説明

エアゾール化粧料

【課題】髪を固めることなく、ふんわり軽いまとまりを与え、仕上がったヘアスタイルを保持すると共に、ヘアスタイルが崩れた場合にも手櫛やブラシにより容易に再整髪可能なエアゾール化粧料の提供。
【解決手段】(A)整髪性ポリマー0.5〜10重量%、(B)水酸基を2個以上有し、分子量62〜1000であり、30℃で液状の溶剤1〜25重量%、(C)ポリオキシエチレン(9)トリデシルエーテル0.1〜20重量%、並びに(D)エタノール及び/又は水を含有する原液、並びに(E)噴射剤を耐圧容器中に含有し、(A)/(B)の重量比が0.42〜2.3であるエアゾール化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪にふんわり軽いまとまりを与え、仕上がったヘアスタイルを保持すると共に、ヘアスタイルが崩れても手櫛やブラシにより元のヘアスタイルに再整髪することができるエアゾール化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のヘアスプレーは、セット用ポリマーを大量に噴霧して、髪を固定するものが一般的である。しかしこの方法では、ポリマーが髪を束状に固定するため、仕上がった髪がゴワつく、硬いなどの不満が生じている。また、整髪後、手櫛やブラシで一度固着点を破壊すると、ヘアスタイルが崩れて元には戻らないという問題もある。ゴワつきのないヘアスプレーとして、可塑剤を使用して毛髪固定用高分子のガラス転移温度を調整したものが提案されている(特許文献1参照)。しかし、このものも毛髪表面に形成される被膜の粘着性が不十分で、再整髪はできない。
【0003】
一方、ヘアワックスなどのスタイリング剤では、髪を油の粘着力で保持することから、髪は固まることなく自然な仕上がりが得られるが、油による粘着力は、セット用ポリマーの固着力に比べて極めて弱く、思いどおりのヘアスタイルを保持することは難しい。また、油の粘着力によるスタイリングでは、手櫛やブラシによってヘアスタイルを元に戻すことができるものの、ふんわりとした自然な仕上がりを持続することはできない。また、高分子化合物と油剤を併用した粘着性成分を含有し、一定以上の粘着力を有する毛髪化粧料が、頭髪を固めずに自然なまとまりを付与でき、ヘアスタイルの保持性に優れるものとして提案されているが(特許文献2参照)、このものは、粘着性が十分でないため、再整髪性が低く、仕上がり後の髪がふんわりした仕上がりにならないという問題があった。
【特許文献1】特開平7-145023号公報
【特許文献2】特開平11-116443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、髪を固めることなく、ふんわり軽いまとまりを与え、仕上がったヘアスタイルを保持すると共に、ヘアスタイルが崩れた場合にも手櫛やブラシにより容易に再整髪可能なエアゾール化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、整髪性ポリマーとポリオール溶剤とを一定比率で含有し、更に特定の可塑剤を含有する組成物を原液とするエアゾールとすることにより、噴霧された原液が毛髪上に細かな液滴からなる粘着性被膜を形成して、毛髪同士を固着することなく点接着して、ふんわりとした軽い仕上がりと再整髪が可能となることを見出した。
【0006】
すなわち本発明は、次の成分(A)〜(E)
(A) 整髪性ポリマー:0.5〜10重量%
(B) 水酸基を2個以上有し、分子量62以上1000以下であり、30℃で液状の溶剤:1〜25重量%
(C) ポリオキシエチレン(9)トリデシルエーテル:0.1〜20重量%
(D) エタノール及び/又は水
を含有する原液、並びに
(E) 噴射剤
を耐圧容器中に含有し、(A)/(B)の重量比が0.42〜2.3であるエアゾール化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のエアゾール化粧料は、噴霧された原液が、毛髪上に細かな液滴からなる粘着性被膜を形成して、毛髪同士を固着することなく点接着して、ふんわりとした軽い仕上がりと再整髪が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
成分(A)の整髪性ポリマーとしては、特開平2-180911号公報に記載のアルキルアクリルアミド/アクリレート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体、特開平8-291206号公報に記載のアルキルアクリルアミド/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体、ユカフォーマーR205(三菱化学社)、RAMレジン(大阪有機化学社)等の(メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/メタクリル酸アルキル)コポリマー、ダイヤフォーマーZ-712(三菱化学社)等の(アクリレーツ/アクリル酸ラウリル/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマー、ダイヤフィックスC-601(三菱化学社)等の(ビニルアミン/ビニルアルコール)コポリマー、プラスサイズL-9540B(互応化学社)等のアクリル樹脂アルカノールアミン液、ウルトラホールド8、同Strong(以上、BASF社)等のアクリル酸/アクリル酸アミド/アルキル酸エチル共重合体、ルビフレックスSilk(BASF社)等のアクリル酸アルキル・メタクリル酸・シリコン共重合体液、ルビセットP.U.R.(BASF社)等のポリウレタン-1、ルビスコールプラス(BASF社)等のポリビニルカプロラクタム、ルビマー100P、同30E(以上、BASF社)等のアクリル酸アルキル共重合体、アンフォーマーSH-701、同28-4910、同LV-71、同LV-47(以上、ナショナル・スターチ&ケミカル社)等の(オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル)コポリマー、アンフォーマーV-42(ナショナル・スターチ&ケミカル社)等の(アクリル酸アルキル/オクチルアクリルアミド)コポリマー、レジン28-2930(ナショナル・スターチ&ケミカル社)等の(VA/クロトン酸/ネオデカン酸ビニル)コポリマー、ダイナムX(ナショナル・スターチ&ケミカル社)等のポリウレタン-14・AMP-アクリレーツコポリマー、ガフカット440(ISP社)等のポリクオタニウム-11、ガフカット HS-100(ISP社)等のポリクオタニウム-28、ガントレッツES-225(ISP社)等の(ビニルメチルエーテル/マレイン酸エチル)コポリマー、アクアフレックスSF-40(ISP社)等の(PVP/ビニルカプロラクタム/アクリル酸DMAPA)コポリマー、アクアフレックスFX-64(ISP社)等の(イソブチレン/エチルマレイミド/ヒドロキシエチルマレイミド)コポリマー、スタイリーゼW-20(ISP社)等のポリクオタニウム-55、スタイリーゼCC-10(ISP社)等の(ビニルピロリドン/アクリル酸DMAPA)コポリマー、PVP/VA735(ISP社)等の(ビニルピロリドン/VA)コポリマーなどが挙げられる。
【0009】
上記整髪性ポリマーの中でも、アルキルアクリルアミド/アクリレート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体、アルキルアクリルアミド/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体、アクリル樹脂アルカノールアミン液、アクリル酸/アクリル酸アミド/アルキル酸エチル共重合体、ポリビニルカプロラクタム、(アクリル酸アルキル/オクチルアクリルアミド)コポリマーが好ましく、更には、アルキルアクリルアミド/アクリレート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体、アルキルアクリルアミド/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体が好ましい。
【0010】
これら整髪性ポリマーは、成分(A)として2種以上を併用することもでき、またその含有量は、毛髪を点接着してふんわりとした軽い仕上がりにし、これを保持する観点より、本発明のエアゾール化粧料における原液中の0.5〜10重量%とされるが、1〜8重量%、特に1.5〜7重量%が好ましい。
【0011】
成分(B)の溶剤は、水酸基を2個以上有し、分子量62以上1000以下であり、30℃で液状のものであるが、分子量が90以上600以下、特に100以上200以下のものが好ましい。具体的には、プロピレングリコール(分子量76.1)、1,3-ブチレングリコール(分子量90.1)、グリセリン(分子量92.1)、イソペンチレングリコール(分子量104.1)、ヘキシレングリコール(分子量118.2)、ジプロピレングリコール(分子量134.2)、ポリプロピレングリコール(重合度9,分子量540)、ポリエチレングリコール600等が挙げられる。なかでも、適度な粘着性が得られる点から、炭素数4以上のものが好ましい。具体的には、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(重合度9,分子量540)、1,3-ブチレングリコールが好ましく、特にジプロピレングリコールが好ましい。なお、ここでいう「液状」とは、ブルックフィールド型回転粘度計(ローターNo.2,回転数12rpm,60秒間,30℃)で測定した粘度が1000mPa・s以下の状態をいう(成分(C)において同じ)。
【0012】
これら溶剤は、成分(B)として2種以上を併用することもでき、またその含有量は、成分(A)との組み合わせで粘着性被膜を形成して毛髪同士を粘着し、また再整髪を可能とする点から、本発明のエアゾール化粧料における原液中の1〜25重量%とされるが、2〜10重量%、特に4〜8重量%が好ましい。
【0013】
成分(A)と(B)の含有重量比は、ふんわりとした軽い仕上がりと再整髪を可能とする適度な粘着性被膜を形成させる点から、重量比(A)/(B)が0.42〜2.3となるように調整されるが、更には0.47〜2.1、特に0.52〜1.9の範囲に調整することが好ましい。
【0014】
成分(C)のHLB2.8〜20、30℃で液状の非イオン界面活性剤及びN-アセチルエタノールアミドは、成分(A)及び(B)の混和性を向上させ成分(A)の可塑剤として機能するものである。このような非イオン界面活性剤としては、オレイン酸モノグリセライド(HLB2.8)、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド(HLB2.9)、カプリル酸モノグリセライド(HLB3.2)、ソルビタンモノオレエート(HLB4.3)、イソステアリルグリセリルエーテル(HLB5.0)、ソルビタンモノラウレート(HLB8.6)、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(HLB10.5)、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート(HLB11.0)、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(HLB11.8)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(HLB13.3)、ポリオキシエチレン(9)トリデシルエーテル(HLB13.3)、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(HLB14.9)、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート(HLB15.6)などが挙げられる。この中で、イソステアリルグリセリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートが好ましい。なお、ここでのHLBは、グリフィンの方法による計算値を示す。
【0015】
これら非イオン界面活性剤及びN-アセチルエタノールアミドは、成分(C)として2種以上を併用することもでき、またその含有量は、本発明のエアゾール化粧料における原液中の0.1〜20重量%とされるが、0.2〜10重量%、特に0.3〜5重量%が好ましい。
【0016】
成分(C)の含有量と成分(A)と(B)の合計含有量の比率は、毛髪を点接着して、ふんわりとした軽い仕上がりと再整髪を可能とする点から、(C)/〔(A)+(B)〕の重量比が0.05〜0.5となるように調整することが好ましく、0.06〜0.3、特に0.08〜0.2の範囲に調整することが好ましい。
【0017】
成分(D)のエタノール及び/又は水の含有量は、本発明のエアゾール化粧料における原液中の4〜98.4重量%が好ましく、更には30〜98重量%、特に50〜95重量%が好ましい。
【0018】
本発明のエアゾール化粧料は、毛髪同士を点接着させ、ふんわりした軽い仕上がりを実現する観点から、容器から噴射された内溶液(原液)が、測定距離(噴射口からの距離)15cmにおける平均粒径(体積累積分布50%)で10μm以上40μm以下、特に30μm以下の微細な液滴となることが好ましい。
【0019】
本発明のエアゾール化粧料における原液には、エタノール臭、ポリマー臭及び噴射剤臭を含む基剤臭のマスキング、使用時の良好な香り立ち、更には適度な強さの香りの持続性の点から、成分(F)として、一定の化合物群から選ばれる香料化合物を含有させることが好ましい。特に、エアゾール化粧料の噴霧された原液が、上で述べたように非常に細かな液滴となる場合には、その表面積が相対的に大きくなるため、通常のスプレーと比較して、基剤に起因する臭いもより強く感じるが、以下に示す特定の香料化合物を使用することにより、エアゾール化粧料の香り立ちを良くすることができる。また本発明では、香料成分が、毛髪表面に付着した非常に細かな液滴からなる粘着性被膜の中に存在するので、その香りの揮散がより緩やかとなり、香りの持続性に優れている。
【0020】
成分(F)の香料化合物は、リモネン、アンスラニル酸メチル、オイゲノール、オクチルアルデヒド、ノニルアルデヒド、デシルアルデヒド、ウンデシルアルデヒド、ドデシルアルデヒド、α-ヘキシルシンナミックアルデヒド、クマリン、バニリン、シス-3-ヘキセノール、α-ターピネオール、γ-ウンデカラクトン、α-ヨノン、β-ヨノン、α-メチルヨノン、β-メチルヨノン、γ-メチルヨノン、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール(花王社,サンダルマイソールコア)、α-ダマスコン、β-ダマスコン、δ-ダマスコン、α-ダイナスコン、β-ダイナスコン、リリアール、リナロール、フェニルエチルアルコール、ベンジルアルコール、シトロネロール、酢酸ベンジル、酢酸ヘキシル、安息香酸ベンジル、ジャスモン酸メチル、3α,6,6,9α-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン(花王社,アンブロキサン)、フェノキシエチルアルコール、ヘリオトロピン、酢酸アニシル、アニシルアセトン、酢酸オイゲノール、酢酸イソオイゲノール、シクロペンタデカノリド(曽田香料社,ペンタライド)及びサリチル酸シクロヘキシルから選ばれる。
【0021】
上記の香料化合物のうち、リモネン、オイゲノール、ドデシルアルデヒド、α-ヘキシルシンナミックアルデヒド、クマリン、バニリン、シス-3-ヘキセノール、γ-メチルヨノン、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール(花王社,サンダルマイソールコア)、β-ダマスコン、リリアール、リナロール、フェニルエチルアルコール、ベンジルアルコール、シトロネロール、酢酸ベンジル、ジャスモン酸メチル、3α,6,6,9α-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン(花王社,アンブロキサン)、ヘリオトロピン、サリチル酸シクロヘキシルが好ましいものとして挙げられる。
【0022】
成分(F)の香料化合物の含有量は、本発明のエアゾール化粧料における原液中の0.01〜1.0重量%が好ましく、更には0.05〜0.5重量%、更には0.05〜0.3重量%、特に0.1〜0.3重量%が好ましい。
【0023】
また、上記成分(F)と共に原液に使用し得る他の香料化合物としては、ターピノレン、α-ピネン、β-ピネン、イソブチルキノリン、トリプラール、γ-ヨノン、α-イソメチルヨノン、アリルヨノン、α-イロン、β-イロン、γ-イロン、サンタロール、シトロネラール、チューベローズ、2-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセニル)-5-メチル-5-(1-メチルプロピル)-1,3-ジオキサン(クエスト社,カラナール)、p-クレゾール、オリバナムレジノイド、ゲラニルニトリル、4-メチル-2-(2-メチルプロピル)-テトラヒドロ-2H-4-ピラノール(クエスト社,フロローザ)等が挙げられる。
【0024】
成分(F)を含む香料組成物は、希釈剤で希釈して用いることができる。希釈剤としては、メチル(3-オキソ-2-ペンチルシクロペンチル)アセテート、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等のプロピレングリコール類;3-メトキシ-3-メチルブタノール等のアルコール類等が好ましいものとして挙げられる。
【0025】
本発明のエアゾール化粧料の原液には、通常エアゾール化粧料に使用される各種成分、例えば、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、成分(C)以外の非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、pH調整剤、ビタミン類、蛋白質、アミノ酸類、生薬類、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤等を、目的に応じて配合することができる。
【0026】
成分(E)の噴射剤としては、液化天然ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)、炭酸ガス、窒素ガス、これらの混合物等が挙げられる。また、HFC-152a等の代替フロンを使用することもできる。噴射剤の量は、成分(A)〜(D)及び任意成分からなる原液と噴射剤の重量比で、原液/噴射剤=5/95〜80/20、特に40/60〜70/30の範囲が好ましい。また、耐圧容器内の圧力が25℃の温度で0.15〜0.45MPaになるように調整するのが好ましい。
【0027】
原液を前述のような微細な液滴として噴射するためには、成分(A)〜(D)及び任意成分からなる原液の粘度が、1〜12mPa・s、特に1〜8mPa・sの範囲内であることが好ましく、また更に、上で述べた原液/噴射剤の重量比、及び容器内の圧力の条件をも満たすことが好ましい。なお、ここでの粘度は、ブルックフィールド型粘度計(ローター BLアダプター,回転数30rpm,60秒間,30℃)により測定した値を示す。更に、耐圧容器に使用するバルブは、ステム径φ0.33〜0.46mm,ハウジング径φ0.33〜0.65mm×ベーパータップ径φ0〜0.64mmが好ましい。水を含む処方系では、特にステム径φ0.33〜0.42mm,ハウジング径φ0.33〜0.42mm、かつベーパータップ無しが好ましく、非水系では、特にステム径φ0.40〜0.46mm,ハウジング径φ0.42〜0.65mm×ベーパータップ径φ0.33〜0.46mmが好ましい。
【実施例】
【0028】
以下の実施例において、原液粘度は東機産業(株)のB型粘度計(ローター BLアダプター,回転数30rpm,60秒間,30℃)により測定した。噴射された液滴の平均粒径は、Sympatec GmbH, system-Partikel-technik社のレーザー回折式粒子径分布測定装置HELOS SYSTEMを使用し、測定レンジR4(焦点距離200mm,粒度測定範囲0.5/1.8〜350μm)で、レーザー光へ直接スプレーして測定(測定距離15cm)したときの体積累積分布50%の値である。
【0029】
実施例1及び2並びに比較例1〜6
常法に従って表1に示すヘアスプレー原液を調製し、噴射剤としてのLPG(0.25MPa,20℃)と共に、原液/噴射剤(重量比)=60/40で、下記バルブ及びボタンを備えたエアゾール容器に充填した。
バルブ:ステム径φ0.41mm,ハウジング径φ0.64mm×ベーパータップ径φ0.41mm
ボタン:口径φ0.46mm(MB,コンケープ)
(日本プリシジョンバルブ社)
【0030】
このヘアスプレーについて、以下の方法・基準に従って、セット力、再整髪力、ごわつき及びセット持ちを評価した。
【0031】
・セット力
(評価方法)長さ10cm、幅2cmの毛束を水で濡らし、タオルドライ後、直径4cmのロッドに巻いて自然乾燥させた。次に、15cmの距離からヘアスプレーを塗布し、70℃で1時間乾燥させた後、ロッドから毛束を外した。毛束の上端を固定し、外した直後の上端と毛先の高さとの差L0を測定した。次式に従い、L0がカールのない元の髪の長さL(10cm)と同じ場合をセット力0%として評価した。
セット力(%)=(L−L0)/L
【0032】
・再整髪力
(評価方法)長さ10cm、幅2cmの毛束を水で濡らし、タオルドライ後、直径4cmのロッドに巻いて自然乾燥させた。次に、15cmの距離からヘアスプレーを塗布し室温で1時間自然乾燥させた後、ロッドから毛束を外した。毛束の上端を固定し、外した直後の上端と毛先の高さとの差L0を測定した。くしを通して崩した毛束を再度直径4cmのロッドに巻いて、室温でさらに60分間自然乾燥させた後、ロッドから毛束を外した。毛束の上端を固定し、外した直後の上端と毛先の高さとの差L60を測定した。次式に従い、カールのない元の髪の長さをL(10cm)とし、最初のカールのとおりに櫛通し後もカールが出来た場合を100%として評価した。
再セット力(%)=(L−L60)/(L−L0
【0033】
・ごわつきのなさ
(評価方法)それぞれのヘアスプレーを実験用人頭モデル(ウィッグ)に噴射し、乾燥後のごわつきのなさについて、以下の基準に従って10名の専門パネラーにより官能評価を行い、評価点の平均値を示した。
【0034】
・セットの持ち
(評価方法)それぞれのヘアスプレーを実験用人頭モデル(ウィッグ)に噴射して整えた後、25℃/65%RHで6時間静置後の状態について、以下の基準に従って10名の専門パネラーにより官能評価を行い、評価点の平均値を示した。
【0035】
(評価基準)
5:非常に良い
4:良い
3:やや良い
2:やや悪い
1:悪い
【0036】
【表1】

【0037】
実施例3
常法に従って下記処方のヘアスプレー原液を調製し、噴射剤としてのLPG(0.25MPa,20℃)と共に、原液/噴射剤(重量比)=60/40で、実施例1と同じエアゾール容器に充填した。原液の粘度は8.7mPa・s、噴射時の液滴の平均粒子径は29μmであった。
【0038】
原液組成 (重量%)
(A)毛髪セット用ポリマー*1 6.0
(B)ジプロピレングリコール 4.0
(C)イソステアリルグリセリルエーテル(HLB5.0) 1.0
(D)無水エタノール バランス
(F)香料組成物(表2〜7に示されるもの) 0.2
(その他)
乳酸(90重量%水溶液) 0.08
【0039】
*1:特開平8-291206号公報に記載の方法に従って合成した。
t-ブチルアクリルアミド/ジメチルアクリルアミド/ジメチルアミノプロピルアクリルアミド/メトキシポリエチレングリコール(PEG400)メタクリレート共重合体 <52/24/2/22(重量%)>
【0040】
このヘアスプレーは、毛髪に粘着性被膜を形成し、毛髪を粘着してふんわりとした軽い仕上がりが得られ、再整髪も可能であった。
【0041】
このヘアスプレーについて、専門パネラー2名により、以下の方法・基準に従って、マスキング性、香り立ち及び残香性を官能評価し、評価点の平均値を示した。
【0042】
・マスキング性
(評価方法)このヘアスプレーを実験用人頭モデル(ウィッグ)に噴射し、直ちに香りを下記の基準で評価する。
【0043】
(評価基準)
5:基剤臭*1を完全にマスキングしている。
4:基剤臭を良くマスキングしている。
3:基剤臭を十分にマスキングしている。
2:基剤臭のマスキングが不十分である。
1:基剤臭のマスキングが著しく不十分である。
【0044】
*1:基剤臭はエタノール臭、ポリマー臭、噴射剤臭から成る。
【0045】
・香り立ち
(評価方法)このヘアスプレーを実験用人頭モデル(ウィッグ)に噴射し、直ちに香りを下記の基準で評価する。
【0046】
(評価基準)
5:香り立ちが非常に良い。
4:香り立ちが良い。
3:香り立ちがやや良い。
2:香り立ちがやや悪い。
1:香り立ちが悪い。
【0047】
・残香性
(評価方法)このヘアスプレーを実験用人頭モデル(ウィッグ)に噴射し、1時間後の香りを下記の基準で評価する。
【0048】
(評価基準)
5:香りが非常に良く残る。
4:香りが良く残る。
3:香りがやや残る。
2:香りが非常に弱くしか残らない。
1:香りが全く残らない。
【0049】
【表2】

【0050】
【表3】

【0051】
【表4】

【0052】
【表5】

【0053】
【表6】

【0054】
【表7】

【0055】
実施例4
常法に従って下記処方のヘアスプレー原液を調製し、噴射剤としてのLPG(0.25MPa,20℃)と、原液/LPG(重量比)=40/60で、実施例1と同じエアゾール容器に充填した。原液の粘度は5.6mPa・s、噴射時の液滴の平均粒子径は20μmであった。
【0056】
原液組成 (重量%)
(A)プラスサイズL-9540B(40重量%,互応化学社)*1 12.5
(B)ヘキシレングリコール 3.0
(B)ポリエチレングリコール600 1.0
(C)レオドールTW-S120(HLB:14.9,花王社)*2 0.5
(C)N-アセチルエタノールアミド 0.5
(D)無水エタノール バランス
【0057】
*1:アクリル樹脂アルカノールアミン液
*2:ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(20E.O.)
【0058】
このヘアスプレーは、毛髪に粘着性被膜を形成し、毛髪を粘着してふんわりとした軽い仕上がりが得られ、再整髪も可能であった。
【0059】
また、上記ヘアスプレーの処方に、更に成分(F)として表8に示される香料組成物0.01重量%を追加したヘアスプレーについて、専門パネラーにより、実施例3と同一の方法・基準に従って、マスキング性、香り立ち及び残香性を官能評価し、評価点の平均値を示した。
【0060】
【表8】

【0061】
実施例5
常法に従って下記処方のヘアスプレー原液を調製し、原液/DME/HFC152a(重量比)=60/20/20で、下記バルブ及びボタンを備えたエアゾール容器に充填した。原液の粘度は3.0mPa・s、噴射時の液滴の平均粒子径は40μmであった。
バルブ:ステム径φ0.33mm,ハウジング径φ0.33mm×ベーパータップ無し
ボタン:口径φ0.41mm(MB,コンケープ)
(日本プリシジョンバルブ社)
【0062】
原液組成 (重量%)
(A)ルビスコールプラス(40重量%,BASF社)*1 7.5
(B)ジプロピレングリコール 4.0
(B)プロピレングリコール 1.0
(C)ソフタノール90(HLB:13.3,日本触媒社)*2 1.0
(D)精製水 バランス
(D)無水エタノール 5.0
【0063】
*1:ポリビニルカプロラクタム
*2:ポリオキシエチレントリデシルエーテル(9E.O.)
【0064】
このヘアスプレーは、毛髪に粘着性被膜を形成し、毛髪を粘着してふんわりとした軽い仕上がりが得られ、再整髪も可能であった。
【0065】
また、上記ヘアスプレーの処方に、更に成分(F)として表9に示される香料組成物1.0重量%を追加したヘアスプレーについて、専門パネラーにより、実施例3と同一の方法・基準に従って、マスキング性、香り立ち及び残香性を官能評価し、評価点の平均値を示した。
【0066】
【表9】

【0067】
実施例6
常法に従って下記処方のヘアスプレー原液を調製し、噴射剤としてのLPG(0.25MPa,20℃)と、原液/LPG(重量比)=50/50で、実施例1と同じエアゾール容器に充填した。原液の粘度は5.4mPa・s、噴射時の液滴の平均粒子径は23μmであった。
【0068】
原液組成 (重量%)
(A) アルキルアクリルアミド/アクリレート/
アルキルアミノアルキルアクリルアミド/
ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体*1 4.0
(B)アデカカーポールDL-30(旭電化社)*2 4.0
(B)1,3-ブチレングリコール 1.0
(C)ペネトールGE-IS(HLB5.0,花王社)*3 0.5
(D)無水エタノール バランス
(その他)
乳酸 0.4
【0069】
*1:特開平2-180911号公報に従って合成した被膜形成樹脂
t-ブチルアクリルアミド/エチルアクリレート/ジメチルアミノプロピルアクリルアミド/メトキシポリエチレングリコール(PEG400)メタクリレート=55/20/15/10(重量%)
*2:ポリプロピレングリコール(重合度9)
*3:イソステアリルグリセリルエーテル
【0070】
このヘアスプレーは、毛髪に粘着性被膜を形成し、毛髪を粘着してふんわりとした軽い仕上がりが得られ、再整髪も可能であった。
【0071】
実施例7
常法に従って下記処方のヘアスプレー原液を調製し、原液/HFC152a(重量比)=72/28で、実施例1と同じエアゾール容器に充填した。原液の粘度は3.7mPa・s、噴射時の液滴の平均粒子径は32μmであった。
【0072】
原液組成 (重量%)
(A) アンフォーマーSH-701
(30重量%,ナショナル・スターチ&ケミカル社)*1 4.15
(A) レジン28-2930(ナショナル・スターチ&ケミカル社)*2 1.25
(B) ジプロピレングリコール 5.0
(C) ペネトールGE-IS(HLB5.0,花王社)*3 3.0
(D) 無水エタノール バランス
(その他)
アミノメチルプロパノール 0.6
(F)香料(実施例3 香料組成物66) 0.1
【0073】
*1:(オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル)コポリマー
*2:(VA/クロトン酸/ネオデカン酸ビニル)コポリマー
*3:イソステアリルグリセリルエーテル
【0074】
このヘアスプレーは、毛髪に粘着性被膜を形成し、毛髪を粘着してふんわりとした軽い仕上がりが得られ、再整髪も可能であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(E)
(A) 整髪性ポリマー:0.5〜10重量%
(B) 水酸基を2個以上有し、分子量62以上1000以下であり、30℃で液状の溶剤:1〜25重量%
(C) ポリオキシエチレン(9)トリデシルエーテル:0.1〜20重量%
(D) エタノール及び/又は水
を含有する原液、並びに
(E) 噴射剤
を耐圧容器中に含有し、(A)/(B)の重量比が0.42〜2.3であるエアゾール化粧料。
【請求項2】
(C)/〔(A)+(B)〕の重量比が0.05〜0.5である請求項1記載のエアゾール化粧料。
【請求項3】
更に、次の成分(F)を含有する請求項1又は2記載のエアゾール化粧料。
(F) リモネン、アンスラニル酸メチル、オイゲノール、オクチルアルデヒド、ノニルアルデヒド、デシルアルデヒド、ウンデシルアルデヒド、ドデシルアルデヒド、α-ヘキシルシンナミックアルデヒド、クマリン、バニリン、シス-3-ヘキセノール、α-ターピネオール、γ-ウンデカラクトン、α-ヨノン、β-ヨノン、α-メチルヨノン、β-メチルヨノン、γ-メチルヨノン、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール、α-ダマスコン、β-ダマスコン、δ-ダマスコン、α-ダイナスコン、β-ダイナスコン、リリアール、リナロール、フェニルエチルアルコール、ベンジルアルコール、シトロネロール、酢酸ベンジル、酢酸ヘキシル、安息香酸ベンジル、ジャスモン酸メチル、3α,6,6,9α-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、フェノキシエチルアルコール、ヘリオトロピン、酢酸アニシル、アニシルアセトン、酢酸オイゲノール、酢酸イソオイゲノール、シクロペンタデカノリド及びサリチル酸シクロヘキシルから選ばれる1種以上の香料化合物
【請求項4】
成分(F)の含有量が、原液中の0.01〜1.0重量%である請求項3記載のエアゾール化粧料。
【請求項5】
原液の粘度が1〜12mPa・sの範囲内であり、耐圧容器がステム径φ0.33〜0.46mm、ハウジング径φ0.33〜0.65mm×ベーパータップ径φ0〜0.64mmのバルブを使用するものであり、耐圧容器内の圧力が25℃の温度で0.15〜0.45MPaであるエアゾール化粧料であって、容器から噴射したときの液滴の平均粒径(体積累積分布50%)が、10μm以上40μm以下(測定距離:噴射口から15cm)である請求項1〜4のいずれかに記載のエアゾール化粧料。

【公開番号】特開2007−145878(P2007−145878A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−71015(P2007−71015)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【分割の表示】特願2004−192728(P2004−192728)の分割
【原出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】