説明

ウェブページをブラウズするユーザーマシンのセキュリティーレベルを高めるための方法

本発明は、マシンのユーザーがサーチエンジンを使用してウェブページを検索するときに前記マシンのセキュリティーを高めるための方法であって、セキュリティーランクによってウェブページを分類するステップと、ウェブページへのハイパーリンクを提示する際に、ハイパーリンクと共にそのセキュリティーランクを表示するステップとを備える方法に関する。本方法は、ウェブページを検査するステップを更に備えていてもよい。本方法は、悪質なコンテンツを有するウェブページをクリーニングするステップを更に備えていてもよい。本方法は、ウェブページのクリーニングされたコピーをサーチエンジンのキャッシュ内に記憶させるステップを更に備えていてもよい。本方法は、ユーザーのマシンによりサーチエンジンを介してウェブページを呼び出す際に、ユーザーのマシンのキャッシュ内に記憶されたクリーニングされたコピーにアクセスするステップを更に備えていてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、悪質なウェブコンテンツによるダメージを防止する分野に関する。特に、本発明は、ユーザーがサーチエンジンを使用してインターネットをブラウズする間にコンピューターのセキュリティーを高めるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェブページは、有害なコンテンツを含んでいる場合がある。そのようなコンテンツは、スクリプト、攻撃に利用できるHTMLタグ、既知のセキュリティーの欠陥を不当に利用するために操作される画像などを含む多くの形態で現われる可能性がある。悪質なコンテンツを広める新たな手段が日々発見され、実施されている。ブラウザーおよび電子メールのクライアント中の新たなセキュリティーホールは、急速に公知になり、パッチされていないソフトウェアを感染させて最終的に被害者のマシンにの全ての制御を得ようとするハッカーおよびウイルスライターにより利用されるようになる。
悪質なウェブコンテンツを克服するための現在の解決策は、ネットワークへのゲートウェー及び/又はユーザーのマシンに設けられるフィルターを備えることである。フィルターは、悪質なコンテンツをコンピューターへ通過させる前に感染されたオブジェクトから悪質なコンテンツを除去し、それにより、ユーザーのコンピューターがコンテンツを受け、或いは起動させるのを防止することができる。しかし、悪質なコンテンツをブロックしようとするかなりの労力にもかかわらず、悪質なコンテンツは、依然としてコンピューターへリレーされ、コンピューターによってアクセスされる。
悪質なコンテンツを伝搬させる様々な手段のうちの1つは、ウェブサイトを通じたものである。良く知られた企業のウェブサイトは、比較的安全である。これは、そのような企業が一般にそれらの良い評判を維持することに気を使っているからである。しかしながら、未知の或いは見慣れぬ所有者のウェブページの背後にある動機については疑問の余地がある。この動機は、明らかに、そのようなウェブサイトの人気に影響を及ぼす。なぜなら、ユーザーは、これらのウェブサイトが危険を与えるにつれて当該ウェブサイトをブラウズするのを避ける場合があるからである。幾つかのウェブサイトは、当該ウェブサイトがアクセスされた回数に従って発行者により報酬を受けるので、これらのウェブサイトの収入が影響を受ける。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、ユーザーがウェブページ/ウェブサイトをブラウズする間に当該ユーザーのマシンのセキュリティーを高めることである。
本発明の他の目的及び利点は、説明を進めるにつれて明らかになろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、マシンのユーザーがサーチエンジンを使用してウェブページを検索するときに前記マシンのセキュリティーを高めるための方法であって、セキュリティーランクによってウェブページを分類するステップと、ウェブページへのハイパーリンクを提示する際に、ハイパーリンクと共にそのセキュリティーランクを表示するステップとを備える方法に関する。本方法は、ウェブページを検査するステップを更に備えていてもよい。本方法は、悪質なコンテンツを有するウェブページをクリーニングするステップを更に備えていてもよい。本方法は、クリーニングされたウェブページのコピーをサーチエンジンのキャッシュ内に記憶させるステップを更に備えていてもよい。本方法は、ユーザーのマシンによりサーチエンジンを介してウェブページを呼び出す際に、ユーザーのマシンのキャッシュ内に記憶されるクリーニングされたコピーにアクセスするステップを更に備えていてもよい。
【0005】
本発明の好ましい実施形態によれば、セキュリティーランクによるウェブページの分類は、サーチエンジンのスパイダープログラムの動作中に行なわれる。
セキュリティーランクは、ページ検査の表記、ページのクリーニングの完了、悪質なコード(実行可能コードなど)を備えている場合があるコンテンツのページ内における存在に関する表示、望ましくないコンテンツ(例えば、わいせつなコンテンツ)の存在に関する表示などを提示してもよい少なくとも1つのアイコンによって検索結果のページ上に提示される。
他の態様において、本発明は、セキュリティーランクに従ってウェブページを分類するためのモジュールと、ウェブページへのハイパーリンクとともにランクを表示するようになっているユーザーインターフェースとを備えるサーチエンジンに関する。
サーチエンジンは、ウェブページを検査するためのモジュールと、悪質なコンテンツを有するウェブページをクリーニングするためのモジュールとを更に備えていてもよい(例えば、実行可能ファイルの場合)。本発明の好ましい実施形態によれば、セキュリティーランクは、少なくとも1つのアイコンとして提示される。
アイコンは、ページの検査の完了、ページ内の悪質なコードの疑いの表示などを提示してもよい。
自動サーチエンジンアルゴリズムによって形成される検索結果は、未知の所有者の感染ページに加えて、良く知られた企業のウェブサイトの感染ページにユーザーを導く場合がある。時として、特定のサーチエンジンアルゴリズムをうまく利用する技術によって検索結果を操作することができ、また、感染ページが検索結果のランクにおいて格上げされる。本発明は、サーチエンジンの結果及び他のリンクに対してセキュリティーマークを加えて、想定し得るセキュリティーの危険をユーザーに知らせる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、図面と併せて更に良く理解できる。
インターネットにおいて、用語「サーチエンジン」とは、一般に以下のものを含む組織的な一連のプログラムのことである。
−全てのウェブサイト上のページを経由すると共に、各ページ上のハイパーテキストリンクを使用してスキャンすることによりサイトの他のページを発見して読み取る「スパイダー」(「クローラー」または「ボット」としても知られている);
−読み取られたページから大量のインデックスを形成するプログラムである「カタログ」;
−ユーザーから検索要求を受けて、それをインデックス中のエントリーと比較すると共に、その結果を、一般的にウェブページで当該結果を提示することによりユーザーへ戻すプログラム。
サーチエンジンの使用に代わる手段は、トピックスの構造化されたディレクトリーを検索することである。多くのウェブポータルサイトは、情報を見つけるためのサーチエンジンと、ディレクトリーのアプローチとの両方を提供する。そのようなポータルサイトがヤフー(登録商標)である。
特に、未知の所有者のウェブサイトに到達する効率的な手段のうちの1つは、サーチエンジンによるものである。しかしながら、サーチエンジンは、それらが検索に応じて指し示すウェブページ/ウェブサイトに関するセキュリティー処理に関与していない。
ユーザーは、ウェブサイトが良く知られた企業に属している場合には、そのウェブサイトが比較的安全であると思い込んでいる場合がある。しかしながら、ウェブサイトの大部分は、そのような企業に属しておらず、その結果、ユーザーは、それらのウェブサイトをブラウズすることを回避する。従って、これらのウェブサイトは、それらが見込んでいるほどのブラウズにさらされない。
【0007】
図1は、従来技術に係るサーチエンジンによって実行された検索結果を提示するウェブページを示している。検索結果が提示される態様から、ユーザーは、提示されたウェブサイトのセキュリティーに関する指示を何ら受けない。
図2は、本発明の好ましい実施形態に係るサーチエンジンによる検索結果を提示するウェブページを示している。南京錠の状態は、ハイパーリンクのウェブページが安全であるか否かを示すために使用される。例えば、閉じられた南京錠アイコンは、対応するウェブページ/サイトが安全であることを示しており、また、開放された南京錠アイコンは、対応するウェブページ/サイトが安全でないことを示している。また、クエスチョンマークは、ウェブページ/ウェブサイトのセキュリティーがサーチエンジンによって未だ検査されていないことを示している。
サーチエンジンによって与えられるウェブページ/サイトのリストに対してアイコンを加えることにより、ユーザーは、ウェブページ/サイトが安全であるかどうか、悪質なコンテンツを含んでいるかどうか、未だランク付けされていないかどうかなどに関して注意を喚起される。また、アイコンは、実行可能コード、Java(ジャバ)(登録商標)、スクリプト、広告などの存在を示すことができる。更に、アイコンは、ウェブページをブラウズするときにユーザーのコンピューターからの情報がリモートサーバーへ送られるかどうかを表わすこともできる。このようにすれば、ユーザーは、スパイウェアの実行に関して警告される。
【0008】
図3は、本発明の他の好ましい実施形態に係るサーチエンジンによる検索結果を提示するウェブページを示している。「X」アイコンは、ページ/ウェブサイトが実行可能コードを備えているかどうかを示しており、また、「J」は、ページ/ウェブサイトがJava(登録商標)ファイルのみを備えているかどうかを示しており、また、検出アイコンは、検査ウェブサイトが何を備えているのかを示している。
Google(登録商標)などの既知のサーチエンジンは、オリジナルのページを参照することなくサーチエンジンのキャッシュからページを検索するオプションをユーザーに対して与える。
例えば、Google(登録商標)は、ウェブをクロールするときに、チェックした各ページのスナップショットを取得し、これらを、オリジナルのページが利用出来ないときのバックアップとしてキャッシュする。ユーザーが「Cached」ハイパーリンクをクリックすると、ウェブページは、インデックスされた時の状態で現れる。キャッシュされたページが表示されると、必ずしもこれがページの最新のバージョンであるとは限らないことをユーザーに気づかせるために、上端にヘッダーが現れる。
本発明の好ましい実施形態によれば、サーチエンジンのキャッシュに記憶されたウェブページが検査され、ウイルスまたは他の悪質なコンテンツが発見される場合には、ページが「クリーニングされ」、すなわち、サーチエンジンのキャッシュに記憶されたページから悪質な部分が除去される。従って、ユーザーがサーチエンジンのキャッシュに記憶されたウェブページを要求するときには、ページを再び検査する必要がなく、あるいは、少なくとも全てのテストを繰り返す必要がなく、テストがキャッシュ自体によってもたらされないコンテンツに限られる(例えば、その中に画像を有するキャッシュされたページを見る場合、HTML部分は、キャッシュからのものであるが、画像は、オリジナルのサイトからのものであり、再び検査する必要がある場合がある)。
【0009】
図4は、本発明の好ましい実施形態に係るサーチエンジンによってウェブページを検索するユーザーのマシンのセキュリティーを高めるための方法のフローチャートである。
ブロック11では、サーチエンジンの検査ファシリティーによってウェブページが検査される。用語「検査」とは、当分野では、ウイルスおよび他の悪質なコンテンツを検索する動作のことである。
ブロック12では、検査結果に従って、ウェブページがセキュリティーランクによって分類される。例えば、特定のウイルスまたは悪質なコードがウェブページ(すなわち、ウェブサイトのページ)内で発見される場合には、ウェブページ/サイトが「Risky(危険)」としてランク付けされてもよく、また、ウイルスまたは悪質なコードがウェブページ/サイト内で発見されない場合には、ランクが「Safe(安全)」とされてもよいといった具合である。
ブロック13により、ウェブページ/サイトが悪質であると決定された場合には、フローは、ブロック14へと続き、悪質であると決定されない場合には、フローは、ブロック16へ移行する。
ブロック14では、可能であれば、ウェブページは、悪質なコンテンツから「クリーニング」される。すなわち、ウェブページから悪質な部分が除去される。悪質なコンテンツのオブジェクトをクリーニングすることは、現在では良く知られた技術である。
ブロック15では、クリーニングされたウェブページがサーチエンジンのキャッシュに記憶される。
ブロック16では、ユーザーがサーチエンジンを使用して検索を始めると、ページ/サイトのリンクと共にページ/サイトのランクが提示される。
【0010】
本発明の1つの実施形態によれば、セキュリティーランクは、ウェブページの現在のセキュリティーレベルに関する情報を提供する。本発明の他の実施形態によれば、セキュリティーランクは、先月中にページ/ウェブサイト内でウイルスが発見されたかどうかなどのウェブページの前回のセキュリティーに関する情報を提供する。
本発明の好ましい実施形態によれば、キャッシュは、クリーニングされたウェブページだけを記憶する。このようにすれば、ユーザーは、キャッシュされたウェブページをブラウズするときに自分のコンピューターが比較的安全であることを比較的に確信することができる。
キャッシュされたウェブページのクリーニングは、いつでも行なうことができるが、最良の時期は、スパイダープログラムの動作中である。
【0011】
当業者であれば分かるように、本発明は、本発明の範囲から逸脱することなく、他の形態および方法で具現化することができる。本明細書中に記載された実施形態は、例示的であると見なされるべきであり、限定的と見なされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】従来技術に係るサーチエンジンによって行なわれた検索結果を提示するウェブページを示す図である。
【図2】本発明の好ましい実施形態に係るサーチエンジンによる検索結果を提示するウェブページを示す図である。
【図3】本発明の他の好ましい実施形態に係るサーチエンジンによる検索結果を提示するウェブページを示す図である。
【図4】本発明の好ましい実施形態に係るサーチエンジンによってユーザーがウェブページを検索する間にユーザーのマシンのセキュリティーを高めるための方法のフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーがサーチエンジンを使用して少なくとも1つのウェブページを検索するときに前記ユーザーのマシンのセキュリティーを高めるための方法であって、
−セキュリティーランクに従って前記少なくとも1つのウェブページを分類するステップと、
−前記少なくとも1つのウェブページのそれぞれへのリンクを提示する際に、前記リンクと共に前記セキュリティーランクを提示するステップと、
を備える方法。
【請求項2】
−前記少なくとも1つのウェブページのそれぞれのうちの少なくとも1つを検査するステップ
を更に備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
−悪質なコンテンツを有する前記少なくとも1つの検査されたウェブページをクリーニングするステップ
を更に備える請求項2に記載の方法。
【請求項4】
−前記少なくとも1つのクリーニングされたウェブページのコピーを前記サーチエンジンのキャッシュ内に記憶させるステップ
を更に備える請求項3に記載の方法。
【請求項5】
−前記少なくとも1つのウェブページのうちの1つを前記ユーザーのマシンにより前記サーチエンジンを介して呼び出す際に、前記キャッシュに記憶される前記1つのウェブページのクリーニングされたコピーにアクセスするステップ
を更に備える請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記分類するステップが前記サーチエンジンのスパイダープログラムの動作中に行なわれる請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記セキュリティーランクが少なくとも1つのアイコンとして提示される請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つのアイコンが前記ページの検査の完了を示す請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのアイコンが前記ページのクリーニングの完了を示す請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つのアイコンが前記ページ内の悪質なコードの疑いの表示を提示する請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記コンテンツが実行可能コードである請求項3に記載の方法。
【請求項12】
−セキュリティーランクに従ってウェブページを分類するためのモジュールと、
−前記ウェブページへのハイパーリンクと共に前記ランクを表示するようになっているユーザーインターフェースと、
を備えるサーチエンジン。
【請求項13】
前記ウェブページを検査するためのモジュールを更に備える請求項12に記載のサーチエンジン。
【請求項14】
悪質なコンテンツを有する前記ウェブページをクリーニングするためのモジュールを更に備える請求項12に記載のサーチエンジン。
【請求項15】
前記セキュリティーランクが少なくとも1つのアイコンとして提示される請求項12に記載のサーチエンジン。
【請求項16】
前記少なくとも1つのアイコンのうちの1つが前記ページの検査の完了を示す請求項15に記載のサーチエンジン。
【請求項17】
前記少なくとも1つのアイコンのうちの1つが前記ページのクリーニングの完了を示す請求項15に記載のサーチエンジン。
【請求項18】
前記少なくとも1つのアイコンのうちの1つが前記ページ内の悪質なコードの疑いの表示を提示する請求項15に記載のサーチエンジン。
【請求項19】
前記悪質なコンテンツが実行可能コードである請求項14に記載のサーチエンジン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2009−515230(P2009−515230A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−519132(P2008−519132)
【出願日】平成18年3月19日(2006.3.19)
【国際出願番号】PCT/IL2006/000351
【国際公開番号】WO2007/000751
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【公序良俗違反の表示】
特許法第64条第2項第4号の規定により図面の一部または全部を不掲載とする。
【出願人】(508001095)アラジン ノゥリッジ システムズ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】