説明

エステティック用の化粧料セット

【課題】 被験者に適した温感の化粧料でエステティック施術を提供する。
【解決手段】 被施術者の嗜好性により、温感マッサージ化粧料を用いたコースか、温感パック化粧料を用いたコースかのコース選択を行い、前者を選択した場合には、化粧料のセットを構成する少なくとも2種のジェル状化粧料が、グリセリンを30〜70質量%含有するものであり、且つ、それぞれの化粧料に於けるグリセリンの含有量が互いに異なっている化粧料セットの内、処理温度を指標に化粧料を選択し、後者を選択した場合には、化粧料のセットを構成する少なくとも2種のエアゾル形態の化粧料が、グリセリンを30〜70質量%含有するものであり、且つ、それぞれの化粧料に於けるグリセリンの含有量が互いに異なっている化粧料セットより、処理温度を指標に化粧料を選択し、選択した化粧料を用いてエステティック施術を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エステティック施術に用いるのに好適な化粧料のセットに関し、更に詳細には、個人個人の温感の程度の好みに対応してエステティックの施術が行える化粧料のセットに関する。
エステティックは、皮膚に適度な刺激を与えることにより、生体全体のシステムを整える施術の総称であり、該エステティックにおいては、与える刺激を適切にコントロールすることが重要な要素となっている。刺激のコントロールは、一つには施術の手技の熟度に依存し、もう一つには施術に用いる化粧料の特性に依存する。この様な背景の元に、エステティック施術で使用される化粧料は、通常の市販されている化粧料とは異なる性質を有するものが使用されることが少なくない。例えば、化粧料を皮膚に置いたときの冷感刺激を抑制するために、或いは、施術に於いて程良い温感を好ましい刺激とする為に、温感付与化粧料を用いたり、好ましい触感刺激を与えるために、特殊な化粧小道具やその小道具に特化した化粧料を用いる技術などが存する。前者の技術としては、ゼオライトの水和熱を利用したもの、ポリエチレングリコールやグリセリンの水和熱を利用したもの、酸化マグネシウムの反応熱を利用したものなどが存する。(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3を参照)後者の技術としては、液状の油性化粧料を刷毛で塗布する技術などが存する。(例えば、特許文献4を参照)この中で、温感付与は、提供する心地よさの度合いが非常に大きいため、特にエステティックには好適なものであると言われている。
【0002】
しかしながら、これらの温感化粧料に於いては、温度設定が難しく、同じ温度を提供するものであっても、人によっては熱すぎたり、又、ある人によっては低すぎたりして、本来の温感効果を適切に提供できない場合が少なくなかった。
【0003】
温感付与化粧料に於いて、温感の程度をコントロールする技術としては、酸化マグネシウムと酸の水溶液との反応熱を利用した化粧料に於いて、前記酸化マグネシウムをアラビアゴムなどの水溶性高分子で被覆し、混合直後の急激な温度上昇を抑え、発熱時間を持続させる技術が知られているのみである。(例えば、特許文献5を参照)エアゾル化粧料であって、複数の温感付与効果の異なる化粧料を揃え、被施術者にあった温感付与効果の化粧料を選択し、その化粧料でエステティック施術を行う技術は全く知られていない。
【0004】
【特許文献1】特開2004−131413号公報
【特許文献2】特開2003−113039号公報
【特許文献3】特開2002−241220号公報
【特許文献4】特開2001−104042号公報
【特許文献5】特開2004−300122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、被験者に適した温感の化粧料でエステティック施術を提供できる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この様な状況に鑑みて、本願発明者等は、被験者に適した温感の化粧料でエステティック施術を提供できる技術を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、エステティック施術のためのエアゾル形態のパック化粧料のセットであって、化粧料のセットを構成する少なくとも2種の化粧料が、グリセリンを30〜70質量%含有するものであり、且つ、それぞれの化粧料に於けるグリセリンの含有量が互いに異なっている化粧料のセットを用いることにより、更に好ましくは、これに加えて、エステティック施術のためのマッサージ施術に用いる化粧料のセットであって、化粧料のセットを構成する少なくとも2種の化粧料が、グリセリンを30〜70質量%含有するものであり、且つ、それぞれの化粧料に於けるグリセリンの含有量が互いに異なっている化粧料のセットを用いて、温感付与効果を有する化粧料を用いたエステティックの施術に於いて、請求項7又は8に記載の化粧料セットを用い、被施術者の嗜好性により、温感マッサージ化粧料を用いたコースか、温感パック化粧料を用いたコースかのコース選択を行い、温感マッサージ化粧料コースを選択した場合には、エステティック施術のためのマッサージ施術に用いる化粧料のセットであって、化粧料のセットを構成する少なくとも2種の化粧料が、グリセリンを30〜70質量%含有するものであり、且つ、それぞれの化粧料に於けるグリセリンの含有量が互いに異なっている化粧料セットの内、処理温度を指標に化粧料を選択し、温感パック化粧料を用いたコースを選択した場合には、エアゾル形態の化粧料のセットであって、化粧料のセットを構成する少なくとも2種の化粧料が、グリセリンを30〜70質量%含有するものであり、且つ、それぞれの化粧料に於けるグリセリンの含有量が互いに異なっている化粧料セットより、処理温度を指標に化粧料を選択し、選択した化粧料を用いてエステティック施術を行うことにより、この様な施術が可能であることを見出し、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下の通りである。
(1)エステティック施術のためのエアゾル形態の化粧料のセットであって、化粧料のセットを構成する少なくとも2種の化粧料が、グリセリンを30〜70質量%含有するものであり、且つ、それぞれの化粧料に於けるグリセリンの含有量が互いに異なっていることを特徴とする、化粧料のセット。
(2)パック施術に用いるものであることを特徴とする、(1)に記載の化粧料のセット。
(3)構成する化粧料の特性値が温感の程度として表現されることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の化粧料のセット。
(4)構成する化粧料の種類が5〜10種類であることを特徴とする、(1)〜(3)何れか1項に記載の化粧料のセット。
(5)前記化粧料のセットにおいて、構成するそれぞれの化粧料に於けるグリセリンの含有量と水の含有量の和が等しいことを特徴とする、(1)〜(4)何れか1項に記載の化粧料。
(6)温感付与効果において、温度の上昇が0.5〜3℃であることを特徴とする、(1)〜(5)何れか1項に記載の化粧料のセット。
(7)更に、エステティック施術のためのマッサージ施術に用いる化粧料のセットであって、化粧料のセットを構成する少なくとも2種の化粧料が、グリセリンを30〜70質量%含有するものであり、且つ、それぞれの化粧料に於けるグリセリンの含有量が互いに異なっていることを特徴とする、化粧料のセットと組み合わせることを特徴とする、(1)〜(6)何れか1項に記載の化粧料のセット。
(8)前記マッサージ施術に用いる化粧料がジェル形態であることを特徴とする、(7)に記載の化粧料のセット。
(9)温感付与効果を有する化粧料を用いたエステティックの施術に於いて、(7)又は(8)に記載の化粧料セットを用い、被施術者の嗜好性により、温感マッサージ化粧料を用いたコースか、温感パック化粧料を用いたコースかのコース選択を行い、温感マッサージ化粧料コースを選択した場合には、エステティック施術のためのマッサージ施術に用いる化粧料のセットであって、化粧料のセットを構成する少なくとも2種の化粧料が、グリセリンを30〜70質量%含有するものであり、且つ、それぞれの化粧料に於けるグリセリンの含有量が互いに異なっている化粧料セットの内、処理温度を指標に化粧料を選択し、温感パック化粧料を用いたコースを選択した場合には、エアゾル形態の化粧料のセットであって、化粧料のセットを構成する少なくとも2種の化粧料が、グリセリンを30〜70質量%含有するものであり、且つ、それぞれの化粧料に於けるグリセリンの含有量が互いに異なっている化粧料セットより、処理温度を指標に化粧料を選択し、選択した化粧料を用いてエステティック施術を行うことを特徴とする、エステティックの施術方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、被験者に適した温感の化粧料でエステティック施術を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の化粧料のセットは、エステティック施術のためのエアゾル形態の化粧料のセットであって、化粧料のセットを構成する少なくとも2種の化粧料が、グリセリンを30〜70質量%含有する、より好ましくは35〜65質量%ものであり、且つ、それぞれの化粧料に於けるグリセリンの含有量が互いに異なっていることを特徴とする。エアゾルの形態としては、吐出したときジェル状であり、擦過、延展することにより発泡するポストフォーム(後発泡)タイプの化粧料であることが好ましい。この様なポストフォーム形態にするためには、ガスを0.3〜2質量%、より好ましくは、0.5〜1.5質量%含有することが好ましい。前記ガスとしては液化天然ガスが好ましく例示できる。この様な形態の化粧料としては、パック化粧料が好ましく例示できる。即ち、吐出したジェル状の化粧料組成物を延展し顔全体に延ばすと、発泡して、泡沫層を形成し、泡沫パックとなる。この時、グリセリンが皮膚上の水分を水和し、水和熱を発する。前記グリセリンの水和熱により、本発明の化粧料のセットを構成する化粧料は、皮膚上に塗布したとき、発熱し、温感付与する。前記グリセリン量の違いは、温感付与度の違いとなることが好ましく、この為には、グリセリンの差分を水で補完するような形態が好ましい。即ち、前記化粧料のセットにおいて、構成するそれぞれの化粧料に於けるグリセリンの含有量と水の含有量の和が等しい様に設定しておくことが好ましい。かかるグリセリン量の差は、多いものから降順に並べた場合、公差2〜5質量%の等差数列になることが好ましい。
【0009】
本発明の化粧料のセットは、この様な要件を具備する5〜10種の化粧料、より好ましくは、6〜9種の化粧料で構成されることが好ましい。かかる化粧料は、ガス以外の部分は、ポリグリセリン脂肪酸エステルを界面活性剤として含有し、多価アルコールを45質量%以上含有し、且つ、水を5〜30質量%含有する半透明のジェル状化粧料とすることが好ましい。この様な形態にすることにより、延展して後、速やかに発泡する形態となる。
【0010】
前記のような形態の化粧料とするためには、ポリグリセリンの脂肪酸エステルとしては、平均的に、重合度8〜13のポリグリセリンに1〜5個のアシル基を有するものが好ましく、例えば、オクタグリセリンモノステアレート、デカグリセリンモノステアレート、デカグリセリンジステアレート、デカグリセリントリステアレート、デカグリセリンモノラウレート、デカグリセリンモノオレート、デカグリセリンモノイソステアレート、ドデカグリセリンジステアレート、ドデカグリセリンジオレートなどが好適に例示できる。かかるポリグリセリンの脂肪酸エステルは唯一種を含有することも出来るが、二種以上を組み合わせて含有することも出来る。二種以上を組み合わせて含有することが、系をより安定化できるので好ましい。かかるポリグリセリンの脂肪酸エステルは、総量で、化粧料全量に対して1〜10質量%であることが好ましく、2〜6質量%であることがより好ましい。
【0011】
本発明の化粧料のセットを構成する化粧料には、これらの成分以外に、通常化粧料で使用される任意の成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸,ローカストビーンガム,サクシノグルカン,カロニン酸,キチン,キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト等の増粘剤、表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類、表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩,ビタミンB6トリパルミテート,ビタミンB6ジオクタノエート,ビタミンB2又はその誘導体,ビタミンB12,ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール,β−トコフェロール,γ−トコフェロール,ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類などが好ましく例示できる。かかる化粧料は、これらの成分を常法に従って処理することにより製造することが出来る。
【0012】
本発明の化粧料キットは、前記化粧料を5〜10個組み合わせてなることを特徴とする。これらの化粧料のグリセリンの含有量は異なり、化粧料毎に異なった温感付与効果を有する。どの程度の温感付与効果を有するかは、実使用に準じた形で使用し、温度を実測することにより確認することが出来る。グリセリンを30〜70質量%とし、化粧料毎のグリセリン含有量を公差2〜5質量%の等差数列とした場合、使用時の温度上昇の程度は、0.2〜0.7℃の公差の等差数列となる。この様な使用時の温度を目安として化粧料毎に表示しておくことも、使用すべき化粧料の選択にあたって、適切な化粧料が選択できるので好ましい。これらの化粧料セットを構成する化粧料は、発泡用のガスを含有しない以外は、前記のエアゾル形態の化粧料のセットと同様の仕様で製造、組合せをして、化粧料のセットとすることが出来る。
【0013】
本発明の化粧料のセットを使用するにあたり、実際にどの化粧料を用いて施術を行うかを決定するのは、施術者の裁量によることも出来るし、被施術者の嗜好性によることも出来る。通常好ましい温感付与の程度は、被施術者の体調や、季節等によって異なるものであり、施術者の中にはこの様な変化に対する対応を経験的に備えている人もあり、その人は自分の裁量に基づいて判断、選択することが出来る。又、被施術者の中には頭に描いているエステティックのイメージと実際との乖離が、効果の著しい減少に繋がるものも存し、その様な人には充分な情報を与え、自己選択させることも好ましい。この時、前記の使用時の温感付与度の程度、言い換えれば、使用時にどの程度の温度上昇が望めるかの指標は非常に有力な情報となる。
【0014】
本発明のエステティック用の化粧料のセットには、これらに組み合わせて、ポストフォーム形態ではない、ジェル状の温感付与マッサージ・パック化粧料のセットであり、化粧料のセットを構成する少なくとも2種の化粧料が、グリセリンを30〜70質量%含有するものであり、且つ、それぞれの化粧料に於けるグリセリンの含有量が互いに異なっているのを組み合わせた、マッサージ・パック化粧料のセットを付加させて、好みのエステティック施術を選択できるように設計することも、より好ましい。
【0015】
この様な2種の化粧料のセットを構成要素とする、化粧料セットに使用方法としては、例えば、温感付与効果を有する化粧料を用いたエステティックの施術に於いて、化粧料の選択肢を前記エアゾル形態の化粧料セットと前記ジェル形状のマッサージ・パックのための化粧料のセットとし、被施術者の嗜好性により、温感マッサージ化粧料を用いたコースか、温感パック化粧料を用いたコースかのコース選択、言い換えれば、エアゾル形態の化粧料のセットから化粧料を選択するか、ジェル形状のマッサージ・パックのための化粧料のセットから化粧料を選択するかの選択を行い、温感マッサージ化粧料コースを選択した場合には、エステティック施術のためのマッサージ施術に用いる化粧料のセットであって、化粧料のセットを構成する少なくとも2種の化粧料が、グリセリンを30〜70質量%含有するものであり、且つ、それぞれの化粧料に於けるグリセリンの含有量が互いに異なっている化粧料セットの内、処理温度を指標に化粧料を選択し、温感パック化粧料を用いたコースを選択した場合には、エアゾル形態の化粧料のセットであって、化粧料のセットを構成する少なくとも2種の化粧料が、グリセリンを30〜70質量%含有するものであり、且つ、それぞれの化粧料に於けるグリセリンの含有量が互いに異なっている化粧料セットより、処理温度を指標に化粧料を選択し、選択した化粧料を用いてエステティック施術を行うことなどが好ましく例示できる。この様に2つのコースより化粧料を選択することは、エステティックの施術に於いて、マッサージを中心にした施術を嗜好するか、パックを中心においた施術にするかの2種の大きな嗜好グループが存し、この大きな嗜好性に合致した施術コースを提供することにより、全体のシステムとして、より大きな効果を生み出すことになる点で有利である。
【0016】
以下、本発明について、実施例を挙げて更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ、限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0017】
下記の表1に示す処方に従って、化粧料A〜Gを作成し、これらを組み合わせて本発明の化粧料セットした。この化粧料は吐出時は半透明のジェル状で、皮膚にのせ、顔一面に緩やかに延展すると発泡し、ムース状となり、粘度も上昇する。このムース化した時点をパックの開始ポイントとし、その状態で5分程度静置し、パックとする使用形態での使用を行う化粧料である。製法は次の通りである。80℃で大豆レチンをグリセリンに溶解させ、これに水を加えてイのリポソームを作成する。ロ、ハ、ニをそれぞれ80℃に加熱し、ロに攪拌下ハを徐々に加え非水乳化を行い、これにイのリポソーム、ニの成分を順次加え、攪拌冷却し、化粧料組成物を得る。この化粧料組成物をエアゾル缶に充填し、密閉し、1質量%の液化天然ガスを吹き込みポストフォーム形態の化粧料を得た。
【0018】
【表1】

【0019】
<試験例1>
本発明の化粧料のセットについて、施術者の立場での使用性を試験した。化粧料A〜Gには、化粧料の記号と、目安の温度上昇の程度を表示しておいた。即ち、1群5名、4群20名のエスティシャンをパネラーとし、第1群には化粧料Aのみを渡し、第2群には化粧料Dのみを渡し、第3群には化粧料Gのみを渡し、第4群には化粧料A〜Gまでの化粧料を渡した。それぞれのエスティシャンには、これらの化粧料が温感付与効果を有するパック化粧料であり、皮膚にのせ、顔に広げると泡沫状となり、粘度も上昇する。この泡沫化した時点をパックの開始ポイントとし、その状態で5分程度静置する使用形態で使用するものである旨と、目安の温度上昇の程度が表示されている旨とを説明し、2週間試用してもらい、その後に使いやすさを評価してもらった。被施術者は、試験実施者がリクルートし、1人のエスティシャンに対して5名を割り当てた。使いやすさは、評点5:非常に良い、評点4:良い、評点3:可もなく不可もなく、評点2:やや悪い、評点1:悪いの評点を付して評価してもらった。結果を出現例数として、表2に示す。これより、本発明の化粧料のセットの使用が、エスティシャンにとって非常に都合の良いものであることが明白である。
【0020】
【表2】

【0021】
<試験例2>
試験例1において、被施術者より、術前術後に唾液を採取し、唾液中のプラステロン硫酸の濃度をサンドウィッチ抗体法により測定し、施術による濃度の上昇率を算出した。表3に平均濃度上昇率を示す。これより、本発明の化粧料のセットは、被験者にとっても好ましいものであることが判る。
【0022】
【表3】

【実施例2】
【0023】
実施例1の化粧料A、化粧料D及び化粧料Gを組み合わせて、本発明の化粧料のセットした。これを5名のエスティシャンで試験例1、2と同様に評価した。結果は、エスティシャンの評価は、評点3が4名で、評点4が1名であった。被施術者のプラステロン硫酸の平均上昇率は10.1±3.3%であった。実施例1ほどではないが、同様の効果が認められた。
【実施例3】
【0024】
実施例1の化粧料のセットをAセットとし、下記に示すジェル状のマッサージ・パック化粧料のセットをBセットとし、この2つのセットを組み合わせて、化粧料のセットとした。これを用いて、5名のエステティシャンを用いて、1人のエステティシャンあたり10名のパネラーを施術してもらい、施術前後の被施術者のプラステロン硫酸の平均上昇率を計測した。化粧料の選択は次の手順に則って行った。
(手順)
1.被施術者に、パックを中心とした施術を選択する施術を希望するか、マッサージを中心とした施術を希望するかを問う。
2−1)パックを中心とする施術を希望した場合には、セットAを選択し、希望する温度の上がり具合を問う。この時、具体的に温度の上がり具合を、温度を調整した温水などに触れさせて、大凡の感じを提示するとより好ましい。この温度の上昇の程度より、化粧料を選択する。
2−2)マッサージを中心とする施術を希望した場合には、セットBを選択し希望する温度の上がり具合を問う。この時、具体的に温度の上がり具合を、温度を調整した温水などに触れさせて、大凡の感じを提示するとより好ましい。この温度の上昇の程度より、化粧料を選択する。
【0025】
セットBは表4の処方に従って製造した。80℃で大豆レチンをグリセリンに溶解させ、これに水を加えてイのリポソームを作成する。ロ、ハ、ニをそれぞれ80℃に加熱し、ロに攪拌下ハを徐々に加え非水乳化を行い、これにイのリポソーム、ニの成分を順次加え、攪拌冷却し、化粧料を得る。かくして得られた化粧料は、半透明のジェル状で、皮膚にのせ、マッサージ施術を行うと白濁し、クリームとなり、粘度も上昇する。このクリーム化した時点をマッサージのエンドポイントとし、その状態で5分程度静置し、パックとする使用形態での使用を行う化粧料である。
【0026】
【表4】

【0027】
結果は、唾液中のプラステロン硫酸の平均上昇率は16.7%(標準偏差3.6%)であり、AセットとBセットの両方を組み合わせて用いることの方が好ましいことが判った。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の化粧料のセットは、エステティック用の化粧料のセットに応用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エステティック施術のためのエアゾル形態の化粧料のセットであって、化粧料のセットを構成する少なくとも2種の化粧料が、グリセリンを30〜70質量%含有するものであり、且つ、それぞれの化粧料に於けるグリセリンの含有量が互いに異なっていることを特徴とする、化粧料のセット。
【請求項2】
パック施術に用いるものであることを特徴とする、請求項1に記載の化粧料のセット。
【請求項3】
構成する化粧料の特性値が温感の程度として表現されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の化粧料のセット。
【請求項4】
構成する化粧料の種類が5〜10種類であることを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の化粧料のセット。
【請求項5】
前記化粧料のセットにおいて、構成するそれぞれの化粧料に於けるグリセリンの含有量と水の含有量の和が等しいことを特徴とする、請求項1〜4何れか1項に記載の化粧料。
【請求項6】
温感付与効果において、温度の上昇が0.5〜3℃であることを特徴とする、請求項1〜5何れか1項に記載の化粧料のセット。
【請求項7】
更に、エステティック施術のためのマッサージ施術に用いる化粧料のセットであって、化粧料のセットを構成する少なくとも2種の化粧料が、グリセリンを30〜70質量%含有するものであり、且つ、それぞれの化粧料に於けるグリセリンの含有量が互いに異なっていることを特徴とする、化粧料のセットと組み合わせることを特徴とする、請求項1〜6何れか1項に記載の化粧料のセット。
【請求項8】
前記マッサージ施術に用いる化粧料がジェル形態であることを特徴とする、請求項7に記載の化粧料のセット。
【請求項9】
温感付与効果を有する化粧料を用いたエステティックの施術に於いて、請求項7又は8に記載の化粧料セットを用い、被施術者の嗜好性により、温感マッサージ化粧料を用いたコースか、温感パック化粧料を用いたコースかのコース選択を行い、温感マッサージ化粧料コースを選択した場合には、エステティック施術のためのマッサージ施術に用いる化粧料のセットであって、化粧料のセットを構成する少なくとも2種の化粧料が、グリセリンを30〜70質量%含有するものであり、且つ、それぞれの化粧料に於けるグリセリンの含有量が互いに異なっている化粧料セットの内、処理温度を指標に化粧料を選択し、温感パック化粧料を用いたコースを選択した場合には、エアゾル形態の化粧料のセットであって、化粧料のセットを構成する少なくとも2種の化粧料が、グリセリンを30〜70質量%含有するものであり、且つ、それぞれの化粧料に於けるグリセリンの含有量が互いに異なっている化粧料セットより、処理温度を指標に化粧料を選択し、選択した化粧料を用いてエステティック施術を行うことを特徴とする、エステティックの施術方法。

【公開番号】特開2006−151873(P2006−151873A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−345065(P2004−345065)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】