説明

エアマット、エアマット製造装置及びその製造方法

【課題】製造コストを節減し、下板の強度を増加させ、製造工程を簡素化し、自動化を可能にするエアマット、エアマット製造装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、弾性及び柔軟性を持つように合成樹脂に可塑剤を混合した第1樹脂組成物でなり、多数のエアポケットを備えたクッション部;及び合成樹脂と、前記第1樹脂組成物に混合される可塑剤混合量の75%以下の可塑剤と、剛性を増加させる剛性材を混合した第2樹脂組成物でなり、前記クッション部に結合される下板;を含むことにより、下板の製造コストを節減し強度を増加させることができる。また、本発明は、エアマットクッション部のエアポケットを形成するように所定の深さで陷沒した多数のエアポケット成形溝とエアマットクッション部を連結する連通流路を形成するようにそれぞれのエアポケット成形溝を連結する切開溝を備えた下部金型と、前記下部金型の開口部を覆蓋する上部金型とからなるエアマット製造装置であって、前記切開溝形成部の熱伝導速度が前記エアポケット成形溝形成部の熱伝導速度以上となるように、前記切開溝形成部には前記エアポケット成形溝形成部の金型厚さより前記切開溝形成部の金型厚さを減らす薄肉部が形成されることにより、別の連通部材を使わなくて一様な厚さを持つエアマットを製造するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアマット、エアマット製造装置及びその製造方法に関わるもので、より詳しくは下板の製造コストを節減するとともに強度を補強するようにし、下部金型の連通流路形成部に薄肉部を備えることで、エアポケット形成部より連通流路形成部側の熱伝導が速かに進行するようにして、クッション部のエアポケット形成部の厚さと連通流路形成部の厚さが均一になるようにするエアマット製造装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、エアマットとは空気を注入して内部に形成された空気圧を介して適切なクッション作用をするようにして、その上で休息を取るための道具であり、携帯が簡便で設置場所に構わない利点のために広く愛用されている。
【0003】
このような一般的なエアマットは、多数のエアポケット状のクッション部と、クッション部の下面に接合される下板とからなる。そして、クッション部または下板の一側には各エアポケットの内部に空気を注入させるための空気注入孔が形成される。また、各エアポケットは連通流路を介して互いに連通し、空気注入孔を通じて注入された空気が連通流路を通じて各エアポケットに供給されるように構成される。
【0004】
このような従来エアマットは、一般的にスラッシュ成形(slush molding)によって製作されており、その過程は次のようである。
【0005】
まず、金型の内部にプラスチック樹脂を充満させてから予熱させた後、樹脂の一部が金型の内部面に所望の厚さでコートされたとき、充満された樹脂を排出し、一定の厚さでコートされた樹脂層は完全にゲル化させた後に冷却することで、クッション部を先に製作する。
【0006】
その後、クッション部の各エアポケットを互いに連通させるための連通流路を形成させる工程を実施し、予め製作された下板を前記クッション部と接合させるための接合工程を実施することで出来上がる。
【0007】
ところが、このようにスラッシュ成形を用いた従来のエアマット製造方法は、クッション部の成形の際、スラッシュ成形の特性上、金型の上部が開放された状態で成形がなされるため、クッション部の成形が完全に終了した後にのみ、下板をクッション部と接合することができる。
【0008】
したがって、クッション部と下板の接合工程を別に行わなければ、エアマットが最終に出来上がらないのである。特に、このようなクッション部と下板の接合工程は概して高周波接合またはボンディング接合によってなされるが、前記高周波接合は別途の高周波接合機が備えられなければならなくてその接合工程時間も長くかかるため、製作工程が延ばされるしかなく、結局製品の単価が上昇する問題点をもたらすことになる。
【0009】
特に、ボンディング接合は、前記高周波接合のように工程時間が長くかかるのはいうまでもなく、ほとんど手作業でなされるので、クッション部と下板の堅牢な接合が成り立ちにくく、接合の不良がたくさん発生する問題点がある。またクッション部のエアポケットとエアポケット間には連通流路を形成させることで、各エアポケットに空気がなだらかに流入するようにしなければならないが、スラッシュ成形はその特性上とても単純な形状しか成形することができないためにクッション部の連通流路はクッション部の成形が完了した後に別の連通流路形成工程を介して形成しなければならない。よって、それによる全工程の遅延及び製品単価の上昇の問題点がある。
【0010】
また、スラッシュ成形の特性上、プラスチゾルを抜き取れば、金型内に残っている各エアポケットの表面にデコボコした残在物が残り、このような残在物によってエアポケットの厚さが均一に形成できなくて使用中に一側部が破裂される事故が頻繁に発生した。
【0011】
このような問題点を解決するために、ローテーションモールディング法が開発されて使用された。
【0012】
ローテーションモールディング法は、図1に示すように、まず金型内に樹脂組成物を注入し、カバーを結合した後、一定軌道で金型を回転させることにより、回転過程で金型内の樹脂組成物が遠心力によって金型内に均一に分布してクッション部1が形成と同時にカバー側にも移動し、結局下板2とクッション部1が一体に形成されたエアマットを製造する方式でなる。
【0013】
前記のように構成された従来構造のエアマットリースのクッション部1と下板2を構成する樹脂組成物はポリ塩化ビニル、合成ゴム、及びポリウレタンのような粉末状の基本合成樹脂に、基本合成樹脂の熱可塑性を増大させて高温での成形が円滑になるようにしてクッション部1が十分な弾性及び柔軟性を持つようにするために可塑剤が多量混合した形態でなる。
【0014】
可塑剤はDINP(Diisonony1 phthalate)やDNOP(di−n−octy1 phthalate)、DIPI(Diisodecy1 phthalate)のようなフタルレート系(phthalate)が主に使われる。
【0015】
クッション部1が高温で円滑に成形できるようにし、成形後に十分な弾性及び柔軟性を持つように、可塑剤はおよそ80〜120Phrを注入する。Phrは“per hundred resin or parts per hundreds of rubber”の略字であり、“高分子100重量(例えば、kg)”当たり添加される添加剤の重量(例えば、kg)である。すなわち、高分子100kgに添加剤1kgを混合すれば1phrとなるものである。
【0016】
しかし、前記のように高価の可塑剤を多量添加する場合、製造コストが高くなる問題点があり、ローテーションモールディング法の特性上、クッション部1と同じ材質でなる下板2の剛性が充分に維持されるためには十分な厚さを維持しなければならないので、投入される樹脂組成物の量が増加して製造コストが増加する問題点がある。また、従来に下板2とクッション部1を別に製作して結合させる場合にも、下板2とクッション部1の結合力を増大させるために同一材質を使ったので、製造コストが増加する問題点がある。
【0017】
また、自動化を介した量産化をなすためにローテーションモールディング法の成形過程で金型に別の連通部材を使わなくて製造することができるようにするエアマット製造装置及び製造方法が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
前記のような点に鑑みてなされた本発明の目的は、クッション部の材質と下板の材質を異にして製造コストを節減できるようにするとともに下板とクッション部の結合力が増加されるようにするエアマット及びその製造方法を提供することにある。
【0019】
本発明の他の目的は、下板の材質を改善して剛性を増加させることで厚さを減らすようにするエアマット及びその製造方法を提供することにある。
【0020】
本発明のさらに他の目的は、下部金型の構造を改善してエアマット製造工程を短縮して自動化を可能にするエアマット、エアマット製造装置及びその製造方法を提供することにある。
【0021】
本発明のさらに他の目的は、エアマットクッション部のエアポケット形成部と連通流路形成部の厚さが均一になるようにするエアマット、エアマット製造装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前記のような本発明の目的を達成するためのエアマットは、弾性及び柔軟性を持つように合成樹脂に可塑剤を混合した第1樹脂組成物でなり、多数のエアポケットを備えたクッション部;及び合成樹脂と、前記第1樹脂組成物に混合される可塑剤混合量の75%以下の可塑剤と、剛性を増加させる剛性材を混合した第2樹脂組成物でなり、前記クッション部に結合される下板;を含む。
【0023】
また、より好ましくは、前記下板は、前記可塑剤が20〜70Phr混合された樹脂組成物でなる。
【0024】
また、より好ましくは、前記剛性材は、滑石、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、石英、ガラス繊維、酸化アンチモン(Sb)、及びチタン酸バリウムでなる。
【0025】
また、より好ましくは、前記下板の厚さは約2〜1.2mmである。
【0026】
前記のような本発明の目的を達成するためのエアマットを製造する製造方法として、前記第2樹脂組成物で前記下板を製造する下板の製造段階;前記クッション部が成形できるように一定の深さの溝状になったエアポケット成形溝が所定の間隔で形成された下部金型に第1樹脂組成物を注入する注入段階;前記下部金型の開口部を前記下板で覆蓋する下板の結合段階;前記下板の上部に上部金型を載せ、前記下部金型に固定させる上部金型の結合段階;及び前記上部及び下部金型をローテーションモールディング機で回転させることで、前記第1樹脂組成物が前記エアポケット成形溝の内部面にコートされると同時に前記下部板と一体に成形されるようにするローテーションモールディング段階;を順次的に実施してエアマットを製造する。
【0027】
また、より好ましくは、前記注入段階では、前記下部金型に形成されたエアポケット成形溝を互いに連通させる切開溝に管状でなり、それぞれのエアポケットを連通させる管状の連通部材を設置する連通部材設置段階;を先に実施する。
【0028】
前記のような本発明の目的を達成するためのエアマット製造方法として、エアマットクッション部のエアポケットを形成できるように所定の深さで陷沒した多数のエアポケット成形溝とエアマットクッション部を連結する連通流路を形成できるようにそれぞれのエアポケット成形溝を連結する切開溝を備えた下部金型と、前記下部金型の開口部を覆蓋する上部金型とからなるエアマット製造装置において、前記切開溝形成部の熱伝導速度が前記エアポケット成形溝形成部の熱伝導速度以上となるように、前記切開溝形成部には前記エアポケット成形溝形成部の金型厚さより前記切開溝形成部の金型厚さを減らす薄肉部が形成される。
【0029】
また、より好ましくは、前記薄肉部は、前記切開溝形成部の金型厚さが前記エアポケット成形溝形成部の金型厚さより薄い厚さを持つ構造でなる。
【0030】
また、より好ましくは、前記薄肉部は、前記切開溝形成部の外周面に所定の深さで陷沒した多数の伝熱溝が形成された構造でなる。
【0031】
また、より好ましくは、前記下部金型は、前記エアポケット成形溝形成部と前記切開溝形成部が接する接触部はラウンド部からなる。
【0032】
前記のような本発明の目的を達成するためのエアマット製造方法として、前記下部金型に樹脂組成物を注入する注入段階;前記下部金型の開口部に下板を覆蓋する下板の結合段階;前記下板の上部に前記上部金型を結合する上部金型の結合段階;及び前記上部及び下部金型をローテーションモールディング機で回転させることで、前記樹脂組成物が前記エアポケット成形溝の内側面と前記切開溝形成部の内部面にコートされると同時に前記下板と一体に成形されるようにするローテーションモールディング段階;を順次実施する。
【発明の効果】
【0033】
このように、本発明によるエアマットは、クッション部を構成する第1樹脂組成物と下板を構成する第2樹脂組成物の成分を異にすることで、可塑剤の使用量を減らし、製造コストを節減する効果がある。
【0034】
また、第2樹脂組成物に剛性材を含ませて強度を増加させることで、下板の厚さを減少させることができ、組立性が向上されて製造コストが節減される効果がある。
【0035】
また、ローテーションモールディング段階で、クッション部のエアポケット形成部のコーティングの厚さと連通流路形成部のコーティングの厚さが均一に形成できるようにして連通部材を設置しなければならない従来の製造方法に比べて、製造工程を短縮し、自動化が可能な効果がある。
【0036】
また、エアマットクッション部のエアポケット形成部厚さと連通流路形成部の厚さが均一になって製品の信頼性が向上される効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】従来構造のエアマットを示す断面図である。
【図2】本発明の好適な第1実施例であるエアマットを示す断面図である。
【図3−7】図2に示したエアマットの製造過程を示す断面図であり、図3は下板の製造段階を示す断面図、図4は注入段階を示す断面図、図5は下板の結合段階を示す断面図、図6は上部金型の結合及びローテーションモールディング段階を示す断面図、図7は金型除去段階を示す断面図である。
【図8】本発明の好適な第2実施例であるエアマット製造装置を示す断面図である。
【図9−14】本発明の好適な第2実施例によるエアマット製造方法を段階的に示す断面図であり、図9は注入段階を示す断面図、図10は下板の結合段階を示す断面図、図11は上部金型の結合段階を示す断面図、図12はローテーションモールディング段階を示す断面図、図13は金型除去段階を示す断面図、図14は本発明の第3実施例であるエアマット製造装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の好適な一実施例であるエアマット及びその製造方法を添図面に基づいて詳細に説明する。
【0039】
図2は本発明の好適な一実施例であるエアマットを示す断面図、図3〜図7はエアマットの製造過程を示す断面図であり、図3は下板の製造段階を示す断面図、図4は注入段階を示す断面図、図5は下板の結合段階を示す断面図、図6は上部金型の結合及びローテーションモールディング段階を示す断面図、図7は金型除去段階を示す断面図である。
【0040】
図示のように、本発明によるエアマットは、ローテーションモールディング法を用いて多数のエアポケットを備えたクッション部11に別に製作した下板12を結合する方法で製造される。
【0041】
クッション部11は、多数のエアポケット11aと、それぞれのエアポケット11aを連通する連通路11bでなり、示されてはいないが、一側端に形成されたエアポケット11aには外部と連通する空気注入口が形成される。クッション部11は弾性及び柔軟性を持つように合成樹脂に可塑剤を添加した第1樹脂組成物でなる。第1組成物に含まれる可塑剤は一般的におよそ80〜120Phr位混合される。
【0042】
下板12はクッション部11の開口部を覆蓋する平板状になる。下板12は合成樹脂に可塑剤と剛性材を混合した第2組成物でなる。第2組成物に含まれる可塑剤は第1組成物に含まれる可塑剤の75%以下で混合される。第2組成物には可塑剤がおよそ20〜70Phr混合されることが好ましい。剛性材は下板12の強度を増加させる材質でなり、滑石、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、石英、ガラス繊維、酸化アンチモン(SB)及び、チタン酸バリウムや石粉などのような低価の高強度材でなる。下板12に剛性材が含まれて強度が増加されるので、その厚さを2〜1.2mmまで減らすことができるのである。
【0043】
前記のように構成されるエアマットを製造する過程は次のようである。
【0044】
図3に示すように、第2樹脂組成物で下板12を製造する下板の製造段階を実施する。第2樹脂組成物に含まれる可塑剤は第1樹脂組成物に含まれる可塑剤の70%以下程の量が混合されて弾性及び柔軟性は減少する代わりに、剛性材が混合されて強度が増加した下板12を製造することができるようになる。また、下板12の強度が増加するので、厚さを2.0mm以下の1.2mm程度まで減らすことができるようになる。剛性材の量を増加させて強度を増加させるなら、1.2mm以下にもその厚さが縮小できるが、例示したように、1.5mmほどの厚さに製造することが最も好ましい。
【0045】
下板12を製造した後には、図4に示すように、クッション部11を成形するために、一定の深さの溝状になったエアポケット成形溝21とエアポケット成形溝21を連結する切開溝22が形成された下部金型20に第1樹脂組成物11cを注入する注入段階を実施する。この際、注入段階が進行される前に、切開溝22に、管状になってそれぞれのエアポケット11aを連通させる連通部材23を設置する連通部材設置段階を進める。
【0046】
第1樹脂組成物11cを注入した後には、下部金型20の開口部を下板12で覆蓋する下板の結合段階を実施し、その状態で下板12の上部に上部金型30を載せ、上部金型30と下部金型20を結合して固定させる。
【0047】
前記のように、上部金型30と下部金型20を結合させた後には、上部金型30及び下部金型20をローテーションモールディング機で回転させながらローテーションモールディングを開始する。ローテーションモールディングが進むと、上部金型30及び下部金型20が回転しながらエアポケット成形溝21に注入された第1樹脂組成物11cがエアポケット成形溝21の内部面に沿ってコートされるとともに下板12と一体に結合される。
【0048】
ローテーションモールディング作業が完了すれば、冷却された後、図7に示すように、上部金型30と下部金型20を分離して成形の済んだエアマット10を取り出すことで作業を完了する。
【0049】
このように、本発明によるエアマットは、高価の材質である可塑剤の含有量を30〜50Phrほどに減らす代わり、剛性材を混合して製造コストを節減することを特徴とする。この際、剛性材は炭酸カルシウム、CaCo、石粉のような低価の高強度材でなる。
【0050】
下板12の強度が増加するので、その厚さを1.2mmほどまで減らすことができ、製造コストを節減するとともに熱伝逹が活発になってクッション部11との結合力も増加するようになる。
【0051】
また、本発明の好適な第2実施例及び第3実施例であるエアマット、エアマット及び製造方法を添付図面に基づいて詳細に説明すると次のようである。本発明の好適な第2実施例は第1実施例と同様に、クッション部を構成する第1樹脂組成物と下板を構成する第2樹脂成分を異にすることで、可塑剤の使用量を減らして製造コストを節減する構造は基本的に同一に適用することもできる。
【0052】
図8は本発明の好適な第2実施例であるエアマット製造装置を示した断面図、図9〜図14は本発明の好適な第2実施例によるエアマット製造方法を段階的に示した断面図であり、図9は注入段階を示した断面図、図10は下板の結合段階を示した断面図、図11は上部金型の結合段階を示した断面図、図12はローテーションモールディング段階を示した断面図、図13は金型除去段階を示した断面図、図14は本発明の第3実施例によるエアマット製造装置を示した断面図である。
【0053】
図示のように、本発明による結合型エアマットの製造装置は、ローテーションモールディング法を用いてエアマットが製造できるように、下部金型110と上部金型120が結合された構造でなる。
【0054】
上部金型120は下部金型110の開口部を覆蓋できるように、平板状になり、別の固定手段によって下部金型110に一体に固定される。
【0055】
下部金型110は、エアポケットを備えたクッション部101を成形することができるように一定の深さを持つ溝状になった多数のエアポケット成形溝112と各エアポケット成形溝112を連結する切開溝113が形成された構造でなる。そして、切開溝113形成部は薄肉部が形成される。前記薄肉部は切開溝113形成部の金型厚さ(T2)がエアポケット成形溝112の金型厚さより薄い厚さを持つように陷沒した切開溝外周面111でなる。また、エアポケット成形溝112形成部と切開溝113形成部が接する接触部はラウンド部114でなる。すなわち、エアポケット成形溝112が形成される内周面と切開溝113の内周面が合う地点及びエアポケット成形溝112が形成される外周面と切開溝の外周面111が合う地点はラウンド部114でなる。ラウンド部114は10mm以下のラウンドを有し、2mmを持つことが最も好ましい。したがって、成形されるエアマット103もまた12mm以下のラウンド部を持ち、5mmないし3mmのラウンド部を持つことが最も好ましい。
【0056】
前記のように構成された下部金型110は、その構造的な特徴上、外部の熱気に直接接触するエアポケット成形溝112形成部の金型に伝達される熱気より外部熱気に直接接触されず、間接的に接触されて伝達される熱気が少なく伝達される代わりに、前記のように切開溝113形成部の金型厚さ(T2)がエアポケット成形溝112形成部の金型厚さ(T1)より薄く形成され、結果的に熱伝導が同一であるか、あるいは速くなるので、注入される樹脂組成物がコートされる厚さが均一に形成できるのである。すなわち、切開溝113形成部はエアポケット成形溝112形成部より接触する熱気は少ないが伝達される熱伝導速度が速いため、樹脂組成物が切開溝113形成部にコートされる速度がエアポケット成形溝112でコートされる速度と同一であるかあるいは速くなることができるものである。
【0057】
前記のように構成されたエアマット製造装置を用いてエアマットを製造する製造方法は次のようである。
【0058】
図8に示すように、下部金型110のエアポケット成形溝112に樹脂組成物101aを注入する注入段階を実施した後、図9に示したように、下部金型110の開口部に下板104を覆蓋する。
【0059】
下板の結合段階の後には、図10に示すように、下板104の上部に上部金型120を載せ、下部金型110と結合して固定させる上部金型の結合段階を実施する。
【0060】
上部金型120と下部金型110を結合させた後には、図11に示すように、上部金型120及び下部金型110をローテーションモールディング機で回転させることでローテーションモールディングを始める。ローテーションモールディングが進むと、上部金型120及び下部金型110が回転するにつれて、注入された樹脂組成物101aがエアポケット成形溝112の内周面と切開溝113の内周面に沿ってコートされると同時に下板104と一体に結合される。この際、ラウンド部114に沿って樹脂組成物101aが切開溝113の内側面に容易に接触することができ、切開溝113の内側面に伝達される熱がエアポケット成形溝112の内側面に伝達される熱に比べ、その量や速度の面で同一であるか、あるいは多くて速いため、連通流路102が形成できるように切開溝113にコートされる樹脂組成物101aの厚さとエアポケット成形溝112にコートされる樹脂組成物101aの厚さが同一であるかあるいはもう少し厚く形成できるものである。
【0061】
ローテーションモールディング作業が完了すれば、冷却された後、図12に示すように、上部金型120及び下部金型110を分離し、クッション部101を連通させる連通流路102が形成された状態で、成形の済んだエアマット103を分離させることで作業を完了する。
【0062】
同様に、本発明のさらに他の一実施例であるエアマット製造装置は、図13に示すように、薄肉部が切開溝113形成部の外周面に所定の深さで陷沒した多数の伝熱溝115が形成された構造になって熱が迅速に伝達される。
【0063】
このように、本発明によるエアマット製造装置及び製造方法は、ラウンド部114に沿って樹脂組成物101aが切開溝113の内側面に容易に接触することができ、切開溝113形成部の金型の厚さ(T2)がエアポケット成形溝112形成部の金型の厚さ(T1)より薄く形成される構造でなるか、あるいは切開溝113形成部の外周面に多数の伝熱溝115を形成させることにより、切開溝113の内側面に伝達される熱がエアポケット成形溝112の内側面に伝達される熱に比べてその量や速度の面で同一であるかあるいは多くて速いため、切開溝113にコートされる樹脂組成物101aの厚さとエアポケット成形溝112にコートされる樹脂組成物101aの厚さが同一であるかもう少し厚く形成できるのである。すなわち、このようなエアマット製造装置及び製造方法によって、従来に使われた連通部材なしでも、クッション部101を連通させる連通流路102が形成されたエアマット103を均一な厚さに成形することができるものである。
【0064】
本発明は前述した特定の好適な実施例に限定されず、請求範囲で請求する本発明の要旨を逸脱せずに、本発明が属する技術分野での通常の知識を持った者なら、誰でも多様な変形実施が可能であるのはいうまでもなく、そのような変更は請求範囲の記載の範疇内にあるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性及び柔軟性が持てるように合成樹脂に可塑剤を混合した第1樹脂組成物でなり、多数のエアポケットを備えたクッション部;及び
合成樹脂と、前記第1樹脂組成物に混合される可塑剤混合量の75%以下の可塑剤と、剛性を増加させる剛性材を混合した第2樹脂組成物でなり、前記クッション部に結合される下板;を含むことを特徴とする、エアマット。
【請求項2】
前記下板は、前記可塑剤が20〜70Phr混合された樹脂組成物でなることを特徴とする、請求項1に記載のエアマット。
【請求項3】
前記剛性材は、滑石、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、石英、ガラス繊維、酸化アンチモン(Sb)、及びチタン酸バリウムでなることを特徴とする、請求項2に記載のエアマット。
【請求項4】
前記下板の厚さは約2〜1.2mmであることを特徴とする、請求項3に記載のエアマット。
【請求項5】
請求項1〜4のエアマットを製造する製造方法として、
前記第2樹脂組成物で前記下板を製造する下板の製造段階;
前記クッション部が成形できるように一定の深さの溝状になったエアポケット成形溝が所定の間隔で形成された下部金型に第1樹脂組成物を注入する注入段階;
前記下部金型の開口部を前記下板で覆蓋する下板の結合段階;
前記下板の上部に上部金型を載せ、前記下部金型に固定させる上部金型の結合段階;及び
前記上部及び下部金型をローテーションモールディング機で回転させることで、前記第1樹脂組成物が前記エアポケット成形溝の内部面にコートされると同時に前記下部板と一体に成形されるようにするローテーションモールディング段階;を順次的に実施してエアマットを製造することを特徴とする、エアマット製造方法。
【請求項6】
前記注入段階では、前記下部金型に形成されたエアポケット成形溝を互いに連通させる切開溝に、それぞれのエアポケットを連通させる管状の連通部材を設置する連通部材設置段階;を先に実施することを特徴とする、請求項5に記載のエアマット製造方法。
【請求項7】
エアマットクッション部のエアポケットが形成できるように所定の深さで陷沒した多数のエアポケット成形溝とエアマットクッション部を連結する連通流路が形成できるようにそれぞれのエアポケット成形溝を連結する切開溝を備えた下部金型と、前記下部金型の開口部を覆蓋する上部金型とからなるエアマット製造装置において、
前記切開溝形成部の熱伝導速度が前記エアポケット成形溝形成部の熱伝導速度以上に進行できるように、前記切開溝形成部には前記エアポケット成形溝形成部の金型厚さより前記切開溝形成部の金型厚さを減らす薄肉部が形成されることを特徴とする、エアマット製造装置。
【請求項8】
前記薄肉部は、前記切開溝形成部の金型厚さが前記エアポケット成形溝形成部の金型厚さより薄い厚さを持つ構造でなることを特徴とする、請求項7に記載のエアマットの製造装置。
【請求項9】
前記薄肉部は、前記切開溝形成部の外周面に所定の深さで陷沒した多数の伝熱溝が形成された構造でなることを特徴とする、請求項7に記載のエアマットの製造装置。
【請求項10】
前記下部金型は、前記エアポケット成形溝形成部と前記切開溝形成部が接する接触部はラウンド部でなることを特徴とする、請求項7に記載のエアマットの製造装置。
【請求項11】
請求項7〜10によるエアマット製造装置を用いたエアマット製造方法として、
前記下部金型に樹脂組成物を注入する注入段階;
前記下部金型の開口部に下板を覆蓋する下板の結合段階;
前記下板の上部に前記上部金型を結合する上部金型の結合段階;及び
前記上部及び下部金型をローテーションモールディング機で回転させることで、前記樹脂組成物が前記エアポケット成形溝の内側面と前記切開溝形成部の内部面にコートされると同時に前記下板と一体に成形されるようにするローテーションモールディング段階;を順次的に実施してエアマットを製作するエアマット製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2013−518749(P2013−518749A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552819(P2012−552819)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【国際出願番号】PCT/KR2011/001184
【国際公開番号】WO2011/105747
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(512208718)セラジェム セルペディック カンパニー リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】CERAGEM CELLUPEDIC. CO., LTD
【Fターム(参考)】