説明

ウォッシャタンク

【課題】周辺の機器類との間のレイアウト上の制約を緩和することができ、設備コストを安価に抑えることもでき、しかも、これまでより高い液面まで確認することができるウォッシャタンクを提供する。
【解決手段】ウォッシャ液6を貯留するタンク本体5の上部と下部との間を連通し且つその中途部を直立させてタンク本体5内の液面と同じ液面を前記中途部で視認できるようにした液面確認ホース7と、前記タンク本体5内の上部のエアを大気へ開放するエア抜きホース9とを備えたウォッシャタンクに関し、前記タンク本体5の下部から導いて中途部を立ち上げた液面確認ホース7を前記タンク本体5より高い位置で前記エア抜きホース9と接続して該エア抜きホース9を介しタンク本体5の上部と連通するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォッシャタンクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のウォッシャタンクの形式は様々であるが、キャブオーバー型のトラック等においては、図3及び図4に示す如く、助手席側のドアを開けた時に現れるインストルメントパネル1の側面に注水口2を設定して該注水口2をキャップ3で塞ぎ、この注水口2まで延びるインレットパイプ4を介してタンク本体5にウォッシャ液6が補充されるようにしたものがある。
【0003】
この際、所定の容積を持つタンク本体5は、その大きさに見合う配置スペースが必要となるため、周辺の機器類等とのレイアウト上の関係により、インストルメントパネル1から距離を隔てた奥まった位置に置かれるケースがあるが、このような場合には、タンク本体5内の液面をユーザーが目視により確認できるよう該タンク本体5の上部と下部との間を透明の液面確認ホース7により接続し、この液面確認ホース7の中途部を直立させてインストルメントパネル1の覗き窓8を経由させるように配索することが行われている。
【0004】
また、タンク本体5の上部とインストルメントパネル1の適宜位置との間がエア抜きホース9により接続され、該エア抜きホース9を介してタンク本体5内の上部のエアが大気へ開放されるようになっており、ウォッシャ液6をタンク本体5に補充する際における該タンク本体5内のエアの逃げ道を確保して注水速度の向上を図り得るようにしてある。
【0005】
尚、この種のウォッシャタンクに関連する先行技術文献情報としては下記の特許文献1等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭61−163768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、タンク本体5とインストルメントパネル1の覗き窓8との間に機器類が複雑に配置されているような場合には、タンク本体5の下部から覗き窓8を経由するように配索した液面確認ホース7を前記タンク本体5の上部に戻すことが難しい場合があり、周辺の機器類との間にレイアウト上の制約が生じることがあった。
【0008】
また、タンク本体5の下部から導いて覗き窓8を経由させた液面確認ホース7をタンク本体5まで戻すのに配索長さが長く必要となる一方、タンク本体5への結合箇所にコストのかかる穴加工やシール性を考慮したグロメット及びジョイントが必要となるため、これらの要因がウォッシャタンクの設備コストの高騰を招いていた。
【0009】
しかも、図4に示す従来構造では、タンク本体5の側面の上下部に液面確認ホース7を接続するようにしていたため、タンク本体5の側面の上部に対する液面確認ホース7の接続位置より高い液面を確認することができないという不都合もあった。
【0010】
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、周辺の機器類との間のレイアウト上の制約を緩和することができ、設備コストを安価に抑えることもでき、しかも、これまでより高い液面まで確認することができるウォッシャタンクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ウォッシャ液を貯留するタンク本体の上部と下部との間を連通し且つその中途部を直立させてタンク本体内の液面と同じ液面を前記中途部で視認できるようにした液面確認ホースと、前記タンク本体内の上部のエアを大気へ開放するエア抜きホースとを備えたウォッシャタンクにおいて、前記タンク本体の下部から導いて中途部を立ち上げた液面確認ホースを前記タンク本体より高い位置で前記エア抜きホースと接続して該エア抜きホースを介しタンク本体の上部と連通するように構成したことを特徴とするものである。
【0012】
而して、このようにすれば、タンク本体の下部から導いて中途部を立ち上げた液面確認ホースを前記タンク本体の上部に戻さずに、該タンク本体より高い位置まで延ばしてエア抜きホースと接続するようにしているので、前記タンク本体の上部と前記液面確認ホースの中途部との間で機器類が前記液面確認ホースと干渉する心配がなくなり、周辺の機器類との間のレイアウト上の制約が大幅に緩和されることになる。
【0013】
また、タンク本体の下部から導いて中途部を立ち上げた液面確認ホースを前記タンク本体の上部に戻さなくて済むことにより、前記液面確認ホースを従来より短くすることが可能となり、しかも、コストのかかるタンク本体の上部への液面確認ホースの結合箇所が削減される一方、該液面確認ホースとエア抜きホースとの結合箇所は簡易な3ウェイジョイント等で安価に構成することが可能となるので、ウォッシャタンクの設備コストが安価に抑えられる。
【0014】
更に、液面確認ホースがタンク本体より高い位置でエア抜きホースと接続されるようになっているので、タンク本体の側面の上部に対する液面確認ホースの接続位置により確認可能な液面のレベルが規制されなくなり、これまでより高い液面まで確認することが可能となる。
【0015】
また、本発明においては、液面確認ホースの直立する中途部をホース外径よりも幅が広い拡幅部として形成することが好ましく、このようにすれば、ホース外径よりも幅が広い拡幅部で液面を確認することが可能となり、該液面が確認し易くなって視認性の大幅な向上が図られる。
【0016】
例えば、着色されたウォッシャ液の替わりに水が入れられているような場合、一般的なエア抜きホースのホース外径は6mm程度であるために液面を確認しづらかったが、ホース外径よりも幅が広い拡幅部を形成しておけば、液面を容易に確認することができて便利である。
【発明の効果】
【0017】
上記した本発明のウォッシャタンクによれば、下記の如き種々の優れた効果を奏し得る。
【0018】
(I)本発明の請求項1に記載の発明によれば、タンク本体の下部から導いて中途部を立ち上げた液面確認ホースを前記タンク本体の上部に戻さずに、該タンク本体より高い位置まで延ばしてエア抜きホースと接続したことにより、前記タンク本体の上部と前記液面確認ホースの中途部との間で機器類が前記液面確認ホースと干渉する虞れをなくして、周辺の機器類との間のレイアウト上の制約を大幅に緩和することができ、また、前記液面確認ホースを従来より短くすることができる一方、コストのかかるタンク本体の上部への液面確認ホースの結合箇所を削減することができて、該液面確認ホースとエア抜きホースとの結合箇所も簡易な3ウェイジョイント等で安価に構成することができるので、ウォッシャタンクの設備コストを安価に抑えることができ、更には、タンク本体の側面の上部に対する液面確認ホースの接続位置により確認可能な液面のレベルが規制される不都合を解消し、これまでより高い液面まで確認することを実現できる。
【0019】
(IV)本発明の請求項2に記載の発明によれば、ホース外径よりも幅が広い拡幅部で液面を確認することができるので、従来より液面の視認性を大幅に向上することができ、着色されたウォッシャ液の替わりに水が入れられているような場合であっても、確実に液面を確認して適切な量の補充を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明を実施する形態の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の別の形態例を示す斜視図である。
【図3】ウォッシャ液の注水口の一例を示す斜視図である。
【図4】従来構造の一例を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0022】
図1は本発明を実施する形態の一例を示すもので、図3及び図4と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
【0023】
図1に示す如く、本形態例においては、先の図4で説明した従来構造の場合と同様に、ウォッシャ液6を貯留するタンク本体5の上部と下部との間を連通し且つその中途部をインストルメントパネル1の覗き窓8で直立させてタンク本体5内の液面と同じ液面を前記中途部で視認できるようにした液面確認ホース7と、前記タンク本体5内の上部のエアを大気へ開放するエア抜きホース9とを備えているが、前記液面確認ホース7をタンク本体5の上部に連通させるにあたり、該タンク本体5の下部から導いてインストルメントパネル1の覗き窓8を経由させた液面確認ホース7を、従来のようにタンク本体5の上部に直接接続することに替え、前記タンク本体5より高い位置まで延ばして3ウェイジョイント10により前記エア抜きホース9と接続し、該エア抜きホース9を介して前記タンク本体5の上部と連通するように構成している。
【0024】
而して、このように構成すれば、タンク本体5の下部から導いて中途部をインストルメントパネル1の覗き窓8で立ち上げた液面確認ホース7を前記タンク本体5の上部に戻さずに、該タンク本体5より高い位置まで延ばしてエア抜きホース9と接続するようにしているので、前記タンク本体5の上部と前記液面確認ホース7の中途部との間で機器類が前記液面確認ホース7と干渉する心配がなくなり、周辺の機器類との間のレイアウト上の制約が大幅に緩和されることになる。
【0025】
また、タンク本体5の下部から導いて中途部を立ち上げた液面確認ホース7を前記タンク本体5の上部に戻さなくて済むことにより、前記液面確認ホース7を従来より短くすることが可能となり、しかも、コストのかかるタンク本体5の上部への液面確認ホース7の結合箇所が削減される一方、該液面確認ホース7とエア抜きホース9との結合箇所は簡易な3ウェイジョイント10で安価に構成することが可能となるので、ウォッシャタンクの設備コストが安価に抑えられる。
【0026】
更に、液面確認ホース7がタンク本体5より高い位置でエア抜きホース9と接続されるようになっているので、タンク本体5の側面の上部に対する液面確認ホース7の接続位置により確認可能な液面のレベルが規制されなくなり、これまでより高い液面まで確認することが可能となる。
【0027】
従って、上記形態例によれば、タンク本体5の下部から導いて中途部を立ち上げた液面確認ホース7を前記タンク本体5の上部に戻さずに、該タンク本体5より高い位置まで延ばしてエア抜きホース9と接続するようにしたことにより、前記タンク本体5の上部と前記液面確認ホース7の中途部との間で機器類が前記液面確認ホース7と干渉する虞れをなくして、周辺の機器類との間のレイアウト上の制約を大幅に緩和することができる。
【0028】
また、前記液面確認ホース7を従来より短くすることができる一方、コストのかかるタンク本体5の上部への液面確認ホース7の結合箇所を削減することができて、該液面確認ホース7とエア抜きホース9との結合箇所も簡易な3ウェイジョイント10で安価に構成することができるので、ウォッシャタンクの設備コストを安価に抑えることができる。
【0029】
更に、タンク本体5の側面の上部に対する液面確認ホース7の接続位置により確認可能な液面のレベルが規制される不都合を解消し、これまでより高い液面まで確認することを実現できる。
【0030】
また、図2は本発明の別の形態例を示すもので、本形態例においては、液面確認ホース7の直立する中途部をホース外径Dよりも幅Wが広い拡幅部11として形成した構成を採用しており、このようにした場合には、ホース外径Dよりも幅Wが広い拡幅部11で液面を確認することができるので、従来より液面の視認性を大幅に向上することができ、着色されたウォッシャ液6の替わりに水が入れられているような場合であっても、確実に液面を確認して適切な量の補充を行うことができる。
【0031】
尚、本発明のウォッシャタンクは、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0032】
5 タンク本体
6 ウォッシャ液
7 液面確認ホース
9 エア抜きホース
11 拡幅部
D ホース外径
W 幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウォッシャ液を貯留するタンク本体の上部と下部との間を連通し且つその中途部を直立させてタンク本体内の液面と同じ液面を前記中途部で視認できるようにした液面確認ホースと、前記タンク本体内の上部のエアを大気へ開放するエア抜きホースとを備えたウォッシャタンクにおいて、前記タンク本体の下部から導いて中途部を立ち上げた液面確認ホースを前記タンク本体より高い位置で前記エア抜きホースと接続して該エア抜きホースを介しタンク本体の上部と連通するように構成したことを特徴とするウォッシャタンク。
【請求項2】
液面確認ホースの直立する中途部をホース外径よりも幅が広い拡幅部として形成したことを特徴とする請求項1に記載のウォッシャタンク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−224142(P2012−224142A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91858(P2011−91858)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000005463)日野自動車株式会社 (1,484)
【Fターム(参考)】