説明

エアガイドおよび車輪構造

【課題】ディスクブレーキ機構のディスクロータを効果的に冷却する。
【解決手段】ホイール16は、円筒状に形成されるホイールリム16bを有する。ディスクブレーキ機構13は、ディスクロータ20の摩擦摺動面20aにブレーキパッド38を押接させて車輪12に制動力を与える。エアガイド44は、ディスクロータ20の摩擦摺動面20aより車両内部側に配置され、且つホイールリム16b内周面から径内向きに突出するように設けられ、ホイールリム16b内周面に沿ってホイールリム16bの幅に渡って車両外部方向に流れるエアの一部を遮る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアガイドおよび車輪構造に関し、特にディスクブレーキ機構を有する車輪構造に設けられるエアガイド、およびディスクブレーキ機構を有する車輪構造に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、車両に制動力を与えるブレーキ機構として、ディスクブレーキ機構が多く採用されている。ディスクブレーキ機構では、ディスクロータの摩擦摺動面にブレーキパッドを押接させ、その摩擦力によって車輪に制動力を与える。一方、両者が摩擦することによって発生する熱が高くなると、パッドの摩耗を進行させ、またブレーキ鳴きや振動の原因となることが知られている。
【0003】
このため、たとえば特許文献1では、リムの幅方向の略全域に亘って延在し、それぞれの延在方向はリムの幅方向に対して傾斜している複数のフィンを有する車両用ホイールが提案されている。また、たとえば特許文献2では、高熱伝導率部材を表面に配設した車両用ホイールが提案されている。
【特許文献1】特開2004−196005号公報
【特許文献2】特開2004−130841号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ディスクロータの摩擦摺動面は径方向に幅を有するため、上述の特許文献に記載される技術のように、リム内周の周辺におけるエアの流れを促進したりリムの温度を低下させるだけでは、摩擦摺動面の径方向に広くエアがいきわたらず、摩擦摺動面やブレーキパッドを効果的に冷却することは困難である。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ディスクブレーキ機構のディスクロータを効果的に冷却することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のエアガイドは、円筒状に形成されるホイールリムを有するホイールと、ディスクロータの摩擦摺動面にブレーキパッドを押接させて車輪に制動力を与えるディスクブレーキ機構と、を有する車輪構造に設けられ、ディスクロータの摩擦摺動面より車両内部側に配置され、ホイールリム内周面に沿ってホイールリムの幅に渡って車両外部方向に流れるエアの一部を遮る。
【0007】
この態様によれば、摩擦摺動面の周辺における径外向きへ方向へのエアフローを促進することができる。したがって、ディスクロータの摩擦摺動面やブレーキパッドを径方向にわたって広く冷却することが可能となり、パッドの摩耗およびブレーキの鳴きや振動を低減させることができる。なお、前記エアガイドはホイールリム内周面から径内向きに突出するように設けられてもよく、またはブレーキパッドをディスクロータの摩擦摺動面に押接させるキャリパユニットから径外向きに突出するように設けられてもよい。
【0008】
また、前記ディスクロータは、第1ディスクと、前記第1ディスクより車両内部側に配置される第2ディスクと、前記第1ディスクと前記第2ディスクとの間に、径方向へのエアの流通を可能とするエア流通路が形成されるようそれぞれが間隔を隔てて設けられる複数のフィンと、を備えてもよい。
【0009】
第1ディスクと第2ディスクとの間にフィンが形成される、いわゆるベンチレーテッドディスクを有するディスクブレーキ機構では、上述のようなエアガイドを設けることによって、フィン周辺のエア流通路におけるエアの流れを促進することができる。このため、ディスクホイールに摩擦摺動面をより効果的に冷却することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ディスクブレーキ機構のディスクロータを効果的に冷却することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という。)について詳細に説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る車輪構造10Aにおける、キャリパユニット14周辺の断面図である。図1は、車輪12の回転中心を含む断面のうち、車輪12の回転中心からキャリパユニット14が存在する側の断面を示す。図1において、車輪構造10Aの左側に車両の車体本体(図示せず)が位置し、車輪構造10Aの右側は車両の外部となる。このため、図1において左方向を車両内部方向、右方向を車両外部方向として以下説明する。
【0013】
車輪構造10Aは、車輪12およびディスクブレーキ機構13を備える。車輪12はホイール16およびタイヤ18を有する。ディスクブレーキ機構13は、ディスクロータ20、キャリパユニット14、およびブレーキパッド38を有する。
【0014】
ホイール16は、ホイールディスク16aおよびホイールリム16bを有する。ホイールリム16bは円筒状に形成される。ホイールディスク16aは円盤状に形成され、ホイールリム16bの車体に組み付けられたときの車両外部側の開口部を塞ぐようにホイールリム16bと結合されている。タイヤ18はホイールリム16bの外周に取り付けられる。ホイール16にはアルミホイールが採用されており、ホイールディスク16aとホイールリム16bとは一体的に成形されている。なお、ホイール16にスチールホイールが採用されてもよいことは勿論である。
【0015】
ディスクロータ20は、第1ディスク22、第2ディスク24、およびフィン26を有する、いわゆるベンチレーテッドディスクが採用されている。第1ディスク22は、中心部周辺が椀型に一方に凹まされた円盤状に形成されている。第2ディスク24は環状に形成され、椀型に凹まされていない第1ディスク22の径方向外側の環状の部分と略同一形状に形成されている。
【0016】
フィン26は径方向に細長く延在するよう形成され、第1ディスク22と第2ディスク24との間に、周方向にそれぞれが均等な間隔を隔てて複数設けられる。これらフィン26の各々が第1ディスク22および第2ディスク24に結合され、その結果、第1ディスク22と第2ディスク24とが一体的に結合される。このようにフィン26が設けられることによって、第1ディスク22と第2ディスク24との間に、径方向にエアを流通させるエア流通路が形成される。
【0017】
フィン26が結合された面と反対側の第1ディスク22の面に摩擦摺動面20aが形成される。また、フィン26が結合された面と反対側の第2ディスク24の面に同様に摩擦摺動面20aが形成される。
【0018】
車体には回転可能なハブ28が設けられている。ハブ28には車両外部方向にネジ部が突出するようにハブボルト30が圧入されている。ハブ28の車両外部側の面に、ディスクロータ20の椀型に凹んだ内側の面が当てつけられ、さらにその外側から車輪12がディスクロータ20に当てつけられる。この状態でハブナット32がハブボルト30に螺合されることによって、車輪12、ディスクロータ20、およびハブ28が共に回転可能となるように相互に固定される。したがって、ディスクロータ20に制動力が与えられることにより車輪12にも制動力が与えられる。
【0019】
キャリパユニット14は、キャリパ36およびピストン34を有する。キャリパ36は、シリンダハウジング36aおよび爪部36bを有する。シリンダハウジング36aと爪部36bとは相互に対向し、一部において相互に一体的に結合されている。この結果、キャリパ36はコ字状に形成されている。
【0020】
シリンダハウジング36aの内部には、爪部36bに向かって開口する円柱状の空間部であるシリンダ部(図示せず)が設けられている。ピストン34はシリンダ部の内径と略同一の外径を有する円柱状に形成され、シリンダ部に嵌挿されている。
【0021】
第1の実施形態に係るキャリパ36は浮動型のものが採用されている。キャリパ36は、公知のスライドピン機構等により、車両左右方向に所定範囲を移動可能にマウンティングに支持される。このときキャリパ36は、シリンダハウジング36aが車両内部方向に位置し、爪部36bが車両外側方向に位置し、シリンダ部の中心軸が車両左右方向に向くようマウンティングに支持される。また、キャリパ36は、爪部36bとシリンダ部との間にディスクロータ20の摩擦摺動面20aが位置するよう配置される。
【0022】
ブレーキパッド38は摩擦材40、およびパッド裏金42を有する。パッド裏金42は略長方形の外形を有する板状に形成される。摩擦材40は、パッド裏金42の長辺および短辺より僅かに小さい長辺および短辺の長方形の外形を有する板状に形成される。摩擦材40は、ノンメタリック系、ローメタリック系、カーボンメタリック系などの材質により形成される。パッド裏金42は、鉄系の金属材料などにより形成される。摩擦材40とパッド裏金42とは、双方の側面同士が接着され相互に固定される。
【0023】
ブレーキパッド38は、車両内部側の摩擦摺動面20aとピストン34との間、および車両外部側の摩擦摺動面20aと爪部36bとの間にそれぞれ1つずつ配置される。車両内部側の摩擦摺動面20aとピストン34との間に配置されるブレーキパッド38(以下、「車両内部側のブレーキパッド38」という)は、摩擦材40がその一方の摩擦摺動面20aに対向するように配置される。車両外部側の摩擦摺動面20aと爪部36bとの間に配置されるブレーキパッド38(以下、「車両外部側のブレーキパッド38」という)は、摩擦材40と他方の摩擦摺動面20aとが対向するように配置される。
【0024】
ブレーキパッド38は、マウンティングによってディスクロータ径方向および周方向の移動が規制される。ただし、車両内部側のブレーキパッド38は車両内部側の摩擦摺動面20aとシリンダ部の開口部との間において、車両外部側のブレーキパッド38は車両外部側の摩擦摺動面20aと爪部36bとの間において、ディスクロータ軸方向に移動可能とされている。
【0025】
シリンダ部は、液圧配管を通じてマスタシリンダ(図示せず)、または増圧弁(図示せず)や減圧弁(図示せず)に連通している。運転者がブレーキペダル(図示せず)を踏み込み操作することによりマスタシリンダにおける作動液圧であるマスタシリンダ圧が増圧し、またはブレーキペダルの操作量やマスタシリンダ圧に応じて増圧弁が開弁し、シリンダ部に作動液が供給されシリンダ部の作動液圧が増圧される。この結果、ピストン34が車両内部側のブレーキパッド38に向かって推進される。
【0026】
ピストン34が推進される前は、ブレーキパッド38の各々は、摩擦材40がディスクロータ20から離間した位置である初期位置に位置している。ピストン34が車両内部側のブレーキパッド38に向かって推進されると、車両内部側のブレーキパッド38がピストン34によって押され、その摩擦材40が車両内部側の摩擦摺動面20aに押接される。また、その反力によってキャリパ36全体が車両内部方向に摺動し、車両外部側のブレーキパッド38が爪部36bによって押され、その摩擦材40が車両外部側の摩擦摺動面20aに押接される。このように、ディスクブレーキ機構13は、運転者のブレーキペダルの操作量に応じた力で、ブレーキパッド38の摩擦材40をディスクロータ20の摩擦摺動面20aに押接させ、ディスクロータ20及び車輪に制動力を与える。
【0027】
運転者がブレーキペダルの踏み込み操作を解除することにより、マスタシリンダ圧が減圧し、またはブレーキペダルの操作量やマスタシリンダ圧に応じて減圧弁が開弁し、シリンダ部の外部に作動液が排出されシリンダ部の作動液圧が減圧される。この結果、ピストン34が爪部36bから離間する方向に向かって推進される。これによってブレーキパッド38の各々が初期位置に戻され、ブレーキパッド38の摩擦材40が摩擦摺動面20aから離間することによってディスクロータ20および車輪に与えられていた制動力が解除される。
【0028】
このような車輪構造10Aでは、ディスクロータ20はホイールリム16bに囲われる領域に配置される。一方、ブレーキパッド38の摩擦材40がディスクロータ20の摩擦摺動面20aに押接されることによって、両者の間に摩擦熱が発生する。この摩擦熱が高くなると、パッドの摩耗を進行させ、またブレーキ鳴きや振動の原因となることが知られている。このため、ホイールリム16bに囲われる領域にエアフローを形成させるべく、ホイール16のホイールディスク16aには、車両内部側から車両外部側へと貫通する貫通孔16cが設けられている。貫通孔16cが設けられることにより、ホイール16より車両内部からディスクロータ20周辺に流入し、貫通孔16cから車両外部に排出されるエアフローが形成され、このエアフローによるディスクロータ20の冷却が図られている。
【0029】
しかし、ディスクロータ20の摩擦摺動面20aは、貫通孔16cの径方向内側の部分を覆う位置に設けられる。また、ディスクロータ20外周とホイールリム16b内周面との間には、キャリパ36を収容するための間隔が形成される。このため、このままの状態では、貫通孔16cから車両外部に排出されるエアの多くは、図1において2点鎖線の矢印(以下、「矢印F」という)で示されるように、車両内部側から、ホイールリム16b内周面に沿ってホイールリム16bの幅に渡って車両外部方向に流れ、ディスクロータ20外周とホイールリム16b内周面との間に形成された間隔を通過してきたものとなる。
【0030】
このようなエアフローが形成されている場合、図1において実線の矢印(以下、「矢印F」という)で示される流路に流れるエア、すなわち、摩擦摺動面20aの周辺や、第1ディスク22と第2ディスク24との間において複数のフィン26同士の間隔部に形成されるエア連通路を径外向きに流れて、ホイールディスク16aの貫通孔16cからホイール16外側に排出されるエアの流量が低減される。このため、ディスクロータ20の摩擦摺動面20aを全体的に冷却することが困難となり、特にディスクロータ20の摩擦摺動面20aのうち径方向内側の部分や、第1ディスク22の摩擦摺動面20aを効果的に冷却することが困難となる。
【0031】
このような点を考慮し、第1の実施形態に係る車輪構造10Aはエアガイド44を備える。エアガイド44は、ディスクロータ20の摩擦摺動面20aよりもホイール16の軸方向の車両内部側に、ホイールリム16b内周面から径内向きに突出するように設けられる。エアガイド44は、ホイールリム16bの全内周面から径内向きに突出するよう設けられるため、この突出部はホイールリム16b内周面から径方向内向きに幅をもって延在する円環部を形成する。エアガイド44の円環部の幅は、キャリパユニット14またはこれに接続する配管から小さな間隔を隔てるような長さとされている。
【0032】
エアガイド44はホイール16とは別体として設けられている。エアガイド44は、円環部の外周部から車両外部方向に延びる曲げ部を有しており、この曲げ部がホイールリム16b内周面に固定されている。本実施形態ではエアガイド44はホイールリム16b内周面にねじ止めで固定されている。なお、エアガイド44はホイールリム16b内周面に、たとえば溶接、リベット止め、圧入、かしめ、ラッチによる係合など、他の固定手段で固定されてもよい。また、エアガイド44は、ホイールリム16bと一体的に成形されていてもよい。
【0033】
エアガイド44は、ホイールリム16b内周面に沿ってホイールリム16bの幅に渡って車両外部方向に流れるエアの一部を遮る。これによって、矢印Fに示される流路に流れるエアが抑制される一方、矢印Fで示される流路に流れるエアが増加する。
【0034】
このようにディスクロータ20に形成されるエア連通路や摩擦摺動面20aの周辺を流れるエアが増加することによって、摩擦摺動面20aを径方向にわたって広く、かつ均一に冷却することが可能となる。また、ブレーキパッド38も効果的に冷却することが可能となる。この結果、ブレーキパッド38の摩擦材40の摩耗や、ブレーキパッド38がディスクロータ20の摩擦摺動面20aに押接されることにより発生するブレーキ鳴きや振動を低減させることができる。
【0035】
(第2の実施形態)
図2は、第2の実施形態に係る車輪構造10Bにおける、キャリパユニット14周辺の断面図である。なお、特に言及しない限り、第2の実施形態に係る車輪構造10Bの構成は、第1の実施形態に係る車輪構造10Aの構成と同様である。図2は、車輪12の回転中心を含む断面のうち、車輪12の回転中心からキャリパユニット14が存在する側の断面を示す。図2において左方向が車両内部方向、右方向が車両外部方向となる点は図1と同様である。
【0036】
第2の実施形態に係る車輪構造10Bは、エアガイド46を備える。第1の実施形態に係る車輪構造10Aはエアガイド44を備える。エアガイド44は、ディスクロータ20の摩擦摺動面20aよりもホイール16の軸方向の車両内部側において、キャリパユニット14から径外向きに突出するように設けられる。エアガイド46の外形のうち車輪12の回転中心から最も遠い部分の外形は、ホイールリム16bと小さな間隔を隔てた円弧状に形成される。
【0037】
エアガイド46はキャリパ36とは別体として設けられている。エアガイド46は、径方向内側において車両外部方向に延びる曲げ部を有しており、この曲げ部がキャリパ36のシリンダハウジング36aの外面に固定されている。本実施形態では、エアガイド46はキャリパ36の外面にねじ止めで固定されている。なお、エアガイド46がキャリパ36の外面に、たとえば溶接、リベット止め、圧入、かしめ、ラッチによる係合など、他の固定手段で固定されてもよい。また、エアガイド46がキャリパ36と一体的に成形されていてもよい。
【0038】
エアガイド46は、キャリパユニット14の周辺において、ホイールリム16b内周面に沿ってホイールリム16bの幅に渡って車両外部方向に流れるエアの一部を遮る。これによって、キャリパユニット14の周辺において、矢印Fで示される流路に流れるエアが抑制される一方、矢印Fで示される流路に流れるエアが増加する。
【0039】
このように、キャリパユニット14の周辺においてエアの流路を遮るエアガイド46を形成することにより、ホイールリム16bの全内周の近傍においてエアの流路を遮るエアガイドを設けるより、小さい部材でエアガイド46を形成することが可能となる。このため、エアガイド46を設けることによるコストの増加を抑制することができる。
【0040】
また、キャリパユニット14の周辺において、ディスクロータ20に形成されるエア連通路や摩擦摺動面20aの周辺を流れるエアが増加するため、キャリパユニット14の周辺において、摩擦摺動面20aを径方向にわたって広く冷却することが可能となり、またブレーキパッド38も効果的に冷却することが可能となる。
【0041】
本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、各実施形態の各要素を適宜組み合わせたものも、本発明の実施形態として有効である。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうる。以下、そうした例をあげる。
【0042】
ある変形例では、ナックルアームなどの車体本体に円環部が固定される。円環部は、ホイールリム16bの内周面に間隔を隔てた外周を有し、外周部から径内向き方向に所定の幅延在する。円環部の幅は、キャリパユニット14またはこれに接続する配管から小さな間隔を隔てるような長さとされている。
【0043】
このように設けられた円環部は、ディスクロータ20外周とホイールリム16b内周面との間へ車両内部側から流入するエアの一部を遮る。これによって、矢印Fで示される流路に流れるエアが抑制される一方、矢印Fで示される流路に流れるエアが増加する。したがって、このような円環部を設けることによっても、摩擦摺動面20aを径方向にわたって広く、かつ均一に冷却することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】第1の実施形態に係る車輪構造における、キャリパユニット周辺の断面図である。
【図2】第2の実施形態に係る車輪構造における、キャリパユニット周辺の断面図である。
【符号の説明】
【0045】
10A及び10B 車輪構造、 12 車輪、 13 ディスクブレーキ機構、 14 キャリパユニット、 16 ホイール、 16a ホイールディスク、 16b ホイールリム、 16c 貫通孔、 20 ディスクロータ、 20a 摩擦摺動面、 22 第1ディスク、 24 第2ディスク、 26 フィン、 36 キャリパ、 38 ブレーキパッド、 44 エアガイド、 46 エアガイド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状に形成されるホイールリムを有するホイールと、ディスクロータの摩擦摺動面にブレーキパッドを押接させて車輪に制動力を与えるディスクブレーキ機構と、を有する車輪構造に設けられるエアガイドであって、
ディスクロータの摩擦摺動面より車両内部側に配置され、ホイールリム内周面に沿ってホイールリムの幅に渡って車両外部方向に流れるエアの一部を遮ることを特徴とするエアガイド。
【請求項2】
ホイールリム内周面から径内向きに突出するように設けられたことを特徴とする請求項1に記載のエアガイド。
【請求項3】
ブレーキパッドをディスクロータの摩擦摺動面に押接させるキャリパユニットから、径外向きに突出するように設けられたことを特徴とする請求項1に記載のエアガイド。
【請求項4】
円筒状に形成されるホイールリムを有するホイールと、
ディスクロータの摩擦摺動面にブレーキパッドを押接させて車輪に制動力を与えるディスクブレーキ機構と、
ディスクロータの摩擦摺動面より車両内部側に配置され、ホイールリム内周面に沿ってホイールリムの幅に渡って車両外部方向に流れるエアの一部を遮るエアガイドと、
を備えることを特徴とする車輪構造。
【請求項5】
前記ディスクロータは、
第1ディスクと、
前記第1ディスクより車両内部側に配置される第2ディスクと、
前記第1ディスクと前記第2ディスクとの間に、径方向へのエアの流通を可能とするエア流通路が形成されるようそれぞれが間隔を隔てて設けられる複数のフィンと、
を備えることを特徴とする請求項4に記載の車輪構造。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−37295(P2008−37295A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−215538(P2006−215538)
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】