説明

エジェクタ装置およびエジェクタ装置の接続方法

【課題】 金型内に配設される突出用可動部と、金型取付盤に配設されるエジェクタロッドの連結を複雑な装置を用いずに比較的簡単な構造で容易に行うことができるエジェクタ装置およびエジェクタ装置の接続方法を提供する。
【解決手段】 金型20内に配設される突出用可動部51が、金型取付盤17に配設されるエジェクタロッド32に連動可能に接続されるエジェクタ装置21において、エジェクタロッド32の先端側に突出用可動部51に係合される回転係合部34を設け、エジェクタロッド32の後部側にエジェクタロッド32を回転させる回転力作用部35を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金型内に配設される突出用可動部が、金型取付盤に配設されるエジェクタロッドに連動可能に接続されるエジェクタ装置およびエジェクタ装置の接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、特許文献2に記載されるように、従来のエジェクタ装置においては、金型内に配設される突出ピンやエジェクタプレート等からなる突出用可動部が、金型取付盤に配設されるエジェクタロッドに連動可能に接続されていないタイプと、接続されるタイプの両方のタイプがある。前記突出用可動部が前記エジェクタロッドに連動可能に接続されていないタイプでは、金型内に配設されるバネの力により前記突出用可動部が戻されるので、常に突出ピン等とエジェクタロッドが当接されるようになっている。一方、前記突出用可動部が前記エジェクタロッドに接続されるタイプでは、両者の間がボルト等により連結され、エジェクタロッドと一体となって突出ピン等が作動される。従って突出ピンの後退速度等を高精度に設定したい場合などでは、突出用可動部とエジェクタロッドが一体となっているタイプの方が有利である。しかしながら突出用可動部とエジェクタロッドが一体となっているタイプの場合、金型を可動盤等の金型取付板に取付ける際に、突出用可動部とエジェクタロッドをボルト等で連結する作業を行う必要があるが、従来は金型側面の僅かな隙間、または金型と金型取付盤の間から行う必要があり、作業負担が大きかった。
【0003】
【特許文献1】特開2003−326555号公報(0010、図1)
【特許文献2】特開2000−343569号公報(0033、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明では上記の問題を鑑みて、金型内に配設される突出用可動部が、金型取付盤に配設されるエジェクタロッドに連動可能に接続されるエジェクタ装置において、突出用可動部とエジェクタロッドの連結を比較的簡単な構造で容易に行うことができるエジェクタ装置およびエジェクタ装置の接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のエジェクタ装置は、金型内に配設される突出用可動部が、金型取付盤に配設されるエジェクタロッドに連動可能に接続されるエジェクタ装置において、エジェクタロッドは、突出用可動部に係合される回転係合部が先端側に設けられ、エジェクタロッドを回転させる回転力作用部が後部側に設けられていることを特徴とする。
【0006】
本発明のエジェクタ装置の接続方法は、金型内に配設される突出用可動部が、金型取付盤に配設されるエジェクタロッドに連動可能に接続されるエジェクタ装置の接続方法において、前記エジェクタロッドの後部側の回転力作用部に回転力を付与して、前記エジェクタロッドの先端側の回転係合部と前記突出用可動部とを係合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のエジェクタ装置およびエジェクタ装置の接続方法は、金型内に配設される突出用可動部が、金型取付盤に配設されるエジェクタロッドに連動可能に接続されるエジェクタ装置において、エジェクタロッドは、突出用可動部に係合される回転係合部が先端側に設けられ、エジェクタロッドを回転させる回転力作用部が後部側に設けられているので、比較的簡単な構造で、前記突出用可動部に対するエジェクタロッドの連結を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施形態について、図1ないし図4を参照して説明する。図1は、本実施形態の射出成形機とエジェクタ装置の断面図である。図2ないし図4は、本実施形態のエジェクタ装置の接続方法を示す拡大断面図である。
【0009】
図1に示されるように、射出成形機11は、射出装置12と型締装置13からなっている。型締装置13は、ベッド14上に固定される一方の金型取付盤である固定盤15と、図示しない受圧盤と、前記固定盤15と受圧盤の間に配設されるタイバ16に移動自在に配設される他方の金型取付盤である可動盤17と、受圧盤と可動盤17の間に配設されるトグルリンク機構等の型締駆動機構18からなっている。そして固定盤15には固定金型19が、可動盤17には可動金型20が取付けられ、両方の金型19,20が型閉された際にキャビティが形成されるようになっている。
【0010】
可動盤17にはエジェクタ装置21が配設されている。可動盤17の側面または上面にはエジェクタ装置21を作動させるサーボモータ22が配設されている。また可動盤17の背面側のトグルリンクの係合部を結ぶ支持部23と、可動盤17の間には複数本のボールネジ25が回転可能に設けられ、ボールネジ25に取付けられた従動プーリ26と、前記サーボモータ22の駆動プーリ27はタイミングベルト28により連結されている。またボールネジ25にはボールナット29が前記ボールネジ25の回転により軸方向に移動可能に取付けられている。ボールナット29にはエジェクタ装置21のエジェクタロッド板30(エジェクタバー)が固定されている。前記可動盤17の支持部23と本体との間には複数本のガイドバー31が取付けられ、前記エジェクタロッド板30はガイドバー31によりガイドされて型開閉方向に移動可能となっている。
【0011】
本実施形態のエジェクタ装置21のエジェクタロッド板30には、4本のエジェクタロッド32(ジョイントピン)が取付けられている。そしてエジェクタロッド32は、可動盤17に設けられた貫通孔33から可動金型20の方向へ突出可能となっている。図2ないし図4に拡大して示されるように、エジェクタロッド32は、先端側に回転係合部であるネジ溝部34が設けられ後部側(後端側)には回転力作用部である六角頭部35が設けられた回転軸部36と、該回転軸部36に対して外挿され回転不能なスリーブ部37との二重構造となっている。回転軸部36は可動盤17の板厚よりも長く設けられ、先端部の周囲にはネジ溝が刻設されたネジ溝部34となっている。また回転軸部36の後方側の4/5程度の位置であってエジェクタロッド板30に収納される部分には、他の部分よりも大径のフランジ部38が設けられている。そしてフランジ部38よりも後方側の軸部は前方側の軸部よりも僅かに小径となっている。また後方側の軸部の後端側は断面六角形の六角頭部35となっている。
【0012】
一方、エジェクタロッド板30には回転軸部36が挿通可能な貫通孔39が設けられている。そしてエジェクタロッド板30の後面側における貫通孔39の周囲には、前記回転軸部36のフランジ部38が挿入可能な直径の円柱状の凹部40が形成されている。そして前記凹部40の内壁面には更に周り止め用のピン41が挿入可能な溝部42が縦方向に形成されている。またエジェクタロッド板30の前面側における貫通孔39の周囲には、円筒状のブッシュ43を挿入可能な円柱状の凹部44が形成されている。そして前記ブッシュ43が挿入された貫通孔39と凹部40に対して後方側から回転軸部36が挿入されている。その際、回転軸部36のフランジ部38は、凹部40の底面の部分で当て止めされ、その後方にはピン41が挿入可能な切欠部が外周側に形成されたカラー45が挿入される。そして前記カラー45の後面側の段部にはスプリング46が固定され、外周側の切欠部と溝部42には、前記カラー45及びスプリング46が回転することを防止するピン41が挿入されている。そしてエジェクタロッド板30の凹部40の後端側には、前記スプリング46の後端に当接されるとともに前記回転軸部36の後端部のみが後方側に突出するように孔が形成されたフランジ板47が嵌め込まれ、フランジ板47は、ボルトでエジェクタロッド板30に固定されている。またピン41はフランジ板47に別のボルトで固定されている。従って回転軸部36はスプリング46によって前方に向けて付勢されてはいるが、前方から所定以上の力が加えられるとスプリング46のストロークstだけ後退可能な構造となっている。
【0013】
また前記エジェクタロッド32の回転軸部36の外側にはスリーブ部37が外挿されている。スリーブ部37は後端部が大径のフランジ部48となっており、前記フランジ部48がボルトによりエジェクタロッド板30の前面に固定されるようになっている。従ってスリーブ部37はエジェクタロッド板30に対しては前後進も回転も不可能となっている。スリーブ部37の直径は、可動盤17の貫通孔33の直径と比較して細くなっており、またスリーブ部37の長さは、エジェクタ装置21が最前進した際に盤面17aと同じ面か、または接続ピン57の先端面58に届く長さとなっている。前記可動盤17の板厚と同じか、または前記板厚に近い長さとなっている。前記可動盤17の後面における貫通孔33の周囲には、円柱状の凹部17bが形成され、エジェクタロッド板30およびエジェクタロッド32等が前進した際に、前記フランジ部48やボルトが可動盤17に干渉せずに前記凹部17b内に収納されるようになっている。またエジェクタロッド32の回転軸部36とスリーブ部37の関係は、スプリング46が伸長されて回転軸部36のフランジ部38が凹部40の底面に押し付けられた状態では、回転軸部36のネジ溝部34がスリーブ部37の平坦な先端面49から前方へ向けて突出されるようになっている。
【0014】
なお型締装置やエジェクタ装置は油圧シリンダによるものでもよい。そして可動盤の背面の中心にエジェクタ装置の作動用油圧シリンダが配設され、十字形のエジェクタロッド板におけるそれぞれの位置にエジェクタロッドが配設されたものでもよい。
【0015】
次に可動金型20内に配設される突出用可動部51について説明する。可動金型20内には空間52が設けられ、前記空間52からキャビティ面20aに向け貫通孔53が複数形成されている。そして前記貫通孔53にはキャビティ面20aから成形品Pを突出する突出ピン54がそれぞれ配設されている。また前記空間52には、前記突出ピン54が固定されるエジェクタプレート55が配設されている。エジェクタプレート55は、前進された突出ピン54がキャビティ面20aへ戻されるようにスプリング56が後方に向けて付勢されて取付けられている。またエジェクタプレート55から後方に向けて、接続ピン57が固定されている。
【0016】
接続ピン57が設けられる位置は、盤面17aの方向に対して、エジェクタ装置21のエジェクタロッド32と同じ位置である。そして接続ピン57の長さは、外部から力が加えられていない状態で可動金型20の背面20bから所定長さ突出する長さとなっており、直径はエジェクタロッド32のスリーブ部37の直径と同じとなっている。そして接続ピン57の先端は、前記スリーブ部37の先端面49と面当接されるよう外周寄りが平坦な先端面58となっている。また前記接続ピン57の先端の軸芯側は、エジェクタロッド32のネジ溝部34が係合されるネジ穴59が形成されている。これらのエジェクタ装置21の連結手段は、エジェクタロッド32の回転を利用するものであり簡単な構造なので、あまりコストアップに繋がらない。
【0017】
次に金型交換の際のエジェクタ装置21の接続方法について、図2ないし図4により説明する。図2に示されるように金型取付前の段階において、エジェクタ装置21のエジェクタロッド板30およびエジェクタロッド32は最前進位置まで前進されており、可動盤17からネジ溝部34のみが突出寸法Lだけ突き出た状態となっている。またエジェクタ装置21を作動させるサーボモータ22はフリーの状態となっている。そして固定盤15と可動盤17の間に、固定金型19と可動金型20が型合せされた状態の金型をクレーン等により搬入し、まず固定金型19を固定盤15に位置決めしボルト等により固定する。次に型締装置18により可動盤17を後退位置から前進させ、可動金型20の背面20bに可動盤17の盤面17aを当接させるようにする。
【0018】
この際、図3に示されるように、可動金型20の背面20bから突出している接続ピン57のネジ穴59に対して、対応位置にあるエジェクタロッド32の回転軸部36のネジ溝部34が当接された状態となるが、ネジ溝部34とネジ穴59はそれぞれ溝が切ってあるので、当接および押圧によっては係合されない。そして更に可動盤17が型閉方向へ移動されると、エジェクタ装置21はフリーの状態であるが所定の自重を有しているので、エジェクタロッド32の回転軸部36のスプリング46が収縮されて回転軸部36が後退する。そして接続ピン57の外周寄りの先端面58とエジェクタロッド32のスリーブ部37の先端面49が面当接される。この際に前記のようにネジ溝部34の突出寸法Lよりもスプリング46のストロークstの方が長いので、必ず前記先端面49と先端面58は、面当接される。そして前記面当接された後は、スリーブ部37を含むエジェクタロッド32とエジェクタロッド板30全体が同時に後退される。そして可動盤17の盤面17aに可動金型20の背面20bが当接されると可動金型20が可動盤17にボルト等により固定される。
【0019】
次に図4に示されるようにフランジ板47から突出ている回転軸部36の後端部の回転力作用部である六角頭部35をインパクトレンチ等により回転させて回転軸部36のみを回転させ、接続ピン57のネジ穴59に、回転軸部36のネジ溝部34を係合する。この際、回転軸部36は、スプリング46により接続ピン57に向けて押圧されているので、ネジ穴59にネジ溝部34を螺入しやすい。また回転軸部36は、ブッシュ43によりガイドされているので芯ブレせずに安定して回転させることが可能である。更に、カラー45およびスプリング46は、ピン41により回り止めされているので回転軸部36と共に回転しない。そしてネジ溝部34がネジ穴59に係合されていくにつれて、スリーブ部37に対して回転軸部36は相対的に前進し、フランジ部38が凹部40の底面に当接され、スプリング46が再度伸長する。そしてスリーブ部37の先端面49と接続ピン57の先端面58が強固に面当接される。このエジェクタロッド32と接続ピン57の連結作業は、可動盤17の後方側のスペースから行うことが出来るので、作業が容易である。なおエジェクタロッド32と接続ピン57の連結作業は、可動盤17の支持部23の中央に設けられた窓部を介して後方側から行ってもよく、また支持部23と可動盤17の本体との間に形成された側面窓部を介して側方側から行ってもよい。そしてエジェクタロッド32を回転させる回転力作用部は、後端部に限定されず、エジェクタロッド32の後部側の周面の突起等に力を及ぼすものでもよい。
【0020】
次に成形品Pの成形時におけるエジェクタ装置21の作動について説明する。射出成形機11の射出装置12から型締された金型のキャビティ内に溶融樹脂が射出され、キャビティ内で冷却された後、型締装置18が作動して可動盤17および可動金型20が後退すると、成形品Pは固定金型19から離型されて可動金型20のキャビティ面20aに密着した状態で取り出される。次にエジェクタ装置21のサーボモータ22の作動により、タイミングベルト28を介して、プーリ26およびボールネジ25が回転し、ボールナット29、エジェクタロッド板30、およびエジェクタロッド32が型開閉方向に移動される。するとエジェクタロッド32と可動金型20内に配設される突出用可動部である接続ピン57、エジェクタプレート55、および突出ピン54が連動して作動し、成形品Pを突き出す。
【0021】
この際、エジェクタロッド32のスリーブ部37の先端面49と、接続ピン57の先端面58とが直接面当接されており、突出方向の力を受けるので、ネジ溝部の部分に負荷がかかることが少ない。また突出ピン54の後退時には、サーボモータ22の制御により、エジェクタロッド32が後退したことに連動し、また金型内のスプリング56の反発力も協働して突出ピン54が後退される。従って突出ピン54の前後進作動速度や前後進位置をコントロールでき、複数回突出などについても高速制御が可能となる。
【0022】
次に図5ないし図7に示される別の実施形態について説明する。まず竪型射出成形機の金型固定盤として下盤である固定盤61が設けられ、その下方にエジェクタ装置62のエジェクタロッド板63がガイド64にガイドされ、図示しない油圧シリンダまたはサーボモータの作動により昇降可能に設けられている。エジェクタロッド板63にはエジェクタロッド65が取付けられ、エジェクタロッド65は固定盤61を上下に貫通する貫通孔66内に昇降自在に挿通されている。エジェクタロッド65はエジェクタロッド板63に対して固着されたスリーブ部67とその内部に回転自在に設けられた回転軸部68とからなる。回転軸部68の先端側には回転係合部であるネジ溝部69が所定長さに形成されている。なお回転係合部としては、ネジ溝以外に軸回転による嵌め合いにより係合を行う嵌め合い突起または嵌め合い凹部などでもよい。
【0023】
回転軸部68の後部側は、大径のフランジ部71となっており、エジェクタロッド板63の下面側に形成される円柱状の凹部70に挿入される。そして前記フランジ部71の板厚は、凹部70の深さよりも薄くなっている。またフランジ部71の下面側の中心には、回転力作用部である六角穴72が設けられ、周囲には脱落防止用の肩部が形成されている。そしてエジェクタロッド板63の前記凹部70の周囲には脱落防止板73が移動自在に配設され、前記肩部を保持している。
【0024】
また下型である固定金型74の内部には、突出用可動部75が配設されている。突出用可動部75はキャビティ面76から突出される突出ピン77と、エジェクタプレート78とからなり接続ピンは設けられていない。そして突出用可動部75のエジェクタプレート78は、スプリング79により固定盤61側に向けて付勢されている。またエジェクタプレート78の背面には、ネジ穴80が、エジェクタロッド65に対応する位置に形成されている。なお別の実施形態についても、エジェクタプレート78にエジェクタロッド65に当接する接続ピンを設け、前記接続ピンにネジ穴を設けてもよい。またスプリング79は本発明に必須ではない。
【0025】
次に別の実施形態における金型交換の際のエジェクタ装置62の接続方法について説明する。図5に示されるように固定金型74は、固定盤61上をスライド或いは僅かな間隙を有して水平移動されて取付位置に配置される。その際にエジェクタ装置62のエジェクタロッド65のスリーブ部67の先端面67aおよび回転軸部68の先端面68aは共に、固定盤61の上面と同一高さか僅かに下方に位置するようエジェクタロッド板63が停止されている。
【0026】
そして次に図6に示されるようにエジェクタ装置62の図示しない油圧シリンダまたはサーボモータの作動により、エジェクタロッド板63とエジェクタロッド65を上昇させ、前記回転軸部68の先端面68aをエジェクタプレート78の背面78aに当接させる。次に回転軸部68の六角穴72に六角レンチ81等を係合して回転させ、回転軸部68のネジ溝部69を金型側のエジェクタプレート78のネジ穴80に係仮止めする。その際エジェクタロッド板63の落下防止用にストッパ等を挿入してもよい。そして再度エジェクタロッド板63を上昇させスリーブ部67の先端面67aとエジェクタプレート78の背面とが所定圧となるように面当接させ、再度六角レンチ81で回転軸部68を回転させ、回転軸部68とエジェクタプレート78を完全に連結する。そして脱落防止板73を移動させ、ボルトによりエジェクタロッド板63に係止して、エジェクタロッド板63の凹部70内で回転軸部68のフランジ部71が上下にガタが生じないようにする。なお固定金型74の移送方法や、エジェクタロッド65とエジェクタプレート78の結合手順などは適宜変更が可能である。
【0027】
本発明は以上説明した実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を付加して実施することができる。
【0028】
本発明のエジェクタ装置のエジェクタロッドは、金型内の突出用可動部に係合される回転係合部が先端側に設けられ、エジェクタロッドを回転させる回転力作用部が後部側に設けられるものであれば、限定はされず、スリーブ部は必須ではない。従って回転軸部のみからなるエジェクタロッドを、金型固定盤の後方から回転させて金型内の突出用可動部にネジ固定し、その後にエジェクタロッドのフランジ部等を他の移動板等にボルト固定するだけのものでもよい。更には油圧シリンダまたは電動シリンダ(電動直動機構)のロッドが直接にエジェクタロッドを構成するか、またはベアリングやカップリングを介してエジェクタロッドを構成するものでもよい。またエジェクタ装置のエジェクタロッドの数は限定されず、金型内に配設される突出用可動部と係合されるエジェクタロッドと、係合されずに突出用可動部を前方に向けて押圧のみを行うエジェクタロッドの両方が設けられたものでもよい。
【0029】
また本発明は、金型内の成形品をエジェクタ装置により突出しする装置であれば、射出成形機以外にダイカスト成形機、プレス装置、真空成形装置、および積層成形装置等であってもよい。そして金型取付盤は固定盤、可動盤、または中間盤のいずれでもよく、横方向に型開閉されるものや上下方向に型開閉されるもののいずれでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本実施形態の射出成形機とエジェクタ装置の断面図である。
【図2】本実施形態のエジェクタ装置の接続方法を示す拡大断面図である。
【図3】本実施形態のエジェクタ装置の接続方法を示す拡大断面図である。
【図4】本実施形態のエジェクタ装置の接続方法を示す拡大断面図である。
【図5】別の実施形態のエジェクタ装置の接続方法を示す拡大断面図である。
【図6】別の実施形態のエジェクタ装置の接続方法を示す拡大断面図である。
【図7】別の実施形態のエジェクタ装置の接続方法を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0031】
17 可動盤(金型取付盤)
20 可動金型(金型)
21,62 エジェクタ装置
32,65 エジェクタロッド
34,69 ネジ溝部(回転係合部)
35 六角頭部(回転力作用部)
36,68 回転軸部
37,67 スリーブ部
51,75 突出用可動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型内に配設される突出用可動部が、金型取付盤に配設されるエジェクタロッドに連動可能に接続されるエジェクタ装置において、
前記エジェクタロッドは、突出用可動部に係合される回転係合部が先端側に設けられ、エジェクタロッドを回転させる回転力作用部が後部側に設けられていることを特徴とするエジェクタ装置。
【請求項2】
前記エジェクタロッドは、先端側に前記回転係合部が設けられ後部側に回転力作用部が設けられた回転軸部と、
前記回転軸部に対して外挿され回転不能なスリーブ部と、が備えられたことを特徴とする請求項1に記載のエジェクタ装置。
【請求項3】
金型内に配設される突出用可動部が、金型取付盤に配設されるエジェクタロッドに連動可能に接続されるエジェクタ装置の接続方法において、
前記エジェクタロッドの後部側の回転力作用部に回転力を付与して、前記エジェクタロッドの先端側の回転係合部と前記突出用可動部とを係合することを特徴とするエジェクタ装置の接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−23371(P2010−23371A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−188732(P2008−188732)
【出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【出願人】(000155159)株式会社名機製作所 (255)
【Fターム(参考)】