説明

エアバッグ

2つの重ね合わされたファブリック層(2,3)で形成された三次元エアバッグの形態を取るモータビークル用サイドエアバッグ(1)が開示される。重ね合わされたファブリック層(2,3)は、平らに置かれると、少なくとも相当広い共通重なり領域が生じる。少なくとも1つのガセット形成インサート又はファブリック層(2,3)の一方又は両方のファブリックの一部分又は複数の部分で形成された嵌め込み部品(42,43)が、重なり領域を越えて延びる状態で設けられている。エアバッグ(1)は、エアバッグ(1)の上部寄りのインフレート可能な領域と、エアバッグ(1)の下部寄りのインフレート可能な領域とを有する。2つのインフレート可能な領域は、エアバッグをインフレートさせると、インフレート可能な領域のどちらか一方の厚さよりも小さい厚さを有するよう拘束されるエアバッグの一部によって分離されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータビークル、例えば自動車に用いられるエアバッグに関し、特に、サイドエアバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
サイドエアバッグは、当初、車両座席の一部、典型的には車両座席の背もたれの中又は座席に隣接した車両のサイド部内に収納されているエアバッグである。
【0003】
サイドエアバッグは、側面衝突状況において特に価値を持つものであり、公知のように、側面衝突の際、車両の乗員に保護をもたらすようになったエアバッグを極めて素早く膨張、すなわち、インフレートさせなければならない。したがって、かかるエアバッグを極力少ない量のガスでインフレートさせることが望ましい。
【0004】
種々の型式のサイドエアバッグが、従来提案されている。
先行技術において提案された多くのサイドエアバッグは、いわゆる「二次元」エアバッグである。二次元エアバッグは、寸法形状が同一の2つの重ね合わされたファブリック層をこれらの共通周辺部のところで互いに固定してエアバッグを形成したものであり、このエアバッグは、非インフレート状態では、平らに配置されることがある。2つの重ね合わされた層を周辺継ぎ目により互いに縫合するのがよく、また変形例として、ワンピース織成法を利用して対応の形態のエアバッグを製造してもよく、かかるエアバッグもまた、周辺部のところで互いに固定された寸法形状が同一の2つの重ね合わされた層を有する。
【0005】
サイドエアバッグを極力少量のガスでインフレートさせるべきであるにもかかわらず、迅速なインフレーションを容易にするためには、サイドエアバッグは、相当大きな「深さ」を有するべきであり、したがって、インフレーション時に、エアバッグは、できるだけ早く座席の乗員に係合すると共に特に側面衝突状況において乗員の保護を行うよう極力良好な側方「クッション」となることが望ましい。
【0006】
二次元エアバッグでは、エアバッグを、エアバッグの互いに反対側の側部が外方に膨らんで互いに離れ、かくしてエアバッグの深さ又は厚さをもたらすが、エアバッグをこのようにインフレートさせる場合、まず最初に、相当な量のガスをエアバッグ中に注入する必要があり、次に、エアバッグ内のガスの圧力が極めて高い状態でエアバッグがほぼ円筒形の形態を取るようになるまでインフレートさせなければならない。エアバッグは、このようにインフレートした場合、所望のクッション効果をもたらさず、それどころか、それにより座席乗員がエアバッグに当たって「跳ね返る」ことがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した形式の二次元エアバッグであるサイドエアバッグを提供することが提案され、このエアバッグは、エアバッグを上部のインフレート可能な領域又はチャンバと下部のインフレート可能な領域のチャンバに分割する横方向継ぎ目をその中央領域に有する。2つのインフレート可能な領域又はチャンバは各々、厚さ又は深さを有するが、エアバッグは、継ぎ目の付近の厚さ又は深さが非常に小さい。中央継ぎ目を設けることが、エアバッグを完全にインフレートさせるのに必要なガスの量を最小限に抑えるのに役立ち、継ぎ目を設けることにより、適宜2つのチャンバを互いに異なる内圧にインフレートさせることが可能になる。しかしながら、二次元エアバッグに継ぎ目を設けるということは、取りも直さず、エアバッグをインフレートさせる場合、エアバッグのインフレート可能な領域又はチャンバの全厚がそれほど大きくはないということである。
本発明の目的は、モータビークル用の改良型サイドエアバッグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、モータビークル用のサイドエアバッグであって、サイドエアバッグは、2つの重ね合わされたファブリック層で形成された三次元エアバッグであり、重ね合わされたファブリック層は、平らに配置されると、少なくとも、相当広い共通重なり領域を有し、少なくとも1つのガセット形成インサート又はファブリック層のうちの一方又は両方のファブリックの一部分又は複数の部分で形成された嵌め込み部品が設けられ、嵌め込み部品は、共通重なり領域を越えて延び、サイドエアバッグは、サイドエアバッグの上部寄りに位置するインフレート可能な領域及びサイドエアバッグの下部寄りに位置するインフレート可能な領域を有し、インフレート可能な領域は、サイドエアバッグをインフレートさせると、インフレート可能な領域のどちらか一方の厚さよりも小さい厚さを有するよう拘束されるサイドエアバッグの部分によって互いに分離されている、サイドエアバッグが提供される。
【0009】
好ましくは、サイドエアバッグは、上部領域を形成する上側チャンバ及び下部領域を形成する下側チャンバを有し、上側チャンバと下側チャンバは、横方向に延びる継ぎ目によって分離されている。
【0010】
有利には、サイドエアバッグは、周辺継ぎ目によって互いに連結された実質的に同一形態の2つのファブリック層で形成され、少なくとも1つのインサートが、ガセットを形成するようファブリック層相互間で周辺継ぎ目内に設けられる。
【0011】
好都合には、2つのインサートが設けられ、一方のインサートは、1つのチャンバと関連したガセットを形成し、他方のインサートは、別のチャンバと関連したガセットを形成する。
好ましくは、インサートは、少なくとも1つの通気孔を備えている。
有利には、通気孔は当初、引裂継ぎ目により密封されている。
【0012】
好都合には、重ね合わされたファブリック層は、相当広い共通重なり領域を有し、各ファブリック層は、重なり領域を越えて突き出た1つ以上の部分を有し、重なり領域の周辺部は、継ぎ目により互いに連結されている。
【0013】
好ましくは、ガス発生器が、サイドエアバッグ内に設けられ、継ぎ目とガス発生器の組合せは、2つのチャンバを互いに実質的に密封し、ガス発生器は、2つのチャンバを互いに異なる圧力までインフレートさせるよう構成されている。
【0014】
有利には、重ね合わされたファブリック層は各々、共通重なり領域を越えて突き出た2つの部分を有し、結果的に得られるサイドエアバッグは、サイドエアバッグをインフレートさせると、上側チャンバ及び下側チャンバを有し、上側チャンバと下側チャンバとの間には、細いインフレート状態のネックが形成される。
好都合には、2つのファブリック層は、単一のファブリック要素の一部をなす。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を理解しやすくするため及びその別の特徴を理解できるようにするため、添付の図面を参照して例示として本発明の実施形態を以下に説明する。
【0016】
まず最初に添付の図面のうち図1〜図3を参照して、上部又は上側のインフレート可能な領域又はチャンバ及び下部又は下側のインフレート可能な領域又はチャンバを有するサイドエアバッグについて説明する。
【0017】
最初に図1を参照すると、サイドエアバッグ1は、2つの重ね合わされた同一のファブリック層2,3(層2だけが図1に見える)で作られている。ファブリック層2,3は、共通重なり又はオーバーラップ領域が、各層の全領域であるように互いに整列しており、いずれの層に関しても共通重なり領域を越えて延びる部分はない。
【0018】
以下に説明するように、2つのファブリック層2,3は、インフレート可能な部分をエアバッグに形成するよう周辺又は周囲に沿ってぐるりと互いに固定されており、インフレート可能な部分はそれ自体、横方向に延びる継ぎ目6によって2つのインフレート可能な領域、即ち上側チャンバ4と下側チャンバ5に分割されている。継ぎ目6は、エアバッグ1の中間部分(垂直方向に見て)の辺りから延び、かかる中間部分は、エアバッグをインフレートさせたときのエアバッグの後部になる領域の中間部分寄りに位置するインフレート状態のエアバッグ1の最も前方の部分である。継ぎ目6は、上方に傾斜している。エアバッグの後部7のところには、フラップ8が設けられ、このフラップを貫通して2つの孔9,10が形成されている。
【0019】
全体として円筒形のガス発生器11が設けられ、このガス発生器は、フラップ8の付近に形成された孔を通ってエアバッグ内に挿入されることになっている。ガス発生器11は、2つの半径方向に突き出たスタッド12,13を備え、これらスタッドは、フラップ8に形成された孔9,10を通って受け入れられるよう位置決めされると共に寸法決めされている。フラップ8に形成された孔9,10がスタッド12,13と嵌合すると、エアバッグ1を密封することができる。ガス発生器11は、複数個のガス出口孔14を備えている。好ましくは、円筒形ガスデフレクタ15(図1に想像線で示されている)が設けられ、このガスデフレクタは、ガス発生器11を包囲し、ガスデフレクタ15は、ガス出口16,17を備えている。
【0020】
ガス発生器11とガスデフレクタ15の組合せは、フラップ8の付近に設けられた開口部を通ってエアバッグ1内へ挿入されることになっており、フラップ8の孔9,10は、エアバッグを密封するよう半径方向に突出したスタッド12,13と嵌合可能である。継ぎ目6の最も内側の端部は、ガスデフレクタ16に係合するのがよく、かくして上側チャンバ4を下側チャンバ5から分離している。ガス発生器11からのガスをガス出口16から上側チャンバ4に注入すると共にガス出口17から下側チャンバ5内に注入することができる。
【0021】
図2は、図1のエアバッグを形成するために用いられるファブリックのシート又は層2を示し、更に、継ぎ目6の位置を示すと共にファブリック層2を他方の同一のファブリック層3に接合するのに役立つ周辺継ぎ目19の位置を示している。図2は又、全体として長円形の形態をした別個のファブリックインサート又は嵌め込み要素20を示しており、インサート20は、互いに反対側の尖った端部を有している。
【0022】
ファブリック層2,3を周辺継ぎ目19によって互いに接合すると、インサート20は、エアバッグの最下部、即ち、横方向に延びる継ぎ目6の端部のところの箇所Aからフラップ8のベースに隣接して位置する箇所Bまで延びる領域内の周辺継ぎ目19に導入されることは理解されるべきである。インサート20は、第1のファブリック層2に連結された一方の側縁部及び他方のファブリック層7に連結された他方の側縁部を有し、かくしてガセットが形成されている。
【0023】
したがって、図1及び図2に示すようなエアバッグをインフレートさせると、ファブリック層2,3がチャンバ4,5内のガスの圧力に起因するもののインサート20により形成されるガセットが設けられていることにより、外方に弓形に曲がることになり、下側チャンバ5は、図3に想像線で示されているように、相当大きな横方向寸法又は深さを有し、これに対し、上側チャンバ4は、これ又図3に想像線で示されているように、小さな寸法又は深さを有することになることは理解されるべきである。したがって、ガセットを収納する下側チャンバ5を望ましい相当大きな厚さ又は深さを有するようインフレートさせることができる。横方向継ぎ目6を設けることは、エアバッグを完全にインフレートさせるのに必要なガスの量を最小限に抑えるのに役立ち、図示の構成では、ガス発生器は、上側チャンバ4をガス発生器の作動時に下側チャンバ5とは異なる圧力までインフレートさせることができるよう設計されたものであるのがよい。
【0024】
図4は、本発明の変形実施形態を示している。この実施形態では、2つの別々のファブリック要素2,3を設ける代わりに、折り曲げ線又は折り畳み線31に沿って折り曲げられるようになった単一のファブリック要素30が設けられ、したがって、ファブリック要素の第1の部分32が、第2の、しかしながらこれと実質的に鏡像関係にある部分33の上に位置するようになっている。かくして、折り重ねられると、共通重なり領域は、各部分32,33の全領域であり、いずれのファブリック要素部分32,33についても、重なり領域を越えて延びる部分は無い。第1の部分32は、図2を参照して上述したファブリック要素2の形態に全体として一致した形態を有し、この第1の部分32は、サイドエアバッグの上側インフレート可能チャンバの側壁を形成することになる上側領域34及びサイドエアバッグの下側インフレート可能チャンバの側壁を形成することになる下側領域35を有し、領域34,35は、上述したエアバッグ1の継ぎ目6に相当する横方向に延びる継ぎ目36を受け入れることになる領域によって互いに分離されている。ファブリック要素の第2の部分33は、ほぼ同じ特徴を有し、2つの部分32,34が互いに接合される中央領域37において、ファブリック要素を貫通して形成されていて、ガス発生器に取り付けられた取り付けスタッドを受け入れる2つの孔38,39が設けられている。ガス発生器をエアバッグ内に挿入させることができるスリット40も又、ファブリック要素の中央領域37を貫通して形成されている。この場合も又、継ぎ目が設けられることになる周辺領域41が設けられている。
【0025】
本発明のこの実施形態では、2つの嵌め込み要素又はインサート42,43が設けられている。第1のインサート42は、尖った端部を備えた長円形の形態のものであり、この第1のインサートは、図1〜図3を参照して説明した実施形態のインサート20に一致している。このインサート42は、エアバッグを組み立てたときに下側インフレート可能チャンバの側壁を形成することになる領域35相互間に挿入されるようになっており、かかる領域35は、継ぎ目36の端部に隣接して位置する箇所Aからファブリック要素30の2つの別々の部分32,33が互いに接合される中央領域37のベースのところの箇所Bまで延びている。インサート42の一方の側部は、ファブリック要素30の第1の部分32に連結され、他方の側部は、ファブリック要素30の他方の部分33に連結されており、この場合も又、ガセットが形成されている。
【0026】
第2のインサート43は、幾分大きな寸法のものであるが、この場合も又、尖った端部を備える全体として長円形の形態のものであり、このインサートは、上側チャンバの側壁を形成することになる領域34相互間に挿入されるよう形作られており、かかる領域34は、継ぎ目36の端部に隣接した箇所Cからファブリック要素の2つの部分32,33が互いに接合される領域37の最も上方の部分のところの箇所Dまで延びている。かくして、インサート43は、第2のガセットを形成している。インサート43は、複数個の通気穴44を備えている。
【0027】
したがって、図4の実施形態では、下側インフレート可能チャンバが嵌め込み要素42により構成されるガセットを備えるだけでなく、上側インフレート可能チャンバも又、嵌め込み要素43により構成されるガセットを備えることは理解されるべきである。
【0028】
ガセットは、当初、エアバッグの内部に押し込まれ、かくして、ファブリック要素30の2つの部分32,33相互間に捕捉される。かくして、通気穴44は、当初閉じられ、通気穴44を通って流れ出ることができるガスは無い。しかしながら、通気穴は、エアバッグのインフレーション時に露出状態になり、すると、ガスは、通気穴を通って逃げ出ることができる。
【0029】
図4の実施形態では、下側チャンバと上側チャンバの両方は、相当大きな厚さ又は深さを有するが、エアバッグのインフレーションに必要なガスの量は極力少ない。継ぎ目36の付近におけるエアバッグの厚さ又は深さは、小さい。
【0030】
次に図5を参照すると、上述したようなインサート43に取って代わるようになった改良型インサート45が示されている。このインサート45は、複数個の通気穴46を備えるが、通気穴46を備えたインサートの領域は、引裂継ぎ目47によって挟まれると共に閉じられている。かくして、引裂継ぎ目47は、当初通気穴46を密封するのに役立つ。エアバッグのインフレーション時、エアバッグ内の空気の圧力が、引裂継ぎ目を破断させるのに十分な所定の圧力に達すると、引裂継ぎ目が破断し、すると、ガスが通気穴46を通って逃げ出ることができる。上述の実施形態は全て、三次元エアバッグ内にガセットを形成する少なくとも1つのインサート又は嵌め込み手段を有しているが、変形例として、三次元エアバッグは、2つのファブリック層を用いて形成されたものであってもよく、2つのファブリック層を折り重ねて共通重なり領域を構成し、ファブリック層のうちの少なくとも一方が、この共通重なり領域を越えて延びる領域を有し、第1のファブリック層の周辺部が、第2のファブリック層の周辺部に固定され、かくして三次元特性を備えたエアバッグが形成される。好ましくは、ファブリック層のうちの一方の周辺部の長さは、他方のファブリック層の周辺部の長さと同一である。
【0031】
図7及び図8は、互いに反対側の側部から見た2つの部分51,52を備えた単一のファブリック要素50を示しており、これら2つの部分51,52は、エアバッグの製作における中間段階として重ね合わされるように折り曲げ線53周りに折り畳まれている。部分51は、図7において頂部に位置するものとして示され、部分52は、図8において頂部に位置するものとして示されている。理解できるように、部分51が部分的に部分52の上に位置する相当広い共通オーバーラップ領域が存在するが、共通オーバーラップ領域を越えて突き出た部分51の突出部分54,55,56,57が存在し、又、理解できるように、部分52の突出部分58,59,60,61が、共通オーバーラップ領域を越えて延びている。
【0032】
理解されるべきこととして、折り曲げ線53に隣接して、部分51に設けられた取付け孔62,63を有する領域が設けられ、図1に示す形式のガス発生器をエアバッグ内に導入できるよう折り曲げ線53の付近にスリット又は開口部が設けられており、ガス発生器に取り付けられたスタッドが、孔62,63と嵌合してガス発生器が定位置に保持されると共にエアバッグが密封される。
【0033】
理解されるべきこととして、内側の横方向に延びる継ぎ目66が設けられ、この継ぎ目66は、ファブリック要素50の2つの部分51,52を相互に連結して継ぎ目が共通オーバーラップ領域を横切って延びて上述の孔62,63に隣接して終端するようになっている。この場合、ガス発生器がエアバッグ内の定位置に取り付けられると、ガス発生器に設けられたガスデフレクタが継ぎ目66に接触することができ、かくしてエアバッグが2つの別々のインフレート可能な領域又はチャンバに分離され、チャンバは、継ぎ目66により互いに分離されることは理解されるべきである。
【0034】
エアバッグを図7及び図8に示す中間位置から組み立てているとき、エアバッグのファブリックの適当な操作により2つの重ね合わされた部分51,52の周辺部を整列させ、整列状態の周辺部を例えば縫合により互いに連結すると、かくして、重ね合わせ状態のファブリック層により構成される三次元チャンバである下側インフレート可能領域又はチャンバが領域67に設けられ、これに対応した上側インフレート可能領域又はチャンバが領域68に設けられたエアバッグが形成されることは理解されるべきである。突出部分54〜61は全て、上述の実施形態のインサートに等価な嵌め込み要素を形成している。インフレート可能領域又はチャンバ67,68は、エアバッグをインフレートしたときに、相当大きな厚さ又は深さを有するのがよいが、エアバッグは、継ぎ目66の付近に最小の厚さ又は深さを有するであろう。図9は、単一のファブリック要素が三次元エアバッグを形成するために用いられる本発明の別の実施形態を示している。しかしながら、この実施形態では、エアバッグを別々のチャンバに分割する横方向継ぎ目は設けられていない。
【0035】
図9を参照すると、連結領域73により互いに連結された2つの実質的に鏡像関係にある部分71,72を有する単一のファブリック要素70が示されている。連結領域73内には、ガス発生器に設けられたスタッドと嵌合する2つの孔74,75及びガス発生器を製作されるべきエアバッグ内に挿入できるようにする接近スリット76が設けられている。
【0036】
理解されるべきこととして、製作工程中、ファブリック要素70は、折り曲げ線77周りに折り畳まれ、この折り曲げ線は、相互連結領域73を通って延び、したがって部分71が図9に想像線で示すように部分72の上に部分的に重なるようになっている。この場合、折り畳み状態では、相当広い共通オーバーラップ領域が生じ、部分72は、共通オーバーラップ領域を越えて延びる領域78,79を有し、部分71は、共通オーバーラップ領域を越えて延びる部分80,81を有することは理解されるべきである。この場合も又、ファブリック層は、周辺継ぎ目82によって互いに連結され、ファブリックは、共通オーバーラップ領域の周辺部が結合されるよう操作される。
【0037】
図9に示すようなファブリック要素で製作されたエアバッグは、これをインフレートさせると、比較的大きな厚さ及び深さの上側インフレート可能領域83及びこれ又、比較的大きな厚さ及び深さの下側インフレート可能領域84を有する傾向があり、これら領域83,84は、幅又は深さが非常に小さなネック領域85によって互いに連結されている。この場合も又、エアバッグを最小量のガスを用いてインフレートさせることができるが、エアバッグは、相当大きな厚さ又は深さのインフレート可能領域を備え、かくして、エアバッグの展開時にエアバッグを座席の乗員に比較的素早く物理的に接触させることができ、しかもエアバッグが適当な保護又はクッション効果をもたらすことができる。
【0038】
原文明細書において、“comprises”(「〜を有する」と訳している場合がある)という用語は、“includes又はconsists of”(〜を含む/〜から成る)を意味し、“comprising”という用語は、“including又はconsisting of”を意味している。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明のエアバッグの斜視図である。
【図2】図1のエアバッグの製造の際に用いられる2つのファブリック要素の図である。
【図3】インフレートさせたときの図1のエアバッグの側面図である。
【図4】変形形態のエアバッグの製造の際に用いられるファブリック要素の図である。
【図5】エアバッグを形成する際に用いられる別のコンポーネントの図である。
【図6】図5のVI−VI矢視断面図である。
【図7】エアバッグの組み立ての際の初期段階における折り畳み状態の単一のファブリック要素の平面図である。
【図8】図7のファブリック要素の下から見た図である。
【図9】エアバッグを形成するための別のファブリック要素の図である。
【図10】インフレートさせたときの図9のファブリック要素で作られたエアバッグを示す略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータビークル用のサイドエアバッグであって、
2つの重ね合わされたファブリック層で形成された三次元エアバッグであり、
前記重ね合わされたファブリック層は、平らに配置されときに、少なくとも、相当広い共通重なり領域を有し、
少なくとも1つのガセット形成インサートで、又は、前記ファブリック層の一方又は両方の前記ファブリックの一部分又は複数の部分で、形成された嵌め込み部品が設けられ、該嵌め込み部品は前記共通重なり領域を越えて延び、
前記サイドエアバッグの上部に向って膨張可能な領域と、前記サイドエアバッグの下部に向って膨張可能な領域とを有し、これらの膨張可能な領域は、前記サイドエアバッグが膨張されたときに、拘束される前記サイドエアバッグの部分によって分離されて、前記膨張可能な領域のどちらか一方の厚さよりも薄い厚さを有する、
サイドエアバッグ。
【請求項2】
前記サイドエアバッグは、前記上部領域を形成する上側チャンバと、前記下部領域を形成する下側チャンバとを有し、前記上側チャンバと前記下側チャンバとが、横方向に延びる継ぎ目によって分離されている、請求項1記載のサイドエアバッグ。
【請求項3】
前記サイドエアバッグは、周辺継ぎ目によって互いに連結された実質的に同一形態の2つのファブリック層で形成され、少なくとも1つのインサートが、ガセットを形成するように前記ファブリック層相互間で前記周辺継ぎ目内に設けられる、請求項1又は2記載のサイドエアバッグ。
【請求項4】
2つのインサートが設けられ、一方の前記インサートは、1つのチャンバと関連したガセットを形成し、他方の前記インサートは、別のチャンバと関連したガセットを形成する、請求項3記載のサイドエアバッグ。
【請求項5】
前記インサートが少なくとも1つの通気孔を備える、請求項3又は4記載のサイドエアバッグ。
【請求項6】
前記通気孔は当初、引裂継ぎ目により密封されている、請求項5記載のサイドエアバッグ。
【請求項7】
重ね合わされた前記ファブリック層は、相当広い共通重なり領域を有し、各前記ファブリック層は、前記重なり領域を越えて突き出た1つ以上の部分を有し、前記重なり領域の周辺部は、継ぎ目により互いに連結されている、請求項1又は2記載のサイドエアバッグ。
【請求項8】
ガス発生器が、前記サイドエアバッグ内に設けられ、前記継ぎ目と前記ガス発生器の組合せは、2つの前記チャンバを互いに実質的に密封し、前記ガス発生器は、2つの前記チャンバを互いに異なる圧力まで膨張させるように構成されている、請求項2又は請求項2に従属する請求項のいずれか一項に記載のサイドエアバッグ。
【請求項9】
前記重ね合わされたファブリック層は各々、前記共通重なり領域を越えて突き出た2つの部分を有し、結果的に得られる前記サイドエアバッグは、前記サイドエアバッグが膨張されたときに、上側チャンバと、下側チャンバとを有し、前記上側チャンバと前記下側チャンバとの間には、細い膨張状態のネックが形成される、請求項1又は請求項1に従属する請求項のいずれか一項に記載のサイドエアバッグ。
【請求項10】
前記2つのファブリック層は、単一のファブリック要素の一部をなす、請求項1〜9のいずれか一項に記載のサイドエアバッグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−506597(P2007−506597A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515881(P2006−515881)
【出願日】平成16年6月9日(2004.6.9)
【国際出願番号】PCT/EP2004/006275
【国際公開番号】WO2005/002930
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(504449929)オートリブ ディヴェロプメント アクチボラゲット (20)
【Fターム(参考)】