説明

ウェブ輪転印刷機を使用する方法ならびに少なくとも1つのコーティングユニットと少なくとも1つの印刷ユニットとを備えたウェブ輪転オフセット印刷機

本発明は、少なくとも1つのコーティングユニット(01)と少なくとも1つの印刷ユニット(11)とを備えた、ウェブ輪転オフセット印刷機であって、コーティングユニット(01)は、水ベースのニスを収容する少なくとも1つのチャンバドクタ(03)と少なくとも1つのアニロックスローラ(02)とを備えており、少なくとも1つのアニロックスローラ(02)は、外周面に、合計してすくい容量を形成する複数の凹部を備えており、コーティングユニット(01)は、ウェブ輪転オフセット印刷機およびコーティングユニット(01)により加工される被印刷物(06)の搬送経路に沿って、ウェブ輪転オフセット印刷機の少なくとも1つの印刷ユニット(11)の下流側に配置されており、協働してコーティングニップを形成するそれぞれ2本のローラ(02;07;08;09)から成る少なくとも1つの対偶が配置されているものにおいて、それぞれ1つの対偶を成す2本のローラ(02;07;08;09)は、それぞれ、前記2本のローラ(02;07;08;09)の一方の回転軸を含み、前記2本のローラ(02;07;08;09)の他方の回転軸線の、前記2本のローラ(02;07;08;09)の他方により規定される範囲の内側に配置された1点を含む平面が水平面に対して45°より小さな角度を形成するように配置されており、少なくとも1つのそのような対偶のそれぞれ少なくとも1本のローラ(07;08;09)は、少なくとも1本のアニロックスローラ(02)と接触しており、少なくとも1本のアニロックスローラ(02)の外周面の少なくとも一部分におけるすくい容量は、ニス量で充填されており、該ニス量の、少なくとも1本のアニロックスローラ(02)の外周面の前記部分における質量は、水成分を差し引いて、平均で最大4g/m2であり、コーティングユニット(01)の少なくとも1本のローラ(07;08;09)に、複数の層を有する被覆体が配置可能であるかまたは配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念または請求項2の上位概念に記載された、少なくとも1つのコーティングユニットと少なくとも1つの印刷ユニットとを備えたウェブ輪転オフセット印刷機に関する。
【0002】
印刷製品を製造する際に、印刷製品にコーティング(ニスコーティング)を施すことは公知である。これにより一方では、保護効果が得られ、したがって予め被印刷物に塗布されたインキが定着され、たとえば印刷機の構成要素、別の印刷製品または印刷製品に触れる人の手にインキが落ちたり、これらがインキにより汚されたりすることが防止される。他方では、種々のニスにより様々な効果が得られ、高品質な印刷製品が形成される。たとえば光沢ニスまたはマットニスが用いられ、ニスは、印刷製品を全体的または部分的に覆う。軽く擦ると小さなカプセルに包含された芳香剤が解放される芳香ニスまたはメタリック効果もしくはグリッター(光輝)効果を有するニスも公知である。メタリック効果は、ニスに含有された光沢性を有する金属の多数の粒子により得られ、これに対してグリッター効果は、ニスに含有された、たとえば真珠光沢性かつ/または蛍光性の比較的大きな多数の粒子に起因する。
【0003】
たとえばニスに含有された物質の架橋反応を促進する触媒を有する様々なニスコーティングシステムが公知である。触媒は、たとえばUV照射または電子照射により活性化される。別の方式では、ニスを乾燥するために赤外線放射または熱風を用いる乾燥機が必要である。そのような「ヒートセット・ニス」の乾燥は、乾燥機を必要とする「ヒートセット・インキ」の乾燥と同様に進行する。乾燥機では、たとえば熱風によりインキの余剰の液体成分が蒸発する。その際、被印刷物が加熱されるので、通常、追加的に被印刷物ウェブを再冷却する装置が必要である。そのようなニスを使用する場合、装置に関する比較的高い手間が要求される。
【0004】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第10207184号明細書において、「ヒートセット・インキ」を使用せず、したがって「ヒートセット・乾燥機」と冷却装置とを備えていない印刷機が公知である。この印刷機において選択的な、シールコートを塗工するための印刷ユニットに続いて、サーモドクタを装着可能な赤外線−、紫外線−または電子線乾燥機が設けられている。塗布されるニス量については明記されていない。
【0005】
国際公開第2007/087531号パンフレットにおいて公知の方法では、「コールドセット方式」で印刷されたウェブ状の被印刷物の両面に短時間で水ベースのニスが塗布され、被印刷物は、被印刷物にニスの液体成分が吸収されることにより乾燥される。コーティングプロセスにより、被印刷物の反り(丸み付け、カール)が形成されず、インキによる被印刷物の汚れや印刷製品の貼り付きが回避される。このような特性を形成するための重要なパラメータとして、被印刷物の面積あたりの塗工ニス質量が明記されている。
【0006】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第10206601号明細書において、印刷機のコーティングユニットが開示されており、コーティングユニットは、水ベースのニスを収容する槽(容器)とアニロックスローラとを備えており、アニロックスローラは、その表面に、合計してすくい容量を形成する複数の凹部を備えており、コーティングユニットは、印刷機およびコーティングユニットにより加工される被印刷物の搬送経路に沿って、印刷機の印刷ユニットの下流側に配置されており、被印刷物の搬送経路に沿って、コーティングユニットの下流側に、ガイドローラまたは被印刷物の搬送方向を変更する別の装置を除いて、後続の装置として、折り装置および/または断裁装置が、被印刷物に作用するように配置されている。塗工されるニス層は、乾燥装置により乾燥される。
【0007】
欧州特許公開第0930161号明細書において、水ベースのニスを収容する少なくとも1つのチャンバドクタと少なくとも1つのアニロックスローラとを備えたウェブ輪転オフセット印刷機が開示されており、そこでは少なくとも1つのアニロックスローラが、その表面に、合計してすくい容量を形成する複数の凹部を備えており、その際、コーティングユニットは、ウェブ輪転オフセット印刷機およびコーティングユニットにより加工される被印刷物の搬送経路に沿って、ウェブ輪転オフセット印刷機の印刷ユニットの下流側に配置されており、その際、被印刷物の搬送経路に沿って、コーティングユニットの下流側に、ガイドローラまたは被印刷物の搬送方向を変更する別の装置を除いて、次の装置として、折り装置および/または断裁装置が、被印刷物に作用するように配置されている。その際、ニスの塗布は、印刷された被印刷物に関して、アニロックスローラの逆の走行形式で行われる、ということが重要である。
【0008】
本発明の課題は、少なくとも1つのコーティングユニットと少なくとも1つの印刷ユニットとを備えたウェブ輪転オフセット印刷機を提供することである。
【0009】
この課題は、請求項1の特徴部に記載された構成または請求項2の特徴部に記載された構成により解決される。
【0010】
本発明により得られる利点によれば、コーティングユニットが比較的に簡単に構成されていて、後置の乾燥機が必要とされず、それにもかかわらず、とりわけコーティングユニットで処理される印刷製品が、非コーティングの印刷製品と比べて、コーティング装置により得られる典型的な多くの利点(たとえば光沢およびコントラストの改善、大幅に低減された汚れ特性ならびに高品質化される紙)を有している。
【0011】
別の利点によれば、該当するコーティングユニットのアニロックスローラおよび/またはコーティングユニットの着けローラおよび/またはコーティングユニットの加圧ローラおよび/またはブランケット胴および/または被印刷物の間に生じるあらゆる接触が回転接触であるので、被印刷物にインキまたはニスが汚れ付く可能性が低減される。このようなソフトな処理により、塗布された新鮮なインキまたはニスを汚れから保護するために乾燥機が不要であるので、乾燥機を用いない乾燥が簡単になる。
【0012】
別の利点によれば、一方の回転軸線と、他方の回転軸線上で他方の回転軸線に割り当てられたローラの容量の内側に含まれる1点とが、水平線に対して45°より小さな角度を成す平面上に位置するような、コーティングニップを形成するローラの配置構造により、印刷機内、特に印刷ユニットおよび/または印刷タワーにおいて格別に好適な箇所にコーティングユニットを配置することができ、その際、ウェブガイドを困難にすること、かつ/またはコーティングユニットの上流側に不要に多くのガイドローラが印刷像に接触するように構成することはない。
【0013】
さらに好適には、乾燥機の省略により、比較的小さなスペースしか必要とされず、加えて、投資および運用に係るコスト、たとえばエネルギコストまたは保守コストを節約することができる。
【0014】
別の利点によれば、比較的小さな所要スペースにより、既存の印刷機の後装備が実現される。たとえばコーティングユニットは、印刷機の上部構造に組み込むことができる。所要スペースは、乾燥機が配置されていないので小さく、印刷ユニットとコーティングユニットとの間の距離が比較的小さく、コーティングユニットは、比較的簡単かつコンパクトに構成されている。
【0015】
別の利点は、揮発性の有機化合物および環境に悪影響を及ぼす別の物質、たとえばニスに由来し、たとえばUV放射を用いて乾燥する必要がある物質を省略したことにある。したがって特殊な廃棄物が生じることはない。
【0016】
別の利点によれば、コーティングユニットに配置されたニスが水ベースのニスであり、水ベースのニスは、たとえば吸収により次のように迅速に乾燥され、それも、被印刷物の搬送速度がコーティングユニットが設けられていない印刷ユニットで一般的な約12〜15m/sの被印刷物の搬送速度よりも低くならずに、コーティングユニットがウェブ輪転オフセット印刷機内でコーティングを行うように、迅速に乾燥される。したがって、たとえばUVコーティングシステムを用いて作動するコーティングユニットに対して速度に関して不利になることはない。したがってニスを塗布したあとの搬送経路も小さく維持される。
【0017】
別の利点によれば、被印刷物の、少なくとも部分的にコーティングされた面に接触するローラの離間機能により、被印刷物の停止時に、特にコーティングユニットおよび/または印刷機の非常停止時に、被印刷物が対応するローラに貼り付く、ということが防止される。その際、相応の離間運動の方向は、離間運動ができるだけ簡単な構造により達成されるように選択されており、離間運動は、たとえば専らコーティングユニットの構成要素の回転軸線に対して垂直方向の、構成要素による直線運動および/または旋回運動である。
【0018】
別の利点によれば、専らドライオフセットインキを用いた印刷ユニットによる被印刷物の先行する印刷に関して、配置されたニスの液体成分の特に迅速な吸収が生じ、これにより被印刷物ウェブの速度低下を追加的に回避することができる。この利点は、被印刷物がニスを塗布するまで未だ水含有材料に接触せず、したがって極めて大きな吸収性を有しているという状況から生じる。
【0019】
別の利点によれば、「コールドセット・インキ」を用いた先行する印刷に関して、印刷製品の製造プロセスの全般にわたって乾燥装置が不要であり、これにより製造プロセスにおいて、乾燥に起因する欠点(たとえば被印刷物の低すぎる含有湿度)を回避することができる。
【0020】
別の利点によれば、アニロックスローラのすくい容量による塗布されるニス量の制限に起因する不都合な影響、たとえば被印刷物に生じる反りを回避することができる。
【0021】
別の利点によれば、アニロックスローラの独自の駆動装置により保証されるように、塗布されるニス量が精確に要求に適合され、多すぎるまたは少なすぎる量のニスが転写されることはない。このことは、全てのローラの間に形成される回転接触により顕著になる。
【0022】
別の利点によれば、分離可能に構成された場合、コーティングユニットは、保守作業および別の状況のために良好にアプローチ可能であり、コーティングユニットと協働する分離可能な印刷ユニットが設けられている場合、コーティングユニットは印刷ユニットと共に分離可能であり、これによりたとえばコーティングユニットおよび印刷ユニットの保守作業がさらに簡単になる。
【0023】
別の利点によれば、コーティングユニットは、様々な構成で形成することができ、たとえばコストを削減するために、比較的少数のローラ、たとえばフレキソ印刷ローラまたは両面ニスコーティングのためのローラを備えるか、またはたとえばコーティング品質をさらに高めるために比較的多数のローラを備えることができる。
【0024】
本発明の実施の形態を図示し、以下に詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1の実施の形態に記載された、チャンバドクタとアニロックスローラとを備えた、a)は、1つのコーティングユニットと被印刷物とを示す概略図であり、b)は、2つのコーティングユニットと被印刷物とを示す概略図である。
【図2】第2の実施の形態に記載された、チャンバドクタとアニロックスローラと加圧ローラとを備えた、a)は、1つのコーティングユニットと被印刷物とを示す概略図であり、b)は、2つのコーティングユニットと被印刷物とを示す概略図である。
【図3】第3の実施の形態に記載された、チャンバドクタとアニロックスローラと着けローラとを備えた、a)は、1つのコーティングユニットと被印刷物とを示す概略図であり、b)は、2つのコーティングユニットと被印刷物とを示す概略図である。
【図4】第4の実施の形態に記載された、チャンバドクタとアニロックスローラと着けローラと加圧ローラとを備えた、a)は、1つのコーティングユニットと被印刷物とを示す概略図であり、b)は、2つのコーティングユニットと被印刷物とを示す概略図である。
【図5】a)、b)は、第5の実施の形態に記載された、2つのチャンバドクタと2本のアニロックスローラと、着けローラならびに加圧ローラとして用いられる2本のローラとを備えたコーティングユニットと被印刷物とを示す概略図である。
【図6】a)〜e)は、第6の実施の形態に記された、調節可能なコーティングユニットの様々な構成を示す概略図である。
【図7】印刷ユニットとコーティングユニットとを示す概略図であり、印刷ユニットとコーティングユニットとが分離可能であり、印刷ユニットの一部とコーティングユニットの一部とが相互に結合されている。
【図8】印刷ユニットとコーティングユニットとを示す概略図であり、印刷ユニットが分離可能であり、印刷ユニットと固く結合されたコーティングユニットは分離不能である。
【図9】図6と同様または同等の構成を有する、調節可能な印刷ユニットを示す概略図である。
【0026】
印刷機のコーティングユニット01、好適にはウェブ輪転オフセット印刷機のコーティングユニット01は、好適にはアニロックスローラ02として構成された少なくとも1つのローラを備えており、ローラ02に、少なくとも1つのチャンバドクタ03が当接されているので、チャンバドクタ03は、その内側に、閉鎖ドクタと作業ドクタと側方の2つの画成部とハウジングとアニロックスローラ02の外周面の一部とにより、閉じた貯留部を形成する。この貯留部に関して、少なくとも1本の供給路および排出路が存在しており、供給路および排出路を通ってニスが貯留部の内へ、また貯留部の外へポンピングされる。このために少なくとも1つのポンプ装置が用いられ、ポンプ装置は、好適には機械制御装置と接続されている。印刷運転状態で、チャンバドクタ03の内側で貯留部にニスが配置されており、好適には、この貯留部は完全にニスで充填される。さらに好適には、供給路と排出路とチャンバドクタ03と、別の装置(たとえば貯蔵容器)を備えたポンプ装置とが、閉じたシステムを形成し、このシステム内で、大気圧(周囲圧)よりも高い圧力下のニスが存在する。
【0027】
アニロックスローラ02は、独自の駆動モータを備えており、駆動モータを介してアニロックスローラ02が駆動され、駆動モータは、好適には機械制御装置と接続されている。特にアニロックスローラ02は、機械式に別のアニロックスローラ02から独立して、または印刷機の別の駆動モータから独立して駆動される。アニロックスローラ02の外周面は、好適には、たとえば酸化アルミニウム(Al22)および/または二酸化チタン(TiO2)および/または二酸化ジルコニウム(ZrO2)を含有するセラミック材料から形成されている。外周面に、多数の凹部として構成された彫刻部が、好適には1つのステップとしてアニロックスローラ02の外周面のレーザ照射を含む製造プロセスにより形成される。凹部は、たとえば規則的な点構造、線構造または確率的な構造(ランダムに配置した構造)で配置することができる。そのような線パターンの各線は、ハッチングとも云われる。規則的な点構造は、個々の凹部が規則的なパターンの点上に位置する構造である。
【0028】
線構造の場合、線密度は、40〜130線/cmである。被印刷物06、たとえば被印刷物ウェブ06がコーティング運転状態でアニロックスローラ02に直接に当接するように、コーティングユニット01が設計されている場合、線密度は、好適には90〜130線/cmであり、さらに好適には100〜120線/cmである。コーティングユニット01が、コーティング運転状態で被印刷物06が直接にアニロックスローラ02に当接しないように設計されている場合、線密度は、好適には40〜80線/cm、さらに好適には50〜70線/cmである。個々の線の幅および深さ、要するにアニロックスローラ02の外周面に沿った延伸長さ、もしくは外周面に対する垂線に沿った延伸長さが、所定の線密度で、アニロックスローラ02がその凹部に収容できる総ニス容量、いわゆるすくい容量を規定する。すくい容量は、アニロックスローラ02から転移されるニスの所望の量に応じて調整される。アニロックスローラ02のすくい容量は、被印刷物06に転写されるニス膜が乾燥状態で最大4g/m2、好適には最大2g/m2の単位面積質量を有するように設定されている。換言すると、アニロックスローラ02の外周面の一部ですくい容量を成し、その部分がニスで充填されており、ニスの、アニロックスローラ02の外周面のこの一部における質量は、水成分を差し引いて、平均最大4g/m2、好適には最大2g/m2である。これによりコーティングされた被印刷物06の反りまたは貼り付きに関して被印刷物06の好適な状態が得られる。
【0029】
凹部の別の配置構造、たとえば規則的な点構造または確率的な構造であっても、そのように規定された、特に前述の範囲における、利用状況に適合された規定のすくい容量が好適である。コーティング運転状態では、アニロックスローラ02の回転により凹部がチャンバドクタ03の内側に配置されたニスと接触して、充填され、これにより、アニロックスローラ02は、ニスを収容する。余剰のニスは、アニロックスローラ02が引き続き回動する際に作業ドクタにより掻き落とされ、凹部に配置されたニスだけがチャンバドクタ03の内側から外へ達する。次いで、アニロックスローラ02の外周面の、ニスで充填された凹部を有する部分は、着けローラ07として構成されたローラ07であってよいコーティングユニット01の別の構成部材または被印刷物06と接触し、ニスを、コーティングユニット01の別の構成部材または被印刷物06に転写する。ニスは、好適には、既にインキを用いて印刷された被印刷物06に塗布される。
【0030】
印刷機に用いられるインキは、たとえば慣用のオフセット印刷機用のインキまたは好適にはドライオフセット印刷インキであってよく、インキは、好適には、ニスが塗布されるまえに、既に部分的に乾燥している。コーティングジョブのまえで未だ水と結合されていない被印刷物06の良好な吸水性に基づいて、ドライオフセット印刷インキを用いると好適である。被印刷物06として、たとえば紙が挙げられる。ここでは塗工紙または非塗工紙の紙種が用いられ、50g/m2までの単位面積質量を有する、コールドセット印刷に関して典型的な軽量の紙種や、40g/m2より大きな単位面積質量を有する、ヒートセット印刷に関して一般的な紙種が考えられる。被印刷物06においてニスの水分を吸収する過程をサポートするために、たとえば10g/m2より小さな塗工量を有する、僅かに塗工された紙または非塗工紙が好適である。コールドセットインキが用いられる場合、好適には、このインキを用いると所望の結果が得られるような紙が用いられる。
【0031】
チャンバドクタ03の内側の貯留部に配置されたニスは、様々な性質を有している。ニスは、分散ニス、要するに水ベースのニスである。特に被印刷物06上のニスは、主に吸収(被印刷物にニスが浸透すること)により乾燥される。要するに、ニスの水分および場合によっては含有される液体成分が被印刷物06に吸収され、ニスの固体成分が被印刷物06の表面に留まる。ニスは、乾燥プロセスが比較的迅速に行われ、それも、被印刷物06上に位置するニスが、塗布されたあとで、被印刷物06が塗布された箇所でコーティングユニット01を備えた印刷機の別の構成要素と次に接触するまえに乾燥するように迅速に行われるように、構成されている。これにより、ニスにより覆われたインキもニス自体ももはや被印刷物06により拭われることがなく、インキの占有度(塗布面積)が比較的高い場合でも汚れのない印刷製品が形成される、ということが保証される。
【0032】
コーティングユニット01は、印刷機およびコーティングユニット01により処理される被印刷物06の搬送経路に沿って、印刷ユニット11の下流側に配置されている。好適には、被印刷物06は、コーティングユニット01が当接つまりコーティング準備された状態で、当接されていない状態のコーティングユニット01と同様に、一定の速度で、つまり10〜17m/s、好適には12〜15m/sの速度で搬送され、その際、被印刷物06に塗布されたあとで乾燥していないニスが、被印刷物06や周辺空気以外の別のものと接触することはない。乾燥プロセスに係る乾燥機は不要である。好適には、被印刷物06の搬送経路に沿って、印刷ユニット11のローラ12(ローラ12は本明細書では胴12とも解される)とコーティングユニット01のローラ02;07;09(アニロックスローラ02または着けローラ07であってよい)との間に乾燥機が配置されない。さらに好適には、被印刷物06の搬送経路に沿って、印刷ユニット11と折り装置および/または断裁装置との間に乾燥機が配置されておらず、さらに好適には、印刷機内に全く乾燥機が配置されていない。したがって好適には、コーティングユニット01に直接に、被印刷物06の搬送経路に沿って、ガイドローラまたは搬送経路を変更するのに用いられる別の装置を除いて、フォーマもしくは折り装置、断裁装置または印刷機の別の構成要素が続いている。印刷機の別の構成要素においてかつ/または印刷機の別の構成要素により、被印刷物06および/または被印刷物06上および/または被印刷物06内に存在するインキおよび/またはニスおよび/またはインキおよび/またはニスの成分は、専ら機械式に処理され、決して化学的に、または電磁放射または電子放射の作用により、または温度変化により処理されることがない。断裁装置とは、パーフォレータとも解される。
【0033】
さらに好適には、被印刷物06の搬送経路に沿って、印刷ユニット11のローラ12とコーティングユニット01のローラ02;07;09との間に、場合によっては設けられるガイドローラを除いて、印刷機の別の構成要素が被印刷物06に接触しないように配置されている。このようにして、ニスの塗布により汚れに対して保護されるべき印刷像が既にニスを塗布するまえに汚される、ということが防止される。このような理由から、場合によっては設けられる幾つかのガイドローラもこの部分においてできるだけ僅かに維持され、その際、好適には、印刷ユニット11のローラ12とコーティングユニット01のローラ02;07;09との間に最大で2本のガイドローラが被印刷物06に配置されており、さらに好適には、この部分において被印刷物06にガイドローラが配置されていない。印刷ユニット11においてインキを塗布したあとで、できるだけ迅速にニスを被印刷物06に塗布するために、好適には、被印刷物06の搬送経路に沿って、印刷ユニット11の、被印刷物06に接触するローラ12と、コーティングユニット01の、ニスを転写するローラ02;07;09との間の最小間隔が4mより小さく、さらに好適には2mより小さい。チャンバドクタ03の内側に配置されたニスは、たとえば光沢ニス、マットニス、白色ニス(白濁ニス)であってよく、ニスは、メタリック効果および/またはグリッター効果を形成し、かつ/またはニスは、芳香ニスであってよく、芳香剤は、微少のカプセルに包含され、たとえば摩擦により解放される。
【0034】
ウェブ輪転オフセット印刷機は、少なくとも1つの機械区分を備えており、各機械区分に、少なくとも1つの印刷ユニットが設けられており、各印刷ユニットに、少なくとも1つの印刷ユニット11が設けられている。好適には、各印刷ユニットは、4つの印刷ユニット11を備えており、印刷ユニット11は、両側から印刷を行う方式の両面印刷用の印刷ユニット11として構成されており、要するに、特に2本の版胴14と、版胴14と接触して相互に圧胴12として機能する2本のブランケット胴12とを備えている。
【0035】
コーティングユニット01は、被印刷物06がコーティングプロセスの間に鉛直または水平または斜めに、つまり鉛直方向成分と水平方向成分とを有して搬送されるように、構成することができる。好適には、被印刷物06は、一方向に、コーティングユニット01を通って搬送され、その鉛直方向成分は、水平方向成分よりも大きく、さらに好適には、コーティングユニット01と協働する印刷ユニット11における鉛直のウェブガイドに関連して好適であるので、被印刷物06は、専らコーティングユニット01を鉛直に搬送される。最も好適には、それぞれ2本のローラ02;07;08;09から成る少なくとも1つの対偶が配置されており、2本のローラは、協働してコーティングニップを形成し、コーティングニップを通って、コーティング運転時に被印刷物06が搬送され、その際、2本のローラ02;07;08;09は、第1平面が水平面と45°よりも小さな角度を形成し、さらに好適には30°よりも小さな角度を形成し、さらに好適には1°〜20°の角度を形成するように、配置されている。その際、第1平面は、2本のローラ02;07;08;09の一方の回転軸線を含み、2本のローラ02;07;08;09の他方により規定される範囲の内側に位置する、2本のローラ02;07;08;09の他方の回転軸線の1点を含むように規定される。コーティングユニット01は、被印刷物06が印刷直後にコーティングユニット01に供給されるように、配置することができる。また、印刷とコーティングプロセスとの間に、被印刷物06を処理するための別のステップを行うこともでき、たとえば複数の被印刷物06をまとめて1つの被印刷物の束を形成することもできる。コーティングユニット01は、好適には、直接に印刷ユニット上に配置されているか、または印刷機の上部構造に配置されている。好適には、コーティングユニット01は、コーティングユニット01のアニロックスローラ02の少なくとも1本の回転軸線が、版胴14と、被印刷物06の搬送方向に関してコーティングユニット01の上流側に配置された印刷ユニットに配置された別の胴12およびローラ12との全ての回転軸線よりも上方に配置されている。
【0036】
コーティングユニット01は、記載された構成要素の他に、別の構成要素、たとえば前述の着けローラ07または複数の着けローラ07および/または加圧ローラ08として構成された単数または複数のローラ08を備えることができる。以下に、一連の様々な実施の形態について説明する。全ての実施の形態では、アニロックスローラ02および/または着けローラ07および/または加圧ローラ08の周速は、被印刷物06が印刷運転時に印刷機、特にコーティングユニット01を通走する速度に等しい。アニロックスローラ02および/または着けローラ07および/または加圧ローラ08の回転方向は、アニロックスローラ02および/または着けローラ07および/または加圧ローラ08ならびに被印刷物06の間に回転接触が実現されるようになっている。一連の実施の形態は、本発明を制限するものではなく、別の実施の形態も考えられる。
【0037】
第1の実施の形態「直接巻掛け方式」
この実施の形態は、図1のa)から看取される。被印刷物ウェブ06は、印刷運転状態で、直接にアニロックスローラ02に接触する。ニスは、アニロックスローラ02の外周面に設けられた凹部から、直接に被印刷物06に転写される。個々の凹部から転写される点状のニスは、転写に続いて幾分か動き、相互に結合するので、被印刷物06上の所望の箇所に連続するニス面が得られる。このために比較的微細にパターン形成されたアニロックスローラ02が用いられ、その意味することによれば、線構造の場合に線密度は好適には90〜130線/cmである。被印刷物06は、アニロックスローラ02に巻き掛けることにより押圧され、つまり、被印刷物06は、アニロックスローラ02に、線状に、アニロックスローラ02の回転軸線に対して平行に接触するのではなく、被印刷物06は、幾分かアニロックスローラ02の周に沿って連行されて、アニロックスローラ02に面状に接触する。1時点で被印刷物06と接触する、アニロックスローラ02の外周面の範囲は、アニロックスローラ02に向かって搬送される被印刷物06とアニロックスローラ02から離間して搬送される被印刷物06とが形成する角度に関係する。さらにこの角度は、被印刷物06がアニロックスローラ02に押し付けられる力に影響を及ぼす。
【0038】
さらにこの実施の形態において2つのコーティングユニット01を配置する(図1のb))こともできるので、一方のコーティングユニット01は被印刷物06の第1面をコーティングし、他方のコーティングユニット01は被印刷物06の第2面をコーティングする。被印刷物06は、コーティング運転状態で、先ず片側で一方のコーティングユニット01のアニロックスローラ02に沿ってガイドされ、ニスが塗布され、次いで被印刷物06は、別の片側で、他方のコーティングユニット01のアニロックスローラ02に沿ってガイドされ、ニスが塗布される。両側で、アニロックスローラ02と被印刷物06との間で接触する際に、各アニロックスローラ02の周りに被印刷物06が巻き掛けられることにより押圧力が形成され、これによりニスは、アニロックスローラ02の凹部から外へ、被印刷物06に転写される。アニロックスローラ02は、両側で、被印刷物06の同じ個所に押し付けられないので、コーティング運転状態では、被印刷物06の1箇所が同時に両側でコーティングされるのではなく、被印刷物06の片面におけるニスの塗布と被印刷物06の別の片面におけるニスの塗布との間で時間差Δtが経過し、時間差Δtは、被印刷物06が搬送される速度とアニロックスローラ02の相互の距離とに関係する。
【0039】
第2の実施の形態「直接相互加圧方式」
この実施の形態は、図2のa)から看取される。被印刷物ウェブ06に、第1の実施の形態と同様に、直接にアニロックスローラ02からニスが塗布される。アニロックスローラ02は、第1の実施の形態と同様に構成されており、ニスの転写は、第1の実施の形態と同様に行われ、ここでも転写される点状のニスが、被印刷物06上の所望の箇所で動き、連続するニス面が形成される。加圧ローラ08は、アニロックスローラ02と被印刷物06との間に良好な接触が得られるように、被印刷物06をアニロックスローラ02に押圧し、これによりアニロックスローラ02の凹部から被印刷物06へのニスの転写が改善される。被印刷物06は、アニロックスローラ02および/または加圧ローラ08に巻き掛けても、アニロックスローラ02と加圧ローラ08との間を真っ直ぐに通過するようにガイドしてもよく、要するに、被印刷物06とアニロックスローラ02との間の接触域は、アニロックスローラ02の回転軸線に対して線状に平行に、または、アニロックスローラ02の外周面に沿って面状に形成される。加圧ローラ08は、その外周面で、好適には比較的軟質の材料から形成されていて、これにより、被印刷物06は、アニロックスローラ02に適切に押圧され、被印刷物06へのニスの転写が改善される。好適には、加圧ローラ08の外周面は、30〜70ショアA硬さを有しており、さらに好適には、加圧ローラ08の外周面は、60ショアA硬さを有している。加圧ローラ08の外周面の材料は、たとえばゴムまたはポリウレタンであってよい。
【0040】
さらにこの実施の形態において2つのコーティングユニット01を配置する(図2のb))こともできるので、一方のコーティングユニット01が被印刷物06の第1面をコーティングし、他方のコーティングユニット01は被印刷物06の第2面をコーティングする。被印刷物06は、コーティング運転状態で、先ず片側で一方のコーティングユニット01のアニロックスローラ02に沿ってガイドされ、加圧ローラ08の押圧力によりニスが塗布され、次いで被印刷物06は、別の片側で、他方のコーティングユニット01のアニロックスローラ02に沿ってガイドされ、加圧ローラ08の押圧力によりニスが塗布される。アニロックスローラ02は、両側で、被印刷物06の同じ個所に押し付けられないので、コーティング運転状態では、被印刷物06の1箇所は、同時に両側でコーティングされるのではなく、被印刷物06の片面におけるニスの塗布と被印刷物06の別の片面におけるニスの塗布との間で時間差Δtが経過し、時間差Δtは、被印刷物06が搬送される速度とアニロックスローラ02の相互の距離とに関係する。
【0041】
第3の実施の形態「着けローラを用いた巻掛け方式」
この実施の形態は、図3のa)から看取される。アニロックスローラ02は、チャンバドクタ03の他に着けローラ07とも接触している。着けローラ07は、被印刷物06と回転接触する。被印刷物06は、アニロックスローラ02と直接に接触していないので、アニロックスローラ02の外周面に設けられた凹部が線状の構造を有する場合、好適には、線密度は40〜80線/cmである。被印刷物06が着けローラ07に巻き掛けられているので、着けローラ07と被印刷物06との間の接触部は線ではなく面として形成されていて、被印刷物06と着けローラ07との間に押圧力が形成される。ニスは、チャンバドクタ03の内側からアニロックスローラ02を介して着けローラ07に転移され、そこから被印刷物06に転写される。着けローラ07の外周面の、1点で被印刷物06と接触する範囲は、着けローラ07に向かって搬送される被印刷物06と、着けローラ07から離間して搬送される被印刷物06とが成す角度に関係する。着けローラ07は、その外周面で、好適には比較的軟質の材料から形成されており、その際、ニスは、効果的に、着けローラ07と接触するアニロックスローラ02の凹部から着けローラ07の外周面に転移される。好適には、着けローラ07の外周面は、30〜70ショアA硬さを有しており、さらに好適には、着けローラ07の外周面は、60ショアA硬さを有している。着けローラ07の外周面の材料は、たとえばゴムまたはポリウレタンであってよい。着けローラ07は、スポットニスコーティングローラとして構成することもできるので、スポットニスコーティングローラによりスポットニスコーティングを行うことができる。このために着けローラ07のサイズは、その周で印刷機の印刷ユニット11におけるブランケット12の周と同じ長さに形成されている。さらに着けローラ07は、着けローラ07の外周面における所望の選択可能な部分だけがニスを受容して、転写できるように形成されている。このようにして、被印刷物06の印刷区分ごとに、たとえば印刷製品の印刷面ごとに、常に印刷区分の同じ部分をコーティングする(もしくはコーティングしない)ように保証することができる。
【0042】
さらにこの実施の形態において2つのコーティングユニット01を配置する(図3のb))こともできるので、一方のコーティングユニット01は被印刷物06の第1面をコーティングし、他方のコーティングユニット01は被印刷物06の第2面をコーティングする。被印刷物06は、コーティング運転状態で、先ず片側で、一方のコーティングユニット01の着けローラ07に沿ってガイドされ、ニスが塗布され、次いで被印刷物06は、別の片側で、他方のコーティングユニット01の着けローラ07に沿ってガイドされ、ニスが塗布される。着けローラ07と被印刷物06との間の両側の接触部において、各着けローラ07に被印刷物06が巻き掛けられることにより、押圧力が形成され、これによりニスが、着けローラ07から被印刷物06に転写される。着けローラ07は、両側で、被印刷物06の同じ個所に押し付けられないので、コーティング運転状態で、被印刷物06の1つの箇所は、同時に両側でコーティングされるのではなく、被印刷物06の片面におけるニスの塗布と被印刷物06の別の片面におけるニスの塗布との間で時間差Δtが経過し、時間差Δtは、被印刷物06が搬送される速度と着けローラ07の相互の距離とに関係する。単数または複数のコーティングユニット01の着けローラ07は、コーティングユニット01によりスポットニスコーティングを行うことができるように構成することができる。
【0043】
第4の実施の形態「着けローラによる相互加圧方式」
この実施の形態は、図4のa)から看取される。アニロックスローラ02は、チャンバドクタ03の他に着けローラ07とも接触している。着けローラ07は、ここでも被印刷物06と回転接触する。被印刷物06は、アニロックスローラ02と直接に接触しないので、アニロックスローラ02の外周面に設けられた凹部が線状の構造を有する場合、好適には、線密度は40〜80線/cmである。加圧ローラ08は被印刷物06を着けローラ07に押圧し、これにより着けローラ07と被印刷物06との間に良好な接触が得られ、これにより着けローラ07から被印刷物06へのニスの転写が改善される。被印刷物06は、着けローラ07および/または加圧ローラ08に巻き掛けても、また、着けローラ07と加圧ローラ08との間を真っ直ぐにガイドしてもよい。着けローラ07は、その外周面で、好適には比較的軟質の材料から形成されており、その際、ニスは、効果的に、着けローラ07と接触するアニロックスローラ02の凹部から着けローラ07の外周面に転移される。好適には、着けローラ07の外周面は、30〜70ショアA硬さを有しており、さらに好適には、着けローラ07の外周面は、60ショアA硬さを有している。着けローラ07の外周面の材料は、たとえばゴムまたはポリウレタンであってよい。加圧ローラ08の外周面の材料は、着けローラ07の外周面の材料よりも硬質であり、好適には70ショアA硬さを上回る硬さを有し、たとえばリルサンから形成することができる。着けローラ07は、スポットニスコーティングローラとして構成することもできる。このために着けローラ07のサイズは、その周で印刷機の印刷ユニット11におけるブランケット胴の周と同じ長さに形成されている。さらに着けローラ07は、着けローラ07の外周面における所望の選択可能な部分だけがニスを受容して、転写できるように形成されている。このようにして、被印刷物06の印刷区分ごとに、たとえば印刷製品の印刷面ごとに、常に、印刷区分の同じ印刷部分をコーティングする(もしくはコーティングしない)ように保証することができる。
【0044】
さらにこの実施の形態において2つのコーティングユニット01を配置する(図4のb))こともできるので、一方のコーティングユニット01は被印刷物06の第1面をコーティングし、他方のコーティングユニット01は被印刷物06の第2面をコーティングする。被印刷物06は、コーティング運転状態で、先ず片側で一方のコーティングユニット01の着けローラ07に沿ってガイドされ、ニスが塗布され、次いで被印刷物06は、別の片側で、他方のコーティングユニット01の着けローラ07に沿ってガイドされ、ニスが塗布される。着けローラ07と被印刷物06との間の両側の接触部において、加圧ローラ08により押圧力が形成され、これによりニスは着けローラ07から被印刷物06に転写される。被印刷物06は、着けローラ07および/または加圧ローラ08に巻き掛けても、着けローラ07と加圧ローラ08との間を真っ直ぐにガイドしてもよい。着けローラ07は、両側で、被印刷物06の同じ個所に押し付けられないので、コーティング運転状態で、被印刷物06の1つの箇所は、同時に両側からコーティングされるのではなく、被印刷物06の片面におけるニスの塗布と被印刷物06の別の片面におけるニスの塗布との間で時間差Δtが経過し、時間差Δtは、被印刷物06が搬送される速度と着けローラ07の相互の距離とに関係する。単数または複数のコーティングユニット01の着けローラ07は、着けローラ07によりスポットニスコーティングを行うことができるように構成することができる。
【0045】
第5の実施の形態「着けローラと同等の加圧ローラとを用いた両面コーティング方式」
この実施の形態は、図5のa)から看取される。この実施の形態は、コーティングユニット01の好適な実施の形態を成している。コーティングユニット01全体は、少なくとも2つのチャンバドクタ03と2本のアニロックスローラ02と2本の着けローラ07(着けローラ07は同時に加圧ローラ08として機能する)とを備えている。被印刷物06は、コーティング運転状態で、両側で同時に着けローラ07と接触し、したがって両側で同時にニスが塗布される。その際、両方の着けローラ07は、それぞれ他方の着けローラ07の加圧ローラ08を成し、その際、着けローラ07と被印刷物06との間の良好な接触が形成され、これにより着けローラ07から被印刷物06へのニスの転写が改善される。被印刷物06は、両方の着けローラ07の一方に巻き掛けるか、または両方の着けローラ07の間を真っ直ぐにガイドしてよい。好適な態様では、各着けローラ07は、その外周面で、好適には比較的軟質の材料から形成されており、その際、ニスは、効果的に、着けローラ07と接触するアニロックスローラ02の凹部から着けローラ07の外周面に転移される。好適には、着けローラ07の外周面は、30〜70ショアA硬さを有しており、さらに好適には、着けローラ07の外周面は、60ショアA硬さを有している。着けローラ07の外周面の材料は、たとえばゴムまたはポリウレタンであってよい。両方の着けローラ07の一方は、スポットニスコーティングローラとして構成してもよい。このために該当する着けローラ07のサイズは、その周で印刷機の印刷ユニット11におけるブランケット胴12の周と同じ長さに形成されている。さらに着けローラ07は、着けローラ07の外周面における所望の選択可能な部分だけがニスを受容して、転写できるように形成されている。このようにして、被印刷物06の印刷区分ごとに、たとえば印刷製品の印刷面ごとに、常に印刷区分の同じ部分をコーティングする(もしくはコーティングしない)よう保証することができる。スポットニスコーティングローラをフレキソ印刷ローラとして構成するように所望される場合、被印刷物06の各側に、アニロックスローラ02と、アニロックスローラ02と接触する、フレキソ印刷ローラとして構成された着けローラ07と、同時にブランケットローラおよび加圧ローラ08として機能するローラ08とを配置する必要がある(図5のb))。
【0046】
第6の実施の形態「様々な配置構造を実現するためのフレキシブルなコーティングユニット」
この実施の形態は、図6および図9から看取される。少なくとも2つのチャンバドクタ03および少なくとも2本のアニロックスローラ02の他に、少なくとも2本、好適には4本の別のローラ09が配置されており、ローラ09は、着けローラ07および/または加圧ローラ08として用いることができる。このためにローラ09は、それぞれ回転軸線の方向に対して垂直に移動可能に支承されており、回転軸(線)を移動させるための装置13が配置されている。好適には、ローラ09は、回転軸がローラ09の移動に際して仮想の円筒の外周面に沿って移動できるように支承されており、その対称軸線は、該当するローラ09に当接するアニロックスローラ02の回転軸線と合致する。その際、ローラ09は、常に、対応するアニロックスローラ02と接触している。さらに好適には、場合によっては追加的な装置が配置されており、この追加的な装置により、該当するローラ09は、仮想の円筒の外周面とは無関係に回転軸線に対して垂直に移動可能である。そのような装置は、たとえばドイツ連邦共和国特許第10152021号明細書に開示された種類の装置であってよい。
【0047】
コーティング運転に際して、2本のローラ09は移動可能であり、その際、ローラ09は、それぞれアニロックスローラ02と接触して、まとめて、両側から、ローラ09の間を通ってガイドされる被印刷物06に押し付けられる。別のローラ09は機能しない。このようにして第5の実施の形態と同等のコーティングユニット構造が形成される(図6のb))。
【0048】
また、被印刷物06の片面を、着けローラ07として用いられるローラ09によりコーティングし、これに対して被印刷物06の他方の片面を、同様に着けローラ07として用いられる別のローラ09によりコーティングすることができ、着けローラ07として用いられる2本のローラ09は、それぞれ別のアニロックスローラ02と接触する。被印刷物06は、着けローラ07に巻き掛けられるので、被印刷物06と着けローラ07との間の接触面は線状ではなく面状に形成されている。着けローラ07として用いられる両方のローラ09は、被印刷物06を異なる箇所でコーティングし、相互に加圧ローラ08として機能しない。第3の実施の形態(図6のc))と同等のコーティングユニット構成が形成される。追加的に、一方(図6のd))または両方(図6のd))の、着けローラ07として用いられるローラ09に対応して、被印刷物06のそれぞれ別の側から押圧された、アニロックスローラ02と接触せず、加圧ローラ08として用いられるローラ09を配置することができる。両方の着けローラ07に対応して加圧ローラ08が配置されている場合、第4の実施の形態(図6のd))と同等のニスコーティングユニット構造が形成される。その際、加圧ローラ08として用いられるローラ09は、純粋な加圧ローラ08として用いることができるローラ09であっても、同時に加圧ローラ08および着けローラ07として用いることができるローラ09であってもよい。このようなコーティングユニット01により、全てのローラ02;07;08;09を、被印刷物06が片面にしかコーティングされないように調節することもできる。
【0049】
この実施の形態で言及する各着けローラ07は、好適には30〜70ショアA硬さの外周面を有し、さらに好適には、着けローラ07の外周面は、60ショアA硬さを有している。着けローラ07の外周面の材料は、たとえばゴムまたはポリウレタンであってよい。この実施の形態で言及する各着けローラ07は、スポットニスコーティングローラとして構成してもよい。このために該当する着けローラ07のサイズは、その周で、印刷機のインキ装置に設けられたブランケット胴12の周と同じ長さである。さらに着けローラ07は、着けローラ07の外周面の所望の選択可能な部分だけでニスを受容し、したがって転写できるように、形成されている。このようにして、被印刷物06の印刷された区分ごとに、たとえば印刷製品の印刷面ごとに、区分の同じ部分をコーティングする(もしくはコーティングしない)ように保証することができる。
【0050】
本実施の形態において専ら加圧ローラ08として用いられる各ローラ09は、その外周面で、好適には、加圧ローラ08と接触するまえに被印刷物06に取り付けられる物質、つまりインキまたはニスをはじく材料から形成されており、その際、被印刷物06の、ローラ09側に塗布されるインキ、または被印刷物06の、ローラ09側に塗布されるニスが、コーティングプロセス中に被印刷物06の別の側を汚すことはない。
【0051】
以下に、全ての実施の形態に当てはまる、コーティングユニット01の詳細について説明する。
【0052】
好適には、コーティングユニット01は、たとえば保守作業のために分離することができる。このために好適には、コーティングユニット01の少なくとも一部が移動され、これに対してコーティングユニット01の別の一部は、固定されるか、別の方向に移動される。さらに好適には、分離は、以下のように行われ、それも、コーティング運転状態で被印刷物06の片面に接触して配置されているか、またはそのような構成要素と接触(接続)された、コーティングユニット01の構成要素、たとえばチャンバドクタ03、アニロックスローラ02および場合によっては存在する着けローラ07および/または加圧ローラ08および/または一般的なローラ09が移動せず、これに対して、コーティング運転状態で被印刷物06の別の面に接触して配置されているか、またはそのような構成要素と接続された、コーティングユニット01の構成要素、たとえばチャンバドクタ03、アニロックスローラ02および場合によっては存在する着けローラ07および/または加圧ローラ08および/または一般的なローラ09が、コーティングユニット01の、移動されない構成要素から離れるように移動するように、行われる。したがってコーティングユニット01は、所定の時点で被印刷物06がコーティングユニット01内に存在するか否かとは無関係に分離することができる。さらに好適には、コーティングユニット01のハウジングの移動しない部分が、印刷ユニット11のハウジングの同様に移動しない部分と固く結合されており、これに対してコーティングユニット01のハウジングの移動する別の部分は、たとえば保守作業のために移動できる、印刷ユニット11のハウジングの別の部分と固く結合されている(図7)。
【0053】
コーティングユニット01が分離不能に構成されている場合、好適には、ハウジングが、印刷ユニット11のハグジングの少なくとも一部と固く結合されている(図8)。固い結合とは、原則として、たとえばねじなどを緩めることにより分離可能であるが、通常運転および特に走行運転において相対運動不能である2つの部分の間の結合と解される。
【0054】
コーティングユニット01が分離可能に形成されているか否かとは無関係に、好適には、被印刷物06の少なくとも部分的にコーティングされた面と接触する、コーティングユニット01のアニロックスローラ02および/または着けローラ07および/または加圧ローラ08は、被印刷物06から離間することができる。着けローラ07および/または加圧ローラ08が被印刷物06に当接している場合、着けローラ07および/または加圧ローラ08は、たとえば直線運動および/またはカーブした、たとえば隣接するローラ09の回転軸線を中心とするたとえば円セグメント状の運動により、被印刷物06から離間することができる。そのような運動の組み合わせも実現可能である。アニロックスローラ02が直接に被印刷物06に当接している場合、これは同様に離間運動に当てはまるが、追加的に、アニロックスローラ02と一緒に、隣接するチャンバドクタ03を運動させる必要があり、それも好適には、ニスが制御されずにチャンバドクタ03から流出しないように運動させる必要がある。このことは供給路および排出路にも当てはまる。この場合、離間運動は、好適には、被印刷物06と接触するローラ02;07;08;09の回転軸に対して専ら垂直方向に行われる。
【0055】
コーティングユニット01により、所望に、部分ウェブだけをコーティングすることもでき、つまり、アニロックスローラ02の回転軸線に対して平行にみて、被印刷物06の一部、たとえは半分、1/3または1/4だけがコーティングされる。このために様々な構成が存在する。1本の着けローラ07がコーティングユニット01に配置されている場合、着けローラ07は、その延伸長さの一部だけで、アニロックスローラ02の回転軸線に対して平行に、ニスを収容して、転写することができ、ニスは、被印刷物06の、コーティングされるべき部分と接触する。着けローラ07がコーティングユニット01に配置されているか否かとは無関係に、好適には、チャンバドクタ03が配置されており、チャンバドクタ03は、その延伸長さで、当接するアニロックスローラ02の回転軸線に対して平行にみて、被印刷物06のコーティングされるべき範囲と同じサイズを有しており、つまり、場合によっては被印刷物06の搬送方向に対して垂直にみた、被印刷物06の延伸長さより小さく、チャンバドクタ03は、コーティング運転状態でニスが最終的に専ら被印刷物06の所望の箇所に転写されるように、配置されている。このために、着けローラ07の、回転軸方向の延伸長さの変化も考えられる。
【0056】
被印刷物の全ての束、つまり上下に位置する複数の層の被印刷物06が、コーティング運転状態にあるコーティングユニット01を通って搬送される際に、被印刷物の束はコーティングすることができ、つまり、コーティングユニットの位置関係に応じて、被印刷物06の片側または両側の外側の層に、それぞれ残りの被印刷物の束とは反対側で、コーティング層が取り付けられる。着けローラ07とアニロックスローラ02または加圧ローラ08との間の関係するニップは、その延伸長さにおいて、相応に適合される。
【0057】
被印刷物06の両面をコーティングするために2つのコーティングユニット01を用いる場合、被印刷物06の片面の1箇所で、ニスは、被印刷物06の別の片面の、厳密に対向する箇所と正確に同じ時点で被印刷物06に塗布されず、好適には、被印刷物06が搬送される速度と、ニスが塗布される2つの箇所の間隔とは、前述の2箇所でニスが塗布される間に生じる時間差Δtが0.5秒より小さく調節されている。換言すると、被印刷物06の搬送速度と0.5秒の時間との積は、被印刷物06のそれぞれ片面が、コーティングユニット01の、ニスを塗布する相応のローラ02;07;09と接触する2箇所の間隔よりも大きくする必要がある。
【0058】
各スポットニスコーティングローラは、フレキソ印刷ローラとして構成することができ、その際、コーティング範囲の選択は、相応の箇所における様々な半径により規定される。ここで言及すると、2本のスポットニスコーティングローラは、好適には、相互に加圧ローラ08として機能するように取り付けてはならない。なぜならば、少なくとも1本のフレキソ印刷ローラに生じる様々な半径が、フレキソ印刷ローラの周面にわたって一定の対向圧を保証できないからである。その代わりに、ニスが転写されるか否かという性質は、たとえばオフセット印刷において適用されるように、たとえば表面材料の選択により影響される。
【0059】
別の実施の形態では、コーティングユニット01は、少なくとも部分的に非接触式のコーティングユニット01として構成されている。そのような非接触式のコーティングユニット01は、たとえば少なくとも1つの噴霧装置、好適には被印刷物06の搬送方向に対して垂直方向および/または被印刷物06の搬送方向に対して平行の複数の噴霧装置が設けられた噴霧ビームを備えることができる。このような噴霧ノズル自体は公知である。好適には機械制御装置と接続された開ループ制御装置または閉ループ制御装置を介して、噴霧ノズルは、オン/オフ切換可能である。これによりコーティングユニット01を選択的に運転して、全面のコーティングを行うことができる。とりわけ、たとえば各噴霧ノズルが、所望のコーティングジョブに応じて、コーティングされるべき被印刷物06を印刷する印刷ユニット11の版胴14が回動するごとに、好適には同一の所定の噴霧動作を行うことにより、スポットニスコーティングを行うこともできる。そのような噴霧動作は、各噴霧ノズルに関して、個別に、持続的な噴霧運転、持続的なスイッチオフ、または任意の数の交互の噴霧運転およびスイッチオフの連続から成っていてよい。噴霧ノズルは、所望のコーティング像に応じて個別にオン/オフ切り換えされる。特に異なる噴霧ノズルのオン/オフ切換動作は、それぞれ独立している。
【0060】
コーティングユニット01は、記載の全ての実施の形態において、被印刷物06と相俟って、それぞれコーティングユニット01とコーティングユニット01に配置された被印刷物06とから成るシステムを形成する。
【0061】
チャンバドクタ03と被印刷物06との間のローラ09の数は、転写される所望のニス量を相応に小さくしようとする場合に、増やされる。
【0062】
連続するコーティング面は、好適には、相応のローラ07;08;09の、ニスを被印刷物06に転写する外周面が、少なくとも80%、好適には少なくとも90%ニスで被覆されることにより、達成される。アニロックスローラ02ではないローラ07;08;09の、ニスを転写する外周面は、好適には、被覆体がローラ07;08;09の外周面を形成するように配置されていることにより、形成されている。そのような被覆体は、たとえば印刷ブランケット、つまり被覆された形状安定性の支持板として形成することができ、支持板は、複数の層を有してよく、たとえば金属から成る、基体を形成する層と、適切な硬さを有するエラストマから成る層とを有してよい。そのような被覆体は、対応する胴07;08;09に被せ嵌め可能であるか、または被せ嵌められていて、ローラ07;08;09の対応する溝に固定可能であるか、または固定されている。
【0063】
好適には、コーティングユニット01の少なくとも1本のローラ07;08;09に被覆体が配置可能であるか、または配置されており、被覆体は、同一の被印刷物06を加工する少なくとも1つの印刷ユニットに配置された少なくとも1つの被覆体と同一の構成をした層を有している。これにより用いられる構成が簡単になり、これにより保守および作業に掛かる手間が低減される。
【符号の説明】
【0064】
01 コーティングユニット、 02 ローラ、アニロックスローラ、 03 チャンバドクタ、 06 被印刷物、被印刷物ウェブ、 07 ローラ、着けローラ(01)、 08 ローラ、加圧ローラ(01)、 09 ローラ、 11 印刷ユニット、両面同時刷りオフセット印刷ユニット、 12 ローラ、胴、ブランケット胴、圧胴(11)、 13 装置、 14 版胴(11)
【図1a)】

【図1b)】

【図2a)】

【図2b)】

【図3a)】

【図3b)】

【図4a)】

【図4b)】

【図5a)】

【図5b)】

【図6a)】

【図6b)】

【図6c)】

【図6d)】

【図6e)】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのコーティングユニット(01)と少なくとも1つの印刷ユニット(11)とを備えた、ウェブ輪転オフセット印刷機であって、
コーティングユニット(01)は、水ベースのニスを収容する少なくとも1つのチャンバドクタ(03)と少なくとも1つのアニロックスローラ(02)とを備えており、少なくとも1つのアニロックスローラ(02)は、外周面に、合計してすくい容量を形成する複数の凹部を備えており、コーティングユニット(01)は、ウェブ輪転オフセット印刷機およびコーティングユニット(01)により加工される被印刷物(06)の搬送経路に沿って、ウェブ輪転オフセット印刷機の少なくとも1つの印刷ユニット(11)の下流側に配置されており、協働してコーティングニップを形成するそれぞれ2本のローラ(02;07;08;09)から成る少なくとも1つの対偶が配置されているものにおいて、
それぞれ1つの対偶を成す2本のローラ(02;07;08;09)は、それぞれ、前記2本のローラ(02;07;08;09)の一方の回転軸を含み、前記2本のローラ(02;07;08;09)の他方の回転軸線の、前記2本のローラ(02;07;08;09)の他方により規定される範囲の内側に配置された1点を含む平面が水平面に対して45°より小さな角度を形成するように配置されており、
少なくとも1つのそのような対偶のそれぞれ少なくとも1本のローラ(07;08;09)は、少なくとも1本のアニロックスローラ(02)と接触しており、
少なくとも1本のアニロックスローラ(02)の外周面の少なくとも一部分におけるすくい容量は、ニス量で充填されており、該ニス量の、少なくとも1本のアニロックスローラ(02)の外周面の前記部分における質量は、水成分を差し引いて、平均で最大4g/m2であり、
コーティングユニット(01)の少なくとも1本のローラ(07;08;09)に、複数の層を有する被覆体が配置可能であるかまたは配置されていることを特徴とする、ウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項2】
少なくとも1つのコーティングユニット(01)と少なくとも1つの印刷ユニット(11)とを備えた、ウェブ輪転オフセット印刷機において、
コーティングユニット(01)は、少なくとも1つのチャンバドクタ(03)と少なくとも1本のアニロックスローラ(02)とを備えており、少なくとも1本のアニロックスローラ(02)は、外周面に、合計してすくい容量を形成する複数の凹部を備えており、コーティングユニット(01)は、ウェブ輪転オフセット印刷機およびコーティングユニット(01)により加工される被印刷物(06)の搬送経路に沿って、ウェブ輪転オフセット印刷機の少なくとも1つの印刷ユニット(11)の下流側に配置されていることを特徴とする、ウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項3】
アニロックスローラ(02)の外周面の少なくとも一部分におけるすくい容量は、ニス量で充填され、該ニス量の、アニロックスローラ(02)の外周面の前記部分における質量は、水成分を差し引いて、平均で最大4g/m2である、請求項2記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項4】
それぞれ2本のローラ(02;07;08;09)から成る少なくとも1つの対偶が配置されており、該ローラ(02;07;08;09)が協働してコーティングニップを形成し、それぞれ1つの対偶を成す2本のローラ(02;07;08;09)は、それぞれ、前記2本のローラ(02;07;08;09)の一方の回転軸線を含み、前記2本のローラ(02;07;08;09)の他方の回転軸線の、前記2本のローラ(02;07;08;09)の他方により規定される範囲の内側に配置された1点を含む平面が水平面に対して45°より小さな角度を形成するように配置されている、請求項2記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項5】
それぞれ2本のローラ(02;07;08;09)から成る少なくとも1つの対偶が配置されており、該ローラ(02;07;08;09)が協働してコーティングニップを形成し、少なくとも1つのそのような対偶のそれぞれ少なくとも1本のローラ(07;08;09)は、少なくとも1本のアニロックスローラ(02)と接触している、請求項2記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項6】
コーティングユニット(01)の少なくとも1本のローラ(07;08;09)に、複数の層を有する被覆体が配置可能であるかまたは配置されている、請求項2記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項7】
被印刷物(06)の搬送経路に沿って、コーティングユニット(01)の下流側に、ガイドローラまたは被印刷物(06)の搬送方向を変更する別の装置を除いて、後続の装置として、折り装置および/または断裁装置が、被印刷物(06)に作用するように配置されている、請求項1または2記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項8】
コーティングユニット(01)のアニロックスローラ(09)の少なくとも1本の回転軸線が、被印刷物(06)の搬送方向に関してコーティングユニット(01)の上流側に配置された印刷ユニットに配置された、版胴(14)と、別の胴(12)およびローラ(12)との全ての回転軸線よりも上方に配置されている、請求項1または2記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項9】
当該ウェブ輪転オフセット印刷機が、ドライオフセット印刷インキを用いる印刷機として構成されている、請求項1または2記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項10】
コーティング運転状態で被印刷物(06)の片面に接触して配置されているか、または被印刷物(06)の片面に接触するローラ(02;07;08;09)と接触して配置されている、コーティングユニット(01)の全てのローラ(02;07;08;09)が、コーティング運転状態で被印刷物(06)の別の片面に接触して配置されているか、または被印刷物(06)の別の片面に接触するローラ(02;07;08;09)と接触して配置されている、コーティングユニット(01)のローラ(02;07;08;09)から離間するように可動に配置されている、請求項1または2記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項11】
コーティングユニット(01)のハウジングの一部が、印刷ユニット(11)のハウジングの一部と固く結合されており、これに対してコーティングユニット(01)のハウジングの別の一部が、印刷ユニット(11)のハウジングの別の一部と固く結合されており、コーティングユニット(01)のハウジングの一部と、印刷ユニット(11)のハウジングの、コーティングユニット(01)のハウジングの一部と固く結合された一部とが、コーティングユニット(01)のハウジングの別の一部と、印刷ユニット(11)のハウジングの、コーティングユニット(01)のハウジングの別の一部と固く結合された部分とに対して可動に配置されている、請求項1または2記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項12】
アニロックスローラ(02)の外周面の一部におけるすくい容量は、ニス量で充填されており、該ニス量の、アニロックスローラ(02)の外周面の前記部分における質量から水成分を引いた値が、平均で最大2g/m2である、請求項1または2記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項13】
少なくとも1つのアニロックスローラ(02)は、独自の駆動モータを備えている、請求項1または2記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項14】
被印刷物(06)の搬送経路に沿って、印刷ユニット(11)のローラ(12)と、コーティングユニット(01)の、ニスを転移するローラ(02;07;08;09)との間で、最大で、被印刷物(06)の搬送方向を変更する装置が配置されている、請求項1または2記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項15】
被印刷物(06)の搬送経路に沿って、印刷ユニット(11)のローラ(12)と、コーティングユニット(01)の、ニスを転移するローラ(02;07;08;09)との間に、印刷機の、被印刷物(06)と接触する構成要素として、最大で、ガイドローラが配置されている、請求項1または2記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項16】
被印刷物(06)の搬送経路に沿って、印刷ユニット(11)のローラ(12)と、コーティングユニット(01)の、ニスを転移するローラ(02;07;08;09)との間に設けられる、被印刷物(06)と接触するガイドローラの数は、最大で2である、請求項1または2記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項17】
被印刷物(06)の搬送経路に沿って、印刷ユニット(11)のローラ(12)と、コーティングユニット(01)の、ニスを転移するローラ(02;07;08;09)との間に、印刷機の、被印刷物(06)と接触する構成要素が配置されていない、請求項1または2記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項18】
被印刷物(06)の搬送経路に沿って、印刷ユニット(11)の、被印刷物(06)と接触するローラ(12)と、コーティングユニット(01)の、ニスを転移するローラ(02;07;08;09)との間の最小間隔は、4mより小さい、請求項1または2記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項19】
被印刷物(06)の搬送経路に沿って、印刷ユニット(11)の、被印刷物(06)に接触するローラ(12)と、コーティングユニット(01)の、ニスを転移するローラ(02;07;08;09)との間の最小間隔は、2mより小さい、請求項1または2記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項20】
コーティングされるべき被印刷物(06)は、アニロックスローラ(02)に直接に接触しており、被印刷物(06)は、アニロックスローラ(02)に面状に接触するように配置されている、請求項1または2記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項21】
コーティングされるべき被印刷物(06)は、アニロックスローラ(02)に直接に接触しており、被印刷物(06)をアニロックスローラ(02)に押圧する加圧ローラ(08)が配置されている、請求項1または2記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項22】
コーティングされるべき被印刷物(06)は、アニロックスローラ(02)に接触する着けローラ(07)に接触しており、被印刷物(06)は、着けローラ(07)に面状に接触するように配置されている、請求項1または2記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項23】
コーティングされるべき被印刷物(06)は、アニロックスローラ(02)に接触する着けローラ(07)に接触しており、被印刷物(06)を着けローラ(07)に面状に接触する押圧する加圧ローラ(08)が配置されている、請求項1または2記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項24】
コーティングユニット(01)は、被印刷物(06)の第1面の1箇所に接触して、被印刷物(06)をコーティングするように配置されており、被印刷物(06)は、被印刷物(06)の第2面で、別のコーティングユニット(01)にコーティング接触しており、被印刷物(06)がそれぞれコーティングユニット(01)にコーティング接触する2つの箇所は、相互間隔を有しており、
別のコーティングユニット(01)において、
−コーティングされるべき被印刷物(06)は、アニロックスローラ(02)に直接に接触しており、被印刷物(06)は、アニロックスローラ(02)に面状に接触するように配置されており、
−または、コーティングされるべき被印刷物(06)は、アニロックスローラ(02)に直接に接触しており、被印刷物(06)をアニロックスローラ(02)に押圧する加圧ローラ(08)が配置されており、
−または、コーティングされるべき被印刷物(06)は、アニロックスローラ(02)に接触する着けローラ(07)に接触しており、被印刷物(06)は、着けローラ(07)に面状に接触するように配置されており、
−または、コーティングされるべき被印刷物(06)は、アニロックスローラ(02)に接触する着けローラ(07)に接触しており、被印刷物(06)を着けローラ(07)に押圧する加圧ローラ(08)が配置されている、
請求項20から23までのいずれか1項記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項25】
少なくとも2つのチャンバドクタ(03)と、2本のアニロックスローラ(02)と、両側から、2本の着けローラ(07)の間に位置する被印刷物(06)を押圧しかつ相互に押し付けられる2本の着けローラ(07)とが配置されている、請求項1または2記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項26】
少なくとも1本の着けローラ(07)の外周面は、30〜70ショアA硬さを有する材料から形成されている、請求項22から24までのいずれか1項記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項27】
少なくとも1本の加圧ローラ(08)の外周面は、30〜70ショアA硬さを有する材料から形成されている、請求項21記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項28】
加圧ローラ(08)の外周面は、70より大きなショアA硬さを有する材料から形成されている、請求項23記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項29】
少なくとも2つのチャンバドクタ(03)と、2本のアニロックスローラ(02)と、着けローラ(07)および/または加圧ローラ(08)として用いられる別の少なくとも2本のローラ(09)とが配置されており、ローラ(09)は、該ローラ(09)の回転軸線の方向に対して垂直に移動可能に配置されている、請求項1または2記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項30】
チャンバドクタ(03)、アニロックスローラ(02)および/またはローラ(09)が、移動可能に配置されていて、かつコーティングされるべき被印刷物(06)の片側および/または両側で、少なくとも1つの以下の構成を形成するように配置可能であり、
−コーティングされるべき被印刷物(06)が、アニロックスローラ(02)に接触する着けローラ(07)に接触しており、被印刷物(06)が、着けローラ(07)に面状に接触するように配置されており、
−または、コーティングされるべき被印刷物(06)が、アニロックスローラ(02)に接触する着けローラ(07)に接触しており、被印刷物(06)を着けローラ(07)に押圧する加圧ローラ(08)が配置されており、
−または、コーティングされるべき被印刷物(06)が、アニロックスローラ(02)に直接に接触しており、被印刷物(06)をアニロックスローラ(02)に押圧する加圧ローラ(08)が配置されており、
−または、両側から2本の着けローラ(07)の間に位置する被印刷物(06)を押し付けかつ相互に押圧される、相互に加圧ローラ(08)として機能する2本の着けローラ(07)が配置されている、請求項29記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項31】
コーティング運転状態でニスを被印刷物(06)に転写する少なくとも1本のローラ(07;09)が、ニスを被印刷物(06)の所定の箇所だけに転写するスポットニスコーティングローラとして形成されている、請求項1または2記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項32】
スポットニスコーティングローラは、アニロックスローラ(02)に直接に接触している、請求項31記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項33】
スポットニスコーティングローラは、フレキソ印刷ローラとして構成されている、請求項31記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項34】
少なくとも1つのチャンバドクタ(03)の延伸長さは、該チャンバドクタ(03)に接触するアニロックスローラ(02)の回転軸線に対して平行方向にみて、同方向の被印刷物(06)の延伸長さよりも小さい、請求項1または2記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項35】
アニロックスローラ(02)の彫刻部が、90〜130線/cmの密度の線構造を有している、請求項20または21記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項36】
アニロックスローラ(02)の彫刻部が、40〜80線/cmの密度の線構造を有している、請求項22、23、25または29記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項37】
少なくとも1本のアニロックスローラ(02)の外周面の材料が、セラミック材料である、請求項1または2記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項38】
セラミック材料は、少なくとも酸化アルミニウム(Al22)および/または二酸化チタン(TiO2)および/または二酸化ジルコニウム(ZrO2)を含有する、請求項37記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項39】
チャンバドクタ(03)に収容されるニスが、光沢ニス、マットニスまたは白色ニスである、請求項1または2記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項40】
チャンバドクタ(03)に収容されるニスが、メタリック効果を有するニスおよび/またはグリッター効果を有するニスおよび/または芳香ニスである、請求項1または2記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項41】
関係するローラ(02;07;08;09;12)および/またはブランケット胴(12)および/または被印刷物(06)の間に生じる全ての接触は、回転接触である、請求項1または2記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項42】
被印刷物(06)の搬送速度と0.5秒の時間との積は、それぞれ被印刷物(06)の片側が、コーティングユニット(01)の、相応のニスを塗布するローラ(02;07;08;09)に接触する2箇所の間の距離よりも大きい、請求項20から25までのいずれか1項記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項43】
被印刷物(06)は、一方向にコーティングユニット(01)を通って搬送され、搬送の鉛直方成分が、水平方向成分よりも大きい、請求項1または2記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項44】
コーティング運転状態で被印刷物(06)がコーティングユニット(01)を通って搬送される速度が、10〜17m/sである、請求項1または2記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項45】
当該ウェブ輪転オフセット印刷機が、コールドセットインキを用いる印刷機として構成されている、請求項1または2記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項46】
被印刷物(06)の全ての搬送経路に乾燥機が配置されていない、請求項1または2記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項47】
コーティングユニット(01)における、被印刷物(06)の、少なくとも部分的にコーティングされる面と接触する全てのアニロックスローラ(02)および/または着けローラ(07)および/または加圧ローラ(08)が、それぞれ被印刷物(06)から離間可能に配置されている、請求項1または2記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項48】
コーティングユニット(01)に、たとえば少なくとも1つの同一の被印刷物(06)を加工する印刷ユニットに配置された被覆体である、複数の同一の層を有する少なくとも1つの被覆体が配置可能であるかまたは配置されている、請求項1または6記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項49】
被覆体の少なくとも1つの層が、金属または合金から形成されており、別の少なくとも1つの層が、エラストマから形成されている、請求項1または6記載のウェブ輪転オフセット印刷機。
【請求項50】
チャンバドクタ(03)が、水ベースのニスを収容する、請求項2記載のウェブ輪転オフセット印刷機。

【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−522667(P2012−522667A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503956(P2012−503956)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【国際出願番号】PCT/EP2010/054077
【国際公開番号】WO2010/127913
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(390014188)ケーニツヒ ウント バウエル アクチエンゲゼルシヤフト (50)
【氏名又は名称原語表記】Koenig & Bauer Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Friedrich−Koenig−Strasse 4, Wuerzburg, Germany
【Fターム(参考)】