エアゾール容器の定量噴射機構および、この定量噴射機構を備えたエアゾール式製品
【課題】定量噴射機構において、確実な動作を担保しつつ、構成部品点数を少なくして製品の組立工程の簡単化やコストの低減化を図る。
【解決手段】ステム３側の流入弁（横孔部３ｂおよびステムガスケット）とボタン５側の出力弁（円錐台状部４ａおよび小径垂下部５ａ）との間に定量空間域が形成される。ボタン５を押下げた「流入弁が開き、出力弁が閉じた」ときに内容物が定量空間域に流入する。その後でボタン５の押圧操作が解除されるとステム３が上動して流入弁は閉じる。そして、定量空間域に収納された内容物の圧力に基づいてボタン５が（ステム３と一体の）弁座部４に対し上動し、出力弁はそれまでの閉状態から図示の開状態へと移行し、定量空間域の内容物が噴射口６ｂから外部空間に噴射される。本発明ではこのように、出力弁を開状態に付勢するための、弁座部４とボタン５との間の弾性部材を省略している。
【解決手段】ステム３側の流入弁（横孔部３ｂおよびステムガスケット）とボタン５側の出力弁（円錐台状部４ａおよび小径垂下部５ａ）との間に定量空間域が形成される。ボタン５を押下げた「流入弁が開き、出力弁が閉じた」ときに内容物が定量空間域に流入する。その後でボタン５の押圧操作が解除されるとステム３が上動して流入弁は閉じる。そして、定量空間域に収納された内容物の圧力に基づいてボタン５が（ステム３と一体の）弁座部４に対し上動し、出力弁はそれまでの閉状態から図示の開状態へと移行し、定量空間域の内容物が噴射口６ｂから外部空間に噴射される。本発明ではこのように、出力弁を開状態に付勢するための、弁座部４とボタン５との間の弾性部材を省略している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、エアゾール式製品に用いられる定量噴射機構に関する。
特にエアゾール式製品の操作部をその静止モードから例えば押圧操作したときにステム流入弁が開いて閉状態の出力弁との間の定量空間域に内容物を流入させた上で、当該操作部の操作解除により静止モードへ復帰する際に流入弁が閉じて出力弁が開くようにした定量噴射機構に関する。
【０００２】
この定量噴射機構は、
・静止モードの操作部を例えば押圧操作してステム流入弁が開くことにより、当該流入弁と、閉状態の操作部側出力弁との間の定量空間域に内容物を流入させて収納し、
・操作解除にともなうステムの復帰動作に基づいて当該出力弁が開き、定量空間域の内容物を外部空間に噴射する、
タイプのものである。
【０００３】
ここで上記定量噴射機構において、確実な動作を担保しながら、その構成部品点数を少しでも減らすことが望ましいのは勿論であり、本発明はこのような要請に応えるものである。
【背景技術】
【０００４】
本件出願人はすでに上記タイプの定量噴射機構、すなわち操作ボタンの押圧操作時ではなく、この押圧操作を解除したときの当該操作ボタンの復帰動作にともなって（ステム流入弁と操作部側出力弁との間の）定量空間域の内容物を噴射する、といったタイプの定量噴射機構を提案している（特許文献１参照）。なお、以下の記載での[ ]付きの数字は当該特許文献１における参照番号を示している。
【０００５】
この定量噴射機構は、
1. ステム[3]（＝本発明のステム）
2. 当該ステムに取り付けられた弁座部[10]（本発明の基部に対応）
3. 当該ステムおよび当該弁座部の一体化部材に対して上下動可能な態様で設定された噴射ボタン本体[20]（本発明の操作部に対応）
4. 当該弁座部と当該噴射ボタン本体との間に設けられてこのボタン本体を上方向に付勢するコイルスプリング[15]
などの構成部材からなる。
【０００６】
そして、弁座部[10]の環状弁座[17]と噴射ボタン本体[20]の環状弁体[27]とで定量空間域の出力弁を構成している。
【０００７】
噴射ボタン本体[20]を押下げていない静止モードの場合、コイルスプリング[15]の弾性力により出力弁が閉じている。このときステム[3]のいわゆる流入弁（＝内容物通過用のステム周面孔部とこれを開閉するステムガスケットとからなる弁）が周知のコイルスプリングの作用により閉じている、ことは勿論である。
【０００８】
噴射ボタン本体[20]をその静止モードの位置から押下げると、先ず当該ボタン本体のみがコイルスプリング[15]の弾性力に抗しながら下動して出力弁が閉じる。
【０００９】
出力弁が閉じた後は、ステム[3]，弁座部[10]および噴射ボタン本体[20]が一体となって、すなわち出力弁が閉じたまま下動してステム流入弁が開き、内容物が定量空間域に入り込む。
【００１０】
次に、利用者が噴射ボタンの押下げ操作を止めると、ステム[3]が（ステム用の）コイルスプリングの弾性作用により上動して流入弁は閉じ、かつ、噴射ボタン本体[20]がコイルスプリング[15]の弾性作用により（弁座部[10]に対して）上動して定量空間域の出力弁は開く。そのため、定量空間域の内容物のみが外部空間に噴射される。
【特許文献１】特開２００３−２９９９１号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１１】
本件出願人は、以上の定量噴射機構について更なる考察，検討，試作を重ねた結果、噴射ボタン本体付勢用の上記コイルスプリング[15]を省略しても、ステムの静止モードへの復帰の際に、定量空間域の出力弁が内容物の圧力で「開」状態になる、すなわち定量空間域の内容物が外部空間に確実に噴射されることを検証した。
【００１２】
本発明ではこのように、上記特許文献１で提案済みの定量噴射機構の構成要素である噴射ボタン付勢用のコイルスプリングをいわば捨象しても内容物の定量噴射機能が損なわれないことに着目し、これにより確実な動作を担保しつつ、構成部品点数を少なくして製品の組立工程の簡単化やコストの低減化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１３】
本発明は、以上の課題を次のようにして解決する。
（１）エアゾール容器のバルブ機能としての流入弁を構成するステム（例えば後述のステム３），当該ステムの出力側に取り付けられて内容物の通路域（例えば後述のＬ字状溝部４ｂ）を持つ定量空間域形成用の基部（例えば後述の弁座部４）および、当該基部に対して移動可能で内容物の通路域を持つ定量空間域形成用の操作部（例えば後述の押しボタン５）からなるとともに、当該基部の一部と当該操作部の一部とで出力弁（例えば後述の円錐台状部４ａおよび環状の小径垂下部５ａ）を形成し、
静止モードの前記操作部が操作されて、前記出力弁を閉じた状態で、ステムが前記流入弁（例えば後述の横孔部３ｂおよびステムガスケット）の開状態へと移動することにより、当該流入弁から当該出力弁までの定量空間域（例えば後述の定量空間域Ａ）に内容物が流入し、かつ、その後で当該操作が解除されて前記ステムが静止モードに復帰するときに当該流入弁は閉じ、当該出力弁は開くことにより、当該定量空間域の内容物が外部空間に噴射される定量噴射機構において、
前記出力弁を開状態に付勢するための前記基部と前記操作部との間の弾性部材を省略し、前記ステムが上述の内容物流入モードから静止モードに復帰するとき、当該出力弁は前記定量空間域の内容物の圧力のみに基づいてそれまでの閉状態から開状態へと移行する、
態様をとる。
【００１４】
このような構成からなる定量噴射機構および、当該定量噴射機構を備えたエアゾール式製品を本発明の対象としている。
【発明の効果】
【００１５】
本発明は、本件出願人がすでに提案済みの上記定量噴射機構の構成要素である噴射ボタン付勢用のコイルスプリングを省略しているので、製品の組立工程の簡単化やコストの低減化を図ることができる。また、その前提としての確実な定量噴射動作も確保される。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１６】
図１乃至図３を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【００１７】
ここで、
図１は、本発明の定量噴射機構の静止モード（＝押しボタンが未操作であって、ステム側の流入弁および押しボタン側の出力弁はともに閉じた状態）を示し、
図２は、図１の噴射機構の定量空間域への内容物流入モード（＝押しボタンが押圧操作されて、流入弁は開き、出力弁は閉じたままの状態）を示し、
図３は、図１の噴射機構の定量空間域からの内容物放出モード（＝押しボタンの押圧操作が解除されて、流入弁は閉じ、出力弁は開いた状態）を示している。
【００１８】
以下のアルファベット付き参照番号の構成要素（例えば通路域３ａ）は原則として、当該参照番号の数字部分の構成要素（例えばステム３）の一部であることを示している。
【００１９】
図１〜図３において、
Ａはステム部分の流入弁から押しボタン部分の出力弁までの連続した定量空間域（図１参照），
Ｂは容器本体から当該定量空間域への内容物流入状況（図２参照），
Ｃは当該定量空間域から外部空間への内容物放出状況（図３参照），
１は後述の内容物および噴射用ガスを収納したエアゾール式製品の容器本体（図示省略）の開口端部側に取り付けられたマウンティングキャップ，
２はマウンティングキャップ１の中央部分に取り付けられたハウジング，
３はその下側部分がハウジング２の内部に配設され、かつ、周知のコイルスプリング（図示省略）の弾性作用で図示上方向に付勢されて周知のステムガスケット（図示省略）とともに弁作用（＝定量空間域Ａの流入弁作用）を呈するステム，
３ａは内容物の通路域，
３ｂは定量空間域Ａの流入弁を構成する横孔部，
４はステム３の出力側外周面と強く嵌合して図示上下方向に連動し、かつ、後述の押しボタンとともに弁作用（＝定量空間域Ａの出力弁作用）を呈する筒状の弁座部，
４ａは定量空間域Ａの出力弁を構成する中央の円錐台状部，
４ｂは当該弁座部の天井部分（≒円錐台状部４ａ）に複数形成されてそれぞれ内容物の通路域として作用するＬ字状溝部（孔部），
４ｃは後述の小径垂下部５ａの内周面に当接してシール作用を呈するとともに定量空間域Ａを画定する環状の逆スカート部，
４ｄは当該弁座部の外周面（の当該逆スカート部よりも下側部分）に形成されて当該弁座部に対する後述の押しボタン５の少なくとも上動位置（図３参照）を規制する環状の凹状部，
５は弁座部４に対して上下動可能で、かつ、当該弁座部とともに定量空間域の出力弁を構成する押しボタン，
５ａは円錐台状部４ａに対応した環状の小径垂下部，
５ｂは当該小径垂下部の外側に形成された環状の大径垂下部，
５ｃは当該大径垂下部の内周面下部分に、凹状部４ｄに対応する態様で形成された環状の凸状部，
６は押しボタン５の出力側に取り付けられた筒状の噴射用ピース，
６ａは内容物の通路域，
６ｂは内容物の噴射口，
をそれぞれ示している。
【００２０】
ここで、ハウジング２，ステム３，弁座部４，押しボタン５および噴射用ピース６などはポリプロピレン，ポリエチレン，ポリアセタール，ナイロン，ポリブチレンテレフタレートなどからなるプラスチック製のものである。
【００２１】
図１の静止モードでは、通常のエアゾール式製品と同様にステム３がコイルスプリング（図示省略）の弾性力に基づいて上動し、ステムの横孔部３ｂは周知のステムガスケット（図示省略）で閉塞されている。すなわち定量空間域Ａの流入弁は「閉」状態である。
【００２２】
押しボタン５は、その小径垂下部５ａの内側下端部分が（ステム３と一体の）弁座部４の円錐台状部４ａに当接した状態になっている。
【００２３】
なお、前回の内容物放出モード（図３参照）における出力弁の開きの程度（＝円錐台状部４ａと小径垂下部５ａとの間隔）や、大径垂下部５ｂの内周面と弁座部４の逆スカート部４ｃとの摩擦力の大きさに応じて、この内側下端部と円錐台状部４ａとがわずか離間した態様の静止モードとなることもある。
【００２４】
図２の内容物流入モードは、利用者が静止モードの操作ボタン５を押圧して、当該操作ボタン，弁座部４およびステム３が一体となって押下げられた状態である。
【００２５】
このとき、小径垂下部５ａ（操作ボタン５）の内側下端部分が弁座部４の円錐台状部４ａに密接し、かつ、ステム３の横孔部３ｂが、通常のエアゾール式製品の場合と同じようにそれまでのステムガスケットによる閉塞から解除された状態になる。
【００２６】
すなわち定量空間域Ａの流入弁が開き、出力弁が閉じることになり、容器本体の内容物が矢印Ｂで示すように当該定量空間域に入り込んで収納される。ここで、内容物は、弁座部４と押しボタン５との間で形成される図示上方の定量空間域Ａ（図１参照）には「横孔部３ｂ−通路域３ａ−Ｌ字状溝部４ｂ」を経て、流入する。
【００２７】
図３の内容物放出モードは、利用者が操作ボタン５の押圧操作を解除して、
(1)ステム３がステム用コイルスプリング（図示省略）の弾性力により上動して図１の位置に復帰し、その横孔部３ｂが通常のエアゾール式製品の場合と同じようにステムガスケットで閉塞され、
(2)かつ、定量空間域Ａに収納済みの内容物の圧力により押しボタン５が弁座部４に対して上動し、小径垂下部５ａの内側下端部分と弁座部４の円錐台状部４ａとが離間した、
状態になっている。
【００２８】
すなわち定量空間域Ａの流入弁が閉じ、出力弁が開くことになり、それまで当該定量空間域に収納されていた内容物は、矢印Ｃで示すように「小径垂下部５ａの内側下端部分と弁座部４の円錐台状部４ａとの隙間部分−小径垂下部５ａ−噴射用ピース６の通路域６ａ−噴射口６ｂ」などを経て外部空間に噴射される。
【００２９】
ここで、定量空間域Ａに収納済みの内容物の圧力により押しボタン５が弁座部４に対して上動するのは、当該押しボタンの小径垂下部５ａの下端面部分および、小径垂下部５ａと大径垂下部５ｂとの間の環状空間域の天井面部分のそれぞれに、図示上方向の内容物圧力が作用するからである。
【００３０】
このように本発明では、定量空間域Ａの出力弁を開くための押しボタン復帰用のコイルスプリングを設けるのではなく、当該定量空間域の収納内容物の圧力自体により当該出力弁を「開」状態に設定している。
【００３１】
したがって、このコイルスプリングの分だけ、定量噴射機構の部品点数が減るとともに静止モードの押しボタンの押圧操作が軽いものとなる。
【００３２】
図２の内容物流入モードおよび図３の内容物放出モードの各動作が担保されるためには、定量空間域Ａの収納内容物の圧力に関し、
(11)図２のモードにおける、ステム３および弁座部４に対して図示下方向に作用する（当該圧力に基づく）荷重が、ステム用の周知のコイルスプリング（図示省略）の上方向への付勢力、例えば2.0kgfよりも小さく、
(12)かつ、図３のモードにおける、押しボタン５に対して図示上方向に作用する（当該圧力に基づく）荷重が、当該押しボタンの自重および、逆スカート部４ｃと大径垂下部５ｂとの間の摩擦力の合力よりも大きい、
ことが必要である。
【００３３】
これは、例えば上記(11)の要件を満足しないと、上記内容物圧力の作用で弁座部４と押しボタン５とが相対的に離れる方向に移動、例えばステム３および弁座部４が図２の位置よりも下動して定量空間域Ａの出力弁（＝弁座部４の円錐台状部４ａと小径垂下部５ａの内側下端部分とからなる弁構造）が開き、通常の噴射状態になるからである。
【００３４】
以上の定量空間域Ａの収納内容物の圧力に基づく上記荷重は例えば（0.3〜1.5）kgfに設定する。ただ、この数値は単なる一例であって、上記(11)，(12)の要件を満たす任意の値に設定し得ることは勿論である。
【００３５】
なお、図３の放出モードにおける定量空間域Ａの内容物が略外部空間に噴射されて定量空間域Ａの内容物圧力がいわば消失すると、押しボタン５はその自重でいくらか下動して図１の状態へと移行する。
【００３６】
本発明は、以上述べた押しボタンタイプの操作部に限定されるのではなく、チルトタイプやレバータイプなどの各種操作部にも適用可能である。
【００３７】
本発明が適用されるエアゾール式製品としては、消臭剤，洗浄剤，清掃剤，制汗剤，冷却剤，筋肉消炎剤，ヘアスタイリング剤，ヘアトリートメント剤，染毛剤，育毛剤，化粧品，シェービングフォーム，食品，液滴状のもの（ビタミンなど），医薬品，医薬部外品，塗料，園芸用剤，忌避剤（殺虫剤），クリーナー，洗濯のり，ウレタンフォーム，消火器，接着剤，潤滑剤などの各種用途のものがある。
【００３８】
容器本体に収納する内容物は、例えば、粉状物，油成分，アルコール類，界面活性剤，高分子化合物，各用途に応じた有効成分などである。
【００３９】
粉状物としては、金属塩類粉末，無機物粉末や樹脂粉末などを用いる。例えば、タルク，カオリン，アルミニウムヒドロキシクロライド（アルミ塩），アルギン酸カルシウム，金粉，銀粉，雲母，炭酸塩，硫酸バリウム，セルロース，これらの混合物などを用いる。
【００４０】
油成分としては、シリコーン油，パーム油，ユーカリ油，ツバキ油，オリーブ油，ホホバ油，パラフィン油，ミリスチン酸，パルミチン酸，ステアリン酸，リノール酸，リノレン酸などを用いる。
【００４１】
アルコール類としては、エタノールなどの１価の低級アルコール，ラウリルアルコールなどの１価の高級アルコール，エチレングリコールなどの多価アルコールなどを用いる。
【００４２】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどの非イオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの両性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤などを用いる。
【００４３】
高分子化合物としては、メチルセルロース，ゼラチン，デンプン，カゼインなどを用いる。
【００４４】
各用途に応じた有効成分としては、サリチル酸メチル，インドメタシンなどの消炎鎮痛剤、安息香酸ナトリウム，クレゾールなどの除菌剤、ヒレスロイド，ジエチルトルアミドなどの害虫忌避剤、酸化亜鉛などの制汗剤、カンフル，メントールなどの清涼剤、エフェドリン，アドレナリンなどの抗喘息薬、スクラロース，アスパルテームなどの甘味料、エポキシ樹脂，ウレタンなどの接着剤や塗料、パラフェニレンジアミン，アミノフェノールなどの染料，リン酸二水素アンモニウム，炭酸水素ナトリウム・カリウムなどの消火剤などを用いる。
【００４５】
さらに、上記内容物以外の、懸濁剤，紫外線吸収剤，乳化剤，保湿剤，酸化防止剤、金属イオン封鎖剤なども用いることができる。
【００４６】
エアゾール式製品における内容物噴射用ガスとしては、炭酸ガス，窒素ガス，圧縮空気，酸素ガス，希ガス，これらの混合ガスなどの圧縮ガスや、液化石油ガス，ジメチルエーテル，フロロカーボンなどの液化ガスを用いる。
【図面の簡単な説明】
【００４７】
【図１】本発明の、静止モード（＝押しボタンが未操作であって、ステム側の流入弁および押しボタン側の出力弁はともに閉じた状態）を示す説明図である。
【図２】本発明の、定量空間域への内容物流入モード（＝押しボタンが押圧操作されて、流入弁は開き、出力弁は閉じたままの状態）を示す説明図である。
【図３】本発明の、定量空間域からの内容物放出モード（＝押しボタンの押圧操作が解除されて、流入弁は閉じ、出力弁は開いた状態）を示す説明図である。
【符号の説明】
【００４８】
Ａ：流入弁から出力弁までの連続した定量空間域（図１参照）
Ｂ：容器本体から定量空間域への内容物流入状況（図２参照）
Ｃ：定量空間域から外部空間への内容物放出状況（図３参照）
１：マウンティングキャップ
２：ハウジング
３：ステム
３ａ：内容物の通路域
３ｂ：定量空間域Ａの流入弁を構成する横孔部
４：筒状の弁座部
４ａ：定量空間域Ａの出力弁を構成する中央の円錐台状部
４ｂ：Ｌ字状溝部（孔部）
４ｃ：環状の逆スカート部
４ｄ：環状の凹状部
５：押しボタン
５ａ：環状の小径垂下部
５ｂ：大径垂下部
５ｃ：環状の凸状部
６：筒状の噴射用ピース
６ａ：内容物の通路域
６ｂ：内容物の噴射口
【技術分野】
【０００１】
本発明は、エアゾール式製品に用いられる定量噴射機構に関する。
特にエアゾール式製品の操作部をその静止モードから例えば押圧操作したときにステム流入弁が開いて閉状態の出力弁との間の定量空間域に内容物を流入させた上で、当該操作部の操作解除により静止モードへ復帰する際に流入弁が閉じて出力弁が開くようにした定量噴射機構に関する。
【０００２】
この定量噴射機構は、
・静止モードの操作部を例えば押圧操作してステム流入弁が開くことにより、当該流入弁と、閉状態の操作部側出力弁との間の定量空間域に内容物を流入させて収納し、
・操作解除にともなうステムの復帰動作に基づいて当該出力弁が開き、定量空間域の内容物を外部空間に噴射する、
タイプのものである。
【０００３】
ここで上記定量噴射機構において、確実な動作を担保しながら、その構成部品点数を少しでも減らすことが望ましいのは勿論であり、本発明はこのような要請に応えるものである。
【背景技術】
【０００４】
本件出願人はすでに上記タイプの定量噴射機構、すなわち操作ボタンの押圧操作時ではなく、この押圧操作を解除したときの当該操作ボタンの復帰動作にともなって（ステム流入弁と操作部側出力弁との間の）定量空間域の内容物を噴射する、といったタイプの定量噴射機構を提案している（特許文献１参照）。なお、以下の記載での[ ]付きの数字は当該特許文献１における参照番号を示している。
【０００５】
この定量噴射機構は、
1. ステム[3]（＝本発明のステム）
2. 当該ステムに取り付けられた弁座部[10]（本発明の基部に対応）
3. 当該ステムおよび当該弁座部の一体化部材に対して上下動可能な態様で設定された噴射ボタン本体[20]（本発明の操作部に対応）
4. 当該弁座部と当該噴射ボタン本体との間に設けられてこのボタン本体を上方向に付勢するコイルスプリング[15]
などの構成部材からなる。
【０００６】
そして、弁座部[10]の環状弁座[17]と噴射ボタン本体[20]の環状弁体[27]とで定量空間域の出力弁を構成している。
【０００７】
噴射ボタン本体[20]を押下げていない静止モードの場合、コイルスプリング[15]の弾性力により出力弁が閉じている。このときステム[3]のいわゆる流入弁（＝内容物通過用のステム周面孔部とこれを開閉するステムガスケットとからなる弁）が周知のコイルスプリングの作用により閉じている、ことは勿論である。
【０００８】
噴射ボタン本体[20]をその静止モードの位置から押下げると、先ず当該ボタン本体のみがコイルスプリング[15]の弾性力に抗しながら下動して出力弁が閉じる。
【０００９】
出力弁が閉じた後は、ステム[3]，弁座部[10]および噴射ボタン本体[20]が一体となって、すなわち出力弁が閉じたまま下動してステム流入弁が開き、内容物が定量空間域に入り込む。
【００１０】
次に、利用者が噴射ボタンの押下げ操作を止めると、ステム[3]が（ステム用の）コイルスプリングの弾性作用により上動して流入弁は閉じ、かつ、噴射ボタン本体[20]がコイルスプリング[15]の弾性作用により（弁座部[10]に対して）上動して定量空間域の出力弁は開く。そのため、定量空間域の内容物のみが外部空間に噴射される。
【特許文献１】特開２００３−２９９９１号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１１】
本件出願人は、以上の定量噴射機構について更なる考察，検討，試作を重ねた結果、噴射ボタン本体付勢用の上記コイルスプリング[15]を省略しても、ステムの静止モードへの復帰の際に、定量空間域の出力弁が内容物の圧力で「開」状態になる、すなわち定量空間域の内容物が外部空間に確実に噴射されることを検証した。
【００１２】
本発明ではこのように、上記特許文献１で提案済みの定量噴射機構の構成要素である噴射ボタン付勢用のコイルスプリングをいわば捨象しても内容物の定量噴射機能が損なわれないことに着目し、これにより確実な動作を担保しつつ、構成部品点数を少なくして製品の組立工程の簡単化やコストの低減化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１３】
本発明は、以上の課題を次のようにして解決する。
（１）エアゾール容器のバルブ機能としての流入弁を構成するステム（例えば後述のステム３），当該ステムの出力側に取り付けられて内容物の通路域（例えば後述のＬ字状溝部４ｂ）を持つ定量空間域形成用の基部（例えば後述の弁座部４）および、当該基部に対して移動可能で内容物の通路域を持つ定量空間域形成用の操作部（例えば後述の押しボタン５）からなるとともに、当該基部の一部と当該操作部の一部とで出力弁（例えば後述の円錐台状部４ａおよび環状の小径垂下部５ａ）を形成し、
静止モードの前記操作部が操作されて、前記出力弁を閉じた状態で、ステムが前記流入弁（例えば後述の横孔部３ｂおよびステムガスケット）の開状態へと移動することにより、当該流入弁から当該出力弁までの定量空間域（例えば後述の定量空間域Ａ）に内容物が流入し、かつ、その後で当該操作が解除されて前記ステムが静止モードに復帰するときに当該流入弁は閉じ、当該出力弁は開くことにより、当該定量空間域の内容物が外部空間に噴射される定量噴射機構において、
前記出力弁を開状態に付勢するための前記基部と前記操作部との間の弾性部材を省略し、前記ステムが上述の内容物流入モードから静止モードに復帰するとき、当該出力弁は前記定量空間域の内容物の圧力のみに基づいてそれまでの閉状態から開状態へと移行する、
態様をとる。
【００１４】
このような構成からなる定量噴射機構および、当該定量噴射機構を備えたエアゾール式製品を本発明の対象としている。
【発明の効果】
【００１５】
本発明は、本件出願人がすでに提案済みの上記定量噴射機構の構成要素である噴射ボタン付勢用のコイルスプリングを省略しているので、製品の組立工程の簡単化やコストの低減化を図ることができる。また、その前提としての確実な定量噴射動作も確保される。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１６】
図１乃至図３を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【００１７】
ここで、
図１は、本発明の定量噴射機構の静止モード（＝押しボタンが未操作であって、ステム側の流入弁および押しボタン側の出力弁はともに閉じた状態）を示し、
図２は、図１の噴射機構の定量空間域への内容物流入モード（＝押しボタンが押圧操作されて、流入弁は開き、出力弁は閉じたままの状態）を示し、
図３は、図１の噴射機構の定量空間域からの内容物放出モード（＝押しボタンの押圧操作が解除されて、流入弁は閉じ、出力弁は開いた状態）を示している。
【００１８】
以下のアルファベット付き参照番号の構成要素（例えば通路域３ａ）は原則として、当該参照番号の数字部分の構成要素（例えばステム３）の一部であることを示している。
【００１９】
図１〜図３において、
Ａはステム部分の流入弁から押しボタン部分の出力弁までの連続した定量空間域（図１参照），
Ｂは容器本体から当該定量空間域への内容物流入状況（図２参照），
Ｃは当該定量空間域から外部空間への内容物放出状況（図３参照），
１は後述の内容物および噴射用ガスを収納したエアゾール式製品の容器本体（図示省略）の開口端部側に取り付けられたマウンティングキャップ，
２はマウンティングキャップ１の中央部分に取り付けられたハウジング，
３はその下側部分がハウジング２の内部に配設され、かつ、周知のコイルスプリング（図示省略）の弾性作用で図示上方向に付勢されて周知のステムガスケット（図示省略）とともに弁作用（＝定量空間域Ａの流入弁作用）を呈するステム，
３ａは内容物の通路域，
３ｂは定量空間域Ａの流入弁を構成する横孔部，
４はステム３の出力側外周面と強く嵌合して図示上下方向に連動し、かつ、後述の押しボタンとともに弁作用（＝定量空間域Ａの出力弁作用）を呈する筒状の弁座部，
４ａは定量空間域Ａの出力弁を構成する中央の円錐台状部，
４ｂは当該弁座部の天井部分（≒円錐台状部４ａ）に複数形成されてそれぞれ内容物の通路域として作用するＬ字状溝部（孔部），
４ｃは後述の小径垂下部５ａの内周面に当接してシール作用を呈するとともに定量空間域Ａを画定する環状の逆スカート部，
４ｄは当該弁座部の外周面（の当該逆スカート部よりも下側部分）に形成されて当該弁座部に対する後述の押しボタン５の少なくとも上動位置（図３参照）を規制する環状の凹状部，
５は弁座部４に対して上下動可能で、かつ、当該弁座部とともに定量空間域の出力弁を構成する押しボタン，
５ａは円錐台状部４ａに対応した環状の小径垂下部，
５ｂは当該小径垂下部の外側に形成された環状の大径垂下部，
５ｃは当該大径垂下部の内周面下部分に、凹状部４ｄに対応する態様で形成された環状の凸状部，
６は押しボタン５の出力側に取り付けられた筒状の噴射用ピース，
６ａは内容物の通路域，
６ｂは内容物の噴射口，
をそれぞれ示している。
【００２０】
ここで、ハウジング２，ステム３，弁座部４，押しボタン５および噴射用ピース６などはポリプロピレン，ポリエチレン，ポリアセタール，ナイロン，ポリブチレンテレフタレートなどからなるプラスチック製のものである。
【００２１】
図１の静止モードでは、通常のエアゾール式製品と同様にステム３がコイルスプリング（図示省略）の弾性力に基づいて上動し、ステムの横孔部３ｂは周知のステムガスケット（図示省略）で閉塞されている。すなわち定量空間域Ａの流入弁は「閉」状態である。
【００２２】
押しボタン５は、その小径垂下部５ａの内側下端部分が（ステム３と一体の）弁座部４の円錐台状部４ａに当接した状態になっている。
【００２３】
なお、前回の内容物放出モード（図３参照）における出力弁の開きの程度（＝円錐台状部４ａと小径垂下部５ａとの間隔）や、大径垂下部５ｂの内周面と弁座部４の逆スカート部４ｃとの摩擦力の大きさに応じて、この内側下端部と円錐台状部４ａとがわずか離間した態様の静止モードとなることもある。
【００２４】
図２の内容物流入モードは、利用者が静止モードの操作ボタン５を押圧して、当該操作ボタン，弁座部４およびステム３が一体となって押下げられた状態である。
【００２５】
このとき、小径垂下部５ａ（操作ボタン５）の内側下端部分が弁座部４の円錐台状部４ａに密接し、かつ、ステム３の横孔部３ｂが、通常のエアゾール式製品の場合と同じようにそれまでのステムガスケットによる閉塞から解除された状態になる。
【００２６】
すなわち定量空間域Ａの流入弁が開き、出力弁が閉じることになり、容器本体の内容物が矢印Ｂで示すように当該定量空間域に入り込んで収納される。ここで、内容物は、弁座部４と押しボタン５との間で形成される図示上方の定量空間域Ａ（図１参照）には「横孔部３ｂ−通路域３ａ−Ｌ字状溝部４ｂ」を経て、流入する。
【００２７】
図３の内容物放出モードは、利用者が操作ボタン５の押圧操作を解除して、
(1)ステム３がステム用コイルスプリング（図示省略）の弾性力により上動して図１の位置に復帰し、その横孔部３ｂが通常のエアゾール式製品の場合と同じようにステムガスケットで閉塞され、
(2)かつ、定量空間域Ａに収納済みの内容物の圧力により押しボタン５が弁座部４に対して上動し、小径垂下部５ａの内側下端部分と弁座部４の円錐台状部４ａとが離間した、
状態になっている。
【００２８】
すなわち定量空間域Ａの流入弁が閉じ、出力弁が開くことになり、それまで当該定量空間域に収納されていた内容物は、矢印Ｃで示すように「小径垂下部５ａの内側下端部分と弁座部４の円錐台状部４ａとの隙間部分−小径垂下部５ａ−噴射用ピース６の通路域６ａ−噴射口６ｂ」などを経て外部空間に噴射される。
【００２９】
ここで、定量空間域Ａに収納済みの内容物の圧力により押しボタン５が弁座部４に対して上動するのは、当該押しボタンの小径垂下部５ａの下端面部分および、小径垂下部５ａと大径垂下部５ｂとの間の環状空間域の天井面部分のそれぞれに、図示上方向の内容物圧力が作用するからである。
【００３０】
このように本発明では、定量空間域Ａの出力弁を開くための押しボタン復帰用のコイルスプリングを設けるのではなく、当該定量空間域の収納内容物の圧力自体により当該出力弁を「開」状態に設定している。
【００３１】
したがって、このコイルスプリングの分だけ、定量噴射機構の部品点数が減るとともに静止モードの押しボタンの押圧操作が軽いものとなる。
【００３２】
図２の内容物流入モードおよび図３の内容物放出モードの各動作が担保されるためには、定量空間域Ａの収納内容物の圧力に関し、
(11)図２のモードにおける、ステム３および弁座部４に対して図示下方向に作用する（当該圧力に基づく）荷重が、ステム用の周知のコイルスプリング（図示省略）の上方向への付勢力、例えば2.0kgfよりも小さく、
(12)かつ、図３のモードにおける、押しボタン５に対して図示上方向に作用する（当該圧力に基づく）荷重が、当該押しボタンの自重および、逆スカート部４ｃと大径垂下部５ｂとの間の摩擦力の合力よりも大きい、
ことが必要である。
【００３３】
これは、例えば上記(11)の要件を満足しないと、上記内容物圧力の作用で弁座部４と押しボタン５とが相対的に離れる方向に移動、例えばステム３および弁座部４が図２の位置よりも下動して定量空間域Ａの出力弁（＝弁座部４の円錐台状部４ａと小径垂下部５ａの内側下端部分とからなる弁構造）が開き、通常の噴射状態になるからである。
【００３４】
以上の定量空間域Ａの収納内容物の圧力に基づく上記荷重は例えば（0.3〜1.5）kgfに設定する。ただ、この数値は単なる一例であって、上記(11)，(12)の要件を満たす任意の値に設定し得ることは勿論である。
【００３５】
なお、図３の放出モードにおける定量空間域Ａの内容物が略外部空間に噴射されて定量空間域Ａの内容物圧力がいわば消失すると、押しボタン５はその自重でいくらか下動して図１の状態へと移行する。
【００３６】
本発明は、以上述べた押しボタンタイプの操作部に限定されるのではなく、チルトタイプやレバータイプなどの各種操作部にも適用可能である。
【００３７】
本発明が適用されるエアゾール式製品としては、消臭剤，洗浄剤，清掃剤，制汗剤，冷却剤，筋肉消炎剤，ヘアスタイリング剤，ヘアトリートメント剤，染毛剤，育毛剤，化粧品，シェービングフォーム，食品，液滴状のもの（ビタミンなど），医薬品，医薬部外品，塗料，園芸用剤，忌避剤（殺虫剤），クリーナー，洗濯のり，ウレタンフォーム，消火器，接着剤，潤滑剤などの各種用途のものがある。
【００３８】
容器本体に収納する内容物は、例えば、粉状物，油成分，アルコール類，界面活性剤，高分子化合物，各用途に応じた有効成分などである。
【００３９】
粉状物としては、金属塩類粉末，無機物粉末や樹脂粉末などを用いる。例えば、タルク，カオリン，アルミニウムヒドロキシクロライド（アルミ塩），アルギン酸カルシウム，金粉，銀粉，雲母，炭酸塩，硫酸バリウム，セルロース，これらの混合物などを用いる。
【００４０】
油成分としては、シリコーン油，パーム油，ユーカリ油，ツバキ油，オリーブ油，ホホバ油，パラフィン油，ミリスチン酸，パルミチン酸，ステアリン酸，リノール酸，リノレン酸などを用いる。
【００４１】
アルコール類としては、エタノールなどの１価の低級アルコール，ラウリルアルコールなどの１価の高級アルコール，エチレングリコールなどの多価アルコールなどを用いる。
【００４２】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどの非イオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの両性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤などを用いる。
【００４３】
高分子化合物としては、メチルセルロース，ゼラチン，デンプン，カゼインなどを用いる。
【００４４】
各用途に応じた有効成分としては、サリチル酸メチル，インドメタシンなどの消炎鎮痛剤、安息香酸ナトリウム，クレゾールなどの除菌剤、ヒレスロイド，ジエチルトルアミドなどの害虫忌避剤、酸化亜鉛などの制汗剤、カンフル，メントールなどの清涼剤、エフェドリン，アドレナリンなどの抗喘息薬、スクラロース，アスパルテームなどの甘味料、エポキシ樹脂，ウレタンなどの接着剤や塗料、パラフェニレンジアミン，アミノフェノールなどの染料，リン酸二水素アンモニウム，炭酸水素ナトリウム・カリウムなどの消火剤などを用いる。
【００４５】
さらに、上記内容物以外の、懸濁剤，紫外線吸収剤，乳化剤，保湿剤，酸化防止剤、金属イオン封鎖剤なども用いることができる。
【００４６】
エアゾール式製品における内容物噴射用ガスとしては、炭酸ガス，窒素ガス，圧縮空気，酸素ガス，希ガス，これらの混合ガスなどの圧縮ガスや、液化石油ガス，ジメチルエーテル，フロロカーボンなどの液化ガスを用いる。
【図面の簡単な説明】
【００４７】
【図１】本発明の、静止モード（＝押しボタンが未操作であって、ステム側の流入弁および押しボタン側の出力弁はともに閉じた状態）を示す説明図である。
【図２】本発明の、定量空間域への内容物流入モード（＝押しボタンが押圧操作されて、流入弁は開き、出力弁は閉じたままの状態）を示す説明図である。
【図３】本発明の、定量空間域からの内容物放出モード（＝押しボタンの押圧操作が解除されて、流入弁は閉じ、出力弁は開いた状態）を示す説明図である。
【符号の説明】
【００４８】
Ａ：流入弁から出力弁までの連続した定量空間域（図１参照）
Ｂ：容器本体から定量空間域への内容物流入状況（図２参照）
Ｃ：定量空間域から外部空間への内容物放出状況（図３参照）
１：マウンティングキャップ
２：ハウジング
３：ステム
３ａ：内容物の通路域
３ｂ：定量空間域Ａの流入弁を構成する横孔部
４：筒状の弁座部
４ａ：定量空間域Ａの出力弁を構成する中央の円錐台状部
４ｂ：Ｌ字状溝部（孔部）
４ｃ：環状の逆スカート部
４ｄ：環状の凹状部
５：押しボタン
５ａ：環状の小径垂下部
５ｂ：大径垂下部
５ｃ：環状の凸状部
６：筒状の噴射用ピース
６ａ：内容物の通路域
６ｂ：内容物の噴射口
【特許請求の範囲】
【請求項１】
エアゾール容器のバルブ機能としての流入弁を構成するステム，当該ステムの出力側に取り付けられて内容物の通路域を持つ定量空間域形成用の基部および、当該基部に対して移動可能で内容物の通路域を持つ定量空間域形成用の操作部からなるとともに、当該基部の一部と当該操作部の一部とで出力弁を形成し、
静止モードの前記操作部が操作されて、前記出力弁を閉じた状態で、ステムが前記流入弁の開状態へと移動することにより、当該流入弁から当該出力弁までの定量空間域に内容物が流入し、かつ、その後で当該操作が解除されて前記ステムが静止モードに復帰するときに当該流入弁は閉じ、当該出力弁は開くことにより、当該定量空間域の内容物が外部空間に噴射される定量噴射機構において、
前記出力弁を開状態に付勢するための前記基部と前記操作部との間の弾性部材を省略し、前記ステムが上述の内容物流入モードから静止モードに復帰するとき、当該出力弁は前記定量空間域の内容物の圧力のみに基づいてそれまでの閉状態から開状態へと移行する、
ことを特徴とするエアゾール容器の定量噴射機構。
【請求項２】
請求項１記載の定量噴射機構を備え、かつ、噴射用ガスおよび内容物を収容した、
ことを特徴とするエアゾール式製品。
【請求項１】
エアゾール容器のバルブ機能としての流入弁を構成するステム，当該ステムの出力側に取り付けられて内容物の通路域を持つ定量空間域形成用の基部および、当該基部に対して移動可能で内容物の通路域を持つ定量空間域形成用の操作部からなるとともに、当該基部の一部と当該操作部の一部とで出力弁を形成し、
静止モードの前記操作部が操作されて、前記出力弁を閉じた状態で、ステムが前記流入弁の開状態へと移動することにより、当該流入弁から当該出力弁までの定量空間域に内容物が流入し、かつ、その後で当該操作が解除されて前記ステムが静止モードに復帰するときに当該流入弁は閉じ、当該出力弁は開くことにより、当該定量空間域の内容物が外部空間に噴射される定量噴射機構において、
前記出力弁を開状態に付勢するための前記基部と前記操作部との間の弾性部材を省略し、前記ステムが上述の内容物流入モードから静止モードに復帰するとき、当該出力弁は前記定量空間域の内容物の圧力のみに基づいてそれまでの閉状態から開状態へと移行する、
ことを特徴とするエアゾール容器の定量噴射機構。
【請求項２】
請求項１記載の定量噴射機構を備え、かつ、噴射用ガスおよび内容物を収容した、
ことを特徴とするエアゾール式製品。
【図１】
【図２】
【図３】
【図２】
【図３】
【公開番号】特開２００７−２０４１３８（Ｐ２００７−２０４１３８Ａ）
【公開日】平成１９年８月１６日（２００７．８．１６）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−２８３３９（Ｐ２００６−２８３３９）
【出願日】平成１８年２月６日（２００６．２．６）
【出願人】（０００１４４４６３）株式会社三谷バルブ (142)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年８月１６日（２００７．８．１６）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年２月６日（２００６．２．６）
【出願人】（０００１４４４６３）株式会社三谷バルブ (142)
【Ｆターム（参考）】
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