説明

エアドライヤ用継手

【課題】パージ気体の通気抵抗を小さくすることが可能となり、水分を含む気体を確実に外部に排出するようにしたエアドライヤ用継手を提供する。
【解決手段】ドライヤチューブ用継手は、一次側チューブ34が装着される一次側継手11と、二次側チューブが装着される二次側継手とを有し、一次側継手11と二次側継手との間にドライヤチューブ10が着脱自在に装着される。ドライヤチューブ10の流入側部に形成されたパージ気体流出孔19の軸方向両側にはシール部材29a,29bが設けられており、一次側継手11にはパージ気体流出孔19に連通する環状のスペースが形成され、一次側継手11に形成された排気口30は環状のスペースを介してパージ気体流出孔19の径方向外方に開口している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はチューブ内を流れる空気等の気体中の水分を除去するドライヤチューブを一次側チューブと二次側チューブとの間に着脱自在に接続するエアドライヤ用継手に関する。
【背景技術】
【0002】
コンプレッサを備えた空気源からの圧縮空気を空気圧シリンダ等の空気圧作動機器に供給する空気圧回路には、空気圧源からの水分を含む圧縮空気がそのまま空気圧作動機器に供給されないように、空気中の水分を除去するためのエアドライヤが組み込まれている。エアドライヤには特許文献1に記載されるように、多数本の中空糸膜を用いた中空糸膜式エアドライヤがある。中空糸膜は内部に水分ないし湿気を含んだ空気を通過させると、中空糸膜の外部にその壁を水分が透過して排出されるので、空気を乾燥させることができる。
【0003】
中空糸膜は水分を透過させる細孔を有しており、所定期間使用されて細孔が凝縮水や異物等により目詰まりすると、空気を乾燥する機能が低下することになるので、定期的に中空糸膜を交換する必要がある。上記特許文献1に記載されるように、多数本の中空糸膜を容器の端部に固定し、端部にハウジングを固定するようにしたエアドライヤにおいては、中空糸膜を交換するには、中空糸膜が組み込まれた容器とハウジングとともに中空糸膜を交換する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−309428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
空気圧回路には空気圧源と空気圧作動機器との間に流路切替弁や圧力調整弁等の制御機器が設けられ、空気圧作動機器および制御機器等の流体圧機器の間には圧縮空気を案内するためのチューブが接続されており、チューブにはゴムや軟質性樹脂等の可撓性材料により形成されたものと、金属や硬質性樹脂等のように剛性が高いものとがある。このように空気圧源と空気圧作動機器との間に配置される制御機器とを有する空気圧回路に設けられるチューブ内に中空糸膜を組み込むようにすれば、チューブは空気圧作動機器や制御機器に対して着脱自在とすることができるので、チューブを中空糸膜とともに交換することができ、中空糸膜の交換作業が容易となる。
【0006】
しかしながら、中空糸膜エアドライヤはチューブ内に組み込まれた中空糸膜の壁を透過して中空糸膜の外側に水分を抽出するようにし、抽出された水分をエアドライヤ本体の外部に排出するために、乾燥した空気をパージ空気として中空糸膜の外側とチューブとの隙間に導入し、パージ空気の出口であるパージ気体流出孔をチューブに設けている。また、パージ空気が流れる区間が効率的に除湿を行うことができるので、パージ空気の入口から出口までを有効長さとすると、除湿効果を向上させるには、この有効長さを長くすれば良い。しかし、有効長さを得るためにチューブの長さが長くなると、チューブ内の空気の流通抵抗が大きくなるので、少しでも流通抵抗を小さくするためにチューブ全体の長さは短くすることが好ましい。
【0007】
本発明の目的は、中空糸膜が組み込まれるチューブの長さを短くしつつ、除湿効果を向上し得るエアドライヤ用継手を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、除湿効果が下がったドライヤチューブを迅速に交換できるエアドライヤ用継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のエアドライヤ用継手は、中空糸膜モジュールが組み込まれたドライヤチューブを一次側チューブと二次側チューブとの間に着脱自在に装着するエアドライヤ用継手であって、前記一次側チューブが一端側に装着されるとともに前記ドライヤチューブの一次側端部が他端側に装着され、前記一次側チューブにより案内された気体を前記中空糸膜モジュールに連通させる一次側継手と、前記二次側チューブが一端側に装着されるとともに前記ドライヤチューブの二次側端部が他端側に装着され、前記中空糸膜モジュールにより水分が除去された後の気体を前記二次側チューブに供給する二次側継手とから成り、前記ドライヤチューブの流入側部に形成されたパージ気体流出孔の軸方向両側に位置させて前記パージ気体流出孔に連通する環状のスペースを形成するシール部材を前記一次側継手に設け、前記環状のスペースを介して前記パージ気体流出孔に連通する排気口を、前記パージ気体流出孔の径方向外方に開口させて前記一次側継手に設けることを特徴とする。本発明のエアドライヤ用継手は、前記ドライヤチューブの前記一次側端部の端面が突き当てられるストッパ面を前記一次側継手に形成することを特徴とする。
【0010】
本発明のエアドライヤ用継手は、中空糸膜モジュールが組み込まれたドライヤチューブを一次側チューブと二次側チューブとの間に着脱自在に装着するエアドライヤ用継手であって、前記一次側チューブが一端側に装着されるとともに前記ドライヤチューブの一次側端部が他端側に装着され、前記一次側チューブにより案内された気体を前記中空糸膜モジュールに連通させる一次側継手と、前記二次側チューブが一端側に装着されるとともに前記ドライヤチューブの二次側端部が他端側に装着され、前記中空糸膜モジュールにより水分が除去された後の気体を前記二次側チューブに供給する二次側継手とから成り、前記ドライヤチューブの流入側部と流出側部との一方にパージ気体流入孔を形成し、他方にパージ気体流出孔を形成し、前記パージ気体流出孔の軸方向両側に位置させて前記パージ気体流出孔に連通する第1の環状のスペースを形成するシール部材を前記一次側継手と前記二次側継手の一方に設け、前記第1の環状のスペースを介して前記パージ気体流出孔に連通する排気口を、前記パージ気体流出孔の径方向外方に開口させて前記一次側継手と前記二次側継手の一方に設け、前記パージ気体流入孔の軸方向両側に位置させて前記パージ気体流入孔に連通する第2の環状のスペースを形成するシール部材を前記一次側継手と前記二次側継手の他方に設け、前記第2の環状のスペースを介して前記パージ気体流入孔に連通する給気口を、前記パージ気体流入孔の径方向外方に開口させて前記一次側継手と前記二次側継手の他方に設けることを特徴とする。本発明のエアドライヤ用継手は、前記ドライヤチューブの前記一次側端部の端面が突き当てられるストッパ面を前記一次側継手に形成し、前記二次側端部の端面が突き当てられるストッパ面を前記二次側継手に形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のエアドライヤ用継手は、ドライヤチューブの一次側端部が装着される一次側継手と、ドライヤチューブの二次側端部が装着される二次側継手とから成る。ドライヤチューブの流入側部には、パージ気体流出孔が形成され、一次側継手にはパージ気体流出孔の径方向外方に開口させて排気口が形成されており、排気口は一次側継手に形成された環状のスペースを介してパージ気体流出孔に連通しているので、パージ気体を中空糸膜モジュールの流入側ポッティング部に近い位置から排出することができ、中空糸膜モジュールを長くすることなく、その有効乾燥部分の長さを長くして除湿効果を高めることができる。パージ気体流出孔は、環状のスペースを介して排気口に連通しているので、排気の通気抵抗を小さくすることが可能となり、水分を含む気体を確実に外部に排出することができる。
【0012】
ドライヤチューブの流入側部と流出側部との一方にパージ気体流入孔を形成し、他方にパージ気体流出孔を形成した場合には、パージ気体流出孔の径方向外方に開口させて排気口が一次側継手と二次側継手の一方に形成され、パージ気体流入孔の径方向外方に開口させて給気口が一次側継手と二次側継手の他方に形成され、排気口は環状のスペースを介してパージ気体流出孔に連通し、給気口は環状のスペースを介してパージ気体流入孔に連通しているので、排気と給気の流通抵抗を小さくすることが可能となり、水分を含む気体を確実に外部に排出することができる。また、パージ気体を中空糸膜モジュールのポッティング部に近い位置から排出することができ、中空糸膜モジュールを長くすることなく、その有効乾燥部分の長さを長くして除湿効果を高めることができる。
【0013】
本発明によれば、ドライヤチューブ内の中空糸膜モジュールが劣化したときには、ドライヤチューブを一次側継手と二次側継手から取り外すことにより、新たなドライヤチューブを容易に交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態であるエアドライヤ用継手の全体形状を示す斜視図である。
【図2】図1に示された一次側継手の断面図である。
【図3】図1に示された二次側継手の断面図である。
【図4】図3に示されたA部の拡大断面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態である一次側継手を示す断面図である。
【図6】本発明の他の実施の形態である二次側継手を示す断面図である。
【図7】本発明の他の実施の形態である二次側継手の一部を示す断面図である。
【図8】本発明の他の実施の形態である一次側継手を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。本発明のエアドライヤ用継手は、図1に示すように、軟質性の樹脂からなるドライヤチューブ10の一次側端部10aに着脱自在に装着される一次側継手11と、ドライヤチューブ10の二次側端部10bに着脱自在に装着される二次側継手12とを有している。図1においては、ドライヤチューブ10の中央部分が一部省略されている。図2および図3に示すように、ドライヤチューブ10内部のドライヤ室13には、ドライヤチューブ10とほぼ同一の長さの中空糸膜モジュール14が組み込まれている。中空糸膜モジュール14はそれぞれ図4に示すように内部に気体通路15が形成され、水分透過性を有する複数本の中空糸膜16を束ねるとともに、それぞれの中空糸膜16の一次側端部は流入側ポッティング部17aにより相互に固定され、二次側端部は流出側ポッティング部17bにより相互に固定されている。流入側ポッティング部17aはドライヤチューブ10の一次側端部10aの内部に固定され、流出側ポッティング部17bはドライヤチューブ10の二次側端部10bの内部に固定されており、それぞれのポッティング部17a,17bによりドライヤ室13の両端は閉塞されている。
【0016】
中空糸膜モジュール14の一次側端部から気体通路15内に流入した空気等の気体に含まれる水分は、気体通路15内を流出端部に向けて流れながら、それぞれの中空糸膜16の壁を透過して中空糸膜16の外部のドライヤ室13内に流出する。ドライヤ室13内に透過した水分を含む気体を外部に排出するために、図3に示すように中空糸膜モジュール14により乾燥された気体の一部をドライヤチューブ10内のドライヤ室13に案内するパージ気体流入管18が流出側ポッティング部17bに設けられ、図2に示すようにドライヤチューブ10の一次側端部10aにはドライヤ室13内の水分を含む気体を外部に排出するパージ気体流出孔19がドライヤ室13に連通して形成されている。パージ気体流入管18は内部にパージ気体流入孔18aが図4に示すように形成されており、流出側ポッティング部17bよりも下流側に向かう乾燥気体の一部はパージ気体流入管18に案内されてドライヤ室13内に流入し、ドライヤ室13内に透過した水分を含む気体はパージ気体流出孔19から外部に排出される。これにより、ドライヤ室13内は所定の乾燥度に保持され、エアドライヤの除湿機能は維持される。
【0017】
ドライヤチューブ10はその一次側端部10aで一次側継手11に締結され、二次側端部10bで二次側継手12に締結されるようになっており、内部を流れる気体は一次側端部10aから二次側端部10bに向けて流れるので、ドライヤチューブ10の外面には、図1に示すように、気体の流れ方向を表示する矢印20が流れ方向表示部として標記されている。したがって、作業者がドライヤチューブ10を一次側継手11と二次側継手12に締結する際には、作業者は矢印20を目視して容易に締結作業を行うことができ、ドライヤチューブ10を逆向きに締結するという誤組付の発生を防止することができる。
【0018】
図2に示すように、一次側継手11は金属または硬質樹脂により形成された円筒形状の継手本体21を有し、気体流入孔22とこれに連通してドライヤチューブ10の一次側端部10aが取り付けられる取付孔23が継手本体21に設けられている。取付孔23内にはドライヤチューブ10の一次側端部10aを着脱自在に締結する第1の締結機構24aが設けられている。この締結機構24aは、取付孔23内に組み込まれてドライヤチューブ10の一次側端部10aを着脱自在に締結するロック部材25を有し、このロック部材25はステンレス等の弾性を有する金属により形成されており、取付孔23に嵌合する円筒部25aとこの円筒部25aのチューブ挿入側端部25bから径方向内方に継手本体21の中央部に向けて折り曲げられるロック爪25cとを有している。したがって、ドライヤチューブ10の一次側端部10aをその端面がストッパ面26に突き当てられるまで継手本体21内に挿入するときには、ロック爪25cの先端はドライヤチューブ10に押されて径方向外方に広がるようにロック爪25cが弾性変形してドライヤチューブ10の挿入動作を許容する。一方、ドライヤチューブ10を継手本体21から外すように引っ張ると、ロック爪25cがドライヤチューブ10に押し付けられてロック爪25cの自緊作用によりドライヤチューブ10の抜けが防止される。
【0019】
図2に示すように、継手本体21には金属または硬質樹脂により形成された開放リング27が軸方向に移動自在に装着されている。開放リング27は先端にロック爪25cに当接する爪作動端部27aが設けられた円筒部27bと、後端に設けられた大径の操作部27cとを有し、継手本体21の開口端部に固定されるガイドリング28の内側に軸方向に移動自在に組み込まれている。開放リング27は図2に示すようにガイドリング28に形成されたストッパ28aに当接することにより継手本体21からの抜けが防止されており、図2に示す状態よりも開放リング27を内部に押し込むと、ロック爪25cが径方向外方に弾性変形してロック爪25cはドライヤチューブ10から離れた状態となり、この状態のもとでドライヤチューブ10を引っ張ると、ドライヤチューブ10を継手本体21から取り外すことができる。このように、第1の締結機構24aは、ドライヤチューブ10をこれの押し込み操作により継手本体21に締結することができるとともに、開放リング27の押し込み操作によりドライヤチューブ10を取り外すことができるクイック継手機構となっている。
【0020】
ロック部材25の円筒部25aには、図2に示すように、ドライヤチューブ10の一次側端部10aに形成されたパージ気体流出孔19の軸方向両側に位置させて2つのゴム製のシール部材29a,29bが取り付けられており、これらのシール部材29a,29bの間にはパージ気体流出孔19に連通する環状のスペースが形成されている。一次側継手11の継手本体21には、環状のスペースを介してパージ気体流出孔19に連通する排気口30が形成されており、ロック部材25の円筒部25aにも排気口30に連通する貫通孔が形成されている。これにより、パージ気体流入管18によりドライヤ室13内に流入した気体は、ドライヤ室13内に透過した水分を含む気体とともにパージ気体流出孔19を介して排気口30から一次側継手11の外部に排出される。
【0021】
このように、一次側継手11の継手本体21に排気口30を形成することにより、継手本体21に装着される締結機構24aよりもドライヤチューブ10の中央部側にパージ気体流出孔19を設けることなく、中空糸膜モジュール14の流入側ポッティング部17aに近い位置にパージ気体流出孔19を設けることができる。これにより、中空糸膜モジュール14の流入側ポッティング部17aの内側端と流出側ポッティング部17bの内側端との間に渡ってパージ気体が流れるので、中空糸膜モジュール14の全長を短くしても、乾燥機能を達成する有効長さを長くすることでき、ドライヤ室13内に透過し水分を含む気体を確実に外部に排出することができる。
【0022】
水分を含む気体を排気口30から直接外部に排出することも可能であるが、排気口30に図示しない継手を取り付けることにより、その継手に接続されるチューブを介して外部にドライヤ室13内の気体を排出するようにしても良い。
【0023】
図3に示すように、二次側継手12は金属または硬質樹脂により形成された円筒形状の継手本体31を有し、気体流出孔32とこれに連通してドライヤチューブ10の二次側端部10bが取り付けられる取付孔33が継手本体31に設けられている。取付孔33内にはドライヤチューブ10の二次側端部10bを着脱自在に締結する第2の締結機構24bが設けられている。
【0024】
第2の締結機構24bは、第1の締結機構24aとほぼ同一のクイック継手機構となっており、図3においては、第2の締結機構24bを構成する部材であって第1の締結機構24aを構成する部材と共通の機能を有する部材には同一の符号が示されている。一次側継手11には排気口30が設けられているのに対し、二次側継手12には排気口が設けられていないので、ロック部材25の円筒部25aには1つのシール部材29cが設けられており、第2の締結機構24bにおけるロック部材25の円筒部25aは第1の締結機構24aの円筒部25aよりも短くなっている。
【0025】
したがって、ドライヤチューブ10の二次側端部10bをその端面がストッパ面26に突き当てられるまで二次側継手12に押し込んで挿入すると、第2の締結機構24bのロック爪25cによりドライヤチューブ10の二次側端部10bは締結される。一方、開放リング27の押し込み操作によりロック爪25cがドライヤチューブ10から離れるので、ドライヤチューブ10を引っ張ることにより二次側継手12から容易に取り外すことができる。
【0026】
図2に示すように、一次側継手11にはこれに形成された気体流入孔22に連通する一次側チューブ34が二点鎖線で示すように装着されるようになっており、この一次側チューブ34は水分を含む乾燥前の気体を中空糸膜モジュール14に向けて案内する。
【0027】
一次側継手11の継手本体21には、図2に示すように、一次側チューブ34の端部を着脱自在に締結する第3の締結機構24cが設けられている。第3の締結機構24cは、第2の締結機構24bとほぼ同一のクイック継手機構となっており、図2においては、第3の締結機構24cを構成する部材であって第2の締結機構24bを構成する部材と共通の機能を有する部材には同一の符号が示されている。したがって、一次側チューブ34をその端面がストッパ面26aに突き当てられるまで一次側継手11に押し込んで挿入すると、第3の締結機構24cのロック爪25cにより一次側チューブ34は締結される。一方、第3の締結機構24cにおいても、開放リング27の押し込み操作によりロック爪25cが一次側チューブ34から離れるので、一次側チューブ34を引っ張ることにより容易に取り外すことができる。
【0028】
図3に示すように、二次側継手12にはこれに形成された気体流出孔32に連通する二次側チューブ35が二点鎖線で示すように装着されるようになっており、この二次側チューブ35は中空糸膜モジュール14により乾燥された気体を下流側の空気圧作動機器等に案内する。
【0029】
二次側継手12の継手本体31には、図3に示すように、二次側チューブ35の端部を着脱自在に締結する第4の締結機構24dが設けられている。第4の締結機構24dは、第2の締結機構24bおよび第3の締結機構24cとほぼ同一構造のクイック継手機構となっており、図3においては、第4の締結機構24dを構成する部材であって第2および第3の締結機構24b,24cを構成する部材と共通の機能を有する部材には同一の符号が示されている。したがって、二次側チューブ35をその端面がストッパ面26aに突き当てられるまで二次側継手12に押し込んで挿入すると、第4の締結機構24dのロック爪25cにより二次側チューブ35は締結される。一方、第4の締結機構24dにおいても、開放リング27の押し込み操作によりロック爪25cが二次側チューブ35から離れるので、二次側チューブ35を引っ張ることにより容易に取り外すことができる。なお、第2の締結機構24b〜第4の締結機構24dにおいては、円筒部25aには1つのシール部材29のみが取り付けられている。
【0030】
それぞれのシール部材29,29a,29bはロック部材25の円筒部25aに取り付けられているが、ロック部材25に取り付けることなく、継手に直接取り付けるようにしても良く、ロック部材25とは別の部材を介して継手に取り付けるようにしても良い。
【0031】
図3に示すように、二次側継手12の継手本体31は第1と第2の継手要素36a,36bを組み合わせることにより形成されている。一方の継手要素36aは第2の締結機構24bが設けられる大径の基部37aと、基部37aに小径部38aを介して一体になった保持部39とを有し、保持部39の内側は中空糸膜モジュール14から流出し乾燥した二次側気体を気体流出孔32に案内する構造となっており、保持部39の先端には他方の継手要素36bの小径の接続部38bが突き当てられる。他方の継手要素36bは第4の締結機構24dが設けられる大径の基部37bと、小径の接続部38bとを有し、この接続部38bは一方の継手要素36aの保持部39の先端面に突き当てられて接続されるようになっている。
【0032】
継手要素36aの保持部39は外側管部39aと内側管部39bとを有し、図3に示すように、これらの管部39a,39bの間には円筒形状の隙間41が設けられており、隙間41内には二次側気体の湿度に応じて色彩が変化する円筒形状の湿度表示部材42が装着されている。内側管部39bには内部を流れる二次側気体を湿度表示部材42に接触させるために複数の連通孔43が設けられ、外側管部39aには湿度表示部材42を外部から視認させるための複数の窓孔44が設けられている。
【0033】
継手本体31には湿度表示部材42を隙間を介して覆うように部分的または全体的に透明性を有するカバー部材45が取り付けられており、カバー部材45は透明または半透明のガラスや樹脂により形成されている。それぞれの継手要素36a,36bにはカバー部材45の内面を通って二次側気体が外部に漏出するのを防止するためにシール部材46が取り付けられている。湿度表示部材42としては、例えばコバルト担持フィルムを使用することができ、コバルト担持フィルムは二次側気体の乾燥度が高く湿度が低い場合には青色となり、乾燥度が低く湿度が高い場合には赤色となる。これにより、湿度表示部材42の色彩をカバー部材45を介して外部から目視観察することによって、中空糸膜モジュール14の除湿効果が低下してこれの交換時期となったか否かを確実に外部から把握することができる。なお、湿度表示部材42は、図示するように、円筒形状の隙間41に組み込むように円筒形状となっているが、半円形としても良い。
【0034】
中空糸膜モジュール14の除湿効果が低下した場合には、第1の締結機構24aの開放リング27をその操作部27cで押し込み操作してドライヤチューブ10を引っ張ることによりドライヤチューブ10の一次側端部10aを一次側継手11から取り外すとともに、第2の締結機構24bの開放リング27をその操作部27cで押し込み操作してドライヤチューブ10を引っ張ることによりドライヤチューブ10の二次側端部10bを二次側継手12から取り外した後に、新たな中空糸膜モジュール14が組み込まれたドライヤチューブ10を一次側継手11と二次側継手12に取り付ける。したがって、一次側継手11と二次側継手12をそのまま利用してそれぞれに一次側チューブ34と二次側チューブ35とが取り付けられた状態のままでドライヤチューブ10を交換することができる。
【0035】
なお、連通孔43および窓孔44としては、図示するように円形の孔としても良く、円周方向に延びた円弧状の長孔としても良い。また、二次側気体を保持部39とカバー部材45との間の隙間を介して流すように、それぞれの継手要素36a,36bに貫通孔を設けるようにしても良い。さらに、湿度表示部材42はカバー部材45を通して外部から視認することができれば、二次側気体が接触できる空間内の何処でも装着することが可能である。例えば、カバー部材45の内面に沿って円筒形状の湿度表示部材42を設置することもできる。
【0036】
図5は本発明の他の実施の形態である一次側継手11を示す断面図であり、この一次側継手11の継手本体21aには気体流入孔22が形成されたねじ止め端部47が設けられており、ねじ止め端部47の外周面には雄ねじ48が形成されている。この雄ねじ48により一次側継手11を空気圧作動機器や制御機器に対してチューブを介することなく、ねじ止め端部47で直接ねじ結合することができる。同様に、二次側継手12についても気体流出孔32が形成されたねじ止め端部を二次側継手12に設けて、二次側継手12を種々の機器に直接取り付けるようにしても良い。なお、図5においては、一次側継手11の継手本体21aには図2示した第1の締結機構24aと同様の構造の締結機構24aが設けられている。
【0037】
図6は本発明の他の実施の形態である二次側継手12を示す断面図であり、この二次側継手12の継手本体31aには図3に示したものと同様に、第2の締結機構24bと第4の締結機構24dとが設けられているが、図3に示した湿度表示部材42は設けられておらず、その部分の長さだけ二次側継手12は短い寸法となっている。したがって、湿度表示部材42を用いない場合には、図6に示す構造の二次側継手12を使用することができる。
【0038】
図7は本発明の他の実施の形態である二次側継手の一部を示す断面図であり、図7に示すドライヤチューブ10の流出側部には内部のドライヤ室13に連通するパージ気体流入孔18bが形成されており、このパージ気体流入孔18bに連通させて二次側継手12には給気口50が設けられている。したがって、外部からパージ気体を給気口50に供給すると、そのパージ気体はパージ気体流入孔18bを介してドライヤ室13内に案内され、パージ気体流出孔19から外部に排出される。このように、外部からパージ気体を供給するようにすると、パージ気体の乾燥度や流量を選択することによってドライヤ室13の乾燥度を調整することができ、より効果的に除湿することができる。
【0039】
さらに、図7に示すドライヤチューブ10はその二次側端部10bにパージ気体流入孔18bが形成され、一次側端部10aにパージ気体流出孔19が形成されており、両方の孔18b,19の内径は相互に同一内径となっている。これにより、一方をパージ気体流入孔18bとし、他方をパージ気体流出孔19とすることができるので、図1〜図6に示したドライヤチューブ10と相違して、ドライヤチューブ10の両方の端部のうち何れを一次側継手11または二次側継手12に締結するようにしても良い。したがって、このドライヤチューブ10には図1に示したように気体の流れ方向を表示する矢印20を標記することが不要となる。
【0040】
このように、ドライヤチューブ10の両端に2つの孔18b,19を形成し、それぞれの孔18b,19に連通させて一次側継手11と二次側継手12に排気口30と給気口50とを設けるようにした場合には、排気口30を給気口とし、給気口50を排気口として、パージ気体を上述した場合とは逆方向に流すようにしても良い。つまり、ドライヤチューブ10の流出側部にパージ気体流入孔18bとパージ気体流出孔19の一方を形成し、ドライヤチューブ10の流入側部にパージ気体流入孔18bとパージ気体流出孔19の他方を形成し、パージ気体流入孔18bに連通し外部からドライヤチューブ10内に気体を供給する給気口50を一次側継手11と二次側継手12の一方に設け、パージ気体流出孔19に連通してパージ気体を排出する排気口30を一次側継手11と二次側継手12の他方に設けるようにしても良い。なお、図6に示す二次側継手12についても図7に示す場合と同様に二次側継手12に給気口50を設けるようにして外部からドライヤ室13にパージ気体を供給するようにしても良い。
【0041】
図8は本発明の他の実施の形態である一次側継手11を示す断面図であり、この一次側継手11の継手本体21bは、第1の継手要素51aとこれに取り付けられる第2の継手要素51bとを有している。これらの継手要素51a,51bにより形成される環状空間には、2つのシール部材29a,29bが固定される円筒部材52が組み込まれ、それぞれのシール部材29a,29bはドライヤチューブ10に形成されたパージ気体流出孔19の軸方向両側に接触している。
【0042】
図8に示すように、第1の継手要素51aにはドライヤチューブ10の一次側端部10aを着脱自在に締結する第1の締結機構24aが設けられている。この第1の締結機構24aは、フレアレス管継手の構造となっており、継手要素51aの雄ねじ部53にねじ結合されるユニオンナット54と、雄ねじ部53の内側に嵌合され径方向に弾性変形自在の締結スリーブ55とを有しており、締結スリーブ55の先端にはテーパー面56が形成されている。したがって、ドライヤチューブ10をその端面がストッパ面26に突き当てられるまで一次側継手11に挿入した後に、ユニオンナット54を回転させて継手本体21bに締め付けると、締結スリーブ55が径方向内方に弾性変形して一次側端部10aを締結してドライヤチューブ10はその一次側端部10aで継手本体21bに締結される。一方、ユニオンナット54を緩めると締結スリーブ55と一次側端部10aとの密着が解除されてドライヤチューブ10は継手本体21bから容易に取り外すことができる。
【0043】
第2の継手要素51bには、図8に示すように、一次側チューブ34の端部を着脱自在に締結する第3の締結機構24cが設けられている。この第3の締結機構24cは、第1の締結機構24aと同様にフレアレス管継手の構造となっており、ユニオンナット54と締結スリーブ55とを有している。したがって、一次側チューブ34をその端面がストッパ面26aに突き当てられるまで一次側継手11に挿入した後に、ユニオンナット54を回転させて継手本体21bに締め付けると、締結スリーブ55が径方向内方に弾性変形して一次側チューブ34はその端部で継手本体21bに締結される。一方、ユニオンナット54を緩めると締結スリーブ55と端部との密着が解除されて一次側チューブ34は継手本体21bから容易に取り外すことができる。
【0044】
図8は一次側継手11の構造を示すが、二次側継手12についても同様に第2の締結機構24bと第4の締結機構24dとをそれぞれユニオンナット54を有する締結機構とすることができる。また、図1に示された4つの締結機構24a〜24dについても、少なくともいずれか1つをユニオンナット54を有するフレアレス管継手の構造とするようにしても良い。
【0045】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。たとえば、図示するエアドライヤは圧縮空気を空気圧作動機器に供給するチューブ内に中空糸膜モジュール14を組み込んで空気に含まれる湿度を除去して乾燥空気を空気圧作動機器に供給するようにているが、真空ポンプにより発生した負圧空気を真空圧作動機器に供給するための流体圧回路にも本発明のエアドライヤを適用することもでき、その場合には二次側チューブ35の延長上に真空ポンプが接続され、一次側チューブの延長上に真空圧作動機器が接続されることになる。それぞれの実施の形態において、一次側継手11に形成される排気口30に継手を取り付けるようにしてその継手に装着されるチューブを介してドライヤ室13内の気体を外部に排出するようにしても良い。
【符号の説明】
【0046】
10 ドライヤチューブ
10a 一次側端部
10b 二次側端部
11 一次側継手
12 二次側継手
13 ドライヤ室
14 中空糸膜モジュール
15 気体通路
16 中空糸膜
17a 流入側ポッティング部
17b 流出側ポッティング部
18 パージ気体流入管
19 パージ気体流出孔
20 矢印(流れ方向表示部)
21 継手本体
22 気体流入孔
23 取付孔
24a〜24d 締結機構
25 ロック部材
25c ロック爪
27 開放リング
28 ガイドリング
30 排気口
31 継手本体
32 気体流出孔
33 取付孔
34 一次側チューブ
35 二次側チューブ
42 湿度表示部材
43 連通孔
44 窓孔
45 カバー部材
50 給気口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空糸膜モジュールが組み込まれたドライヤチューブを一次側チューブと二次側チューブとの間に着脱自在に装着するエアドライヤ用継手であって、
前記一次側チューブが一端側に装着されるとともに前記ドライヤチューブの一次側端部が他端側に装着され、前記一次側チューブにより案内された気体を前記中空糸膜モジュールに連通させる一次側継手と、
前記二次側チューブが一端側に装着されるとともに前記ドライヤチューブの二次側端部が他端側に装着され、前記中空糸膜モジュールにより水分が除去された後の気体を前記二次側チューブに供給する二次側継手とから成り、
前記ドライヤチューブの流入側部に形成されたパージ気体流出孔の軸方向両側に位置させて前記パージ気体流出孔に連通する環状のスペースを形成するシール部材を前記一次側継手に設け、
前記環状のスペースを介して前記パージ気体流出孔に連通する排気口を、前記パージ気体流出孔の径方向外方に開口させて前記一次側継手に設けることを特徴とするエアドライヤ用継手。
【請求項2】
請求項1記載のエアドライヤ用継手において、前記ドライヤチューブの前記一次側端部の端面が突き当てられるストッパ面を前記一次側継手に形成することを特徴とするエアドライヤ用継手。
【請求項3】
中空糸膜モジュールが組み込まれたドライヤチューブを一次側チューブと二次側チューブとの間に着脱自在に装着するエアドライヤ用継手であって、
前記一次側チューブが一端側に装着されるとともに前記ドライヤチューブの一次側端部が他端側に装着され、前記一次側チューブにより案内された気体を前記中空糸膜モジュールに連通させる一次側継手と、
前記二次側チューブが一端側に装着されるとともに前記ドライヤチューブの二次側端部が他端側に装着され、前記中空糸膜モジュールにより水分が除去された後の気体を前記二次側チューブに供給する二次側継手とから成り、
前記ドライヤチューブの流入側部と流出側部との一方にパージ気体流入孔を形成し、他方にパージ気体流出孔を形成し、
前記パージ気体流出孔の軸方向両側に位置させて前記パージ気体流出孔に連通する第1の環状のスペースを形成するシール部材を前記一次側継手と前記二次側継手の一方に設け、
前記第1の環状のスペースを介して前記パージ気体流出孔に連通する排気口を、前記パージ気体流出孔の径方向外方に開口させて前記一次側継手と前記二次側継手の一方に設け、
前記パージ気体流入孔の軸方向両側に位置させて前記パージ気体流入孔に連通する第2の環状のスペースを形成するシール部材を前記一次側継手と前記二次側継手の他方に設け、
前記第2の環状のスペースを介して前記パージ気体流入孔に連通する給気口を、前記パージ気体流入孔の径方向外方に開口させて前記一次側継手と前記二次側継手の他方に設けることを特徴とするエアドライヤ用継手。
【請求項4】
請求項3記載のエアドライヤ用継手において、前記ドライヤチューブの前記一次側端部の端面が突き当てられるストッパ面を前記一次側継手に形成し、前記二次側端部の端面が突き当てられるストッパ面を前記二次側継手に形成することを特徴とするエアドライヤ用継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−104589(P2011−104589A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289247(P2010−289247)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【分割の表示】特願2005−213087(P2005−213087)の分割
【原出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【出願人】(000145611)株式会社コガネイ (142)
【出願人】(000103921)オリオン機械株式会社 (450)
【Fターム(参考)】