説明

ウォッシャータンク

【課題】簡単な構成によって、ウォッシャータンク内のウォッシャー液の残量を的確に把握することができ、且つ、車内空間を有効に活用して配置することができるウォッシャータンクを提供する。
【解決手段】ウォッシャータンク1は、タンク本体10と注入管20とを備える。タンク本体10は、ウォッシャー液を貯留する貯留室11を内部に形成する。注入管20は、貯留室11の下部と連通する連通部24と、上方へ開口する注入口21と、案内路23とを有する。案内路23は、連通部24から注入口21へ略直線状に延びて注入口21から注入されたウォッシャー液を連通部24を介して貯留室11へ案内する。貯留室11のウォッシャー液の液面と案内路23のウォッシャー液の液面とが同じ高さになるため、注入口21から案内路23を覗いてウォッシャー液の液面の高さを視認することによって、貯留室11のウォッシャー液の残量を確認することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のウォッシャータンクに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2008−14866号公報には、ウォッシャータンク内に突出して配置された第1電極と、第1電極に対し鉛直方向にオフセットして配置された第2電極とを備え、第1及び第2電極間の導通が遮断されている場合、運転席から視認可能に配置されたインストルメントパネルの警告インジケータを点灯させる液位検出装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−14866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特開2008−14866号公報の構成では、外側から視認し難い閉じられたスペースにウォッシャータンクを配置した場合であっても、運転者は、警告インジケータの点灯によってウォッシャー液が所定の液量より多いか少ないかを認識することができる。
【0005】
しかし、上記構成は、ウォッシャー液の残量の変化を逐次報知するものではないため、運転者は現在のウォッシャー液の残量を的確に把握することができない。また、電極や警告インジケータなどの特別な電装品が必要となるため、構造が複雑になってしまう。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、簡単な構成によって、ウォッシャータンク内のウォッシャー液の残量を的確に把握することができ、且つ、車内空間を有効に活用して配置することができるウォッシャータンクの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく、本発明のウォッシャータンクは、タンク本体と注入管とを備える。タンク本体は、ウォッシャー液を貯留する貯留室を内部に形成する。注入管は、連通部と注入口と案内路とを有する。連通部は、貯留室の下部と連通する。注入口は、貯留室の上端よりも上方に配置されて上方に向かって開口する。案内路は、連通部から注入口へ略直線状に延びて注入口から注入されたウォッシャー液を連通部を介して貯留室へ案内する。
【0008】
連通部の長さは任意に設定可能である。但し、連通部を長く設定する場合には、貯留室の下部の高さから略水平方向に延びていることが好ましい。
【0009】
案内路は、鉛直方向に延びてもよく、斜め方向に延びてもよい。
【0010】
上記構成では、貯留室のウォッシャー液の液面と案内路のウォッシャー液の液面とが同じ高さになるため、作業者は、注入口から案内路を覗いてウォッシャー液の液面の高さを直接視認することによって、貯留室内のウォッシャー液の残量を確認することができる。
【0011】
また、注入口から案内路を覗くことによってウォッシャー液の残量を確認することができるので、外側から視認し難い閉じられたスペースにタンク本体を配置した場合であっても、ウォッシャー液の残量を確認することができる。従って、残量の確認作業の困難化を招くことなく、車内空間を有効に活用してウォッシャータンクを配置することができる。
【0012】
また、案内路を透過性部材で形成してもよい。この場合、案内路を形成する部材の外周面のうち少なくとも一部を上端から下端まで露出させることによって、案内路を形成する部材の外側からウォッシャー液の液面の高さを視認することができ、注入口を閉止したまま貯留室内のウォッシャー液の残量を確認することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡単な構成によって、ウォッシャー液の残量を的確に把握することができ、且つ、車内空間を有効に活用して配置することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の第1の実施形態を図1及び図2に基づいて説明する。図1は第1の実施形態に係るウォッシャータンクの側面図であり、図2は図1の矢印II方向から視た側面図である。なお、図中、矢印UPは上方向を、矢印OUTは車幅方向外側を、矢印FRは車両前方をそれぞれ示す。
【0015】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係るウォッシャータンク1は、樹脂製部材で形成され、タンク本体10と注入管20とキャップ30とを備え、車内空間に配置される。
【0016】
タンク本体10は、貯留室11と液出口(図示省略)と通気部12とを有し、車輪(図示省略)を覆うホイールハウス3の上方であって、フェンダーパネル4と、フェンダーパネル4よりも車幅方向内側に配置されてエンジンルームの側面を区画するインナパネル5とによって形成されたスペース6に配置される。スペース6は、フェンダーパネル4とインナパネル5とによって覆われ、エンジンフード(図示省略)を開けてエンジンルーム7の上方を開放しても露出せずに閉じられている。また、スペース6の形状は、フェンダーパネル4やホイールハウス3の複雑な形状に依存するため、自ずと複雑になってしまう。本実施形態のスペース6では、縦長で前後方向に延びて、下面が側方から視て上方へ膨出した湾曲形状を有する。このように、スペース6は複雑な形状であり、車載部材を配置し難いため、デッドスペースになり易い。タンク本体10は、スペース6に合わせた形状に形成され、上方に向かって細く、前後方向に延びて前方及び後方に向かって細く、上縁が前後方向に傾斜し、下縁が側方から視て上方へ膨出した湾曲形状を有する。
【0017】
貯留室11は、タンク本体10の内部に形成され、その上端までウォッシャー液を貯留する。なお、以下、ウォッシャー液が貯留室11の上端まで貯留された状態を満タンという。液出口は、ポンプ(図示省略)に対して直接或いはホースなどを介して接続される。通気部12は、貯留室11の上端よりも上へ突出して形成され、その上端に通気孔13を有する。貯留室11へウォッシャー液が注入されてウォッシャー液が増加したときに、通気孔13を介して貯留室11からタンク本体10の外部へ空気が流出し、また、ポンプによってウォッシャー液が吸引されてウォッシャー液が減少したときに、通気孔13を介してタンク本体10の外部から貯留室11へ空気が流入する。
【0018】
ポンプは、液出口から貯留室11のウォッシャー液を吸引し、吸引したウォッシャー液を、車外に露出した噴射口(図示省略)からフロントウィンドウパネル(図示省略)の外面に向けて噴射する。
【0019】
注入管20は、注入口21と案内管部22と連通部24とを有する。注入口21は、貯留室11の上端よりも上方であって通気孔13よりも下方に配置されて上方に向かって開口し、エンジンルーム7に配置される。注入口21が通気孔13よりも下方に配置されているため、作業者が満タンに気が付かずにウォッシャー液を過度に注入してしまうことがない。なお、注入口21は、貯留室11の上端と同一の高さに配置されることが望ましい。これにより、作業者はウォッシャー液の液面が注入口21の高さになるまで、ウォッシャー液を注入口21から注入することによって、貯留室11を満タンにすることができる。また、本実施形態では、注入口21は、上方に向かって広く形成されている。このため、ウォッシャー液の注入作業をし易い。案内管部22は、エンジンルーム7に配置され、注入口21から貯留室11の下部の高さまで略直線状に延びた案内路23を内部に形成する。連通部24は、貯留連通部25と水平管部26とを有し、案内路23の下端から貯留室11の下部へ連通し、注入口21から案内路23へ注入されたウォッシャー液を貯留室11へ案内する。貯留連通部25は、貯留室11の下部と連通する。なお、貯留室11の下部とは、貯留室11の最下端でなくてもよい。本実施形態では、貯留連通部25は、貯留室11の下部のうち貯留室11の最下端よりも僅かに上方で、貯留室11と連通する。水平管部26は、貯留連通部25に連続して、貯留室11の下部の高さから略水平方向に延び、案内路23の下端と連通する。
【0020】
キャップ30は、通気孔31を有し、注入口21に着脱自在に取り付けられ、注入口21に装着された状態で注入口21からのウォッシャー液の漏れを防止する。キャップ30が注入口21に装着された状態で、ポンプによってウォッシャー液が吸引されてウォッシャー液が減少したときに、通気孔31を介して注入管20の外部から注入管20内に外気が流入する。
【0021】
本実施形態では、貯留室11のウォッシャー液の液面と案内路23のウォッシャー液の液面とが同じ高さになるため、作業者は、エンジンフードを開けてエンジンルーム7の上方を開放させた状態で、注入口21から案内路23を覗いてウォッシャー液の液面の高さを直接視認することによって、貯留室11内のウォッシャー液の残量を確認することができる。
【0022】
また、注入口21から案内路23を覗くことによってウォッシャー液の残量を確認することができるので、フェンダーパネル4及びインナパネル5によって外側から視認し難い閉じられたスペース6にタンク本体10が配置されていても、ウォッシャー液の残量を確認することができる。従って、残量の確認作業の困難化を招くことなく、車内空間を有効に活用してウォッシャータンク1を配置することができる。
【0023】
また、タンク本体10は、配置する空間に合わせて形成することができるため、複雑な形状を有するスペース6であっても、スペース6内を広く利用した形状にすることができる。このため、貯留室11に十分な量のウォッシャー液を貯留することができる。
【0024】
また、タンク本体10を配置する場所をエンジンルーム7に設ける必要がないため、エンジンルーム7を広く有効に活用することができる。
【0025】
また、案内路23の下端に連続して略水平方向に延びる連通部24が、貯留室11の下部のうち最下端よりも僅かに上方で貯留室11と連通する。このため、ウォッシャー液の残量の減少に伴って、先に案内路23の底面が露出してから、貯留室11が空になる。従って、注入口21から案内路23を覗いた際に、案内路23の底面が見えるか否かによって、貯留室11のウォッシャー液の量が極めて少ないか否かを容易に判断することができる。
【0026】
なお、ウォッシャータンク1は、スペース6以外に配置してもよい。例えば、案内管部22の外周面のうち周方向の少なくとも一部が(貯留室11の上端よりも上方に位置する)上端から(貯留室11の下部の高さに位置する)下端まで露出された状態で配置してもよい。この場合、案内管部22は透過性部材で形成する。これにより、案内管部22の外側からウォッシャー液の液面の高さを視認することができ、注入口21にキャップ30が装着された状態で貯留室11内のウォッシャー液の残量を確認することができる。また、案内管部22を透過性部材で形成する場合、案内管部22の内面及び外面の少なくとも一方に、満タンに対する現在の液量の割合や、具体的な残量値を示す視認可能な文字や記号を付してもよい。
【0027】
また、連通部24の水平管部26の長さや有無、案内路23の角度、タンク本体10の形状を任意に設定可能であるため、注入口21を作業性の良い車内空間に配置するなどの作業性を向上させるレイアウトや、本実施形態のように空いた車内空間を有効に活用するレイアウトなどをすることができ、レイアウトの自由度が高い。
【0028】
レイアウトの変更例として、図3に本発明の第2の実施形態のウォッシャータンクを示す。図3は、第2の実施形態に係るウォッシャータンクの概略側面図である。第2の実施形態では、連通部と案内管部との構成が異なる。第1の実施形態と共通する構成については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。ウォッシャータンク2の注入管20の連通部40は、貯留開口部41のみを有し、水平管部を備えない。注入管20の案内管部27は、連通部40から注入口21へ斜め方向に略直線状に延びた案内路28を形成する。上記構成では、注入口21の下方に配置されている構造物9との干渉を避けることができる。
【0029】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るウォッシャータンクの側面図である。
【図2】図1の矢印II方向から視た側面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係るウォッシャータンクの概略側面図である。
【符号の説明】
【0031】
1,2:ウォッシャータンク
10:タンク本体
11:貯留室
20:注入管
21:注入口
23,28:案内路
24,40:連通部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウォッシャー液を貯留する貯留室を内部に形成するタンク本体と、
前記貯留室の下部と連通する連通部と、前記貯留室の上端よりも上方に配置されて上方に向かって開口する注入口と、前記連通部から前記注入口へ略直線状に延びて前記注入口から注入されたウォッシャー液を前記連通部を介して前記貯留室へ案内する案内路とを有する注入管と、を備えた
ことを特徴とするウォッシャータンク。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate