ウルトラ超高効率太陽電池
本発明は、50%より高い効率が達成可能で、低コストで大規模に製造可能な太陽光電池の実現のための装置および方法である。本発明の装置は、材料のかなり幅広い選択を可能にする光学および太陽電池の統合した設計であり、高い効率、多くの既存のコスト推進要因の除去、および多数の他の技術革新の組み込みを可能にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超高効率太陽電池の開発に向けたものである。本発明は、著しく増加した材料およびデバイス構造空間を基礎としている。特に、本発明は、54%効率の達成、そして低コスト製造のための種々のアプローチを可能とする薄型の静的(static)集光器(concentrator)を利用する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0002】
(発明の概要)
本発明は、モデル限界に接近し、低コストで大規模に製造可能な太陽電池の実現のための装置および方法である。本発明は、光学および太陽電池の統合した設計であり、設計空間を劇的に増加させる。光学設計と太陽電池設計の統合は、材料のかなり幅広い選択を可能にし、高い効率、多くの既存のコスト推進要因の除去、および複合した他の技術革新の組み込みを可能にする。
【0003】
本発明は、コストを削減しつつ、太陽電池技術において既存の最善の実用化の高い性能および安定性を強化する技術革新に適合する。本発明への二段階アプローチは、45%効率を達成する比較的低い技術リスク設計とともにスタートして、そして、>54%の効率を達成するプラットフォームを構築しつつ、これらの新しい概念を、低コストで超高性能の超高効率に統合させる新しい実用技術を開発する。
【0004】
本発明は、少なくとも2つの光学設計およびデバイス構造を備える。最初に、横型(Lateral)構造は、光をスペクトル成分に分割して、スペクトルの各部分について最適化した個々のデバイスの利用を可能にする。この構造および設計は、格子および電流の整合条件を回避し、スペクトル不整合損失を排除することによって、多くの材料条件を迂回する。この構造/設計への秘訣は、各エネルギー変換接合の独立した最適化と、スペクトル不整合を排除する独立した電気コンタクトである。
【0005】
第2に、独立して接触した垂直接合スタック(stack)を備えた縦型(Vertical)構造は、横型構造の太陽電池に対して平行なアプローチを提供する。この構造および設計は、横型構造の太陽電池と同様で、垂直スタックに伴う利点を実現する。特に、垂直スタック内の各太陽電池は、独立に接触可能であり、電流整合問題を回避し、材料選択の柔軟性を増やして、スペクトル不整合を回避する。
【0006】
本発明の開発は、境界条件として熱力学的限界を用いて始める厳密な設計アプローチによって進められた。設計の各部分は、要求される高効率太陽電池パラメータの全て(光吸収、少数キャリア収集、電圧発生、理想ダイオード(充填率))を達成する能力について分析される。最適には、スペクトルの各部分について好ましい設計の電圧発生が達成される。
【0007】
さらに、本発明は、最新の技術を強化し、高性能のベースラインを提供する。さらに、本発明は、最高性能の太陽電池技術とともにスタートして、(1)同程度のコストでより高い性能、または(2)同じ性能でより低コストを示すように、新しいデバイス構造およびプロセス技術を追加するものである。さらに、静的集光器をベースとした、光学設計および半導体デバイス機構の統合は、多くの技術的な選択肢を伴って強靱な設計および技術的空間をもたらす。
【0008】
本発明の一実施形態は、効率的な太陽電池のための装置であり、色分散エレメントと、集光器と、複数のスペクトル分離した太陽電池とを備え、色分散エレメント、集光器、および複数のスペクトル分離した太陽電池は、横型構造に構成され、色分散エレメントは、入射光を、装置によって処理される複数のスペクトル成分に分割する。
【0009】
好ましくは、上記実施形態は、タイル張りの種類である集光器をさらに備える。さらに、好ましくは、上記実施形態において、色分散エレメント、集光器、および複数のスペクトル分離した太陽電池は、複数のスペクトル入射成分をそれぞれ処理するように最適化されている。さらに、好ましくは、上記実施形態において、集光器は、入射光の拡散光の大部分を捕捉するものであり、該集光器は静的集光器である。さらに、好ましくは、上記実施形態において、静的集光器の集光度は10倍〜200倍の範囲にある。さらに、上記実施形態において、複数の太陽電池の各々は、複数のスペクトル成分の下に配置される。さらに、好ましくは、上記実施形態において、複数のスペクトル分離した太陽電池は、電圧バスと個別にコンタクトがとられている。
【0010】
本発明の他の実施形態は、効率的な太陽電池のための装置であり、色分散エレメントと、集光器と、複数のスペクトル分離した太陽電池とを備え、色分散エレメント、集光器、および複数のスペクトル分離した太陽電池は、入射光を、装置によって処理される複数のスペクトル成分に分割する縦型構造で構成され、各スペクトル分離した太陽電池は垂直スタックである。
【0011】
好ましくは、上記実施形態において、タイル張りの種類である集光器をさらに備える。さらに、好ましくは、上記実施形態において、色分散エレメント、集光器、およびスペクトル分離した太陽電池は、複数のスペクトル入射成分をそれぞれ処理するように最適化されている。さらに、好ましくは、上記実施形態において、集光器は、入射光の拡散光の大部分を捕捉するものであり、該集光器は静的集光器である。さらに、好ましくは、上記実施形態において、静的集光器の集光度は10倍〜200倍の範囲にある。さらに、上記実施形態において、複数の太陽電池の各々は、複数のスペクトル成分の下に配置される。さらに、好ましくは、上記実施形態において、複数のスペクトル分離した太陽電池は、電圧バスと個別にコンタクトがとられている。
【0012】
さらに他の実施形態において、本発明は、太陽光電池のための装置であり、集光器タイルと、第1プリズムと、第2プリズムと、スペクトルスプリッタと、静的集光器と、光相互接続(interconnect)および太陽電池デバイス構造を用いた、横型構造および縦型構造の少なくとも1つを備え、第1および第2プリズムは集光器タイルの入力アパーチャにあり、第1プリズムは極めて高分散のプリズムであり、第2プリズムは低分散のプリズムである。
【0013】
好ましくは、上記実施形態において、スペクトルスプリッタは、光および太陽光線の少なくとも1つを、高エネルギー領域、中間エネルギー領域および低エネルギー領域に分割するように構成されている。さらに、好ましくは、上記実施形態において、静的集光器は、光および太陽光線の少なくとも1つをスペクトルスプリッタへ整列させるように構成されたマイクロ追跡器(tracker)をさらに備える。
【0014】
さらに、好ましくは、上記実施形態において、横型構造は、光および太陽光線の少なくとも1つを複数のスペクトル成分に分割して、複数のスペクトル成分の各々について最適化した個々のデバイスを利用して、各エネルギー変換接合および個々の電気コンタクトを独立に最適化して、静的集光器とともに集積された追加の光学エレメントを含んで、光および太陽光線の少なくとも1つのスペクトルを成分色に分割して、分離した太陽電池を各成分色の下に配置し、各太陽電池を別々にコンタクトをとり、個々の太陽電池を個々の電圧バスとコンタクトをとるように構成されており、一方、縦型構造は、垂直接合スタックと独立にコンタクトをとり、太陽光電池の横型構造に対して平行なアプローチを提供して、垂直集積デバイスに、独立にコンタクトをとった太陽電池を設けるように構成されている。
【0015】
さらに、好ましくは、上記実施形態において、デバイス構造は、材料のバッドギャップに接近した範囲内にある波長について高性能となる材料で構成され、高エネルギー光子、中間エネルギー光子、低エネルギー光子について異なる材料で構成された多重接合太陽電池をさらに備え、高性能となる材料は、高エネルギー光子用のGaInAsP材料系の三元化合物と、中間エネルギー光子用のシリコンと、低エネルギー光子用のInGaAsまたは他のサーモ光起電力(TPV)材料とを含み、多重接合太陽電池用の他の材料は、III−窒化物材料系と、高エネルギー光子用のInリッチ欠陥許容III−V材料と、低エネルギー光子用のSi/Ge材料系とを含む。
【0016】
さらに、好ましくは、上記実施形態において、太陽電池のための材料は、自己集合(self-assembled)製造技術と関連して、多重励起子(exciton)発生および多重エネルギー準位(中間バンド)太陽電池のうちの少なくとも1つをさらに備える。
【0017】
さらに他の実施形態において、本発明は、太陽電池を構築する方法であり、ガラス基板にp+シリコンでコーティングを施し、再結晶化すること、p+シリコンの上に選択波長光トラップ層を堆積し形成すること、p+シリコンの上にn型シリコンを成長させ、再結晶化すること、n型シリコンの上に、バッファ層としてGaP領域を選択成長させること、GaAsPの太陽電池を成長させること、GaInPの太陽電池を成長させること、InGaNの太陽電池を成長させること、電気コンタクトを各太陽電池に形成すること、および集光器(および分散)光学系に整合した反射防止層を堆積させること、を含む。
【0018】
さらに、好ましくは、上記実施形態は、他のガラス片にn型シリコンでコーティングを施し、再結晶化すること、シリコン・ゲルマニウム合金(Si:Ge量子ドットの)を成長させること、シリコンp+接合を成長させること、光トラップ構造を堆積させること、電気コンタクトを形成すること、をさらに含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
熱力学的効率限界への接近は、エネルギー変換プロセスの最終ゴールであり、成熟したエネルギー技術は、約85%というこれらの理想的な効率で動作する。1接合シリコン太陽電池は、50年間、徹底的に開発されており、このマイルストーンに接近している。しかし、商業デバイスを研究太陽電池の性能に到達させるために、相当の改善が未だに要求されている。シリコン太陽電池でのこれらの進歩は、地上の光電池において持続した速い成長を刺激しているが、1接合太陽電池は、太陽エネルギー変換の理論的能力の約半分しか捕捉せず、光電池は低パワー密度が許容される応用が制限される。新しい高性能アプローチは、例えば、ミサイル(warfighter)の機動パワーなど、拡張した範囲の応用を可能にする。
【0020】
高性能で製造可能な光電池に対する既存の障害を克服するために、根本的に新しい技術が要求される。課題の大きさ(既存の地上太陽電池効率を3倍にする、あるいは空間セル効率を66%増加させ、そのコストを100だけ削減する)は、複数の技術革新を必要とする。図1のフロー図に示すように、本発明の方法は、光学設計、相互接続および太陽電池設計を統合して、材料、デバイス構造および製造技術の観点で、高性能光電池のための設計空間を劇的に増加させる。図1に記載したように、本発明の方法は、増加した理論効率、既存の材料/コストのトレードオフを回避する新しい機構、理想的でない材料からの改善した性能、既存のソーラー技術の理想的な性能限界へより接近可能なデバイス設計、低減したスペクトル不整合損失、材料選択の増加した柔軟性などの複数の利点を提供する。
【0021】
本発明の集積光学/太陽電池デバイスは、効率の改善を可能とし、単位面積コストを維持し、光電池のための応用を拡大する。図2は、(1)光学設計ステップ、(2)太陽電池設計ステップ、(3)単一太陽電池の太陽電池用横型/縦型構造への集積化ステップを示す例示のフロー図である。さらに、図3は、Air Mass(AM)1.5スペクトルに関して集光度別にバンドギャップ数と効率の例示のプロットである。
【0022】
さらに、本発明の方法は、最初に性能に焦点を当てた設計アプローチであり、既存の最新の光電池技術の使用を可能とし、高性能で低コストの、高および低エネルギー光子用の多重接合III−V族および中間エネルギー光子用の新しいシリコン太陽電池を設計する。さらに、本発明は、新規な太陽電池機構および光学エレメントにより、既存のコスト推進要因を回避している。さらに、本発明は、設計空間の増加した柔軟性を利用し、そして、III族窒化物または最近提案されたInリッチのIII−V族の耐欠陥性材料を用いて、他の2つのIII−V族太陽電池を提供する。
【0023】
さらに本発明は、より野心的なゴールすら取り扱っており、半導体技術に典型的なものから効率/コストを切り離して、コーティング(即ち、低コストで大面積で塗布可能)としての太陽電池の模範への移行する。こうした変化の実現は、新しい物理的な動作原理を備えた太陽電池の開発だけでなく、新しい製造技術にも依存している。近年、多くの低コストの新しいアプローチが、特に、有機物やナノ構造などの新しい材料をベースとして提案されており、これらは望ましい光学性質または吸収性質を示している。しかしながら、超高効率へのこうしたアプローチの実現に対する根本的な障害が存在しており、本発明は、低コストのナノ構造の作成、そして性能への根本的な障害というの両方の技術的挑戦を取り扱う。
【0024】
図4は、太陽電池効率>50%の要件を整理した説明図である。特に、>50%の太陽電池の実現には、少なくとも3つの因子、即ち、(1)熱力学的効率が63%、(2)理論効率が>80%を実現する太陽電池、(3)1000ドル/m2未満、大量生産では100ドル/m2への経路を伴う製造アプローチ、がある。これらの因子について詳細に後述している。
【0025】
50%以上の実在の効率を持つ太陽電池にとっての第1の基準は、理想的な理論効率がAir Mass(AM)1.5Gスペクトル条件で50%以上であって、不可避のデバイス損失が効率限界計算に含まれないようにすることである。最善の太陽電池は、数十年間に渡って最適化されており、その理論効率は〜75−80%に到達しており、理論効率は、目標効率(50%)を25%超えているはずであり、必要な熱力学的効率を63%とする。
【0026】
図3は、上述のように、AM1.5Gスペクトルについてバンドギャップ数の関数として、詳細なバランス手法を用いて計算した効率を示し、1つの太陽条件で、9または10個の個別接合(新しい太陽電池アプローチを用いた場合、9〜10個の分離したエネルギー準位または励起子発生イベント)が必要であることを示している。幾つかのスペクトルは、効率計算に用いられ、それぞれ僅かに異なる効率値を与える。応用が低濃度の地上であることから、我々はAM1.5Gスペクトルを使用している。
【0027】
こうした数多くの材料は、材料の入手可能性、コスト、集積化、不整合損失など多くの理由により実用的でない。効率の増加は、太陽スペクトルの集光または変更による入力パワー密度の増加を必要とする。本発明の方法は、太陽スペクトルの変更に依存するアプローチを回避している。こうしたプロセス(蛍光、アップ/ダウンコンバージョン)の効率は、高効率光電池に必要なものより下回るためである。しかしながら、集積した光学/太陽電池設計のアプローチを含む本発明は、この範囲で突破口が生じれば、こうした効果を利用するのに理想的に適している。主に大規模な応用に適している追跡(tracking)集光器を回避するため、本発明は、従来のモジュールに理想的に搭載される静的集光器を備える。さらに、図3は、10倍〜20倍の集光度が所定のバンドギャップ数についての効率を増加させ、9個や10個ではなくて5〜6個の接合が必要なだけである。
【0028】
>50%効率を達成するには、太陽電池は、その理論効率63%の>80%を達成する必要がある。太陽電池の効率は、η=(ISCVOCFF)/Pinで与えられる。ここで、ISCは、短絡電流であり、光吸収および光発生キャリアの収集に依存する。VOCは、開放電圧であり、FFは、充填率である。理論効率の>80%を達成するには、図4に示すように、これらの全てが理論値に可能な限り接近している必要がある。高い吸収および収集は、吸収深さ(1/α、ここでαは吸収係数)がデバイス厚さおよび少数キャリア拡散長の両方より小さい場合、半導体−pn接合について生じている。より低い吸収係数を持つバルク材料はより高い少数キャリア拡散長を有するため、これは、高品質材料を用いて容易に達成される。欠陥のある材料についても、pn接合太陽電池は、光トラップおよびドリフト電界太陽電池など、適切なデバイス設計およびパラメータによって高い収集を有する。pn接合については、デバイス設計および光学エレメントによって吸収および収集が制御可能である。しかしながら、吸収および収集の両方ともナノ構造のアプローチではより困難であり、高い吸収および収集を達成するには、追加の光学エレメントおよび改善したデバイス設計を必要とする。
【0029】
pn接合および他の新規なアプローチの両方とも、理論効率の>80%を達成する際に主要な課題は、特に、より高い再結合と低減したVOCを有する、現実的な可能性ある欠陥材料を用いた場合、その理論値の>90%という電圧を実現することである。VOCは、一般に、吸収および収集が接合全体に一体化していても、最低品質、可能ならば、材料内の局在化領域によって設定される。これは、低欠陥で単結晶太陽電池接合だけがその理論限界に接近するVOCを示すからであり、吸収層が、電荷を収集/輸送するもの(例えば、有機の染料増感太陽電池など)と同じ材料でないアプローチは、吸収材料によって課せられる理論効率限界の近くでは動作しないという理由である。最低の可能性ある理論的再結合は、再結合が吸収体内部での発光再結合によって限定される場合に達成され、そして、大部分の構成においては輸送材料が貧弱であることから、こうした構造はその理論電圧の大きな割合を達成しない。こうして理論効率の大きな割合を達成する際に主要な課題は、材料品質であって、それは吸収体ではなく(輸送材料と異なる場合)、収集材料の品質である。
【0030】
太陽電池のコストは、3つの主要な推進要因、即ち、1)基板、2)エピタキシャル成長または接合形成、3)メタライゼーションや反射防止コーティングなどの処理、に区分できる。本発明は、高価なIII−V族やシリコン基板の使用を回避し、最終の太陽電池をガラス(比較的安価な基板)の上に組み立てることによって、基板コストを最小化している。シリコンウエハは、生産プロセスで使用されているが、これらは電気的に活性である必要がなく、低コストにできる。III−V層のエピタキシャル成長のコストは、現時点で極めて高いが、高いコストは、原料コストよりも設備投資に主に関係している。これらのコストは、大規模製造による低減化が可能である。これら3つのコストを低減する最初の方針は、集光器を使用して、半導体面積を削減することである。
【0031】
>50%効率の太陽電池への要件についての上記検討は、極めて高性能の太陽電池を達成する際に、幾つかの主要な挑戦が存在していることを示す。これらの第1は、静的集光器の必要性である。従来、既存の太陽電池モジュールについて静的集光器が提案されているが、大型セルサイズにより、光学系があまりに厚くなり、集光度が低くなり過ぎる。本発明は、静的集光器の設計を太陽電池および相互接続技術と統合することによって、この限界を迂回し、上述した課題を回避しつつ、薄い光学エレメントを使用してより高い集光度を与える高性能のマイクロ集光器を可能にする。
【0032】
>50%効率の太陽電池を達成する際の挑戦は、材料選択における多数の競合する制約条件に起因するものであり、(1)最適効率に到達する特定のバンドギャップのニーズによって課せられる条件、(2)直列接続した電流整合の機構によって課せられるバンドギャップ限界、(3)格子整合条件、(4)1層のエピタキシャル成長が他の全てと適合する必要があることによる材料適合性(即ち、成長温度は他の層に影響を与えてはならず、熱膨張係数は接近して整合する必要があり、相互拡散は避けるべきである等)、(5)スペクトル不整合による損失、(6)コストの配慮などである。
【0033】
本発明は、モデル化した限界に接近し、同時に大規模に製造可能な太陽電池を実現している。本発明は、上述したアプローチを用いて、主要な技術的挑戦に対して頑丈な解決法を可能にするものであり、追跡することなく高い集光度を達成し、>50%効率の太陽電池を実用化する際の材料/コストの課題を解決している。
【0034】
本発明は、統合した光学設計および太陽電池設計であり、設計空間を劇的に増加させる。光学設計と太陽電池設計を統合することによって、かなり幅広い材料選択が可能になり、高い効率、多くの既存のコスト推進要因の除去、および多数の他の技術革新の組み込みを可能にする。重要な光学エレメントは、静的集光器であり、横型構造または縦型構造において用いられる。コンパクトで頑丈なパッケージ化を達成するため、本発明の光学集光器は、タイル張りの種類のものになり、その設計は光学系およびセルの相互最適化に依存して、最大変換効率を達成することになる。
【0035】
静的集光器は、太陽電池でのパワー密度を増加させ、追跡を行う必要がなく、広い許容角度の光学エレメント(典型的には非結像)を用いることによって、1太陽ソーラーモジュールと同様に搭載し使用され、空の大部分からの光を受け入れる。追跡集光器とは異なって、静的集光器は、太陽スペクトルの入射パワーの〜10%に達する拡散光の多くを捕捉することができる。より広い許容角度についてのトレードオフは、より低い集光度である。実際、高いレベルの集光度は、パワー密度が年間を通じて低い空領域からの光を拒絶することによって達成され、追跡を行うことなく10倍の集光度が可能になる。さらに、モジュール位置は、年間を通じて任意のポイントに手動で調整可能であり、最大集光度が増加する。どれぐらいの期間モジュールが固定位置に留まるかに応じて、集光度は10倍〜200倍の範囲で変化し得る。
【0036】
図5は、静的集光器が、スライド光学シート(追跡用)および分散エレメント(横型エネルギー収集)を用いてどのように増強されるかを示す。追跡は、低コストの平面光学系からなる隣接シートを採用することによって行われ、シートは、太陽電池のタイル張り基本構造に一体化されることになる。太陽が移動すると、ソーラーモジュールの角部にあるピエゾトラクター(tractor)によって、シートをミリメータの何分の1だけXY方向にシフトさせて、簡単で低コストの追跡機構を提供でき、これは、太陽の像の位置および角度が、太陽位置から独立した分散エレメントと整合するのを確実にする。単一の低コスト低パワーのDSP回路が、システム内の太陽電池全てに関する検知、制御、サーボ、駆動のロジックを取り扱う。動作の際、太陽電池効率を示すフィードバック信号が、サーボループに利用され、可動シートの位置を調整する。
【0037】
横型太陽電池を追跡なしで実現するためには、空を横断する太陽の移動を明らかにする必要がある。マイクロ追跡器を持つ集光器は、スペクトルスプリッタに対する太陽光線のアライメントを可能にする。スペクトルが分割されるスペクトル領域または箱(bin)のより多くの数が光学設計によって決定され、この場合、太陽光を「不良」太陽電池の上に案内するのに起因してスペクトル箱の数が増えると、損失が増加する。これを回避するため、それぞれ2または3個のスタックからなる、より少ない数の個々の太陽電池が使用できる。本発明の太陽電池デバイス設計は、光を3つの領域または箱(高エネルギー、中間エネルギー、低エネルギー)に分割することに着目している。
【0038】
上述した横型構造への平行アプローチは、図6に示すように、太陽電池が独立に接続される垂直集積デバイスである。種々のコンタクト機構および可能性ある短絡(shorting)接合に留意する。このアプローチは、静的集光器の組み込みによって可能となり、活性太陽電池なしで表面積の大部分をそのままにし、個々の接合への分離したコンタクト形成の余地を残している。独立に接続された縦型構造は、スペクトル不整合を最小化する際、横型太陽電池機構と同様な利益を実現し、材料選択の柔軟性を増やし、トンネルコンタクトを回避する。集積プロセスに依存して、このアプローチは、層トランスファーを用いることによって、格子整合も回避し得る。
【0039】
本発明は、性能のための最初の設計に対して光学エレメントによって可能になる拡張した設計空間の中から選び、最終的に達成する低コストおよび低コスト製造のための設計とは基本的に適合しない高性能の態様を排除する。本発明の方法は、初期の段階で平行アプローチを伴い、成功は単一のハイリスクアプローチに依存することはない。機構/デバイスアプローチは、図7のフロー図に示している。
【0040】
本発明の方法での設計重点は、高い性能の点で、バンドギャップに接近した波長範囲で最高の性能を示し、高、中間、低エネルギー光子のための異なる材料を供与する材料を用いて、多重接合太陽電池の開発に基づいたコアアプローチを導く。最高性能の材料は、高エネルギー光子のためのGaInAsP材料系、中間エネルギー光子のためのシリコン、および低エネルギー光子のための他の熱光電池(TVP:thermophoto voltaic)材料からの三元化合物である。
【0041】
第2の設計方法条件は、材料およびアプローチが大規模製造および低コストに一致するのを確保することである。これは、基板、組み立て、集積コストを削減するコアアプローチを駆り立てる。IC産業によって十分に示されたように、大規模生産はモノリシックアプローチから利益が得られ、低い集積コストがモノリシック構造によって達成され、低い材料コストがシリコン基板の使用により達成され、最低の製造可能性リスクは、シリコン上の直接成長からなり、これは低い基板および集積コストを提供する。
【0042】
本発明の方法は、高い成功確率を提供するとともに、我々は、他の材料系およびアプローチが独特の利点を有することを認識している。本発明の方法の平行アプローチは、削減したコストで改善した性能または匹敵する性能により、コアアプローチを取って代わる。これらのアプローチは、多重接合太陽電池用の他の材料を含み、例えば、III−窒化物材料系と、高エネルギー光子についてInリッチ欠陥を許容するIII−V材料と、低エネルギー光子についてSi/Ge材料系である。
【0043】
代替として、高い技術リスクと高い支払いを伴う本発明の異なる方法は、自己集合製造技術と関連して、多重励起子発生または多重エネルギー準位(中間バンド)太陽電池を用いて、ナノ構造の仮想バンドギャップ太陽電池を開発することである。実際、設計および技術の全ては相互に関連している。例えば、ナノ構造の仮想バンドギャップ太陽電池は、低エネルギー変換器としての実現に最適で最も近いものであり、最終の太陽電池は、ナノ構造アプローチと多重接合アプローチの間のハイブリッドとなり得る。これらの光電池概念の各々は、下記セクションでより詳細に説明している。
【0044】
高エネルギー光子についての高性能で低コストのIII−V材料セルは、下記で説明している。多重接合太陽電池(タンデム(tandem)とも称する)は、多重pn接合からなり、それそれが太陽スペクトルのある狭い範囲を変換する。3つの接合(3J)多重接合太陽電池は、既存の最新技術を代表するものであり、175倍で37.3%の効率を有し、最近確認された結果は、10倍で37.9%の効率である。
【0045】
既存の3Jアプローチに基づいた増強法は、幾つかの根本的な挑戦に直面しており、例えば、III−VまたはGeを最終の太陽電池に組み込む固有のコスト、より高いバンドギャップのための格子整合条件の増加、高バンドギャップ材料での選択の欠如、中間および低エネルギー範囲での理想的な材料の欠如(特に、Geが活性太陽電池として使用されない場合)などである。全体として、この挑戦は、同時に、(1)追加の3〜4の材料における理想的なpn接合の開発、(2)既存のタンデムのコストの100倍またはそれ以上の削減、として要約できる。
【0046】
さらに、>50%に到達するように実用化が可能な多重集光器/太陽電池の組合せがある。4J太陽電池は、>150倍の集光度を必要とし、7J太陽電池は、>5倍を必要とする。本発明は、中間エネルギー変換器としてシリコンと、シリコン上部にある3Jと、シリコン下部にある1〜3Jとを備えた5〜7Jの太陽電池を含む。4Jの太陽電池は、高集光度の内部追跡式静的集光器での成功に依存することからである。5〜7の接合数は低エネルギー変換器に依存する。最適設計は、シリコン上方にある3J、そして、Si下方にある1、2または3つの接合を含むからである。低バンドギャップデバイスは、シリコン基板に対して別々に成長及び/又は付着しているため、高、中間、低エネルギーデバイスは別々に考慮できる。
【0047】
Siの使用は、コストおよび高バンドギャップの問題を低減し、低エネルギー光子のためのSi/Geの使用は、低エネルギーデバイスについてのバンドギャップを増加させる。このアプローチは、相当な柔軟性および高い成功確率を提供する。我々が5Jの太陽電池のみを実施し、接合の最適化が完全には実現していない(これにより、低エネルギーについては理論効率の50%だけ、太陽電池全体では理論効率の75%を達成できる)と仮定すると、20倍での全体効率は、45.1%である。3つの最低バンドギャップ接合については理論効率の75%、より高いバンドギャップについては85%を持つ6Jを達成すると、我々は、20倍で53.7%を達成する。
【0048】
III−V材料、特に、GaAsの集積で、基板としてシリコンを使用する利点は、長く認識されており、光学デバイス、集積回路および光電池のためのこの技術を開発する数多くの努力を促進しているが、一貫して貧弱な材料損失に遭遇している。集積した光学/太陽電池アプローチにより、本発明は、後述のような幾つかの理由によって、この点を迂回することができる。
【0049】
第1に、バンドギャップの柔軟性がほぼ増加して、我々は、格子整合および電流整合の条件が厳しくない材料を選択できる。例えば、6Jの太陽電池では、第3接合をシリコンに固定し、上部バンドギャップを2.2eV未満に制限し、最低バンドギャップを0.7eVに引き上げてことで、効率を相対1%未満だけ変化させる。
【0050】
第2に、集光度の低いレベルを用いることによって、デバイスは、より高い転位密度を許容できる。非理想再結合成分が、より高いバイアスで著しく少なくなることからである。これは、変成(metamorphic)の低バンドギャップ太陽電池を含み、低い集光度(10倍)でより多くの割合で改善した記録的な太陽電池は、増加したパワー密度によって簡単に説明できることが、最近、実験的に示され、また、低い集光度でのタンデムについての他の最近の報告によっても説明できる。
【0051】
本発明の方法は、高い光子エネルギー変換のための多重平行アプローチを利用している。上3つの接合は、6Jの太陽電池の総パワーの66%を発生し、新しい太陽電池設計、新しい材料系およびバッファ層の成長の進歩という組合せにより、シリコン上の高品質成長を達成するアプローチに着目したからである。
【0052】
最高性能の太陽電池は、GeまたIII−V基板および、GaInAsP材料系からの三元材料を使用している。従来の性能およびコスト要因を回避するため、本発明は、低コストのシリコン上に3Jの太陽電池を成長させることを含む。最低リスクアプローチは、Si上に「反転(inverted)した」太陽電池を成長させることであり、最高バンドの太陽電池がSi上に成長し、残りのデバイスは、より高い格子定数およびより低いバンドギャップとなるように勾配を付けている。このアプローチの可能な特徴は、最近示された高品質のステップ勾配付きバッファ層のアプローチを拡張することであり、Si基板上での高品質成長を可能にする。Si/高バンドギャップ太陽電池の格子不整合は、既存の高性能タンデム太陽電池についての格子不整合と同程度であり、高い成功確率を与える。
【0053】
さらに、このアプローチは、低コストである。シリコン基板は、犠牲基板となって、電気的に劣るものの結晶図形的(crystalographically)に高品質のウエハが極めて低コストであるためである。さらに、個々の層を薄くして、さらに、Al含有勾配の使用を含むバッファ組成を最適化することによって、我々は、このアプローチを活性Si太陽電池の上のセルの直接成長に拡張でき、低コストで高性能のSi上モノリシック太陽電池が得られる。
【0054】
III−窒化物材料系は、高性能で低コストのマルチ接合太陽電池を可能にする幾つかの特徴を有し、即ち、理想的なバンドギャップ範囲、サファイア(現在使用されている)と比べて、<111>Siへの良好な格子整合、窒化物近辺で中心に位置する既存の産業、高い転位密度とともに高い発光効率、欠陥ある材料からの良好な収集を可能にする高い移動度、表面再結合の制御を可能にする大きな圧電定数、2.2eV以上の直接バンドギャップを持つデバイス設計を可能にする高バンドギャップ材料の入手可能性を有する。こうした高バンドギャップは、他の確立した材料系では入手できないが、多数のセルを備えた多重接合太陽電池にとって必要であることから、望ましい。
【0055】
これらの利点とともに、低バンドギャップでInリッチのInGaN材料系(特に、現実のデバイスでのp型導電性)の未開発状態、サファイア基板のコスト、低い少数キャリア寿命など、相当な挑戦が存在する。Siを基板として使用することは、サファイアのコストを回避し、提案バンドギャップに関して、サファイアと比べて改善した格子整合を提供し、熱膨張係数の大きな不整合にも拘わらず、GaNとの適合性を既に示している。さらに、必要な最低バンドギャップは約1.5eVであるため、シリコンの使用はInNに伴う問題を回避している。我々は、GaNおよびInGaNの太陽電池での高い収集および電圧を既に示しており、内部電界の制御が重大な設計パラメータであることを特定している。ジョージア工科大学で開発された、InGaNについて新しいドーパント技術、および圧電効果の影響を含むデバイス設計を利用することによって、本発明は、高性能InGaN太陽電池を達成することができる。
【0056】
本発明は、既存の太陽電池技術のコスト/性能の利益を補強して、高性能で低リスクを達成している。研究所シリコン太陽電池は高性能を示したが、主要な技術的挑戦は、高性能の特徴を低コスト太陽電池に組み込むことである。低コストで高性能な光電池材料としてシリコンの潜在能力を活用するために、本発明は、ガラス上に成長した新規な太陽電池であり、太陽電池設計での幾つかの技術革新、例えば、より薄いシリコン接合、絶縁体ではない他の手段によるSi表面の不動態化(passivation)、光学的に透明な基板の使用、最近示された、n型シリコン中の高い少数キャリア寿命によって可能である。こうした超低コストのアプローチに移行するのに伴うリスクを軽減するために、本発明は、平行アプローチを利用する。
【0057】
本発明はまた、成膜コーティングおよび、光トラップでの提案した技術革新(ナノ構造材料で説明した)を用いて、表面の不動態化での最近の進歩を利用し、ガラスではなくシリコンウエハ上で高い性能を実現している。本発明はまた、ワイドバンドギャップ半導体の堆積を用いた結晶シリコン太陽電池の製造へのアプローチを含み、表面を保護しつつ、より高い電圧および効率を達成している。
【0058】
超高効率の多重接合太陽電池での基本的な挑戦は、低エネルギー光子の変換効率である。これは、材料の問題ではなく(材料問題もあるが)、光電池アプローチによる直接熱変換でも遭遇する固有の問題である。効率限界計算は、再結合が発光制限され、擬フェルミ準位が伝導帯エッジおよび価電子帯エッジに対して任意に接近可能であると仮定している。記録的な効率の太陽電池、SiおよびIII−V両方のタンデムは、典型的には発光限界(radiative limit)0.1eV以内のVOCを達成する。発光限界は比較的ゆっくり変化することから、便利な式は、VOC≒q(Eg−0.4eV)である。大きなバンドギャップ太陽電池では、0.4eVのオフセットは電圧全体の小さな割合であるが、小さなバンドギャップでは、支配的なオフセットになる。可能な最高電圧を維持するために、本発明は、熱光電池(thermophotovoltaic)デバイスについて開発された、最高性能の低バンドギャップ材料を使用し、ヘテロ構造および光トラップを用いることによって低バンドギャップ材料での再結合量の最小化を併用している。
【0059】
第2の重大な制限は、従来の基板との大きな格子不整合により、低バンドギャップ太陽電池を既存のデバイスに組み込む困難さである。層トランスファーは、既存のTPV太陽電池の使用を可能にするが、より低コストアプローチは、Si/Ge太陽電池をシリコンウエハ上で成長させて、吸収を増加させる光トラップへの新しいアプローチを組み込むことである。低バンドギャップ材料での低いVOCの回避への平行アプローチとして、本発明は、後述のような仮想(virtual)バンドギャップ太陽電池を使用する。
【0060】
ナノ構造の仮想バンドギャップ太陽電池およびフォトニック結晶については後述している。ナノ構造PVの変形(transformative)ポテンシャルは、2つの別個の性質から由来する。第1は、重大な材料パラメータを変化させ制御するナノ構造の能力であり、第2は、エピタキシャル成長プロセスではなく、低コストの新規な自己集合(self-assembly)プロセスによるナノ構造の材料を実用化する可能性であり、光電池で長く求められていた「究極の」パラダイムシフト、コーティングに従うコストモデル、半導体に従う効率モデルを可能にする。
【0061】
ナノ構造による材料性質の制御は、仮想バンドギャップ太陽電池を用いることによって、単一のナノ構造太陽電池が、理論的には、単一のpn接合太陽電池の効率を超過することを意味するものであり、そのエネルギーまたはその近傍の「物理的」バンドギャップを必要とすることなく、光子は効率的に変換される。これは、ナノ構造の仮想バンドギャップ太陽電池が低バンドギャップpn接合アプローチが遭遇する低い電圧を克服し、材料設計空間をより広げるために使用できるという更なる利益を提供する。
【0062】
仮想バンドギャップ太陽電池において、多重励起子発生および多重エネルギー準位太陽電池という2つの物理的機構が用いられる。これらのアプローチの両方とも、実用化のためにはナノ構造に依存する。本発明は、秩序ある量子ドットアレイの形成による実用的な低コストのナノ構造デバイスおよび、アレイ接続のための新しいデバイス機構を可能にする技術革新を利用している。
【0063】
【表1】
【0064】
本発明の光学的成果の方法は、2つの光学エレメント、即ち、横型太陽電池用の静的集光器および光学系についての設計および開発である。これらのアプローチでの基本的な新しさは、太陽電池アセンブリの必須部分としてこれらの光学エレメントの組み込みである。集光器および横型光学系の一体化は、好ましくは、光学エレメントアレイを太陽電池チップパッケージに装着する極めて最新の組み立て工程(例えば、簡単な「スナップ方式(snap-on)」アセンブリ工程として)で行われる。候補の集光器および横型光学系のための光学アプローチのプロセス技術は、これには限定されないが、バッチ生産可能な屈折、反射、回折技術の範囲を含む。
【0065】
本発明の方法はまた、製造可能性、開発、生産、組み立て、アライメントおよびメンテナンスのコスト、許容誤差、温度敏感性、安定性と信頼性、性能について候補アプローチを理論的かつ実験的に分析することを含む。光学エレメントの性能でのトレードオフの分析は、発光損失(吸収、散乱、反射から)、可逆または永久の環境的または経年の影響(温度、湿度、ダスト、スクラッチおよび同様な影響から)、光学的集光での非理想性(例えば、「不良」接合への光子の一部の配給を生じさせる光学収差に起因)などの課題に集中することになる。
【0066】
II、III−V族多重接合太陽電池の技術は後述している。>50%効率の多重接合太陽電池の実現を可能にする主要なプロセス技術は、低コスト基板および太陽電池、主としてシリコンを用いて高性能太陽電池を可能にするIII−V層を組み込む製造可能アプローチの開発である。上記(表1)は、本発明で用いたアプローチの概要を示す。
【0067】
GaInAsP材料系からの三元材料を用いて既存のタンデム太陽電池について得られる記録的な効率は、極めて高効率のPVデバイスにとってこれらの材料の適合性を示す。これらの材料を用いて新しい3J太陽電池を実現する際の主要な挑戦は、活性シリコンウエハでの3Jの集積化を可能にするアプローチを開発することであり、GaInAsP材料系を用いた上限にある、より高いバンドギャップ太陽電池のためのアプローチを開発することである。
【0068】
シリコン上で公称1.5eV,1.8eV,2.2eVのバンドギャップを備えた3Jスタックを直接成長させる究極の目標。実際の材料パラメータを用いたデバイスモデル化は、この構造の50%に到達する能力を示している。理想的なGaInAsP類似の材料を用いたデバイスシミュレーションは、10倍集光度で太陽スペクトル全体で、3つの接合の高エネルギースタックについて39.5%という達成可能な効率を予測している。PC1Dを用いて、光電池で最も普通に用いられるpn接合シミュレータは、Si中間太陽電池およびボトム電池について、太陽スペクトル全体で15.4%の全体効率を与える。これらの効率の組合せは、理論効率63.2%と比べて59.7%の全体効率を与える。従前の記録的な効率は、類似のシミュレーション結果の90%に到達し、良好に最適化されたデバイスは、理論効率の85%に到達し得ることを示しており、これは、我々のモデルを支援し、太陽電池全体で>50%に到達し得ることを示す。
【0069】
本発明は、シリコン上での高性能太陽電池への開発経路を含み、そして、異なる材料組成について材料および成長パラメータを調査して最適化するために、III−V(GaAs)基板上の成長の初期アプローチを含む。エッチング停止層を成長させ、反転した構成(即ち、第1太陽電池として最も高いバンドギャップ材料を備える)を成長させることによって、この層は、Si基板に移送することができ、ウエハは除去される。このアプローチの実現可能性は、反転したGaInP/GaAs/GaInAsセルについて達成した、10倍での37.9%という記録的な効率によって示された。GaAs上での初期の成長は、反転構造の態様を示し研究するのに便利な方法を提供することになる。GaAsベースの3J、高バンドギャップ構造もまた、GaAs基板が再利用できる場合には、有用となるであろう。再利用が可能ではあるが、実質的な利点は、Si上での成長によって得られ、よって本発明は、大規模な製造可能性への我々の好ましい経路として、基板の再利用に依存していない。
【0070】
本発明の方法での開発経路への次のステップは、反転した太陽電池構造を低コスト、電気不活性かつ高結晶品質のシリコン基板の上に成長させることである。このアプローチは、Si上の直接成長への開発経路として主に意図しているとともに、Si基板が犠牲基板となるのに充分低いコストであるため、リスクを軽減する。シリコン上のIII−V成長は、過去において制限された成功を収めているが、本発明は、高品質の結晶核形成(nucleation)、Siに格子整合したGaAsNアロイを用いて最近示された、干渉性(過去に研究された緩和構造の代わりに)のSi上III−V成長など、最近開発された新しいアプローチを用いている。
【0071】
代替として、Si−Ge勾配が、干渉性格子整合したGaInPを結晶核形成する前に、格子定数を調整するために使用できる。慎重に最適化した勾配は、37.9%の効率を示し、本発明の構造での各勾配に必要になるものより多くの張力を緩和した。反転アプローチを用いたシリコンの研究は今のところ存在しない。Si上直接の3Jスタックの開発での最終ステップは、反転太陽電池構造で開発したバッファ/活性層を薄くすることであり、低い欠陥密度のテンプレートが、Si上の1.5eVデバイスに関して達成することができ、2つのより高いバンドギャップがこのデバイス上で成長する。
【0072】
III族窒化物系は、白色/青色LEDの使用により急速な開発を経験している。従前の1.9eVではなく0.68eVとしてInNのバンドギャップの論証は、これを、太陽電池の理想的な候補にしている。InGaN材料が、従前推定されていた限界1.9eVより小さいバンドギャップを実用化するために使用可能であるからである。本発明は、Si上の成長を含むため、低バンドギャップでInリッチ窒化物と関連した数多くの材料問題が回避される。こうして、シリコン上で高効率InGaN太陽電池を実用化する際の主要な挑戦は、低い少数キャリア寿命と、Si上の成長のためのバッファ層の開発である。
【0073】
少数キャリア寿命が高効率の太陽電池を可能にするという、実験的およびシミュレーションの両方の証拠が存在する。本発明は、3つの接合を20倍で使用して、これらの結果は、主として窒化物の極めて高い吸収係数と高い電界を維持する能力に起因して、内部量子効率が全体スペクトル範囲に渡って98%超になり、既存のGaN材料で測定された低い寿命とともに、モデル電圧が高品質の太陽電池から予想される特性VOC≒q(Eg−0.4eV)を達成し、>50%太陽電池に関する基準を満足するすることを示している。さらに、コーティング層において高い寄生吸収を持つ未最適化の初期デバイスについて我々の実験結果は、GaN太陽電池において60%超の内部量子効率を達成している。さらに、2.4eVでの発光およびフォトルミネセンスを持つむデバイスについて、本発明は2Vの電圧を達成している。
【0074】
InGaN系の可能性ある高効率について追加の信頼性は、窒化物についての別の有利な材料性質、例えば、高い圧電定数、偏光効果など、から由来するものであり、これらは新しい太陽電池アプローチを開発するために使用でき、比較的新しい材料系の提案に伴うリスクを軽減する。追加のリスク軽減アプローチ、例えば、Geや他の基板上の成長や層トランスファーの使用など、そしてデバイス設計および成長アプローチは、p型ドーピングに伴う問題を低減する。
【0075】
開発経路は、2つの平行な経路に絞られる。第1には、太陽電池の機構および材料がサファイア上に成長して特徴付けられ、デバイス設計に関連した問題を特定し解決し、材料成長条件を最適化する。主要な新規デバイス問題は、窒化物の圧電特性を利用し、低い表面再結合速度を示し、ドーピング条件を最適化することによって、成長条件の最適化により、p−i−n太陽電池構造内で高い電界を維持することを含む。
【0076】
1.5eVと1.9eVのデバイスは、MBEによって成長し、より高いバンドギャップはMOCVDによって成長する。同時に、実験的に最適化する第2の主要な問題は、Si上成長に関するバッファ層の開発である。シリコンは、提案したInGaN組成にとってより近い格子定数を有するが、Siの熱膨張係数はInGaNと実質的に異なっており、バッファ層の成長条件および組成(AlN材料系を持つアロイを含む)の最適化を必要とする。
【0077】
シリコン上の大面積でクラック無しの低転位密度膜の存在証明は、バッファ層の最適化の実現性を示す。開発計画の後の段階は、バッファ層とデバイス構造の組合せによる低コストで高性能の太陽電池、および2つの成長技術の製造可能性およびコストの評価を必要とし、技術移転および大規模生産に最も適したものを決定する。
【0078】
分析は、22%という1つの太陽効率を持つ実用的なシリコン太陽電池が達成可能であることを示す。スタックで組み込んだ場合、これは、第1世代の設計に基づいて、>50%の効率を導く。この新規な設計は、n型シリコンの不純物および欠陥についての少数キャリア寿命の許容範囲を利用する。この設計はまた、n型表面を不動態化する相対的な容易さを使用する。太陽効率材料コストは、ウエハベースのシリコン太陽電池と比べて80%以上削減されることになる。さらに、このアプローチは、既存の太陽電池から示されるものより高い開放回路電圧を可能にする。高効率で低コストのシリコンデバイスを開発するプロジェクトは、デラウェア大学、ニューサウスウェールズ大学、BPソーラー(BP Solar)、ブルースクエア(Blue Square)の共同研究によって低リスクとなる。このチームは、Si太陽電池の先導専門家の共同研究を代表する。
【0079】
図15に示すように、薄型太陽電池において、低減した再結合量および高いキャリア収集により、低減した少数キャリア寿命を用いて高い効率が達成できる。10μ秒の少数キャリア寿命でさえ、薄型デバイスの効率は21&超になる。100μ秒の寿命は、より低品質の材料において示され、目標値となる。
【0080】
後方接合太陽電池は、前方表面再結合の値に対して高い感度を有するため、後方接合デバイスの前方表面は良好に不動態化する必要がある。しかしながら、n型前方表面は、n型シリコンがより容易に不動態化が可能である点を利用しており、前方表面再結合によって課せられる効率限界は、<20μm厚で寿命100μ秒のデバイスについて22%超のままである。後方接合デバイスの更なる利点は、これらが後方表面再結合速度に対して高感度でなく、極薄型デバイスであっても、1000cm/秒の後方表面再結合速度は、20〜50μm厚のデバイスにとって本質的に無視できる影響をもたらす点である。これらの利点は、表面から逃げる光の20%に達する光学閉じ込め損失を算入しても、22%超の効率は10〜50μm厚のデバイスについて達成可能であることを意味する。
【0081】
ソーラーデバイス設計は、既存の薄型シリコンデバイスから著しく逸脱している。特に、この薄型シリコン太陽電池は、極めて高い電圧を達成するように設計されることになる。以下、構造の説明である。
【0082】
基板は、ガラスからなり、700〜1000℃の温度範囲でシリコンと整合した熱係数である。基板は、P+シリコンでコートされ、これは再結晶化されて1mmより大きい粒を形成する。ガラス上のP+シリコンは、不純物拡散障壁、選択波長光学反射器および、上部に成膜される、吸収層のためのパッシベーション層として機能するコーティングを受け入れる。開口は、障壁層、光学層およびパッシベーション層を通じて形成される。例えば、100ミクロン中心での10ミクロン開口(丸)。開口は充分に閉じて、キャリアは、再結合する前に収集される。シリコン光子吸収体は、N型である。吸収体層は、CVDによって成膜可能であり、標準的な技術を用いて再結晶化できる。吸収体層の厚さは、本願では20〜50ミクロンである。CVDに対して、この吸収体を成膜する幾つかの有効な低コスト方法がある。上部表面パッシベーションは、フローティング接合または、GaPやGaAsPなどの高性能の高温ヘテロ面とすることができる。
【0083】
さらに、良好な表面パッシベーションを備えた薄型太陽電池は、再結合量が減少するため、完全に理想的な材料であっても、従来の厚さのデバイスより高い電圧を有する。従来、表面パッシベーションは、主として物理的な欠陥パッシベーションをベースとしていた。しかしながら、最近の結果は、パッシベーションが、コーティングや、表面構造を変化させる処理を用いて達成可能であることを示している。このアプローチにより、新しく一般クラスの表面パッシベーションが開発可能となり、材料の特有情報、そして異なる材料ごとの最適化をとても必要とするものではない。全体として、光トラップの高いレベルおよび良好な表面パッシベーションは、非理想性を回避するだけでなく、良好に最適化したデバイスでの理論電圧限界により接近でき、実用的な太陽電池で高い効率を達成できる。
【0084】
本発明は、サーモ光起電力(TPV)応用に設計された、既存の最新技術の低バンドギャップデバイスを使用し、層トランスファーおよび基板再利用を用いて、これらをシリコン太陽電池と一体化している。効率をさらに増加させ、層トランスファーに関連した製造可能性のリスクを低減するために、本発明は、太陽電池の裏面に直接成長できる、新しいSi/Ge太陽電池設計を使用する。さらに、本発明は、高VOCで低バンドギャップデバイスについて2つの選択肢を使用し、これらの両方とも光トラップに依存する。デバイス厚さを低減しつつ、光トラップによる同じ吸収を維持することによって、全体の再結合が減少して、電圧が増加する。このアプローチは、低い表面再結合速度を必要とし、これは、提案したInAsおよびSi/Geの材料系の両方において達成可能である。
【0085】
第2のアプローチは、量子井戸(あるいはデバイス構造中に組み込み可能な他のナノ構造)を使用することに焦点をあてて、真性領域で有効バンドギャップを修正している。このアプローチは、ナノ構造の組み込みから熱力学的効率の増加を求めておらず、他のナノ構造デバイスについて存在する不確定性およびリスクはここでは適用されない。このアプローチを用いた従前のQW太陽電池構造は、QW太陽電池にとってVOCは物理的バンドギャップを備えた類似のデバイスよりも高いことを示し、高い収集確率を示している。ナノ構造材料に関連した減少した吸収は、光トラップによって回避される。
【0086】
本発明の方法は、TPV材料を用いるための開発計画を含み、最初に、InP上のInGaAs材料系での2接合スタックの証明および最適化を含み、シリコン基板へのこれらの構造の層トランスファーの証明を含む。Si/Ge太陽電池についての開発計画は、0.9eV太陽電池の開発と最適化を含み、光トラップを集積させて、高い吸収および電圧を達成している。この0.9eVのSi/Ge太陽電池の上におけるGe太陽電池の成長は、2JスタックがSi上に直接成長するのを可能にする。
【0087】
ナノ構造が光電池内で高い効率を達成する可能性は、議論の余地がある。有効バンドギャップの調整、効率的なルミネセンスまたは、多重励起子発生などの新しい吸収プロセスを含む有望な結果が、光学ベースの測定を用いて報告されており、さらに、発光器および光検出器でのナノ構造の有利な使用を指示している。批判者は、MBEで成長した構造を用いたとしても、ナノ構造太陽電池の効率は、ナノ構造無しのデバイスより一様に低く、証明した進歩は、吸収/発光に絞っており、デバイスは、ある割合の吸収(制御するのに最も容易な太陽電池パラメータ)すら達成しておらず、既存の半導体デバイスの収集、電圧、FFもかなり小さいと指摘する。モデリングおよび実験作業は、両方とも正しいことを示す。既存の証明は、一定のナノ構造の構成および材料の使用を除外する基本的な問題を無視することによって、固有の不備を含むものであり、これらの既存の証明が重要な物理的機構を示すために極めて重要であるにも拘わらず、太陽電池性能の理論的な改善を妨げている。
【0088】
本発明は、多重励起子発生(MEG: multiple exciton generation)および多重エネルギー準位(MEL: multiple energy level)の太陽電池(中間バンドが特定のケースである)を含む。これらだけが、必要な物理的機構が高効率太陽電池と一致したレベルで発生していることを示したからである。(MEG)太陽電池では、図8に示すように、高エネルギー光子が多重励起子を発生する。MEL太陽電池では、図8に示すように、低エネルギー光子がキャリアを中間エネルギー準位へ励起し、そして、他の光子は、キャリアを中間エネルギー準位から最高エネルギー準位へ励起する。
【0089】
ナノ構造太陽電池での重要な挑戦は、キャリア輸送に関連する。ナノ構造での固有の閉じ込めポテンシャルが、材料性質の調整を可能にするとともに、これらはまたナノ構造内の低エネルギー準位でのキャリア輸送に対する障壁を導入する。LEDおよびレーザは、この問題を回避している。これらはナノ構造からの収集ではなく、ナノ構造へのキャリア注入を要するからである。輸送問題に対して、次のような2つの基本的な解決法がある。(1)図8に示すように、ミニバンドの形成を促進する接近配置したナノ構造アレイの使用であり、そこではミニバンドがキャリアを輸送する、あるいは(2)障壁またはマトリクス材料の伝導帯/価電子帯への閉じ込めポテンシャルにあるキャリアの励起(熱的、あるいは電界、光子誘起による遷移)であり、これはキャリアを輸送するように振る舞う。
【0090】
輸送問題を解決するために、接近配置したナノ構造アレイの使用は、幾つかの制限を導入する。QD接近配置アレイだけがバンド間において状態密度ゼロを有する。他のナノ構造アレイでは、キャリアは素早く熱運動化して、最低エネルギー準位になる。中間バンド太陽電池(輸送用のミニバンドを用いたMEL太陽電池)では、キャリアは上側エネルギー準位で取り出す必要があり、熱運動化は、遅い冷却レートを示すナノ構造材料においても大きな損失機構を意味する。さらに、QDだけが多重励起子発生の高いレートを示したことから、ナノ構造においてQDアレイではなくMEGを使用することは、高いリスクがある。こうしてミニバンドを用いた太陽電池では、QDアレイだけが効率の増加を与えることになる。
【0091】
しかしながら、ミニバンドアプローチは、2つの重要な挑戦を含む。長距離秩序を備えた接近配置のQDアレイは、特に、低コストでの製造が困難である。しかし、QDアレイがミニバンド形態で秩序化していなければ、太陽電池は、マトリクスまたは障壁材料の性質によって支配されるようになる。さらに、金属は、ミニバンドデバイスと接触するように直接には使用できない。これは、2つのミニバンドをともに「短絡(short)」させるからである。従来の半導体で成長したナノ構造では、半導体の薄いバルク領域が金属とナノ構造の間で使用可能である。
【0092】
広範な研究にも拘わらず、非従来型の半導体材料は、セル性能を制限する貧弱な輸送性質を示した。従って、高性能太陽電池は、これらの材料内での輸送に依存するべきでない。例えば、色素増感太陽電池においてQDが色素と置換する、あるいはQDが有機材料内に存在する、といったアプローチは、高いリスクの長期的なアプローチを意味する。太陽電池が、QDではなくマトリクスによって制御されるからである。これは、選択的エネルギーコンタクトを開発することによって回避可能であり、ナノ構造の直接的な金属コンタクトを可能にする。こうしてMELまたはMEGミニバンド輸送太陽電池を低コストで実用化するためには、最適な材料およびデバイス設計、選択的エネルギーコンタクト、低コストの接近配置した秩序QDアレイの全てが必要になる。
【0093】
ナノ構造材料内で輸送する代替アプローチは、光子を用いて、キャリアを上側エネルギーバンドへ励起することである。このプロセスは、量子井戸および量子ドットの赤外(intra-red)光検出器(QWIPとQDIP)で用いられる。このエネルギーでは、キャリアがナノ構造中に捕捉されるのを防止する必要がある。障壁内の輸送は、ナノ構造を取り囲む障壁またはマトリクス材料が良好な輸送特性を有し、強い電界が存在し、キャリアがナノ構造内では輸送されないことを条件として、高性能を可能にする。これらの条件は、有用なナノ構造の構成を制限する。ナノ構造内でキャリアを輸送するのを回避するには、キャリア輸送方向は、ナノ構造の閉じ込めに対して垂直にすべきであり、これはQDおよびQW構造を可能とするが、光吸収方向に対して平行に整列したナノロッドではできない。
【0094】
有効な多重励起子発生(MEG)は、PbSe,PbSなどの低バンドギャップ材料からなる半導体ナノ結晶量子ドット(QD)において観測された。理論効率は、多重キャリア発生プロセスの閾値エネルギーに依存し、この閾値で発生した電子の数に依存する。3つまでの励起子が1つの吸収光子から生成される。これらの結果を実用的な太陽電池で利用する際の主要な挑戦は、衝撃イオン化太陽電池のモデリングおよび理解を改善すること、QDを膜内に充分な濃度で組み込んで、高い吸収を提供すること、光発生の励起子を解離させること、自由電子および正孔をデバイスコンタクトへ輸送すること、有効な励起子発生を示す追加の材料を特定することを必要とする。これらの課題は、色素増感または有機のアプローチなどの太陽電池構造を用いて分析、最適化され、そして、平行して開発された毛細管プロセスを用いて、秩序化アレイへ応用されることになる。
【0095】
多重擬フェルミ準位デバイスについて、以下に説明する。MEL太陽電池は、多重エネルギー準位またはバンドが、発生および再結合の両方を介して同時に発光結合したデバイス構造に依存する。これらの開発での重要な挑戦は、全てのバンド間の同時発光結合の証明と、最適な材料系およびデバイスの開発である。低エネルギー光子の範囲で必要になるサブバンド間遷移は、QWおよびQD赤外(intra-red)光検出器において多く文書化され提示されていることから、本発明は低エネルギー光子を使用する。最近のモデリングはIII−V族でのSbベースのQDを示し、Si/Ge系は理想的なMEL太陽電池を実用化する能力を示し、よって、7Jタンデムを達成するためにSi下の3個スタックと同等品として使用可能である。我々は、最初に、MEL太陽電池構造にとって現実モデルの開発、およびIII−V族MEL太陽電池およびSi/GeMBE成長の太陽電池の両方における3つの発光結合バンドの提示に焦点を当てる。III−V族MBE成長デバイスは、モデルを確認し、プロセスを理解するために使用している。我々は、後の段階でSi/GeのQDアプローチに焦点を当てている。これらはSi太陽電池の背面に直接に成長可能であるからである。
【0096】
選択的エネルギーコンタクトおよび低コストの秩序化量子ドットアレイについて、以下に説明する。低コストのナノ構造太陽電池は、秩序化QDアレイの使用およびナノ構造自体への選択的エネルギーコンタクトの両方を必要とする。この半導体を実現することは、所望のバンド構造を達成するために、規則量子ドットアレイを用いた基本的な新しい技術の開発を要する。
【0097】
ホワイトサイド(Whitesides)氏は、最初に、彼の研究室で開拓された技術、即ち、自己集合を引き起こす毛細管力の使用を用いて、六方充填対称性において良好な長距離秩序化による小粒子アレイを作成する。この研究では、後退する液滴エッジからの毛細管運動が、ドットを規則パターンに付勢する(広範に開発され、六方充填した2D結晶のウイルス粒子の形成についてよく証明された技術)。空気−液体界面で結晶性コロイドアレイを製作し、これらを基板へ移すために、ラングミュア−ブロジェット技術を用いる可能性も検討されている。
【0098】
量子ドットアレイとコンタクトをとることは一般に困難であり、エネルギー選択性に関してより困難になる。20nm金属膜は、典型的には10%の粗さを示す。(2nmは、3〜4単層である。)この層の上に金属膜を蒸着することは、下地となるドットアレイへの損傷および表面張力から生ずるコンタクト不均一性に起因して、問題を解決しない。しかし、Auは、エラストマー表面(例えば、ポリジメチルシロキサン薄膜)の上に薄膜として成膜可能であり、薄い均一なコンタクト層を形成できる。PDMS/Auの機械的コンプライアンスが、使用可能な原子レベルのコンタクトを作成する。金の上の薄いポリ(アニリン)膜を用いた関連した電極は、おそらくより良い電気コンタクトを作るであろう。しかし、証明が必要である。典型的には、薄いAuコンタクト層(典型的には、20nm厚)は、エラストマーと組み合わせて、Auと量子ドットアレイの間の正確な間隔形成が可能になる。この種のシステムは、典型的には、トンネルコンタクトを形成し、今までにいずれかで開発された最も信頼性あるシステムである。伝導帯だけに対するエネルギー選択性コンタクトを達成するために(これにより、価電子帯またはミニバンドとの短絡を防止する)、共鳴トンネルコンタクトの開発を必要とする。本発明は、こうした半導体−絶縁体−半導体−絶縁体−金属の構造でコンタクトを形成している。
【0099】
ナノ構造の太陽電池は、吸収を増加させる構造を含む。ナノ構造材料の低量および輸送理由のためにデバイスを薄く保つ必要性により、これらのアプローチは効率的な吸収を促進するという特徴を有する。光トラップは、従来から太陽電池で使用されており、光を、多重通過のための活性領域に閉じ込めることによって、物理的なデバイス厚と比べて、光学経路長の増加に関連している。低レベルの光トラップは、従来の反射器(金属またはブラッグ式)を用いて達成できるが、提案した薄型構造でのより高い光トラップは、根本的に新しいアプローチを必要とする。本発明は、光を操作したり反射するフォトニック結晶を設計することによって高い吸収を実現するとともに、小さな特徴サイズを可能にする。本発明のための新規な光トラップアプローチは、低エネルギーセルを含み、比較的新しいフォトニックバッドギャップ(PBG)材料技術を必要とする。しかしながら、PBG技術は、リソグラフ製造アプローチの使用をベースとしており、従って、完全に成熟した場合、バッチ式製造への適用が想定される。
【0100】
プロセス統合への多くの受け入れ可能なアプローチが存在する。重要なガイドラインは、最初に最も高い温度のプロセスを行い、そして段階的に下げていく設計を行うことである。下記は、これを達成する方法の幾つかである。最初に、我々は、説明したような横型設計または縦型設計をベースとした基本アプローチを思い起こす。両方の場合、静的集光器(分散エレメントは別個に製造可能である)。これらは、最終ステップでの光電池デバイスに結びつく。デバイス構築は、基板から開始する。これらの例では、我々はガラスを使用している。下記は、例示的な手順である。
【0101】
1.ガラス基板にp+シリコンをコートして、再結晶化する。
2.選択波長光トラップ層をシリコンの上に堆積させて形成する。
3.n型シリコンを基板上に成長させ、再結晶化する。
4.GaPバッファ層の選択領域成長。
5.GaAsP太陽電池を成長させる。
6.GaInP太陽電池を成長させる。
7.InGaN太陽電池を成長させる。
8.インクジェット技術を用いて電気コンタクトを形成する。
9.集光器(および分散)光学系と整合した反射防止層を成膜する。
【0102】
次に、ボトム太陽電池を成長させる。下記は、一例である。
10.他のガラス片にn型シリコンをコートして、再結晶化する。
11.シリコン:ゲルマニウムアロイ(Si:Ge量子ドット)を成長させる。
12.シリコンp+接合を成長させる。
13.光トラップ構造を堆積させる。
14.インクジェット技術を用いて電気コンタクトを形成する。
【0103】
横型接合デバイスでは、高エネルギーデバイスまたは層トランスファーまたは組合せのそれぞれについて、選択エピタキシャル成長を使用できる。何れの太陽電池の基本部分は、その反射防止(AR)コーティングである。ARコーティングの存在は、太陽スペクトル全体で低反射については設計しない。太陽電池は、現時点でこの範囲全体に渡って変換しないためである。連続可変指数ARコーティングを開発することによって、本発明は、スペクトル範囲全体に渡って反射率を低減させることができる。
【0104】
静的集光器をベースとした光学設計および半導体デバイス機構の一体化は、多くの多様な技術オプションを伴う頑丈で新しい設計および技術空間を導く。この頑丈な空間は、計画目標の適時達成を導くこれらの技術アプローチを特定することに的を絞って、フェーズ1において拡張される。計画は、下記の戦略に従って管理されることになる。
【0105】
1.最高性能のための設計。適用されるコスト基準は、最終製品でのIII−V族基板またはゲルマニウム基板など、高く固定されたコスト成分の排除である。
【0106】
本発明は、光学系、高エネルギーデバイス、中間エネルギーデバイス、低エネルギーデバイスに分割される。これらの各アプローチは、証明された高性能材料を、計画目標を達成する低コスト形式で使用するというコアとなるプラットフォームを有する。これに追加されるものは、図20と図21に示すように、技術オプションを拡張する多様なアプローチである。
【0107】
設計の各部分は、必要なパラメータ全て、即ち、光吸収、電荷分離、少数キャリア収集、電圧発生、ダイオード理想特性(充填率)、値ごろ感、材料適合性、製造可能性、を満たす能力について採点される。既存の高性能太陽電池技術は強化され、(1)同程度のコストでより高い性能、または(2)同じ性能でより低コストを示すように、新しいデバイス機構およびプロセス技術が追加されることになる。
【0108】
光学エレメント、横型および縦型太陽電池構造、種々の太陽電池材料系(初期の段階で、我々は6つの材料系を調査している)、異なる太陽電池構造の組合せは、豊富な設計空間を提供する。光学系、集積化および太陽電池構造の協調設計は、光学エレメントの性能が集積化の戦略と太陽電池設計に影響を及ぼすことを意味する。こうしてコアとなるアプローチが、3つのエネルギー範囲に分割された6J太陽電池からなるとともに、光学系は太陽電池設計を実質的に異ならせる。例えば、内部追跡集光器が、製造可能性、信頼性および低コスト、150倍超の集光度を示す場合、4〜5つだけの接合が必要になる。そして、光学設計に依存して、これらの接合は、横型構造を用いて基板上に別々に配置してもよく、モノリシック的に集積化してもよい。代替として、これらの高い集光度では、提案した6J太陽電池は、55%超の効率を与えるように使用できるであろう。
【0109】
本発明の光学/太陽電池の設計の主要なエレメントは、静的集光器である。これらは、現在、地上モジュールで使用されていないが、理論的、技術的または実用化問題(これらの全ては論証されている)からではなく、地上光電池が、現在、静的集光器の商業的応用可能性を制限するという仮定によって拘束されることから起因しており、既存のシリコン生産ラインを新しい設計および集積プロセスへ転換する際の困難さに主として関係している。
【0110】
静的集光器の実現性は、さらに、既存の光学製造技術が、性能目標を満たす集光度および光学効率の両方を可能にすることを示す予備的な光学設計によって増強される。高効率の集光器でさえも、新しいプロセスまたは製造能力というより、設計の専門知識に依存する。
【0111】
本発明の方法は、静的集光器への少なくとも2つの経路、即ち、(1)マイクロレンズをベースとしたより低い集光、(2)可動シートレンズを含むより高い集光アプローチ、を含む。両方のアプローチは、同程度の光学効率を産み出すと仮定すると、各アプローチのコストおよび製造可能性を評価し、太陽電池性能をモジュールに集積し生産エネルギーのコストを$/kWh単位で比較することで、両者間の決定が行われる。
【0112】
本発明の第2の新規な光学エレメントは、横型太陽電池構造のための光学系である。これは、より大きい技術リスクを有するが、材料の柔軟性、集積化および信頼性の観点で相当な利益を有する。さらに、横型アプローチは、多色検出器など、他の光学/フォトニック領域に利益を与えることが可能であり、この領域における成功は、他の産業との共同開発を経験するかもしれない。横型光学系および集積化のリスクを減少される際の重要な戦略は、太陽スペクトルが分割される「箱(bin)」の数において可能になる柔軟性である。大きな数の箱は、光学設計および集積化の両方をより困難にする。箱の数は接合の数より小さいことから、より小さな数の箱は材料選択での柔軟性を減少させ、一方、最も簡単なアセンブリでは、幾つかの接合はモノリシックに成長すべきである。コアとなるアプローチは、3つの箱(高、中間および低エネルギー)の開発を要し、図7に示す設計は横型光学系の実現可能性を示している。
【0113】
横型光学系および集積化のための設計において2つの決定ポイントがある。これらの第1は、フェーズ1の終わりに行われ、我々は、進行すべき2つの横型/光学設計を特定することになり、その一方は、マイクロ追跡器を用いた高い集光度/横型設計をベースとし、他方は、全光学設計をベースとしている。
【0114】
フェーズ2において、実験的実用化を含む詳細な性能特性は、コスト、光学的効率、集光度目標を満たすこれらのアプローチの各々の能力を決定することになる。フェーズ2の後、固有の下方選択(down-select)を有するデバイス技術と異なって、両方の光学的アプローチが、別々の応用にとって最適条件を表すように、フェーズ3に移行できる。
【0115】
多重接合太陽電池のリスク管理は、証明された高性能を伴うコアとなるアプローチを使用することと、コストを最小化するために、集積化光学/太陽電池設計によって可能になる柔軟性を利用することからなる。さらに、全パワーの66%を発生する高エネルギー光子については、本発明は多重平行アプローチを含む。その結果、>50%効率の太陽電池という全体的な目的を達成するために、我々は、経路の1つだけで成功が必要である。
【0116】
シリコン上で成長するGaInAsPベースのIII−V族太陽電池のリスク管理は、以下に説明している。上述のように、GaInAsP材料系で高性能3J太陽電池を達成する際の主要な挑戦は、シリコン基板上での〜1.5eV太陽電池の成長であり、第2に、〜2.2eVの高バンドギャップ太陽電池の開発である。高バンドギャップ太陽電池に関連したリスクは、Si上で成長すれば、低いものになる。高バンドギャップのGaInPは、既存の基板よりも、Siにより近い整合した格子定数を有するからである。
【0117】
例示の戦略は、(表2)に示しており、シリコン上のGaInAsPベースの層の選択エピタキシャル過成長(overgrowth)を要する。こうした過成長領域は、著しく格子不整合した基板の上に直接成長する場合よりも、より高い結晶学的品質を有することを示している。さらに、使用した成長アプローチに依存して、選択成長は、材料コストを低減するという利点を有する。選択成長オプションを吟味するための決定ポイントは、シリコン上で成長する個々のバンドギャップの提示に基づいて、フェーズ2で発生する。さらに、この段階で、GaAs層トランスファーのコストおよび製造可能性が、代替のアプローチが必要であるかを決定するために評価される。
【0118】
【表2】
【0119】
III−窒化物太陽電池の潜在的リスクは、従来のIII−V族材料と比べてIII−窒化物の少ない開発状態に起因して、GaInAsP材料系より高い。しかしながら、これらは、LED産業からの強力な開発を経験しており、これらの材料を使用するリスクを回避する1つの要因は、開発がLED産業によって共有されることである。我々は、この産業によって開発された発展を利用することができる。
【0120】
他の産業から窒化物への大きな開発努力によるリスク低減、そして、我々のニーズ根拠として、他のグループを含むことができる開放した門戸を維持することに加えて、本発明は、幾つかの追加のリスク管理戦略を含む。III−窒化物に関連したリスクは、シリコン基板の使用、成長アプローチの潜在コストおよび、窒化物での高発光寿命と電流収集の困難さのと間の潜在的なリンクである。シリコン基板の使用に関連したリスクを管理するために、グループのメンバーは、現在、代替基板技術に含まれている。
【0121】
第1の代替基板は、サファイア自体であり、これは、高い材料コストを本質的には有しておらず、リボン成長などの低コストアプローチによって成長している。サファイアの追加の潜在的利点は、光学媒体として多くの理想的な性質を有することであり、よって新規な集積レンズ/太陽電池の構想を可能にする。
【0122】
材料コストの見地から第2の可能性ある低コスト基板は、ZnOであり、これは、例えば、ハイパワーなど、III−窒化物を開発する他の産業にも利用され得るという技術的利点を有する。例えば、MBEの高い効率の分子ビーム性質は、MOCVDの0.1%未満と比べて、窒化物用途で〜80%の金属原料を利用する。これらの2つの課題の組合せにより、窒化物用途で動作するために、MBEは少なくとも1000倍安くなる。
【0123】
窒化物での最後の潜在的リスクは、窒化物で示される高い放射発光が、低い少数キャリア寿命であっても、キャリアの局在化に起因しており、光発生キャリアの収集を困難にするかもしれない点である。成長の最適化は、本来検討される一手段であり、量子井戸構造の必要性を軽減したり、成長層での相分離を排除するものであり、QDおよびQWの太陽電池でのチームの経験は、ここで直接的な応用可能性を有する。太陽電池の結果は、電界が臨界値を超えれば、高い電界が、量子井戸に局在したキャリアからの収集を可能にすることを示している。これらの応用では、ナノ構造は、pn接合の理論効率を増加させないため、発光結合の要件、衝撃しオン化などは適用されない。
【0124】
低エネルギー光子の効率的な変換は、光電池におけるより困難な課題の1つを表す。しかしながら、スペクトルの低い部分に含まれるパワーも比較的低く(全体の15%)、我々のアプローチは低い光子エネルギーでの劇的な改善に依存しない。その結果、このプロセスに関連した重要なリスクは、技術的なリスクでなく、熱光電池応用に用いられる材料をベースとしたデバイスおよびアプローチを用いた、低コストと製造可能性を示す能力である。低い光子エネルギーへの平行アプローチは、Si/Ge系を使用するものであり、我々は、以前に提示したものの光電池へは応用されなかった光トラップへの新しいアプローチによる間接材料の従前の性能限界を回避している。
【0125】
リスク/利益曲線の最極端なエッジでのアプローチは、ナノ構造の仮想バンドギャップ太陽電池を開発することである。高いリスクであっても、我々のアプローチは、(1)ナノ構造太陽電池について実験ベースのデバイスモデルの厳密な理論展開、(2)必要な物理的機構を示すアプローチの使用、(3)低コストQDアレイをベースとした構造を実用化する方法の開発によって、高い成功確率を有する。
【0126】
本発明は、実験ベースのデバイスシミュレーションの開発をさらに含み、これは我々のアプローチに主要なものである。最適材料、デバイス設計規則、目標効率、非理想性の影響が全て未知であるためである。例えば、サブバンド間遷移は、IR検出器で用いられるが、太陽電池では提示されていない。バンド構造の効果は、IR検出器に影響を与えず、太陽電池に大きな非理想性を生じさせる。しかしながら、これらは材料系を変えることによって回避できる。既存のモデリング計画は充分ではない。光電池デバイスは、多重擬フェルミ準位の分離を必要とし(LED、レーザおよび検出器は支配(dominant)遷移を有する)、新規な吸収機構(例えば、多重励起子発生)は、収集および順バイアス電流の両方の計算を必要とし(光検出器およびLEDは一方または他方によって支配される)、ホッピング輸送などの輸送機構を含むからである。我々は、ナノ構造デバイスのモデリングおよび特徴付けを行う際に、傑出したチームを召集して、独自のモデリング/特徴付けの経験をそれぞれ持っている3つの大学とNRELにまたがるチームとともに、この挑戦を取り扱っている。
【0127】
デバイス設計規則および最適な太陽電池構造の開発に加えて、本発明は、本発明の構造を実施するため、QDアレイを製造する方法、ナノ構造アレイとコンタクトをとる方法、および材料中の吸収を増加する方法を含む低コストアプローチを提供する。吸収キャリアを増加させることは、最低の技術リスクである。フォトニックバンドギャップナノ構造は吸収および発光を制御する能力を既に示しているためである。
【0128】
より積極的には、不確かではあるが、Au+層/コロイド層/Au−層からなるブラッグスタックは、量子ドットによって吸収されるまで、全ての光子を散乱させ、構造内でバウンドさせることによって、多かれ少なかれ全ての光子が捕捉される。ブラッグスタックの多重層は、複数のナノ製造ステップによって、または単一のAu+層/コロイド層/Au−層からなる大きなシートを製作し、折り曲げたり巻き取って多重層構造を得ることによって、形成することができる。
【0129】
追加のリスク管理アプローチは、コアとシェル構造を使用することである。(UT(テキサス大学)オースティンのネイオーミ・ヒリス(Naomi Hillis)は、この分野で優れた研究を刊行している。)例えば、ガラスビーズ上の20nmの金層は、単層−滑らかであり、優れた単分散品質および長距離秩序を備えた完全な結晶状の格子に形成できる。更なるコーティングが、シェルを隣接ビーズから分離し、ビーズ−ビーズコンタクトを規制するために使用できる。
【0130】
6J太陽電池の最適なバンドギャップは、図17に示しており、直列接続および格子整合の緩和が、シリコンプラットフォームの太陽電池の開発を可能にすることを示している。Siプラットフォームは、多くの利点を提供するが、重要なことは、現在、効率目標(そのバンドギャップ近傍の波長範囲で)およびコスト目標の両方を満たすことができる唯一の材料である。設計により、既存の高性能材料が、2つのより高いバンドギャップについて使用可能になる。低い集光度の最終的な利点は、デバイスの増加した動作点に起因して、太陽電池が欠陥に対して敏感でなくなる点である。
【0131】
さらに、静的集光器は、太陽電池上でのパワー密度を増加させるが、追跡の必要がなく、空の大きい割合からの光を受け入れる広い許容角度の光学エレメント(典型的には非結像)を使用することによって、1つの太陽ソーラーモジュールと同様にして搭載され使用される。追跡式集光器とは異なり、静的集光器は、太陽スペクトルの入射パワーの〜10%を構成する拡散光の大部分を捕捉可能である。広い許容角度についてのトレードオフは、低い集光度である。用途により、モジュール位置が年間で何れのポイントに手動調整可能である場合、最大集光度は増加する。モジュールがどれぐらい長く、固定位置に留まるかに応じて、集光度は10倍〜200倍の範囲で変化する。
【0132】
さらに、横型構成において、分散デバイスが光学経路中に挿入され(例えば、回折格子やプリズム)、光は、分光器内で生ずるのと同様にして、角度的に広がる。スリットが存在して、光源サイズが分散方向に極めて小さい分光器とは異なって、太陽は、〜0.5度の全体角をなす。これは、後述のように、設計を複雑にする。
【0133】
光を分散させる他の方法は、図17に示すように、幾つかの波長が表面で反射し、他は透過するようにしたダイクロイックミラーを使用することである。ダイクロイックミラーの市販例は、可視光が反射し、赤外が透過するコールドミラーである。ダイクロイックシステムは、横型アプローチの基準設計として機能する。横型光学系のための進行中の設計は、例えば、球面及び/又は円筒の対称光学系間の選択、入手可能な光学系に適合したコーティング中の層数などの問題に絞っており、多くの光学設計が90%超の光学効率を達成している。
【0134】
発明の上述の説明は、本発明を図示し説明するものである。さらに、その開示は、上述の内容で本発明の好ましい実施形態だけを示し説明しているが、本発明は、種々の他の組合せ、変更、環境で使用可能であり、上記教示及び/又は関連する技術の実力または知識と相応して、ここで表現したような発明概念の範囲内で変化または修正が可能である。さらに、ここで上述した実施形態は、本発明を実施するのに知られたベストモードを説明し、本発明の特定の応用や使用に必要となる種々の変更とともに、他の当業者がそうした又は他の実施形態での本発明を利用できることを意図している。従って、本説明は、ここで開示した形態や応用に発明を限定することは意図していない。また、添付の請求項は、代替の実施形態を含むと解釈することを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】静的集光器をベースとした半導体デバイスのための例示の集積光学構造/設計のフロー図を示す。
【図2】ウルトラ超高効率太陽電池を実施するための本発明の方法を示す説明図を示す。
【図3】Air Mass 1.5Gスペクトルに関して、1倍、10倍、20倍、50倍の集光度についてバンドギャップ数と効率の例示プロットを示す。
【図4】太陽電池効率>50%の要件を示す。
【図5】例示の横型太陽電池構造を示す。
【図6】例示の縦型太陽電池構造を示す。
【図7】本発明の提案した構造およびデバイス構造の例示の概要を示す。
【図8】例示の多重励起子発生太陽電池を示す。
【図9】n−ベース薄型構造を用いることによって、低コストで高性能の太陽電池への方針を示す例示のPC1Dモデリング結果を示す。
【図10】低コスト材料を用いた例示の薄型p−ベース太陽電池を示す。
【図11】多重エネルギー準位太陽電池について2つの例示的構成を示す。
【図12】光子エネルギーと、3つのPbSe QDサイズおよび1つのPbSについてのQDバンドギャップとの比率として表される、単一光子対光子エネルギーから、励起子形成についての例示の量子収量を示す。
【図13】接触する量子ドットアレイをベースとした、例示の選択エネルギーコンタクトを示す。
【図14】本発明の拡張した技術オプションへの種々のアプローチの例を示す(パートI)。
【図15】本発明の拡張した技術オプションへの種々のアプローチの例を示す(パートII)。
【図16】6J太陽電池についての例示のバンドギャップを示す。
【図17】横型光学系についての例示の概略を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、超高効率太陽電池の開発に向けたものである。本発明は、著しく増加した材料およびデバイス構造空間を基礎としている。特に、本発明は、54%効率の達成、そして低コスト製造のための種々のアプローチを可能とする薄型の静的(static)集光器(concentrator)を利用する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0002】
(発明の概要)
本発明は、モデル限界に接近し、低コストで大規模に製造可能な太陽電池の実現のための装置および方法である。本発明は、光学および太陽電池の統合した設計であり、設計空間を劇的に増加させる。光学設計と太陽電池設計の統合は、材料のかなり幅広い選択を可能にし、高い効率、多くの既存のコスト推進要因の除去、および複合した他の技術革新の組み込みを可能にする。
【0003】
本発明は、コストを削減しつつ、太陽電池技術において既存の最善の実用化の高い性能および安定性を強化する技術革新に適合する。本発明への二段階アプローチは、45%効率を達成する比較的低い技術リスク設計とともにスタートして、そして、>54%の効率を達成するプラットフォームを構築しつつ、これらの新しい概念を、低コストで超高性能の超高効率に統合させる新しい実用技術を開発する。
【0004】
本発明は、少なくとも2つの光学設計およびデバイス構造を備える。最初に、横型(Lateral)構造は、光をスペクトル成分に分割して、スペクトルの各部分について最適化した個々のデバイスの利用を可能にする。この構造および設計は、格子および電流の整合条件を回避し、スペクトル不整合損失を排除することによって、多くの材料条件を迂回する。この構造/設計への秘訣は、各エネルギー変換接合の独立した最適化と、スペクトル不整合を排除する独立した電気コンタクトである。
【0005】
第2に、独立して接触した垂直接合スタック(stack)を備えた縦型(Vertical)構造は、横型構造の太陽電池に対して平行なアプローチを提供する。この構造および設計は、横型構造の太陽電池と同様で、垂直スタックに伴う利点を実現する。特に、垂直スタック内の各太陽電池は、独立に接触可能であり、電流整合問題を回避し、材料選択の柔軟性を増やして、スペクトル不整合を回避する。
【0006】
本発明の開発は、境界条件として熱力学的限界を用いて始める厳密な設計アプローチによって進められた。設計の各部分は、要求される高効率太陽電池パラメータの全て(光吸収、少数キャリア収集、電圧発生、理想ダイオード(充填率))を達成する能力について分析される。最適には、スペクトルの各部分について好ましい設計の電圧発生が達成される。
【0007】
さらに、本発明は、最新の技術を強化し、高性能のベースラインを提供する。さらに、本発明は、最高性能の太陽電池技術とともにスタートして、(1)同程度のコストでより高い性能、または(2)同じ性能でより低コストを示すように、新しいデバイス構造およびプロセス技術を追加するものである。さらに、静的集光器をベースとした、光学設計および半導体デバイス機構の統合は、多くの技術的な選択肢を伴って強靱な設計および技術的空間をもたらす。
【0008】
本発明の一実施形態は、効率的な太陽電池のための装置であり、色分散エレメントと、集光器と、複数のスペクトル分離した太陽電池とを備え、色分散エレメント、集光器、および複数のスペクトル分離した太陽電池は、横型構造に構成され、色分散エレメントは、入射光を、装置によって処理される複数のスペクトル成分に分割する。
【0009】
好ましくは、上記実施形態は、タイル張りの種類である集光器をさらに備える。さらに、好ましくは、上記実施形態において、色分散エレメント、集光器、および複数のスペクトル分離した太陽電池は、複数のスペクトル入射成分をそれぞれ処理するように最適化されている。さらに、好ましくは、上記実施形態において、集光器は、入射光の拡散光の大部分を捕捉するものであり、該集光器は静的集光器である。さらに、好ましくは、上記実施形態において、静的集光器の集光度は10倍〜200倍の範囲にある。さらに、上記実施形態において、複数の太陽電池の各々は、複数のスペクトル成分の下に配置される。さらに、好ましくは、上記実施形態において、複数のスペクトル分離した太陽電池は、電圧バスと個別にコンタクトがとられている。
【0010】
本発明の他の実施形態は、効率的な太陽電池のための装置であり、色分散エレメントと、集光器と、複数のスペクトル分離した太陽電池とを備え、色分散エレメント、集光器、および複数のスペクトル分離した太陽電池は、入射光を、装置によって処理される複数のスペクトル成分に分割する縦型構造で構成され、各スペクトル分離した太陽電池は垂直スタックである。
【0011】
好ましくは、上記実施形態において、タイル張りの種類である集光器をさらに備える。さらに、好ましくは、上記実施形態において、色分散エレメント、集光器、およびスペクトル分離した太陽電池は、複数のスペクトル入射成分をそれぞれ処理するように最適化されている。さらに、好ましくは、上記実施形態において、集光器は、入射光の拡散光の大部分を捕捉するものであり、該集光器は静的集光器である。さらに、好ましくは、上記実施形態において、静的集光器の集光度は10倍〜200倍の範囲にある。さらに、上記実施形態において、複数の太陽電池の各々は、複数のスペクトル成分の下に配置される。さらに、好ましくは、上記実施形態において、複数のスペクトル分離した太陽電池は、電圧バスと個別にコンタクトがとられている。
【0012】
さらに他の実施形態において、本発明は、太陽光電池のための装置であり、集光器タイルと、第1プリズムと、第2プリズムと、スペクトルスプリッタと、静的集光器と、光相互接続(interconnect)および太陽電池デバイス構造を用いた、横型構造および縦型構造の少なくとも1つを備え、第1および第2プリズムは集光器タイルの入力アパーチャにあり、第1プリズムは極めて高分散のプリズムであり、第2プリズムは低分散のプリズムである。
【0013】
好ましくは、上記実施形態において、スペクトルスプリッタは、光および太陽光線の少なくとも1つを、高エネルギー領域、中間エネルギー領域および低エネルギー領域に分割するように構成されている。さらに、好ましくは、上記実施形態において、静的集光器は、光および太陽光線の少なくとも1つをスペクトルスプリッタへ整列させるように構成されたマイクロ追跡器(tracker)をさらに備える。
【0014】
さらに、好ましくは、上記実施形態において、横型構造は、光および太陽光線の少なくとも1つを複数のスペクトル成分に分割して、複数のスペクトル成分の各々について最適化した個々のデバイスを利用して、各エネルギー変換接合および個々の電気コンタクトを独立に最適化して、静的集光器とともに集積された追加の光学エレメントを含んで、光および太陽光線の少なくとも1つのスペクトルを成分色に分割して、分離した太陽電池を各成分色の下に配置し、各太陽電池を別々にコンタクトをとり、個々の太陽電池を個々の電圧バスとコンタクトをとるように構成されており、一方、縦型構造は、垂直接合スタックと独立にコンタクトをとり、太陽光電池の横型構造に対して平行なアプローチを提供して、垂直集積デバイスに、独立にコンタクトをとった太陽電池を設けるように構成されている。
【0015】
さらに、好ましくは、上記実施形態において、デバイス構造は、材料のバッドギャップに接近した範囲内にある波長について高性能となる材料で構成され、高エネルギー光子、中間エネルギー光子、低エネルギー光子について異なる材料で構成された多重接合太陽電池をさらに備え、高性能となる材料は、高エネルギー光子用のGaInAsP材料系の三元化合物と、中間エネルギー光子用のシリコンと、低エネルギー光子用のInGaAsまたは他のサーモ光起電力(TPV)材料とを含み、多重接合太陽電池用の他の材料は、III−窒化物材料系と、高エネルギー光子用のInリッチ欠陥許容III−V材料と、低エネルギー光子用のSi/Ge材料系とを含む。
【0016】
さらに、好ましくは、上記実施形態において、太陽電池のための材料は、自己集合(self-assembled)製造技術と関連して、多重励起子(exciton)発生および多重エネルギー準位(中間バンド)太陽電池のうちの少なくとも1つをさらに備える。
【0017】
さらに他の実施形態において、本発明は、太陽電池を構築する方法であり、ガラス基板にp+シリコンでコーティングを施し、再結晶化すること、p+シリコンの上に選択波長光トラップ層を堆積し形成すること、p+シリコンの上にn型シリコンを成長させ、再結晶化すること、n型シリコンの上に、バッファ層としてGaP領域を選択成長させること、GaAsPの太陽電池を成長させること、GaInPの太陽電池を成長させること、InGaNの太陽電池を成長させること、電気コンタクトを各太陽電池に形成すること、および集光器(および分散)光学系に整合した反射防止層を堆積させること、を含む。
【0018】
さらに、好ましくは、上記実施形態は、他のガラス片にn型シリコンでコーティングを施し、再結晶化すること、シリコン・ゲルマニウム合金(Si:Ge量子ドットの)を成長させること、シリコンp+接合を成長させること、光トラップ構造を堆積させること、電気コンタクトを形成すること、をさらに含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
熱力学的効率限界への接近は、エネルギー変換プロセスの最終ゴールであり、成熟したエネルギー技術は、約85%というこれらの理想的な効率で動作する。1接合シリコン太陽電池は、50年間、徹底的に開発されており、このマイルストーンに接近している。しかし、商業デバイスを研究太陽電池の性能に到達させるために、相当の改善が未だに要求されている。シリコン太陽電池でのこれらの進歩は、地上の光電池において持続した速い成長を刺激しているが、1接合太陽電池は、太陽エネルギー変換の理論的能力の約半分しか捕捉せず、光電池は低パワー密度が許容される応用が制限される。新しい高性能アプローチは、例えば、ミサイル(warfighter)の機動パワーなど、拡張した範囲の応用を可能にする。
【0020】
高性能で製造可能な光電池に対する既存の障害を克服するために、根本的に新しい技術が要求される。課題の大きさ(既存の地上太陽電池効率を3倍にする、あるいは空間セル効率を66%増加させ、そのコストを100だけ削減する)は、複数の技術革新を必要とする。図1のフロー図に示すように、本発明の方法は、光学設計、相互接続および太陽電池設計を統合して、材料、デバイス構造および製造技術の観点で、高性能光電池のための設計空間を劇的に増加させる。図1に記載したように、本発明の方法は、増加した理論効率、既存の材料/コストのトレードオフを回避する新しい機構、理想的でない材料からの改善した性能、既存のソーラー技術の理想的な性能限界へより接近可能なデバイス設計、低減したスペクトル不整合損失、材料選択の増加した柔軟性などの複数の利点を提供する。
【0021】
本発明の集積光学/太陽電池デバイスは、効率の改善を可能とし、単位面積コストを維持し、光電池のための応用を拡大する。図2は、(1)光学設計ステップ、(2)太陽電池設計ステップ、(3)単一太陽電池の太陽電池用横型/縦型構造への集積化ステップを示す例示のフロー図である。さらに、図3は、Air Mass(AM)1.5スペクトルに関して集光度別にバンドギャップ数と効率の例示のプロットである。
【0022】
さらに、本発明の方法は、最初に性能に焦点を当てた設計アプローチであり、既存の最新の光電池技術の使用を可能とし、高性能で低コストの、高および低エネルギー光子用の多重接合III−V族および中間エネルギー光子用の新しいシリコン太陽電池を設計する。さらに、本発明は、新規な太陽電池機構および光学エレメントにより、既存のコスト推進要因を回避している。さらに、本発明は、設計空間の増加した柔軟性を利用し、そして、III族窒化物または最近提案されたInリッチのIII−V族の耐欠陥性材料を用いて、他の2つのIII−V族太陽電池を提供する。
【0023】
さらに本発明は、より野心的なゴールすら取り扱っており、半導体技術に典型的なものから効率/コストを切り離して、コーティング(即ち、低コストで大面積で塗布可能)としての太陽電池の模範への移行する。こうした変化の実現は、新しい物理的な動作原理を備えた太陽電池の開発だけでなく、新しい製造技術にも依存している。近年、多くの低コストの新しいアプローチが、特に、有機物やナノ構造などの新しい材料をベースとして提案されており、これらは望ましい光学性質または吸収性質を示している。しかしながら、超高効率へのこうしたアプローチの実現に対する根本的な障害が存在しており、本発明は、低コストのナノ構造の作成、そして性能への根本的な障害というの両方の技術的挑戦を取り扱う。
【0024】
図4は、太陽電池効率>50%の要件を整理した説明図である。特に、>50%の太陽電池の実現には、少なくとも3つの因子、即ち、(1)熱力学的効率が63%、(2)理論効率が>80%を実現する太陽電池、(3)1000ドル/m2未満、大量生産では100ドル/m2への経路を伴う製造アプローチ、がある。これらの因子について詳細に後述している。
【0025】
50%以上の実在の効率を持つ太陽電池にとっての第1の基準は、理想的な理論効率がAir Mass(AM)1.5Gスペクトル条件で50%以上であって、不可避のデバイス損失が効率限界計算に含まれないようにすることである。最善の太陽電池は、数十年間に渡って最適化されており、その理論効率は〜75−80%に到達しており、理論効率は、目標効率(50%)を25%超えているはずであり、必要な熱力学的効率を63%とする。
【0026】
図3は、上述のように、AM1.5Gスペクトルについてバンドギャップ数の関数として、詳細なバランス手法を用いて計算した効率を示し、1つの太陽条件で、9または10個の個別接合(新しい太陽電池アプローチを用いた場合、9〜10個の分離したエネルギー準位または励起子発生イベント)が必要であることを示している。幾つかのスペクトルは、効率計算に用いられ、それぞれ僅かに異なる効率値を与える。応用が低濃度の地上であることから、我々はAM1.5Gスペクトルを使用している。
【0027】
こうした数多くの材料は、材料の入手可能性、コスト、集積化、不整合損失など多くの理由により実用的でない。効率の増加は、太陽スペクトルの集光または変更による入力パワー密度の増加を必要とする。本発明の方法は、太陽スペクトルの変更に依存するアプローチを回避している。こうしたプロセス(蛍光、アップ/ダウンコンバージョン)の効率は、高効率光電池に必要なものより下回るためである。しかしながら、集積した光学/太陽電池設計のアプローチを含む本発明は、この範囲で突破口が生じれば、こうした効果を利用するのに理想的に適している。主に大規模な応用に適している追跡(tracking)集光器を回避するため、本発明は、従来のモジュールに理想的に搭載される静的集光器を備える。さらに、図3は、10倍〜20倍の集光度が所定のバンドギャップ数についての効率を増加させ、9個や10個ではなくて5〜6個の接合が必要なだけである。
【0028】
>50%効率を達成するには、太陽電池は、その理論効率63%の>80%を達成する必要がある。太陽電池の効率は、η=(ISCVOCFF)/Pinで与えられる。ここで、ISCは、短絡電流であり、光吸収および光発生キャリアの収集に依存する。VOCは、開放電圧であり、FFは、充填率である。理論効率の>80%を達成するには、図4に示すように、これらの全てが理論値に可能な限り接近している必要がある。高い吸収および収集は、吸収深さ(1/α、ここでαは吸収係数)がデバイス厚さおよび少数キャリア拡散長の両方より小さい場合、半導体−pn接合について生じている。より低い吸収係数を持つバルク材料はより高い少数キャリア拡散長を有するため、これは、高品質材料を用いて容易に達成される。欠陥のある材料についても、pn接合太陽電池は、光トラップおよびドリフト電界太陽電池など、適切なデバイス設計およびパラメータによって高い収集を有する。pn接合については、デバイス設計および光学エレメントによって吸収および収集が制御可能である。しかしながら、吸収および収集の両方ともナノ構造のアプローチではより困難であり、高い吸収および収集を達成するには、追加の光学エレメントおよび改善したデバイス設計を必要とする。
【0029】
pn接合および他の新規なアプローチの両方とも、理論効率の>80%を達成する際に主要な課題は、特に、より高い再結合と低減したVOCを有する、現実的な可能性ある欠陥材料を用いた場合、その理論値の>90%という電圧を実現することである。VOCは、一般に、吸収および収集が接合全体に一体化していても、最低品質、可能ならば、材料内の局在化領域によって設定される。これは、低欠陥で単結晶太陽電池接合だけがその理論限界に接近するVOCを示すからであり、吸収層が、電荷を収集/輸送するもの(例えば、有機の染料増感太陽電池など)と同じ材料でないアプローチは、吸収材料によって課せられる理論効率限界の近くでは動作しないという理由である。最低の可能性ある理論的再結合は、再結合が吸収体内部での発光再結合によって限定される場合に達成され、そして、大部分の構成においては輸送材料が貧弱であることから、こうした構造はその理論電圧の大きな割合を達成しない。こうして理論効率の大きな割合を達成する際に主要な課題は、材料品質であって、それは吸収体ではなく(輸送材料と異なる場合)、収集材料の品質である。
【0030】
太陽電池のコストは、3つの主要な推進要因、即ち、1)基板、2)エピタキシャル成長または接合形成、3)メタライゼーションや反射防止コーティングなどの処理、に区分できる。本発明は、高価なIII−V族やシリコン基板の使用を回避し、最終の太陽電池をガラス(比較的安価な基板)の上に組み立てることによって、基板コストを最小化している。シリコンウエハは、生産プロセスで使用されているが、これらは電気的に活性である必要がなく、低コストにできる。III−V層のエピタキシャル成長のコストは、現時点で極めて高いが、高いコストは、原料コストよりも設備投資に主に関係している。これらのコストは、大規模製造による低減化が可能である。これら3つのコストを低減する最初の方針は、集光器を使用して、半導体面積を削減することである。
【0031】
>50%効率の太陽電池への要件についての上記検討は、極めて高性能の太陽電池を達成する際に、幾つかの主要な挑戦が存在していることを示す。これらの第1は、静的集光器の必要性である。従来、既存の太陽電池モジュールについて静的集光器が提案されているが、大型セルサイズにより、光学系があまりに厚くなり、集光度が低くなり過ぎる。本発明は、静的集光器の設計を太陽電池および相互接続技術と統合することによって、この限界を迂回し、上述した課題を回避しつつ、薄い光学エレメントを使用してより高い集光度を与える高性能のマイクロ集光器を可能にする。
【0032】
>50%効率の太陽電池を達成する際の挑戦は、材料選択における多数の競合する制約条件に起因するものであり、(1)最適効率に到達する特定のバンドギャップのニーズによって課せられる条件、(2)直列接続した電流整合の機構によって課せられるバンドギャップ限界、(3)格子整合条件、(4)1層のエピタキシャル成長が他の全てと適合する必要があることによる材料適合性(即ち、成長温度は他の層に影響を与えてはならず、熱膨張係数は接近して整合する必要があり、相互拡散は避けるべきである等)、(5)スペクトル不整合による損失、(6)コストの配慮などである。
【0033】
本発明は、モデル化した限界に接近し、同時に大規模に製造可能な太陽電池を実現している。本発明は、上述したアプローチを用いて、主要な技術的挑戦に対して頑丈な解決法を可能にするものであり、追跡することなく高い集光度を達成し、>50%効率の太陽電池を実用化する際の材料/コストの課題を解決している。
【0034】
本発明は、統合した光学設計および太陽電池設計であり、設計空間を劇的に増加させる。光学設計と太陽電池設計を統合することによって、かなり幅広い材料選択が可能になり、高い効率、多くの既存のコスト推進要因の除去、および多数の他の技術革新の組み込みを可能にする。重要な光学エレメントは、静的集光器であり、横型構造または縦型構造において用いられる。コンパクトで頑丈なパッケージ化を達成するため、本発明の光学集光器は、タイル張りの種類のものになり、その設計は光学系およびセルの相互最適化に依存して、最大変換効率を達成することになる。
【0035】
静的集光器は、太陽電池でのパワー密度を増加させ、追跡を行う必要がなく、広い許容角度の光学エレメント(典型的には非結像)を用いることによって、1太陽ソーラーモジュールと同様に搭載し使用され、空の大部分からの光を受け入れる。追跡集光器とは異なって、静的集光器は、太陽スペクトルの入射パワーの〜10%に達する拡散光の多くを捕捉することができる。より広い許容角度についてのトレードオフは、より低い集光度である。実際、高いレベルの集光度は、パワー密度が年間を通じて低い空領域からの光を拒絶することによって達成され、追跡を行うことなく10倍の集光度が可能になる。さらに、モジュール位置は、年間を通じて任意のポイントに手動で調整可能であり、最大集光度が増加する。どれぐらいの期間モジュールが固定位置に留まるかに応じて、集光度は10倍〜200倍の範囲で変化し得る。
【0036】
図5は、静的集光器が、スライド光学シート(追跡用)および分散エレメント(横型エネルギー収集)を用いてどのように増強されるかを示す。追跡は、低コストの平面光学系からなる隣接シートを採用することによって行われ、シートは、太陽電池のタイル張り基本構造に一体化されることになる。太陽が移動すると、ソーラーモジュールの角部にあるピエゾトラクター(tractor)によって、シートをミリメータの何分の1だけXY方向にシフトさせて、簡単で低コストの追跡機構を提供でき、これは、太陽の像の位置および角度が、太陽位置から独立した分散エレメントと整合するのを確実にする。単一の低コスト低パワーのDSP回路が、システム内の太陽電池全てに関する検知、制御、サーボ、駆動のロジックを取り扱う。動作の際、太陽電池効率を示すフィードバック信号が、サーボループに利用され、可動シートの位置を調整する。
【0037】
横型太陽電池を追跡なしで実現するためには、空を横断する太陽の移動を明らかにする必要がある。マイクロ追跡器を持つ集光器は、スペクトルスプリッタに対する太陽光線のアライメントを可能にする。スペクトルが分割されるスペクトル領域または箱(bin)のより多くの数が光学設計によって決定され、この場合、太陽光を「不良」太陽電池の上に案内するのに起因してスペクトル箱の数が増えると、損失が増加する。これを回避するため、それぞれ2または3個のスタックからなる、より少ない数の個々の太陽電池が使用できる。本発明の太陽電池デバイス設計は、光を3つの領域または箱(高エネルギー、中間エネルギー、低エネルギー)に分割することに着目している。
【0038】
上述した横型構造への平行アプローチは、図6に示すように、太陽電池が独立に接続される垂直集積デバイスである。種々のコンタクト機構および可能性ある短絡(shorting)接合に留意する。このアプローチは、静的集光器の組み込みによって可能となり、活性太陽電池なしで表面積の大部分をそのままにし、個々の接合への分離したコンタクト形成の余地を残している。独立に接続された縦型構造は、スペクトル不整合を最小化する際、横型太陽電池機構と同様な利益を実現し、材料選択の柔軟性を増やし、トンネルコンタクトを回避する。集積プロセスに依存して、このアプローチは、層トランスファーを用いることによって、格子整合も回避し得る。
【0039】
本発明は、性能のための最初の設計に対して光学エレメントによって可能になる拡張した設計空間の中から選び、最終的に達成する低コストおよび低コスト製造のための設計とは基本的に適合しない高性能の態様を排除する。本発明の方法は、初期の段階で平行アプローチを伴い、成功は単一のハイリスクアプローチに依存することはない。機構/デバイスアプローチは、図7のフロー図に示している。
【0040】
本発明の方法での設計重点は、高い性能の点で、バンドギャップに接近した波長範囲で最高の性能を示し、高、中間、低エネルギー光子のための異なる材料を供与する材料を用いて、多重接合太陽電池の開発に基づいたコアアプローチを導く。最高性能の材料は、高エネルギー光子のためのGaInAsP材料系、中間エネルギー光子のためのシリコン、および低エネルギー光子のための他の熱光電池(TVP:thermophoto voltaic)材料からの三元化合物である。
【0041】
第2の設計方法条件は、材料およびアプローチが大規模製造および低コストに一致するのを確保することである。これは、基板、組み立て、集積コストを削減するコアアプローチを駆り立てる。IC産業によって十分に示されたように、大規模生産はモノリシックアプローチから利益が得られ、低い集積コストがモノリシック構造によって達成され、低い材料コストがシリコン基板の使用により達成され、最低の製造可能性リスクは、シリコン上の直接成長からなり、これは低い基板および集積コストを提供する。
【0042】
本発明の方法は、高い成功確率を提供するとともに、我々は、他の材料系およびアプローチが独特の利点を有することを認識している。本発明の方法の平行アプローチは、削減したコストで改善した性能または匹敵する性能により、コアアプローチを取って代わる。これらのアプローチは、多重接合太陽電池用の他の材料を含み、例えば、III−窒化物材料系と、高エネルギー光子についてInリッチ欠陥を許容するIII−V材料と、低エネルギー光子についてSi/Ge材料系である。
【0043】
代替として、高い技術リスクと高い支払いを伴う本発明の異なる方法は、自己集合製造技術と関連して、多重励起子発生または多重エネルギー準位(中間バンド)太陽電池を用いて、ナノ構造の仮想バンドギャップ太陽電池を開発することである。実際、設計および技術の全ては相互に関連している。例えば、ナノ構造の仮想バンドギャップ太陽電池は、低エネルギー変換器としての実現に最適で最も近いものであり、最終の太陽電池は、ナノ構造アプローチと多重接合アプローチの間のハイブリッドとなり得る。これらの光電池概念の各々は、下記セクションでより詳細に説明している。
【0044】
高エネルギー光子についての高性能で低コストのIII−V材料セルは、下記で説明している。多重接合太陽電池(タンデム(tandem)とも称する)は、多重pn接合からなり、それそれが太陽スペクトルのある狭い範囲を変換する。3つの接合(3J)多重接合太陽電池は、既存の最新技術を代表するものであり、175倍で37.3%の効率を有し、最近確認された結果は、10倍で37.9%の効率である。
【0045】
既存の3Jアプローチに基づいた増強法は、幾つかの根本的な挑戦に直面しており、例えば、III−VまたはGeを最終の太陽電池に組み込む固有のコスト、より高いバンドギャップのための格子整合条件の増加、高バンドギャップ材料での選択の欠如、中間および低エネルギー範囲での理想的な材料の欠如(特に、Geが活性太陽電池として使用されない場合)などである。全体として、この挑戦は、同時に、(1)追加の3〜4の材料における理想的なpn接合の開発、(2)既存のタンデムのコストの100倍またはそれ以上の削減、として要約できる。
【0046】
さらに、>50%に到達するように実用化が可能な多重集光器/太陽電池の組合せがある。4J太陽電池は、>150倍の集光度を必要とし、7J太陽電池は、>5倍を必要とする。本発明は、中間エネルギー変換器としてシリコンと、シリコン上部にある3Jと、シリコン下部にある1〜3Jとを備えた5〜7Jの太陽電池を含む。4Jの太陽電池は、高集光度の内部追跡式静的集光器での成功に依存することからである。5〜7の接合数は低エネルギー変換器に依存する。最適設計は、シリコン上方にある3J、そして、Si下方にある1、2または3つの接合を含むからである。低バンドギャップデバイスは、シリコン基板に対して別々に成長及び/又は付着しているため、高、中間、低エネルギーデバイスは別々に考慮できる。
【0047】
Siの使用は、コストおよび高バンドギャップの問題を低減し、低エネルギー光子のためのSi/Geの使用は、低エネルギーデバイスについてのバンドギャップを増加させる。このアプローチは、相当な柔軟性および高い成功確率を提供する。我々が5Jの太陽電池のみを実施し、接合の最適化が完全には実現していない(これにより、低エネルギーについては理論効率の50%だけ、太陽電池全体では理論効率の75%を達成できる)と仮定すると、20倍での全体効率は、45.1%である。3つの最低バンドギャップ接合については理論効率の75%、より高いバンドギャップについては85%を持つ6Jを達成すると、我々は、20倍で53.7%を達成する。
【0048】
III−V材料、特に、GaAsの集積で、基板としてシリコンを使用する利点は、長く認識されており、光学デバイス、集積回路および光電池のためのこの技術を開発する数多くの努力を促進しているが、一貫して貧弱な材料損失に遭遇している。集積した光学/太陽電池アプローチにより、本発明は、後述のような幾つかの理由によって、この点を迂回することができる。
【0049】
第1に、バンドギャップの柔軟性がほぼ増加して、我々は、格子整合および電流整合の条件が厳しくない材料を選択できる。例えば、6Jの太陽電池では、第3接合をシリコンに固定し、上部バンドギャップを2.2eV未満に制限し、最低バンドギャップを0.7eVに引き上げてことで、効率を相対1%未満だけ変化させる。
【0050】
第2に、集光度の低いレベルを用いることによって、デバイスは、より高い転位密度を許容できる。非理想再結合成分が、より高いバイアスで著しく少なくなることからである。これは、変成(metamorphic)の低バンドギャップ太陽電池を含み、低い集光度(10倍)でより多くの割合で改善した記録的な太陽電池は、増加したパワー密度によって簡単に説明できることが、最近、実験的に示され、また、低い集光度でのタンデムについての他の最近の報告によっても説明できる。
【0051】
本発明の方法は、高い光子エネルギー変換のための多重平行アプローチを利用している。上3つの接合は、6Jの太陽電池の総パワーの66%を発生し、新しい太陽電池設計、新しい材料系およびバッファ層の成長の進歩という組合せにより、シリコン上の高品質成長を達成するアプローチに着目したからである。
【0052】
最高性能の太陽電池は、GeまたIII−V基板および、GaInAsP材料系からの三元材料を使用している。従来の性能およびコスト要因を回避するため、本発明は、低コストのシリコン上に3Jの太陽電池を成長させることを含む。最低リスクアプローチは、Si上に「反転(inverted)した」太陽電池を成長させることであり、最高バンドの太陽電池がSi上に成長し、残りのデバイスは、より高い格子定数およびより低いバンドギャップとなるように勾配を付けている。このアプローチの可能な特徴は、最近示された高品質のステップ勾配付きバッファ層のアプローチを拡張することであり、Si基板上での高品質成長を可能にする。Si/高バンドギャップ太陽電池の格子不整合は、既存の高性能タンデム太陽電池についての格子不整合と同程度であり、高い成功確率を与える。
【0053】
さらに、このアプローチは、低コストである。シリコン基板は、犠牲基板となって、電気的に劣るものの結晶図形的(crystalographically)に高品質のウエハが極めて低コストであるためである。さらに、個々の層を薄くして、さらに、Al含有勾配の使用を含むバッファ組成を最適化することによって、我々は、このアプローチを活性Si太陽電池の上のセルの直接成長に拡張でき、低コストで高性能のSi上モノリシック太陽電池が得られる。
【0054】
III−窒化物材料系は、高性能で低コストのマルチ接合太陽電池を可能にする幾つかの特徴を有し、即ち、理想的なバンドギャップ範囲、サファイア(現在使用されている)と比べて、<111>Siへの良好な格子整合、窒化物近辺で中心に位置する既存の産業、高い転位密度とともに高い発光効率、欠陥ある材料からの良好な収集を可能にする高い移動度、表面再結合の制御を可能にする大きな圧電定数、2.2eV以上の直接バンドギャップを持つデバイス設計を可能にする高バンドギャップ材料の入手可能性を有する。こうした高バンドギャップは、他の確立した材料系では入手できないが、多数のセルを備えた多重接合太陽電池にとって必要であることから、望ましい。
【0055】
これらの利点とともに、低バンドギャップでInリッチのInGaN材料系(特に、現実のデバイスでのp型導電性)の未開発状態、サファイア基板のコスト、低い少数キャリア寿命など、相当な挑戦が存在する。Siを基板として使用することは、サファイアのコストを回避し、提案バンドギャップに関して、サファイアと比べて改善した格子整合を提供し、熱膨張係数の大きな不整合にも拘わらず、GaNとの適合性を既に示している。さらに、必要な最低バンドギャップは約1.5eVであるため、シリコンの使用はInNに伴う問題を回避している。我々は、GaNおよびInGaNの太陽電池での高い収集および電圧を既に示しており、内部電界の制御が重大な設計パラメータであることを特定している。ジョージア工科大学で開発された、InGaNについて新しいドーパント技術、および圧電効果の影響を含むデバイス設計を利用することによって、本発明は、高性能InGaN太陽電池を達成することができる。
【0056】
本発明は、既存の太陽電池技術のコスト/性能の利益を補強して、高性能で低リスクを達成している。研究所シリコン太陽電池は高性能を示したが、主要な技術的挑戦は、高性能の特徴を低コスト太陽電池に組み込むことである。低コストで高性能な光電池材料としてシリコンの潜在能力を活用するために、本発明は、ガラス上に成長した新規な太陽電池であり、太陽電池設計での幾つかの技術革新、例えば、より薄いシリコン接合、絶縁体ではない他の手段によるSi表面の不動態化(passivation)、光学的に透明な基板の使用、最近示された、n型シリコン中の高い少数キャリア寿命によって可能である。こうした超低コストのアプローチに移行するのに伴うリスクを軽減するために、本発明は、平行アプローチを利用する。
【0057】
本発明はまた、成膜コーティングおよび、光トラップでの提案した技術革新(ナノ構造材料で説明した)を用いて、表面の不動態化での最近の進歩を利用し、ガラスではなくシリコンウエハ上で高い性能を実現している。本発明はまた、ワイドバンドギャップ半導体の堆積を用いた結晶シリコン太陽電池の製造へのアプローチを含み、表面を保護しつつ、より高い電圧および効率を達成している。
【0058】
超高効率の多重接合太陽電池での基本的な挑戦は、低エネルギー光子の変換効率である。これは、材料の問題ではなく(材料問題もあるが)、光電池アプローチによる直接熱変換でも遭遇する固有の問題である。効率限界計算は、再結合が発光制限され、擬フェルミ準位が伝導帯エッジおよび価電子帯エッジに対して任意に接近可能であると仮定している。記録的な効率の太陽電池、SiおよびIII−V両方のタンデムは、典型的には発光限界(radiative limit)0.1eV以内のVOCを達成する。発光限界は比較的ゆっくり変化することから、便利な式は、VOC≒q(Eg−0.4eV)である。大きなバンドギャップ太陽電池では、0.4eVのオフセットは電圧全体の小さな割合であるが、小さなバンドギャップでは、支配的なオフセットになる。可能な最高電圧を維持するために、本発明は、熱光電池(thermophotovoltaic)デバイスについて開発された、最高性能の低バンドギャップ材料を使用し、ヘテロ構造および光トラップを用いることによって低バンドギャップ材料での再結合量の最小化を併用している。
【0059】
第2の重大な制限は、従来の基板との大きな格子不整合により、低バンドギャップ太陽電池を既存のデバイスに組み込む困難さである。層トランスファーは、既存のTPV太陽電池の使用を可能にするが、より低コストアプローチは、Si/Ge太陽電池をシリコンウエハ上で成長させて、吸収を増加させる光トラップへの新しいアプローチを組み込むことである。低バンドギャップ材料での低いVOCの回避への平行アプローチとして、本発明は、後述のような仮想(virtual)バンドギャップ太陽電池を使用する。
【0060】
ナノ構造の仮想バンドギャップ太陽電池およびフォトニック結晶については後述している。ナノ構造PVの変形(transformative)ポテンシャルは、2つの別個の性質から由来する。第1は、重大な材料パラメータを変化させ制御するナノ構造の能力であり、第2は、エピタキシャル成長プロセスではなく、低コストの新規な自己集合(self-assembly)プロセスによるナノ構造の材料を実用化する可能性であり、光電池で長く求められていた「究極の」パラダイムシフト、コーティングに従うコストモデル、半導体に従う効率モデルを可能にする。
【0061】
ナノ構造による材料性質の制御は、仮想バンドギャップ太陽電池を用いることによって、単一のナノ構造太陽電池が、理論的には、単一のpn接合太陽電池の効率を超過することを意味するものであり、そのエネルギーまたはその近傍の「物理的」バンドギャップを必要とすることなく、光子は効率的に変換される。これは、ナノ構造の仮想バンドギャップ太陽電池が低バンドギャップpn接合アプローチが遭遇する低い電圧を克服し、材料設計空間をより広げるために使用できるという更なる利益を提供する。
【0062】
仮想バンドギャップ太陽電池において、多重励起子発生および多重エネルギー準位太陽電池という2つの物理的機構が用いられる。これらのアプローチの両方とも、実用化のためにはナノ構造に依存する。本発明は、秩序ある量子ドットアレイの形成による実用的な低コストのナノ構造デバイスおよび、アレイ接続のための新しいデバイス機構を可能にする技術革新を利用している。
【0063】
【表1】
【0064】
本発明の光学的成果の方法は、2つの光学エレメント、即ち、横型太陽電池用の静的集光器および光学系についての設計および開発である。これらのアプローチでの基本的な新しさは、太陽電池アセンブリの必須部分としてこれらの光学エレメントの組み込みである。集光器および横型光学系の一体化は、好ましくは、光学エレメントアレイを太陽電池チップパッケージに装着する極めて最新の組み立て工程(例えば、簡単な「スナップ方式(snap-on)」アセンブリ工程として)で行われる。候補の集光器および横型光学系のための光学アプローチのプロセス技術は、これには限定されないが、バッチ生産可能な屈折、反射、回折技術の範囲を含む。
【0065】
本発明の方法はまた、製造可能性、開発、生産、組み立て、アライメントおよびメンテナンスのコスト、許容誤差、温度敏感性、安定性と信頼性、性能について候補アプローチを理論的かつ実験的に分析することを含む。光学エレメントの性能でのトレードオフの分析は、発光損失(吸収、散乱、反射から)、可逆または永久の環境的または経年の影響(温度、湿度、ダスト、スクラッチおよび同様な影響から)、光学的集光での非理想性(例えば、「不良」接合への光子の一部の配給を生じさせる光学収差に起因)などの課題に集中することになる。
【0066】
II、III−V族多重接合太陽電池の技術は後述している。>50%効率の多重接合太陽電池の実現を可能にする主要なプロセス技術は、低コスト基板および太陽電池、主としてシリコンを用いて高性能太陽電池を可能にするIII−V層を組み込む製造可能アプローチの開発である。上記(表1)は、本発明で用いたアプローチの概要を示す。
【0067】
GaInAsP材料系からの三元材料を用いて既存のタンデム太陽電池について得られる記録的な効率は、極めて高効率のPVデバイスにとってこれらの材料の適合性を示す。これらの材料を用いて新しい3J太陽電池を実現する際の主要な挑戦は、活性シリコンウエハでの3Jの集積化を可能にするアプローチを開発することであり、GaInAsP材料系を用いた上限にある、より高いバンドギャップ太陽電池のためのアプローチを開発することである。
【0068】
シリコン上で公称1.5eV,1.8eV,2.2eVのバンドギャップを備えた3Jスタックを直接成長させる究極の目標。実際の材料パラメータを用いたデバイスモデル化は、この構造の50%に到達する能力を示している。理想的なGaInAsP類似の材料を用いたデバイスシミュレーションは、10倍集光度で太陽スペクトル全体で、3つの接合の高エネルギースタックについて39.5%という達成可能な効率を予測している。PC1Dを用いて、光電池で最も普通に用いられるpn接合シミュレータは、Si中間太陽電池およびボトム電池について、太陽スペクトル全体で15.4%の全体効率を与える。これらの効率の組合せは、理論効率63.2%と比べて59.7%の全体効率を与える。従前の記録的な効率は、類似のシミュレーション結果の90%に到達し、良好に最適化されたデバイスは、理論効率の85%に到達し得ることを示しており、これは、我々のモデルを支援し、太陽電池全体で>50%に到達し得ることを示す。
【0069】
本発明は、シリコン上での高性能太陽電池への開発経路を含み、そして、異なる材料組成について材料および成長パラメータを調査して最適化するために、III−V(GaAs)基板上の成長の初期アプローチを含む。エッチング停止層を成長させ、反転した構成(即ち、第1太陽電池として最も高いバンドギャップ材料を備える)を成長させることによって、この層は、Si基板に移送することができ、ウエハは除去される。このアプローチの実現可能性は、反転したGaInP/GaAs/GaInAsセルについて達成した、10倍での37.9%という記録的な効率によって示された。GaAs上での初期の成長は、反転構造の態様を示し研究するのに便利な方法を提供することになる。GaAsベースの3J、高バンドギャップ構造もまた、GaAs基板が再利用できる場合には、有用となるであろう。再利用が可能ではあるが、実質的な利点は、Si上での成長によって得られ、よって本発明は、大規模な製造可能性への我々の好ましい経路として、基板の再利用に依存していない。
【0070】
本発明の方法での開発経路への次のステップは、反転した太陽電池構造を低コスト、電気不活性かつ高結晶品質のシリコン基板の上に成長させることである。このアプローチは、Si上の直接成長への開発経路として主に意図しているとともに、Si基板が犠牲基板となるのに充分低いコストであるため、リスクを軽減する。シリコン上のIII−V成長は、過去において制限された成功を収めているが、本発明は、高品質の結晶核形成(nucleation)、Siに格子整合したGaAsNアロイを用いて最近示された、干渉性(過去に研究された緩和構造の代わりに)のSi上III−V成長など、最近開発された新しいアプローチを用いている。
【0071】
代替として、Si−Ge勾配が、干渉性格子整合したGaInPを結晶核形成する前に、格子定数を調整するために使用できる。慎重に最適化した勾配は、37.9%の効率を示し、本発明の構造での各勾配に必要になるものより多くの張力を緩和した。反転アプローチを用いたシリコンの研究は今のところ存在しない。Si上直接の3Jスタックの開発での最終ステップは、反転太陽電池構造で開発したバッファ/活性層を薄くすることであり、低い欠陥密度のテンプレートが、Si上の1.5eVデバイスに関して達成することができ、2つのより高いバンドギャップがこのデバイス上で成長する。
【0072】
III族窒化物系は、白色/青色LEDの使用により急速な開発を経験している。従前の1.9eVではなく0.68eVとしてInNのバンドギャップの論証は、これを、太陽電池の理想的な候補にしている。InGaN材料が、従前推定されていた限界1.9eVより小さいバンドギャップを実用化するために使用可能であるからである。本発明は、Si上の成長を含むため、低バンドギャップでInリッチ窒化物と関連した数多くの材料問題が回避される。こうして、シリコン上で高効率InGaN太陽電池を実用化する際の主要な挑戦は、低い少数キャリア寿命と、Si上の成長のためのバッファ層の開発である。
【0073】
少数キャリア寿命が高効率の太陽電池を可能にするという、実験的およびシミュレーションの両方の証拠が存在する。本発明は、3つの接合を20倍で使用して、これらの結果は、主として窒化物の極めて高い吸収係数と高い電界を維持する能力に起因して、内部量子効率が全体スペクトル範囲に渡って98%超になり、既存のGaN材料で測定された低い寿命とともに、モデル電圧が高品質の太陽電池から予想される特性VOC≒q(Eg−0.4eV)を達成し、>50%太陽電池に関する基準を満足するすることを示している。さらに、コーティング層において高い寄生吸収を持つ未最適化の初期デバイスについて我々の実験結果は、GaN太陽電池において60%超の内部量子効率を達成している。さらに、2.4eVでの発光およびフォトルミネセンスを持つむデバイスについて、本発明は2Vの電圧を達成している。
【0074】
InGaN系の可能性ある高効率について追加の信頼性は、窒化物についての別の有利な材料性質、例えば、高い圧電定数、偏光効果など、から由来するものであり、これらは新しい太陽電池アプローチを開発するために使用でき、比較的新しい材料系の提案に伴うリスクを軽減する。追加のリスク軽減アプローチ、例えば、Geや他の基板上の成長や層トランスファーの使用など、そしてデバイス設計および成長アプローチは、p型ドーピングに伴う問題を低減する。
【0075】
開発経路は、2つの平行な経路に絞られる。第1には、太陽電池の機構および材料がサファイア上に成長して特徴付けられ、デバイス設計に関連した問題を特定し解決し、材料成長条件を最適化する。主要な新規デバイス問題は、窒化物の圧電特性を利用し、低い表面再結合速度を示し、ドーピング条件を最適化することによって、成長条件の最適化により、p−i−n太陽電池構造内で高い電界を維持することを含む。
【0076】
1.5eVと1.9eVのデバイスは、MBEによって成長し、より高いバンドギャップはMOCVDによって成長する。同時に、実験的に最適化する第2の主要な問題は、Si上成長に関するバッファ層の開発である。シリコンは、提案したInGaN組成にとってより近い格子定数を有するが、Siの熱膨張係数はInGaNと実質的に異なっており、バッファ層の成長条件および組成(AlN材料系を持つアロイを含む)の最適化を必要とする。
【0077】
シリコン上の大面積でクラック無しの低転位密度膜の存在証明は、バッファ層の最適化の実現性を示す。開発計画の後の段階は、バッファ層とデバイス構造の組合せによる低コストで高性能の太陽電池、および2つの成長技術の製造可能性およびコストの評価を必要とし、技術移転および大規模生産に最も適したものを決定する。
【0078】
分析は、22%という1つの太陽効率を持つ実用的なシリコン太陽電池が達成可能であることを示す。スタックで組み込んだ場合、これは、第1世代の設計に基づいて、>50%の効率を導く。この新規な設計は、n型シリコンの不純物および欠陥についての少数キャリア寿命の許容範囲を利用する。この設計はまた、n型表面を不動態化する相対的な容易さを使用する。太陽効率材料コストは、ウエハベースのシリコン太陽電池と比べて80%以上削減されることになる。さらに、このアプローチは、既存の太陽電池から示されるものより高い開放回路電圧を可能にする。高効率で低コストのシリコンデバイスを開発するプロジェクトは、デラウェア大学、ニューサウスウェールズ大学、BPソーラー(BP Solar)、ブルースクエア(Blue Square)の共同研究によって低リスクとなる。このチームは、Si太陽電池の先導専門家の共同研究を代表する。
【0079】
図15に示すように、薄型太陽電池において、低減した再結合量および高いキャリア収集により、低減した少数キャリア寿命を用いて高い効率が達成できる。10μ秒の少数キャリア寿命でさえ、薄型デバイスの効率は21&超になる。100μ秒の寿命は、より低品質の材料において示され、目標値となる。
【0080】
後方接合太陽電池は、前方表面再結合の値に対して高い感度を有するため、後方接合デバイスの前方表面は良好に不動態化する必要がある。しかしながら、n型前方表面は、n型シリコンがより容易に不動態化が可能である点を利用しており、前方表面再結合によって課せられる効率限界は、<20μm厚で寿命100μ秒のデバイスについて22%超のままである。後方接合デバイスの更なる利点は、これらが後方表面再結合速度に対して高感度でなく、極薄型デバイスであっても、1000cm/秒の後方表面再結合速度は、20〜50μm厚のデバイスにとって本質的に無視できる影響をもたらす点である。これらの利点は、表面から逃げる光の20%に達する光学閉じ込め損失を算入しても、22%超の効率は10〜50μm厚のデバイスについて達成可能であることを意味する。
【0081】
ソーラーデバイス設計は、既存の薄型シリコンデバイスから著しく逸脱している。特に、この薄型シリコン太陽電池は、極めて高い電圧を達成するように設計されることになる。以下、構造の説明である。
【0082】
基板は、ガラスからなり、700〜1000℃の温度範囲でシリコンと整合した熱係数である。基板は、P+シリコンでコートされ、これは再結晶化されて1mmより大きい粒を形成する。ガラス上のP+シリコンは、不純物拡散障壁、選択波長光学反射器および、上部に成膜される、吸収層のためのパッシベーション層として機能するコーティングを受け入れる。開口は、障壁層、光学層およびパッシベーション層を通じて形成される。例えば、100ミクロン中心での10ミクロン開口(丸)。開口は充分に閉じて、キャリアは、再結合する前に収集される。シリコン光子吸収体は、N型である。吸収体層は、CVDによって成膜可能であり、標準的な技術を用いて再結晶化できる。吸収体層の厚さは、本願では20〜50ミクロンである。CVDに対して、この吸収体を成膜する幾つかの有効な低コスト方法がある。上部表面パッシベーションは、フローティング接合または、GaPやGaAsPなどの高性能の高温ヘテロ面とすることができる。
【0083】
さらに、良好な表面パッシベーションを備えた薄型太陽電池は、再結合量が減少するため、完全に理想的な材料であっても、従来の厚さのデバイスより高い電圧を有する。従来、表面パッシベーションは、主として物理的な欠陥パッシベーションをベースとしていた。しかしながら、最近の結果は、パッシベーションが、コーティングや、表面構造を変化させる処理を用いて達成可能であることを示している。このアプローチにより、新しく一般クラスの表面パッシベーションが開発可能となり、材料の特有情報、そして異なる材料ごとの最適化をとても必要とするものではない。全体として、光トラップの高いレベルおよび良好な表面パッシベーションは、非理想性を回避するだけでなく、良好に最適化したデバイスでの理論電圧限界により接近でき、実用的な太陽電池で高い効率を達成できる。
【0084】
本発明は、サーモ光起電力(TPV)応用に設計された、既存の最新技術の低バンドギャップデバイスを使用し、層トランスファーおよび基板再利用を用いて、これらをシリコン太陽電池と一体化している。効率をさらに増加させ、層トランスファーに関連した製造可能性のリスクを低減するために、本発明は、太陽電池の裏面に直接成長できる、新しいSi/Ge太陽電池設計を使用する。さらに、本発明は、高VOCで低バンドギャップデバイスについて2つの選択肢を使用し、これらの両方とも光トラップに依存する。デバイス厚さを低減しつつ、光トラップによる同じ吸収を維持することによって、全体の再結合が減少して、電圧が増加する。このアプローチは、低い表面再結合速度を必要とし、これは、提案したInAsおよびSi/Geの材料系の両方において達成可能である。
【0085】
第2のアプローチは、量子井戸(あるいはデバイス構造中に組み込み可能な他のナノ構造)を使用することに焦点をあてて、真性領域で有効バンドギャップを修正している。このアプローチは、ナノ構造の組み込みから熱力学的効率の増加を求めておらず、他のナノ構造デバイスについて存在する不確定性およびリスクはここでは適用されない。このアプローチを用いた従前のQW太陽電池構造は、QW太陽電池にとってVOCは物理的バンドギャップを備えた類似のデバイスよりも高いことを示し、高い収集確率を示している。ナノ構造材料に関連した減少した吸収は、光トラップによって回避される。
【0086】
本発明の方法は、TPV材料を用いるための開発計画を含み、最初に、InP上のInGaAs材料系での2接合スタックの証明および最適化を含み、シリコン基板へのこれらの構造の層トランスファーの証明を含む。Si/Ge太陽電池についての開発計画は、0.9eV太陽電池の開発と最適化を含み、光トラップを集積させて、高い吸収および電圧を達成している。この0.9eVのSi/Ge太陽電池の上におけるGe太陽電池の成長は、2JスタックがSi上に直接成長するのを可能にする。
【0087】
ナノ構造が光電池内で高い効率を達成する可能性は、議論の余地がある。有効バンドギャップの調整、効率的なルミネセンスまたは、多重励起子発生などの新しい吸収プロセスを含む有望な結果が、光学ベースの測定を用いて報告されており、さらに、発光器および光検出器でのナノ構造の有利な使用を指示している。批判者は、MBEで成長した構造を用いたとしても、ナノ構造太陽電池の効率は、ナノ構造無しのデバイスより一様に低く、証明した進歩は、吸収/発光に絞っており、デバイスは、ある割合の吸収(制御するのに最も容易な太陽電池パラメータ)すら達成しておらず、既存の半導体デバイスの収集、電圧、FFもかなり小さいと指摘する。モデリングおよび実験作業は、両方とも正しいことを示す。既存の証明は、一定のナノ構造の構成および材料の使用を除外する基本的な問題を無視することによって、固有の不備を含むものであり、これらの既存の証明が重要な物理的機構を示すために極めて重要であるにも拘わらず、太陽電池性能の理論的な改善を妨げている。
【0088】
本発明は、多重励起子発生(MEG: multiple exciton generation)および多重エネルギー準位(MEL: multiple energy level)の太陽電池(中間バンドが特定のケースである)を含む。これらだけが、必要な物理的機構が高効率太陽電池と一致したレベルで発生していることを示したからである。(MEG)太陽電池では、図8に示すように、高エネルギー光子が多重励起子を発生する。MEL太陽電池では、図8に示すように、低エネルギー光子がキャリアを中間エネルギー準位へ励起し、そして、他の光子は、キャリアを中間エネルギー準位から最高エネルギー準位へ励起する。
【0089】
ナノ構造太陽電池での重要な挑戦は、キャリア輸送に関連する。ナノ構造での固有の閉じ込めポテンシャルが、材料性質の調整を可能にするとともに、これらはまたナノ構造内の低エネルギー準位でのキャリア輸送に対する障壁を導入する。LEDおよびレーザは、この問題を回避している。これらはナノ構造からの収集ではなく、ナノ構造へのキャリア注入を要するからである。輸送問題に対して、次のような2つの基本的な解決法がある。(1)図8に示すように、ミニバンドの形成を促進する接近配置したナノ構造アレイの使用であり、そこではミニバンドがキャリアを輸送する、あるいは(2)障壁またはマトリクス材料の伝導帯/価電子帯への閉じ込めポテンシャルにあるキャリアの励起(熱的、あるいは電界、光子誘起による遷移)であり、これはキャリアを輸送するように振る舞う。
【0090】
輸送問題を解決するために、接近配置したナノ構造アレイの使用は、幾つかの制限を導入する。QD接近配置アレイだけがバンド間において状態密度ゼロを有する。他のナノ構造アレイでは、キャリアは素早く熱運動化して、最低エネルギー準位になる。中間バンド太陽電池(輸送用のミニバンドを用いたMEL太陽電池)では、キャリアは上側エネルギー準位で取り出す必要があり、熱運動化は、遅い冷却レートを示すナノ構造材料においても大きな損失機構を意味する。さらに、QDだけが多重励起子発生の高いレートを示したことから、ナノ構造においてQDアレイではなくMEGを使用することは、高いリスクがある。こうしてミニバンドを用いた太陽電池では、QDアレイだけが効率の増加を与えることになる。
【0091】
しかしながら、ミニバンドアプローチは、2つの重要な挑戦を含む。長距離秩序を備えた接近配置のQDアレイは、特に、低コストでの製造が困難である。しかし、QDアレイがミニバンド形態で秩序化していなければ、太陽電池は、マトリクスまたは障壁材料の性質によって支配されるようになる。さらに、金属は、ミニバンドデバイスと接触するように直接には使用できない。これは、2つのミニバンドをともに「短絡(short)」させるからである。従来の半導体で成長したナノ構造では、半導体の薄いバルク領域が金属とナノ構造の間で使用可能である。
【0092】
広範な研究にも拘わらず、非従来型の半導体材料は、セル性能を制限する貧弱な輸送性質を示した。従って、高性能太陽電池は、これらの材料内での輸送に依存するべきでない。例えば、色素増感太陽電池においてQDが色素と置換する、あるいはQDが有機材料内に存在する、といったアプローチは、高いリスクの長期的なアプローチを意味する。太陽電池が、QDではなくマトリクスによって制御されるからである。これは、選択的エネルギーコンタクトを開発することによって回避可能であり、ナノ構造の直接的な金属コンタクトを可能にする。こうしてMELまたはMEGミニバンド輸送太陽電池を低コストで実用化するためには、最適な材料およびデバイス設計、選択的エネルギーコンタクト、低コストの接近配置した秩序QDアレイの全てが必要になる。
【0093】
ナノ構造材料内で輸送する代替アプローチは、光子を用いて、キャリアを上側エネルギーバンドへ励起することである。このプロセスは、量子井戸および量子ドットの赤外(intra-red)光検出器(QWIPとQDIP)で用いられる。このエネルギーでは、キャリアがナノ構造中に捕捉されるのを防止する必要がある。障壁内の輸送は、ナノ構造を取り囲む障壁またはマトリクス材料が良好な輸送特性を有し、強い電界が存在し、キャリアがナノ構造内では輸送されないことを条件として、高性能を可能にする。これらの条件は、有用なナノ構造の構成を制限する。ナノ構造内でキャリアを輸送するのを回避するには、キャリア輸送方向は、ナノ構造の閉じ込めに対して垂直にすべきであり、これはQDおよびQW構造を可能とするが、光吸収方向に対して平行に整列したナノロッドではできない。
【0094】
有効な多重励起子発生(MEG)は、PbSe,PbSなどの低バンドギャップ材料からなる半導体ナノ結晶量子ドット(QD)において観測された。理論効率は、多重キャリア発生プロセスの閾値エネルギーに依存し、この閾値で発生した電子の数に依存する。3つまでの励起子が1つの吸収光子から生成される。これらの結果を実用的な太陽電池で利用する際の主要な挑戦は、衝撃イオン化太陽電池のモデリングおよび理解を改善すること、QDを膜内に充分な濃度で組み込んで、高い吸収を提供すること、光発生の励起子を解離させること、自由電子および正孔をデバイスコンタクトへ輸送すること、有効な励起子発生を示す追加の材料を特定することを必要とする。これらの課題は、色素増感または有機のアプローチなどの太陽電池構造を用いて分析、最適化され、そして、平行して開発された毛細管プロセスを用いて、秩序化アレイへ応用されることになる。
【0095】
多重擬フェルミ準位デバイスについて、以下に説明する。MEL太陽電池は、多重エネルギー準位またはバンドが、発生および再結合の両方を介して同時に発光結合したデバイス構造に依存する。これらの開発での重要な挑戦は、全てのバンド間の同時発光結合の証明と、最適な材料系およびデバイスの開発である。低エネルギー光子の範囲で必要になるサブバンド間遷移は、QWおよびQD赤外(intra-red)光検出器において多く文書化され提示されていることから、本発明は低エネルギー光子を使用する。最近のモデリングはIII−V族でのSbベースのQDを示し、Si/Ge系は理想的なMEL太陽電池を実用化する能力を示し、よって、7Jタンデムを達成するためにSi下の3個スタックと同等品として使用可能である。我々は、最初に、MEL太陽電池構造にとって現実モデルの開発、およびIII−V族MEL太陽電池およびSi/GeMBE成長の太陽電池の両方における3つの発光結合バンドの提示に焦点を当てる。III−V族MBE成長デバイスは、モデルを確認し、プロセスを理解するために使用している。我々は、後の段階でSi/GeのQDアプローチに焦点を当てている。これらはSi太陽電池の背面に直接に成長可能であるからである。
【0096】
選択的エネルギーコンタクトおよび低コストの秩序化量子ドットアレイについて、以下に説明する。低コストのナノ構造太陽電池は、秩序化QDアレイの使用およびナノ構造自体への選択的エネルギーコンタクトの両方を必要とする。この半導体を実現することは、所望のバンド構造を達成するために、規則量子ドットアレイを用いた基本的な新しい技術の開発を要する。
【0097】
ホワイトサイド(Whitesides)氏は、最初に、彼の研究室で開拓された技術、即ち、自己集合を引き起こす毛細管力の使用を用いて、六方充填対称性において良好な長距離秩序化による小粒子アレイを作成する。この研究では、後退する液滴エッジからの毛細管運動が、ドットを規則パターンに付勢する(広範に開発され、六方充填した2D結晶のウイルス粒子の形成についてよく証明された技術)。空気−液体界面で結晶性コロイドアレイを製作し、これらを基板へ移すために、ラングミュア−ブロジェット技術を用いる可能性も検討されている。
【0098】
量子ドットアレイとコンタクトをとることは一般に困難であり、エネルギー選択性に関してより困難になる。20nm金属膜は、典型的には10%の粗さを示す。(2nmは、3〜4単層である。)この層の上に金属膜を蒸着することは、下地となるドットアレイへの損傷および表面張力から生ずるコンタクト不均一性に起因して、問題を解決しない。しかし、Auは、エラストマー表面(例えば、ポリジメチルシロキサン薄膜)の上に薄膜として成膜可能であり、薄い均一なコンタクト層を形成できる。PDMS/Auの機械的コンプライアンスが、使用可能な原子レベルのコンタクトを作成する。金の上の薄いポリ(アニリン)膜を用いた関連した電極は、おそらくより良い電気コンタクトを作るであろう。しかし、証明が必要である。典型的には、薄いAuコンタクト層(典型的には、20nm厚)は、エラストマーと組み合わせて、Auと量子ドットアレイの間の正確な間隔形成が可能になる。この種のシステムは、典型的には、トンネルコンタクトを形成し、今までにいずれかで開発された最も信頼性あるシステムである。伝導帯だけに対するエネルギー選択性コンタクトを達成するために(これにより、価電子帯またはミニバンドとの短絡を防止する)、共鳴トンネルコンタクトの開発を必要とする。本発明は、こうした半導体−絶縁体−半導体−絶縁体−金属の構造でコンタクトを形成している。
【0099】
ナノ構造の太陽電池は、吸収を増加させる構造を含む。ナノ構造材料の低量および輸送理由のためにデバイスを薄く保つ必要性により、これらのアプローチは効率的な吸収を促進するという特徴を有する。光トラップは、従来から太陽電池で使用されており、光を、多重通過のための活性領域に閉じ込めることによって、物理的なデバイス厚と比べて、光学経路長の増加に関連している。低レベルの光トラップは、従来の反射器(金属またはブラッグ式)を用いて達成できるが、提案した薄型構造でのより高い光トラップは、根本的に新しいアプローチを必要とする。本発明は、光を操作したり反射するフォトニック結晶を設計することによって高い吸収を実現するとともに、小さな特徴サイズを可能にする。本発明のための新規な光トラップアプローチは、低エネルギーセルを含み、比較的新しいフォトニックバッドギャップ(PBG)材料技術を必要とする。しかしながら、PBG技術は、リソグラフ製造アプローチの使用をベースとしており、従って、完全に成熟した場合、バッチ式製造への適用が想定される。
【0100】
プロセス統合への多くの受け入れ可能なアプローチが存在する。重要なガイドラインは、最初に最も高い温度のプロセスを行い、そして段階的に下げていく設計を行うことである。下記は、これを達成する方法の幾つかである。最初に、我々は、説明したような横型設計または縦型設計をベースとした基本アプローチを思い起こす。両方の場合、静的集光器(分散エレメントは別個に製造可能である)。これらは、最終ステップでの光電池デバイスに結びつく。デバイス構築は、基板から開始する。これらの例では、我々はガラスを使用している。下記は、例示的な手順である。
【0101】
1.ガラス基板にp+シリコンをコートして、再結晶化する。
2.選択波長光トラップ層をシリコンの上に堆積させて形成する。
3.n型シリコンを基板上に成長させ、再結晶化する。
4.GaPバッファ層の選択領域成長。
5.GaAsP太陽電池を成長させる。
6.GaInP太陽電池を成長させる。
7.InGaN太陽電池を成長させる。
8.インクジェット技術を用いて電気コンタクトを形成する。
9.集光器(および分散)光学系と整合した反射防止層を成膜する。
【0102】
次に、ボトム太陽電池を成長させる。下記は、一例である。
10.他のガラス片にn型シリコンをコートして、再結晶化する。
11.シリコン:ゲルマニウムアロイ(Si:Ge量子ドット)を成長させる。
12.シリコンp+接合を成長させる。
13.光トラップ構造を堆積させる。
14.インクジェット技術を用いて電気コンタクトを形成する。
【0103】
横型接合デバイスでは、高エネルギーデバイスまたは層トランスファーまたは組合せのそれぞれについて、選択エピタキシャル成長を使用できる。何れの太陽電池の基本部分は、その反射防止(AR)コーティングである。ARコーティングの存在は、太陽スペクトル全体で低反射については設計しない。太陽電池は、現時点でこの範囲全体に渡って変換しないためである。連続可変指数ARコーティングを開発することによって、本発明は、スペクトル範囲全体に渡って反射率を低減させることができる。
【0104】
静的集光器をベースとした光学設計および半導体デバイス機構の一体化は、多くの多様な技術オプションを伴う頑丈で新しい設計および技術空間を導く。この頑丈な空間は、計画目標の適時達成を導くこれらの技術アプローチを特定することに的を絞って、フェーズ1において拡張される。計画は、下記の戦略に従って管理されることになる。
【0105】
1.最高性能のための設計。適用されるコスト基準は、最終製品でのIII−V族基板またはゲルマニウム基板など、高く固定されたコスト成分の排除である。
【0106】
本発明は、光学系、高エネルギーデバイス、中間エネルギーデバイス、低エネルギーデバイスに分割される。これらの各アプローチは、証明された高性能材料を、計画目標を達成する低コスト形式で使用するというコアとなるプラットフォームを有する。これに追加されるものは、図20と図21に示すように、技術オプションを拡張する多様なアプローチである。
【0107】
設計の各部分は、必要なパラメータ全て、即ち、光吸収、電荷分離、少数キャリア収集、電圧発生、ダイオード理想特性(充填率)、値ごろ感、材料適合性、製造可能性、を満たす能力について採点される。既存の高性能太陽電池技術は強化され、(1)同程度のコストでより高い性能、または(2)同じ性能でより低コストを示すように、新しいデバイス機構およびプロセス技術が追加されることになる。
【0108】
光学エレメント、横型および縦型太陽電池構造、種々の太陽電池材料系(初期の段階で、我々は6つの材料系を調査している)、異なる太陽電池構造の組合せは、豊富な設計空間を提供する。光学系、集積化および太陽電池構造の協調設計は、光学エレメントの性能が集積化の戦略と太陽電池設計に影響を及ぼすことを意味する。こうしてコアとなるアプローチが、3つのエネルギー範囲に分割された6J太陽電池からなるとともに、光学系は太陽電池設計を実質的に異ならせる。例えば、内部追跡集光器が、製造可能性、信頼性および低コスト、150倍超の集光度を示す場合、4〜5つだけの接合が必要になる。そして、光学設計に依存して、これらの接合は、横型構造を用いて基板上に別々に配置してもよく、モノリシック的に集積化してもよい。代替として、これらの高い集光度では、提案した6J太陽電池は、55%超の効率を与えるように使用できるであろう。
【0109】
本発明の光学/太陽電池の設計の主要なエレメントは、静的集光器である。これらは、現在、地上モジュールで使用されていないが、理論的、技術的または実用化問題(これらの全ては論証されている)からではなく、地上光電池が、現在、静的集光器の商業的応用可能性を制限するという仮定によって拘束されることから起因しており、既存のシリコン生産ラインを新しい設計および集積プロセスへ転換する際の困難さに主として関係している。
【0110】
静的集光器の実現性は、さらに、既存の光学製造技術が、性能目標を満たす集光度および光学効率の両方を可能にすることを示す予備的な光学設計によって増強される。高効率の集光器でさえも、新しいプロセスまたは製造能力というより、設計の専門知識に依存する。
【0111】
本発明の方法は、静的集光器への少なくとも2つの経路、即ち、(1)マイクロレンズをベースとしたより低い集光、(2)可動シートレンズを含むより高い集光アプローチ、を含む。両方のアプローチは、同程度の光学効率を産み出すと仮定すると、各アプローチのコストおよび製造可能性を評価し、太陽電池性能をモジュールに集積し生産エネルギーのコストを$/kWh単位で比較することで、両者間の決定が行われる。
【0112】
本発明の第2の新規な光学エレメントは、横型太陽電池構造のための光学系である。これは、より大きい技術リスクを有するが、材料の柔軟性、集積化および信頼性の観点で相当な利益を有する。さらに、横型アプローチは、多色検出器など、他の光学/フォトニック領域に利益を与えることが可能であり、この領域における成功は、他の産業との共同開発を経験するかもしれない。横型光学系および集積化のリスクを減少される際の重要な戦略は、太陽スペクトルが分割される「箱(bin)」の数において可能になる柔軟性である。大きな数の箱は、光学設計および集積化の両方をより困難にする。箱の数は接合の数より小さいことから、より小さな数の箱は材料選択での柔軟性を減少させ、一方、最も簡単なアセンブリでは、幾つかの接合はモノリシックに成長すべきである。コアとなるアプローチは、3つの箱(高、中間および低エネルギー)の開発を要し、図7に示す設計は横型光学系の実現可能性を示している。
【0113】
横型光学系および集積化のための設計において2つの決定ポイントがある。これらの第1は、フェーズ1の終わりに行われ、我々は、進行すべき2つの横型/光学設計を特定することになり、その一方は、マイクロ追跡器を用いた高い集光度/横型設計をベースとし、他方は、全光学設計をベースとしている。
【0114】
フェーズ2において、実験的実用化を含む詳細な性能特性は、コスト、光学的効率、集光度目標を満たすこれらのアプローチの各々の能力を決定することになる。フェーズ2の後、固有の下方選択(down-select)を有するデバイス技術と異なって、両方の光学的アプローチが、別々の応用にとって最適条件を表すように、フェーズ3に移行できる。
【0115】
多重接合太陽電池のリスク管理は、証明された高性能を伴うコアとなるアプローチを使用することと、コストを最小化するために、集積化光学/太陽電池設計によって可能になる柔軟性を利用することからなる。さらに、全パワーの66%を発生する高エネルギー光子については、本発明は多重平行アプローチを含む。その結果、>50%効率の太陽電池という全体的な目的を達成するために、我々は、経路の1つだけで成功が必要である。
【0116】
シリコン上で成長するGaInAsPベースのIII−V族太陽電池のリスク管理は、以下に説明している。上述のように、GaInAsP材料系で高性能3J太陽電池を達成する際の主要な挑戦は、シリコン基板上での〜1.5eV太陽電池の成長であり、第2に、〜2.2eVの高バンドギャップ太陽電池の開発である。高バンドギャップ太陽電池に関連したリスクは、Si上で成長すれば、低いものになる。高バンドギャップのGaInPは、既存の基板よりも、Siにより近い整合した格子定数を有するからである。
【0117】
例示の戦略は、(表2)に示しており、シリコン上のGaInAsPベースの層の選択エピタキシャル過成長(overgrowth)を要する。こうした過成長領域は、著しく格子不整合した基板の上に直接成長する場合よりも、より高い結晶学的品質を有することを示している。さらに、使用した成長アプローチに依存して、選択成長は、材料コストを低減するという利点を有する。選択成長オプションを吟味するための決定ポイントは、シリコン上で成長する個々のバンドギャップの提示に基づいて、フェーズ2で発生する。さらに、この段階で、GaAs層トランスファーのコストおよび製造可能性が、代替のアプローチが必要であるかを決定するために評価される。
【0118】
【表2】
【0119】
III−窒化物太陽電池の潜在的リスクは、従来のIII−V族材料と比べてIII−窒化物の少ない開発状態に起因して、GaInAsP材料系より高い。しかしながら、これらは、LED産業からの強力な開発を経験しており、これらの材料を使用するリスクを回避する1つの要因は、開発がLED産業によって共有されることである。我々は、この産業によって開発された発展を利用することができる。
【0120】
他の産業から窒化物への大きな開発努力によるリスク低減、そして、我々のニーズ根拠として、他のグループを含むことができる開放した門戸を維持することに加えて、本発明は、幾つかの追加のリスク管理戦略を含む。III−窒化物に関連したリスクは、シリコン基板の使用、成長アプローチの潜在コストおよび、窒化物での高発光寿命と電流収集の困難さのと間の潜在的なリンクである。シリコン基板の使用に関連したリスクを管理するために、グループのメンバーは、現在、代替基板技術に含まれている。
【0121】
第1の代替基板は、サファイア自体であり、これは、高い材料コストを本質的には有しておらず、リボン成長などの低コストアプローチによって成長している。サファイアの追加の潜在的利点は、光学媒体として多くの理想的な性質を有することであり、よって新規な集積レンズ/太陽電池の構想を可能にする。
【0122】
材料コストの見地から第2の可能性ある低コスト基板は、ZnOであり、これは、例えば、ハイパワーなど、III−窒化物を開発する他の産業にも利用され得るという技術的利点を有する。例えば、MBEの高い効率の分子ビーム性質は、MOCVDの0.1%未満と比べて、窒化物用途で〜80%の金属原料を利用する。これらの2つの課題の組合せにより、窒化物用途で動作するために、MBEは少なくとも1000倍安くなる。
【0123】
窒化物での最後の潜在的リスクは、窒化物で示される高い放射発光が、低い少数キャリア寿命であっても、キャリアの局在化に起因しており、光発生キャリアの収集を困難にするかもしれない点である。成長の最適化は、本来検討される一手段であり、量子井戸構造の必要性を軽減したり、成長層での相分離を排除するものであり、QDおよびQWの太陽電池でのチームの経験は、ここで直接的な応用可能性を有する。太陽電池の結果は、電界が臨界値を超えれば、高い電界が、量子井戸に局在したキャリアからの収集を可能にすることを示している。これらの応用では、ナノ構造は、pn接合の理論効率を増加させないため、発光結合の要件、衝撃しオン化などは適用されない。
【0124】
低エネルギー光子の効率的な変換は、光電池におけるより困難な課題の1つを表す。しかしながら、スペクトルの低い部分に含まれるパワーも比較的低く(全体の15%)、我々のアプローチは低い光子エネルギーでの劇的な改善に依存しない。その結果、このプロセスに関連した重要なリスクは、技術的なリスクでなく、熱光電池応用に用いられる材料をベースとしたデバイスおよびアプローチを用いた、低コストと製造可能性を示す能力である。低い光子エネルギーへの平行アプローチは、Si/Ge系を使用するものであり、我々は、以前に提示したものの光電池へは応用されなかった光トラップへの新しいアプローチによる間接材料の従前の性能限界を回避している。
【0125】
リスク/利益曲線の最極端なエッジでのアプローチは、ナノ構造の仮想バンドギャップ太陽電池を開発することである。高いリスクであっても、我々のアプローチは、(1)ナノ構造太陽電池について実験ベースのデバイスモデルの厳密な理論展開、(2)必要な物理的機構を示すアプローチの使用、(3)低コストQDアレイをベースとした構造を実用化する方法の開発によって、高い成功確率を有する。
【0126】
本発明は、実験ベースのデバイスシミュレーションの開発をさらに含み、これは我々のアプローチに主要なものである。最適材料、デバイス設計規則、目標効率、非理想性の影響が全て未知であるためである。例えば、サブバンド間遷移は、IR検出器で用いられるが、太陽電池では提示されていない。バンド構造の効果は、IR検出器に影響を与えず、太陽電池に大きな非理想性を生じさせる。しかしながら、これらは材料系を変えることによって回避できる。既存のモデリング計画は充分ではない。光電池デバイスは、多重擬フェルミ準位の分離を必要とし(LED、レーザおよび検出器は支配(dominant)遷移を有する)、新規な吸収機構(例えば、多重励起子発生)は、収集および順バイアス電流の両方の計算を必要とし(光検出器およびLEDは一方または他方によって支配される)、ホッピング輸送などの輸送機構を含むからである。我々は、ナノ構造デバイスのモデリングおよび特徴付けを行う際に、傑出したチームを召集して、独自のモデリング/特徴付けの経験をそれぞれ持っている3つの大学とNRELにまたがるチームとともに、この挑戦を取り扱っている。
【0127】
デバイス設計規則および最適な太陽電池構造の開発に加えて、本発明は、本発明の構造を実施するため、QDアレイを製造する方法、ナノ構造アレイとコンタクトをとる方法、および材料中の吸収を増加する方法を含む低コストアプローチを提供する。吸収キャリアを増加させることは、最低の技術リスクである。フォトニックバンドギャップナノ構造は吸収および発光を制御する能力を既に示しているためである。
【0128】
より積極的には、不確かではあるが、Au+層/コロイド層/Au−層からなるブラッグスタックは、量子ドットによって吸収されるまで、全ての光子を散乱させ、構造内でバウンドさせることによって、多かれ少なかれ全ての光子が捕捉される。ブラッグスタックの多重層は、複数のナノ製造ステップによって、または単一のAu+層/コロイド層/Au−層からなる大きなシートを製作し、折り曲げたり巻き取って多重層構造を得ることによって、形成することができる。
【0129】
追加のリスク管理アプローチは、コアとシェル構造を使用することである。(UT(テキサス大学)オースティンのネイオーミ・ヒリス(Naomi Hillis)は、この分野で優れた研究を刊行している。)例えば、ガラスビーズ上の20nmの金層は、単層−滑らかであり、優れた単分散品質および長距離秩序を備えた完全な結晶状の格子に形成できる。更なるコーティングが、シェルを隣接ビーズから分離し、ビーズ−ビーズコンタクトを規制するために使用できる。
【0130】
6J太陽電池の最適なバンドギャップは、図17に示しており、直列接続および格子整合の緩和が、シリコンプラットフォームの太陽電池の開発を可能にすることを示している。Siプラットフォームは、多くの利点を提供するが、重要なことは、現在、効率目標(そのバンドギャップ近傍の波長範囲で)およびコスト目標の両方を満たすことができる唯一の材料である。設計により、既存の高性能材料が、2つのより高いバンドギャップについて使用可能になる。低い集光度の最終的な利点は、デバイスの増加した動作点に起因して、太陽電池が欠陥に対して敏感でなくなる点である。
【0131】
さらに、静的集光器は、太陽電池上でのパワー密度を増加させるが、追跡の必要がなく、空の大きい割合からの光を受け入れる広い許容角度の光学エレメント(典型的には非結像)を使用することによって、1つの太陽ソーラーモジュールと同様にして搭載され使用される。追跡式集光器とは異なり、静的集光器は、太陽スペクトルの入射パワーの〜10%を構成する拡散光の大部分を捕捉可能である。広い許容角度についてのトレードオフは、低い集光度である。用途により、モジュール位置が年間で何れのポイントに手動調整可能である場合、最大集光度は増加する。モジュールがどれぐらい長く、固定位置に留まるかに応じて、集光度は10倍〜200倍の範囲で変化する。
【0132】
さらに、横型構成において、分散デバイスが光学経路中に挿入され(例えば、回折格子やプリズム)、光は、分光器内で生ずるのと同様にして、角度的に広がる。スリットが存在して、光源サイズが分散方向に極めて小さい分光器とは異なって、太陽は、〜0.5度の全体角をなす。これは、後述のように、設計を複雑にする。
【0133】
光を分散させる他の方法は、図17に示すように、幾つかの波長が表面で反射し、他は透過するようにしたダイクロイックミラーを使用することである。ダイクロイックミラーの市販例は、可視光が反射し、赤外が透過するコールドミラーである。ダイクロイックシステムは、横型アプローチの基準設計として機能する。横型光学系のための進行中の設計は、例えば、球面及び/又は円筒の対称光学系間の選択、入手可能な光学系に適合したコーティング中の層数などの問題に絞っており、多くの光学設計が90%超の光学効率を達成している。
【0134】
発明の上述の説明は、本発明を図示し説明するものである。さらに、その開示は、上述の内容で本発明の好ましい実施形態だけを示し説明しているが、本発明は、種々の他の組合せ、変更、環境で使用可能であり、上記教示及び/又は関連する技術の実力または知識と相応して、ここで表現したような発明概念の範囲内で変化または修正が可能である。さらに、ここで上述した実施形態は、本発明を実施するのに知られたベストモードを説明し、本発明の特定の応用や使用に必要となる種々の変更とともに、他の当業者がそうした又は他の実施形態での本発明を利用できることを意図している。従って、本説明は、ここで開示した形態や応用に発明を限定することは意図していない。また、添付の請求項は、代替の実施形態を含むと解釈することを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】静的集光器をベースとした半導体デバイスのための例示の集積光学構造/設計のフロー図を示す。
【図2】ウルトラ超高効率太陽電池を実施するための本発明の方法を示す説明図を示す。
【図3】Air Mass 1.5Gスペクトルに関して、1倍、10倍、20倍、50倍の集光度についてバンドギャップ数と効率の例示プロットを示す。
【図4】太陽電池効率>50%の要件を示す。
【図5】例示の横型太陽電池構造を示す。
【図6】例示の縦型太陽電池構造を示す。
【図7】本発明の提案した構造およびデバイス構造の例示の概要を示す。
【図8】例示の多重励起子発生太陽電池を示す。
【図9】n−ベース薄型構造を用いることによって、低コストで高性能の太陽電池への方針を示す例示のPC1Dモデリング結果を示す。
【図10】低コスト材料を用いた例示の薄型p−ベース太陽電池を示す。
【図11】多重エネルギー準位太陽電池について2つの例示的構成を示す。
【図12】光子エネルギーと、3つのPbSe QDサイズおよび1つのPbSについてのQDバンドギャップとの比率として表される、単一光子対光子エネルギーから、励起子形成についての例示の量子収量を示す。
【図13】接触する量子ドットアレイをベースとした、例示の選択エネルギーコンタクトを示す。
【図14】本発明の拡張した技術オプションへの種々のアプローチの例を示す(パートI)。
【図15】本発明の拡張した技術オプションへの種々のアプローチの例を示す(パートII)。
【図16】6J太陽電池についての例示のバンドギャップを示す。
【図17】横型光学系についての例示の概略を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
効率的な太陽電池のための装置であって、
色分散エレメントと、
集光器と、
スペクトル分離した複数の太陽電池とを備え、
色分散エレメント、集光器およびスペクトル分離した複数の太陽電池は、横型構造で構成され、
色分散エレメントは、装置による処理のために、入射光を複数のスペクトル成分に分割するようにした装置。
【請求項2】
集光器は、タイル張りの種類のものである請求項1記載の装置。
【請求項3】
色分散エレメント、集光器およびスペクトル分離した太陽電池は、複数のスペクトル入射成分をそれぞれ処理するように最適化されている請求項2記載の装置。
【請求項4】
集光器は、入射光の拡散光の大部分を捕捉するようにした請求項3記載の装置。
【請求項5】
集光器は、静的集光器である請求項4記載の装置。
【請求項6】
静的集光器の集光度は、10倍〜200倍の範囲にある請求項5記載の装置。
【請求項7】
複数の太陽電池の各々は、複数のスペクトル成分の下に配置される請求項6記載の装置。
【請求項8】
複数のスペクトル分離した太陽電池は、電圧バスと個別にコンタクトがとられている請求項7記載の装置。
【請求項9】
効率的な太陽電池のための装置であって、
色分散エレメントと、
集光器と、
スペクトル分離した複数の太陽電池とを備え、
色分散エレメント、集光器およびスペクトル分離した複数の太陽電池は、装置による処理のために、入射光を複数のスペクトル成分に分割する縦型構造で構成され、
各スペクトル分離した太陽電池は、垂直スタックであるようにした装置。
【請求項10】
色分散エレメント、集光器、およびスペクトル分離した太陽電池は、複数のスペクトル入射成分をそれぞれ処理するように最適化されている請求項9記載の装置。
【請求項11】
集光器は、入射光の太陽スペクトルでの拡散入射光の大部分を捕捉するようにした請求項10記載の装置。
【請求項12】
集光器は、静的集光器である請求項11記載の装置。
【請求項13】
静的集光器の集光度は、10倍〜200倍の範囲にある請求項12記載の装置。
【請求項14】
複数の太陽電池の各々は、複数のスペクトル成分の下に配置される請求項13記載の装置。
【請求項15】
複数のスペクトル分離した太陽電池は、電圧バスと個別にコンタクトがとられている請求項14記載の装置。
【請求項16】
太陽光電池のための装置であって
集光器タイルと、
第1プリズムと、
第2プリズムと、
スペクトルスプリッタと、
静的集光器と、
光相互接続および太陽電池デバイス構造を用いた、横型構造および縦型構造の少なくとも1つを備え、
第1および第2プリズムは、集光器タイルの入力アパーチャにあり、第1プリズムは極めて高分散のプリズムであり、第2プリズムは低分散のプリズムである装置。
【請求項17】
スペクトルスプリッタは、光および太陽光線の少なくとも1つを、高エネルギー領域、中間エネルギー領域および低エネルギー領域に分割するように構成されている請求項16記載の装置。
【請求項18】
横型構造は、
光および太陽光線の少なくとも1つを複数のスペクトル成分に分割して、
複数のスペクトル成分の各々について最適化した個々のデバイスを利用して、
各エネルギー変換接合および個々の電気コンタクトを独立に最適化して、
静的集光器とともに集積された追加の光学エレメントを含んで、光および太陽光線の少なくとも1つのスペクトルを成分色に分割して、
分離した太陽電池を各成分色の下に配置し、各太陽電池を別々にコンタクトをとり、
個々の太陽電池を個々の電圧バスとコンタクトをとるように構成されており、
縦型構造は、
垂直接合スタックと独立にコンタクトをとり、
太陽光電池の横型構造に対して平行なアプローチを提供して、
垂直集積デバイスに、独立にコンタクトをとった太陽電池を設けるように構成されている請求項17記載の装置。
【請求項19】
デバイス構造は、
材料のバッドギャップに接近した範囲内にある波長について高性能となる材料で構成され、高エネルギー光子、中間エネルギー光子、低エネルギー光子について異なる材料で構成された多重接合太陽電池をさらに備え、
高性能となる材料は、
高エネルギー光子用のGaInAsP材料系の三元化合物と、
中間エネルギー光子用のシリコンと、
低エネルギー光子用のInGaAsまたは他のサーモ光起電力(TPV)材料とを含み、
多重接合太陽電池用の他の材料は、
III−窒化物材料系と、
高エネルギー光子用のInリッチ欠陥許容III−V材料と、
低エネルギー光子用のSi/Ge材料系とを含む請求項18記載の装置。
【請求項20】
太陽電池用の材料は、自己集合製造技術と関連して、多重励起子発生および多重エネルギー準位(中間バンド)太陽電池のうちの少なくとも1つをさらに備える請求項19記載の装置。
【請求項21】
複数の太陽電池の各々は、光電池デバイスである請求項8記載の装置。
【請求項22】
複数の太陽電池の各々は、光電池デバイスである請求項15記載の装置。
【請求項23】
太陽電池を構築する方法であって、
ガラス基板にp+シリコンでコーティングを施し、再結晶化すること、
p+シリコンの上に、選択波長光トラップ層を堆積し形成すること、
p+シリコンの上に、n型シリコンを成長させ、再結晶化すること、
n型シリコンの上に、バッファ層としてGaP領域を選択成長させること、
GaAsPの太陽電池を成長させること、
GaInPの太陽電池を成長させること、
InGaNの太陽電池を成長させること、
電気コンタクトを各太陽電池に形成すること、
集光器(および分散)光学系に整合した反射防止層を堆積させること、を含む方法。
【請求項24】
他のガラス片にn型シリコンでコーティングを施し、再結晶化すること、
シリコン・ゲルマニウム合金(Si:Ge量子ドットの)を成長させること、
シリコンp+接合を成長させること、
光トラップ構造を堆積させること、
電気コンタクトを形成すること、を含む請求項23記載の方法。
【請求項1】
効率的な太陽電池のための装置であって、
色分散エレメントと、
集光器と、
スペクトル分離した複数の太陽電池とを備え、
色分散エレメント、集光器およびスペクトル分離した複数の太陽電池は、横型構造で構成され、
色分散エレメントは、装置による処理のために、入射光を複数のスペクトル成分に分割するようにした装置。
【請求項2】
集光器は、タイル張りの種類のものである請求項1記載の装置。
【請求項3】
色分散エレメント、集光器およびスペクトル分離した太陽電池は、複数のスペクトル入射成分をそれぞれ処理するように最適化されている請求項2記載の装置。
【請求項4】
集光器は、入射光の拡散光の大部分を捕捉するようにした請求項3記載の装置。
【請求項5】
集光器は、静的集光器である請求項4記載の装置。
【請求項6】
静的集光器の集光度は、10倍〜200倍の範囲にある請求項5記載の装置。
【請求項7】
複数の太陽電池の各々は、複数のスペクトル成分の下に配置される請求項6記載の装置。
【請求項8】
複数のスペクトル分離した太陽電池は、電圧バスと個別にコンタクトがとられている請求項7記載の装置。
【請求項9】
効率的な太陽電池のための装置であって、
色分散エレメントと、
集光器と、
スペクトル分離した複数の太陽電池とを備え、
色分散エレメント、集光器およびスペクトル分離した複数の太陽電池は、装置による処理のために、入射光を複数のスペクトル成分に分割する縦型構造で構成され、
各スペクトル分離した太陽電池は、垂直スタックであるようにした装置。
【請求項10】
色分散エレメント、集光器、およびスペクトル分離した太陽電池は、複数のスペクトル入射成分をそれぞれ処理するように最適化されている請求項9記載の装置。
【請求項11】
集光器は、入射光の太陽スペクトルでの拡散入射光の大部分を捕捉するようにした請求項10記載の装置。
【請求項12】
集光器は、静的集光器である請求項11記載の装置。
【請求項13】
静的集光器の集光度は、10倍〜200倍の範囲にある請求項12記載の装置。
【請求項14】
複数の太陽電池の各々は、複数のスペクトル成分の下に配置される請求項13記載の装置。
【請求項15】
複数のスペクトル分離した太陽電池は、電圧バスと個別にコンタクトがとられている請求項14記載の装置。
【請求項16】
太陽光電池のための装置であって
集光器タイルと、
第1プリズムと、
第2プリズムと、
スペクトルスプリッタと、
静的集光器と、
光相互接続および太陽電池デバイス構造を用いた、横型構造および縦型構造の少なくとも1つを備え、
第1および第2プリズムは、集光器タイルの入力アパーチャにあり、第1プリズムは極めて高分散のプリズムであり、第2プリズムは低分散のプリズムである装置。
【請求項17】
スペクトルスプリッタは、光および太陽光線の少なくとも1つを、高エネルギー領域、中間エネルギー領域および低エネルギー領域に分割するように構成されている請求項16記載の装置。
【請求項18】
横型構造は、
光および太陽光線の少なくとも1つを複数のスペクトル成分に分割して、
複数のスペクトル成分の各々について最適化した個々のデバイスを利用して、
各エネルギー変換接合および個々の電気コンタクトを独立に最適化して、
静的集光器とともに集積された追加の光学エレメントを含んで、光および太陽光線の少なくとも1つのスペクトルを成分色に分割して、
分離した太陽電池を各成分色の下に配置し、各太陽電池を別々にコンタクトをとり、
個々の太陽電池を個々の電圧バスとコンタクトをとるように構成されており、
縦型構造は、
垂直接合スタックと独立にコンタクトをとり、
太陽光電池の横型構造に対して平行なアプローチを提供して、
垂直集積デバイスに、独立にコンタクトをとった太陽電池を設けるように構成されている請求項17記載の装置。
【請求項19】
デバイス構造は、
材料のバッドギャップに接近した範囲内にある波長について高性能となる材料で構成され、高エネルギー光子、中間エネルギー光子、低エネルギー光子について異なる材料で構成された多重接合太陽電池をさらに備え、
高性能となる材料は、
高エネルギー光子用のGaInAsP材料系の三元化合物と、
中間エネルギー光子用のシリコンと、
低エネルギー光子用のInGaAsまたは他のサーモ光起電力(TPV)材料とを含み、
多重接合太陽電池用の他の材料は、
III−窒化物材料系と、
高エネルギー光子用のInリッチ欠陥許容III−V材料と、
低エネルギー光子用のSi/Ge材料系とを含む請求項18記載の装置。
【請求項20】
太陽電池用の材料は、自己集合製造技術と関連して、多重励起子発生および多重エネルギー準位(中間バンド)太陽電池のうちの少なくとも1つをさらに備える請求項19記載の装置。
【請求項21】
複数の太陽電池の各々は、光電池デバイスである請求項8記載の装置。
【請求項22】
複数の太陽電池の各々は、光電池デバイスである請求項15記載の装置。
【請求項23】
太陽電池を構築する方法であって、
ガラス基板にp+シリコンでコーティングを施し、再結晶化すること、
p+シリコンの上に、選択波長光トラップ層を堆積し形成すること、
p+シリコンの上に、n型シリコンを成長させ、再結晶化すること、
n型シリコンの上に、バッファ層としてGaP領域を選択成長させること、
GaAsPの太陽電池を成長させること、
GaInPの太陽電池を成長させること、
InGaNの太陽電池を成長させること、
電気コンタクトを各太陽電池に形成すること、
集光器(および分散)光学系に整合した反射防止層を堆積させること、を含む方法。
【請求項24】
他のガラス片にn型シリコンでコーティングを施し、再結晶化すること、
シリコン・ゲルマニウム合金(Si:Ge量子ドットの)を成長させること、
シリコンp+接合を成長させること、
光トラップ構造を堆積させること、
電気コンタクトを形成すること、を含む請求項23記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2008−543029(P2008−543029A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−510141(P2008−510141)
【出願日】平成18年5月3日(2006.5.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/016870
【国際公開番号】WO2006/119305
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(592063353)ユニバーシティー、オブ、デラウェア (12)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF DELAWARE
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月3日(2006.5.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/016870
【国際公開番号】WO2006/119305
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(592063353)ユニバーシティー、オブ、デラウェア (12)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF DELAWARE
【Fターム(参考)】
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