説明

ウォブルに制御データを有する光学媒体

【課題】ウォブルに制御データを有する光学媒体を提供する。
【解決手段】光学媒体は、ウォブルに符号化される補助情報(116)及び制御データ(118)を有する。制御データは、ドライブが補助情報に対して許可されている動作、又は要求される動作を指定する。たとえば、制御データは、媒体を読み取っているドライブが補助情報の領域を出力する可否(204、206)を指定するために使用することができる。別法として、制御データは、書き込みドライブが補助情報の一部を媒体上の書き込み可能エリアにコピーする可否(304、306)を指定するために使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[背景]
本発明は、包括的には、情報の記憶に使用される光学媒体及び情報の記憶に使用される光学媒体を読み取るドライブに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル光学媒体は、種々の目的で種々の情報、たとえばオーディオ及びビデオ等のエンターテイメントデータ、及び、テキストファイル及び多くのデータファイル等のコンピュータデータに使用される。一般に、ドライブ又はホストシステムは、物理的な媒体から特定のデータを要求することができ、いくつかの特定のデータへのアクセスを制御する必要があるとともに、ドライブの動作を制御する必要がある。特にエンターテイメントデータの場合、コピー保護、コピー制御、復号化鍵のセキュリティ、及び暗号化されていないデータへのアクセス制限という一般的な必要性がある。たとえば、統合エンターテイメントシステムでは、暗号化されたデータを読み取っているドライブは、そのデータを内部で復号化し、その結果生成されるデータを統合ディスプレイに送る。ドライブがディスプレイの周辺にある場合、暗号化されたデータをディスプレイに送るようにドライブに要求することができ、次いでデータがディスプレイ内で復号化される。さらなる例として、ビデオディスクによっては特定の地理的領域のみでの使用を意図され、信頼できるドライブのみに制限付きビデオデータの読み取りを許可すべきである。光学媒体に記憶されている情報へのアクセスを制御する継続した必要性がある。
【特許文献1】国際公開第2004/075187号
【特許文献2】米国特許第5923754号
【特許文献3】欧州特許出願公開第0930614号
【特許文献4】欧州特許出願公開第1505593号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、ウォブルに制御データを有する光学媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明にかかる光学媒体は、書き込み可能エリアと、ウォブルに符号化される補助情報と、ウォブルに符号化される制御データであって、書き込みドライブが前記補助情報又は該補助情報を変換したものを前記書き込み可能エリアにコピーする可否を指定する、制御データとを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
[説明]
情報記憶のためのデジタル光学媒体によっては、たとえばコンパクトディスク(CD)及びデジタル多用途ディスク(DVD)によっては、各データ面がランドグルーブ構造を有し、ランド及び/又はグルーブは正弦波半径方向配置(sinusoidal radial displacement)(ウォブルと呼ばれる)を有する。ユーザ情報(たとえば、オーディオデータ、ビデオデータ、又はコンピュータデータ)はグルーブ、ランド、又は両方に記録することができる。さらなるシステム情報(たとえば、フォーマット情報、制御情報、及び補助情報)をウォブルに符号化することができる。たとえば、CDでは、グルーブウォブルが時間情報を符号化するように周波数変調される。より最近のDVDでは、ウォブルは、アドレス情報及びさらなる補助情報、たとえば復号化鍵を符号化するように周波数変調又は位相変調することができる。
【0006】
本発明の実施形態例では、光学媒体のウォブルに符号化される制御データがドライブの動作を指定する。制御データに応じて、ドライブは、ウォブルに符号化される補助情報に対して指定の動作をとることを禁止、許可、要求、又は要請される。第1の例では、ウォブルに符号化される制御データは、ドライブがこれもまたウォブルに符号化される補助データをドライブ外に送信する可否を指定する。第2の例では、ウォブルに符号化される制御データは、ドライブがウォブルに符号化される補助データ(又は補助データを変換したもの)を媒体の書き込み可能エリアにコピーすることを許可されているか否か(又は要求されているか否か)を指定する。第3の実施形態例では、ウォブルに符号化される制御データは、ドライブがウォブルに符号化される補助データを媒体の書き込み可能エリアに書き込まれたデータと比較することを要求されているか否かを指定する。
【0007】
図1Aは、光学ディスク102を含むドライブ100の一実施形態例を示す。光学ヘッド104が、レンズ系106を通してディスク102上のランドグルーブ構造を見る。コントローラ108が信号を光学ヘッド104からデジタル情報に変換する。デジタル情報は、ウォブルに符号化されるユーザデータ及び情報を含む。コントローラ108は、ホスト装置110と通信する。ドライブ100はホスト110の一部であってもよく、任意選択的に、図示するケーブルによってホストに接続された周辺機器であってもよく、又は任意選択的に、周辺機器であってホストとワイヤレス通信してもよい。
【0008】
図1Bは、半径方向のウォブル(例示のために誇張されている)を有するディスク102上のデータトラック112を示す。図1Bの例では、ウォブルの位相は位置114で反転する。位相反転のパターンが2値である1と0を定義し、情報がウォブルの位相反転のパターンに符号化される。別法として、ウォブルは情報を符号化するように周波数変調することができる。アドレッシング、物理的なトラッキング、又はフォーマットのために使用される情報をディスクのウォブル又は他の物理的な構造に符号化できる他の方法もあり、本発明にとって具体的な符号化方法は重要ではない。図1Bでは、ユーザデータ及び/又はディスク上の書き込み可能エリアは、ウォブルエリア間のデータトラック112に配置される。図1Bのウォブルはデータトラック112の各側に対称に示されることに留意されたい。対称ウォブルが最も一般的であるが、一般に、ウォブルは非対称であってもよく、又はデータトラックの片側のみにあってもよい。
【0009】
ディスク102は、たとえば、単一のらせん状のトラックを有してもよく、又はたとえば、複数の同心トラックを有してもよい。本発明にとってトラック数は重要ではない。図1Cは、光学ディスク102上のトラックの一部である領域116(又は部分、セグメント、ブロック)を示す。領域116はウォブルに符号化される補助情報を含む。説明の便宜上、図1C中の領域116は、ディスクの1回転の約1/4として示される。しかし、「領域」という言葉は、トラック(複数可)の一部を意味することが意図される。すなわち、領域116のウォブルに符号化される情報は、トラック全体(単一のらせん状トラックがある場合)又はトラックのセット(同心円の円形トラックがある場合)のウォブルに符号化される全情報の一部である。図1Cには、ウォブルに埋め込まれた制御情報を含む、光学ディスク102上のトラックの第2の領域(又は部分、セグメント、ブロック)118も示される。制御情報は図1Cに示すように補助情報と別個であってもよく、又は補助情報に含まれてもよい。
【0010】
ウォブルに符号化される補助情報の例は復号化情報である。復号化情報がウォブルに符号化される場合、媒体は、ドライブがウォブルに符号化される情報のその部分をドライブ外に送信する可否を指定する必要があり得る。たとえば、図1A及び図1Cでは、領域118中の制御情報は、ドライブが領域116の補助情報をドライブ外に送信する可否を指定することができる。
【0011】
具体例として、提案される一フォーマットは、補助情報を、ウォブルに符号化される拡張フォーマット情報(Extended Format Information)と呼ばれるデータ構造で指定する。拡張フォーマット情報の一部はディスクキーブロック(Disk Key Block)と呼ばれる領域である。ディスクキーブロックは復号化情報を含む。本発明の第1の実施形態の具体例によれば、制御バイト中の1ビットは、ドライブがディスクキーブロック内の復号化情報をドライブ外に送信する可否を指定する。具体例では、制御バイトはディスクキーブロックとは別の位置で符号化される。
【0012】
図2は方法例を示す。ステップ200において、ドライブがウォブルに符号化される制御データを読み取る。ステップ202において、ドライブは、制御データの値が補助データのドライブ外への送信を禁止しているか否かを判断する。エクスポートが許可されている場合、ステップ204において、ドライブは補助データをドライブ外に送信する。エクスポートが許可されていない場合は、ステップ206において、ドライブは補助データのエクスポートを拒絶する。
【0013】
ドライブによっては、ウォブルに符号化される情報を読み取ることができないものもある。ウォブル内に多数のドライブによりアクセス可能である必要がある情報がある場合、時に、書き込みドライブがウォブルに符号化される情報の部分を媒体の書き込み可能エリアにコピーすることが望ましいことがある。別法として、書き込みドライブがウォブルに符号化される情報を変換したものを媒体の書き込み可能エリアにコピーすることが望ましいことがある。変換された情報の一例として、ウォブルに符号化されるデータを、書き込み可能エリアに書き込む際に暗号化してもよく、又はウォブル中のデータは書き込み可能エリア中のデータの暗号化された形態であってもよい。別の例として、ウォブルに符号化されるデータは、書き込み時に異なるフォーマットで符号化されてもよい。しかし、ウォブルに符号化される情報によっては、たとえば復号化鍵は、媒体の書き込み可能エリアへのコピーを阻止することが望ましいことがある。たとえば、図1Cでは、領域118中の制御情報の第1の値は、書き込みドライブが領域116中の補助情報をユーザデータに使用されるディスクの部分にコピーできることを指定することができ、領域118中の制御情報の第2の値は、ドライブが領域116中の補助情報をディスク上のユーザデータエリアにコピーしてはならないことを指定することができる。これに代えて、又はこれに加えて、制御データは、書き込みドライブが補助データ又は補助データを変換したものをユーザデータエリアにコピーしなければならないことを指定してもよく、又は、補助データ又は補助データを変換したもののユーザエリアへのコピーが任意であることを指定してもよい。
【0014】
図3は一方法例を示す。ステップ300において、ドライブはウォブルに符号化される制御データを読み取る。ステップ302において、ドライブは、制御データの値が補助データのコピーを禁止するか否かを判断する。コピーが禁止されている場合、ステップ304において、ドライブは補助データをコピーしない。コピーが禁止されていない場合、ステップ306において、ドライブは補助データ(又は補助データを変換したもの)をディスクの書き込み可能エリアにコピーすることができる(制御データの値は、コピーが要求されることを指定してもよく、又はコピーが任意であることを指定してもよい)。補助データがディスクの書き込み可能エリアにコピーされる場合、そのデータが後に不良になったり、上書きされたり、変更されたりする可能性がある。たとえば、データは、非準拠システムによって不注意に、又は制御プロセスの転覆を図って、たとえばコピー保護システムの破壊を図って悪意を伴って、上書き又は変更される恐れがある。ウォブルでの別の有用な制御パラメータは、ウォブルの補助データを読み取り可能なドライブが、媒体の書き込み可能エリアにある補助データのコピーが損なわれていない状態であることを確認しなければならないことを指定する制御データである。たとえば、図1Cにおいて、領域118の制御データの第1の値は、読み取りドライブが領域116中の補助データを読み取り、領域16中の補助データをディスクの書き込み可能エリアの所定の領域中のデータと比較しなければならないことを指定することができる。書き込み可能エリアのデータは補助データを変換したものである場合があるため、ディスクの書き込み可能エリアのデータが必ずしも補助情報と同一である必要がないことに留意されたい。領域118中の制御情報の第2の値が、書き込み可能エリア中のデータが破損している場合にドライブが何を行わなければならないかを指定することができる。任意選択的に、確認ドライブが書き込み可能ドライブである場合、パラメータは、書き込み可能エリアのデータが破損している場合、確認ドライブが補助データ又は補助データを変換したものをディスクの書き込み可能エリアに再コピーしなければならないことを指定することができる。別法として、たとえば、書き込み可能エリア中のデータが破損している場合、ドライブに、ディスクの部分の読み出しを拒絶する等の何らかの他の動作をとることを求めることができる。
【0015】
図4は一方法例を示す。ステップ400において、ドライブはウォブルにある制御データを読み取る。次に、確認が要求される場合(ステップ402)、ステップ404において、ウォブルの補助データ(又はそのデータを変換したもの)の領域が、補助データのコピーを含むと考えられる書き込み可能エリアのデータ領域と比較される。次いで、書き込みエリアのバージョンが破損している場合(ステップ406)、ステップ408において、ドライブコントローラは適切な動作をとる。すべてのドライブがウォブルに符号化される情報を読み取ることができるわけではないため、ステップ402を「要求する」ものとして説明した。制御データによって指定された動作は、ドライブがウォブルに符号化される情報を読み取ることができる場合、確認を要求することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1A】本発明を実施することができるシステム例を示す。
【図1B】図1Aのシステムにおいてディスクのウォブルに符号化される情報の例を示す。
【図1C】制御情報の領域及び補助情報の領域の各例を有する、図1Aに示す光学ディスクの平面図である。
【図2】ウォブルに符号化される制御データを使用する方法の一実施形態例のフローチャートである。
【図3】ウォブルに符号化される制御データを使用する方法の第2の実施形態例のフローチャートである。
【図4】ウォブルに符号化される制御データを使用する方法の第3の実施形態例のフローチャートである。
【符号の説明】
【0017】
100・・・ドライブ
102・・・光学ディスク
104・・・光学ヘッド
106・・・レンズ系
108・・・コントローラ
110・・・ホスト装置
112・・・データトラック
116・・・領域
118・・・領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
書き込み可能エリアと、
ウォブルに符号化される補助情報と、
ウォブルに符号化される制御データであって、書き込みドライブが前記補助情報又は該補助情報を変換したものを前記書き込み可能エリアにコピーする可否を指定する、制御データと
を含む光学媒体。
【請求項2】
コントローラであって、ウォブルに符号化される制御データが、該コントローラによる情報のコピーの許可を指定する場合のみ、光学媒体のウォブルに符号化される該情報を該光学媒体の書き込み可能エリアにコピーするコントローラ
を備える光学媒体用ドライブ。
【請求項3】
ウォブルに符号化される補助情報と、
ウォブルに符号化される制御データと、
所定の領域を有する書き込み可能エリアと
を含み、
前記制御データは、互換ドライブが、ウォブルに符号化される前記補助情報を前記書き込み可能エリアの前記所定の領域中のデータと比較しなければならないことを指定する
光学媒体。
【請求項4】
前記制御データは、前記書き込み可能エリアの前記所定の領域中の前記データが破損している場合、前記ドライブに、前記書き込み可能エリアの前記所定の領域に前記補助データをコピーすることを要求することをさらに指定する
請求項3に記載の光学媒体。
【請求項5】
前記制御データは、前記書き込み可能エリアの前記所定の領域中の前記データが破損している場合、前記ドライブに、前記補助データを変換したバージョンを前記書き込み可能エリアの前記所定の領域にコピーすることを要求することをさらに指定する
請求項3に記載の光学媒体。
【請求項6】
コントローラであって、ウォブルに符号化される制御データにより、該コントローラに、光学媒体のウォブル領域に符号化される情報を該光学媒体の書き込み可能エリア中のデータと比較することを要求することが指定される場合、その比較を行うコントローラ
を備える光学媒体用ドライブ。
【請求項7】
光学媒体のウォブルに符号化される制御データをドライブにより読み取ることと、
前記制御データにより比較が指定される場合、前記ドライブにより、前記光学媒体の書き込み可能エリア中の情報が該光学媒体のウォブルに符号化される情報と一致することを確認することと
を含む方法。
【請求項8】
前記光学媒体の前記書き込み可能エリア中の前記情報が該光学媒体のウォブルに符号化される前記情報と一致しない場合、前記ドライブにより、前記光学媒体のウォブルに符号化される前記情報を該光学媒体の前記書き込み可能エリアにコピーすること
をさらに含む請求項7に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−272201(P2010−272201A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173326(P2010−173326)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【分割の表示】特願2007−541488(P2007−541488)の分割
【原出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【出願人】(503003854)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (1,145)
【Fターム(参考)】