説明

ウエザーストリップの取付構造

【課題】パーテイションガラスからパーテイションウエザーストリップが外れにくいものとして、組付作業性の向上を図る。
【解決手段】ドアサッシュの後部に嵌め込まれるパーテイションガラス13に付帯するウエザーストリップ16の後辺相当部16aにおいて、外部に露出する意匠部としての突出部10の造形がガラス13の領域側に向かって凸形状となっている。突出部10の造形はそのままで、ガラス13およびウエザーストリップ16のベース部9を後方側にそれぞれ延長・拡大化して、あたかも後辺相当部16aの周長を最短距離で結ぶ方向の張力を発生させる。ガラス13およびベース部9の延長・拡大化領域はドアサッシュで隠蔽する。外観的な造形を改変することなく、ウエザーストリップ16の脱落を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエザーストリップの取付構造に関し、特に自動車のリアドアにおいて、昇降式のドアガラスの後部側に隣接して配置される固定式のパーテイションガラスに適用されるウエザーストリップの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のリアドアにおけるパーテイションガラスは、固定式(いわゆる嵌め殺しタイプ)のものであるために、そのパーテイションガラスの周囲にパーテイションウエザーストリップを予め閉ループ状に装着した後にそのパーテイションウエザーストリップを介してサッシュ付きドアに組み付けられる。
【0003】
そして、パーテイションガラスに対するパーテイションウエザーストリップの自己保持性を考慮し、パーテイションガラスの周長に対してパーテイションウエザーストリップ側の周長をガラス側と同等またはガラス側よりもわずかに短めに設定しておくのが一般的であるが、車体あるいはリアドアの造形によっては、なおもパーテイションガラスに対するパーテイションウエザーストリップの自己保持性が不十分となる場合がある。
【0004】
例えば、図1,2を参照して説明するならば、同図に示すように、パーテイションガラス3を有するドアサッシュ4の後辺部4aの造形がガラス領域側に向かって凸状に湾曲しているような場合には、パーテイションガラス3の周長に対してパーテイションウエザーストリップ6側の周長を同等程度に設定してあったとしても、ドアサッシュ4の後辺部4aに相当する部分では、造形上の特殊性故に、パーテイションウエザーストリップ6を上記造形に倣って忠実に追従させることが困難で、パーテイションウエザーストリップ6の同等部位である後辺相当部6aがパーテイションガラス3をくわえ込む保持力(自己保持力または自己保持性)がきわめて弱く、パーテイションガラス3から外れやすいものとなっている。
【0005】
そのため、パーテイションウエザーストリップ6が予め装着されたパーテイションガラス3をドア1に組み付ける際に、パーテイションガラス3の後辺相当部では、パーテイションウエザーストリップ6がパーテイションガラス3から外れてしまい、組付作業性が極端に悪いものとなる。
【0006】
そこで、パーテイションガラスに装着されるパーテイションウエザーストリップではないものの、固定式のウインドガラスにおける上記と同様の不具合のための対策として特許文献1に記載のものが提案されている。この特許文献1に記載の技術では、ウインドガラスの四周に装着されるウエザーストリップについて、特定の辺部にてウエザーストリップが外れやすい場合に、当該外れやすい部分と他辺部とを紐状片で結合することで、上記外れやすい部分をウインドガラス側に引き寄せてウエザーストリップの脱落防止を図ったものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−166722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、ウエザーストリップ本来のの機能の上では必要でない紐状片を付帯させる方式であるため、その紐状片の接続と用済み後の除去に余分な工数が必要となり、コストアップと工数の増加を招くことになるだけでなく、紐状片を除去する際にウエザーストリップの外観品質が損なわれるおそれがある。
【0009】
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、先に述べたような窓枠部材側の特異な造形に対して工数増加を招くことなく、しかも外観品質が損なわれるおそれのないウエザーストリップの取付構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、固定式のウインドガラスの周囲に装着されるウエザーストリップの取付構造にして、ウインドガラスを有する窓枠部材の特定辺部の造形がガラス領域側に向かって凸形状となっているものに適用されるウエザーストリップの取付構造である。その上で、上記ウインドガラスの周囲にウエザーストリップが閉ループ状に後付けにて嵌合保持されている。また、上記ウインドガラスのうち窓枠部材の特定辺部に沿う部分では、少なくともその一部を反ウインドガラス領域側に延長してエクステンションガラス部を形成してある一方、上記ウエザーストリップのうち窓枠部材の特定辺部に沿う部分では、エクステンションガラス部の分だけ当該エクステンションガラス部を表裏両面からくわえ込むベース部の嵌合保持量が延長されて他の部位よりも大きく設定されていて、この嵌合保持量が延長されたベース部をエクステンションガラス部とともに窓枠部材の特定辺部の幅寸法内に収めてある構造としてある。
【0011】
この請求項1に記載の発明では、ウインドガラスの一部を延長してエクステンションガラス部を形成する必要があるが、必ずしもエクステンションガラス部を形成せずとも所期の目的を達成することは可能であり、請求項2に記載の発明はこのことを明確化してしている。
【0012】
すなわち、請求項2に記載の発明は、ウインドガラスの周囲の閉ループ状に嵌合保持されたウエザーストリップのうち窓枠部材の特定辺部に沿う部分では、ウインドガラスの該当部分を表裏両面からくわえ込みながら窓枠部材の特定辺部の幅寸法内に収められるベース部と、そのベース部の先端に形成されて外部に露出する意匠部と、を備えているとともに、上記ウインドガラスの一部とそれに対応する対応するベース部にそれぞれ位置決め穴を形成してある。そして、これらの位置決め穴にクリップを挿入して、ウインドガラスとベース部との位置決めを施してある。
【0013】
この場合において、請求項3に記載のように、上記クリップは予めベース部と一体に形成してあることが部品点数の削減の上で望ましい。
【0014】
その一方、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3に記載の発明と同一技術思想の下で、パーテイションガラスを有するドアサッシュの後辺部の造形がガラス領域側に向かって凸形状となっているドアに適用されるパーテイションウエザーストリップの取付構造であることを前提としている。その上で、上記パーテイションガラスの周囲にパーテイションウエザーストリップが閉ループ状に後付けにて嵌合保持されていて、上記パーテイションガラスのうちドアサッシュの後辺部に沿う部分では、少なくともその一部を後方側に延長してエクステンションガラス部を形成してある一方、上記パーテイションウエザーストリップのうちドアサッシュの後辺部に沿う部分では、エクステンションガラス部の分だけ当該エクステンションガラス部を表裏両面からくわえ込むベース部の嵌合保持量が延長されて他の部位よりも大きく設定されていて、この嵌合保持量が延長されたベース部をエクステンションガラス部とともにドアサッシュの後辺部の幅寸法内に収めてある構造としてある。
【0015】
より具体的には、請求項5に記載のように、上記パーテイションウエザーストリップのうちドアサッシュの後辺部に沿う部分では、外部に露出する意匠部がベース部の先端に形成されていて、上記意匠部以外のベース部をエクステンションガラス部とともにドアサッシュの後辺部の幅寸法内に収めてあるものとする。
【0016】
この場合において、請求項2に記載の発明と同一技術思想の下に、請求項6に記載のように、上記エクステンションガラス部とそれに対応するベース部にそれぞれ位置決め穴を形成し、これらの位置決め穴にクリップを挿入して、エクステンションガラス部とベース部との位置決めを施してあることが望ましい。
【0017】
さらに、請求項7に記載のように、上記クリップは予めベース部と一体に形成してあることが部品点数の削減の上で望ましい。
【0018】
したがって、少なくとも請求項1に記載の発明では、ウインドガラスを有する窓枠部材の特定辺部の造形がガラス領域側に向かって凸形状となっている特異形状であっても、エクステンションガラス部が延長形成された分だけウエザーストリップにおけるベース部の嵌合保持量も延長されて拡大化されている。そのため、ウエザーストリップのうち上記造形上の特異形状部に相当する部分では、ガラス領域側に向かって凸形状となるような従来と同等の周長を確保しつつも、その周長をあたかも最短距離でショートカットする方向での張力を発生させることができる。これは、ウエザーストリップのうち上記特異形状部に相当する部分で、ウエザーストリップがウインドガラスをくわえ込む力が相対的に大きくなって、いわゆる自己保持性が高くなったことにほかならず、結果としてウインドガラスからウエザーストリップが外れにくいものとなる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の発明によれば、ウインドガラスを有する窓枠部材の特定辺部の造形がガラス領域側に向かって凸形状となっている特異形状であっても、窓枠部材を造形を改変することなしに、しかも余分なものを付帯させることなしに、所期の目的を達成できる。すなわち、請求項1に記載の発明によれば、ウインドガラスを有する窓枠部材の特定辺部の造形がガラス領域側に向かって凸形状となっている特異形状であっても、ウエザーストリップがウインドガラスをくわえ込む力が相対的に大きくなっていわゆる自己保持性に優れたものとなり、ウインドガラスからウエザーストリップが外れにくいものとなる。そのため、窓枠部材の造形を改変したり、従来技術のように余分なものを付帯させることなしに、予めウエザーストリップが装着されているウインドガラスの組付作業性が飛躍的に向上するようになる。
【0020】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明のようにウインドガラスやベース部を延長することなしに、クリップにてウインドガラスとベース部とを位置決めするようにしたため、ウインドガラスからウエザーストリップが一段と外れにくいものとなり、その自己保持性が一段と向上する。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、ウインドガラスとウエザーストリップの位置決めに必要なクリップが予めベース部と一体に形成されていることにより、部品点数と部品管理工数の削減が図れる。
【0022】
請求項4,5に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明を前提として、ウインドガラスをパーテイションガラスとし、ウエザーストリップをパーテイションウエザーストリップとしたものであるため、請求項1,2に記載の発明と同様の効果が得られる。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、請求項4に記載の発明を前提として、請求項2に記載の発明と同様のクリップによる位置決め方式を併用しているため、パーテイションガラスからパーテイションウエザーストリップが一段と外れにくいものとなり、その自己保持性が一段と向上する。
【0024】
請求項7に記載の発明によれば、パーテイションガラスとパーテイションウエザーストリップの位置決めに必要なクリップが予めベース部と一体に形成されていることにより、部品点数と部品管理工数の削減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】自動車の斜視図。
【図2】図1に示した自動車のリアドアにおけるQ部の拡大図。
【図3】図2のA−A線に沿う拡大断面図。
【図4】本発明に係るウエザーストリップの取付構造の第1の実施の形態を示す図で、図2の同等部位の説明図。
【図5】図4のA−A線に沿う拡大断面図。
【図6】図4のB−B線に沿う拡大断面図。
【図7】図4のC−C線に沿う拡大断面図。
【図8】図4のD−D線に沿う拡大断面図。
【図9】本発明に係るウエザーストリップの取付構造の第2の実施の形態を示す図で、図4の同等部位の説明図。
【図10】本発明に係るウエザーストリップの取付構造の第3の実施の形態を示す図で、図4の同等部位の説明図。
【図11】図10のE−E線に沿う拡大断面図。
【図12】図11の状態からクリップを挿入した状態を示す説明図。
【図13】本発明に係るウエザーストリップの取付構造の第4の実施の形態を示す図で、図11の同等部位の断面図。
【図14】図13の状態からクリップを挿入した状態を示す説明図。
【図15】本発明に係るウエザーストリップの取付構造の第5の実施の形態を示す図で、図4と同等部位の説明図。
【図16】図15のF−F線に沿う拡大断面図。
【図17】本発明に係るウエザーストリップの取付構造の第6の実施の形態を示す図で、図16と同等部位の断面図。
【図18】本発明に係るウエザーストリップの取付構造の第7の実施の形態を示す図で、図4と同等部位の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は4ドアタイプの自動車の斜視図を示していて、また、図2は図1におけるリアドア1のQ部の拡大図として従来からの既存構造を示している。その上で、図4〜8に本発明を実施するためのより具体的な第1の形態を示している。
【0027】
図1に示すように、自動車のリアドア1にあっては、ドアガラス(リアサイドウインドガラス)2に隣接してその後方側にパーテイションガラス3が配置されることがある。これらのドアガラス2およびパーテイションガラス3は窓枠部材である共通のドアサッシュ4に収められてはいても、双方のガラス2,3はパーテイションサッシュ5を介して相互に独立していて、ドアガラス2が昇降式のものとされているのに対して、パーテイションガラス3は非昇降タイプの固定式のもの(いわゆる嵌め殺しタイプ)とされている。
【0028】
詳しくは、図2,3に示すように、ドアガラス2はドアサッシュ4の前縦辺部、上辺部およびパーテイションサッシュ5の三辺にまたがって配設されたドアグラスランを介してドアサッシュ4に昇降可能に案内支持されているのに対して、パーテイションガラス3はその四周全周に予めパーテイションウエザーストリップ6が装着されていて、ドアガラス2がドアサッシュ4に収められる前に、ドアサッシュ4の後部側に嵌め込み固定される。
【0029】
この場合、図1,2から明らかなように、リアドア1全体あるいは車体全体の造形上の観点から、ドアサッシュ4のうちパーテイションガラス3の後方側に位置する後辺部4aの造形について、当該部位がパーテイションガラス3の領域側に向かって凸状に湾曲している特異形状とされることがあり、必然的にパーテイションガラス3およびパーテイションウエザーストリップ6のそれぞれの同等部位(以下、同部位を後辺相当部と言う。)についても同じ形状とされている。
【0030】
そして、パーテイションガラス3はその四周全周に予めパーテイションウエザーストリップ6が装着されていて、ドアガラス2がドアサッシュ4に収められる前に、ドアサッシュ4の後部側に嵌め込み固定されることは先に述べたとおりである。なお、パーテイションウエザーストリップ6は予めそれ単独で枠状に金型成形されたもので、後付けにてパーテイションガラス3の周囲に嵌合保持させてある。
【0031】
このような造形上の特異性のために、パーテイションガラス3単独の状態でその周長に対してパーテイションウエザーストリップ6側の周長を同等程度に設定してあったとしても、ドアサッシュ4の後辺部4aに相当する部分では、パーテイションウエザーストリップ6を上記造形に倣って忠実に追従させることが困難で、パーテイションウエザーストリップ6の後辺相当部6aではパーテイションガラス3をくわえ込む保持力(自己保持力または自己保持性)がきわめて弱く、パーテイションガラス3から外れやすいものとなっていることもまた先に述べたとおりである。
【0032】
これは、パーテイションウエザーストリップ6のうちドアサッシュ4側の後辺部4aに沿う後辺相当部6aについて、パーテイションガラス3の領域側に向かって凸状に湾曲した形状となっているがために、当該部位の周長をいわゆる最短距離で結んだ方向(ショートカットする方向)での張力を発生させることができないことに基づいている。
【0033】
なお、図2に示すように、パーテイションウエザーストリップ6のうち極端に鋭角となるコーナー部ではコーナーパッチ部7を付設してある。
【0034】
そこで、図2および図3の形状を従来からの形状とするならば、本実施の形態では、図4および図5に示すように、パーテイションガラス13のうちドアサッシュ4の後辺部4aに沿う部分、すなわちパーテイションガラス13の後辺相当部13aについて、パーテイションガラス13を図4の略偏平三角形状の領域だけ後方側に延長・拡大化してエクステンションガラス部8とし、そのエクステンションガラス部8の延長寸法P1分に合わせてパーテイションウエザーストリップ16の後辺相当部16aについてベース部9も寸法P2だけ後方側に延長・拡大化してある。つまり、パーテイションガラス13およびパーテイションウエザーストリップ16のそれぞれの後辺相当部13a,16aでは、当該後辺相当部13a,16aの上下両端を最短距離で結ぶような形状に延長・拡大化してある。
【0035】
より詳しくは、図4,5に示すように、パーテイションウエザーストリップ16の後辺相当部16aでは断面形状が略偏平コ字状のベース部9を主体として形成されていて、このベース部9がその表裏両面からパーテイションガラス13をくわえ込むようにして嵌合保持されている。そして、そのベース部9の先端に幅寸法aの意匠部としての突出部10が形成されていて、その突出部10以外の部分が窓枠部材であるドアサッシュ4の後辺部4aの幅寸法W内に収められている。
【0036】
ドアサッシュ4は周知のようにドアアウタパネル11aとドアインナパネル11bとからなり、さらにドアサッシュ4のアウタ側およびインナ側にはそれぞれにサッシュカバー12a,12bがかぶせられていて、それらのサッシュカバー12a,12bを含むドアサッシュ4の幅寸法W内に突出部10を除いたベース部9が収められている。
【0037】
ここで、パーテイションウエザーストリップ16における後辺相当部16a以外の各部の断面形状、すなわち図4の上辺部であるB−B線の断面形状、前縦辺部であるC−C線の断面形状および下辺部であるD−D線の断面形状を示せば図6〜8のとおりである。図5のほかこれらの図6〜8から明らかなように、パーテイションウエザーストリップ16はその四辺部を通して均一断面形状のものではなく、各辺部ごとに意匠部である突出部10を含むそれぞれの断面形状が微妙に異なっている。ただし、これらの図6〜8の断面形状は基本的に従来のものと共通している。
【0038】
したがって、この第1の実施の形態によれば、図2と図4とを比較すると明らかなように、四辺部を通して意匠部である突出部10が閉ループ状をなす造形ラインは従来のものと異なるところがない。その一方、図5において、パーテイションガラス13およびパーテイションウエザーストリップ16のベース部9共に同図の寸法P1,P2だけ後方側に延長・拡大化されていることは先に述べたとおりであって、これらの領域は同図に示すようにサッシュカバー12aによって隠蔽されることになる。そして、パーテイションウエザーストリップ16のうち寸法P2だけ延長・拡大化されたベース部9はそのベース部9全体でパーテイションガラス13をくわえ込んでいることになる。
【0039】
すなわち、ドアサッシュ4の後辺部4の造形がパーテイションガラス13の領域側に向かって凸形状となっている特異形状であっても、エクステンションガラス部8として延長形成された分P1だけパーテイションウエザーストリップ16におけるベース部9の嵌合保持量も寸法P2だけ延長・拡大化されている。そのため、パーテイションウエザーストリップ16の後辺相当部16aでは、意匠部である突出部10はパーテイションガラス13の領域側に向かって凸形状となるような従来と同等の周長が確保されている一方で、ベース部9では後辺相当部16aの周長を上下方向で最短距離にて結ぶようないわゆるショートカット形状となっていて、そのショートカットする方向での張力を発生させることができるようになっている。これは、パーテイションウエザーストリップ16の後辺相当部16aにてそのベース部9がパーテイションガラス13をくわえ込む力が相対的に大きくなって、いわゆる自己保持性が高くなっていることにほかならない。その結果として、外観的な造形は従来のままでありながら、パーテイションガラス13からパーテイションウエザーストリップ16が外れにくいものとなる。
【0040】
図9は本発明に係るウエザーストリップの取付構造の第2の実施の形態を示す図で、図4に示した先の第1の実施形態と共通する部分には同一符号を付してある。
【0041】
図4に示した第1の実施の形態では、パーテイションガラス13の後辺相当部13aについて略偏平三角形状の領域だけ後方側に延長・拡大化してエクステンションガラス部8としているのに対して、この第2の実施の形態では、図4に示した略偏平三角形状の領域のうちそのごく一部のみを後方側に延長・拡大化して、図4に比べて面積が著しく小さなエクステンションガラス部8aとしたものである。ただし、エクステンションガラス部8aの面積が図4のものと比べて小さいものであっても、パーテイションウエザーストリップ16の後辺部16aについてベース部9延長・拡大化した量は図4のものと同一であり、結果として図9のA−A線に沿う断面形状も図5のものと全く同一のものとなる。
【0042】
この第2の実施の形態においても先の第1の実施の形態と同様の効果が得られることはもちろんのこと、エクステンションガラス部8aの領域を著しく小さくできる利点がある。
【0043】
図10,11は本発明に係るウエザーストリップの取付構造の第3の実施の形態を示す図で、図4,5に示した先の第1の実施形態と共通する部分には同一符号を付してある。
【0044】
この第3の実施の形態では、エクステンションガラス部8およびそれに相当する位置にて当該エクステンションガラス8と重なり合うベース部9にそれぞれ位置決め穴14,15を形成する一方、ベース部9の一部には上記位置決め穴14,15に挿入可能なクリップ17を予め一体に形成してある。クリップ17の先端には予め抜け止め用の大径の頭部17aを形成してある。そして、パーテイションウエザーストリップ16をパーテイションガラス13に嵌合保持させた後に、図12に示すようにクリップ17を折り返して位置決め穴14,15に嵌合させることで両者の相対位置決めを行うようになっている。
【0045】
この第3の実施の形態によれば、クリップ17があるためにパーテイションガラス13からのパーテイションウエザーストリップ16の抜け止め効果が期待できるほか、クリップ17による圧締保持力によってベース部9がエクステンションガラス13をくわえ込む力が大きくなって、その保持力向上効果も一段と期待できるようになる。
【0046】
図13,14は本発明に係るウエザーストリップの取付構造の第4の実施の形態を示す図で、図10〜12に示した先の第1の実施形態と共通する部分には同一符号を付してある。
【0047】
この第4の実施の形態では、図11のようなベース部9の一部に一体に形成されたクリップ17に代えて、図13,14に示すように、ベース部9とは別に独立したクリップ18を採用したものである。この第4の実施の形態においても図10〜12に示した第3の実施の形態のものと同様の効果が得られることになる。
【0048】
ここで、図10〜14に示したクリップ17または18による位置決め構造は、図9に示したエクステンションガラス部8aにも同様に適用できることは言うまでもない。
【0049】
図15〜17は本発明に係るウエザーストリップの取付構造の第5,第6の実施の形態を示す図で、図10〜14に示した先の第3,第4の実施の形態と共通する部分には同一符号を付してある。
【0050】
この図15,16に示した第5の実施の形態では、エクステンションガラス部8または8aを有していない図2と同様の既存のパーテイションガラス3に位置決め穴24を形成する一方、ベース部9が延長・拡大化されていないパーテイションウエザーストリップ6のベース部9に位置決め穴25とともに図11,12と同様にクリップ17を予め一体に形成しておき、位置決め穴24,25へのクリップ17の挿入による位置決め方式を採用したものである。
【0051】
また、図17に示した第6の実施の形態では、図16の構造を前提に、図13,14と同様の予め独立しているクリップ18による位置決め方式を採用したものである。
【0052】
これらの第5,第6の実施の形態においても先の第1〜第4の実施の形態と同様の効果が得られるほか、特に第5,第6の実施の形態においてはパーテイションガラス3およびパーテイションウエザーストリップ8のベース部9ともにこれを延長・拡大化する必要がない利点がある。
【0053】
図18は本発明に係るウエザーストリップの取付構造の第7の実施の形態を示す図で、図4,5に示した第1の実施の形態と共通する部分には同一符号を付してある。
【0054】
図18に示した第7の実施の形態では、図4と比較すると明らかなように、パーテイションガラス13のエクステンションガラス部8およびパーテイションウエザーストリップ16のベース部9共に、その後端縁が後方側に向かって凸形状となるように滑らかに湾曲した円弧状形状としてある。したがって、図18のA−A線に沿う断面での形状は図5に示したものと全く同一形状となる。
【0055】
この第7の実施の形態によれば、パーテイションウエザーストリップ16の後辺相当部16aにおいて、意匠部たる突出部10の周長をあたかも最短距離でショートカットしようとする方向の張力が作用するようになり、図4,5に示した第1の実施の形態のものと同様の効果が得られることになる。
【0056】
ここで、これまでの各実施の形態では、リアドアにおけるパーテイションガラス3または13に嵌合保持されるパーテイションウエザーストリップ6または16を例にとって説明したが、先に特許文献1として例示したようなパーテイションウエザーストリップ以外のウエザーストリップにも同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0057】
3…パーテイションガラス
4…ドアサッシュ
4a…後辺部
5…パーテイションサッシュ
6…パーテイションウエザーストリップ
6a…後辺相当部
8…エクステンションガラス部
8a…エクステンションガラス部
9…ベース部
10…突出部(意匠部)
13…パーテイションガラス
13a…後辺相当部
14…位置決め穴
15…位置決め穴
16…パーテイションウエザーストリップ
16a…後辺相当部
17…クリップ
18…クリップ
24…位置決め穴
25…位置決め穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定式のウインドガラスの周囲に装着されるウエザーストリップの取付構造にして、ウインドガラスを有する窓枠部材の特定辺部の造形がガラス領域側に向かって凸形状となっているものに適用されるウエザーストリップの取付構造であって、
上記ウインドガラスの周囲にウエザーストリップが閉ループ状に後付けにて嵌合保持されていて、
上記ウインドガラスのうち窓枠部材の特定辺部に沿う部分では、少なくともその一部を反ウインドガラス領域側に延長してエクステンションガラス部を形成してある一方、
上記ウエザーストリップのうち窓枠部材の特定辺部に沿う部分では、エクステンションガラス部の分だけ当該エクステンションガラス部を表裏両面からくわえ込むベース部の嵌合保持量が延長されて他の部位よりも大きく設定されていて、
この嵌合保持量が延長されたベース部をエクステンションガラス部とともに窓枠部材の特定辺部の幅寸法内に収めてあることを特徴とするウエザーストリップの取付構造。
【請求項2】
固定式のウインドガラスの周囲に装着されるウエザーストリップの取付構造にして、ウインドガラスを有する窓枠部材の特定辺部の造形がガラス領域側に向かって凸形状となっているものに適用されるウエザーストリップの取付構造であって、
上記ウインドガラスの周囲にウエザーストリップが閉ループ状に後付けにて嵌合保持されていて、
上記ウエザーストリップのうち窓枠部材の特定辺部に沿う部分では、ウインドガラスの該当部分を表裏両面からくわえ込みながら窓枠部材の特定辺部の幅寸法内に収められるベース部と、そのベース部の先端に形成されて外部に露出する意匠部と、を備えているとともに、上記ウインドガラスの一部とそれに対応する対応するベース部にそれぞれ位置決め穴を形成してあり、
これらの位置決め穴にクリップを挿入して、ウインドガラスとベース部との位置決めを施してあることを特徴とするウエザーストリップの取付構造。
【請求項3】
上記クリップは予めベース部と一体に形成してあることを特徴とする請求項2に記載のウエザーストリップの取付構造。
【請求項4】
パーテイションガラスを有するドアサッシュの後辺部の造形がガラス領域側に向かって凸形状となっているドアに適用されるパーテイションウエザーストリップの取付構造であって、
上記パーテイションガラスの周囲にパーテイションウエザーストリップが後付けにて閉ループ状に嵌合保持されていて、
上記パーテイションガラスのうちドアサッシュの後辺部に沿う部分では、少なくともその一部を後方側に延長してエクステンションガラス部を形成してある一方、
上記パーテイションウエザーストリップのうちドアサッシュの後辺部に沿う部分では、エクステンションガラス部の分だけ当該エクステンションガラス部を表裏両面からくわえ込むベース部の嵌合保持量が延長されて他の部位よりも大きく設定されていて、
この嵌合保持量が延長されたベース部をエクステンションガラス部とともにドアサッシュの後辺部の幅寸法内に収めてあることを特徴とするパーテイションウエザーストリップの取付構造。
【請求項5】
上記パーテイションウエザーストリップのうちドアサッシュの後辺部に沿う部分では、外部に露出する意匠部がベース部の先端に形成されていて、
上記意匠部以外のベース部をエクステンションガラス部とともにドアサッシュの後辺部の幅寸法内に収めてあることを特徴とする請求項4に記載のパーテイションウエザーストリップの取付構造。
【請求項6】
上記エクステンションガラス部とそれに対応するベース部にそれぞれ位置決め穴を形成し、
これらの位置決め穴にクリップを挿入して、エクステンションガラス部とベース部との位置決めを施してあることを特徴とする請求項5に記載のパーテイションウエザーストリップの取付構造。
【請求項7】
上記クリップは予めベース部と一体に形成してあることを特徴とする請求項6に記載のパーテイションウエザーストリップの取付構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2012−224212(P2012−224212A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93652(P2011−93652)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000158840)鬼怒川ゴム工業株式会社 (171)
【Fターム(参考)】