノズル14の孔ピッチが大きすぎると、処理不足で柔軟性改善効果が低下するという問題が生じる場合がある。
【0049】
水蒸気を吹き付けた後のウェブ30の水分率が、水蒸気を吹き付ける前のウェブ30の水分率よりもできるだけ大きくしないようにするため、水蒸気の温度は、乾燥ドラム20の温度よりも高いことが好ましい。たとえば、水蒸気の温度は、130〜220℃であることが好ましい。これにより、水蒸気をウェブ30に吹き付けているときもウェブ30の乾燥は進むことになり、ウェブ30は、嵩が高くなるのと同時に乾燥する。ウェブ30が乾燥するとウェブ30の繊維同士の水素結合が強くなるので、ウェブ30の強度は高くなり、ウェブ30の高くなった嵩はつぶれにくくなる。また、ウェブ30の強度は高くなることによって、水蒸気の吹き付けによりウェブ30に穴が開いたり、切れたりすることが防止される。
【0050】
水蒸気を吹き付けた後のウェブ30の水分率は、45%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましい。水蒸気を拭きつけた後のウェブ30の水分率が45%よりも大きいと、後述の乾燥ドラムによる乾燥によってウェブ30の水分率を5%以下にすることができない場合がある。この場合、さらに追加の乾燥が必要であり、不織布の製造効率が悪くなる。
【0051】
その後、図2に示すように、乾燥ドラム20とは別の乾燥ドラム21に転写される。乾燥ドラム21も、たとえば、ヤンキードライヤーであり、水蒸気により約150℃に加熱されたドラムにウェブ30を付着させて、ウェブ30を乾燥させる。乾燥ドラム21を通過した後のウェブ30は十分に乾燥していることが必要であり、具体的には、乾燥ドラム21を通過した後のウェブ30の水分率は5%以下であることが好ましい。
【0052】
乾燥したウェブ30は、不織布として巻き取り機22に巻き取られる。
【0053】
製造された不織布に液体を含浸することにより、ウェットワイプスが得られる。液体を含浸する方法は、特に限定されないが、例えば、スプレー含浸、浸漬含浸が挙げられる。
【0054】
高圧水流交絡処理は、繊維を交絡し不織布を締めて(高密度化し)、不織布強度を高める。
高圧水蒸気処理は、繊維を解して(低密度化し)、不織布を嵩高にする。この時、高圧水流処理の方がエネルギー量が高いために、高圧水蒸気処理において、不織布の一部が解れるだけであり、繊維がバラけることなく起毛させることが可能となる。
【0055】
高圧水流吹き付け処理を行った面側に、高圧水蒸気吹き付け処理を行った場合、水流吹き付けエネルギーの方が高く、繊維を解すことが難しい。また、繊維が強く交絡している部分であり、ウェブ強度を発現している部分でもあるため、水流交絡面側の繊維を解してしまうと、著しく強度低下が発生する。よって、本発明では高圧水流吹き付け処理面とは反対側の、比較的繊維交絡の弱い面側に高圧水蒸気拭き付け処理を行うことにより、起毛状態と水蒸気吹き付けスジ跡による凹凸賦型を行う。
【0056】
本発明のウェットワイプスによる汚れの除去は、次のように行なうことができる。
先ず対象汚れに対し、繊維が起毛している面A(大きな畝溝が形成されている面)側で固形物汚れを絡め取り、除去する。繊維が起毛している面Aの起毛部(第一の畝)と水蒸気吹き付けによりできた水蒸気吹き付けスジ跡(第一の溝)に大きい固形物汚れを絡め取り、除去する。次いで、見かけ密度が高い反対面B(小さな畝溝が形成されている面)で、拭き残し等の微小汚れを仕上げ拭きすることができる。水流吹き付けスジ跡(第二の溝)で微小汚れを擦り取る。
1枚の不織布の表裏構造を変えることにより、粗汚れ拭きに優れた面と微小汚れ拭きに優れた面を設けることができ、1枚で粗拭きと仕上げ拭きが可能なワイプスを実現することができた。また、粗拭き面が凸凹だけでなく、起毛した繊維を使用しているため、凸凹のみに比べ、汚れの絡み取り効果が高い。
【実施例】
【0057】
実施例1
図2の不織布製造装置10を使用して、次のとおり不織布を製造した。
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)(カナディアン・フリーネス・スタンダード(cfs)700cc)70質量%と、繊度が1.1dtexであり、繊維長が7mmであるレーヨン(ダイワボウレーヨン(株)製コロナ)30質量%とを含む不織布原料を調製した。原料供給ヘッド11を使用してウェブ形成コンベアの支持体(日本フィルコン(株)製 OS80)上に不織布原料を供給し、吸引ボックスを使用して不織布原料を脱水してウェブを形成した。このときのウェブの目付は50g/m2であった。その後、2台の高圧水流ノズルを使用して高圧水流をウェブに吹き付けた。高圧水流ノズルの孔径は92μmであり、高圧水流ノズルの孔ピッチは0.5mmであり、2台の高圧水流ノズルを使用してウェブに吹き付けた高圧水流のエネルギー量は0.284kW/m2(0.142kW/m2×2)であり、ウェブの走行速度は70m/分であった。
ウェブは、2台のウェブ搬送コンベアに転写された後、120℃に加熱されたヤンキードライヤーに転写され、乾燥された。
次に、水蒸気ノズルを使用して高圧水蒸気をウェブに吹き付けた。このときの高圧水蒸気の圧力は0.7MPaであり、温度は約175℃であり、水蒸気ノズルの先端とウェブの上面との間の距離は2.0mmであり、水蒸気ノズルの孔径は500μmであり、孔ピッチは2.0mmであり、ウェブの走行速度は70m/分であった。また、サクションドラムがウェブを吸引する吸引力は、−1kPaであった。サクションドラムの外周にはステンレス製の18メッシュ開孔スリーブを使用した。
次に、ウェブを、ヤンキードライヤーに転写し、乾燥して、巻き取り、不織布を製造した。
【0058】
水流吹き付けした後のウェブの水流吹き付け面の写真(乾燥して撮影したもの)を図8に示す。図8(a)は平面写真であり、図8(b)は傾斜写真である。
得られた不織布(水蒸気吹き付けし乾燥したもの)の水蒸気吹き付け面の写真を図9に示す。図9(a)は平面写真であり、図9(b)は傾斜写真である。
得られた不織布の水流吹き付け面の平面写真を図10に示す。
【0059】
得られた不織布について、不織布目付、乾燥厚み、密度、表層見かけ密度、乾燥引張強度、乾燥引張伸度、湿潤引張強度および湿潤引張伸度を測定した。測定結果を表1に示す。
【0060】
得られた不織布を、縦150mm、横200mmに裁断し、不織布の乾燥質量に対して3倍量の蒸留水を含浸して、ウェットワイプスを作製した。
【0061】
作製したウェットワイプスを用いて人工汚れ拭き取り性試験を行ない、高圧水流吹き付け面および高圧水蒸気吹き付け面のそれぞれについて、汚れ除去率を測定した。測定結果を表1に示す。
【0062】
実施例2
高圧水蒸気吹き付け前のウェブ水分率を10%とした他は、実施例1と同様の条件にて不織布を製造し、ウェットワイプスを作製し、評価した。測定結果を表1に示す。
ウェブ水分率10%が、高圧水蒸気吹き付け処理で、繊維が起毛し水蒸気吹き付けスジ跡が付く最低水分率であり、これ以上水分率が低いと、繊維間の水素結合力が強くなり、繊維を動かすことが難しい。
【0063】
実施例3
高圧水蒸気吹き付け圧力を、繊維が起毛し水蒸気吹き付けスジ跡が付く最低限の0.3MPaになるように調整した他は、実施例1と同様の条件にて不織布を製造し、ウェットワイプスを作製し、評価した。測定結果を表1に示す。
【0064】
比較例1
高圧水蒸気吹き付け処理を行わなかった他は、実施例1と同様の条件にて不織布を製造し、ウェットワイプスを作製し、評価した。測定結果を表1に示す。
高圧水流吹き付けによる細かな水流吹き付けスジ跡の擦り取り効果で、ある程度拭き取り性は発現可能であるが、起毛していないので、接触面積が少ないのと凸凹が小さいため、拭き取り性を高めることが難しい。
【0065】
比較例2
高圧水流吹き付け処理を行っていないウェブに高圧水蒸気吹き付け処理を行なった他は、実施例1と同様の条件にて不織布を製造し、ウェットワイプスを作製し、評価した。測定結果を表1に示す。
水流吹き付け処理を行っていないため、ウェブが凸凹賦型し易いが、繊維の絡みが弱く、起毛させようとすると、解れすぎ繊維脱落が発生し、起毛状態を作ることが難しい。また、起毛していないため、見た目は嵩高であるが、接触面積が低下し拭き取り性は良くない。
【0066】
比較例3
高圧水蒸気吹き付け圧力を繊維が起毛し難い低圧0.2MPaになるように調整した他は、実施例1と同様の条件にて不織布を製造し、ウェットワイプスを作製し、評価した。測定結果を表1に示す。
高圧水蒸気吹き付け圧力が低いと、繊維を解す力が弱く、繊維を起毛させることが難しい。
【0067】
【表1】
【0068】
なお、水蒸気吹き付け前ウェブ水分率、水蒸気吹き付け後ウェブ水分率、巻き取り時ウェブ水分率、ウェブ目付、乾燥厚み、密度、表層見かけ密度、乾燥引張強度、乾燥引張伸度、湿潤引張強度、湿潤引張伸度および汚れ除去率は、以下のようにして測定した。
【0069】
[水蒸気吹き付け前ウェブ水分率]
乾燥ドラム20で乾燥したウェブを30cm×30cmのサイズにサンプリングし、乾燥ドラム20の出口質量(W1)を測定し、その後サンプル片を105℃の恒温槽に1時間静置し絶乾させたのち質量(D1)を測定する。水蒸気吹き付け前ウェブ水分率(%)を下式により算出する。なお、水蒸気吹き付け前ウェブ水分率は、10個の測定値の平均値である。
水蒸気吹き付け前ウェブ水分率(%)=(W1−D1)/W1×100
【0070】
[水蒸気吹き付け後ウェブ水分率]
1つのサクションドラム15上で水蒸気ノズル14からウェブに高圧水蒸気を吹き付けたウェブを30cm×30cmのサイズにサンプリングし、水蒸気ノズル14通過後の質量(W2)を測定し、その後サンプル片を105℃の恒温槽に1時間静置し絶乾させたのち質量(D2)を測定する。水蒸気吹き付け後ウェブ水分率(%)を下式により算出する。なお、水蒸気吹き付け後ウェブ水分率は、10個の測定値の平均値である。
水蒸気吹き付け後ウェブ水分率(%)=(W2−D2)/W2×100
【0071】
[巻き取り時ウェブ水分率]
乾燥ドラム22を通過し、巻き取られたウェブを30cm×30cmのサイズにサンプリングし、巻き取り後の質量(W3)を測定し、その後サンプル片を105℃の恒温槽に1時間静置し絶乾させたのち質量(D3)を測定する。巻き取り時ウェブ水分率(%)を下式により算出する。なお、巻き取り時ウェブ水分率は、N=10での測定値の平均値である。
巻き取り時ウェブ水分率(%)=(W3−D3)/W3×100
【0072】
[不織布目付]
不織布目付は、巻き取り時ウェブ水分率を測定した際の絶乾サンプル質量D3(g)を、その面積(0.09m2)で割り算することより算出した。不織布目付は、10個の測定値の平均値である。
【0073】
[乾燥厚み]
15cm2の測定子を備えた厚み計((株)大栄科学精器製作所製 型式FS−60DS)を使用して、3gf/cm2の測定荷重の測定条件で、製造した不織布の厚みを測定した。1つの測定用試料について3ヶ所の厚みを測定し、3ヶ所の厚みの平均値をプレス前乾燥厚みとした。
【0074】
[密度]
プレス後乾燥嵩密度は、ウェブ目付と、上述のプレスの後のウェブの乾燥厚みより算出した。プレス後のウェブの乾燥厚みは以下のように測定した。プレス後のウェブを、液体窒素に含浸させて凍結させた後、剃刀でカットし、常温に戻した後、電子顕微鏡(たとえば、キーエンス社VE7800)を用いて、50倍の倍率でプレス後のウェブの厚みを測定した。吸収性物品を凍結させる理由は、剃刀によるカット時の圧縮により厚みが変動するのを防ぐためである。そして、プレス前のウェブの目付に厚みを割って密度を算出した。
【0075】
[表層見かけ密度]
不織布の断面をマイクロスコープ等により、50倍以上に拡大撮影し、tAまたはtBの深さ×幅0.5mmの単位面積中の繊維本数を計測し、その結果より繊維重量を算出し、見かけ密度の算出を行った。
【0076】
[乾燥引張強度]
製造した不織布から、長手方向がウェブの機械方向である25mm幅の短冊状の試験片と、長手方向がウェブの幅方向である25mm幅の短冊状の試験片とを切り取って、測定用試料を作製した。機械方向および幅方向の測定用試料を、最大荷重容量が50Nであるロードセルを備えた引張試験機((株)島津製作所製 オートグラフ 型式AGS−1kNG)を使用して、それぞれ3つの測定用試料について、100mmのつかみ間距離、100mm/分の引張速度の条件で引張強度を測定した。機械方向および幅方向の測定用試料のそれぞれ3つの測定用試料の引張強度の平均値を機械方向および幅方向の乾燥引張強度とした。
【0077】
[乾燥引張伸度]
製造した不織布から、長手方向がウェブの機械方向である25mm幅の短冊状の試験片と、長手方向がウェブの幅方向である25mm幅の短冊状の試験片とを切り取って、測定用試料を作製した。機械方向および幅方向の測定用試料を、最大荷重容量が50Nであるロードセルを備えた引張試験機((株)島津製作所製 オートグラフ 型式AGS−1kNG)を使用して、それぞれ3つの測定用試料について、100mmのつかみ間距離、100mm/分の引張速度の条件で引張伸度を測定した。ここで、引張伸度とは、引張試験機で測定用試料を引っ張ったときの最大の伸び(mm)をつかみ間距離(100mm)で割り算した値である。機械方向および幅方向の測定用試料のそれぞれ3つの測定用試料の引張伸度の平均値を機械方向および幅方向の乾燥引張伸度とした。
【0078】
[湿潤引張強度]
製造した不織布から長手方向がウェブの機械方向である25mm幅の短冊状の試験片と、長手方向がウェブの幅方向である25mm幅の短冊状の試験片とを切り取って、測定用試料を作製し、測定用試料の質量の2.5倍の水を測定用試料に含浸させた(含水倍率250%)。そして、機械方向および幅方向の測定用試料を、最大荷重容量が50Nであるロードセルを備えた引張試験機((株)島津製作所製 オートグラフ 型式AGS−1kNG)を使用して、それぞれ3つの測定用試料について、100mmのつかみ間距離、100mm/分の引張速度の条件で引張強度を測定した。機械方向および幅方向の測定用試料のそれぞれ3つの測定用試料の引張強度の平均値を機械方向および幅方向の湿潤引張強度とした。
【0079】
[湿潤引張伸度]
製造した不織布から長手方向がウェブの機械方向である25mm幅の短冊状の試験片と、長手方向がウェブの幅方向である25mm幅の短冊状の試験片とを切り取って、測定用試料を作製し、測定用試料の質量の2.5倍の水を測定用試料に含浸させた(含水倍率250%)。そして、機械方向および幅方向の測定用試料を、最大荷重容量が50Nであるロードセルを備えた引張試験機((株)島津製作所製 オートグラフ 型式AGS−1kNG)を使用して、それぞれ3つの測定用試料について、100mmのつかみ間距離、100mm/分の引張速度の条件で引張伸度を測定した。機械方向および幅方向の測定用試料のそれぞれ3つの測定用試料の引張伸度の平均値を機械方向および幅方向の湿潤引張伸度とした。
【0080】
[汚れ除去率]
模擬汚れとして、カーボンブラック12.6質量%、牛脂極度硬化油20.8質量%、流動パラフィン質量66.6%の配合比率のペーストを調製する。そのペーストとヘキサンを85:15(質量比)の割合で混ぜ合わせる。ヘキサン希釈ペーストをガラス板上に0.05mL滴下する。高温高湿室(20℃、湿度60%)で24時間乾燥後、色味をスキャナーでスキャンする。テスター産業株式会社の摩擦係数測定装置で、150mm/分、加重60gの条件にて拭取り試験(1回)を行う。試験後、色味の変化をスキャナーでスキャンし、スキャンした面積のうち16.9mm×16.9mm面積の色味の変化率を次式により算出し、汚れ除去率とする。
汚れ除去率(%)=(C0−C1)/C0×100
ただし、C0は拭き取り前の色味であり、C1は拭き取り後の色味である。
色味除去率が大きいほど、汚れが除去できていると判断できる。N数=3で測定し、3回の平均値を汚れ除去率とする。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明のウェットワイプスは、おしり拭き等に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0082】
1 ウェットワイプス
2 不織布
3 第一の畝
4 第一の溝
5 第二の畝
6 第二の溝
10 不織布製造装置
11 原料供給ヘッド
12 水流ノズル
13 吸引ボックス
14 水蒸気ノズル
15 サクションドラム
16 ウェブ形成コンベア
17 吸引ピックアップ
18,19 ウェブ搬送コンベア
20,21 乾燥ドラム
22 巻き取り機
30 ウェブ
31 高圧水流
32 溝
41 サクションドラムのメッシュ状の外周面支持体
51 高圧水蒸気
52 溝
54 サクションドラムの外周面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布に液体を含浸してなるウェットワイプスであって、
不織布の一方の面の表層の見かけ密度が乾燥状態で0.030〜0.10g/cm3であり、
不織布の他方の面の表層の見かけ密度が乾燥状態で0.12〜0.20g/cm3であり、
少なくとも見かけ密度が小さい方の面において繊維が起毛していることを特徴とするウェットワイプス。
【請求項2】
見かけ密度が小さい方の面において、起毛している繊維が、同一の方向に平行して延びる多数の第一の畝を形成し、隣接する2本の第一の畝の間に第一の溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のウェットワイプス。
【請求項3】
見かけ密度が大きい方の面に、第一の畝と同一の方向に延びる多数の第二の畝および第二の溝が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のウェットワイプス。
【請求項4】
第一の畝の頂部と第一の溝の底部の距離は第二の畝の頂部と第二の溝の底部の距離よりも大きいことを特徴とする請求項3に記載のウェットワイプス。
【請求項5】
隣接する2本の第一の畝の間隔は、隣接する2本の第二の畝の間隔よりも広いことを特徴とする請求項3または4に記載のウェットワイプス。
【請求項6】
隣接する2本の第一の畝の間隔が1.0〜3.0mmであり、隣接する2本の第二の畝の間隔が0.3〜1.0mmであることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のウェットワイプス。
【請求項7】
第一の畝の頂部と第一の溝の底部の距離が0.15〜0.60mmであり、第二の畝の頂部と第二の溝の底部の距離が0.05〜0.10mmであることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載のウェットワイプス。
【請求項8】
不織布を構成する繊維の30%以上が吸収性繊維であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のウェットワイプス。
【請求項9】
吸収性繊維がセルロースを含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のウェットワイプス。
【請求項10】
不織布を構成する繊維の繊維長が20mm以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のウェットワイプス。
【請求項11】
起毛は水蒸気を吹き付けることにより交絡の弱い繊維が吹寄せられて形成されたものであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の不織布。
【請求項12】
第一の畝と第一の溝が水蒸気を吹き付けることにより形成されたものであり、第二の畝と第二の溝が水流を吹き付けることにより形成されたものであることを特徴とする請求項3〜11のいずれか1項に記載のウェットワイプス。
【請求項13】
請求項1に記載のウェットワイプスを製造する方法であって、
繊維と水の混合物を支持体上に供給して、支持体上に水を含むウェブを形成する工程、
ウェブの幅方向に等間隔に並べて配置された水流ノズルからウェブに水流を吹き付けて、繊維を交絡させる工程、
ウェブの幅方向に水流ノズルの間隔よりも広い間隔で並べて配置された水蒸気ノズルから、水流を吹き付けたウェブの水流を吹き付けた面とは反対の面に、水蒸気を吹き付けて、繊維を起毛させ、表裏で見かけ密度が異なる不織布を得る工程、および
得られた不織布に液体を含浸する工程を含む方法。
【請求項1】
不織布に液体を含浸してなるウェットワイプスであって、
不織布の一方の面の表層の見かけ密度が乾燥状態で0.030〜0.10g/cm3であり、
不織布の他方の面の表層の見かけ密度が乾燥状態で0.12〜0.20g/cm3であり、
少なくとも見かけ密度が小さい方の面において繊維が起毛していることを特徴とするウェットワイプス。
【請求項2】
見かけ密度が小さい方の面において、起毛している繊維が、同一の方向に平行して延びる多数の第一の畝を形成し、隣接する2本の第一の畝の間に第一の溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のウェットワイプス。
【請求項3】
見かけ密度が大きい方の面に、第一の畝と同一の方向に延びる多数の第二の畝および第二の溝が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のウェットワイプス。
【請求項4】
第一の畝の頂部と第一の溝の底部の距離は第二の畝の頂部と第二の溝の底部の距離よりも大きいことを特徴とする請求項3に記載のウェットワイプス。
【請求項5】
隣接する2本の第一の畝の間隔は、隣接する2本の第二の畝の間隔よりも広いことを特徴とする請求項3または4に記載のウェットワイプス。
【請求項6】
隣接する2本の第一の畝の間隔が1.0〜3.0mmであり、隣接する2本の第二の畝の間隔が0.3〜1.0mmであることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のウェットワイプス。
【請求項7】
第一の畝の頂部と第一の溝の底部の距離が0.15〜0.60mmであり、第二の畝の頂部と第二の溝の底部の距離が0.05〜0.10mmであることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載のウェットワイプス。
【請求項8】
不織布を構成する繊維の30%以上が吸収性繊維であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のウェットワイプス。
【請求項9】
吸収性繊維がセルロースを含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のウェットワイプス。
【請求項10】
不織布を構成する繊維の繊維長が20mm以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のウェットワイプス。
【請求項11】
起毛は水蒸気を吹き付けることにより交絡の弱い繊維が吹寄せられて形成されたものであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の不織布。
【請求項12】
第一の畝と第一の溝が水蒸気を吹き付けることにより形成されたものであり、第二の畝と第二の溝が水流を吹き付けることにより形成されたものであることを特徴とする請求項3〜11のいずれか1項に記載のウェットワイプス。
【請求項13】
請求項1に記載のウェットワイプスを製造する方法であって、
繊維と水の混合物を支持体上に供給して、支持体上に水を含むウェブを形成する工程、
ウェブの幅方向に等間隔に並べて配置された水流ノズルからウェブに水流を吹き付けて、繊維を交絡させる工程、
ウェブの幅方向に水流ノズルの間隔よりも広い間隔で並べて配置された水蒸気ノズルから、水流を吹き付けたウェブの水流を吹き付けた面とは反対の面に、水蒸気を吹き付けて、繊維を起毛させ、表裏で見かけ密度が異なる不織布を得る工程、および
得られた不織布に液体を含浸する工程を含む方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−74919(P2013−74919A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215072(P2011−215072)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】
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