説明

エアチェックシステム

【課題】放送局から放送される多数の曲の中から所望の曲を自動的に取得することの可能なエアチェックシステムを提供する。
【解決手段】キューシートサーバ12は、放送された曲の放送時間やタイトルなどを記述したキューシートを各放送局サーバ16から取得し、共通フォーマットに変換して保存する。各ユーザのPC13はキューシートサーバ12からキューシートを取得する。FMチューナ14は常にFM放送を受信し、PC13は受信された放送データを全て録音する。PC13はキューシートを参照し、録音された全放送データの中から所望の曲を抽出して再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアチェックシステムに関し、さらに詳しくは、放送局から放送される多数のコンテンツの中から所望のコンテンツを自動的に取得するエアチェックシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
エアチェックは一般に、ラジオやテレビで放送された音楽や映像等のコンテンツを記憶媒体に記録しておき、その記録したコンテンツを後で再生して楽しむもので、無料でコンテンツを取得できることから視聴者の間で広く利用されている。
【0003】
しかしながら、視聴者には所望のコンテンツがいつ放送されるかはわからない。たとえばラジオのFM放送では、所望の曲がある番組中に放送されることがあらかじめわかる場合もあるが、番組中にはCMやDJが入るので、所望の曲が番組中のいつ放送されるかまではわからない。したがって、所望の曲を録音するためには、視聴者は番組を最初から注意深く聴き続けなければならない。
【0004】
ところで、放送局では、番組の進行スケジュールを記載したキューシートが利用されている。キューシートには、放送された曲のタイトル、アーチストの名称、放送時刻などが詳細に記載されているが、放送局の中には番組の放送後にキューシートをインターネット経由で視聴者に提供しているところもある。このキューシートを見れば、視聴者はどのような曲がいつ放送されたかを正確に知ることはできるが、それらの曲は既に放送された後であるから、その中に所望の曲があったとしても今さら録音することは不可能である。
【0005】
特開平11−177511号公報(特許文献1)は、デジタル放送の音楽番組において放送中あるいは放送済みの楽曲をその演奏開始点から再生するデジタル放送用受信再生装置を開示している。この装置は、番組データストリームに多重化され、各放送楽曲の演奏開始時点及び終了時点にそれぞれ送信される制御データを利用し、音声データを1曲毎の録音楽曲として録音するために録音開始点及び録音終了点を管理している。しかしながらこの装置は、制御データを多重化したデジタル放送にしか用いることができない。
【0006】
特開平11−73730号公報(特許文献2)は、エアチェックを行う際に楽曲を簡単に録音でき、しかも録音した楽曲の中から所望の楽曲を簡単に再生できるようにした放送記録装置を開示している。この装置は、タイマで記録開始時刻を設定し、その設定された記録開始時刻になったら受信された音声データを記録するとともに、曲名及びその曲の放送開始時刻情報を含むオンエア情報を記憶し、エアチェック終了後において、放送開始時刻情報及び記録開始時刻から記録媒体上の再生開始位置を設定し、その再生開始位置からの再生動作を指示している。また、曲名の一覧表示から再生操作できるようになっている。しかしながらこの装置も、オンエア情報を多重化した文字多重放送にしか用いることができない。
【0007】
【特許文献1】特開平11−177511号公報
【特許文献2】特開平11−73730号公報
【特許文献3】特開2001−76461号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、放送局から放送される多数のコンテンツの中から所望のコンテンツを自動的に取得することの可能なエアチェックシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0009】
本発明によるエアチェックシステムは、サーバと、サーバにアクセス可能なエアチェック装置とを備える。サーバは、記憶手段と、送信手段とを含む。記憶手段は、放送局から放送される各コンテンツの特定情報及び放送時間を対応付けたキューシートを記憶する。送信手段は、エアチェック装置からの要求に応じて記憶手段からキューシートを読み出してエアチェック装置に送信する。エアチェック装置は、受信手段と、記録手段と、取得手段と、指定手段と、抽出手段と、再生手段とを含む。受信手段は、放送局から放送された複数のコンテンツを含む放送データを受信する。記録手段は、受信手段により受信された放送データを記憶媒体に記録する。取得手段は、サーバにキューシートを要求して取得する。指定手段は、ユーザによる入力操作に応じて所望のコンテンツを指定する。抽出手段は、取得手段により取得されたキューシートを参照し、記憶媒体に記録された放送データの中から指定手段により指定されたコンテンツを抽出する。再生手段は、抽出手段により抽出されたコンテンツを再生する。ここでいうコンテンツは代表的には、ラジオ局から放送される音楽、テレビ局から放送される映像などを含む。受信手段及び記録手段は原則的には常時動作し続け、放送データを全て受信して記憶媒体に記録するが、一時的に動作を中止してもよい。
【0010】
このエアチェックシステムによれば、エアチェック装置が放送データを原則として全て受信して記憶媒体に記録しておき、その後、放送局から提供されるキューシートを参照し、記憶媒体に記録された放送データの中から所望のコンテンツを抽出するようにしているため、放送局から放送される多数のコンテンツの中から所望のコンテンツを自動的に取得することができる。
【0011】
好ましくは、サーバはさらに、複数の放送局から取得した複数のキューシートのフォーマットを所定の共通フォーマットに変換するフォーマット変換手段を含む。
【0012】
この場合、キューシートのフォーマットが放送局ごとに異なっていても、サーバがキューシートのフォーマットを共通フォーマットに変換するので、エアチェック装置は放送局ごとに違った取得手段を用意する必要がなくなり、プログラムサイズが軽減される。また、エアチェック装置はフォーマット変換処理を行う必要がないので、速やかに所望のコンテンツを抽出することができる。
【0013】
好ましくは、サーバはさらに、あらかじめ定められた情報をキューシートに追加する情報追加手段を含む。追加される情報の一例として、当該コンテンツを販売するウェブサイトのURL(Uniform Resource Locator)がある。
【0014】
この場合、何らかの有益な情報をキューシートに追加することにより、エアチェック装置はその情報に容易にアクセスすることができる。
【0015】
好ましくは、エアチェック装置はさらに、放送データを所定時間ごとに複数のセクションに分割し、各セクションの開始アドレスを含むインデックスを生成するインデックス生成手段を含む。抽出手段によるコンテンツの抽出はインデックス生成手段により生成されたインデックスを参照して行われる。
【0016】
この場合、放送データは所定時間ごとに複数のセクションに分割され、各セクションの開始アドレスを含むインデックスが生成されるので、エアチェック装置はインデックスを参照することにより、所望のコンテンツを所定時間単位で確実に抽出することができる。
【0017】
本発明による別のエアチェック装置は、受信手段と、記録手段と、記憶手段と、指定手段と、抽出手段と、再生手段とを備える。受信手段は、放送局から放送された複数のコンテンツを含む放送データを受信する。記録手段は、受信手段により受信された放送データを記憶媒体に記録する。記憶手段は、放送局から放送される各コンテンツの特定情報及び放送時間を対応付けたキューシートを記憶する。指定手段は、ユーザによる入力操作に応じて所望のコンテンツを指定する。抽出手段は、記憶手段に記憶されたキューシートを参照し、記憶媒体に記録された放送データの中から指定手段により指定されたコンテンツを抽出する。再生手段は、抽出手段により抽出されたコンテンツを再生する。
【0018】
このエアチェック装置によれば、放送データを原則として全て受信して記憶媒体に記録しておき、その後、キューシートを参照し、記憶媒体に記録された放送データの中から所望のコンテンツを抽出するようにしているため、放送局から放送される多数のコンテンツの中から所望のコンテンツを自動的に取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0020】
[全体構成]
図1を参照して、本発明の実施の形態によるエアチェックシステム10は、ラジオのFM(Frequency Modulation)放送から所望の曲を自動的に取得するためのもので、インターネット11に接続されるキューシートサーバ12と、インターネット11に接続されるパーソナルコンピュータ(PC)13と、PC13に接続されるFMチューナ14とを備える。インターネット11には、複数の放送局サーバ16も接続されている。キューシートサーバ12は本サービスを提供する事業者等によって管理され、放送局サーバ16は主に音楽番組等を放送する放送局によって管理される。PC13及びFMチューナ14は視聴者であるユーザの所有物である。
【0021】
キューシートサーバ12は、各放送局サーバ16からキューシートを取得し、各ユーザのPC13に提供する。PC13はキューシートサーバ12にアクセス可能なクライアントとして機能する。PC13及びFMチューナ14はエアチェック装置を構成する。
【0022】
PC13は汎用のもので、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ(HDD)、光ディスクドライブ、ディスプレイ、キーボード、マウスなどを備える。PC13には、後に詳述するエアチェックプログラムがインストールされている。FMチューナ14は、各放送局からFM放送を受信し、受信した放送データをPC13に供給する。
【0023】
[キューシートサーバ]
図2を参照して、キューシートサーバ12は、キューシート取得部20と、フォーマット変換部21と、サービス情報追加部22と、ウェブサーバ23とを備える。キューシート取得部20は、各放送局サーバ16にアクセスし、そこにアップロードされているキューシート24を取得する。
【0024】
各放送局から提供されるキューシート24には、放送された曲の放送開始時刻、放送終了時刻、タイトル、アーチスト名などがHTML(Hyper Text Markup Language)で記述されている。しかしながら、記述されている情報の種類、使用されているタグの種類、記述の順序など、そのフォーマットは放送局ごとに異なっている。
【0025】
フォーマット変換部21は、取得されたキューシート24のフォーマットを所定の共通フォーマットに変換する。フォーマット変換部21は、複数種類のフォーマットに対応して複数の変換フィルタ25を有する。各変換フィルタ25は、対応するフォーマットを共通フォーマットに変換する。
【0026】
これにより得られるキューシート26は共通フォーマットを有する。具体的には図3に示すように、キューシート26は、各放送局に付与されるステーションID(識別子)を記述したフィールド261と、当該放送局から放送された複数の曲に対応する複数のレコード262とを備える。各レコード262には、対応する曲の放送開始時刻と放送終了時刻とメタデータとが記述される。メタデータは、曲名、アーチスト名などを含む。図4にキューシート26の一例を示す。
【0027】
再び図2を参照して、サービス情報追加部22は、共通フォーマットに変換された各キューシート26に、あらかじめ定められた各種サービス情報を追加する。各種サービス情報としては、放送された曲を収録したCDやDVD又はコンサートチケットなどを販売するウェブサイトのURL(Uniform Resource Locator)、その曲のデジタルデータを販売するウェブサイトのURL、バナー広告などがある。したがって、キューシートサーバ12は、ユーザを各種ウェブサイト27に導くためのポータルサイトとなり得る。
【0028】
ウェブサーバ23にはキューシートデータベース28が構築され、各種サービス情報が追加されたキューシート29が記憶される。ウェブサーバ23は、PC13からの要求に応じてキューシートデータベース28からキューシート29を読み出してPC13に送信する。
【0029】
次に、図5を参照してキューシートサーバ12の動作を説明する。
キューシート取得部20は、各放送局サーバ16にキューシート24を送信するよう要求する(S101)。各放送局サーバ16はこの要求を受け付け(S201)、キューシート24をキューシートサーバ12に送信する(S202)。キューシート取得部20はこのキューシート24を受信し(S102)、フォーマット変換部21に供給する。フォーマット変換部21は、キューシート24のフォーマットを共通フォーマットに変換し(S103)、共通フォーマットのキューシート26をサービス情報追加部22に供給する。サービス情報追加部22はキューシート26にサービス情報を追加し(S104)、これにより得られたキューシート29をキューシートデータベース28に保存する(S105)。
【0030】
[FMチューナ及びPC(エアチェック装置)]
図6を参照して、FMチューナ14はFM放送を受信する。PC13は、FMチューナ14から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するADC(Analog to Digital Converter)31を備える。ADC31は、たとえばサウンドカードなどを指す。ただし、デジタル信号を出力可能なデジタルチューナの場合、PC13はADC31を備えていなくてもよい。PC13にはまた、汎用のMP3(MPEG Audio Layer-3)エンコーダ32、汎用のウェブブラウザ33及び汎用のMP3プレーヤ15とともに、後に詳述するエアチェックプログラム(38〜41)がインストールされ、MP3データベース34、録音状況管理データベース35、インデックスデータベース36及びキューシートデータベース37が構築される。エアチェックプログラムは、インデックス生成モジュール38、ウェブインターフェース39、キューシート取得モジュール40、及びスイーパモジュール41からなる。これらの詳細は以下の動作説明で明らかにする。
【0031】
次に、FMチューナ14及びPC13の動作を説明する。
FMチューナ14及びPC13は常に動作している。したがって、FMチューナ14は常にFM放送を受信し、PC13は受信された放送データを全てハードディスク等の記憶媒体に記録する。
【0032】
図7を参照して、PC13内のMP3エンコーダ32は常に動作しており、FMチューナ14から出力され、A/D変換されたデジタル放送データをMP3データにエンコードする(S301)。これと並行してウェブインターフェース39も動作し、MP3エンコーダ32で得られたMP3データを所定時間(本例では6時間)ごとに1つのMP3ファイル42としてMP3データベース34に保存(録音)する(S302)。
【0033】
ウェブインターフェース39はまた、図8に示した録音状況管理テーブル43を生成し(S311)、録音状況管理データベース35に保存する(S312)。
【0034】
図8を参照して、録音状況管理テーブル43は、ステーションIDを記述したフィールド431と、複数のMP3ファイル42に対応する複数のレコード432とを有する。各レコード432には、対応するMP3ファイル42の録音開始時刻、録音終了時刻及びファイル名が記述されている。図9に録音状況管理テーブル43の一例を示す。
【0035】
なお、MP3ファイル42のファイル名は、ステーションID及び録音開始時刻を組み合わせ、たとえば「OOSAKA_20050522180000.MP3」(MP3はMP3ファイル42を示す拡張子)と設定される。
【0036】
FM放送は原則として毎日24時間録音されるが、停電したり、ユーザがPC13を持ち出したりする場合もあるので、必ずしも全ての放送データがMP3ファイル42として保存されるとは限らない。図9において斜線以外の部分は録音されていない。
【0037】
一方、インデックス生成モジュール38は、MP3データベース34からMP3ファイル42を読み込み、MP3ファイル42に基づいてインデックスファイル44を生成し(S321)、インデックスデータベース36に保存する(S322)。
【0038】
具体的には図10に示すように、インデックス生成モジュール38はMP3ファイル42を所定時間ごとに複数のセクション45に分割する。本例では、6時間分のMP3ファイル42が1秒ごとに分割されるので、21600個(=6時間×60分×60秒)のセクション45が得られる。そして、インデックス生成モジュール38は各セクション45の開始アドレスを順にインデックスファイル44に書き込む。
【0039】
図11にインデックスファイル44の一例を示す。インデックスファイル44はステーションIDを記述したフィールド441と、複数のセクション45に対応する複数のレコード442とを有する。各レコード442には、対応するセクション45の開始アドレスが記述される。本例では、MP3ファイル42の先頭アドレスからのオフセット(相対アドレス)が開始アドレスとして書き込まれる。
【0040】
なお、図11にはMP3ファイル42の先頭からの経過時間(秒数)が示されているが、この表記はあってもよいが、実際にはなくてもよい。各オフセット(レコード442)の経過時間は、そのオフセットよりも前にあるオフセットの数から算出可能だからである。
【0041】
また、インデックスファイル44のファイル名も、対応するMP3ファイル42と同じステーションID及び録音開始時刻を組み合わせ、たとえば「OOSAKA_20050522180000.IDX」(IDXはインデックスファイル44を示す拡張子)と設定される。
【0042】
図12を参照して、PC13内のキューシート取得モジュール40は、キューシートサーバ12のウェブサーバ23に所望のキューシート29を送信するよう要求する(S331)。ウェブサーバ23はこの要求を受け付け(S111)、キューシートデータベース28から所望のキューシート29を読み出してPC13に送信する(S112)。
【0043】
キューシート取得モジュール40は、キューシートサーバ12から送信されて来たキューシート29を受信し(S332)、キューシートデータベース37に保存する(S333)。図13に取得されたキューシート29の一例を示す。
【0044】
再び図12を参照して、PC13内のウェブインターフェース39は、必要な場合には、ユーザの入力操作に応じてキューシート29を編集する(S334)。これによりユーザは、所望の曲の放送開始時刻を規定の時刻よりも前後にずらしたり、アーチスト名が欠けている場合にはそれを補足したりすることができる。
【0045】
ウェブインターフェース39は、キューシート29をウェブブラウザ33で表示できるようにHTML化する(S335)。HTMLで記述されたキューシートには、曲ごとにハイパーリンクが埋め込まれる。ハイパーリンクには、その曲を含むMP3ファイル42のURLの他、その曲のステーションID、放送開始時刻及び放送終了時刻が含まれる。
【0046】
ウェブブラウザ33は、HTMLで記述されたキューシートに基づいて曲リストをディスプレイ上に表示する(S336)。曲リストには、各曲のタイトル、アーチスト名、放送開始時刻、及び放送終了時刻が含まれる。このとき、再生可能な曲は選択可能な態様で表示されるが、録音されていないために再生不可能な曲は選択不可能な態様で表示される。
【0047】
ユーザが所望の曲をマウス等でクリックすると、ウェブブラウザ33はこの入力操作に応じてその所望の曲を指定し(S337)、その曲を読み出すようウェブインターフェース39に対してクエリを発行する。ウェブインターフェース39はこのクエリに応じて、指定された曲をMP3データベース34から抽出する(S338)。抽出方法の詳細は次の通り。
【0048】
ウェブインターフェース39は録音状況管理データベース35を参照し、指定された曲のステーションID、放送開始時刻及び放送終了時刻に基づいてMP3ファイル42のファイル名を特定する。ウェブインターフェース39は、特定されたファイル名に対応するインデックスファイル44を参照し、MP3ファイル42のうち放送開始時刻から放送終了時刻までのMP3データを抽出する(図10参照)。そして、ウェブインターフェース39は抽出したMP3データをウェブブラウザ33に返す。
【0049】
また、上記のような曲単位での抽出だけでなく、ユーザが開始時刻と終了時刻をマニュアルで指定することにより番組単位での抽出を行ったり、開始時刻だけ指定してエンドレスに再生を行ったりすることも可能である。
【0050】
ウェブブラウザ33はMP3プレーヤ15を起動し、MP3プレーヤ15はそのMP3データに基づいて指定された曲を再生する(S339)。
【0051】
上記動作を続けると、ハードディスク等の記憶媒体内には膨大なデータが蓄積される。そこで、PC13内のスイーパモジュール41は定期的(たとえば1週間ごと)に、所定期間(たとえば1ヶ月)以上経過したMP3ファイル42、録音状況管理テーブル43、インデックスファイル44、及びキューシート29を消去する。消去周期や消去対象は記憶媒体の容量に応じて適宜定められる。
【0052】
以上のように本発明の実施の形態によれば、PC13がFMチューナ14で受信された放送データを全てMP3データベース34に保存しておき、その後、キューシートサーバ12から取得したキューシート29を参照し、保存しておいた放送データの中から所望の曲を抽出するようにしているため、放送局から放送される多数の曲の中から所望の曲を自動的に取得することができる。
【0053】
また、キューシート24のフォーマットが放送局ごとに異なっていても、キューシートサーバ12がキューシート24のフォーマットを共通フォーマットに変換するので、PC13は共通フォーマットのキューシート29を参照し、速やかに所望の曲を抽出することができる。
【0054】
また、MP3ファイル42は所定時間ごとに複数のセクション45に分割され、各セクション45のオフセットを含むインデックスファイル44が生成されるので、PC13はインデックスファイル44を参照することにより、所望の曲を所定時間単位で確実に抽出することができる。
【0055】
上記実施の形態ではソフトウエアのMP3プレーヤ15がPC13にインストールされているが、これに代えて又はこれと一緒に、ハードウエアのMP3プレーヤ機器(たとえばホームオーディオ、ポータブルプレーヤなど)を用いてもよい。この場合、PC13からMP3プレーヤ機器にはMP3ファイルを有線又は無線通信により送信してもよいが、フラッシュメモリ等のメモリカード、CDやDVD等の光ディスクなどの記憶媒体を介してコピーしてもよい。また、言うまでもなく、MP3以外の音声圧縮方式、たとえばAAC(Advanced Audio Cording)を用いてもよい。もっとも、本発明は音楽コンテンツだけでなく、映像その他のあらゆるコンテンツに適用可能であり、そのデータは圧縮されているか否かは限定されない。つまり、コンテンツを含む放送データの形態は、FMラジオに限らず、AMラジオ、インターネットラジオ、TV(アナログ/デジタル)、CS/BS(アナログ/デジタル)等の衛星放送であってもよい。
【0056】
また、上記実施の形態は放送開始時刻及び放送終了時刻の両方を使用しているが、どちらか一方(典型的には放送開始時刻)だけを使用してもよく、要するにコンテンツの放送時間さえ特定可能であればよい。
【0057】
また、上記実施の形態ではPC13及びFMチューナ14は常に動作し、全ての放送を受信して録音することを原則としているが、有限な記憶領域を無駄に浪費しないように、週間スケジュールなどを組んで放送のない夜間は動作を停止したり、あるいは、放送されて来た音声又は映像信号を検知し、放送のあるときだけ動作し、放送のないときは動作を停止したりするようにしてもよい。
【0058】
また、上記実施の形態ではPC13はキューシートを単に表示しているが、所定期間内に取得した複数のキューシートの中から所望のアーチストの曲だけを抜き出して表示したり、アーチスト単位でフォルダを作成してその中に別途MP3ファイルを保存したりするようにしてもよい。
【0059】
また、上記実施の形態ではウェブブラウザ33及びMP3プレーヤ15はローカルPC13内に設けられているが、これに代えてネットワーク上の他のPC、専用機、携帯電話機、又はPDA(Personal Digital Assistance)内に設けられていてもよい。この場合、LAN(Local Area Network)経由の宅内又はインターネット経由の宅外からでもウェブインターフェース39にアクセス可能であれば、曲リストの表示、曲の指定及び再生が可能である。
【0060】
また、上記実施の形態ではFMチューナ14及びPC13がエアチェック装置を構成しているが、FM放送を受信してハードディスクに記録する一体型の専用機、又はハードディスクの代わりにメモリを有する携帯電話機がエアチェック装置を構成してもよい。
【0061】
また、上記実施の形態は放送局がキューシートを提供している場合の例であるが、放送局がキューシートを提供していない場合は、図2に示したキューシート取得部20に代えて、図14に示すように、事業者による入力操作に応じてキューシートを入力するキューシート入力部46を設ければよい。この場合、共通フォーマットでキューシートを入力すればよいので、図2に示したフォーマット変換部21を設けなくてもよい。
【0062】
また、コミュニティFMや個人放送のような場合、図2に示した放送局サーバ16やキューシートサーバ12からキューシート24,29を提供することは困難である。したがって、このような場合は、図6に示したキューシート取得モジュール40に代えて、図15に示すように、ユーザによる入力操作に応じてキューシートを入力するキューシート入力部48を設ければよい。キューシート入力部48は、入力されたキューシート29をキューシートデータベース37に保存する。
【0063】
また、上記実施の形態では、PC13は各放送局から提供されるキューシートをキューシートサーバ12経由で取得しているが、各放送局から直接取得してもよい。具体的には、図6に示したキューシート取得モジュール40は、キューシートサーバ12ではなく各放送局サーバ16に直接アクセスする。キューシートのフォーマットは放送局ごとに異なっているので、この場合は、図16に示すように、取得されたキューシートのフォーマットを共通フォーマットに変換するフォーマット変換部21をPC13に設ければよい。フォーマット変換部21は、共通フォーマットのキューシート29をキューシートデータベース37に保存する。ただし、放送局から提供されるキューシートが既に共通フォーマットを有している場合、キューシート取得モジュール40はフォーマット変換部21をバイパスし、取得したキューシートをキューシートデータベース37に直接書き込めばよい。
【0064】
また、上記実施の形態では放送データは無線放送で送信されているが、有線放送で送信されていてもよく、また、インターネット等の電気通信回線を介して送信されていてもよい。インターネット経由で放送データを受信するためには、図6に示したFMチューナ14、ADC31及びMP3エンコーダ32に代えて、図17に示すように、放送データ取得モジュール50をPC13に設ければよい。放送データ取得モジュール50は放送局サーバ16にアクセスし、そこに現在取得可能な状態でアップロードされている放送データ(又はリアルタイムストリームとして配信されている放送データ)を送信するよう要求する。放送局サーバ16はこの要求に応じて放送データを返信するので、放送データ取得モジュール50は返信されて来た放送データを受信してMP3データベース34に保存する。すなわち、放送データ取得モジュール50は放送局サーバ16から放送データをダウンロードする。
【0065】
図17に示した例では、キューシート取得モジュール40で放送局サーバ16からキューシートを直接取得し、フォーマット変換部21でキューシートのフォーマットを共通フォーマットに変換するようにしているが、図6に示したようにキューシート取得モジュール40でキューシートサーバ12からキューシートを取得したり、図15に示したようにキューシート入力部48でキューシートを入力したりしてもよい。
【0066】
また、キューシートが放送データに多重化されている場合は、図18に示すように、デマルチプレクサ(DMUX)52を設ければよい。デマルチプレクサ52は、キューシート取得モジュール40に代わりにキューシートを取得する機能を有するもので、放送データ取得モジュール50で取得した放送データからキューシートを分離する。放送データそのものはMP3データベース34に保存され、分離されたキューシートはキューシートデータベース37に保存される。キューシートが独自フォーマットの場合はフォーマット変換部21により共通フォーマットに変換された後、キューシートデータベース37に保存される。
【0067】
また、FM文字多重放送などのように、無線放送で送信される放送データにDARC(DAta Radio Channel)方式等によりキューシートを文字情報として多重化することも可能である。この場合、図19に示すように、FM文字多重放送対応のFMチューナ14を用い、受信部54で受信した放送データからデマルチプレクサ52でキューシートを分離する。放送データそのものはADC31及びMP3エンコーダ32を介してMP3データベース34に保存される。一方、分離されたキューシートは、必要に応じて共通フォーマットに変換され、キューシートデータベース37に保存される。
【0068】
また、図6に示したFMチューナ14及びPC13の両方の機能を備えた一体型のエアチェック装置にしてもよいことは上述したが、ネットワークインターフェースを有していないエアチェック装置にはキューシート取得モジュールを設けることはできない。したがって、このような場合は、図20に示すように、ネットワークインターフェースを有するPC56にキューシート取得モジュール40を設け、PC56をエアチェック装置58の入出力インターフェース60に接続すればよい。入出力インターフェース60としては、USB(Universal Serial Bus)、IrDA(Infrared Data Association)などのほか、メモリカードを利用してもよい。
【0069】
この例では、PC56はキューシート取得モジュール40でキューシートサーバ12又は放送局サーバ16からキューシートを取得し、エアチェック装置58の入出力インターフェース60を介してキューシートデータベース37に保存する。キューシート取得モジュール40で取得するキューシートのフォーマットが共通フォーマットでない場合、フォーマット変換部56を図20に示すようにPC56に設けるか、エアチェック装置58に設けるか、すればよい。なお、PC56に代えて、携帯電話機やPDA等の携帯情報端末を用いてもよい。
【0070】
また、ウェブブラウザ33やMP3プレーヤ15はPC13又はエアチェック装置58内に設けられているが、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等のネットワーク経由で接続された他のPC、専用機、携帯電話、又はPDA内に設けられていてもよい。
【0071】
また、MP3データベース34には外部から取得したMP3データを保存しているが、ここに他の方法で取得したMP3データを一緒に保存してもよい。
【0072】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施の形態によるエアチェックシステムを含むコンピュータネットワークの全体構成を示す機能ブロック図である。
【図2】図1中のキューシートサーバの構成を示す機能ブロック図である。
【図3】図1に示したエアチェックシステムで使用されるキューシートのデータ構造を示す図である。
【図4】図3に示したキューシートの一例を示す図である。
【図5】図2に示したキューシートサーバの動作を示すフロー図である。
【図6】図1中のPC及びFMチューナの構成を示す機能ブロック図である。
【図7】図6に示したPCの動作を示すフロー図である。
【図8】図6に示したPCで生成される録音状況管理テーブルのデータ構造を示す図である。
【図9】図8に示した録音状況管理テーブルの一例を示す図である。
【図10】図6に示したPCによるインデックスファイルの生成方法及び曲の抽出方法を示す説明図である。
【図11】図6に示したPCで生成されるインデックスファイルのデータ構造を示す図である。
【図12】図2及び図6に示したキューシートサーバ及びPCの動作を示すフロー図である。
【図13】図10に示した曲の抽出に使用されるキューシートの一例を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態によるキューシートサーバの他の例を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態によるPCの他の例を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態によるPCのさらに他の例を示す図である。
【図17】本発明の実施の形態によるPCのさらに他の例を示す図である。
【図18】本発明の実施の形態によるPCのさらに他の例を示す図である。
【図19】本発明の実施の形態によるFMチューナ及びPCの他の例を示す図である。
【図20】本発明の実施の形態によるエアチェック装置の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0074】
10 エアチェックシステム
12 キューシートサーバ
14 FMチューナ
15 MP3プレーヤ
16 放送局サーバ
20 キューシート取得部
21,56 フォーマット変換部
22 サービス情報追加部
23 ウェブサーバ
24,26,29 キューシート
28 キューシートデータベース
33 ウェブブラウザ
34 MP3データベース
35 録音状況管理データベース
36 インデックスデータベース
37 キューシートデータベース
38 インデックス生成モジュール
39 ウェブインターフェース
40 キューシート取得モジュール
42 MP3ファイル
43 録音状況管理テーブル
44 インデックスファイル
45 セクション
50 放送データ取得モジュール
52 デマルチプレクサ
58 エアチェック装置
261,431,441 フィールド
262,432,442 レコード


【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバと、前記サーバにアクセス可能なエアチェック装置とを備えたエアチェックシステムであって、
前記サーバは、
放送局から放送される各コンテンツの特定情報及び放送時間を対応付けたキューシートを記憶するための記憶手段と、
前記エアチェック装置からの要求に応じて前記記憶手段からキューシートを読み出して前記エアチェック装置に送信する送信手段とを含み、
前記エアチェック装置は、
放送局から放送された複数のコンテンツを含む放送データを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された放送データを記憶媒体に記録する記録手段と、
前記サーバにキューシートを要求して取得する取得手段と、
ユーザによる入力操作に応じて所望のコンテンツを指定する指定手段と、
前記取得手段により取得されたキューシートを参照し、前記記憶媒体に記録された放送データの中から前記指定手段により指定されたコンテンツを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出されたコンテンツを再生する再生手段とを含むことを特徴とするエアチェックシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のエアチェックシステムであって、
前記サーバはさらに、
複数の放送局から取得した複数のキューシートのフォーマットを所定の共通フォーマットに変換するフォーマット変換手段を含むことを特徴とするエアチェックシステム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のエアチェックシステムであって、
前記サーバはさらに、
あらかじめ定められた情報を前記キューシートに追加する情報追加手段を含むことを特徴とするエアチェックシステム。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のエアチェックシステムであって、
前記エアチェック装置はさらに、
放送データを所定時間ごとに複数のセクションに分割し、各セクションの開始アドレスを含むインデックスを生成するインデックス生成手段を含み、
前記抽出手段によるコンテンツの抽出は前記インデックス生成手段により生成されたインデックスを参照して行われることを特徴とするエアチェックシステム。
【請求項5】
放送局から放送された複数のコンテンツを含む放送データを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された放送データを記憶媒体に記録する記録手段と、
放送局から放送される各コンテンツの特定情報及び放送時間を対応付けたキューシートを取得する取得手段と、
ユーザによる入力操作に応じて所望のコンテンツを指定する指定手段と、
前記取得手段により取得されたキューシートを参照し、前記記憶媒体に記録された放送データの中から前記指定手段により指定されたコンテンツを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出されたコンテンツを再生する再生手段とを備えたことを特徴とするエアチェック装置。
【請求項6】
請求項5に記載のエアチェック装置であってさらに、
放送データを所定時間ごとに複数のセクションに分割し、各セクションの開始アドレスを含むインデックスを生成するインデックス生成手段を備え、
前記抽出手段によるコンテンツの抽出は前記インデックス生成手段により作成されたインデックスを参照して行われることを特徴とするエアチェック装置。
【請求項7】
放送局から放送されかつ受信機により受信された複数のコンテンツを含む放送データを記憶媒体に記録するステップと、
放送局から放送される各コンテンツの特定情報及び放送時間を対応付けたキューシートを取得するステップと、
前記取得されたキューシートを参照し、前記記憶媒体に記録されたコンテンツの中から所望のコンテンツをプレーヤにより再生するために抽出するステップとをコンピュータに実行させるためのエアチェックプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のエアチェックプログラムであってさらに、
放送データを所定時間ごとに複数のセクションに分割し、各セクションの開始アドレスを含むインデックスを生成するステップをコンピュータに実行させ、
前記抽出するステップは前記インデックス生成により作成されたインデックスを参照して行われることを特徴とするエアチェックプログラム。
【請求項9】
各放送局に付与される識別子を記述したフィールドと、当該放送局から放送された複数のコンテンツに対応する複数のレコードとを備え、各レコードには対応するコンテンツの特定情報及び放送時間が記述され、請求項1に記載のエアチェックシステムにより使用されることを特徴とするキューシート。
【請求項10】
放送局から放送された複数のコンテンツを含む放送データを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された放送データを記憶媒体に記録する記録手段と、
放送局から放送される各コンテンツの特定情報及び放送時間を対応付けたキューシートを記憶するための記憶手段と、
ユーザによる入力操作に応じて所望のコンテンツを指定する指定手段と、
前記記憶手段に記憶されたキューシートを参照し、前記記憶媒体に記録された放送データの中から前記指定手段により指定されたコンテンツを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出されたコンテンツを再生する再生手段とを備えたことを特徴とするエアチェック装置。
【請求項11】
請求項10に記載のエアチェック装置であってさらに、
前記キューシートを外部から取得して前記記憶手段に保存する取得手段を備えたことを特徴とするエアチェック装置。
【請求項12】
請求項11に記載のエアチェック装置であって、
前記キューシートは前記放送データに多重化されており、
前記取得手段は、前記受信手段により受信された放送データから前記キューシートを分離することを特徴とするエアチェック装置。
【請求項13】
請求項11又は請求項12に記載のエアチェック装置であってさらに、
前記取得手段により取得した複数のキューシートのフォーマットを所定の共通フォーマットに変換するフォーマット変換手段を備えたことを特徴とするエアチェック装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−59035(P2007−59035A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−340069(P2005−340069)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(000000273)オンキヨー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】