説明

エキノカンジン型化合物の精製方法

本発明は、エキノカンジン型化合物、例えばプネウモカンジンB0、WF11899A及びエキノカンジンBの調製及び精製方法を提供する。それらの化合物は、半合成生成物、例えば抗菌生成物、カスポフンジン、マイカフンジン及びアニジュラフンジンを調製するために使用される発酵生成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、プネウモカンジンB0(Pneumocandin B0)、WF11899A及びエキノカンジンB(echinocandin B)を包含するエキノカンジン型化合物の精製方法を包含する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
プネウモカンジンB0、WF11899A及びエキノカンジンBは、下記一般構造:
【化1】

【0003】
を有する、エキノカンジンファミリーのすべてのメンバーであり、ここで
【表1】

である。
【0004】
それらは、半合成製品、例えばそれぞれカスポフンジン(caspofungin)、マイカフンジン(mycafungin)又はアニジュラフンジン(anidulafungin)を調製するために使用される発酵製品である。それらはすべて、抗菌活性を有する。
【0005】
カスポフンジンは、エキノカンジンと呼ばれる新しい種類のものであり、そして細胞壁合成を阻害することにより作用する。カスポフンジンは、化学名称1−[(4R, 5S)−5−[(2−アミノエチル)アミノ]−N2−(10, 12−ジメチル−1−オキソテトラデシル)−4−ヒドロキシ−L−オルニチン]−5−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−オルニチン]プネウモカンジンB0、CAS登録番号179463−17−3、及び次の化学構造(式I)を有する:
【0006】
【化2】

【0007】
カスポフンジンは、アメリカ特許第5,378,804号に開示される。カスポフンジンは、商品名CANCIPAS(商標)そしてMerck & Co., Inc.によりアメリカ合衆国においてそのジアセテート塩の形で市販されている。CANCIPAS(商標)は、感染体、例えばアスペルギラス(Aspergillus)及びカンジダ(Candida)の処理のために、及び免疫欠陥患者に見出される感染の予防のために静脈内投与される。
【0008】
アニジュラフンジンは、商品名Eraxis(商標)としてPfizerによりアメリカ合衆国において市販されており、そして感染体、例えばカンジダの処理のために静脈内投与される。
ミカフンジンは、商品名Mycamine(商標)としてAstellasによりアメリカ合衆国においてそのナトリウム塩の形で市販されており、そして感染体、例えばカンジダの処理のために静脈内投与される。
カスポフンジンの調製方法は、プネウモカンジンの使用を包含する。プネウモカンジンは、アメリカ特許第5,194,377号に開示され、そして次の化学構造を有する:
【0009】
【化3】

【0010】
プネウモカンジンは、発酵反応により調製され;ここで発酵及び混合された培養液は一般的に、所望する生成物から分離するには困難である多くの関連する副生成物を含む。アメリカ特許第6,610,822号は、いくつかの抽出方法、最初に非極性不純物の除去、第2に極性不純物の除去、及び次に、生成物の“バック−抽出”、任意には、クロマトグラフィー精製の組合わせを実施することによる、エキノカンジン型化合物、例えばプネウモカンジン、WF11899及びエキノカンジンBの精製を記載する。従って、アメリカ特許第6,610,822号は、長く且つ時間の浪費の精製方法を提供する。
【0011】
アメリカ特許第5,021,403号は、いくつかのクロマトグラフィー処理を実施することによる、エキノカンジン型化合物、例えばプネウモカンジン、WF11899及びエキノカンジンBの精製方法を記載する。従って、この方法は、大規模製造のために適切ではなく、経済的でなく、そして時間の浪費である。
【0012】
アメリカ特許第6,506,726号及び第6,590,073号は、クロマトグラフィーによる、脱アシル化されたエキノカンジンBのエキノカンジン型化合物の精製を記載する。精製された物質は、酸の存在下で陽子化され得る、少なくとも1つのアミノ基を含むエキノカンジン核である。従って、この方法は、陽子化されるアミノ基を有さない物質、例えばプネウモカンジン、WF11899及びエキノカンジンBのために適切でない。
産業規模への使用のために実施できる技法を用いて、エキノカンジン型化合物を精製するための追加の方法が当業界において必要である。
【発明の開示】
【0013】
発明の要約
本発明は、エキノカンジン型化合物、例えばプネウモカンジンの精製方法を包含する。1つの態様においては、本発明は、(a)エキノカンジン型化合物を有する完全培養液から、少なくとも1つの非極性又は弱極性水−不混和性有機溶媒により、不純物を抽出し、水性相及び有機相を含んで成る第1の二相系を得る;(b)前記有機相を除去し、水性相を入手し;(c)前記水性相からエキノカンジン型化合物を、水−不混和製有機溶媒(段階(a)における水−不混和性有機溶媒とは異なる)により抽出し、第2の二相系を得;そして(d)精製されたエキノカンジン型化合物を回収することを含んで成る、エキノカンジン型化合物の精製方法を包含する。
【0014】
もう1つの態様においては、本発明は、少なくとも1つの抗溶媒を用いてエキノカンジン型化合物を結晶化することを含んで成る、エキノカンジン型化合物の精製方法を包含する。
【0015】
さらにもう1つの態様においては、本発明は、(a)エキノカンジン型化合物を有する全培養液から、少なくとも1つの非極性又は弱極性水−不混和性有機溶媒により、不純物を抽出し、水性相及び有機相を含んで成る第1の二相系を得る;(b)前記有機相を除去し、水性相を入手し;(c)前記水性相からエキノカンジン型化合物を、水−不混和製有機溶媒(段階(a)における水−不混和性有機溶媒とは異なる)により抽出し、第2の二相系を得;(d)精製されたエキノカンジン型化合物を回収し;そして(e)前記回収されたエキノカンジン型化合物を、少なくとも1つの抗溶媒を用いて結晶化することを含んで成る、エキノカンジン型化合物の精製方法を包含する。
【0016】
1つの態様においては、本発明は、エキノカンジン型化合物と、少なくとも1つの抗溶媒及び固体キャリヤーとを組合すことを含んで成る、エキノカンジン型化合物の精製方法を包含する。
【0017】
もう1つの態様においては、本発明は、(a)発酵培養液、又は発酵培養液から得られ、濾過された菌糸体からエキノカンジン型化合物を、水―不混和性有機溶媒により抽出し、水性相及び有機相を含んで成る二相系を得るか、又は水含有機相を得;(b)エキノカンジン型化合物を回収し;そして(c)前記回収されたエキノカンジン型化合物と、少なくとも1つの抗溶媒及び固体キャリヤーとを組合し、精製されたエキノカンジン型化合物を入手することを含んで成る、エキノカンジン型化合物の精製方法を包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
発明の特定の記載
本発明は、プネウモカンジン又は他のエキノカンジン型化合物の精製方法を包含する。本明細書において使用される場合、特にことわらない限り、用語“エキノカンジン型化合物”とは、下記一般構造式:
【0019】
【化4】

【0020】
[式中、Rは、水素又は-C(O)R’であり;R’はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又は酸の存在下で陽子化され得る、少なくとも1つのアミノ基をそこに結合しているヘテロアリール基であり;R1は、-H又はOHであり;R2は、-H又は-CH3であり;R3は、-H、CH3、-CH2CONH2又は-CH2CH2NH2であり;R4は、-H又は-OHであり;R5は、-OH、-OPO3H2又は-OSO3Hであり;R6は、-H又は-OSO3Hであり;そしてR7は、-H又は-CH3である]を有する化合物、例えばその誘導体に関する。
【0021】
好ましくは、Rは、リノレオイル、10, 12-ジメチルミリストイル、又はパルミトイルである。好ましくは、R1, R4及びR5はOHである。好ましくは、R3はMe又はCH2CONH2のいずれかである。
好ましくは、Rがリノレオイルであり、R1及びR4がOHであり、R3及びR7がMeであり、そしてR6がHである場合、すなわち前記化合物はエキノカンジンBである。
【0022】
好ましくは、Rが10, 12-ジメチルミリストイルであり、R1及びR4がOHであり、R3がCH2CONH2であり、R5がOHであり、そしてR6及びR7がHである場合、すなわち前記化合物はプネウモカンジンB0である。
好ましくは、Rがパルミトイルであり、R1及びR4がOHであり、R3がCH2CONH2であり、R5がOHであり、R6がOSO3Hであり、そしてR7がCH3である場合、すなわち前記化合物はWF11899Aである。
【0023】
好ましくは、エキノカンジン型化合物は、プネウモカンジンB0、WF-11899及びエキノカンジンである。それらの製品は、従来の溶媒、例えばエステル、低級アルコール及び水には高くは溶解性でない。従って、それらは従来の抽出により精製するには困難である。従って、それらの精製のための既知方法は通常、複雑化され、そして特に、多量のそれらの化合物を取り扱う場合、無効化である。
【0024】
本発明は、いずれかの規模、例えば産業規模のために適切である、エキノカンジン型化合物の精製方法を提供する。それらの本発明の方法は、工程段階が複雑でなく、産業規模工程に容易に拡大でき、且つ経済的であることにおいて単純であり、同時に、医薬活性成分、例えば抗菌性カスポフンジン(caspofungin)、アニジュラフンジン(anidulafunngin)及びミカフンジン(micafungin)を得るためのさらなる加工のために十分である純度のエキノカンジン型化合物を供給する。本発明の最初の工程は、エキノカンジン型化合物の低溶解性特徴を使用する。
【0025】
本明細書において使用される場合、特にことわらない限り、用語“水不混和性溶媒”とは、水と共に混合さる場合、単一混合物を形成しないが、しかし少なくとも二相系を形成する、溶媒又は溶媒混合物を言及する。対照的に、“水相溶性溶媒”とは、水と共に混合される場合、単一溶液相を形成する、溶媒又は溶媒混合物を言及する。
【0026】
本明細書において使用される場合、特にことわらない限り、用語“固体キャリヤー”とは、不活性であり、そして加工溶媒において溶解しないまま存続するが、しかし化合物との混合物を形成できる材料(化合物)を言及する。
本明細書において使用される場合、特にことわらない限り、用語“非極性”とは、約0〜約2.4の極性指数を有する有機溶媒を言及する。そのような溶媒についての例は、トルエン、ヘプタン、ヘキサン、オクタン及びシクロへキサンである。
【0027】
本明細書において使用される場合、特にことわらない限り、用語“弱極性”とは、約2.4〜約5.1の極性指数を有する有機溶媒を言及するが、但しアルコール性有機溶媒を除く。そのような溶媒の例は、メチルエチルケトン、アセトン、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、イソブチルアセテート、n−プロピルアセテート、エチルアセテート、ジクロロメタン及びイソプロピルアセテートである。極性指数は、Synder, J. Chromatographic science 16, 223-234 (1978)に従って測定され得る。
【0028】
1つの態様において、本発明は、(a)エキノカンジン(echinocandin)型化合物を有する全培養液から、少なくとも1つの非極性又は弱極性水−不混和性有機溶媒により、不純物を抽出し、水性相及び有機相を含んで成る第1の二相系を得る;(b)前記有機相を除去し、水性相を入手し;(c)前記水性相からエキノカンジン型化合物を、水−不混和製有機溶媒(段階(a)における水−不混和性有機溶媒とは異なる)により抽出し、第2の二相系を得;そして(d)精製されたエキノカンジン型化合物を回収することを含んで成る、エキノカンジン型化合物の精製方法を包含する。
【0029】
エキノカンジン型化合物がネプウモカンジンB0である場合、出発の精製されていないプネウモカンジン(例えば、発酵培養液におけるプネウモカンジン)が例えば、アメリカ特許第6,610,822号に記載される方法により調製され得る。
好ましくは、エキノカンジン型化合物は、約0.2〜約15g/l、より好ましくは約0.2〜約8g/lの濃度で完全培養液に存在する。発酵培養液におけるエキノカンジン型化合物のこの濃度は、HPLC分析により決定され得る。
【0030】
本発明の方法においては、エキノカンジン型化合物を有する発酵培養液は、非極性又は弱極性水不混和性有機溶媒と組合され、第1の二相系が得られる。典型的には、前記二相系は、非極性又は弱極性水不混和性相に不純物、例えば植物油、アミノ酸及び小分子サイズのタンパク質を、及び発酵培養液の水性溶媒である水性相にエキノカンジン型化合物及び菌糸体を含んで成る。従って、いくつかの態様においては、水性相はまた、不溶性粒子を含むことができる。
【0031】
従って、適切な非極性又は弱極性水−不混合性有機溶媒は、エキノカンジン型化合物が低溶解性を有する溶媒を包含する。好ましくは、非極性又は弱極性水−不混合性有機溶媒は、C5-8脂肪族アルカン、C6-8芳香族炭化水素、C4-8エーテル及びC3-6エステルを包含するが、但しそれらだけには限定されない。好ましくは、C5-8脂肪族アルカンは、ヘプタン、ヘキサン、オクタン又はシクロへキサンである。好ましくは、C6-8芳香族炭化水素は、トルエンである。好ましくは、C4-8エーテルは、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル又はジブチルエーテルである。好ましくは、C3-6エステルは、イソブチルアセテート、n−ブチルアセテート、n−プロピルアセテート、イソプロピルアセテート又はエチルアセテートである。最も好ましくは、非極性又は弱極性水−不混合性有機溶媒は、イソブチルアセテート、n−ブチルアセテート、n−プロピルアセテート、イソプロピルアセテート又はエチルアセテートである。
【0032】
本発明の方法においては、第1の二相系を得るために使用される非極性又は弱極性水−不混合性有機溶媒の量は、前記二相の分離の効率に依存して、全培養液の約5〜約90体積%である。効果的相分離が存在する場合、5〜25%が典型的には、十分である。しかしながら、最適な相分離が存在しない場合、50〜90%が使用されるべきである。好ましくは、使用される水不混和性溶媒の量は、全培養液の約10〜約50体積%、より好ましくは約30〜約50体積%、最も好ましくは、約50体積%である。
【0033】
抽出は、段階(b)の水性相である、精製された発酵培養液を提供する。この相は通常、わずか1つの追加の抽出段階を有する抽出工程を続けるのに十分に精製される。
【0034】
次に、段階(b)の水性相は、水性相からエキノカンジン型化合物を除去するために、第2の水−不混和性溶媒により抽出される。この抽出は、アルコールによる抽出により得られる極性有機相であり、そして有機相として言及される、水−不混和性有機相にエキノカンジン型化合物、及び水性相に存続する、有機相において不溶性である菌糸体及び物質を含んで成る第2の二相系を提供する。極性有機相において不溶性である物質についての例は、いくつかのアミノ酸及びアミノ酸の塩、いくつかの有機酸及び有機酸の塩、酵素及びタンパク質である。
【0035】
段階(c)における適切な第2の水−不混和性有機溶媒は、エキノカンジン型化合物に対して高い親和性を有する溶媒である。好ましくは、第2の水−不混和性溶媒は、アルコール、より好ましくはC4-6アルコール、さらにより好ましくはC4-5アルコール、最も好ましくはイソブタノール又はn−ブタノールである。
段階(c)における抽出は、有機相におけるエキノカンジン型化合物の収率を、さらに高めるために反復され得る。本発明の好ましい態様においては、段階(c)の抽出は反復される。
【0036】
次に、エキノカンジン型化合物は、当業界において知られているいずれかの方法、例えば溶媒の蒸発により、有機相から回収される。回収は、エキノカンジン型化合物を有する有機相の濃縮物を供給する。その濃縮物は、濃縮された残留物として本明細書において言及される、エキノカンジン型化合物の濃縮された溶液又は油状残留物であり得る。
次に、得られる濃縮された残留物はさらに、少なくとも1つの抗溶媒を用いてエキノカンジン型化合物を結晶化することにより、精製され得る。
【0037】
1つの態様においては、本発明は、少なくとも1つの抗溶媒を用いてエキノカンジン型化合物を結晶化することを含んで成る、エキノカンジン型化合物の精製方法を提供する。
結晶化は、エキノカンジン型化合物を沈殿するために、エキノカンジン型化合物と抗溶媒とを混合することを含んで成る。好ましくは、抗溶媒が、エキノカンジン化合物に添加される。
【0038】
出発のエキノカンジン型化合物は好ましくは、発酵培養液の抽出から得られる。抽出は例えば、本明細書に開示される方法により、又は当業者に知られているいずれかの他の方法により実施され得る。
出発のエキノカンジン型化合物は、上記方法により濃縮された残留物の形で存在する。
本明細書において使用される場合、用語“抗溶媒”とは、溶媒における固形物の溶解性を低めるために溶媒及び固形物の混合物に添加される溶液を言及する。
【0039】
適切な抗溶媒は、エキノカンジン型化合物の沈殿を引起す。従って、適切な抗溶媒は、エキノカンジン型化合物が低溶解性を有するような溶媒である。好ましくは、適切な抗溶媒は、エチルアセテート、イソブチルアセテート、イソプロピルアセテート、アセトン、アセトニトリル(ACN)、アセトニトリルとエチルアセテート及びイソブチルアセテートの混合物、及びアセトニトリル及びイソブチルアセテートの混合物を包含するが、但しそれらだけには限定されない。最も好ましい抗溶媒は、イソブチルアセテート、n−ブチルアセテート、tert−ブチルアセテート、アセトニトリル、アセトン又はイソプロピルアセテート、及びさらに最も好ましくは、アセトニトリルである。好ましくは、抗溶媒の量は、それぞれ、少なくとも2:1、より好ましくは約5:1〜約2:1、さらにより好ましくは約3:1〜約2:1(v/v)の比(抗溶媒:エステル)で添加される。
【0040】
好ましい態様においては、抗溶媒はアセトニトリルであり、そしてアセトニトリル:エステルの比がそれぞれ、少なくとも約2:1であるような量で存在する。もう1つの好ましい態様においては、抗溶媒はアセトンであり、そしてアセトン:エステルの比がそれぞれ、少なくとも約2:1であるような量で存在する。
【0041】
いくつかの態様においては、抗溶媒がエチルアセテート又はイソブチルアセテートである場合、沈殿化はまた、沈殿を誘発するために、冷却段階、又は第2抗溶媒、例えばACN又はアセトンの添加を包含する。そのような冷却段階は、濃縮された残留物及び抗溶媒の混合物を、約5℃〜約-20℃、より好ましくは約5℃〜約0℃の温度に冷却することを包含する。
【0042】
他の態様においては、例えば抗溶媒がACN又はアセトンである場合、沈殿化はさらに、沈殿された生成物の収率を高めるために、約5℃〜約-20℃、より好ましくは約5℃〜約0℃の温度に冷却することを包含する。
沈澱は、沈澱された生成物の収率を高めるために十分な時間、そのような温度で維持され得る懸濁後を提供する。好ましくは、懸濁液は、少なくとも約15分、より好ましくは約10〜約24時間、最も好ましくは約20時間、維持される。
【0043】
本発明のもう1つの方法においては、固体キャリヤーが精製工程に使用され、これにより、上記工程においては必要とされるような、不純物が抽出される第1の段階が排除される。さらに、より少ない量の溶媒が抽出段階において必要とされ、そしてまた、結晶化段階においては、その工程が、特に大規模製造のために非常に魅力的なものにされる。
【0044】
この方法は、(a)発酵培養液、又は発酵培養液から得られ、濾過された菌糸体からエキノカンジン型化合物を、水―不混和性有機溶媒により抽出し、水性相及び有機相を含んで成る二相系を得;(b)エキノカンジン型化合物を回収し;そして(c)前記回収されたエキノカンジン型化合物と、少なくとも1つの抗溶媒及び固体キャリヤーとを組合し、精製されたエキノカンジン型化合物を入手する段階を含んで成る。
【0045】
最初に、発酵培養液は、二相系を得るために、水−不混和性有機溶媒と組合される。水−不混和性有機溶媒は前記の通りであり、好ましくは水−不混和性有機溶媒は水−不混和性アルコールである。好ましい態様においては、抽出は、約2〜約8のpHで、より好ましくは約5〜約7のpHで行われる。酸性pH、例えば2〜4のpHで抽出する場合、抽出は好ましくは、生成物の分解を回避するために、発酵培養液及び極性水−不混和性溶媒の冷却下で及びその最初の冷却の後、実施される。好ましくは、冷却は、約0℃〜10℃、より好ましくは約0℃〜約5℃の温度へである。典型的には、pHは、発酵培養液のpHに依存して、塩基又は酸の添加により、約2〜約8の範囲に調節される。適切な塩基は例えばアンモニウム塩基、例えば水酸化アンモニウム、又はアルカリ塩基、例えば水酸化ナトリウムの希釈された水溶液である。適切な酸は例えば、酢酸、又は硫酸の希釈された水溶液である。
【0046】
抽出段階は、第2の水−不混和性有機相におけるエキノカンジン型化合物の収率を高めるために反復され得る。好ましくは、抽出は、約2〜4度、反復され、より好ましくは、この抽出段階において、合計3度の抽出が好ましい。
次に、エキノカンジン型化合物は、当業界において知られているいずれかの方法、例えば溶媒の蒸発により、有機相から回収される。回収は、エキノカンジン型化合物を有する有機相の濃縮物を提供する。濃縮物は、濃縮された溶液であるか、又は粗濃縮残留物として本明細書において言及されるエキノカンジン型化合物の油状残留物であり得る。
【0047】
エキノカンジン型化合物のこの粗濃縮残留物は、濃縮物を得るために溶媒のほとんどを乾燥除去することにより得られる。水−不混和性有機溶媒の除去は、非極性又は弱極性水不混和性有機溶媒、例えばイソブチルアセテートを添加し、そして溶媒を蒸発することにより、数度、反復され得、ここで前記非極性又は弱極性水不混和性有機溶媒は上記工程の段階(a)における水−不混和性溶媒とは異なる。
【0048】
任意には、前記方法は、エキノカンジン型化合物を結晶化する前、段階(c)におけるようにして、濃縮物と抗溶媒及び固体キャリヤーとを組合すことによる、得られる濃縮物の追加の洗浄段階を含んで成る。この洗浄段階は、得られる濃縮物と水とを組合すことを含んで成る。好ましい態様においては、洗浄は2つの段階、すなわち約4〜約6.5、好ましくは約4〜約4.5のpHを有する水を使用する第1段階、及び約4〜約6.5、好ましくは約6〜約6.5のpHを有する水を用いる第2段階を包含する。さらに、得られる濃縮物の約5℃への冷却が行われる場合、4以下のpHを有する水、例えば約3のpHを有する水が使用され得る。洗浄は、発酵培養液に起因し、そして濃縮物に存在することができる固体残留物の約20〜約50重量%を排除することができる。
【0049】
さらに、濃縮物は、エキノカンジン型化合物の結晶化の前、段階(c)におけるようにして、活性炭と抗溶媒及び固体キャリヤーとを組合すことにより、活性炭により処理され得る。この処理は、活性炭及び濃縮物を混合し、そして次に、活性炭を濾過することを含んで成る。
【0050】
次に、得られる濃縮物は、精製されたエキノカンジン型化合物を得るために、前記濃縮物と少なくとも1つの抗溶媒及び固体キャリヤーとを組合すことにより、さらに精製され得る。
1つの態様においては、本発明は、エキノカンジン型化合物と、少なくとも1つの抗溶媒及び固体キャリヤーとを組合すことを含んで成る、エキノカンジン型化合物の精製方法を含んで成る。好ましくは、前記抗溶媒及び固体キャリヤーが、エキノカンジン型化合物に添加される。
【0051】
前記出発エキノカンジン型化合物は、発酵培養液の抽出から得られる。抽出は例えば、本明細書に開示される方法により、又は当業者に知られているいずれかの他の方法により行われ得る。
出発エキノカンジン型化合物は、上記方法により得られる濃縮された残留物の形で存在することができる。
【0052】
エキノカンジン型化合物の沈澱は、固体キャリヤー上で生じ、従ってエキノカンジン型化合物は固体キャリヤー上に吸収され、そして従って、前記工程段階において得られる濃縮物にまだ存在する不純物から分離される。抗溶媒による興味ある物質の沈殿化においては、小体積の抗溶媒が使用される場合、高純度の沈澱された物質が得られるが、しかしこの小体積の抗溶媒はまた、その濾液を複雑化する。固体キャリヤーは、沈澱された物質を濾過するのに困難なものの濾過を促進する。適切な固体キャリヤーは、本発明の方法の溶媒溶液に懸濁され得る、活性炭、珪藻土、小麦ミール、トウモロコシ澱粉、ジャガイモ澱粉、ベントナイト、パーライト、アビセル、疎水性パーライト、活性亜炭ミール、炭素、セルロース製品、及びいずれか他の固形物を包含するが、但しそれらだけには限定されない。
【0053】
前記方法のこの段階においては、混合物が、固体キャリヤー及び前記段階において得られた濃縮物を組合すことにより調製される。次に、その混合物が抗溶媒と組合される。好ましくは、適切な抗溶媒は、イソプロピルアセテート及びイソブチルアセテートの他に、前記に記載される通りである。典型的には、抗溶媒の添加の後、懸濁液が得られる。
次に、懸濁液は、濾過され、固体キャリヤー及び吸収された生成物が除去される。
【0054】
前記方法はさらに、微量の母液の除去のために、濾過された固体キャリヤー及び吸収された生成物の懸濁を包含する。懸濁液を製造するために使用される溶媒は、単一溶媒、例えばACN又はアセトン、又は2種の溶媒の混合物であり得、前記両溶媒においては、エキノカンジン型化合物は低溶解性を有する。2種の溶媒の混合物が使用される場合、第1の溶媒は、不純物が可溶性である溶媒、例えばイソブチルアセテート、イソプロピルアセテート、及びエチルアセテート、オクタンであり、そして第2の溶媒は、アセトニトリル又はアセトンのいずれかである。
【0055】
さらに、生成物及び固体キャリヤーは、当業者に知られているいずれかの方法、例えば濾過、及び濾過された固形物の続く乾燥により、懸濁液から回収され得る。好ましくは、生成物は、固体キャリヤー及びエキノカンジン型化合物の複合体と、生成物が、例えばアルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、DMF又はDMSOにおける可溶性である溶媒とを組合すことにより、固体キャリヤーから分離される。次に、固体キャリヤーが濾過され、精製された生成物が得られる。次に、精製された生成物を含む濾液はさらに、いずれか既知の沈澱又はクロマトグラフィー方法により精製され得る。
【0056】
上記精製されたエキノカンジン型化合物はさらに、合成生成物、例えばカスポフンジン、アニジュラフンジン又はマイカフンジンを調製するために使用され得る。
一定の好ましい態様に関して本発明を記載して来たが、他の態様も、本明細書の考慮から当業者に明らかに成るであろう。本発明はさらに、本発明の方法を詳細に記載する次の例により定義される。例は、プネウモカンジンB0、WF11899A及びエキノカンジンBに対して焦点を合わしているが、当業者は、前記方法が、エキノカンジンファミリーにおける他の天然の生成物を精製するために、ほとんどか又はまったく実験を伴わないで適合され得ることを認識している。材料及び方法に対する多くの修飾が本発明の範囲内で行われ得ることは、当業者に明らかであろう。
【実施例】
【0057】
例1
段階a:精製
プネウモカンジンB0を含む発酵培養液1kgを、0.5Lのイソブチルアセテートと組合せ、二相系を形成した。二相系を、遠心分離により分離した。イソブチルアセテート相を除去した。プネウモカンジンB0のすべては、精製された発酵培養液に残存した。
【0058】
次に、精製された発酵培養液を、500mlのイソブタノールにより抽出した。次に、抽出を、追加の500mlのイソブタノールを用いて反復した。それらの得られる2種のイソブタノール相を組合せ、1090mlのイソブタノール相を得た。精製及び抽出の全体の収率は、約100%であった。
【0059】
段階b:結晶化
イソブタノール相を5つの200mlの部分に分けた。粗プネウモカンジンB0を、次の工程によりそれぞれの部分から結晶化した:
i)1つの200mlの部分を、減圧下で3.5gに濃縮した。次に、17.5mlのイソブチルアセテートを添加した。次に、得られる溶液を、0〜5℃に冷却した。その溶液を約20時間、静置し、この間、結晶化が生じた。次に、得られる結晶を溶液から濾過し、そして乾燥した。粗生成物の収率は37%であった。
【0060】
ii) もう1つの200mlの部分を、減圧下で3.5gに濃縮した。次に、17.5mlのアセトニトリルを添加した。次に、得られる溶液を、0〜5℃に冷却した。その溶液を約20時間、静置し、この間、結晶化が生じた。次に、得られる結晶を溶液から濾過し、そして乾燥した。粗生成物の収率は75%であった。
【0061】
iii) もう1つの200mlの部分を、減圧下で3.5gに濃縮した。次に、17.5mlの酢酸エチルを添加した。次に、得られる溶液を、0〜5℃に冷却した。その溶液を約20時間、静置し、この間、結晶化が生じた。次に、得られる結晶を溶液から濾過し、そして乾燥した。粗生成物の収率は84%であった。
【0062】
iv) もう1つの200mlの部分を、減圧下で3.5gに濃縮した。次に、3.5mlの酢酸ブチル及び10.5mlのアセトニトリルを添加した。次に、得られる溶液を、0〜5℃に冷却した。その溶液を約20時間、静置し、この間、結晶化が生じた。次に、得られる結晶を溶液から濾過し、そして乾燥した。粗生成物の収率は83%であった。
【0063】
v) もう1つの200mlの部分を、減圧下で3.5gに濃縮した。次に、3.5mlの酢酸エチル及び10.5mlのアセトニトリルを添加した。つづいて17.5mlのイソブチルアセテートを添加した。得られる溶液を、0〜5℃に冷却した。その溶液を約20時間、静置し、この間、結晶化が生じた。次に、得られる結晶を溶液から濾過し、そして乾燥した。粗生成物の収率は74%であった。
【0064】
例2
段階a:精製
プネウモカンジンB0を含む発酵培養液1kgを、0.5Lのn-ブチルアセテートと組合せ、二相系を形成した。二相系を、遠心分離により分離した。n-ブチルアセテート相を除去し、その結果、プネウモカンジンB0が、精製された発酵培養液に残存した。
次に、精製された発酵培養液を、500mlのn-ブタノールにより抽出した。次に、抽出を、追加の500mlのn-ブタノールを用いて反復した。それらの得られる2種のn-ブタノール相を組合せ、1150mlのn-ブタノール相を得た。
【0065】
段階b:結晶化
n-ブタノール相を、減圧下で18gに濃縮した。次に、18mlのイソブチルアセテート及び54mlのアセトニトリルを添加した。次に、得られる溶液を、0〜5℃に冷却した。その溶液を約20時間、静置し、この間、結晶化が生じた。次に、得られる結晶を溶液から濾過し、そして乾燥した。粗生成物の収率は64%であった。
【0066】
例3
段階a:精製
プネウモカンジンB0を含む発酵培養液1kgを、0.5Lのn-プロピルアセテートと組合せ、二相系を形成した。二相系を、遠心分離により分離した。n-プロピルアセテート相を除去し、その結果、プネウモカンジンB0が、精製された発酵培養液に残存した。
次に、精製された発酵培養液を、500mlのイソブタノールにより抽出した。次に、抽出を、追加の500mlのイソブタノールを用いて反復した。それらの得られる2種のn-ブタノール相を組合せ、1140mlのイソブタノール相を得た。
【0067】
段階b:結晶化
イソブタノール相を、減圧下で9gに濃縮した。次に、9mlのイソブチルアセテート及び27mlのアセトニトリルを添加した。次に、得られる溶液を、0〜5℃に冷却した。その溶液を約20時間、静置し、この間、結晶化が生じた。次に、得られる結晶を溶液から濾過し、そして乾燥した。粗生成物の収率は80%超であった。
【0068】
例4
段階a:精製
プネウモカンジンB0を含む発酵培養液1kgを、0.5Lのトルエンと組合せ、二相系を形成した。二相系を、遠心分離により分離した。トルエン相を除去し、その結果、プネウモカンジンB0が、精製された発酵培養液に残存した。
次に、精製された発酵培養液を、500mlのイソブタノールにより抽出した。次に、抽出を、追加の500mlのイソブタノールを用いて反復した。それらの得られる2種のn-ブタノール相を組合せ、1120mlのイソブタノール相を得た。
【0069】
段階b:結晶化
イソブタノール相を、減圧下で12gに濃縮した。次に、12mlのイソブチルアセテート及び36mlのアセトニトリルを添加した。次に、得られる溶液を、0〜5℃に冷却した。その溶液を約20時間、静置し、この間、結晶化が生じた。次に、得られる結晶を溶液から濾過し、そして乾燥した。粗生成物の収率は52%であった。
【0070】
例5
段階a:精製
プネウモカンジンB0を含む発酵培養液1kgを、0.5Lのヘキサンと組合せ、二相系を形成した。二相系を、遠心分離により分離した。ヘキサン相を除去し、その結果、プネウモカンジンB0が、精製された発酵培養液に残存した。
次に、精製された発酵培養液を、500mlのイソブタノールにより抽出した。次に、抽出を、追加の500mlのイソブタノールを用いて反復した。それらの得られる2種のn-ブタノール相を組合せ、910mlのイソブタノール相を得た。
【0071】
段階b:結晶化
イソブタノール相を、減圧下で18gに濃縮した。次に、18mlのイソブチルアセテート及び54mlのアセトニトリルを添加した。次に、得られる溶液を、0〜5℃に冷却した。その溶液を約20時間、静置し、この間、結晶化が生じた。次に、得られる結晶を溶液から濾過し、そして乾燥した。粗生成物の収率は88%であった。
【0072】
例6
発酵された培養液を濾過し、そして濾過された菌糸体をいくつかの部分に分けた。個々の部分の濾過された菌糸体を、濾過された菌糸体部分の質量の2倍の体積で溶媒に懸濁した。撹拌の後、菌糸体を溶媒から濾過した。個々の溶媒が不純物を除去した。溶媒、例えば酢酸エチル、ヘキサン、石油エーテル及びジクロロメタンは、無視できる損失を伴って、精製をもたらした。溶媒、例えばアセトン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール及びアセトニトリルは、有意な損失下で精製をもたらした。
【0073】
例7
段階a
414.8gのプネウモカンジンB0を含む190kgのプネウモカンジン発酵培養液を、pH5.0〜7.0で95Lのイソブタノールにより抽出した。抽出段階を、追加の95Lのイソブタノールを用いて反復した。2種の得られるイソブタノール相を組合せ、191Lのイソブタノール相を得た。
【0074】
組合されたイソブタノール相を、25Lの体積に蒸発した。この濃縮物を、pH4.0〜4.5で12.5Lの水により2度、洗浄した。酸性洗浄の後、濃縮物を、pH6.0〜6.5で6Lの水により2度、洗浄した。
洗浄された濃縮物を、193gの活性炭により透明にした。活性炭処理の後、濃縮物を4.8Lの体積に蒸発した。3.6Lのイソブチルアセテートを、最終濃縮物に添加し、そしてその溶液を4.8Lに再び蒸発した。この段階を反復した。
得られる最終濃縮物は、296.7gのプネウモカンジンB0を含んだ。収率は71.5%であった。
【0075】
段階b:異なったキャリヤーに対する粗プネウモカンジンB0の沈澱
1.珪藻土(使用されるタイプはFW-14であった)59.4gを、体積250mlの最終濃縮物に添加した。400mlのアセトニトリルを前記懸濁液に添加し、そしてその混合物を周囲温度でさらに1時間、撹拌した。その混合物を濾過し、そしてフィルターケークを、アセトニトリル:イソブチルアセテートの1:1混合物500mlと共に懸濁した。フィルターケークを40℃で12時間、乾燥した。13.88gのプネウモカンジンB0を含む粗生成物87.2gを調製した。沈澱の収率は89.9%であった。
【0076】
2.小麦ミール59.4gを、体積250mlの最終濃縮物に添加した。400mlのアセトニトリルを前記懸濁液に添加し、そしてその混合物を周囲温度でさらに1時間、撹拌した。その混合物を濾過し、そしてフィルターケークを、アセトニトリル:イソブチルアセテートの1:1混合物500mlと共に懸濁した。フィルターケークを40℃で12時間、乾燥した。8.72gのプネウモカンジンB0を含む粗生成物77.09gを調製した。沈澱の収率は56.5%であった。
【0077】
3.トウモロコシ澱粉59.4gを、体積250mlの最終濃縮物に添加した。400mlのアセトニトリルを前記懸濁液に添加し、そしてその混合物を周囲温度でさらに1時間、撹拌した。その混合物を濾過し、そしてフィルターケークを、アセトニトリル:イソブチルアセテートの1:1混合物500mlと共に懸濁した。フィルターケークを40℃で12時間、乾燥した。12.63gのプネウモカンジンB0を含む粗生成物80.02gを調製した。沈澱の収率は81.8%であった。
【0078】
4.ジャガイモ澱粉59.4gを、体積250mlの最終濃縮物に添加した。400mlのアセトニトリルを前記懸濁液に添加し、そしてその混合物を周囲温度でさらに1時間、撹拌した。その混合物を濾過し、そしてフィルターケークを、アセトニトリル:イソブチルアセテートの1:1混合物500mlと共に懸濁した。フィルターケークを40℃で12時間、乾燥した。14.56gのプネウモカンジンB0を含む粗生成物78.31gを調製した。沈澱の収率は94.3%であった。
【0079】
5.ベントナイト(使用されるタイプはS-100であった)59.4gを、体積250mlの最終濃縮物に添加した。400mlのアセトニトリルを前記懸濁液に添加し、そしてその混合物を周囲温度でさらに1時間、撹拌した。その混合物を濾過し、そしてフィルターケークを、アセトニトリル:イソブチルアセテートの1:1混合物500mlと共に懸濁した。フィルターケークを40℃で12時間、乾燥した。11.14gのプネウモカンジンB0を含む粗生成物80.97gを調製した。沈澱の収率は72.2%であった。
【0080】
6.ベントナイト(使用されるタイプはT2-350であった)59.4gを、体積250mlの最終濃縮物に添加した。400mlのアセトニトリルを前記懸濁液に添加し、そしてその混合物を周囲温度でさらに1時間、撹拌した。その混合物を濾過し、そしてフィルターケークを、アセトニトリル:イソブチルアセテートの1:1混合物500mlと共に懸濁した。フィルターケークを40℃で12時間、乾燥した。10.70gのプネウモカンジンB0を含む粗生成物81.14gを調製した。沈澱の収率は69.3%であった。
【0081】
7.活性炭59.4gを、体積500mlの最終濃縮物に添加した。800mlのアセトニトリルを前記懸濁液に添加し、そしてその混合物を周囲温度でさらに1時間、撹拌した。その混合物を濾過し、そしてフィルターケークを、アセトニトリル:イソブチルアセテートの1:1混合物1000mlと共に懸濁した。フィルターケークを40℃で12時間、乾燥した。25.44gのプネウモカンジンB0を含む粗生成物109.02gを調製した。沈澱の収率は82.4%であった。
【0082】
8.パーライト(使用されるタイプはCP-800であった)19.8gを、体積250mlの最終濃縮物に添加した。400mlのアセトニトリルを前記懸濁液に添加し、そしてその混合物を周囲温度でさらに1時間、撹拌した。その混合物を濾過し、そしてフィルターケークを、アセトニトリル:イソブチルアセテートの1:1混合物500mlと共に懸濁した。フィルターケークを40℃で12時間、乾燥した。13.54gのプネウモカンジンB0を含む粗生成物47.46gを調製した。沈澱の収率は87.7%であった。
【0083】
9.アビセル(使用されるタイプは200であった)59.4gを、体積250mlの最終濃縮物に添加した。400mlのアセトニトリルを前記懸濁液に添加し、そしてその混合物を周囲温度でさらに1時間、撹拌した。その混合物を濾過し、そしてフィルターケークを、アセトニトリル:イソブチルアセテートの1:1混合物500mlと共に懸濁した。フィルターケークを40℃で12時間、乾燥した。9.62gのプネウモカンジンB0を含む粗生成物81.65gを調製した。沈澱の収率は62.3%であった。
【0084】
10.活性亜炭29.7gを、体積250mlの最終濃縮物に添加した。400mlのアセトニトリルを前記懸濁液に添加し、そしてその混合物を周囲温度でさらに1時間、撹拌した。その混合物を濾過し、そしてフィルターケークを、アセトニトリル:イソブチルアセテートの1:1混合物500mlと共に懸濁した。フィルターケークを40℃で12時間、乾燥した。13.45gのプネウモカンジンB0を含む粗生成物53.56gを調製した。沈澱の収率は87.1%であった。
【0085】
11.疎水性パーライト19.8gを、体積250mlの最終濃縮物に添加した。400mlのアセトニトリルを前記懸濁液に添加し、そしてその混合物を周囲温度でさらに1時間、撹拌した。その混合物を濾過し、そしてフィルターケークを、アセトニトリル:イソブチルアセテートの1:1混合物500mlと共に懸濁した。フィルターケークを40℃で12時間、乾燥した。13.43gのプネウモカンジンB0を含む粗生成物43.83gを調製した。沈澱の収率は86.9%であった。
【0086】
例8
段階a
約36.5gのWF-11899Aを含む100.0kgのWF-11899A希釈発酵培養液を、pH5.0〜7.0で100.0Lのイソブタノールにより抽出した。抽出段階を、追加の60.0Lのイソブタノールを用いて反復した。2種の得られるイソブタノール相を組合せ、161.0Lのイソブタノール相を得た。
【0087】
組合されたイソブタノール相を、12.3Lの体積に蒸発した。この濃縮物を、pH4.0〜4.5で6.0Lの水により洗浄した。酸性洗浄の後、濃縮物を、pH6.0〜6.5で6Lの水により洗浄した。
洗浄された濃縮物を、9.1gの活性炭により透明にした。活性炭処理の後、濃縮物を2つの部分に分けた。第1部分(6.9L)を、1.3Lの体積に蒸発した。等体積(1.3L)のイソブチルアセテートを濃縮物に添加し、そしてその溶液を再び、前記段階の体積に蒸発した。この段階を2度、反復した。第1の最終濃縮物の重量は740.41gであった。
【0088】
第2部分(3.3L)を、337.3gの重量に蒸発した。体積300mlのイソブチルアセテートを濃縮物に添加し、そしてその溶液を再び前記段階の体積に蒸発した。この段階を2度、反復した。第2の最終濃縮物の重量は316.07gであった。
得られる最終濃縮物は20.25gのWF−11899Aを含んだ。収率は55.5%であった。
【0089】
段階b:異なったキャリヤーに対する粗WF―11899A(FR−901379)の沈澱
1.珪藻土(使用されるタイプはFW-14であった)6.0g及び5.0mlのイソプロピルアセテートを、10gの最終濃縮物に添加した。35mlのアセトニトリルを前記懸濁液に添加し、そしてその混合物を周囲温度でさらに5時間、撹拌した。その混合物を濾過し、そしてフィルターケークを、10mlのアセトニトリルにより懸濁した。フィルターケークを40℃で12時間、乾燥した。213.1mgのWF―11899Aを含む粗生成物10.0gを調製した。沈澱の収率は98.6%であった。
【0090】
2.珪藻土(使用されるタイプはFW-14であった)300.0g及び178.0mlのイソプロピルアセテートを、重量336.0gの最終濃縮物に添加した。1176mlのアセトニトリルを前記懸濁液に添加し、そしてその混合物を周囲温度でさらに5時間、撹拌した。その混合物を濾過し、そしてフィルターケークを、336mlのアセトニトリルにより懸濁した。フィルターケークを40℃で12時間、乾燥した。6.66gのWF―11899Aを含む粗生成物451.6gを調製した。沈澱の収率は91.7%であった。
【0091】
3.パーライト(使用されるタイプはCP-800であった)6.0g及び5.0mlのイソプロピルアセテートを、重量10gの最終濃縮物に添加した。35mlのアセトニトリルを前記懸濁液に添加し、そしてその混合物を周囲温度でさらに5時間、撹拌した。その混合物を濾過し、そしてフィルターケークを、10mlのアセトニトリルにより懸濁した。フィルターケークを40℃で12時間、乾燥した。221.3mgのWF―11899Aを含む粗生成物9.61gを調製した。沈澱の収率は98.3%であった。
【0092】
4.アビセル(使用されるタイプは200であった)6.0g及び5.0mlのイソプロピルアセテートを、重量10gの最終濃縮物に添加した。35mlのアセトニトリルを前記懸濁液に添加し、そしてその混合物を周囲温度でさらに5時間、撹拌した。その混合物を濾過し、そしてフィルターケークを、10mlのアセトニトリルにより懸濁した。フィルターケークを40℃で12時間、乾燥した。202.4mgのWF―11899Aを含む粗生成物9.71gを調製した。沈澱の収率は93.6%であった。
【0093】
5.アビセル(使用されるタイプは200であった)400.0g及び200.0mlのイソプロピルアセテートを、重量404.0gの最終濃縮物に添加した。1414mlのアセトニトリルを前記懸濁液に添加し、そしてその混合物を周囲温度でさらに5時間、撹拌した。その混合物を濾過し、そしてフィルターケークを、404mlのアセトニトリルにより懸濁した。フィルターケークを40℃で12時間、乾燥した。8.31gのWF―11899Aを含む粗生成物549.2gを調製した。沈澱の収率は95.5%であった。
【0094】
例9
段階a
エキノカンジン発酵培養液を、pH5.0〜7.0で1/2体積のイソブタノールにより抽出する。抽出段階を、追加の1/2体積のイソブタノールを用いて反復する。2種の得られるイソブタノール相を組合せる。
【0095】
組合されたイソブタノール相を濃縮し、そして酸性及び中性pHで洗浄する。洗浄された濃縮物を活性炭により透明にする。活性炭処理の後、濃縮物を油状残留物に蒸発する。イソブチルアセテートを最終濃縮物に添加し、そしてその溶液を出発体積まで再び蒸発する。この段階を反復する。
【0096】
段階b:粗エキノカンジンの沈澱
珪藻土(使用されるタイプはFW−14であった)を、最終濃縮物に添加する。アセトニトリルを懸濁液に添加し、粗生成物を沈澱する。その混合物を、周囲温度で、さらに1時間、撹拌する。その混合物を濾過し、そしてフィルターケークを、アセトニトリル:イソブチルアセテートの1:1混合物により懸濁する。フィルターケークを40℃で12時間、乾燥する。
【0097】
例10:キャリヤーからの活性物質(プネウモカンジンB0)の分離
1307gの活性物質を含むプネウモカンジンB0粗生成物(珪藻土に基づいて、アッセイ:13.07%、HPLC純度35.7%)10kgを、100Lのノルマルプロパノールと共に約1時間、撹拌した。珪藻土を濾過し、そして10Lのノルマルプロパノールにより洗浄した。組合されたプロパノール溶液(約110L)を減圧下で11.4Lの体積に蒸発した。46Lのイソプロピルアセテートを濃縮物の添加し、そしてその混合物を-10℃〜-20℃に冷却した。その混合物を、-10℃〜-20℃で、さらに16〜18時間、撹拌した。沈澱された材料を濾過し、そして10Lのイソプロピルアセテートにより洗浄した。プネウモカンジンB0を、40℃で約12時間、乾燥した。生成物の質量は4.89kgであった。収率は26.21%であり、そしてHPLC純度は41.12であった。前記段階の収率は98%であった。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】図1は、段階的態様での精製工程の1つの態様を示すフローチャートを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)エキノカンジン(echinocandin)型化合物を有する全培養液から、少なくとも1つの非極性又は弱極性水−不混和性有機溶媒により、不純物を抽出し、水性相及び有機相を含んで成る第1の二相系を得;
(b)前記有機相を除去し、水性相を入手し;
(c)前記水性相からエキノカンジン型化合物を、水−不混和製有機溶媒(段階(a)における水−不混和性有機溶媒とは異なる)により抽出し、第2の二相系を得;そして
(d)精製されたエキノカンジン型化合物を回収する;
ことを含んで成る、エキノカンジン型化合物の精製方法。
【請求項2】
前記エキノカンジン型化合物が、プネウモカンジンB0(Pneumocandin B0)、WF−11899及びエキノカンジンから成る群から選択される請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記エキノカンジン型化合物が、約0.2〜約15g/lの濃度で全培養液中に存在する請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記非極性又は弱極性水−不混和性有機溶媒が、C5-8脂肪族アルカン、C6-8芳香族炭化水素、C4-8エーテル及びC3-6エステルから成る群から選択される請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記非極性又は弱極性水−不混和性有機溶媒が、ヘプタン、ヘキサン、オクタン、シクロへキサン、トルエン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、イソブチルアセテート、n−ブチルアセテート、n−プロピルアセテート、イソプロピルアセテート又はエチルアセテートである請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記非極性又は弱極性水−不混和性有機溶媒が、イソブチルアセテート、n−ブチルアセテート、n−プロピルアセテート、イソプロピルアセテート又はエチルアセテートである請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記第1の二相系における前記非極性又は弱極性水−不混和性有機溶媒の量が、全培養液の約5〜約90重量%である請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記非極性又は弱極性水−不混和性有機溶媒の量が、全培養液の約50〜約90重量%である請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記非極性又は弱極性水−不混和性有機溶媒の量が、全培養液の約10〜約50重量%である請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記非極性又は弱極性水−不混和性有機溶媒の量が、全培養液の約30〜約50重量%である請求項9記載の方法。
【請求項11】
段階(c)における前記水−不混和性有機溶媒が、水−不混和性アルコールである請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記水−不混和性アルコールが、C4-6アルコールである請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記C4-6アルコールが、イソブタノール又はn−ブタノールである請求項12記載の方法。
【請求項14】
段階(c)における抽出が反復される請求項1〜13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
好ましくは、前記回収されたエキノカンジン型化合物と、少なくとも1つの抗溶媒とを混合することを含んで成る工程により、前記エキノカンジン型化合物を結晶化する段階をさらに含んで成る請求項1〜14のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
前記抗溶媒が、エチルアセテート、イソブチルアセテート、n−ブチルアセテート、tert−ブチルアセテート、イソプロピルアセテート、アセトン、アセトニトリル(ACN)、アセトニトリルとエチルアセテートの混合物及びアセトニトリル(ACN)及びイソブチルアセテートの混合物から成る群から選択される請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記抗溶媒がアセトニトリルである請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記抗溶媒がエチルアセテート又はイソブチルアセテートであり、そして沈殿が冷却段階により又は第2抗溶媒の添加により誘導される請求項16記載の方法。
【請求項19】
前記冷却段階が約5℃〜約−20℃の温度へである請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記冷却が約5℃〜約0℃の温度へである請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記第2抗溶媒がアセトン又はアセトニトリルである請求項18記載の方法。
【請求項22】
前記第2抗溶媒がアセトニトリル又はアセトンである、そして沈殿が約5℃〜約−20℃の温度への冷却により誘発される請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記回収されたエキノカンジン型化合物及び抗溶媒の混合物を、約5℃〜約-20℃の温度に、少なくとも約15分間、冷却することをさらに含んで成る請求項15〜22のいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
前記冷却が、約5℃〜約0℃の温度へである請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記期間が、約10〜約24時間である請求項23又は24記載の方法。
【請求項26】
前記期間が、約20時間である請求項25記載の方法。
【請求項27】
少なくとも1つの抗溶媒を用いてエキノカンジン型化合物を結晶化することを含んで成る、エキノカンジン型化合物の精製方法。
【請求項28】
前記開始エキノカンジン型化合物が、発酵培養液の抽出から得られる請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記抗溶媒が、エチルアセテート、イソブチルアセテート、n−ブチルアセテート、tert−ブチルアセテート、イソプロピルアセテート、アセトン、アセトニトリル(ACN)、アセトニトリルとエチルアセテートの混合物及びアセトニトリル(ACN)及びイソブチルアセテートの混合物から成る群から選択される請求項27記載の方法。
【請求項30】
前記抗溶媒がアセトニトリルである請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記抗溶媒がエチルアセテート又はイソブチルアセテートであり、そして沈殿が冷却段階により又は第2抗溶媒の添加により誘導される請求項29記載の方法。
【請求項32】
前記冷却段階が約5℃〜約−20℃の温度へである請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記冷却が約5℃〜約0℃の温度へである請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記第2抗溶媒がアセトン又はアセトニトリルである請求項31記載の方法。
【請求項35】
前記第2抗溶媒がアセトニトリル又はアセトンである、そして沈殿が約5℃〜約−20℃の温度への冷却により誘発される請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記回収されたエキノカンジン型化合物及び抗溶媒の混合物を、約5℃〜約-20℃の温度に、少なくとも約15分間、冷却することをさらに含んで成る請求項27〜35のいずれか1項記載の方法。
【請求項37】
前記冷却が、約5℃〜約0℃の温度へである請求項36記載の方法。
【請求項38】
前記期間が、約10〜約24時間である請求項36又は37記載の方法。
【請求項39】
前記期間が、約20時間である請求項38記載の方法。
【請求項40】
前記精製されたエキノカンジン型化合物を、カスポフンジン(caspofungin)、アニジュラフンジン(anidulafungin)又はマイカフンジン(mycafungin)に転換することをさらに含んで成る請求項27〜39のいずれか1項記載の方法。
【請求項41】
(a)発酵培養液、又は発酵培養液から得られ、濾過された菌糸体からエキノカンジン型化合物を、水―不混和性有機溶媒により抽出し、水性相及び有機相を含んで成る二相系を得るか、又は水含有機相を得;
(b)エキノカンジン型化合物を回収し;そして
(c)前記回収されたエキノカンジン型化合物と、少なくとも1つの抗溶媒及び固体キャリヤーとを組合せ、精製されたエキノカンジン型化合物を入手することを含んで成る、エキノカンジン型化合物の精製方法。
【請求項42】
段階(a)における前記水−不混和性有機溶媒が、水−不混和性アルコールである請求項41記載の方法。
【請求項43】
前記水−不混和性アルコールが、C4-6アルコールである請求項42記載の方法。
【請求項44】
前記C4-6アルコールが、イソブタノール又はn−ブタノールである請求項43記載の方法。
【請求項45】
段階(a)における前記抽出が、約2〜約8のpHで行われる請求項41〜44のいずれか1項記載の方法。
【請求項46】
前記pHが約5〜約7である請求項45記載の方法。
【請求項47】
前記pHが約2〜約4であり、そして前記抽出が、約10℃以下の温度に冷却しながら、行われる請求項45記載の方法。
【請求項48】
冷却が、約0℃〜約10℃の温度へである請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記抽出段階(a)が反復される請求項41〜48のいずれか1項記載の方法。
【請求項50】
段階(c)における前記回収されたエキノカンジン型化合物と、抗溶媒及び固体キャリヤーとを組合す前、前記回収されたエキノカンジン型化合物の洗浄段階をさらに含んで成る請求項41〜49のいずれか1項記載の方法。
【請求項51】
前記洗浄段階が、前記回収されたエキノカンジン型化合物と水とを組合すことを含んで成る請求項50記載の方法。
【請求項52】
前記洗浄段階が、約4〜約6.5のpHを有する水を用いる第1段階及び約4〜約6.5のpHを有する水を用いる第2段階を包含する2つの段階を含んで成る請求項51記載の方法。
【請求項53】
前記第1洗浄が約4〜約4.5のpHを有する水を用い、そして前記第2洗浄が約6〜約6.5のpHを有する水を用いる請求項52記載の方法。
【請求項54】
洗浄が、発酵培養液に起因する、約20〜約50重量%の固体残留物を排除する請求項50〜53のいずれか1項記載の方法。
【請求項55】
段階(c)における前記回収されたエキノカンジン型化合物と、抗溶媒及び固体キャリヤーとを組合す前、前記回収されたエキノカンジン型化合物の活性炭による処理段階をさらに含んで成る請求項41〜54のいずれか1項記載の方法。
【請求項56】
精製されたエキノカンジン型化合物を得るために、エキノカンジン型化合物と、少なくとも1つの抗溶媒及び固体キャリヤーとを組合すことを含んで成るエキノカンジン型化合物を結晶化する段階をさらに含んで成る請求項41〜55のいずれか1項記載の方法。
【請求項57】
前記固体キャリヤーが、活性炭、珪藻土、小麦ミール、トウモロコシ澱粉、ジャガイモ澱粉、ベントナイト、パーライト、アビセル、疎水性パーライト、活性亜炭ミール、炭素及びセルロース製品から成る群から選択される請求項41〜56のいずれか1項記載の方法。
【請求項58】
前記抗溶媒が、エチルアセテート、イソブチルアセテート、n−ブチルアセテート、tert−ブチルアセテート、イソプロピルアセテート、アセトン、アセトニトリル(ACN)、アセトニトリルとエチルアセテートの混合物及びアセトニトリル(ACN)及びイソブチルアセテートの混合物から成る群から選択される請求項41〜57のいずれか1項記載の方法。
【請求項59】
前記エキノカンジン型化合物の回収が、前記エキノカンジン型化合物、固体キャリヤー及び抗溶媒の混合物を濾過し、そしてアセトニトリル、アセトン又は2種の有機溶媒の混合物から成る群から選択された溶媒に、前記エキノカンジン型化合物が吸収されている前記濾過された固体キャリヤーを懸濁することを含んで成る請求項41〜58のいずれか1項記載の方法。
【請求項60】
前記2種の有機溶媒の混合物が、イソブチルアセテート、イソプロピルアセテート、エチルアセテート又はオクタンから成る群から選択された第1溶媒、及びアセトニトリル又はアセトンから成る群から選択された第2溶媒を含んで成る請求項59記載の方法。
【請求項61】
前記エキノカンジン型化合物が、エキノカンジン化合物が吸収される固体キャリヤーと、エキノカンジン型化合物が溶解できる溶媒を組合す段階により、固体キャリヤーから分離される請求項41〜60のいずれか1項記載の方法。
【請求項62】
前記エキノカンジン型化合物が、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、それらの混合物、及び水中、それらの混合物から成る群から選択された溶媒に可溶性である請求項61記載の方法。
【請求項63】
エキノカンジン型化合物と、少なくとも1つの抗溶媒及び固体キャリヤーとを組合すことを含んで成る、エキノカンジン型化合物の精製方法。
【請求項64】
前記出発エキノカンジン型化合物が、発酵培養液の抽出から得られる請求項63記載の方法。
【請求項65】
前記精製されたエキノカンジン型化合物を、カスポフンジン、アニジュラフンジン又はマイカフンジンに転換する段階をさらに含んで成る請求項41〜64のいずれか1項記載の方法。
【請求項66】
抗菌エキノカンジンの製造のためへの請求項1〜65のいずれか1項記載の方法の使用。
【請求項67】
前記抗菌エキノカンジンが、カスポフンジン、マイカフンジン又はアニジュラフンジンである請求項66記載の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2009−519245(P2009−519245A)
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543598(P2008−543598)
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【国際出願番号】PCT/US2007/022123
【国際公開番号】WO2008/048627
【国際公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(501309071)テバ ジョジセルジャール ザ−トケルエン ムケド レ−スベニュタ−ルシャシャ−グ (30)
【Fターム(参考)】