説明

ウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物、及びウエハレベルレンズ

【課題】遮光性に優れた硬化膜を形成することができ、パターン形成時の硬化に必要な感度に優れたウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物を提供し、遮光膜の存在により光量が適切に調整され、簡易に製造しうるウエハレベルレンズを提供する。
【解決手段】(A)無機顔料、(B)重合開始剤、(C)重合性化合物、および(D)カルド樹脂を含有するウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に複数のレンズが配列されたウエハレベルレンズの遮光層形成に有用なウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物、及びそれを用いて得られた遮光膜を備えるウエハレベルレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)などの電子機器の携帯端末には、小型で薄型な撮像ユニットが搭載されている。このような撮像ユニットは、一般に、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの固体撮像素子と、該固体撮像素子上に被写体像を結像するレンズと、を備えている。
【0003】
携帯端末の小型化・薄型化、そして携帯端末の普及により、それに搭載される撮像ユニットにも更なる小型化・薄型化が要請され、そして生産性が要請される。かかる要請に対して、複数のレンズが形成されたレンズ基板と、複数の固体撮像素子が形成されたセンサ基板とを一体に組み合わせ、その後に、それぞれにレンズ及び固体撮像素子を含むようにレンズ基板及びセンサ基板を切断して撮像ユニットを量産する方法が知られている。また、レンズのみをガラスウエハ上等で作成し、個々のセンサと組み合わせるサイズに切断し、予め個片化された撮像素子と組み合わせて撮像ユニットを作成することができる。また、樹脂のみで金型で複数のレンズを形成し、これらをセンサ基板上に組み合わせ切断する方法、レンズを個々のセンサと組み合わせるサイズに切断し、予め個片化された撮像素子と組み合わせ、撮像ユニットを作成することができる。
【0004】
上述の撮像ユニットの作製に用いられる従来のウエハレベルレンズアレイとしては、ガラス等の光透過性材料で形成された平行平板の基板の表面に硬化性樹脂材料を滴下し、この樹脂材料を金型にて所定の形状に整形した状態で硬化させ、複数のレンズを形成したものが知られている(例えば特許文献1、2参照)。ウエハレベルレンズのレンズ部以外の領域、或いは、レンズの一部には、光の量を調整するため、黒色膜や金属膜などからなる遮光性の領域が形成されることがあり、一般には、硬化性の遮光性組成物を塗設したり、金属を蒸着したりすることで遮光性の領域が形成される。
【0005】
また、他のウエハレベルレンズアレイとして、シリコン基板に複数の貫通孔を形成し、別途形成した球体状のレンズ素材を各貫通孔に配置し、半田によりレンズ素材を基板に接合した後にレンズ素材を研磨して、複数のレンズを形成したものも知られている(特許文献3参照)。この製造方法で得られたレンズにおいても、光の量を調整するため、上記と同様の黒色膜や金属膜などにより形成された遮光性の領域を設けることがある。
【0006】
上記のように遮光性の領域を金属の蒸着により形成する場合、工程が煩雑であること、蒸着後にレンズが反ってしまうこと、金属遮光膜の反射に起因する光の散乱が起きることなどの問題点があり、生産性、性能の双方の観点から改善が求められている。
一方、遮光性の領域を形成する際に、LCDのブラックマトリックスなどに使用されるカーボンブラックを用いた感光性樹脂組成物(遮光性組成物)を塗設する方法が使用されることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3926380号公報
【特許文献2】国際公開2008/102648号パンフレット
【特許文献3】米国特許第6426829号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記問題点を考慮してなされた本発明の課題は、遮光性に優れた硬化膜を形成することができ、パターン形成時の硬化感度に優れたウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物を提供することにある。
また、本発明のさらなる課題は、本発明の黒色硬化性組成物を用いることで、遮光膜の存在により光量が適切に調整され、簡易に製造しうるウエハレベルレンズを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は鋭意検討の結果、紫外域の透過性、可視領域から赤外領域までの遮光性に優れ、更に硬化膜の硬度を高めた遮光膜を形成しうる黒色硬化性組成物を提供することにより、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成した。
<1> (A)無機顔料、(B)重合開始剤、(C)重合性化合物、および(D)カルド樹脂を含有するウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物。
【0010】
<2> 前記(A)無機顔料が、チタンブラックを含む<1>に記載のウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物。
<3> 前記(D)カルド樹脂が、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレア樹脂、及びポリイミド樹脂からなる群から選ばれ、且つ、フルオレン骨格を有する樹脂である<1>または<2>に記載のウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物。
【0011】
<4> 前記(D)カルド樹脂が有するフルオレン骨格が、下記構造である<3>に記載のウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物。
【0012】
【化1】

【0013】
<5> 前記(D)カルド樹脂が、チオール基含有化合物由来の構成単位を含むカルド樹脂である、<1>〜<4>のいずれか1項に記載のウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物。
<6> 前記(D)カルド樹脂におけるカルド構造が占める割合が、該(D)カルド樹脂全体の質量に対し30〜90質量%である、<1>〜<5>のいずれか1項に記載のウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物。
【0014】
<7> 前記(D)カルド樹脂が、少なくとも1種のカルド構造含有繰り返し単位のみからなる、<1>〜<6>のいずれか1項に記載のウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物。
<8> 前記(D)カルド樹脂が、少なくとも1種のカルド構造含有繰り返し単位と、少なくとも1種のカルド構造を含まない繰り返し単位とを含む、<1>〜<6>のいずれか1項に記載のウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物。
【0015】
<9> 前記(D)カルド樹脂の分子量が3000〜20000である、<1>〜<8>のいずれか1項に記載のウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物。
<10> 前記(B)重合開始剤が、オキシム系開始剤を含む<1>〜<9>のいずれか1項に記載のウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物。
【0016】
<11> さらに、(E)有機顔料を含有する<1>〜<10>のいずれか1項に記載のウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物。
<12> 基板と、基板上に存在するレンズと、該レンズの周縁部に設けられ、且つ<1>〜<10>のいずれか1項に記載のウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物を用いて得られた遮光膜と、を有するウエハレベルレンズ。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、遮光性に優れた硬化膜を形成することができ、パターン形成時の硬化感度に優れたウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物を提供することができる。
また、本発明の黒色硬化性組成物を用いることで、遮光膜の存在により光量が適切に調整され、簡易に製造しうるウエハレベルレンズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ウエハレベルレンズの構成の一例を示す平面図である。
【図2】図1に示すウエハレベルレンズの構成のA−A線断面図である。
【図3】基板にレンズを形成するための材料を供給している状態を示す図である。
【図4】図4A〜図4Cは、基板にレンズを型で成形する手順を示す図である。
【図5】図5A〜図5Cは、レンズが成形された基板にパターン状の遮光膜を形成する工程を示す概略図である。
【図6】ウエハレベルレンズの他の構成例を示す図である。
【図7】図7A〜図7Cは、遮光膜形成工程の他の態様を示す概略図である。
【図8】図8A〜図8Cは、パターン状の遮光層を有する基板にレンズを成形する工程を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明のウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物(以下、適宜「黒色硬化性組成物」と称する。)、該黒色硬化性組成物を用いた遮光膜を備えるウエハレベルレンズについて詳細に説明する。
<黒色硬化性組成物>
本発明のウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物は、(A)無機顔料、(B)重合開始剤、(C)重合性化合物、および(D)カルド樹脂を含有することを特徴とする。以下、本発明のウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物に含まれる各成分について順次説明する。
【0020】
<(A)無機顔料>
本発明に用いられる(A)無機顔料としては、可視光から赤外線までの遮光性を発現するべく、可視光領域から赤外線領域まで吸光度を有する顔料が好ましい。(A)無機顔料としては、金属単体からなる顔料、金属酸化物、金属錯塩等から選ばれる金属化合物からなる顔料などを挙げることができる。
具体的には、例えば、亜鉛華、鉛白、リトポン、酸化チタン、酸化クロム、酸化鉄、沈降性硫酸バリウム、バライト粉、鉛丹、酸化鉄赤、黄鉛、亜鉛黄(亜鉛黄1種、亜鉛黄2種)、ウルトラマリン青、プロシア青(フェロシアン化鉄カリ)、ジルコングレー、プラセオジムイエロー、クロムチタンイエロー、クロムグリーン、ピーコック、ビクトリアグリーン、紺青(プルシアンブルーとは無関係)、バナジウムジルコニウム青、クロム錫ピンク、陶試紅、およびサーモンピンク等が挙げられる。また、黒色の無機顔料としては、Co、Cr、Cu、Mn、Ru、Fe、Ni、Sn、Ti及びAgからなる群より選ばれた1種又は2種以上の金属元素を含む金属酸化物、金属窒素物が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、また、2種以上の混合物として用いることもできる。
特に、可視光領域から赤外線領域までの広い波長域での遮光性を実現する目的で、単独のみならず、複数種の顔料を混合し、使用することが可能である。
【0021】
また、遮光性と硬化性の観点から、銀又は錫の金属顔料、チタンブラックが好ましく、可視光領域から赤外線領域までの遮光性の観点からチタンブラックが最も好ましい。
本発明においてチタンブラックとは、チタン原子を有する黒色粒子である。好ましくは低次酸化チタンや酸窒化チタン等である。チタンブラック粒子は、分散性向上、凝集性抑制などの目的で必要に応じ、表面を修飾することが可能であり、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウムで被覆することが可能であり、また、特開2007−302836号公報に示されるような撥水性物質での処理も可能である。
また、前記チタンブラックは、分散性、着色性等を調整する目的でCu、Fe、Mn、V、Ni等の少なくとも1つを含む複合酸化物、酸化コバルト、酸化鉄、カーボンブラック、アニリンブラック等の黒色顔料を1種あるいは2種以上の組み合わせで含有してもよく、この場合、無機顔料の50質量%以上がチタンブラックであることが好ましい。
【0022】
チタンブラックの市販品の例としては、三菱マテリアル社製チタンブラック10S、12S、13R、13M、13M−C、13R、13R−N、赤穂化成(株)ティラック(Tilack)Dなどが挙げられる。
【0023】
チタンブラックの製造方法としては、二酸化チタンと金属チタンの混合体を還元雰囲気で加熱し還元する方法(特開昭49−5432号公報)、四塩化チタンの高温加水分解で得られた超微細二酸化チタンを水素を含む還元雰囲気中で還元する方法(特開昭57−205322号公報)、二酸化チタンまたは水酸化チタンをアンモニア存在下で高温還元する方法(特開昭60−65069号公報、特開昭61−201610号公報)、二酸化チタンまたは水酸化チタンにバナジウム化合物を付着させ、アンモニア存在下で高温還元する方法(特開昭61−201610号公報)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
チタンブラックの粒子の平均一次粒子径は特に制限は無いが、分散性、着色性の観点から、3〜2000nmであることが好ましく、更に好ましくは10〜500nmである。最も好ましくは、10〜100nmである。
チタンブラックの比表面積は、とくに限定がないが、BET法にて測定した値が通常5〜150m/g程度、特に20〜100m/g程度であることが好ましい。
【0025】
チタンブラックに代表される本発明に係る(A)無機顔料の粒径は、平均一次粒子径が5nmから0.01mmであることが好ましく、分散性、遮光性、経時での沈降性の観点から平均一次粒子径が10nm〜1μmであることが好ましい。
本発明の黒色硬化性組成物には、(A)無機顔料は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、後述するように、遮光性の調整等を目的として、有機顔料や染料などを所望により併用してもよい。
【0026】
黒色硬化性組成物中の(A)無機顔料の含有量は、黒色硬化性組成物の全固形分に対し、5〜70質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがさらに好ましい。この範囲であると遮光性が良好で、パターンを形成した時の現像性が良好である。
本発明において黒色硬化性組成物の全固形分とは、黒色硬化性組成物から有機溶剤を除いた全成分のことをいう。
【0027】
(A)無機顔料を黒色硬化性組成物に配合するに際しては、予め(A)無機顔料を公知の顔料分散剤等により分散してなる顔料分散物を調製し、顔料分散物として配合することが、得られる黒色硬化性組成物の均一性の観点から好ましい。
【0028】
顔料分散剤としては、側鎖に複素環を有する高分子化合物が好ましい。このような高分子化合物としては、特開2008−266627号公報に記載の一般式(1)で表される単量体、または、マレイミド、マレイミド誘導体からなる単量体に由来する重合単位を含む重合体であることが好ましい。このような顔料分散剤は、特開2008−266627号公報段落番号〔0020〕〜〔0047〕に詳細に記載され、ここに記載の分散剤を本発明にも好適に使用しうる。
【0029】
また別の顔料分散剤としては、ポリエステル結合を有する側鎖と、カルボン酸基、スルホン酸基又はリン酸基を有する側鎖と、を有する化合物も好ましいものである。特にポリエステル結合を有する側鎖と、カルボン酸基、スルホン酸基又はリン酸基を有する側鎖と、を有する化合物を顔料分散剤として用いると顔料との吸着性に優れる結果、分散性、分散物の経時安定性が良好となる。
ポリエステル結合を有する側鎖と、カルボン酸基、スルホン酸基又はリン酸基を有する側鎖と、を有する化合物の例としては、先述の特開2008−266627号のほか、特開2010−70601号、特開2010−53182号、特開2010−106268号、特開2010−169863号、特開2010−211200号各公報を挙げることができる。
【0030】
顔料分散剤としては、公知の化合物を任意に選択して用いることもでき、市販の分散剤、界面活性剤なども使用可能である。分散剤として用いうる市販品としては、具体的には、例えば、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学工業(株)製)、W001(裕商(株)社製)等のカチオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤;W004、W005、W017(裕商(株)社製)等のアニオン系界面活性剤;EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450(いずれもBASFジャパン社製)、ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(いずれもサンノプコ社製)等の高分子分散剤;ソルスパース3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、24000、26000、28000、32000、36000などの各種ソルスパース分散剤(日本ルーブリゾール(株)社製);アデカプルロニックL31、F38、L42、L44、L61、L64、F68、L72、P95、F77、P84、F87、P94、L101、P103、F108、L121、P−123((株)ADEKA製)及びイソネットS−20(三洋化成(株)製)、Disperbyk 101、103、106、108、109、111、112、116、130、140、142、162、163、164、166、167、170、171、174、176、180、182、2000、2001、2050、2150(ビックケミー(株)社製)が挙げられる。
その他、アクリル系共重合体など、分子末端もしくは側鎖に極性基を有するオリゴマーもしくはポリマーも分散剤として好適に挙げられる。
【0031】
分散性、現像性、沈降性の観点から、本願出願人が先に提案した特開2010−106268号公報に記載される側鎖にポリエステル鎖を有する樹脂が好ましく、特に、分散性の観点から、側鎖にポリエステル鎖を有する樹脂が好ましく、また、分散性と解像性の観点からは、さらに酸基を有する樹脂が好ましい。好ましい酸基としては、吸着性の観点から、pKaが6以下の酸基が好ましく、特にカルボン酸、スルホン酸、リン酸由来の酸基が好ましい。
分散溶液への溶解性、分散性、現像性の観点から最も好ましくは、ポリエステル鎖がポリカプロラクトン側鎖であり、カルボン酸基を有する樹脂が好ましい。
【0032】
顔料分散物を調製する際の顔料分散剤の含有量としては、顔料分散物中の顔料(無機顔料及び他の着色剤を含む)の全固形分に対して、1質量%〜90質量%が好ましく、3質量%〜70質量%がより好ましい。
【0033】
<(B)重合開始剤>
本発明の黒色硬化性組成物は、(B)重合開始剤を含有する。
本発明の黒色硬化性組成物における重合開始剤は、光や熱により分解し、後述する(C)重合性化合物の重合を開始、促進する化合物であり、波長300〜500nmの領域に吸収を有するものであることが好ましい。
具体的には、例えば、有機ハロゲン化化合物、オキシジアゾール化合物、カルボニル化合物、ケタール化合物、ベンゾイン化合物、有機過酸化化合物、アゾ化合物、クマリン化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン酸化合物、オキシム系化合物、オニウム塩化合物、アシルホスフィン(オキシド)化合物が挙げられる。
より具体的には、例えば、特開2006−78749号公報の段落番号[0081]〜[0100]、[0101]〜[0139]等に記載される重合開始剤が挙げられる。
【0034】
本発明の黒色硬化性組成物に用いる(B)重合開始剤としては、オキシム系開始剤であるオキシム化合物が感度および溶解性の観点で好適である。好適なオキシム系化合物としては、電子部品用途等の感光性組成物の光重合開始剤として知られている公知の化合物を使用することができる。例えば、特開昭57−116047、特開昭61−24558、特開昭62−201859、特開昭62−286961、特開平7−278214、特開2000−80068、特開2001−233842、特表2004−534797、特表2002−538241、特開2004−359639、特開2005−97141、特開2005−220097、WO2005−080337A1、特表2002−519732、特開2001−235858、特開2005−227525などの各公報に記載の化合物から選択して使用することができる。
【0035】
一般にオキシム系化合物は、365nmや405nm等の近紫外領域での吸収が小さいため低感度であるが、増感剤により、近紫外線領域の感光性を高め、高感度化されることが知られている。またアミン類やチオール等の共増感剤との併用により、有効ラジカル発生量を増加することが知られているが実用的には更なる高感度が求められていた。
本発明においては365nmや405nm等の近紫外領域の吸収が小さいオキシム系化合物でも、増感剤と併用することによって著しく高感度化され実用的な感度まで到達することができる。
【0036】
オキシム系化合物としては、380nm〜480nmの範囲の吸収が小さく、かつ分解効率の高い化合物か、もしくは380nm〜480nmの範囲の吸収が大きくても、光分解により領域に吸収が小さくなる化合物(副生成物の吸収が短波長)である化合物が好ましい。
以下、オキシム系化合物の具体例を示す。以下に記載のオキシム系化合物(I−1)〜(I−23)が、本発明においてはオキシム系開始剤として好ましい化合物である。
【0037】
【化2】

【0038】
【化3】

【0039】
【化4】

【0040】
本発明の黒色硬化性組成物における(B)重合開始剤の含有量は、黒色硬化性組成物の全固形分中、0.1〜30質量%であり、1〜25質量%がより好ましく、2〜20質量%が特に好ましい。
【0041】
<(C)重合性化合物>
本発明の黒色硬化性組成物には、重合性化合物を含有する。
(C)重合性化合物としては、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有し、沸点が常圧で100℃以上である化合物が好ましい。
なお、本明細書ではアクリレートとメタクリレートとを総称して、(メタ)アクリレートと記載することがある。
【0042】
前記少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有し、沸点が常圧で100℃以上である化合物としては、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能のアクリレートやメタアクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、ペンタエリスリトール又はジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号、特公昭50−6034号、特開昭51−37193号公報に記載のウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号公報に記載のポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタアクリレートを挙げることができる。
更に、日本接着協会誌Vol.20、No.7、300〜308頁に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用できる。
【0043】
また、特開平10−62986号公報において一般式(1)及び(2)としてその具体例と共に記載の、前記多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後に(メタ)アクリレート化した化合物も用いることができる。
【0044】
中でも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びこれらのアクリロイル基がエチレングリコール、プロピレングリコール残基を介している構造が好ましい。これらのオリゴマータイプも使用できる。
また、特公昭48−41708号、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた光重合性組成物を得ることができる。市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS−10、UAB−140(以上、山陽国策パルプ社製)、UA−7200(新中村化学社製、DPHA−40H(日本化薬社製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(以上、共栄社製)などが挙げられる。
また、酸基を有するエチレン性不飽和化合物類も好適であり、市販品としては、例えば、東亞合成株式会社製のカルボキシル基含有3官能アクリレートであるTO−756、及びカルボキシル基含有5官能アクリレートであるTO−1382などが挙げられる。
本発明に用いられる重合性化合物としては、4官能以上のアクリレート化合物がより好ましい。
【0045】
(C)重合性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートの併用などが好ましい。
重合性化合物の黒色硬化性組成物中における含有量としては、質量換算で全固形分100部に対して、3〜55部が好ましく、より好ましくは10〜50部である。重合性化合物の含有量が前記範囲内において、十分な硬化反応が進行する。
【0046】
<(D)カルド樹脂>
本発明の黒色硬化性組成物は(D)カルド樹脂を含有する。本発明において(D)カルド樹脂とは、分子内に、カルド構造(環状構造を構成している4級炭素原子に二つの環状構造が結合した骨格構造)を有する樹脂を指す。
カルド構造の好ましいものとしては、フルオレン環にベンゼン環が結合した下記の構造が挙げられる。
【0047】
【化5】

【0048】
本発明に用いられる(D)カルド樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレア樹脂、ポリイミド樹脂、及び、ポリアミド酸等から選択される樹脂であって、分子内に上記したフルオレン骨格に代表されるカルド構造を有する樹脂が挙げられ、更に、多官能エポキシや多官能(メタ)アクリレート等と反応する基(カルボン酸、メルカプト基、ヒドロキシ基、アミノ基等)を有するカルド構造を有する化合物と多官能エポキシや多官能(メタ)アクリレート等との反応生成物なども含まれる。
これらのうち特に好ましい樹脂は、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、およびポリイミド樹脂であって、分子内に上記したフルオレン骨格に代表されるカルド構造を有する樹脂である。
【0049】
本発明におけるカルド樹脂は、少なくとも1種のカルド構造含有繰り返し単位を含めばよく、カルド樹脂は、少なくとも1種のカルド構造含有繰り返し単位のみから構成されていてもよいし、あるいは少なくとも1種のカルド構造含有繰り返し単位と、少なくとも1種のカルド構造を含まない繰り返し単位とを含むものであってもよい。
本発明におけるカルド樹脂は、市販のカルド構造を有する化合物、およびそれらと反応可能なモノマーを有機溶媒中で加熱攪拌することで容易に合成することができる。反応後のカルド樹脂溶液はそのまま用いてもよいし、貧溶媒を添加して固体として取り出して用いてもよい。
【0050】
カルド構造を有する化合物としては、例えば以下のような具体例が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0051】
【化6】

【0052】
前記カルド構造を有する化合物から合成されるカルド樹脂の具体的化合物の例を以下の表1に記すが、本発明のカルド樹脂はこれらに限定されない。なお、表中1−1〜1−8は前述のカルド構造を有する化合物の例示構造における残基を表し、2−1〜2−6は下記化合物の残基を表す。
【0053】
【表1】

【0054】
【化7】

【0055】
本発明における(D)カルド樹脂は、チオール基含有化合物由来の構成単位を含むカルド樹脂であることも好ましい。
チオール基含有化合物としては、チオール基を分子中に2〜6個含む化合物が挙げられ、例えば上記(2−5)の化合物以外に、1,2-エタンジチオール、1,2-プロパンジチオール、1,1,1-トリス(メルカプトメチル)エタン、1,2,3,4-テトラメルカプトブタン、ビス[2,2,2-トリス(メルカプトメチル)エチル]エーテルなどが好ましく、カルド樹脂中にチオール基含有化合物由来の構成単位が1〜40質量%含むことが好ましい。
チオール含有化合物由来の構成単位を含むカルド樹脂を用いると紫外域の透過性に優れ、硬化膜の硬度が良好となる。
【0056】
本発明における(D)カルド樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また(D)カルド樹脂の好ましい分子量は重量平均分子量で2000〜50000であり、3000〜20000であることがより好ましい。この範囲にあれば、現像性が良好である。
また本発明においては(D)カルド樹脂は、カルド構造をカルド樹脂全体に対して質量基準で30%〜90%の範囲で含むカルド樹脂がレンズ上の透過率の減少度の観点で好ましく、より好ましくは40%〜70%の範囲である。上記カルド構造としてはフルオレン骨格が好ましい。
(D)カルド樹脂の黒色硬化性組成物中における含有量としては、質量換算で黒色硬化性組成物の全固形分100部に対して、0.1〜50部が好ましく、より好ましくは1〜30部である。
【0057】
<その他の添加剤>
本発明の黒色硬化性組成物には、前記(A)〜(D)の必須成分及び顔料分散剤に加え、さらに目的に応じて種々の化合物を使用することができる。以下にこれらの化合物を説明する。
【0058】
<バインダー>
本発明の黒色硬化性組成物においては、皮膜特性向上などの目的で、必要に応じて、更にバインダーを使用することができる。バインダーとしては線状有機ポリマーを用いることが好ましい。このような「線状有機ポリマー」としては、公知のものを任意に使用できる。好ましくは水現像或いは弱アルカリ水現像を可能とするために、水或いは弱アルカリ水に可溶性又は膨潤性である線状有機ポリマーが選択される。線状有機ポリマーは、皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水或いは有機溶剤等による現像に応じて選択使用される。
【0059】
例えば、水可溶性有機ポリマーを用いると水現像が可能になる。このような線状有機ポリマーとしては、側鎖にカルボン酸基を有するラジカル重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号に記載されているもの、すなわち、カルボキシル基を有するモノマーを単独或いは共重合させた樹脂、酸無水物を有するモノマーを単独或いは共重合させ酸無水物ユニットを加水分解若しくはハーフエステル化若しくはハーフアミド化させた樹脂、エポキシ樹脂を不飽和モノカルボン酸及び酸無水物で変性させたエポキシアクリレート等が挙げられる。カルボキシル基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、4−カルボキシルスチレン等があげられ、酸無水物を有するモノマーとしては、無水マレイン酸等が挙げられる。
また、同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体がある。この他に水酸基を有する重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
【0060】
また、特公平7−12004号、特公平7−120041号、特公平7−120042号、特公平8−12424号、特開昭63−287944号、特開昭63−287947号、特開平1−271741号、特願平10−116232号等に記載される酸基を含有するウレタン系ポリマーは、非常に、強度に優れるので、低露光適性の点で有利である。
また、欧州特許993966、欧州特許1204000、特開2001−318463等に記載の酸基を有するアセタール変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、膜強度、現像性のバランスに優れており、好適である。更にこの他に水溶性線状有機ポリマーとして、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。
【0061】
特にこれらの中で〔ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体、及び〔アリル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体は、膜強度、感度、現像性のバランスに優れており、好適である。前記その他の付加重合性ビニルモノマーとしては、3−メタクリロイロキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどが好適である。
【0062】
黒色硬化性組成物で使用しうるバインダーの重量平均分子量としては、好ましくは5、000以上であり、更に好ましくは1万〜30万の範囲であり、数平均分子量については好ましくは1、000以上であり、更に好ましくは2、000〜25万の範囲である。多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1以上が好ましく、更に好ましくは1.1〜10の範囲である。
これらのバインダーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれでもよい。
【0063】
バインダーのなかでも、側鎖に二重結合を有するアルカリ可溶性樹脂を含有することで、特に露光部の硬化性と未露光部のアルカリ現像性の双方を向上させることができる。
本発明に使用しうる側鎖に二重結合を有するアルカリ可溶性バインダーポリマーは、その構造において、非画像部除去性などの諸性能を向上させるために、樹脂がアルカリ可溶となるための酸基と、少なくとも1つの不飽和二重結合を有する。このような部分構造を有するバインダー樹脂は、特開2003−262958号公報に詳細に記載され、ここに記載の化合物を本発明にも使用することができる。
【0064】
本発明の黒色硬化性組成物の全固形分中に対するバインダーの含有量は、0.1〜30質量%が好ましく、パターン剥がれ抑制と現像残渣抑制の両立の観点より、0.3〜15質量%がより好ましい。
【0065】
<有機溶剤>
本発明の黒色硬化性組成物は、一般には、有機溶剤を用いて構成することができる。有機溶剤は、各成分の溶解性や重合性組成物の塗布性を満足すれば基本的には特に制限はないが、特にバインダーポリマーの溶解性、塗布性、安全性を考慮して選ばれることが好ましい。
【0066】
有機溶剤としては、エステル類として、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸アルキル(例:オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル(例えば、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等))、3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル等(例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等))、2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル等(例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル))、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル及び2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル(例えば、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル等)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等、並びに、エーテル類として、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等、並びに、ケトン類として、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等、並びに、芳香族炭化水素類として、例えば、トルエン、キシレン等が好適に挙げられる。
【0067】
これらの有機溶剤は、バインダーポリマーの溶解性、塗布面状の改良などの観点から、2種以上を混合することも好ましい。この場合、特に好ましくは、上記の3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選択される2種以上で構成される混合溶液である。
【0068】
本発明の黒色硬化性組成物中における有機溶剤の含有量は、塗布性の観点から、黒色硬化性組成物の全固形分濃度が5〜80質量%になる量とすることが好ましく、5〜60質量%が更に好ましく、10〜50質量%が特に好ましい。
【0069】
<着色剤>
本発明では、所望の遮光性を発現させるべく、公知の有機顔料や染料などの無機顔料以外の着色剤を併用することが可能である。
併用することができる着色剤としては、(E)有機顔料では、例えば、特開2008−224982号公報段落番号〔0030〕〜〔0044〕に記載の顔料や、C.I.Pigment Green 58、C.I.Pigment Blue 79のCl置換基をOHに変更したものなどが挙げられ、これらのなかでも、好ましく用いることができる顔料として、以下のものを挙げることができる。但し、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
【0070】
C.I.Pigment Yellow 11、24、108、109、110、138、139、150、151、154、167、180、185、
C.I.Pigment Orange 36、
C.I.Pigment Red 122、150、171、175、177、209、224、242、254、255、
C.I.Pigment Violet 19、23、29、32、
C.I.Pigment Blue 15:1、15:3、15:6、16、22、60、66、
C.I.Pigment Green 7、36、37、58、
C.I.Pigment Black 1、
【0071】
着色剤として使用可能な染料としては、特に制限はなく、公知の染料をてきぎ選択して使用できる。例えば、特開昭64−90403号公報、特開昭64−91102号公報、特開平1−94301号公報、特開平6−11614号公報、特登2592207号、米国特許第4,808,501号明細書、米国特許第5,667,920号明細書、米国特許第5,059,500号明細書、特開平5−333207号公報、特開平6−35183号公報、特開平6−51115号公報、特開平6−194828号公報、特開平8−211599号公報、特開平4−249549号公報、特開平10−123316号公報、特開平11−302283号公報、特開平7−286107号公報、特開2001−4823号公報、特開平8−15522号公報、特開平8−29771号公報、特開平8−146215号公報、特開平11−343437号公報、特開平8−62416号公報、特開2002−14220号公報、特開2002−14221号公報、特開2002−14222号公報、特開2002−14223号公報、特開平8−302224号公報、特開平8−73758号公報、特開平8−179120号公報、特開平8−151531号公報等に記載の色素である。
【0072】
化学構造としては、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、トリフェニルメタン系、アントラキノン系、アンスラピリドン系、ベンジリデン系、オキソノール系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、シアニン系、フェノチアジン系、ピロロピラゾールアゾメチン系、キサンテン系、フタロシアニン系、ペンゾピラン系、インジゴ系、ジピロメテン系等の染料が使用できる。
【0073】
本発明では、無機顔料との組み合わせにおいて、硬化性と遮光性を両立する組み合わせとして、チタンブラック顔料とオレンジ顔料及び/または赤顔料及び/またはバイオレット顔料を組み合わせることが好ましく、最も好ましくはチタンブラック顔料と赤顔料の組み合わせである。
【0074】
<増感剤>
黒色硬化性組成物には、(B)重合開始剤のラジカル発生効率の向上、感光波長の長波長化の目的で、増感剤を含有していてもよい。
本発明に用いることができる増感剤としては、(B)重合開始剤に対し、電子移動機構又はエネルギー移動機構で増感させるものが好ましい。
増感剤の好ましい例としては、特開2008−214395号公報の段落番号〔0085〕〜〔0098〕に記載された化合物を挙げることができる。
増感剤の含有量は、感度と保存安定性の観点から、黒色硬化性組成物の全固形分の質量に対し、0.1〜30質量%の範囲が好ましく、1〜20質量%の範囲がより好ましく、2〜15質量%の範囲が更に好ましい。
【0075】
<重合禁止剤>
黒色硬化性組成物には、該組成物の製造中或いは保存中において、重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の重合禁止剤を添加することが望ましい。重合禁止剤としては、公知の熱重合防止剤を用いることができ、具体的には、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
熱重合防止剤の添加量は、黒色硬化性組成物の全固形分に対し約0.01〜約5質量%が好ましい。
【0076】
また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で塗布膜の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5〜約10質量%が好ましい。
【0077】
<密着向上剤>
黒色硬化性組成物には、支持体などの硬質表面との密着性を向上させるために、密着向上剤を添加することができる。密着向上剤としては、シラン系カップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。
シラン系カップリング剤としては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、が好ましく、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましく挙げられる。
密着向上剤の添加量は、黒色硬化性組成物の全固形分中0.5〜30質量%が好ましく、0.7〜20質量%がより好ましい。
特に本発明のレジストがガラス基板のレンズを作成する場合には、感度向上の観点から密着向上剤を添加することが好ましい。
【0078】
<界面活性剤>
本発明の黒色硬化性組成物には、塗布性をより向上させる観点から、各種の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。
【0079】
特に、本発明の黒色硬化性組成物は、フッ素系界面活性剤を含有することで、塗布液として調製したときの液特性(特に、流動性)がより向上することから、塗布厚の均一性や省液性をより改善することができる。
即ち、フッ素系界面活性剤を含有する黒色硬化性組成物を適用した塗布液を用いて膜形成する場合においては、被塗布面と塗布液との界面張力を低下させることにより、被塗布面への濡れ性が改善され、被塗布面への塗布性が向上する。このため、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成をより好適に行える点で有効である。
【0080】
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3質量%〜40質量%が好適であり、より好ましくは5質量%〜30質量%であり、特に好ましくは7質量%〜25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、黒色硬化性組成物中における溶解性も良好である。
【0081】
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F479、同F482、同F780、同F781(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)等が挙げられる。
【0082】
ノニオン系界面活性剤として具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(BASF社製のプルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック304、701、704、901、904、150R1、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株))製等が挙げられる。
【0083】
カチオン系界面活性剤として具体的には、フタロシアニン誘導体(商品名:EFKA−745、森下産業(株)製)、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学(株)製)、W001(裕商(株)製)等が挙げられる。
【0084】
アニオン系界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商(株)社製)等が挙げられる。
【0085】
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、トーレシリコーン株式会社製「トーレシリコーンDC3PA」、「トーレシリコーンSH7PA」、「トーレシリコーンDC11PA」,「トーレシリコーンSH21PA」,「トーレシリコーンSH28PA」、「トーレシリコーンSH29PA」、「トーレシリコーンSH30PA」、「トーレシリコーンSH8400」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製「TSF−4440」、「TSF−4300」、「TSF−4445」、「TSF−444(4)(5)(6)(7)6」、「TSF−44 60」、「TSF−4452」、信越シリコーン株式会社製「KP341」、ビッグケミー社製「BYK323」、「BYK330」等が挙げられる。
界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
【0086】
<その他>
更に、黒色硬化性組成物に対しては、増感色素や開始剤の活性放射線に対する感度を一層向上させる、あるいは酸素による光重合性化合物の重合阻害を抑制する等の目的で共増感剤を含有してもよい。また、硬化皮膜の物性を改良するために界面活性剤、希釈剤、可塑剤、感脂化剤等の公知の添加剤を必要に応じて加えてもよい。
【0087】
本発明の黒色硬化性組成物は、既述の(A)無機顔料(好ましくは、顔料分散剤を含む顔料分散組成物として)、(B)重合開始剤、(C)重合性化合物、(D)カルド樹脂および、所望により併用される各種添加剤を、溶剤と共に含有させて調製することができる。
【0088】
本発明の黒色硬化性組成物は、上記構成としたことから、高感度で硬化し、遮光性に優れた遮光膜を形成することができ、ウエハレベルレンズ用の遮光膜の形成に有用である。
また、アルカリ可溶性のバインダーを併用することでさらに高精細な遮光性パターンが形成される。
【0089】
<ウエハレベルレンズ>
本発明のウエハレベルレンズは、基板上に存在するレンズの周縁部に、本発明の黒色硬化性組成物を硬化して得られた遮光膜を有することを特徴とする。
以下、図面を参照して、本発明のウエハレベルレンズについて説明する。
【0090】
図1は、複数のウエハレベルレンズを有するウエハレベルレンズアレイの構成の一例を示す平面図である。
図1に示されるように、ウエハレベルレンズアレイは、基板10と、該基板10に配列されたレンズ12と、を備えている。ここで、図1では、複数のレンズ12は、基板10に対して2次元に配列されているが、1次元に配列されていてもよい。
また、図2は、図1に示すA−A線断面図である。
図2に示すように、ウエハレベルレンズアレイにおいて、基板10に配列された複数のレンズ12の間には、レンズ12以外の箇所からの光透過を防止する遮光膜14が設けられている。
本発明のウエハレベルレンズは、基板10上に存在する1つのレンズ12とその周縁部に設けられた遮光膜14により構成される。本発明の黒色硬化性組成物は、この遮光膜14の形成に用いられる。
【0091】
以下、図1のように、複数のレンズ12が、基板10に対して2次元に配列されているウエハレベルレンズアレイの構成を例に説明する。
【0092】
レンズ12は、一般的には、基板10と同じ材料から構成され、該基板10上に一体的に成形されるか、或いは、別の構造体として成形され、基板上に固定化されたものである。ここでは、一例を挙げたが、本発明のウエハレベルレンズは、この態様に限定されず、多層構造をとるもの、ダイシングによりレンズモジュールに分離されたものなど種々の態様をとり得る。
【0093】
レンズ12を形成する材料としては、例えば、ガラスを挙げることができる。ガラスは種類が豊富であり、高屈折率を有するものを選択できるので、大きなパワーを持たせたいレンズの素材に好適である。また、ガラスは耐熱性に優れ、撮像ユニット等へのリフロー実装に耐えるという利点をも有する。
【0094】
レンズ12を形成する他の材料としては、樹脂が挙げられる。樹脂は加工性に優れており、型等でレンズ面を簡易且つ安価に形成するのに適している。
【0095】
ウエハレベルレンズの形成には、エネルギー硬化性の樹脂を用いることが好ましい。該エネルギー硬化性の樹脂は、熱により硬化する樹脂、或いは活性エネルギー線の照射(例えば、熱、紫外線、電子線照射)により硬化する樹脂のいずれであってもよい。
撮像ユニットのリフロー実装を考慮すると、軟化点が例えば200℃以上といった、軟化点の比較的高い樹脂が好ましく、軟化点が250℃以上の樹脂がより好ましい。
以下、レンズ材料として好適な樹脂について説明する。
【0096】
紫外線硬化性樹脂としては、紫外線硬化性シリコン樹脂、紫外線硬化性エポキシ樹脂、アクリル樹脂等を例示することができる。エポキシ樹脂としては、線膨張係数が40〜80[10−6/K]で、屈折率が1.50〜1.70、好ましくは1.50〜1.65のものを用いることができる。
【0097】
熱硬化性樹脂としては、熱硬化性シリコン樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性アクリル樹脂等を例示できる。例えば、シリコン樹脂としては、線膨張係数が30〜160[10−6/K]で、屈折率が1.40〜1.55のものを用いることができる。エポキシ樹脂としては、線膨張係数が40〜80[10−6/K]で、屈折率が1.50〜1.70、好ましくは1.50〜1.65のものを用いることができる。フェノール樹脂としては、線膨張係数が30〜70[10−6/K]で、屈折率が1.50〜1.70のものを用いることができる。アクリル樹脂としては、線膨張係数が20〜60[10−6/K]で、屈折率が1.40〜1.60、好ましくは1.50〜1.60のものを用いることができる。
【0098】
これらの熱硬化性樹脂としては、市販品を用いることができ、具体的には、例えば、富士高分子工業株式会社製SMX−7852・SMX−7877、株式会社東芝製IVSM−4500、東レ・ダウコーニング社製SR−7010、等を例示することができる。
【0099】
熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂等を例示することができる。ポリカーボネートとしては、線膨張係数が60〜70[10−6/K]で、屈折率が1.40〜1.70、好ましくは1.50〜1.65のものを用いることができる。ポリサルフォン樹脂としては、線膨張係数が15〜60[10−6/K]で、屈折率が1.63のものを用いることができる。ポリエーテルサルフォン樹脂としては、線膨張係数が20〜60[10−6/K]で、屈折率が1.65のものを用いることができる。
【0100】
なお、一般に、光学ガラスの線膨張係数は20℃で4.9〜14.3[10−6/K]であり、屈折率は波長589.3nmで1.4〜2.1である。また、石英ガラスの線膨張係数は0.1〜0.5[10−6/K]であり、屈折率は約1.45である。
【0101】
レンズの形成に適用しうる硬化性の樹脂組成物としては、モールド形状の転写適性等、成形性の観点から、硬化前には適度な流動性を有していることが好ましい。具体的には、常温で液体であり、粘度が1000mPa・s〜50000mPa・s程度のものが好ましい。
【0102】
一方、レンズの形成に適用しうる硬化性の樹脂組成物は、硬化後にはリフロー工程を通しても熱変形しない程度の耐熱性を有していることが好ましい。かかる観点から、硬化物のガラス転移温度は200℃以上であることが好ましく、250℃以上であることがより好ましく、300℃以上であることが特に好ましい。樹脂組成物にこのような高い耐熱性を付与するためには、分子レベルで運動性を束縛することが必要であり、有効な手段としては、(1)単位体積あたりの架橋密度を上げる手段、(2)剛直な環構造を有する樹脂を利用する手段(例えば、シクロヘキサン、ノルボルナン、テトラシクロドデカン等の脂環構造、ベンゼン、ナフタレン等の芳香環構造、9,9’−ビフェニルフルオレン等のカルド構造、スピロビインダン等のスピロ構造を有する樹脂、具体的には例えば、特開平9−137043号公報、同10−67970号公報、特開2003−55316号公報、同2007−334018号公報、同2007−238883号公報等に記載の樹脂)、(3)無機微粒子など高Tgの物質を均一に分散させる手段(例えば、特開平5−209027号公報、同10−298265号公報等に記載)等が挙げられる。これらの手段は複数併用してもよく、流動性、収縮率、屈折率特性など他の特性を損なわない範囲で調整することが好ましい。
【0103】
形状転写精度の観点からは、硬化反応による体積収縮率が小さい、硬化性の樹脂組成物を用いることが好ましい。樹脂組成物の硬化収縮率としては、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることが特に好ましい。
【0104】
硬化収縮率の低い樹脂組成物としては、例えば、(1)高分子量の硬化剤(プレポリマーなど)を含む樹脂組成物(例えば、特開2001−19740号公報、同2004−302293号公報、同2007−211247号公報等に記載、高分子量硬化剤の数平均分子量は200〜100,000の範囲であることが好ましく、より好ましくは500〜50,000の範囲であり、特に好ましくは1,000〜20,000の場合である。また該硬化剤の数平均分子量/硬化反応性基の数で計算される値が、50〜10,000の範囲にあることが好ましく、100〜5,000の範囲にあることがより好ましく、200〜3,000の範囲にあることが特に好ましい。)、(2)非反応性物質(有機/無機微粒子,非反応性樹脂等)を含む樹脂組成物(例えば、特開平6−298883号公報、同2001−247793号公報、同2006−225434号公報等に記載)、(3)低収縮架橋反応性基を含む樹脂組成物(例えば、開環重合性基;例えば、エポキシ基(例えば、特開2004−210932号公報等に記載)、オキセタニル基(例えば、特開平8−134405号公報等に記載)、エピスルフィド基(例えば、特開2002−105110号公報等に記載)、環状カーボネート基(例えば、特開平7−62065号公報等に記載)等)、エン/チオール硬化基(例えば、特開2003−20334号公報等に記載)、ヒドロシリル化硬化基(例えば、特開2005−15666号公報等に記載)等)、(4)剛直骨格樹脂(フルオレン、アダマンタン、イソホロン等)を含む樹脂組成物(例えば、特開平9−137043号公報等に記載)、(5)重合性基の異なる2種類のモノマーを含み相互貫入網目構造(いわゆるIPN構造)が形成される樹脂組成物(例えば、特開2006−131868号公報等に記載)、(6)膨張性物質を含む樹脂組成物(例えば、特開2004−2719号公報、特開2008−238417号公報等に記載)等を挙げることができ、本発明において好適に利用することができる。また上記した複数の硬化収縮低減手段を併用すること(例えば、開環重合性基を含有するプレポリマーと微粒子を含む樹脂組成物など)が物性最適化の観点からは好ましい。
【0105】
本発明のウエハレベルレンズの形成には、高−低2種類以上のアッベ数の異なる樹脂組成物の使用が望ましい。
高アッベ数側の樹脂は、アッベ数(νd)が50以上であることが好ましく、より好ましくは55以上であり特に好ましくは60以上である。屈折率(nd)は1.52以上であることが好ましく、より好ましくは1.55以上であり、特に好ましくは1.57以上である。
このような樹脂組成物に含有される樹脂としては、脂肪族の樹脂が好ましく、特に、脂環構造を有する樹脂(例えば、シクロヘキサン、ノルボルナン、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等の環構造を有する樹脂、具体的には例えば、特開平10−152551号公報、特開2002−212500号公報、同2003−20334号公報、同2004−210932号公報、同2006−199790号公報、同2007−2144号公報、同2007−284650号公報、同2008−105999号公報等に記載の樹脂)が好ましい。
【0106】
低アッベ数側の樹脂は、アッベ数(νd)が30以下であることが好ましく、より好ましくは25以下であり特に好ましくは20以下である。屈折率(nd)は1.60以上であることが好ましく、より好ましくは1.63以上であり、特に好ましくは1.65以上である。
このような樹脂としては芳香族構造を有する樹脂が好ましく、例えば、9,9’‐ジアリールフルオレン、ナフタレン、ベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール等の構造を含む樹脂(具体的には例えば、特開昭60−38411号公報、特開平10−67977号公報、特開2002−47335号公報、同2003−238884号公報、同2004−83855号公報、同2005−325331号公報、同2007−238883号公報、国際公開2006/095610号公報、特許第2537540号公報等に記載の樹脂等)が好ましい。
【0107】
また、ウエハレベルレンズの形成に使用される樹脂組成物には、屈折率を高める目的やアッベ数を調整する目的のために、無機微粒子をマトリックス中に分散させてなる有機無機複合材料を使用することも好ましい態様である。
有機無機複合材料中の無機微粒子としては、例えば、酸化物微粒子、硫化物微粒子、セレン化物微粒子、テルル化物微粒子が挙げられる。より具体的には、例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化ランタン、酸化イットリウム、硫化亜鉛等の微粒子を挙げることができる。
【0108】
無機微粒子は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、複数の成分による複合物であってもよい。
また、無機微粒子には、光触媒活性低減、吸水率低減などの種々の目的から、異種金属をドープしたり、表面をシリカやアルミナ等異種金属酸化物で被覆したり、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、有機酸(カルボン酸類、スルホン酸類、リン酸類、ホスホン酸類等)、又は有機酸基を持つ分散剤などで表面修飾してもよい。
無機微粒子の数平均1次粒子サイズは通常1nm〜1000nm程度とすればよいが、小さすぎると物質の特性が変化する場合があり、大きすぎるとレイリー散乱の影響が顕著となるため、1nm〜15nmが好ましく、2nm〜10nmが更に好ましく、3nm〜7nmが特に好ましい。また、無機微粒子の粒子サイズ分布は狭いほど望ましい。このような単分散粒子の定義の仕方はさまざまであるが、例えば、特開2006−160992号公報に記載されるような数値規定範囲が好ましい粒径分布範囲に当てはまる。
ここで上述の数平均1次粒子サイズとは、例えば、XRD(X線回折)、X線小角散乱 Small angle X−ray scattering (SAXS)、X線散漫散乱 X−ray diffuse scattering (XDS)、斜入射X線散乱 Grazing incidence small angle X−ray scattering (GI−SAXS)、走査型電子顕微鏡(SEM)あるいは透過型電子顕微鏡(TEM)などで測定することができる。
【0109】
無機微粒子の屈折率としては、22℃、589.3nmの波長において、1.90〜3.00であることが好ましく、1.90〜2.70であることが更に好ましく、2.00〜2.70であることが特に好ましい。
【0110】
有機無機複合材料において、無機微粒子のマトリックスである樹脂に対する含有量は、透明性と高屈折率化の観点から、5質量%以上であることが好ましく、10質量%〜70質量%が更に好ましく、30質量%〜60質量%が特に好ましい。
【0111】
有機無機複合材料に用いられる、マトリックスとなる樹脂としては、ウエハレベルレンズの材料として前記した、紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、高アッベ数の樹脂、低アッベ数の樹脂のいずれもが使用できる。また、特開2007−93893号に記載された屈折率1.60より大きい樹脂、特開2007−211164号に記載された疎水性セグメント及び親水性セグメントで構成されるブロック共重合体、特開2007−238929号、特開2010−43191号、同2010−65063号、同2010−54817号に記載された高分子末端又は側鎖に無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を有する樹脂、特願2008−197054号、同2008−198878号に記載された熱可塑性樹脂等を挙げることができる。
なお、有機無機複合材料には、必要に応じて、可塑剤、分散剤等の添加剤を加えることができる。
【0112】
ここで、マトリックスである樹脂と無機微粒子との好ましい組み合わせとしては以下のようなものがある。
即ち、上記のごとき高アッベ数の樹脂をマトリックスとした場合には、無機微粒子として、酸化ランタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等の微粒子を分散させることが好ましく、低アッベ数の樹脂をマトリックスとした場合には、無機微粒子として、酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム等の微粒子を分散させることが好ましい。
【0113】
なお、無機微粒子を均一に分散させるためには、例えば、マトリックスを形成する樹脂のモノマーとの反応性を有する官能基を含む分散剤(例えば、特開2007−238884号公報実施例等に記載)、疎水性セグメント及び親水性セグメントで構成されるブロック共重合体(例えば、特開2007−211164号公報に記載)、或いは高分子末端又は側鎖に無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を有する樹脂(例えば、特開2007−238929号公報、特開2007−238930号公報等に記載)等を適宜用いることが望ましい。
【0114】
また、ウエハレベルレンズの形成に用いられる樹脂組成物には、シリコン系、フッ素系、長鎖アルキル基含有化合物等の公知の離型剤やヒンダードフェノール等の酸化防止剤等の添加剤が適宜配合されていてもよい。
【0115】
更に、ウエハレベルレンズの形成に用いられる樹脂組成物には、必要に応じて、硬化触媒又は開始剤を配合することができる。具体的には、例えば、特開2005−92099号公報段落番号〔0065〕〜〔0066〕等に記載の熱又は活性エネルギー線の作用により硬化反応(ラジカル重合或いはイオン重合)を促進する化合物を挙げることができる。これらの硬化反応促進剤の添加量は、触媒や開始剤の種類、或いは硬化反応性部位の違いなどによって異なり一概に規定することはできないが、一般的には樹脂組成物の全固形分に対して0.1質量%〜15質量%程度が好ましく、0.5質量%〜5質量%程度がより好ましい。
【0116】
本発明のウエハレベルレンズの作製に用いる樹脂組成物は、上記成分を適宜配合して製造することができる。この際、液状の低分子モノマー(反応性希釈剤)等に他の成分を溶解することができる場合には、別途溶剤を添加する必要はないが、このケースに当てはまらない場合には溶剤を用いて各構成成分を溶解することにより樹脂組成物を製造することができる。該樹脂組成物に使用できる溶剤としては、組成物が沈殿することなく、均一に溶解又は分散されるものであれば特に制限はなく適宜選択することができ、具体的には、例えば、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール等)、芳香族炭化水素類(例えば、トルエン、キシレン等)、水等を挙げることができる。樹脂組成物が溶剤を含む場合には該組成物を基板及び/又は型の上にキャストし溶剤を乾燥させた後にモールド形状転写操作を行うことが好ましい。
【0117】
基板10は、レンズ12の成形材料と同じものを用いることができる。また、基板10が可視光に対して透明なガラスなどの材料からなるものであれば、レンズ12の成形材料とは異なる材料により形成されていてもよい。この場合には、基板10を形成する材料としては、レンズ12を形成する材料と線膨張係数が同じか極めて近い材料であることが好ましい。レンズ12を形成する材料と基板10を形成する材料との線膨張係数が互いに同じか近似する場合には、撮像ユニットへのウエハレベルレンズのリフロー実装において、線膨張率が異なることで生じる加熱時のレンズ12の歪みや割れを抑制しうる。
【0118】
なお、図1及び図2中に図示してはいないが、基板10の光入射側の面には、赤外線フィルタ(IRフィルタ)が形成されていてもよい。
【0119】
以下、図3〜図8を参照して、ウエハレベルレンズの形態及び作製について、ウエハレベルレンズアレイの作製方法の例にとり、具体的に説明する。
【0120】
〔ウエハレベルレンズの形態及び作製(1)〕
−レンズの形成−
まず、図3及び図4(A)〜(C)を参照して、基板10上にレンズ12を形成する方法について説明する。
ここで、図3は、基板10に、レンズ形成用の樹脂組成物である成形材料(図3中にMと記載)を供給している状態を示す図である。
また、図4(A)〜(C)は、基板10にレンズ12を型60で成形する手順を示す図である。
【0121】
図3に示すように、基板10のレンズ12を成形する部位にディスペンサ50を用いて成形材料Mを滴下する。ここでは、供給する1つの部位には、1つのレンズ12に相当する量の成形材料Mが供給される。
【0122】
基板10に成形材料Mを供給した後、基板10の成形材料Mを供給された面側に、図4(A)に示すように、レンズ12を成形するための型60を配置する。
ここで、型60には、レンズ12の形状を転写するための凹部62が、所望のレンズ12の数に応じて設けられている。
【0123】
図4(B)に示すように、型60を基板10上の成形材料Mに押し付け、成形材料Mを凹部62の形状に倣って変形させる。そして、型60を成形材料Mに押し付けた状態で、成形材料Mが熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂の場合には、型60の外側から熱又は紫外線を照射して、成形材料Mを硬化させる。
【0124】
成形材料Mを硬化させた後、図4(C)に示すように、型60から基板10及びレンズ12を離型する。
【0125】
−遮光膜の形成−
次に、図5(A)〜(C)を参照して、レンズ12の周縁部に遮光膜14を形成する方法について説明する。
ここで、図5(A)〜(C)は、レンズ12が成形された基板10に遮光膜14を設ける工程を示す概略断面図である。
【0126】
遮光膜14の形成方法は、基板10上に、本発明の黒色硬化性組成物を塗布して遮光性塗布層14Aを形成する遮光性塗布層形成工程(図5(A)参照。)と、該遮光性塗布層14Aを、マスク70を介してパターン露光する露光工程(図5(B)参照。)と、露光後の遮光性塗布層14Aを現像して未硬化部を除去し、パターン状の遮光膜14を形成する現像工程(図5(C)参照。)と、を含む。
【0127】
なお、遮光膜14の形成は、レンズ12を作製する前でも、レンズ12を作製した後でも任意に行うことができるが、ここでは、レンズ12を作製した後の方法について詳述する。
以下、遮光膜14の形成方法における各工程について説明する。
【0128】
<遮光性塗布層形成工程>
遮光性塗布層形成工程では、図5(A)に示すように、基板10上に、黒色硬化性組成物を塗布して該黒色硬化性組成物からなる光反射率の低い遮光性塗布層14Aを形成する。このとき、遮光性塗布層14Aは、基板10のレンズ側の表面、及び、レンズ12のレンズ面12aとレンズ縁部12bの表面を全て覆うように形成される。
【0129】
本工程に用いうる基板10としては、特に制限はない。例えば、ソーダガラス、無アルカリガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス、及び透明樹脂等が挙げられる。
なお、ここで言う基板10とは、レンズ12と基板10を一体形成する態様においては、レンズ12と基板10の両方を含む形態を言う。
また、これらの基板10上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止、或いは基板10表面の平坦化のために、下塗り層を設けてもよい。
【0130】
基板10及びレンズ12上に黒色硬化性組成物を塗布する方法としては、スリット塗布、スプレー塗布法、インクジェット法、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、スクリーン印刷法等の各種の塗布方法を適用することができる。
黒色硬化性組成物の塗布直後の膜厚としては、塗布膜の膜厚均一性、塗布溶剤の乾燥のし易さの観点から、0.1μm〜10μmが好ましく、0.2μm〜5μmがより好ましく、0.2μm〜3μmが更に好ましい。
【0131】
基板10上に塗布された遮光性塗布層14Aの乾燥(プリベーク)は、ホットプレート、オーブン等を用い、50℃〜140℃の温度で10秒〜300秒で行うことができる。
【0132】
黒色硬化性組成物の乾燥後の塗布膜厚(以下、適宜、「乾燥膜厚」と称する)は、所望の遮光性などの性能から任意に選択することができ、概ね0.1μm以上50μm未満の範囲である。
【0133】
<露光工程>
露光工程では、遮光性塗布層形成工程において形成された遮光性塗布層14Aをパターン状に露光する。パターン露光は走査露光でもよいが、図5(B)に示すように、所定のマスクパターンを有するマスク70を介して露光する態様が好ましい。
【0134】
本工程における露光においては、遮光性塗布層14Aのパターン露光は、所定のマスクパターンを介して露光し、この露光により遮光性塗布層14Aのうち光照射された部分だけを硬化する。ここでは、レンズ縁部12bの表面とレンズ12間の基板10の表面に光を照射するマスクパターンを用いる。こうすることで、レンズ面12aを除く領域の遮光性塗布層14Aのみが光照射によって硬化し、この硬化領域が遮光膜14を形成することとなる。
【0135】
露光に際して用いることができる放射線としては、特に、g線、h線、i線等の紫外線が好ましく用いられる。この放射線は単一波長の光源であってもよいし、高圧水銀灯のように全ての波長を含んだ光源を用いてもよい。
【0136】
<現像工程>
次いで、アルカリ現像処理(現像工程)を行うことにより、露光における光未照射部分、即ち、遮光性塗布層14Aの未硬化領域をアルカリ水溶液に溶出させ、光照射により硬化した領域だけを残す。
具体的には、図5(B)に示すように露光された遮光性塗布層14Aは、現像されることにより、図5(C)に示すように、レンズ面12aに形成された遮光性塗布層14Aのみが除去され、それ以外の領域に硬化された遮光膜14が形成される。
【0137】
現像工程で用いられる現像液(アルカリ性水溶液)に含まれるアルカリ剤としては、有機又は無機のアルカリ剤、及びそれらの組み合わせのいずれも用いることができる。本発明における遮光膜形成においては周囲の回路などに損傷を与えがたいという観点からは有機アルカリ剤を用いることが望ましい。
現像液に用いるアルカリ剤としては、例えば、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5、4、0]−7−ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物(有機アルカリ剤)、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機化合物(無機アルカリ剤)等が挙げられ、これらのアルカリ剤を濃度が0.001質量%〜10質量%、好ましくは0.01質量%〜1質量%となるように純水で希釈したアルカリ性水溶液が現像液として好ましく使用される。
【0138】
現像温度としては、通常20℃〜30℃であり、現像時間は20秒〜90秒の範囲で行なわれる。
【0139】
なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像液により塗布膜の未露光部を除去した後、純水で洗浄(リンス)する。即ち、現像処理後には、余剰の現像液を純水により十分に洗浄、除去し、更に、乾燥工程に付す。
【0140】
なお、上述した、遮光性塗布層形成工程、露光工程、及び現像工程を行った後に、必要に応じて、形成された遮光膜(遮光パターン)を、加熱(ポストベーク)及び/又は露光により硬化する硬化工程を含んでいてもよい。
【0141】
ポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の加熱処理であり、通常100℃〜250℃の熱硬化処理を行う。ポストベークの温度、及び時間などの条件は、基板10又はレンズ12の素材により、適宜設定することができる。例えば、基板12がガラスである場合は上記温度範囲の中でも180℃〜240℃が好ましく用いられる。
このポストベーク処理は、現像後に形成された遮光膜14を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式或いはバッチ式で行うことができる。
【0142】
なお、以上の手順では、レンズ12の形状が凹状である場合を例に説明したが、形状は特に限定されず、凸状や非球面の形状であってもよい。また、上記手順では、基板10の一方の面に複数のレンズ12が成形されたウエハレベルレンズを例に説明したが、基板10の両方の面に複数のレンズ12が成形された構成としてもよく、その場合には、両方の面に、レンズ面を除く領域にパターン状の遮光膜14が形成される。
【0143】
〔ウエハレベルレンズの形態及び作製(2)〕
図6は、ウエハレベルレンズアレイの他の構成例を示す図である。
図6に示すウエハレベルレンズは、基板10とレンズ12とを同一の成形材料で同時に成形した構成(モノリシックタイプ)である。
このようなウエハレベルレンズを作成する際には、成形材料としては上述したものと同じものを用いることができる。また、この例では、基板10の一方の面(図中の上側の面)には、凹状のレンズ12が複数形成され、他方の面(図中の下側の面)には、凸状のレンズ20が複数形成されている。また、基板10のレンズ面12aを除く領域、つまり、基板10の表面及びレンズ縁部12bの表面にパターン状の遮光膜14が形成されている。遮光膜14を形成する際のパターニング方法としては、上述した手順を適用することができる。
【0144】
〔ウエハレベルレンズの形態及び作製(3)〕
次に、図7(A)〜(C)及び図8(A)〜(C)を参照して、ウエハレベルレンズアレイの更なる他の構成例と、それを作製する手順について説明する。
ここで、図7(A)〜(C)は、パターン状の遮光膜14を形成する他の工程を示す概略図である。
また、図8(A)〜(C)は、まず、パターン状の遮光膜14を形成した後、レンズ12を成形する工程を示す概略図である。
【0145】
図3〜図6に示すウエハレベルレンズアレイの例では、レンズ12が設けられた基板10にパターン状の遮光膜14を形成するものであったが、以下に説明する手順では、まず、基板10にパターン状の遮光膜14を形成した後、基板10にレンズ12を成形する手順である。
【0146】
−遮光膜の形成−
先ず、図7(A)に示すように、基板10上に黒色硬化性組成物を塗布して遮光性塗布層14Aを形成する遮光性塗布層形成工程を行う。
【0147】
その後、基板10上に塗布された遮光性塗布層14Aの乾燥をホットプレート、オーブン等で50℃〜140℃の温度で10秒〜300秒で行う。黒色硬化性組成物の乾燥膜厚は、所望の遮光性などの性能から任意に選択することができ、概ね0.1μm以上50μm未満の範囲である。
【0148】
次に、図7(B)に示すように、遮光性塗布層形成工程において形成された遮光性塗布層14Aを、マスク70を介してパターン状に露光する露光工程を行う。マスク70は、所定のマスクパターンを有する。
本工程における露光においては、遮光性塗布層14をパターン露光することで、遮光性塗布層14Aのうち光照射された部分だけを硬化する。ここでは、後工程でレンズ12を成形した際にレンズ12のレンズ開口14aとなる部位を除く領域の遮光性塗布層14Aにのみ光を照射するマスクパターンを用いる。この方法によりレンズ12のレンズ開口14aとなる部位を除く領域の遮光性塗布層14Aのみが光照射によって硬化する。なお、露光に際して用いることができる放射線としては、先に説明した手順と同様に、g線、h線、i線等の紫外線が好ましく用いられる。
【0149】
次いで、アルカリ現像処理(現像工程)を行うことにより、上記パターン露光における遮光性塗布層14Aの未硬化領域であるレンズ12のレンズ開口14aに相当する領域の遮光性塗布層14Aのみがアルカリ水溶液に溶出される。この際、図7(C)に示すように、レンズ12のレンズ開口14aの領域を除く領域の光硬化した遮光性塗布層14Aが基板10上に残存して、遮光膜14を形成する。
ここで、現像液であるアルカリ水溶液中のアルカリ剤としては、先に説明した手順と同じものを用いることができる。
現像処理後は、その後、余剰の現像液を洗浄除去し、乾燥を施す。
【0150】
本実施形態においても、上述した、遮光性塗布層形成工程、露光工程、及び現像工程を行った後に、必要により、形成された遮光膜を上述のポストベーク及び/又は露光により硬化する硬化工程を施してもよい。
【0151】
−レンズの形成−
次に、遮光膜14を形成後に、レンズ12を形成する工程について説明する。
図8(A)に示すように、パターン状の遮光膜14が形成された基板10の上に、レンズ12を構成する成形材料Mがディスペンサ50により滴下される。成形材料Mは、レンズ12のレンズ開口14aに相当する領域を覆うように、該開口に隣接する遮光膜14の端部を一部含むように供給される。
【0152】
基板10に成形材料Mを供給した後、基板10の成形材料Mを供給された面側に、図8(B)に示すように、レンズを成形するための型80を配置する。型80には、レンズ12の形状を転写するための凹部82が、所望のレンズ12の数に応じて設けられている。
【0153】
型80を基板10上の成形材料Mに押し付け、成形材料Mを凹部の形状に倣って変形させる。そして、型80を成形材料Mに押し付けた状態で、成形材料Mが熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂の場合には型の外側から熱又は紫外線を照射することで、成形材料Mを硬化させる。
【0154】
成形材料Mを硬化させた後、型80から基板10及びレンズ12を離型し、図8(C)に示すように、基板10にパターン状の遮光膜14を備えるウエハレベルレンズを得る。
【0155】
上述のように、ウエハレベルレンズに備えられるパターン状の遮光膜14は、図5に示すようにレンズ12のレンズ面12aを除く領域に設けた構成だけでなく、図8(C)に示すように、遮光膜14をレンズ12のレンズ開口14aを除く領域に設けた構成としてもよい。
【0156】
ウエハレベルレンズは、基板10の少なくとも一方の表面にパターン上に形成された、光反射率が低い遮光膜14によって、レンズ12のレンズ面12a又はレンズ開口14a以外の領域で遮光を十分にしつつ、反射光の発生を抑制できる。このため、固体撮像素子を備えた撮像モジュールに適用した場合に、撮像時に反射光に伴うゴーストやフレアといった不具合の発生を防止できる。
【0157】
また、遮光膜14は基板の表面に設けられるため、ウエハレベルレンズに別の遮光部材などを取り付ける必要がなく、製造コストの増加を抑えることができる。
【0158】
なお、前述した特許文献2に示される構成のように、レンズの周囲に表面が凹凸の構造物を設ける構成の場合には、該構造物に入射した光が反射又は発散することで、ゴースト等の不具合が生じやすいことが懸念される。そこで、図5に示すようにレンズ12のレンズ面12aを除く領域にパターニングされた遮光膜14を設けた構成とすれば、レンズ面12a以外では光を遮光することができ、光学性能を改善できる。
【実施例】
【0159】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。また、室温は25℃を指す。
【0160】
〔カルド樹脂の合成〕
(例示化合物D−11の合成)
9,9’−ビス(4−アクリロイルオキシプロピルオキシ)フェニルフルオレン(下記化合物1−8)10g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(下記化合物2−6)1g、およびテトラメルカプトメチルメタン(下記化合物2−5)2.3gをプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAと称する。)13.3gに溶解し、85℃で4時間攪拌し、これらが反応した例示化合物D−11(固形分は50%)を得た。得られた化合物が例示化合物D−11のカルド樹脂であることはH−NMRで確認し、重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した。
【0161】
【化8】

【0162】
(例示化合物D−1〜D−10およびD−12〜D−15の合成)
例示化合物D−11と同様の方法によって、例示化合物D−1〜D−10、および、D−12〜D−15を合成し、得られた化合物をH−NMRで確認し、重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した。
【0163】
<黒色硬化性組成物B−1〜B−19、B−22〜B−24、およびB−26の調製>
(分散液の調整)
下記組成Iに示す成分を二本ロールにて高粘度分散処理を施し分散物を得た。
(組成I)
・チタンブラック(三菱マテリアルズ(株)製 13M−C、平均一次粒子径75nm) 40部
・分散剤B−1(下記構造、PGMEAの30%溶液) 5部
【0164】
【化9】

【0165】
得られた分散物に、下記組成IIに示す成分を添加し、3,000rpmの条件でホモジナイザーを用いて3時間攪拌した。得られた混合溶液を、粒径0.3mmのジルコニアビーズを用いて分散機(商品名:ディスパーマット GETZMANN社製)にて4時間微分散処理を施して、チタンブラック分散液(以下、TB分散液1と表記する。)を得た。
【0166】
(組成II)
・分散剤B−1のPGMEA30%溶液 20部
・溶剤:PGMEA 150部
【0167】
(黒色硬化性組成物B−1〜B−19、B−22〜B−24、およびB−26の調製)
下記の成分を攪拌機で混合して黒色硬化性組成物B−1〜B−19、B−22〜B−24、およびB−26を調製した。
・分散液:表2に記載の分散液(TB分散液1) 24部
・カルド樹脂:表2に記載の例示化合物 5.0部
・バインダー:表2に記載のバインダー(PGMEA30%溶液) 10部
・重合性化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 2.0部
・重合性化合物:ペンタエリスリトールトリアクリレート 1.0部
・重合開始剤:表2に記載の化合物 0.3部
・溶剤:PGMEA 10部
・溶剤:エチル−3−エトキシプロピオネート 8部
【0168】
<黒色硬化性組成物B−20の調整>
(銀錫組成物の調製)
60℃に保温した純水200mlに錫コロイド(平均粒子系:20nm、固形分:20%、住友大阪セメント社製)15gと、銀コロイド(平均粒子系:7nm、固形分:20%、住友大阪セメント社製)60gとポリビニルピロリドン0.75gを水100mlに溶解した溶液を加え、コロイド溶液とした。
次いで、このコロイド溶液を60℃に保持した状態で60分間攪拌し、その後、超音波を5分間照射した。次いでこのコロイド溶液を遠心分離により濃縮し、固形分が25%のA液を得た。A液をフリーズドライ方法により乾燥し、粉末試料得た。
チタンブラックの代わりにこの粉末試料を用い、分散剤B−1を用いて、黒色硬化性組成物B−11のチタンブラック分散液の調製と同様にして銀錫分散液を調製した。さらに黒色硬化性組成物B−11の黒色硬化性組成物の調製におけるチタンブラック分散液の代わりに、銀錫分散液を用いて、銀錫組成物を用いた黒色硬化性組成物を調製した。
【0169】
<黒色硬化性組成物B−21の調整>
(赤色顔料分散液の調製)
下記の成分からなる組成物を0.3mmジルコニアビーズを用いた、分散機(商品名:ディスパーマット GETZMANN社製)にて4時間微分散処理を施して赤色顔料分散液を調製した。
・着色剤:C.I.ピグメントレッド254 30部
・バインダー:ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体(mol比:80/10/10、Mw:10000、溶剤:PGMEA、固形分濃度:40%) 10部
・溶剤:PGMEA 200部
・分散剤B−1:PGMEAの30%溶液 30部
【0170】
(黒色硬化性組成物B−21の調製)
分散液として、TB分散液1 20部と赤色顔料分散液4部とを用いて、他は黒色硬化性組成物B−11の調整と同様にして、黒色硬化性組成物B−21を調製した。
【0171】
<黒色硬化性組成物B−25の調整>
カーボンブラック分散液(K−042884−2、東洋インキ製造(株)製:カーボンブラック19.4質量%、分散剤8.9質量%、シクロへキサノン16.1質量%、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート55.6質量%を含有)53.4部を実施例1の黒色硬化性組成物の調製におけるチタンブラック分散液24部の代わりに用いて、他は黒色硬化性組成物B−11の調整と同様にして、黒色硬化性組成物B−25を調製した。
【0172】
黒色硬化性組成物B−1〜25に用いた各成分を表2にまとめた。なおここで用いたバインダーの樹脂(E−1)、(E−2)、および重合開始剤(A)〜(F)は下記に示す化合物である。
【0173】
【表2】

【0174】
【化10】

【0175】
【化11】

【0176】
〔レンズ膜上の現像性(残渣)の評価〕
(ウエハレベルレンズ用遮光膜の作成及び評価)
以下の操作により、レンズ膜用硬化性組成物を用いた樹脂膜を形成した。
この樹脂膜を用いて、黒色硬化性組成物とレンズとの密着性の模擬評価に供した。
【0177】
(レンズ膜用熱硬化性樹脂膜の形成)
表3に示す成分2の化合物を成分2の欄に示した量だけ成分1に対して添加し、レンズ膜用硬化性組成物1〜6を調製した。成分2が空欄のレンズ膜用硬化性組成物は成分1だけを用いた。
表3に示す硬化性組成物1〜4(2mL)を5cm×5cmのガラス基板(厚さ1mm、Schott社製、BK7)に塗布し、200℃で1分間加熱して硬化させ、レンズ上の残渣評価できる膜(膜1〜4)を形成した。
(レンズ膜用光硬化性樹脂膜の形成)
表3に示す硬化性組成物5及び6(2mL)を5cm×5cmのガラス基板に塗布し、メタルハライドランプで3000mJ/cmの光を照射して硬化させ、レンズ上の残渣評価できる膜(膜5、6)を形成した。
【0178】
【表3】

【0179】
<実施例1〜28、比較例1〜8>
(レンズ膜上の黒色硬化性組成物層の形成)
前記表2に記載の黒色硬化性組成物を、上記レンズ膜用硬化性樹脂膜を備えたガラス基板にスピンコート法で塗布し、その後ホットプレート上で120℃で2分間加熱して黒色硬化性組成物層を形成した。テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド0.3%水溶液を用い、23℃で60秒間パドル現像を行った。その後スピンシャワーにてリンスを行いさらに純水にて水洗し、乾燥させた。
このときに用いた黒色硬化性組成物とレンズ膜用硬化性樹脂膜との組合せを表4のようにして実施例1〜28、比較例1〜8を行った。
【0180】
(レンズ膜上の残渣の評価)
黒色硬化性組成物層を設ける前の900nmにおけるレンズ膜の透過率をT1(%)とし、黒色硬化性組成物層を設けた後に現像、水洗、乾燥を施したときの900nmにおけるレンズ膜の透過率をT2(%)とし、下記計算式に従い、透過率の減少度を調べた。
透過率の減少度が大きいほど、レンズ膜上に黒色硬化性組成物が残存していることを意味する。
レンズ膜の透過率の減少度(%)=T2(%)−T1(%)
基本的に、レンズフィルムの透過率の減少は、レンズフィルム上の残留黒色硬化性組成物層によるものである。
【0181】
【表4】

【0182】
<実施例29〜51、比較例9〜11>
(ガラス基板上での遮光膜形成及び評価)
各黒色硬化性組成物をガラス基板(厚さ1mm、Schott社製、BK7)に直接スピンコート法で塗布し、その後ホットプレート上で120℃で2分間加熱して黒色硬化性組成物層を形成した。次いで、得られた組成物層を、高圧水銀灯を用い、50μmのホールパターンを有するフォトマスクを介して露光量100mJ/cmから1000mJ/cmまで、50mJ/cmずつ変更し露光した。
前記露光後の組成物層に対し、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド0.3%水溶液を用い、23℃60秒間パドル現像を行った。その後スピンシャワーにてリンスを行いさらに純水にて水洗し、パターン状の遮光膜を得た。
得られた遮光膜について、光学顕微鏡を用いて剥れを発生しなくなる露光量の下限値を求めて、感度とした。感度が小さい程、密着性が有効であることを示す。
【0183】
<ガラス基板上における残渣評価>
残渣評価は、遮光膜の形成前のガラス基板が示す900nmにおける透過率T3(%)と、未露光の黒色硬化性組成物層が現像除去後された部分のガラス基板が示す900nmにおける透過率T4(%)とをそれぞれ測定し、ガラス基板の透過率減少度(%)を、下記式(2)により算出することにより行った。
ガラス基板の透過率減少度(%)=T3(%)−T4(%) 式(2)
透過率の測定は、レンズ形成用樹脂膜の透過率の測定と同様にして測定した。
透過率減少度が大きいほど、黒色硬化性組成物が、よりガラス基板上に残存していることを意味する。基本的に、ガラス基板の透過率の減少はレンズフィルム上の残留黒色硬化性組成物層によるものである。
【0184】
<遮光膜の透過率測定>
露光領域に形成された遮光膜が示す透過率を波長900nmにおいて測定した。
【0185】
なお、実施例中において透過率は、分光光度計(島津製作所製UV−3600型番)により測定した。
【0186】
【表5】

【0187】
表4及び表5の結果より、本発明の黒色硬化性組成物は、種々のレンズ膜上又はガラス基板上においても残渣が少ないことがわかる。また、実施例29〜47と実施例48および比較例11との対比より、無機顔料としてチタンブラックを含有するものは、特に硬化感度に優れ、さらに実施例49よりチタンブラックと赤色有機顔料とを併用することで遮光性が、さらに向上することがわかる。
【符号の説明】
【0188】
10 基板
12 レンズ
14 遮光膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)無機顔料、(B)重合開始剤、(C)重合性化合物、および(D)カルド樹脂を含有するウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物。
【請求項2】
前記(A)無機顔料が、チタンブラックを含む請求項1に記載のウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物。
【請求項3】
前記(D)カルド樹脂が、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレア樹脂、及びポリイミド樹脂からなる群から選ばれ、且つ、フルオレン骨格を有する樹脂である請求項1または請求項2に記載のウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物。
【請求項4】
前記(D)カルド樹脂が有するフルオレン骨格が、下記構造である請求項3に記載のウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物。
【化1】

【請求項5】
前記(D)カルド樹脂が、チオール基含有化合物由来の構成単位を含むカルド樹脂である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物。
【請求項6】
前記(D)カルド樹脂におけるカルド構造が占める割合が、該(D)カルド樹脂全体の質量に対し30〜90質量%である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物。
【請求項7】
前記(D)カルド樹脂が、少なくとも1種のカルド構造含有繰り返し単位のみからなる、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物。
【請求項8】
前記(D)カルド樹脂が、少なくとも1種のカルド構造含有繰り返し単位と、少なくとも1種のカルド構造を含まない繰り返し単位とを含む、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物。
【請求項9】
前記(D)カルド樹脂の分子量が3000〜20000である、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物。
【請求項10】
前記(B)重合開始剤が、オキシム系開始剤を含む請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物。
【請求項11】
さらに、(E)有機顔料を含有する請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物。
【請求項12】
基板と、基板上に存在するレンズと、該レンズの周縁部に設けられ、且つ請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物を用いて得られた遮光膜と、を有するウエハレベルレンズ。

【図7】
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【図8】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−170334(P2011−170334A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7179(P2011−7179)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】