説明

エステルおよび香料におけるそれらの使用

本発明は、式(I)
【化1】


で表される不飽和脂環式カルボニル化合物であって、式中、RはC〜Cアルキルであり;またはRはビニルまたは直鎖、分枝もしくは環状C〜Cアルケニルであり;Xは、カルボニルまたは二価の基−(CMe)−であり;Yは、酸素または二価の基−(CH)−である、前記化合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、麝香(ジャコウ、ムスク(musk))の特徴を有する新しい臭気化合物、その製造、および香り組成物としてのその使用に関する。
麝香の特徴を有する従来の化合物は、ニトロアレーン、多環式芳香族化合物および大環状化合物から選択されている。しかし近年、例えば環境への関心のためにその使用がより限定されつつあるこれら従来の麝香に置き換えられる、麝香の特徴を有する新規な化合物を見出すための多くの活動がなされている。
【0002】
近年、研究活動により、麝香の特徴を有する新しい種類の化合物の開発が行われている。EP 472966には例えば、麝香の、アンブレット様(ambrette-like)の特徴を有すると記載された製品Helvetolide(1)によって例示される化合物のファミリーが記載されている。Helvetolide(1)およびその関連化合物の嗅覚特性を、脂肪側鎖のジェムジアルキル基をカルボニル基によって置き換えることによって改善する試みがなされており、この化合物はWO 00/14051に開示され、従来の技術の化合物より強い麝香のにおいを有すると記載されている化合物(2)によって例示される。
【化1】

【0003】
驚くべきことには、我々は、麝香の特徴を有し、香料調合物に大きなインパクトを有するある種の不飽和脂環式カルボニル化合物を見出した。
従って、本発明は、第1の側面により、式(I):
【化2】

【0004】
式中、
Rは、C〜Cアルキルであり、例えばメチル、エチル、i−プロピル、n−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、シクロブチルであり;または
Rは、ビニルまたは直鎖、分枝もしくは環状C〜Cアルケニルであり、例えばプロペン−1−イル、プロペン−2−イル、またはプロプ−2−エン−1−イル、ブテニル、例えばブト−1−エン−1−イル、シクロブト−1−エン−1−イル、またはブタジエニル、例えばブタ−2,4−ジエン−1−イルであり;
Xは、カルボニルまたは二価の基−(CMe)−であり;
Yは、酸素または二価の基−(CH)−であり;
C−aとC−bの間の結合は単結合であり、およびC−bとC−cの間の結合は点線と共に二重結合を示し;または、
C−aとC−bの間の結合は点線と共に二重結合を示し、およびC−bとC−cの間の結合は単結合である;
で表される化合物に関する。
【0005】
本発明による化合物は1つまたは2つ以上のキラル中心を含有し、従って、立体異性体の混合物として存在することもでき、または異性体的に純粋な形態に分解することもできる。立体異性体の分解は、これらの化合物の製造および精製に複雑さを加えるため、従って単純に経済的な理由から、化合物を立体異性体の混合物として用いるのが好ましい。しかし、個別の立体異性体を製造することが望ましい場合には、当分野で知られている方法によって実施することができ、例えば、HPLCおよびGC、または立体選択的合成などによって実施できる。
【0006】
式(1)の好ましい化合物は、プロパノン酸2’−[1”−(3”’,3”’−ジメチルシクロヘキス−1”’−エニル)エトキシ]−2’−メチルプロピルエステル、シクロプロパンカルボン酸2’−[1”−(3”’,3”’−ジメチルシクロヘキス−1”’−エニル)エトキシ]−2’−メチルプロピルエステル、プロピオン酸2’−[1”−(5”’,5”’−ジメチルシクロヘキス−1”’−エニル)エトキシ]−2’−メチルプロピルエステル、シクロプロパンカルボン酸2’−[1”−(5”’,5”’−ジメチルシクロヘキス−1”’−エニル)エトキシ]−2’−メチルプロピルエステル、プロピオン酸1”−(5”’,5”’−ジメチルシクロヘキス−1”’−エニル)エトキシカルボニルメチルエステル、およびシクロプロパンカルボン酸1”−(5”’,5”’−ジメチルシクロヘキス−1”’−エニル)エトキシカルボニルメチルエステルである。
【0007】
特に好ましいのは、式(I)で表される化合物であって、式中、C−bとC−cの間の結合は点線と共に二重結合を示し、C−aとC−bの間の結合は単結合であるものであり、例えば、プロパノン酸2’−[1”−(3”’,3”’−ジメチルシクロヘキス−1”’−エニル)エトキシ]−2’−メチルプロピルエステルおよびシクロプロパンカルボン酸2’−[1”−(3”’,3”’−ジメチルシクロヘキス−1”’−エニル)エトキシ]−2’−メチルプロピルエステルである。
【0008】
C−bとC−cの間に二重結合を有する式(I)で表される化合物はより強力であり、より明確な麝香の特徴を有し、一方、C−aとC−bの間に二重結合を有する化合物は、主要な麝香の特徴に加えて、よりはっきりとフルーティでグリーン系の側面を有する。
【0009】
本発明による化合物は、それのみで、または、現在利用可能な広い範囲の天然および合成分子から選択された既知の臭気分子と組み合わせて、例えば、精油、アルコール、アルデヒドおよびケトン、エーテルおよびアセタール、エステルおよびラクトン、大環状化合物および複素環化合物と組み合わせて、および/または、香り組成物中の臭気剤と共に従来用いられている1種または2種以上の成分または添加剤、例えば担体材料、および当分野で一般に用いられる他の補助剤などと混合して、用いることができる。
【0010】
以下のリストは既知の臭気分子の例であり、本発明の化合物と組み合わせて用いることができるものである:
−エーテル性の油および抽出物、例えば、ビーバー香(castoreum)、モッコウ油(costus root oil)、無水オークモス、ゼラニウム油、無水ジャスミン、パチョリ油、バラ油、ビャクダン油またはイランイラン油;
−アルコール、例えば、シトロネロール、Ebanol(登録商標)、オイゲノール、ゲラニオール、Super Muguet(登録商標)、リナロール、フェニルエチルアルコール、Sandalore(登録商標)、テルピネオールまたはTimberol(登録商標)。
−アルデヒドおよびケトン、例えば、α−アミルシンナムアルデヒド、Georgywood(登録商標)、ヒドロキシシトロネラール、Iso E Super(登録商標)、Isoraldeine(登録商標)、Hedione(登録商標)、マルトール、メチルセドリルケトン、メチルイオノンまたはバニリン;
【0011】
−エーテルおよびアセタール、例えば、Ambrox(登録商標)、ゲラニルメチルエーテル、ローズオキサイドまたはSpirambrene(登録商標)。
−エステルおよびラクトン、例えば、酢酸ベンジル、酢酸セドリル、γ−デカラクトン、Helvetolide(1)(登録商標)、γ−ウンデカラクトンまたは酢酸ベチベリル。
−大環状化合物、例えば、アンブレトリド、エチレンブラシレートまたはExaltolide(登録商標)。
−複素環化合物、例えばイソブチルキノリン。
【0012】
しかし、式(I)で表される化合物はそれらの特有の性質のため、新鮮な麝香の調和の、ウッド系スパイシーな、またはフローラル系ヘスペリディック(シトラス系)な組成物において用いるのに非常に適しており、これは例においてより特定的に示されている。
【0013】
本発明の化合物は、広い範囲の香り成分の用途において用いることができ、例えば、精製された機能的な香料製造業の任意の分野において、例えば香水、家庭用品、洗濯用品、ボディケア用品および化粧品などに用いることができる。化合物は、特定の用途および性質、および他の臭気成分の品質に応じて広い範囲の量で用いることができ、例えば、約0.001〜約20重量%である。1つの態様においては、本発明の化合物は、柔軟仕上げ剤において、約0.001〜0.05重量%の量で用いることができる。他の態様において、本発明の化合物は、アルコール溶液中で約0.1〜20重量%、より好ましくは約0.1〜5重量%の量で用いることができる。しかし、これらの値は本発明を限定するものではなく、なぜならば、経験ある香料製造者は、より低いもしくは高い濃度においても効果を達成でき、または新規な調和を創造することができるからである。
【0014】
本発明の化合物は、香り物の用途に、香り組成物を直接混合することによって用いることができる。または化合物は、初期の段階において取込み材料(entrapment material)に取り込むこともでき、取込み材料は例えばポリマー、カプセル、マイクロカプセルおよびナノカプセル、リポソーム、膜形成物、吸収剤であって例えば炭素またはゼオライト、環状オリゴ糖およびそれらの混合物を用いたものであり、または化合物は化学的に基質に結合され、基質は香り分子を外的な刺激の適用により放出するよう適合することもでき、外的な刺激とは例えば光、酵素その他であり、そして用途において混合される。
【0015】
式(I)の化合物は、対応するアリルアルコールから出発して製造することができ、該アリルアルコールは、Artemone(1−(3’,3’−ジメチルシクロヘキス−1’−エニル)エタノン;Givaudan SA(スイス)の登録商標)の還元によるか、または1−エチニル−3,3−ジメチルシクロヘキサノールのRupe転位により利用可能である。
対応するアリルアルコールの酸化イソブチレンによるエーテル化、およびそれに続く対応するカルボン酸によるエステル化により、式(I)で表される化合物であって、式中、Xは二価の基−(CMe)−であり、Yは酸素であるもの、すなわち、オキサエステルが合成できる。
【0016】
式(I)で表される化合物であって、式中、Xはカルボニルであり、Yは酸素であるもの、すなわちジエステルは、対応するアリルアルコールをクロロ酢酸によりエステル化し、続いて対応するカルボン酸によってさらにエステル化することにより、合成することができる。
式(I)で表される化合物であって、式中、Xはカルボニルであり、Yは二価の基−(CH)−であるもの、すなわちオキソエステルは、対応するアリルアルコールを対応するオキソカルボン酸、例えばレブリン酸(laevulinic acid)によってエステル化することにより、合成することができる。
【0017】
式(I)で表される化合物であって、式中Xは二価の基−(CMe)−であり、Yは二価の基−(CH)−であるもの、すなわちオキサケトンは、対応するアリルアルコールを酸化イソブチレンによりエーテル化し、続いてアルデヒドに酸化し、次に当分野によく知られたウィッティヒ・ホーナー・エモンス反応および形成された二重結合の選択的水素添加によって、製造することができる。
反応条件についてのさらなる詳細は例に示される。
以下に、本発明を説明する一連の例が続く。
【0018】
例1:プロパン酸2’−[1”−(3”’,3”’−ジメチルシクロヘキス−1”’−エニル)エトキシ]−2’−メチルプロピルエステル
EtO(500ml)中のArtemone[1−(3’,3’−ジメチルシクロヘキス−1’−エニル)エタノン;Givaudan の商品、152g、1.00mol]の溶液を、攪拌しながら1滴ずつ、室温で3時間内に、EtO(1l)中の水素化アルミニウムリチウム(LAH、10.4g、275mmol)の懸濁液に加えた。反応混合物は150分間加熱還流し、その後水(50ml)を注意して1滴ずつ添加して0℃まで冷却した。次に2NのHCl水溶液(200ml)を加え、混合物を水(200ml)に注ぎ入れた。生成物をEtO(2x500ml)により抽出し、混合抽出物を水(200ml)およびブライン(100ml)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、蒸発により乾燥させた。得られた残留物(154g)は、シリカゲルFC(ペンタン/EtO、4:1)で精製し、133g(87%)の1−(3’,3’−ジメチルシクロヘキス−1’−エニル)エタノールを得た。
【0019】
1時間の間、ヘキサン中MeAlCl(150ml、150mmol)の1M溶液を1滴ずつ0℃で攪拌しながら、シクロヘキサン(300ml)中の1−(3’,3’−ジメチルシクロヘキス−1’−エニル)エタノール(46.3g、300mmol)と酸化イソブチレン(26.0g、360mmol)の溶液に加えた。冷却槽を取り除き、室温で20時間攪拌を続けた後、反応混合物を氷/水(1:1、200ml)中に注ぎ入れた。濃縮HPO水溶液をスラリーが溶解するまで加え、生成物をEtO(2x200ml)により抽出した。混合抽出物を水(200ml)およびブライン(25ml)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、回転エバポレータ内で濃縮した。得られた残留物(60.5g)は、シリカゲルFC(ペンタン/EtO、9:1、R=0.14)で精製し、55℃/1.5mbarで蒸留して、12.7g(19%)の2−[1’−(3”,3”−ジメチルシクロヘキス−1”−エニル)エトキシ]−2−メチルプロパン−1−オールを得た。
【0020】
0℃のN雰囲気下で、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、2.27g、11.0mmol)を、CHCl(15ml)中の2−[1’−(3”,3”−ジメチルシクロヘキス−1”−エニル)エトキシ]−2−メチルプロパン−1−オール(2.26g、10.0mmol)、プロピオン酸(740mg、10.0mmol)および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP、120mg、1.00mmol)の攪拌溶液に加えた。冷却槽を取り除き、反応混合物を室温で2時間攪拌した後、析出物を真空ろ過した。析出物をCHCl(2x)で洗浄し、混合ろ液を減圧下で濃縮した。粗製材料(3.25g)をシリカゲルFC(ペンタン/EtO、19:1、R=0.46)で精製し、表題の臭気化合物2.52g(89%)を得た。
【0021】
【表1】

においの種類:麝香、強烈、粉末状、かすかに動物系。
【0022】
例2:シクロプロパンカルボン酸2’−[1”−(3”’,3”’−ジメチルシクロヘキス−1”’−エニル)エトキシ]−2’−メチルプロピルエステル
例1と同じ方法に従い、2−[1’−(3”,3”−ジメチルシクロヘキス−1”−エニル)エトキシ]−2−メチルプロパン−1−オール(2.26g、10.0mmol)をシクロプロパンカルボン酸(860mg、10.0mmol)を用いてシュテークリヒエステル化し、シリカゲルFC(ペンタン/EtO、19:1、R=0.33)により精製して、シクロプロパンカルボン酸2’−[1”−(3”’,3”’−ジメチルシクロヘキス−1”’−エニル)エトキシ]−2’−メチルプロピルエステル2.68g(91%)を得た。
【0023】
【表2】

においの種類:麝香、心地よい、粉末状、強烈。
【0024】
例3:プロピオン酸2’−[1”−(5”’,5”’−ジメチルシクロヘキス−1”’−エニル)エトキシ]−2’−メチルプロピルエステル
五酸化リン(33.1g、233mmol)を、MePh(800ml)中の1−エチニル−3,3−ジメチルシクロヘキサノール(152g、1.00mol)の溶液に加えた。スラリーを還流まで加熱し、この温度で90分間攪拌した。反応混合物を室温になるまで置き、氷/水(1:1、500ml)中に注ぎ入れた。生成物は、EtO(2x500ml)により抽出し、混合有機抽出物を水(500ml)およびブライン(100ml)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、減圧下で濃縮した。シリカゲルFC(ペンタン/EtO、9:1、R=0.70)により、1−(5’,5’−ジメチルシクロヘキス−1’−エニル)エタノン13.8g(9%)を得た。
【0025】
EtO(50ml)中の1−(5’,5’−ジメチルシクロヘキス−1’−エニル)エタノン(13.1g、85.8mmol)溶液を、1滴ずつ攪拌しながら50分間かけて、EtO(150ml)中のLAH(895mg、23.6mmol)懸濁液に加えた。反応混合物を1時間還流させた後、水(50ml)および5NのHCl水溶液(50ml)をゆっくり加えることによって0℃に冷却した。有機層を分離し、水の層をEtOで抽出した。混合エーテル溶液を水およびブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、回転エバポレータ内で濃縮した。得られた残留物(14.7g)のシリカゲルFC(ペンタン/EtO、9:1、R=0.14)により、1−(5’,5’−ジメチルシクロヘキス−1’−エニル)エタノール11.2g(85%)を得た。
【0026】
0℃のN雰囲気下で、ヘキサン中のMeAlCl(33.6ml、33.6mmol)の1M溶液を、1時間かけて、シクロヘキサン(67ml)中の1−(5’,5’−ジメチル−シクロヘキス−1’−エニル)エタノール(10.4g、67.2mmol)および酸化イソブチレン(5.82g、80.7mmol)の攪拌溶液へ1滴ずつ加えた。冷却槽を取り除き、反応混合物を室温で23時間攪拌し、氷/水(1:1、200ml)中へ注ぎ入れた。スラリーに濃縮HPO水溶液を加えて溶液とし、生成物をEtO(2x500ml)により抽出した。混合有機抽出物を水(50ml)およびブライン(25ml)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、回転エバポレータ内で濃縮した。粗製材料(12.4g)をシリカゲルFC(ペンタン/EtO、9:1、R=0.17)により精製して、2−[1’−(5”’,5”’−ジメチルシクロヘキス−1”−エニル)エトキシ]−2−メチルプロパン−1−オール3.31g(22%)を得た。
【0027】
例1と同じ方法に従い、2−[1’−(5”,5”−ジメチルシクロヘキス−1”−エニル)エトキシ]−2−メチルプロパン−1−オール(1.29g、5.70mmol)をプロピオン酸(420mg、5.70mmol)によりシュテークリヒエステル化し、シリカゲルFC(ペンタン/EtO、9:1、R=0.56)により精製して、プロピオン酸2’−[1”−(5”’,5”’−ジメチルシクロヘキス−1”’−エニル)エトキシ]−2’−メチルプロピルエステル420mg(26%)を得た。
【0028】
【表3】

においの種類:麝香、粉末状、フルーティ。
【0029】
例4:シクロプロパンカルボン酸2’−[1”−(5”’,5”’−ジメチルシクロヘキス−1”’−エニル)エトキシ]−2’−メチルプロピルエステル
例1と同じ方法に従い、2−[1’−(5”,5”−ジメチルシクロヘキス−1”−エニル)エトキシ]−2−メチルプロパン−1−オール(1.29g、5.70mmol)をシクロプロパンカルボン酸(490mg、5.70mmol)によりシュテークリヒエステル化し、シリカゲルFC(ペンタン/EtO、9:1、R=0.58)により精製して、シクロプロパンカルボン酸2’−[1”−(5”’,5”’−ジメチルシクロヘキス−1”’−エニル)エトキシ]−2’−メチルプロピルエステル590mg(35%)を得た。
【0030】
【表4】

においの種類:麝香、フレッシュ、フローラル系、かすかな金属臭。
【0031】
例5:プロピオン酸1”−(5”’,5”’−ジメチルシクロヘキス−1”’−エニル)エトキシカルボニルメチルエステル
0℃のN雰囲気下で、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、2.58g、12.5mmol)を、CHCl(15ml)中の1−(5,5−ジメチルシクロヘキス−1−エニル)エタノール、クロロ酢酸(1.07g、11.3mmol)および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP、140mg、1.13mmol)の溶液に加えた。冷却槽を取り除き、反応混合物を室温で1時間攪拌した後、析出物を真空ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮し、得られた残留物をシリカゲルFC(ペンタン/EtO、19:1、R=0.65)により精製して、クロロ酢酸1’−(5”,5”−ジメチルシクロヘキス−1”−エニル)エチルエステル2.17g(83%)を得た。
【0032】
EtCO/ジオキサン(4:1、10ml)中のクロロ酢酸1’−(5”,5”−ジメチルシクロヘキス−1”−エニル)エチルエステル(1.00g、4.33mmol)、プロピオン酸(320mg、4.33mmol)、KCO(1.20g、8.67mmol)およびNaBr(450mg、4.33mmol)の混合物を1日還流した後、水(50ml)に注ぎ入れた。生成物をEtO(2x50ml)により抽出し、混合抽出物を水(50ml)およびブライン(25ml)で洗浄した。NaSOで乾燥し、減圧下で溶媒を蒸発した後、シリカゲルFC(ペンタン/EtO、9:1、R=0.41)により、プロピオン酸1”−(5”’,5”’−ジメチルシクロヘキス−1”’−エニル)エトキシカルボニルメチルエステル370mg(32%)を得た。
【0033】
【表5】

においの種類:麝香、グリーン系。
【0034】
例6:シクロプロパンカルボン酸1”−(5”’,5”’−ジメチルシクロヘキス−1”’−エニル)エトキシカルボニルメチルエステル
EtCO/ジオキサン(4:1、10ml)中のクロロ酢酸1’−(5”,5”−ジメチルシクロヘキス−1”−エニル)エチルエステル(1.00g、4.33mmol)、シクロプロパンカルボン酸(370mg、4.33mmol)、KCO(1.20g、8.67mmol)およびNaBr(450mg、4.33mmol)の混合物を1日還流した後、水(50ml)に注ぎ入れた。生成物をEtO(2x50ml)により抽出し、混合抽出物を水(50ml)およびブライン(25ml)で洗浄した。NaSOで乾燥し、減圧下で溶媒を蒸発した後、シリカゲルFC(ペンタン/EtO、9:1、R=0.30)により、シクロプロパンカルボン酸1”−(5”’,5”’−ジメチルシクロヘキス−1”’−エニル)エトキシカルボニルメチルエステル870mg(72%)を得た。
【0035】
【表6】

においの種類:麝香、グリーン系、フローラル系。
【0036】
例7:シャワージェル用のフローラル系・麝香の粉末状香料調合物
【表7】

【0037】
プロパノン酸2’−[1”−(3”’,3”’−ジメチルシクロヘキス−1”’−エニル)エトキシ]−2’−メチルプロピルエステルは、多環式および大環状麝香臭気剤と一緒になって非常に強烈で心地よい麝香の調和を形成し、それにフレッシュさ、フルーツ系および粉末状の側面を付加する。この調和は香りに滑らかさと豊かさをもたらし、香料製品にやさしく心地よい感覚を付加する。エレミ油およびレモン油と組み合わせることにより、香料のフレッシュでクリーンな側面も強調し、シャワージェルへの用途に理想的である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

式中、
Rは、C〜Cアルキルであり;または
Rは、ビニルまたは直鎖、分枝もしくは環状C〜Cアルケニルであり;
Xは、カルボニルまたは二価の基−(CMe)−であり;
Yは、酸素または二価の基−(CH)−であり;
C−bとC−cの間の結合は単結合であり、C−aとC−bの間の結合は点線と共に二重結合を示し;または
C−bとC−cの間の結合は点線と共に二重結合を示し、C−aとC−bの間の結合は単結合である;
で表される化合物。
【請求項2】
C−bとC−cの間の結合は点線と共に二重結合を示し、C−aとC−bの間の結合は単結合である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
C−bとC−cの間の結合は単結合であり、C−aとC−bの間の結合は点線と共に二重結合を示す、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
プロパン酸2’−[1”−(3”’,3”’−ジメチルシクロヘキス−1”’−エニル)エトキシ]−2’−メチルプロピルエステル、シクロプロパンカルボン酸2’−[1”−(3”’,3”’−ジメチルシクロヘキス−1”’−エニル)エトキシ]−2’−メチルプロピルエステル、プロピオン酸2’−[1”−(5”’,5”’−ジメチルシクロヘキス−1”’−エニル)エトキシ]−2’−メチルプロピルエステル、シクロプロパンカルボン酸2’−[1”−(5”’,5”’−ジメチルシクロヘキス−1”’−エニル)エトキシ]−2’−メチルプロピルエステル、プロピオン酸1”−(5”’,5”’−ジメチルシクロヘキス−1”’−エニル)エトキシカルボニルメチルエステル、およびシクロプロパンカルボン酸1”−(5”’,5”’−ジメチルシクロヘキス−1”’−エニル)エトキシカルボニルメチルエステルからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の化合物の、香り成分としての使用。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の化合物の、香り組成物における使用。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに定義された化合物、またはそれらの混合物を含む、香り成分の適用物。
【請求項8】
香り成分の適用物が、香水、家庭用品、洗濯用品、ボディケア用品または化粧品である、請求項7に記載の香り成分の適用物。

【公表番号】特表2006−508153(P2006−508153A)
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−555943(P2004−555943)
【出願日】平成15年11月24日(2003.11.24)
【国際出願番号】PCT/CH2003/000772
【国際公開番号】WO2004/050602
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(501105842)ジボダン エス エー (158)
【Fターム(参考)】