説明

エアバッグ装置

【課題】 ドア部をエアバッグ袋体の展開を許容する開放位置に安定して移動させることができるエアバッグ装置を得る。
【解決手段】フードエアバッグ装置10は、フードアウタパネル16に設けたドア部42を膨張過程のエアバッグ袋体14が押圧することで開口部が形成され、この開口部を通じて車外に膨出したエアバッグ袋体14が車外で展開する。ドア部42には、一端側がフードインナパネル18に支持されたヒンジ部材46の他端側に位置するリッド固着部50Aが固着しており、ヒンジ部材46の中間部には、フードアウタパネル16に固着されたパネル固着部50Bが位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばフードエアバッグ装置等の車体外側で展開するエアバッグ袋体を備えるエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両衝突時にエンジンフードやルーフへの衝突体を保護するために、エンジンフードやルーフの外側でエアバッグ袋体を膨張、展開させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。例えばルーフエアバッグ装置は、ルーフに設けた開口部をリッドにて被覆すると共に、該リッドの下側にエアバッグ袋体を折り畳み状態で収納して構成されている。そして、車両衝突の際には、膨張するエアバッグ袋体がドア部を移動して開口部を開放させ、この開口部から膨出したエアバッグ袋体がルーフ上で展開するようになっている。また、リッドは、ヒンジ部材を介して車体に連結されており、車体から脱落することなく開口部を開放することができる。
【特許文献1】特許第3127683号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の如き従来の技術では、塑性変形ヒンジの変形可能範囲が広いため、リッドの開放位置への移動軌跡(姿勢)にばらつきが生じやすい問題があった。この問題は、ドア部を車体外板に一体化する際に、リッドと車体外板との分離を阻害し車体外板が持ち上げられてしまう原因となる。
【0004】
本発明は、上記事実を考慮して、ドア部をエアバッグ袋体の展開を許容する開放位置に安定して移動させることができるエアバッグ装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係るエアバッグ装置は、車体外板に沿って設けられたドア部を膨張過程のエアバッグ袋体によって開放位置に移動することで車体外向きに開口部を開口させ、該開口部を通過した前記エアバッグ袋体を車体の外側で展開させるエアバッグ装置であって、一端側が車体に支持されると共に他端側が前記ドア部に固定され、塑性変形することで前記ドア部を車体に対し保持しつつ該ドア部が前記開放位置に移動することを許容するヒンジ部材を備え、かつ、前記ヒンジ部材の中間部が前記車体外板に固定されている。
【0006】
請求項1記載のエアバッグ装置では、作動してエアバッグ袋体が膨張すると、該エアバッグ袋体に押圧されてドア部がヒンジ部材を塑性変形しつつ開放位置に移動し、ドア部がヒンジ部材を介して車体に保持された状態で車体外板に開口部が形成される(開口部が開放される)。この開口部を通じてエアバッグ袋体は、車体外板の外側に膨出して展開する。ここで、ヒンジ部材の中間部が車体外板に固定されているため、換言すれば、一端側が車体に支持されているヒンジ部材が、互いに略面一とされたドア部と車体外板との境界部を跨いで該ドア部及び車体外板の両者に固定されているため、ヒンジ部材は、車体外板の変形を抑えつつ、ドア部と車体外板との境界部を跨ぐ部分において主に変形する。このため、ドア部は、ヒンジ部材が変形する(跨ぐ)車体外板との境界部近傍を回動軸線として安定して回動して開放位置に移動する。
【0007】
このように、請求項1記載のエアバッグ装置では、ドア部をエアバッグ袋体の展開を許容する開放位置に安定して移動させることができる。
【0008】
請求項2記載の発明に係るエアバッグ装置は、請求項1記載のエアバッグ装置において、前記ヒンジ部材は、前記ドア部と前記車体外板との境界を跨ぐ部分が、車体内方に凸となるように湾曲した曲がり部とされている。
【0009】
請求項2記載のエアバッグ装置では、ヒンジ部材におけるドア部と車体外板との境界部を跨ぎ主に変形する部分が曲がり部とされているため、曲げ変形によってドア部をスムースに回動させることができる。
【0010】
請求項3記載の発明に係るエアバッグ装置は、請求項1又は請求項2記載のエアバッグ装置において、前記ドア部は、前記車体外板に一体に形成され、該車体外板の内面側に環状に凹設した薄肉部において破断することで前記車体外板から分離して前記開放位置に移動し得る構成とされている。
【0011】
請求項3記載のエアバッグ装置では、車体外板の内面に側に環状に凹設された薄肉部の内側であるドア部は車体外板に一体に形成されている。このため、ドア部と車体外板との境界が車体外側に露出することがない。膨張するエアバッグ袋体に押圧されたドア部は薄肉部が破断することで車体外板と分離され、開放位置に至り開口部を形成する。ヒンジ部材は、車体外板との固定部とは独立して車体に支持されているため、ドア部がエアバッグ袋体に押圧された際に車体外板の変形を抑制し、薄肉部(ドア部と車体外板との境界部)を確実に破断させることができる。これにより、ドア部が車体外板に一体化された構成において、該ドア部を安定して開放位置に移動させることができる。
【0012】
請求項4記載の発明に係るエアバッグ装置は、請求項3記載のエアバッグ装置において、前記車体外板における前記ドア部を挟んで前記ヒンジ部材の固定部位とは反対側部分を、車体と連結する連結部材をさらに備えた。
【0013】
請求項4記載のエアバッグ装置では、車体外板は、ヒンジ部材との固定部位とはドア部を挟んで反対側部分の変形が連結部材によって抑制され、薄肉部を一層確実に破断させることができる。
【0014】
請求項5記載の発明に係るエアバッグ装置は、請求項1乃至請求項4の何れか1項記載のエアバッグ装置において、前記ドア部は、前記ヒンジ部材の変形に伴う前記開放位置側への回動の際に回動軸線側に位置する縁部が、該回動軸線に沿う直線状に形成されている。
【0015】
請求項5記載のエアバッグ装置では、ドア部におけるヒンジ部材の塑性変形に伴う回動の回動軸線側に位置する縁部、すなわちヒンジ部材が跨ぐドア部の縁部が回動軸線に沿う(平行な)直線状に形成されているため、該回動に伴う車体外板とドア部との干渉が抑制される。したがって、ドア部は一層安定してスムースに開放位置に至る。
【0016】
上記目的を達成するために請求項6記載の発明に係るエアバッグ装置は、車体外板における内面側に凹設された環状の薄肉部の内側部分として、該車体外板に一体に設けられたドア部と、前記ドア部の車内側に配設されたエアバッグ袋体と、前記ドア部と車体とを連結し、前記ドア部を車体に対し保持しつつ該ドア部が所定の回動軸線廻りに回動するように案内するヒンジ部材と、を備え、前記ドア部における前記ヒンジ部材に案内される回動の回動軸線側に位置する縁部が、該回動軸線に沿う直線状に形成されている。
【0017】
請求項6記載のエアバッグ装置では、車体外板の内面に側に環状に凹設された薄肉部の内側であるドア部は車体外板に一体に形成されている。このため、ドア部と車体外板との境界が車体外側に露出することがない。そして、作動してエアバッグ袋体が膨張すると、該エアバッグ袋体に押圧されてドア部は、薄肉部が破断することで車体外板から分離されて、ヒンジ部材を介して車体に保持された状態で開放位置に移動する。これにより、車体外板に開口部が形成される。この開口部を通じてエアバッグ袋体は、車体外板の外側に膨出して展開する。ここで、ドア部におけるヒンジ部材の案内による回動の回動軸線側に位置する縁部が該回動軸線に沿う(平行な)直線状に形成されているため、該回動に伴う車体外板とドア部との干渉が抑制される。したがって、ドア部は安定してスムースに開放位置に至る。
【0018】
このように、請求項6記載のエアバッグ装置では、ドア部をエアバッグ袋体の展開を許容する開放位置に安定して移動させることができる。
【0019】
請求項7記載の発明に係るエアバッグ装置は、請求項5又は請求項6記載のエアバッグ装置において、前記ドア部は、それぞれ前記ヒンジ部材の変形による回動軸線の方向が異なる複数の単位ドア部を含んで構成されている。
【0020】
請求項7記載のエアバッグ装置では、縁部が直線状に形成された複数の単位ドア部を組み合わせることで、ドア部が安定して開放位置に至る機能を維持しつつ、ドア部を全体として車体形状に対応(近似)する形状に形成することができる。
【0021】
請求項8記載の発明に係るエアバッグ装置は、請求項7記載のエアバッグ装置において、前記エアバッグ袋体は、フロントウインドシールドガラスの車両進行方向の前方に配置されたフード部材に設けられた前記ドア部を開放位置に移動して展開することで、前記フロントウインドシールドガラス及び左右のフロントピラーを覆うようになっており、前記ヒンジ部材は、前記ドア部の車両進行方向の後方で前記車体外板に固定されており、前記ドア部は、車幅方向中央に対し互いに対称に形成され、それぞれ車幅方向中央側よりも車幅方向外側の方が車両進行方向の後方に位置するように傾斜した一対の単位ドア部にて構成されている。
【0022】
請求項8記載のエアバッグ装置では、所定の場合にエアバッグ袋体が膨張すると、フード部材に一体に設けた各単位ドア部がそれぞれの開放位置に移動し、全体として単一の開口部がフード部材に形成される。この開口部は、車幅方向外側が中央部よりも後方に位置するように傾斜して略V字状を成し、一般に車幅方向外が中央よりも後方に位置するように湾曲したフロントウインドシールドガラスに対し、車幅方向各部の距離が均一化される。これにより、エアバッグ袋体(ガス供給装置の容量)を大型化することなく、フロントウインドシールドガラス及び左右のフロントピラーを効果的に覆うことができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように本発明に係るは、ドア部をエアバッグ袋体の展開を許容する開放位置に安定して移動させることができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の第1の実施形態に係るエアバッグ装置としてのフードエアバッグ装置10について、図1乃至図6に基づいて説明する。なお、各図に適宜記す矢印FR、矢印UP、矢印LEは、それぞれフードエアバッグ装置10が適用された自動車Sの前方向(進行方向)、上方向、及び左方向を示している。
【0025】
図6には、フードエアバッグ装置10が適用された自動車Sの外観が斜視図にて示されている。この図に示される如く、フードエアバッグ装置10は、後述する所定の場合にフード部材としてのエンジンフード12内に収納されていたエアバッグ袋体14を、該エンジンフード12の外側で展開させてフロントウインドシールドガラスG、左右のフロントピラーPを覆わせる装置である。以下、具体的に説明する。
【0026】
図3には、フードエアバッグ装置10が適用された自動車Sの前部の概略構造が断面図にて示されており、図1には、フードエアバッグ装置10の主要部分を拡大した断面図が示されている。これらの図に示される如く、フードエアバッグ装置10の主要部分(以下、単にフードエアバッグ装置10という場合もある)は、自動車Sのエンジンルームを上側から被覆するエンジンフード12の後端部に配設されている。エンジンフード12は、車体外板としてのフードアウタパネル16と、車体としてのフードインナパネル18とを接合して形成されている。フードアウタパネル16、フードインナパネル18は、それぞれ金属板(例えば、アルミニウム合金や鉄系合金等)にて構成されている。このエンジンフード12の後端部12Aには、フードアウタパネル16とフードインナパネル18との間に、フードエアバッグ装置10を配設するための配設空間Rが形成されている。
【0027】
エンジンフード12の後端は、カウル部20によって下側から支持されるようになっている。カウル部20は、図示しないダッシュパネルの上部に接合されたカウルインナパネル22の前側に上向きに開口するカウルアウタパネル24が接合されて構成されており、その後部には車体骨格を成す閉断面部20Aが形成されている。この閉断面部20Aの上側に接着等によってフロントウインドシールドガラスGの前下端が固着されている。また、カウル部20の上向きに開口したカウルボックス部20Bは、その開口端が樹脂製のカウルルーバ26にて被覆されている。カウルルーバ26には、図示しない複数のスリットが設けられてカウルボックス部20B内に空気を導入するようになっている。このカウルルーバ26が、その前端26Aにおいて、シール部材28を介してエンジンフード12の後端を支持するようになっている。そして、この支持部の近傍(この実施形態では、ほぼ直上)にフードエアバッグ装置10が配設されている。
【0028】
フードインナパネル18には、カウル部20による支持部位廻りに配設空間Rに連通する取付用孔18Aが設けられており、この取付用孔18Aはカバー部材30にて閉塞されるようになっている。カバー部材30は、フードインナパネル18の内面側(後述するヒンジ部材46の基部48)に固着された複数のウェルドナット32にそれぞれカバー部材30、フードインナパネル18を貫通したボルト34が螺合することでフードインナパネル18に固定されている。
【0029】
配設空間Rに配設されるフードエアバッグ装置10は、上向き開口するケース36を備えており、ケース36の底板36Aはカバー部材30の上面側に固着されている。このケース36内には、インフレータ38及びエアバッグ袋体14が収納されている。インフレータ38は、その内部にイグナイタ、着火剤、ガス発生剤(燃焼してガスを発生するもの、又は燃焼して圧縮不活性ガスの流路を開放するもの)等を収容して構成されている。インフレータ38は、着火剤がイグナイタによって点火されると、ガス発生剤が燃焼して多量のガスを発生するようになっている。この実施形態では、左右一対(2つ)のインフレータ38が設けられている。
【0030】
エアバッグ袋体14は、一対のインフレータ38が発生するガスによって膨張、展開するように、その基端部に各インフレータ38を気密状態で収容している。このエアバッグ袋体14は、その基端部が各インフレータ38と共にケース36の底板36Aに固定されると共に、蛇腹状に折り畳まれて該ケース36内に収納されている。そして、図2に示される如く、エアバッグ袋体14をエンジンフード12の上側(車体外側)で展開させる開口部40を形成するために、エンジンフード12にはドア部42が設けられている。
【0031】
図1に示される如く、ドア部42は、フードアウタパネル16の一部として該フードアウタパネル16と一体に形成されている。具体的には、フードアウタパネル16の内面には、薄肉部としてのノッチ部(ティアライン)44が設けられている。ノッチ部44は、図5に示される如く車幅方向に長手の長環状に形成されており、フードアウタパネル16におけるノッチ部44に囲まれた部分がドア部42とされている。このドア部42は、膨張するエアバッグ袋体14に下側から押圧されてノッチ部44が破断することで、図2に示される如くフードアウタパネル16から分離して開口部40を形成する構成とされている。なお、図2に示すドア部42の位置を開放位置ということとする。
【0032】
ドア部42は、前後方向、左右方向ともケース36の開口端よりも若干大とされた平面視略矩形状に形成されており、その後縁42Aは図5に示される如く車幅方向に沿う直線状に形成されている。なお、フードアウタパネル16の内面側に凹設されたノッチ部44は、車体外側に露出しないので、ドア部42の形状は車体外側から視認することができない構成とされている。
【0033】
また、図1及び図3に示される如く、フードエアバッグ装置10は、フードアウタパネル16から分離したドア部42が該フードアウタパネル16から脱落することを防止するためのヒンジ部材46を備えている。ヒンジ部材46は、全体として側断面視で前向きに開口する略「コ」字状に形成されており、その下端に位置する基部48がフードインナパネル18に固定的に支持されている。この実施形態では、基部48は、ウェルドナット32に螺合するボルト34によって、フードインナパネル18に対しカバー部材30と共締めされている。
【0034】
一方、図4(A)に拡大して示される如く、ヒンジ部材46の上端に位置するヒンジ部50は、その前端側がドア部42の後端部に固着されたリッド固着部50Aとされると共に、該リッド固着部50Aの後方部分がフードアウタパネル16に固着されたパネル固着部50Bとされている。したがって、ヒンジ部材46のヒンジ部50は、フードアウタパネル16におけるドア部42の後縁(ノッチ部44)を跨ぐ両側に固着されている。この実施形態では、リッド固着部50A、パネル固着部50B共に、車体内方側からのレーザ溶着とされている。
【0035】
そして、ヒンジ部50におけるリッド固着部50Aとパネル固着部50Bとの間には、ノッチ部44の直下で下向き(車体内向き)に凸となるように湾曲されて曲がり部50Cが形成されている。この曲がり部50Cは、ドア部42が開放位置に移動する際に主に塑性変形する変形部とされており、この形状によって容易に変形しつつ図4(B)に示される如くドア部42の矢印A方向への回動を許容する構成が実現されている。すなわち、ヒンジ部材46は、ドア部42をフードアウタパネル16に対し後ヒンジ構造とし、図1に示すノッチ部44の破断前の状態から矢印A方向への回動によって開放位置に至るように案内するようになっている。
【0036】
この実施形態では、ヒンジ部材46は、図5に示される如く車幅方向に沿って略等間隔で3つ設けられている。したがって、ドア部42の矢印A方向への回動は、車幅方向に沿う回動軸線廻りの回動であり、ドア部42の後縁42Aはこの回動軸線と平行な直線状に形成されているということができる。なお、ヒンジ部材46は、2つ以上設けられていれば良く、ドア部42の寸法に応じて設置数を適宜変更することができる。
【0037】
また、この実施形態では、各ヒンジ部材46は、基部48及び基部48の後端から立設された連結部52を有する下ハーフ46Aと、ヒンジ部50及びヒンジ部50の後端から垂下された連結部53を有する上ハーフ46Bとに分割されている。下ハーフ46Aと上ハーフ46Bとは、互いの連結部52、53を貫通する段付きボルト54及び該段付きボルト54に螺合するナット55によって遊びを有して連結されている。これにより、基部48及びパネル固着部50Bにおいて車体側に固定されるヒンジ部材46の寸法誤差が吸収されるようになっている。なお、ヒンジ部材46の組付は、基部48の固定が最後に行われるようになっている。
【0038】
また、図6に示される如く、フードエアバッグ装置10は、フロントバンパBへの建造物や歩行者等の衝突を検出するための前突センサ56、前突センサ56や図示しない車速センサからの信号に基づいて各インフレータ38のイグナイタを作動するエアバッグECU58を備えている。前突センサ56は、フロントバンパBの長手方向一端から他端に至る長尺状に構成されており、例えばフロントバンパBへの衝突によって発生する車両前後方向の加速度や衝突対象への接触を検出するようになっている。エアバッグECU58は、前突センサ56の出力信号(の時間変化)に基づいて衝突対象が歩行者である判断した場合であって車速が所定の閾値(例えば、20km/h)を超えている場合に、各インフレータ38のイグナイタを作動するようになっている。
【0039】
次に、第1の実施の形態の作用を説明する。
【0040】
上記構成のフードエアバッグ装置10では、適用された自動車SのフロントバンパBに歩行者が衝突すると、前突センサ56からの信号によってエアバッグECU58が各インフレータ38を作動して、エアバッグ袋体14内に多量のガスを発生させる。このガスのガス圧によってエアバッグ袋体14は膨張を開始する。すると、フードアウタパネル16に設けられたドア部42がエアバッグ袋体14によって下側から押圧され、ノッチ部44が破断する。
【0041】
これにより、図2に示される如くドア部42は、フードアウタパネル16から分離し、エアバッグ袋体14によってさらに上方に押圧されることで、ヒンジ部材46に案内されつつ矢印A方向に回動して開放位置に至り、開口部40を開口させる。この開口部40を経由してフードアウタパネル16の外側に膨出、展開したエアバッグ袋体14は、図6に示される如くエンジンフード12の後部(カウル部20の上部)、フロントウインドシールドガラスGの下部、左右のフロントピラーPを前側から覆う。
【0042】
以上により、フロントバンパBに衝突した歩行者がエンジンフード12の後部、フロントウインドシールドガラスGの下部、左右のフロントピラーPに直接的に2次衝突することが防止され、該歩行者は展開したエアバッグ袋体14によって衝撃が吸収されて保護される。
【0043】
ここで、フードエアバッグ装置10では、ヒンジ部材46のリッド固着部50Aと基部48との間にフードアウタパネル16に固着されたパネル固着部50Bが設けられているため、換言すれば、一端側がフードインナパネル18に支持されているヒンジ部材46が、互いに略面一であるドア部42とフードアウタパネル16との境界部であるノッチ部44を跨いで該ドア部42及びフードアウタパネル16の両者に固定されているため、ヒンジ部材46は、フードアウタパネル16におけるドア部42の後側部分の上方への変形を抑えつつ、ノッチ部44を跨ぐ曲がり部50Cにおいて主に変形する。このため、ドア部42は、ヒンジ部材46によって上方への変位が抑制された曲がり部50Cの塑性変形により案内される開放位置への移動軌跡(姿勢)のばらつきが少なくなり、ノッチ部44が安定して破断されて(破断に要する荷重が小さく)確実かつスムースに開放位置に至る。
【0044】
このように、第1の実施形態に係るフードエアバッグ装置10では、ドア部42をエアバッグ袋体14の展開を許容する開放位置に安定して移動させることができる。
【0045】
また、塑性変形ヒンジであるヒンジ部材46における塑性変形部位がノッチ部44から離間する方向に凸となるように湾曲した曲がり部50Cであるため、該ヒンジ部材46(ヒンジ部50)における塑性変形範囲を狭い範囲に抑えつつ、比較的小さい荷重で曲がり部50Cを容易に塑性変形してヒンジ機能を得る構成が実現された。これにより、フードエアバッグ装置10では、ヒンジ部材46の変形に要する力が抑えられ、ドア部42を一層安定して開放位置移動することができる。
【0046】
さらに、フードエアバッグ装置10では、ドア部42の後縁42Aがヒンジ部材46による回動軸線に沿う直線状に形成されているため、矢印A方向に回動するドア部42は、その後縁42Aをフードアウタパネル16(開口部40の内縁)と干渉させることなくスムースに開放位置に至る。これにより、フードエアバッグ装置10では、ドア部42をより一層安定して開放位置移動することができる。
【0047】
そして、フードエアバッグ装置10では、フードアウタパネル16の内面側にノッチ部44を設けることで該フードアウタパネル16にドア部42を一体に設けているため、ドア部42とフードアウタパネル16との境界が車体外部に露出することがなく、良好な外観を得ることができる。すなわち、フードアウタパネルに予め設けた開口部を別部材のリッドで閉止する構成では、これらの境界(何れか一方の縁部)が露出してしまい、意匠上の制約を受けることになる。例えば、意匠上に制約によって、ドア部42の後縁42Aをエンジンフード12の後端(フロントウインドシールドガラスGの前縁)に沿う湾曲形状にすると、該ドア部42のスムースな展開が阻害される原因となるが、本フードエアバッグ装置10では上記の通りドア部42の後縁42Aを直線状に形成してドア部42のスムースな展開性を確保している。
【0048】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。なお、上記第1の実施形態又は前出の構成と基本的に同一の部品・部分については上記第1の実施形態又は前出の構成と同一の符号を付して説明を省略する(図示を省略する場合もある)。
【0049】
(第2の実施形態)
図7には、本発明の第2の実施形態に係るフードエアバッグ装置60を構成するドア部62が斜視図にて示されている。この図に示される如く、ドア部62は、それぞれ本発明における「単位ドア部」としての左ドア部64と右ドア部66とに分割されており、全体として平面視で後向きに開口する略V字状に形成されている。左ドア部64と右ドア部66とは、ドア部62の外縁を形成する略V次環状に形成されたノッチ部68の内側部分が、該ノッチ部68の車幅方向に長手の前部68A及び後部68Bの各車幅方向中央を結ぶ前後方向に長手のノッチ部69によって分割されて左右対称に形成されている。すなわち、左ドア部64、右ドア部66は、それぞれ車幅方向中央部よりも車幅方向外側部分が後側に位置するように車幅方向に対し傾斜した略平行四辺形状に形成されている。
【0050】
そして、左ドア部64及び右ドア部66には、それぞれ一対のヒンジ部材46が取り付けられている。図示は省略するが、ドア部62に対する各ヒンジ部材46の取付構造は、第1の実施形態の構造と同様である。左ドア部64を支持するヒンジ部材46は、該左ドア部64が後縁64Aに平行な(略一致する)回動軸線廻りに回動して開放位置に至るように車幅方向に対し傾斜して配設されており、右ドア部66を支持するヒンジ部材46は、該右ドア部66が後縁66Aに平行な(略一致する)回動軸線廻りに回動して開放位置に至るように車幅方向に対し傾斜して配設されている。
【0051】
フードエアバッグ装置60の他の構成は、フードエアバッグ装置10の対応する構成と同様である。したがって、第2の実施形態に係るフードエアバッグ装置60によっても、第1の実施形態による各効果と同様の効果を得ることができる。すなわち、フードエアバッグ装置60では、ドア部42をエアバッグ袋体14の展開を許容する開放位置に安定して移動させることができる。
【0052】
また、フードエアバッグ装置60では、ドア部62を左右のドア部64、66に分割して構成したため、後縁64A、66Aがヒンジ部材46の案内による回動軸線に沿う構成を維持しながら、ドア部62を全体としてエンジンフード12の後端形状に近似する略V字状に形成することができた。これにより、ドア部62によって覆われエアバッグ袋体14が収容される配設空間Rを、展開したエアバッグ袋体14が覆うフロントウインドシールドガラスG、左右のフロントピラーPに近接して配置することが実現された。このため、フードエアバッグ装置60エアバッグ袋体14の小型化、インフレータ38の小容量化が図られる。また、エアバッグ袋体14が全展開するまでの時間が短縮される。
【0053】
なお、この実施形態では、ドア部62が2分割された例を示したが、本発明はこれに限定されず、ドア部62を3つ以上の単位ドア部に分割して構成しても良い。
【0054】
(第3の実施形態)
図8には、第3の実施形態に係るフードエアバッグ装置70が図1に対応する拡大断面図にて示されている。この図に示される如く、フードエアバッグ装置70は、略矩形状に形成されたノッチ部44の車幅方向に沿って長手とされた前部44Aを下側から被覆するノッチカバー72を備えている。ノッチカバー72は、平板を上向きに凹の略円弧状に湾曲した如く形成されており、ノッチ部44の前部44Aを車幅方向の略全長に亘って非接触状態で覆っている。ノッチカバー72の後端(板厚部分)は、滑らかに丸められている。このノッチカバー72は、その前端から前方に延設された平板状の固定部74が、フードアウタパネル16におけるドア部42の前方部分にレーザ溶接によって固着されることで、該フードアウタパネル16に支持されている。
【0055】
図9に示される如く、ノッチカバー72は、フードアウタパネル16におけるドア部42が分離した後に形成される開口部40の前縁40Aを下側から覆い、該前縁40Aへのエアバッグ袋体14の接触を防止する。このため、フードエアバッグ装置70では、ノッチ部44の破断に伴って前縁40Aが鋭利に形成されたりバリ等が生じた場合でも、開口部40からフードアウタパネル16上に膨出するエアバッグ袋体14が接触して損傷を被ることが防止される。
【0056】
フードエアバッグ装置70の他の構成は、フードエアバッグ装置10の対応する構成と同様である。したがって、第3の実施形態に係るフードエアバッグ装置70によっても、第1の実施形態による各効果と同様の効果を得ることができる。すなわち、フードエアバッグ装置70では、ドア部42をエアバッグ袋体14の展開を許容する開放位置に安定して移動させることができる。
【0057】
(第4の実施形態)
図10には、第4の実施形態に係るフードエアバッグ装置75が図1に対応する拡大断面図にて示されている。この図に示される如く、フードエアバッグ装置75は、固定部74に代えて、ノッチカバー72の前縁から連結部76が延設されている点で、第3の実施形態に係るフードエアバッグ装置70とは異なる。連結部76は、レーザ溶接によってフードアウタパネル16の下面に固着される平板状の固着部76Aと、固着部76Aの前縁から垂下された脚部76Bとを有し、側断面視で略「逆さL」字状に形成されている。脚部76Bは、車幅方向の複数箇所でブラケット78を介してフードインナパネル18に支持されている。
【0058】
具体的には、ブラケット78は、一端がフードインナパネル18に溶接等によって固着されており、他端に脚部76Bに接触又は対向する取付片78Aが設けられている。そして、連結部76とブラケット78とは、車幅方向の複数箇所において、脚部76B及び取付片78Aを貫通する段付きボルト54及び該段付きボルト54に螺合するナット55によって遊びを有して連結されている。これにより、フードエアバッグ装置75では、フードアウタパネル16におけるドア部42の前側部分が連結部76、ブラケット78を介してフードインナパネル18に連結されている。この連結部76が本発明における「連結部材」に相当する。なお、ブラケット78は、「連結部材」と解しても良く、「車体」と解しても良い。
【0059】
また、この実施形態では、ヒンジ部材46が、下ハーフ46Aに代えて、ブラケット部46Cを備えている。ブラケット部46Cは、図10の紙面でブラケット78と略対称に形成されており、一端がフードインナパネル18に溶接等によって固着されている。このブラケット部46Cの他端には平板状の取付片46Dが設けられており、取付片46Dは段付きボルト54、ナット55によって連結部52に遊びを有して結合されている。
【0060】
フードエアバッグ装置75の他の構成は、フードエアバッグ装置70の対応する構成と同様である。したがって、第4の実施形態に係るフードエアバッグ装置75によっても、第3の実施形態による各効果と同様の効果を得ることができる。すなわち、フードエアバッグ装置75では、ドア部42をエアバッグ袋体14の展開を許容する開放位置に安定して移動させることができ、ドア部42をフードアウタパネル16に一体に形成した構成において展開するエアバッグ袋体14を保護することができる。
【0061】
特に、フードエアバッグ装置75では、フードアウタパネル16におけるドア部42の前側部分が連結部76等によってフードインナパネル18に連結されるため、ドア部42がエアバッグ袋体14に下側から押圧される際に、フードアウタパネル16は、ドア部42の後側部分の上方への変形がヒンジ部材46によって規制されると共に、ドア部42の前側部分の上方への変形が連結部76によって規制される。すなわち、フードアウタパネル16のドア部42(開口部40)廻りの強度が向上し、ドア部42がエアバッグ袋体14に押圧されることで、ノッチ部44は一層スムースに破断し、ドア部42をエアバッグ袋体14の展開を許容する開放位置により一層安定して移動させることができる。
【0062】
(第5の実施形態)
図11には、第5の実施形態に係るフードエアバッグ装置80が図1に対応する断面図にて示されている。この図に示される如く、フードエアバッグ装置80は、ドア部42の前端に設けられノッチ部44の前部44Aを被覆するリッドカバー82を備える点で第3の実施形態に係るフードエアバッグ装置70とは異なる。リッドカバー82は、略平板状に形成されており、ノッチ部44の前部44Aを車幅方向の略全長に亘って非接触状態で下側から覆っている。図12に示される如く、リッドカバー82は、その後端から後方に延設された固定部84がドア部42の下面にレーザ溶接によって固着されており、ドア部42がフードアウタパネル16から分離した後に、その前縁42Bにエアバッグ袋体14が接触することを防止する構成とされている。また、この実施形態では、ノッチカバー72は、略平板状に形成されてリッドカバー82の下側からノッチ部44の前部44Aを覆っている。
【0063】
フードエアバッグ装置80の他の構成は、フードエアバッグ装置70の対応する構成と同様である。したがって、第5の実施形態に係るフードエアバッグ装置80によっても、第3の実施形態による各効果と同様の効果を得ることができる。すなわち、フードエアバッグ装置70では、ドア部42をエアバッグ袋体14の展開を許容する開放位置に安定して移動させることができ、ドア部42をフードアウタパネル16に一体に形成した構成において展開するエアバッグ袋体14を保護することができる。
【0064】
特に、フードエアバッグ装置80では、ドア部42の前縁42Bを覆うリッドカバー82を設けたため、ノッチ部44の破断に伴ってドア部42の前縁42Bが鋭利に形成されたりバリ等が生じた場合でも、該前縁42Bにエアバッグ袋体14が接触しないため、該エアバッグ袋体14が損傷を被ることが一層効果的に防止される。
【0065】
(第6の実施形態)
図13には、第6の実施形態に係るフードエアバッグ装置85が図1に対応する断面図にて示されており、図14には、フードエアバッグ装置85の作動状態が図2に対応する断面図にて示されている。これらの図に示される如く、フードエアバッグ装置85は、バッグ保護布86、88を備える点で、第5の実施形態に係るフードエアバッグ装置80とは異なる。
【0066】
バッグ保護布86、88は、それぞれ一端がエアバッグ袋体14の基端部(インフレータ38、ケース36との接続端の近傍)に縫製等によって固定されると共に、他端側がエアバッグ袋体14上(ドア部42との間)で蛇腹状に折り畳まれている。バッグ保護布86の中間部は、エアバッグ袋体14の前側に位置しており、バッグ保護布88の中間部はエアバッグ袋体14の後側に位置している。そして、バッグ保護布86は、エアバッグ袋体14の膨出に伴って開口部40の前縁40Aを被覆し、バッグ保護布88は、エアバッグ袋体14の膨出に伴ってドア部42の前縁42Bを被覆するようになっている。
【0067】
フードエアバッグ装置85の他の構成は、フードエアバッグ装置80の対応する構成と同様である。したがって、第6の実施形態に係るフードエアバッグ装置85によっても、第5の実施形態に係るフードエアバッグ装置80による各効果と同様の効果を得ることができる。すなわち、フードエアバッグ装置85では、ドア部42をエアバッグ袋体14の展開を許容する開放位置に安定して移動させることができ、ドア部42をフードアウタパネル16に一体に形成した構成において展開するエアバッグ袋体14を保護することができる。
【0068】
特に、フードエアバッグ装置85では、バッグ保護布86、88を設けたため、ノッチ部44の破断に伴って開口部40の前縁40A、ドア部42の前縁42Bが鋭利に形成されたりバリ等が生じた場合でも、該前縁40A、42Bにエアバッグ袋体14が接触しないため、該エアバッグ袋体14が損傷を被ることがより一層効果的に防止される。
【0069】
なお、上記第3乃至第6の実施形態は、ドア部42を有する構成に適用される例を示したが、これらの構造を、ドア部62を有する構成に適用しても良いことは言うまでもない。また、第6の実施形態におけるバッグ保護布86、88は、ノッチカバー72、リッドカバー82を有しない構成に適用しても良い。
【0070】
また、上記各実施形態では、ヒンジ部材46が塑性変形ヒンジである例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、ドア部42、62がフードアウタパネル16に一体に設けられ直線状の後縁42A、64A、66Aを有する構成においては、ヒンジ軸を有する蝶番の如きヒンジ部材を用いても良い。また、ノッチ部を跨いでリッド固着部50Aとパネル固着部50Bとを有する塑性変形ヒンジ(ヒンジ部材46)を備える構成においては、ドア部42等をフードアウタパネル16と別部材として構成しても良い。
【0071】
さらに、上記各実施形態では、本発明のエアバッグ装置がフードエアバッグ装置10等に適用された例を示したが、本発明はこれに限定されず、車体外側で展開するエアバッグ装置に適宜適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るフードエアバッグ装置の側断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るフードエアバッグ装置の動作状態を示す側断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るフードエアバッグ装置が適用された自動車の前部構造を示す側断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るフードエアバッグ装置を構成するヒンジ部材を一部拡大して示す図であって、(A)は動作前の側断面図、(B)は動作後の側断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るフードエアバッグ装置を構成するドア部を示す斜視図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るフードエアバッグ装置が適用された自動車のエアバッグ袋体展開状態の外観を示す斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るフードエアバッグ装置を構成するドア部を示す斜視図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係るフードエアバッグ装置の側断面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係るフードエアバッグ装置の動作状態を示す側断面図である。
【図10】本発明の第4の実施形態に係るフードエアバッグ装置の側断面図である。
【図11】本発明の第5の実施形態に係るフードエアバッグ装置の側断面図である。
【図12】本発明の第5の実施形態に係るフードエアバッグ装置の動作状態を示す側断面図である。
【図13】本発明の第6の実施形態に係るフードエアバッグ装置の側断面図である。
【図14】本発明の第6の実施形態に係るフードエアバッグ装置の動作状態を示す側断面図である。
【符号の説明】
【0073】
10 フードエアバッグ装置(エアバッグ装置)
12 エンジンフード(フード部材)
14 エアバッグ袋体
16 フードアウタパネル(車体外板)
18 フードインナパネル(車体)
40 開口部
42 ドア部
42A 後縁(回動軸線側の縁部)
44 ノッチ部(ドア部と車体外板との境界、薄肉部)
46 ヒンジ部材
48 基部(ヒンジ部材の一端側)
50A リッド固着部(ヒンジ部材の他端側)
50B パネル固着部(ヒンジ部材の中間部)
50C 曲がり部
60・70・75・80・85 フードエアバッグ装置
62 ドア部
64 左ドア部(単位ドア部)
64A ・66A 後縁(回動軸線側の縁部)
66 右ドア部(単位ドア部)
68・69 ノッチ部(ドア部と車体外板との境界、薄肉部)
76 連結部(連結部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体外板に沿って設けられたドア部を膨張過程のエアバッグ袋体によって開放位置に移動することで車体外向きに開口部を開口させ、該開口部を通過した前記エアバッグ袋体を車体の外側で展開させるエアバッグ装置であって、
一端側が車体に支持されると共に他端側が前記ドア部に固定され、塑性変形することで前記ドア部を車体に対し保持しつつ該ドア部が前記開放位置に移動することを許容するヒンジ部材を備え、
かつ、前記ヒンジ部材の中間部が前記車体外板に固定されているエアバッグ装置。
【請求項2】
前記ヒンジ部材は、前記ドア部と前記車体外板との境界を跨ぐ部分が、車体内方に凸となるように湾曲した曲がり部とされている請求項1記載のエアバッグ装置。
【請求項3】
前記ドア部は、前記車体外板に一体に形成され、該車体外板の内面側に環状に凹設した薄肉部において破断することで前記車体外板から分離して前記開放位置に移動し得る構成とされている請求項1又は請求項2記載のエアバッグ装置。
【請求項4】
前記車体外板における前記ドア部を挟んで前記ヒンジ部材の固定部位とは反対側部分を、車体と連結する連結部材をさらに備えた請求項3項記載のエアバッグ装置。
【請求項5】
前記ドア部は、前記ヒンジ部材の変形に伴う前記開放位置側への回動の際に回動軸線側に位置する縁部が、該回動軸線に沿う直線状に形成されている請求項1乃至請求項4の何れか1項記載のエアバッグ装置。
【請求項6】
車体外板における内面側に凹設された環状の薄肉部の内側部分として、該車体外板に一体に設けられたドア部と、
前記ドア部の車内側に配設されたエアバッグ袋体と、
前記ドア部と車体とを連結し、前記ドア部を車体に対し保持しつつ該ドア部が所定の回動軸線廻りに回動するように案内するヒンジ部材と、
を備え、前記ドア部における前記ヒンジ部材に案内される回動の回動軸線側に位置する縁部が、該回動軸線に沿う直線状に形成されているエアバッグ装置。
【請求項7】
前記ドア部は、それぞれ前記ヒンジ部材の変形による回動軸線の方向が異なる複数の単位ドア部を含んで構成されている請求項5又は請求項6記載のエアバッグ装置。
【請求項8】
前記エアバッグ袋体は、フロントウインドシールドガラスの車両進行方向の前方に配置されたフード部材に設けられた前記ドア部を開放位置に移動して展開することで、前記フロントウインドシールドガラス及び左右のフロントピラーを覆うようになっており、
前記ヒンジ部材は、前記ドア部の車両進行方向の後方で前記車体外板に固定されており、
前記ドア部は、車幅方向中央に対し互いに対称に形成され、それぞれ車幅方向中央側よりも車幅方向外側の方が車両進行方向の後方に位置するように傾斜した一対の単位ドア部にて構成されている請求項7記載のエアバッグ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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