説明

ウエットシート包装体

【課題】ファッション性が良く、ゴミの減容化や低減が可能で平面置きあるいは自立置きのいずれでも使用できる使い勝手の良いウエットシート包装体を提供する。
【解決手段】フィルムまたはシートからなる自立タイプの袋体の内部に連続取り出し可能としたウエットシート5を収容した状態で、当該袋体の周縁部をシールした構成とする。袋体の上部には、少なくとも一側縁部21または上縁部22に開封用のノッチ6を形成し、このノッチ6よりもウエットシート5の収納されている側に位置する袋体内面部分に密閉用のジッパー7を設ける。このジッパー7によって密閉されるウエットシート5収納部の上部側に、ウエットシート5を外部に取り出すための取り出し口部材8を装着し、この取り出し口部材8に、袋体内部に収納されているウエットシート5の乾燥を防止するキャップ9を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自立タイプの袋体の内部にウエットシート(化粧料シートを含む)を収容したウエットシート包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
不織布製のシートにアルコールなどの液体成分を含浸させたウエットシート(化粧料成分を含浸させた化粧料シートを含む)は、清拭や化粧などに使用される衛生用品として周知である。このようなウエットシートは、使用するまでに乾燥してしまわないように気密性を有する袋や容器に収容されたウエットシート包装体として提供されるのが通例である。
【0003】
このようなウエットシート包装体としては、従来、主として2つのタイプが存在する。一つは、携帯に便利な袋タイプのもので、プラスチックフィルム或いはこれにアルミニウム箔などを積層(ラミネート)してなる複合フィルムを用いて、その両サイドを熱融着によりシールして袋状とし、これにウエットシートを収納して密封した、いわゆる両サイド平面熱融着シールピロー包装品などである。このタイプには、飲食店などで客に提供される使い捨てタイプのウエットティシュ包装体も含まれる。
【0004】
もう一つは、主に住居や車内などで使用される円筒容器タイプのもので、プラスチック製の有底円筒容器(ブロー成形品)にロール状のウエットシートを入れ、その開口端側に、内部に収納されたウエットシートの乾燥を防止しつつ当該シートを一定の長さ分ずつ取り出せるように工夫した蓋を装着したものである(例えば特許文献1参照)。この円筒容器タイプのものは、通常はウエットシートを収容した容器を立てた状態にして置いておき、その上部の蓋に設けられたシート取り出し口からウエットシートを一定長さ分ずつ引き出して使用するようになっており、ロール状のウエットシートが無くなるまで使用できて使い勝手が良いというメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−355340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように従来のウエットシート包装体には、携帯され或いは一回で使い捨てられることを前提とした袋タイプのものと、住居等での使用を想定した円筒容器タイプのものとがあるが、これまではどちらかというと前者の携帯タイプのウエットシート包装体の使用頻度が高かった。このような携帯用等の袋タイプのウエットシート包装体ではファッション性(デザイン性)が重視されるが、最近では住居等でウエットシートが使用される場合も多くなっていることから、そのような場所で使用されるウエットシート包装体にもファッション性が要求されるようになってきた。
【0007】
ところが、従来の円筒容器タイプのウエットシート包装体においては、ロール状に巻かれたウエットシートを、その乾燥を防止しつつ如何にして所定量ずつスムーズに容器内から取り出せるようにするか、言い換えれば如何にして使い勝手を良くするかといった機能面に重点が置かれており、ファッション性については殆ど考慮されていなかった。
【0008】
また、最近では環境保全の観点からゴミを如何に少なくするか、つまりゴミの減容化が重要な課題となっているが、上述したようなプラスチックのブロー成形品からなる従来の円筒容器タイプのウエットシート包装体では、袋タイプのものと比べるとプラスチックの使用量が相対的に多いのみならず、使用済み容器の減容化も困難であるという問題があった。
【0009】
一方、従来の袋タイプのウエットシート包装体では、ウエットシートを使用する際、その都度袋を破って中のウエットシートを取り出さなければならい。すなわち、円筒容器タイプのウエットシート包装体のように必要なウエットシートのみを素早く取り出すことができないため、家庭等での使い勝手が円筒容器タイプのものに比べると劣る。またウエットシートを収納していた袋もゴミとして捨てられるため、使用済みのウエットシート以外に余分なゴミが発生するという問題がある。
【0010】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたもので、使い勝手が良いだけでなくファッション性も良く、しかもゴミの減容化や低減が可能で平面置き(寝かせた状態)あるいは自立置き(立てた状態)のいずれでも使用できるウエットシート包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明のウエットシート包装体は、以下のように構成したものである。
【0012】
すなわち、フィルムまたはシートからなる自立タイプの袋体を有し、この袋体の内部に連続取り出し可能としたウエットシートを収容した状態で、当該袋体の周縁部をシールした構成とする。袋体の上部には、少なくとも一側縁部または上縁部に開封用のノッチを形成する。このノッチよりもウエットシートの収納されている側に位置する袋体内面部分に密閉用のジッパーを設ける。このジッパーによって密閉されるウエットシート収納部の上部側に、ウエットシートを外部に取り出すための取り出し口部材を装着する。この取り出し口部材には、袋体内部に収納されているウエットシートの乾燥を防止するキャップを備える。
【0013】
ここで、袋体における一方の側縁部の上部側を他方の側縁部側に向けて所定角度だけ傾斜した傾斜部とし、この傾斜部に、前記キャップを備えた取り出し口部材を装着した構成とするのが望ましい。
【0014】
前記キャップを備えた取り出し口部材は、袋体に設けられた取り付け孔に装着されて前記キャップによって取り出し口が閉じられる外筒部材と、この外筒部材に袋体内部側から挿入されて嵌合される内筒部材とで構成することができる。その場合、外筒部材に前記キャップを連結し、内筒部材に、その筒内を袋体の内部側と外部側とに区画する隔壁部を設け、この隔壁部にウエットシート引き出し用のスリット部を形成する。
【0015】
また、前記キャップを備えた取り出し口部材を、前記キャップを連結した筒部材で構成し、この筒部材に、その筒内を袋体の内部側と外部側とに区画する隔壁部を設け、この隔壁部にウエットシート引き出し用のスリット部を形成した構成としてもよい。
【0016】
以上は、袋体における一方の側縁部の上部側を傾斜部とし、この部分に、乾燥防止用のキャップを備えた取り出し口部材を装着した場合の構成であるが、このような構成の一部を変更して、下記のような内蓋を備えた構成とすることもできる。
【0017】
すなわち、フィルムまたはシートからなる自立タイプの袋体を有し、この袋体の内部にロール状に巻かれたウエットシートを収容した状態で、当該袋体の周縁部がシールした構成とする。この袋体の上部には、少なくとも一側縁部または上縁部に開封用のノッチを形成する。このノッチよりもウエットシートの収納されている側に位置する袋体内面部分に密閉用のジッパーを設ける。そして、袋体の内部に、当該内部空間をウエットシートの収納されている側の空間とジッパー側の空間とに区画する内蓋を設け、この内蓋に、ウエットシートを外部に取り出すための取り出し口を設けた構成とする。
【0018】
この場合、前記取り出し口に、この部分をウエットシートの収納されている側とジッパー側とに区画する隔壁部を設け、この隔壁部にウエットシート引き出し用のスリット部を形成した構成とするのが望ましい。
【0019】
本発明のウエットシート包装体では自立タイプの袋体を使用するが、自立タイプとするための具体的な構造としては、袋体の底部や側縁部にガゼット部を設けた構成とすることができる。
【0020】
本発明のウエットシート包装体においては、連続取り出し可能としたウエットシートとして、ロール状に巻いたウエットシートや、シート長手方向において一定間隔ごとに交互に逆方向に折り畳んだウエットシートを用いることができる。これらのウエットシートにおいては、取り出し口部材(取り出し口)から外側に引き出したときに一定の長さのところで切れるように、シート長手方向において一定間隔ごとに幅方向にいわゆるミシン目(切れ目、破断線)を形成しておくのが望ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明のウエットシート包装体を使用する際には、まず袋体上部のノッチ部分を切り裂くか引き裂いた上で密閉用のジッパーを操作して当該袋体の上部を開封する。そして、袋体内部のウエットシートの先端側を取り出し口部材または内蓋の取り出し口に挿通して少しだけ引き出した状態にセットし、その状態で取り出し口部材にキャップを被せたうえでジッパーを閉じ操作して袋体の上部を閉じる(図2等参照)、または内蓋の上方にあるジッパーを閉じ操作して袋体の上部を閉じる(図12参照)。
【0022】
このようにすると、ウエットシート包装体を取り出すための取り出し口部材がキャップによって閉鎖されるとともに、袋体上部がジッパーによって閉じられた状態となるので、袋体の内部に収納されているウエットシートの乾燥を防止することができる。また、開封するまでは袋体の周縁部がシールされた状態となっているので内部のウエットシートが乾燥することはない。
【0023】
本発明のウエットシート包装体は、上記のようにした状態でキャップを外し、取り出し口部材から外側にわずかに出ているウエットシートの先端部分を必要分だけ引き出して使用することができる。また、内蓋を備えたものでは、袋体上部のジッパーを操作して当該上部側を開き、内蓋の取り出し口から少しだけ出ているウエットシートの先端部分を必要分だけ引き出して使用することができる。
【0024】
このように本発明のウエットシート包装体においては、取り出し口からウエットシートを引き出すことで必要な分だけウエットシートを簡単に取り出すことができるので、従来の袋タイプのウエットシート包装体のようにウエットシートを取り出す際にその都度袋を破ったりする必要がなく、破った袋をゴミとして捨てることもない。したがって、従来の袋タイプのものに比べて使い勝手が良く、使用の都度ゴミが生じることもない。また、ウエットシートを使い切った場合には袋体のみを廃棄すればよいから、従来のプラスチック製の円筒容器を使用したウエットシート包装体と比べてゴミの発生量が少ないだけでなく、ゴミの減容化の点でも優れている。
【0025】
本発明のウエットシート包装体は、フィルムまたはシートからなる自立タイプの袋体の内部にウエットシートを収容した構成であるので、平面置き(寝かせた状態)あるいは自立置き(立てた状態)のいずれでも使用でき、その点でも使い勝手が良い。また、自立タイプの袋体を使用したウエットシート包装体は商品としても目新しく、ファッション性の点でも優れている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例1に係るウエットシート包装体の全体構造(未使用状態)を示す正面図である。
【図2】本発明の実施例1に係るウエットシート包装体の全体構造(使用可能状態)を示す正面図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】図2のB−B線断面図である。
【図5】上記ウエットシート包装体におけるキャップを開けた状態を示す斜視図である。
【図6】上記のウエットシート包装体において取り出し口部材からウエットシートの一部を引き出したときにそのミシン目部分で切れた状態を示す部分側面図である。
【図7】上記ウエットシート包装体における袋体の構成要素を示す分解斜視図である。
【図8】本発明の実施例2に係るウエットシート包装体の正面図である。
【図9】その使用可能状態における上部側の断面を拡大して示す縦断面図である。
【図10】その中央縦断表面図である。
【図11】本発明の実施例3に係るウエットシート包装体の正面図である。
【図12】その上部の断面を拡大して示す部分縦断面図である。
【図13】本発明の実施例4に係るウエットシート包装体の袋体上部の構造を示す正面図である。
【図14】本発明の実施例5に係るウエットシート包装体の取り出し口部品の周辺構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0028】
図1および図2は、本発明の実施例1に係るウエットシート包装体の全体構造を示すもので、このうち図1は開封前の未使用状態のもの(出荷時のもの)を示し、図2は開封後の使用状態(使用可能状態)のものを示す。
【0029】
これらの図に示すように、本実施例に係るウエットシート包装体1は、プラスチック製フィルムを主体とした気密性を有するラミネートフィルムからなる自立タイプ(スタンディングタイプ)の袋体2を有する。この袋体2は胴部3と底部4とからなり、図3にも示すように、底部4にガゼット部Gが設けられて、当該底部4が平面視(図1および図3において図中の上方側から見た状態)で二次元の形状を有していることにより自立可能とされている。なお、袋体2を形成している素材等や製袋方法については後述する。
【0030】
袋体2の内部にはロール状に巻かれたウエットシート5が収容されており、その状態で当該袋体2の周縁部がシール(ここではヒートシール)されていることにより、袋体2の内部が気密・液密の状態に保たれた構造となっている。
【0031】
袋体2の上部には、その一側縁部21に開封用のノッチ6が形成されているとともに、このノッチ6よりもウエットシート5の収納されている側に位置する袋体内面部分に、袋体2の上縁部22に沿って幅方向に延びる密閉用のジッパー7が設けられている。このジッパー7はプラスチック材で形成され、図4に示すように、上述した幅方向に延びる凹条部分71と、これに係脱可能な凸条部分72とからなる。そして、これらを係脱させることで開閉操作が可能とされている。
【0032】
袋体2の一方の側縁部23の上部側は、他方の上記一側縁部21側に向けて所定角度(例えば仰角が45〜70となるような角度)だけ傾斜した傾斜部24とされており、この傾斜部24に設けた所定の取り付け孔25に、袋体内部のウエットシート5の一端側を外部に取り出すための取り出し口部材8が装着されている。
【0033】
この取り出し口部材8は、袋体2に設けられた取り付け孔25に装着されたプラスチック製の外筒部材81と、この外筒部材81に袋体内部側から挿入されて嵌合されたプラスチック製の内筒部材82とを有する。このうちの外筒部材81には、その外側の開口端を閉じることで袋体内部に収納されているウエットシート5の乾燥を防止するキャップ9が備えられている。このキャップ9は、図示例では外筒部材81にヒンジ81a部を介して連結されている。さらに、外筒部材81の外周側にはフランジ部81bが形成されており、袋体2の傾斜部24に設けた取り付け孔25に外筒部材81を装着した状態で当該取り付け孔25を囲む袋体外面側部に前記フランジ部81bが当接する構造となっている。なお、図示例の外筒部材81、キャップ9およびヒンジ部81a部は一体成形により形成されたものである。
【0034】
一方、内筒部材82には、図6に拡大して示すように、その筒内を袋体2の内部側と外部側とに区画する隔壁部82aが設けられており、この隔壁部82aにウエットシート引き出し用のスリット部82bが形成されている。そして、袋体内部に収容する連続取り出し可能としたウエットシート(図示例ではロール状に巻いたウエットシート)5として、当該シートの長手方向に一定間隔ごとに短手方向に延びるいわゆるミシン目(切断されるべき部分としてのミシン目)を入れたものを使用した場合(本実施例でもこのようなミシン目を入れたウエットシートが使用されている)において、その先端側をスリット部82bを通じて所定量だけ引き出した際に当該スリット部82bとウエットシート5との間で生じる摩擦抵抗により、当該スリット部82bを通過した直後のミシン目部分で、引き出したウエットシート部分が切れて分離されるようになっている。なお、内筒部材82の袋体内部側位置する端部にもフランジ部82cが設けられており、このフランジ部82cと上記外筒部材のフランジ部81bとで袋体2の側縁部23が挟持されるようになっている。
【0035】
ここで、上記の袋体2の製袋方法について簡単に説明する。上記の袋体は、図7に示すように、その大部分を形成するラミネートフィルムからなる一対の胴部3・3と、同じくラミネートフィルムからなる底部4との3つのピースで構成されている。これらの胴部3・3および底部4をそれぞれ形成している各ラミネートフィルムの内面側は熱融着が可能なシーラント層とされている。そして、図7に示すように一対の胴部3・3間に底部4および上述した取り出し口部材8およびジッパー7の凹条部分71と凸条部分72とを所定の位置関係で配置した状態で、両胴部3・3の周縁部をヒートシールすることにより、上述の構成を有する自立タイプの袋体2としたものである。なお、底部4のシールはガゼット部Gを形成するために、いわゆる船底シールとされている。すなわち、図7に示すように一対の胴部3・3間に配置した底部4をその中央で山形に折ってセットした状態で、図2および図3に示すように、一方の胴部3の下端部内面側にこれと対向する底部面の下端側を熱融着するとともに、他方の胴部3の下部内面側にこれと対向する底部面の下端側を熱融着し、さらに袋体2の両側縁部21・23の位置で両胴部3・3および底部4をスポット的に熱融着することで、上記のガゼット部Gを形成したものである。
【0036】
上記のウエットシート包装体1は、図1に示すような状態で市場に出荷される。この状態では、袋体2の周縁部が全周にわたってシールされているとともに取り出し口部材8にキャップ9が被着されていることにより、袋体内部の気密性が確保されているので、袋体内部のウエットシート5が乾燥してしまうことが防止される。また、袋体2の内部に連続取り出し可能に収納されたロール状のウエットシート5は、その中心側の端部をある程度引き出して、その部分を、取り出し口部材8を構成する内筒部材82のスリット部82bから隔壁部82aの出口側に突出させた状態とされている。取り出し口部材8を構成する外筒部材81と内筒部材82は分離した状態となっており、未だ一体化されていない。
【0037】
このウエットシート包装体1を使用するに当たっては、まず袋体上部のノッチ6の部分を切り裂くか引き裂いた上で密閉用のジッパー7を操作して袋体2の上部を開封する。そして、袋体内部のウエットシート5の先端側に装着されている内筒部材82を図2に示したように外筒部材81の内側に挿入して嵌合させ、さらに取り出し口部材8にキャップ9を被せた状態のままジッパー7を閉じ操作して袋体2の上部を閉じる。これにより、キャップ9を外して取り出し口部材8からウエットシート5の先端側を外部に引き出すだけで使用が可能な状態となるが、この使用可能状態においてもキャップ9を外さない限りは袋体2の内部が気密に保たれるので、内部のウエットシート5が乾燥することを防止できる。
【0038】
このような使用可能状態としたウエットシート包装体1から、実際にウエットシート5の一部を取り出して使用する場合には、図5に示すように、上記の取り出し口部材8に被せられているキャップ9を外して、取り出し口部材8から外側に出ているウエットシート5の先端部分をさらに外側に引き出す。このようにすると、図6に示すように取り出し口部材8における内筒部材82の隔壁部82aに設けたスリット部82bとウエットシート5との間で生じる摩擦抵抗により、当該スリット部82bを通過した直後のミシン目部分で、引き出したウエットシート5が切れて分離される。こうして一回分のウエットシートだけを簡単に引き出すことができる。
【0039】
このように本実施例のウエットシート包装体1においては、取り出し口部材8の取り出し口からウエットシート5の一部を引き出すことで必要な分だけのウエットシート5を簡単に取り出すことができる。したがって、従来の袋タイプのウエットシート包装体のようにウエットシートを取り出す際にその都度袋を破ったりする必要がなく、破った袋をゴミとして捨てることもない。すなわち、従来の袋タイプのものに比べて使い勝手が良く、使用の都度ゴミが生じることもない。また、ウエットシートを使い切った場合には袋体のみを廃棄すればよいから、従来のプラスチック製の円筒容器を使用したウエットシート包装体と比べてもゴミの発生量が少ないだけでなく、ゴミの減容化を図れる点で優れている。
【0040】
さらに、本実施例のウエットシート包装体1は、底部4にガゼット部Gが設けられて自立可能とされた袋体2の内部にロール状に巻かれたウエットシート5を収容した構成であるので、平面置き(寝かせた状態)あるいは自立置き(立てた状態)のいずれでも使用でき、その点でも使い勝手が良い。また、自立タイプの袋体2を使用したウエットシート包装体1は商品としても目新しく、ファッション性に優れているという利点を有する。
【0041】
加えて、本実施例のウエットシート包装体1においては、袋体2の一方の側縁部23の上部側を所定角度の傾斜部24とし、この傾斜部24に設けた所定の取り付け孔25に取り出し口部材8が装着されていることにより、図1等に示したように自立置きとした状態においてウエットシート5の先端側を取り出す際にも袋体2が安定し、したがってウエットシート2の一部を引き出しやすいというメリットがある。
【実施例2】
【0042】
図8ないし図10は、本発明の実施例2に係るウエットシート包装体1を示したものである。このウエットシート包装体1においては、袋体を2構成している一方の胴部3(31)の幅方向中央部に、袋体内部のウエットシート5の一部を外部に取り出すための取り出し口部材8が装着されている点が、上述した実施例1のウエットシート包装体1の構成と異なる。それ以外は、実施例1の場合と同様であって実施例1で述べた説明がそのまま当てはまるので、その他の部分は実施例1の場合と同様の符号を付してその説明を省略する。
【実施例3】
【0043】
図11および図12に、本発明の実施例3に係るウエットシート包装体1を示す。これらの図に示すように、本実施例に係るウエットシート包装体1は、プラスチック製フィルムを主体とした気密性を有するラミネートフィルムからなる自立タイプ(スタンディングタイプ)の袋体2を有する。この袋体2は胴部3と底部とからなり、このうの底部4にガゼット部Gが設けられて、当該底部4が平面視で二次元の形状を有していることにより自立可能となっている。
【0044】
袋体2の内部にはロール状に巻かれたウエットシート5が収容されており、その状態で当該袋体2の周縁部がシール(ここではヒートシール)されていることにより、袋体2の内部が気密・液密の状態に保たれた構造となっている。
【0045】
袋体2の上部には、その一側縁部21に開封用のノッチ6が形成されているとともに、このノッチ6よりもウエットシート5の収納されている側に位置する袋体内面部分に、袋体2の上縁部22に沿って幅方向に延びる密閉用のジッパー7が設けられている。このジッパー7の構成は実施例1の場合と同様であるので、対応する部分に同符号を付してその説明を省略する。
【0046】
以上の構成は、実施例1のウエットシート包装体1と同じであるが、下記の構成が実施例1の場合と異なる。すなわち、本実施例に係るウエットシート包装体1においては、袋体2の内部に、当該内部空間をウエットシート5の収納されている側の空間とジッパー側の空間とに区画する内蓋10が設けられており、この内蓋10に、ウエットシート5の一端側を外部に引き出して取り出すための取り出し口11が設けられている。そして、この取り出し口11には、この部分をウエットシート5の収納されている側とジッパー7側とに区画する隔壁部11aが設けられており、この隔壁部11aにウエットシート引き出し用のスリット部11bが形成されている。この場合の隔壁部11aおよびスリット部11bの構成は、実施例1における場合と同様である。
【0047】
本実施例のウエットシート包装体1を使用する際には、まず袋体上部のノッチ6の部分を切り裂くか引き裂いた上で密閉用のジッパー7を操作して当該袋体2の上部を開封する。そして、袋体内部のウエットシート5の先端側を内蓋10の取り出し口11に挿通して隔壁部11aにおけるスリット部11bから外側に少しだけ引き出した状態にセットする。この引き出されたウエットシート5の先端部分をさらに外側に引き出すと、実施例1の場合と同様に、取り出し口11における隔壁部11aに設けたスリット部11bとウエットシート5との間で生じる摩擦抵抗により、当該スリット部11bを通過した直後のミシン目部分で、引き出したウエットシート5が切れて分離される。こうして一回分のウエットシート5だけを簡単に引き出すことができる。使用後は内部のウエットシート5が乾燥してしまわないようにジッパー7を閉じ操作して袋体上部の開口部を閉じておく。
【0048】
このように本実施例のウエットシート包装体1においては、袋体内の内蓋10に設けた取り出し口11からウエットシート5の一端側を外側に引き出すことで一回分のウエットシート5を簡単に取り出すことができる。したがって、従来の袋タイプのウエットシート包装体のようにウエットシートを取り出す際にその都度袋を破ったりする必要がなく、破った袋をゴミとして捨てることもない。すなわち、従来の袋タイプのものに比べて使い勝手が良く、使用の都度ゴミが生じることもない。また、ウエットシートを使い切った場合には袋体のみを廃棄すればよいから、従来のプラスチック製の円筒容器を使用したウエットシート包装体と比べてもゴミの発生量が少ないだけでなく、ゴミの減容化を図れる点で優れている。
【0049】
さらに、本実施例のウエットシート包装体1は、底部4にガゼット部Gが設けられて自立可能とされた袋体2の内部にロール状のウエットシート5を収容した構成であるので、平面置き(寝かせた状態)あるいは自立置き(立てた状態)のいずれでも使用でき、その点でも使い勝手が良い。また、自立タイプの袋体2を使用したウエットシート包装体5は商品としても目新しく、ファッション性に優れているという利点を有する。
【実施例4】
【0050】
図13は、本発明の実施例4に係るウエットシート包装体1の上部側の構造を示す。このウエットシート包装体1においては、袋体2の上縁部22にノッチ6が形成されており、このノッチ6よりもウエットシート収納部側に位置する袋体2の内面部分に、上縁部22から一方の側縁部(すなわちウエットシート5を取り出すための取り出し口部材8が設けられている側縁部23とは反対側の側縁部)21に至る密閉用のジッパー7が設けられている。そして、このジッパー7を開閉操作することで、当該ジッパー7の設けられている側の袋体2の上部を必要に応じて開閉できるようにっている。その他の構成は実施例1の場合と同様であるので、対応する部分に同符号を付してその説明を省略する。
【実施例5】
【0051】
図14は、本発明の実施例5に係るウエットシート包装体1の上部の傾斜部24に設けられた取り出し口部材の周辺部の構造を示す。このウエットシート包装体1においては、袋体内部のウエットシート5の一部を外部に引き出して取り出すための取り出し口部材は、乾燥防止用のキャップ9とその連結手段であるヒンジ部19を一体に形成してなる一つの筒部材18で構成されている。そして、この筒部材18に、筒内を袋体2の内部側と外部側とに区画する隔壁部18aが設けられており、この隔壁部18aに実施例1等の場合と同様のウエットシート引き出し用のスリット部8bが形成されている。その他の構成は実施例1の場合と同様であるので、対応する部分に同符号を付してその説明を省略する。
【0052】
この実施例5のウエットシート包装体1においては、取り出し口部材が一つの筒部材18で構成されているので、実施例1のように外筒部材81と内筒部材82の2つの部材からなる取り出し口部材に比べると構造が簡素であり、製造コストが安いというメリットがある。
【0053】
以上の各実施例では、袋体内に連続取り出し可能に収納されるウエットシートとして、ロール状に巻かれたウエットシートを使用したが、シート長手方向において一定間隔ごとに交互に逆方向に折り畳んだウエットシートを用いることもできる。このような折り畳んだウエットシートにおいても、上述したロール状のウエットシートの場合と同様のミシン目(切れ目、破断線)を形成しておくのが望ましい。
【符号の説明】
【0054】
1 ウエットシート包装体
2 袋体
3 袋体の胴部
4 袋体の底部
5 ウエットシート
6 ノッチ
7 ジッパー
8 取り出し口部材
81 外筒部材
82 内筒部材
82a 内筒部材における隔壁部
82b 内筒部材におけるスリット部
9 キャップ
10 内蓋
11 取り出し口
11a 取り出し口における隔壁部
11b 取り出し口におるけスリット部
21 袋体の一側縁部
22 袋体の上縁部
23 袋体の他側縁部
G ガゼット部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムまたはシートからなる自立タイプの袋体を有し、
この袋体の内部に連続取り出し可能としたウエットシートを収容した状態で、当該袋体の周縁部がシールされており、
袋体の上部には、少なくとも一側縁部または上縁部に開封用のノッチが形成されており、
このノッチよりもウエットシートの収納されている側に位置する袋体内面部分に、密閉用のジッパーが設けられており、
このジッパーによって密閉されるウエットシート収納部の上部側に、ウエットシートを外部に取り出すための取り出し口部材が装着されており、
この取り出し口部材には、袋体内部に収納されているウエットシートの乾燥を防止するキャップが備えられていることを特徴とするウエットシート包装体。
【請求項2】
一方の側縁部の上部側が他方の側縁部側に向けて所定角度だけ傾斜した傾斜部とされており、この傾斜部に、前記キャップを備えた取り出し口部材が装着されている、請求項1記載のウエットシート包装体。
【請求項3】
前記キャップを備えた取り出し口部材は、袋体に設けられた取り付け孔に装着されて前記キャップによって取り出し口が閉じられる外筒部材と、この外筒部材に袋体内部側から挿入されて嵌合される内筒部材とを有し、
外筒部材には前記キャップが連結されており、
内筒部材には、その筒内を袋体の内部側と外部側とに区画する隔壁部が設けられており、
この隔壁部にウエットシート引き出し用のスリット部が形成されている、請求項1または2記載のウエットシート包装体。
【請求項4】
前記キャップを備えた取り出し口部材は、前記キャップを連結した筒部材で構成されており、
この筒部材には、筒内を袋体の内部側と外部側とに区画する隔壁部が設けられており、
この隔壁部にウエットシート引き出し用のスリット部が形成されている、請求項1または2記載のウエットシート包装体。
【請求項5】
フィルムまたはシートからなる自立タイプの袋体を有し、
この袋体の内部に連続取り出し可能としたウエットシートを収容した状態で、当該袋体の周縁部がシールされており、
袋体の上部には、少なくとも一側縁部または上縁部に開封用のノッチが形成されており、
このノッチよりもウエットシートの収納されている側に位置する袋体内面部分に、密閉用のジッパーが設けられており、
袋体の内部には、当該内部空間をウエットシートの収納されている側の空間とジッパー側の空間とに区画する内蓋が設けられており、
この内蓋に、ウエットシートを外部に取り出すための取り出し口が設けられていることを特徴とするウエットシート包装体。
【請求項6】
前記取り出し口には、この部分をウエットシートの収納されている側とジッパー側とに区画する隔壁部が設けられており、
この隔壁部にウエットシート引き出し用のスリット部が形成されている、請求項5記載のウエットシート包装体。
【請求項7】
袋体の底部にはガゼット部が設けられている、請求項1ないし6のいずれかに記載のウエットシート包装体。
【請求項8】
袋体の側縁部にはガゼット部が設けられている、請求項1ないし7のいずれかに記載のウエットシート包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−285173(P2010−285173A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−139208(P2009−139208)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【出願人】(504373864)明広商事株式会社 (43)
【Fターム(参考)】