説明

エチルセルロースを含む生物活性組成物

エチルセルロース、ポリエチレンオキシドおよび生物活性成分を含む生物活性組成物であって、エチルセルロースの量が組成物の全質量を基準として少なくとも約15%であるものは、薬の剤形を製造するための溶融押出法に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチルセルロースを含む溶融押出可能な生物活性組成物の分野に関する。その組成物は、生物活性成分の制御送達を提供するのに有用である。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンオキシド、ポリ(メタクリル酸エステル)誘導体、ポリ(エチレン・酢酸ビニル)、ポリ(酢酸ビニル・メタクリル酸)、エポキシ樹脂およびカプロラクトンのような水溶性重合体を基剤とした徐放性医薬配合物を製造する方法としてホットメルト押出が知られている。国際公開第97/49384号パンフレットは、治療化合物および高分子量ポリ(エチレンオキシド)のホットメルト押出可能な混合物を含む医薬配合物を開示している。国際公開第02/35991号パンフレットは、ホットメルト押出/球形化プロセスによって製造された活性薬剤含有球状粒子を開示している。ろう、タンパク質、セルロース系重合体、ポリオール、アクリル重合体、脂肪、グリセリン、脂質、脂肪酸、脂肪族アルコール、カルボマー、ポリビニル重合体およびそれらの組み合わせのような、多種多様な熱成形できる重合体物質が、その粒子の製造用に挙げられている。米国再発行特許発明第33,093号明細書は、ヒドロキシプロピルセルロース20〜92質量%、エチレンオキシド単独重合体5〜60質量%、エチルセルロース、プロピルセルロース、ポリエチレンおよびポリプロピレンのような水不溶性重合体0〜10質量%および可塑剤2〜10%を含む、生体接着性押出単層または多層薄膜を開示している。
【0003】
【特許文献1】国際公開第97/49384号パンフレット
【特許文献2】国際公開第02/35991号パンフレット
【特許文献3】米国再発行特許発明第33093号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生物活性成分の放出速度を変えるおよび/または制御することができる、特に生物活性成分の放出速度が生物活性成分を投与する特定のニーズに応じてまたは特定の生物活性成分に応じて調節することができる、新しい徐放性組成物を提供することができれば望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの態様は、エチルセルロース、ポリエチレンオキシドおよび生物活性成分を含む生物活性組成物であって、エチルセルロースの量が組成物の全質量を基準として少なくとも約15%である、組成物である。
【0006】
本発明の別の態様は、溶融押出された単層または多層のフィルムであって、その層の少なくとも1つが前記生物活性組成物から製造されたものであることを特徴とする。
【0007】
本発明のさらに別の態様は、前記生物活性組成物から製造された押出物である。
【0008】
本発明のさらに別の態様は、溶融押出された単層または多層のフィルムを製造する方法であって、i)前記生物活性組成物を用意する工程、およびii)その組成物をフィルムに溶融押出する工程を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明のさらに別の態様は、i)前記生物活性組成物を用意する工程、およびii)その組成物を溶融押出する工程を含む押出物を製造する方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
ここで使用するときは、用語「生物活性組成物」とは、医薬組成物を包含するが、ビタミン、薬草およびミネラルサプリメントのような、他の生物学的に活性な成分を含む組成物をも包含する。
【0011】
エチルセルロース、ポリエチレンオキシドおよび生物活性成分を含む生物活性組成物であって、エチルセルロースの量が組成物の全質量を基準として少なくとも約15%である組成物が、溶融押出することができる、特にホットメルト押出することができることが見いだされた。また、特注の生物活性成分の放出プロフィールを提供することができることも見いだされた。ここに教示されるようにエチルセルロースの量および/またはエチルセルロースの分子量、ポリエチレンオキシドの量および/またはポリエチレンオキシドの分子量を選択することによって、生物活性成分の放出プロフィールを特定のニーズに応じて制御しおよび/または調節することができる。たとえば、エチルセルロースの量および/またはエチルセルロースの分子量、ポリエチレンオキシドの量および/またはポリエチレンオキシドの分子量は、生物活性成分の異なる量および種類ならびに生物活性組成物の投与の異なる種類および間隔に適合させることができる。それは、生物活性組成物中のエチルセルロースの割合および/またはエチルセルロースの分子量を増加させることによって生物学活性成分の放出速度を減少させることができること、および組成物中のポリエチレンオキシドの割合およびポリエチレンオキシドの分子量を調節することによって生物活性成分の放出速度をさらに調節することができることが見いだされた。本発明は生物活性成分の種類および量を変えずに、多種多様な放出プロフィールを可能にする。多種多様な放出プロフィールの提供が非常に望ましいことは、当業者によって容易に理解される。特に、それは、特定の生物活性成分に応じて、またはその投与の特定のニーズに応じて、生物活性成分の制御された放出速度の調節を可能にする。なおまた、さらに下に開示する範囲の下限の平均分子量を有するポリエチレンオキシドの含有は、ホットメルト押出工程中の、加工温度、押出機トルクおよび圧力をより低くすることができる。また、本発明によって生物活性成分の形態学は一般に影響を受け得ることが見いだされた。エチルセルロースの百分率が高いときは水溶性の生物活性成分は一般に本発明の組成物中で結晶の形で存在するであろう。しかし、ポリエチレンオキシドの百分率が高いときは、水溶性の生物活性成分は本発明の組成物中で非晶質の形で存在することができる。
【0012】
本発明の生物活性組成物中のエチルセルロースの量は、組成物の全質量を基準として、少なくとも約15%、好ましくは少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約25%、最も好ましくは少なくとも約30%である。本発明の生物活性組成物中のエチルセルロースの量は、組成物の全質量を基準として、一般に約95%以下、好ましくは約85%以下、より好ましくは約80%以下、最も好ましくは約70%以下である。
【0013】
エチルセルロースは、好ましくは40〜55%、より好ましくは43〜53%、最も好ましくは44〜51%のエトキシル置換を有する。エトキシル置換パーセントは、置換された生成物の質量を基準とし、ASTM D4794−94(2003)に記載されたゼイセル(Zeisel)ガスクロマトグラフ法によって決定される。エチルセルロースの分子量は、25℃で測定された80体積%のトルエンと20体積%のエタノールの混合物中にエチルセルロースを5質量%溶かした溶液の粘度として表わされる。エチルセルロース濃度は、トルエン、エタノールおよびエチルセルロースの質量の合計を基準とする。粘度は、ASTM D914−00に概説されているように、そしてさらにASTM D914−00中で参照されているASTM D446−04に記載されているように、ウッベローデ管を使用して測定される。エチルセルロースは、80体積%のトルエンと20体積%のエタノールの混合物中5質量%溶液として25℃で測定された粘度が、一般に400mPa・s以下、好ましくは300mPa・s以下、より好ましくは100mPa・s以下である。
【0014】
生物活性組成物において使用されるポリエチレンオキシドの望ましい量は、その平均分子量、物理的性質、組成物の他の成分との相互作用、生物活性成分を可溶化する能力、配合物押出成形の容易さ、活性成分の生物活性、治療される適応症、目標とされる投薬計画、投与の計画された方法、最終組成物の完全性または安定性および生物活性組成物の望まれる放出プロフィールのような種々の要因に依存するであろう。本発明の生物活性組成物中のポリエチレンオキシドの量は、組成物の全質量を基準として、一般に少なくとも約4.5%、好ましくは少なくとも約10%、より好ましくは少なくとも約15%、最も好ましくは少なくとも約20%であり、そして組成物の全質量を基準として一般に約84.5%以下、好ましくは約79%以下、より好ましくは約70%以下、最も好ましくは約60%以下である。
【0015】
ここで使用するときは、用語「ポリエチレンオキシド」とは、エチレンオキシドの単独重合体および共重合体を包含する。エチレン共重合体は、少なくとも1つの他のオキシドと混合されたエチレンオキシドの重合によって製造されたランダム共重合体であってもよく、他のオキシドは、たとえば、1,2−シクロヘキセンエポキシド、1,2−ブテンエポキシド、アリルグリシジルエーテル、メタクリル酸グリシジル、エピクロロヒドリン、1,3−ブタジエンジエポキシド、スチレンオキシド、4−ビニル−1−シクロヘキセン1,2−エポキシド、4−(2−トリメトキシシリルエチル)−1,2−エポキシシクロヘキセンおよび4−ビニル−1−シクロヘキセンジエポキシドであり、好ましくはプロピレンオキシド、1,2−ブテンエポキシド、またはイソブチレンオキシドのようなアルキレンオキシドである。他の有用なエチレンオキシド共重合体は、エチレンオキシドと少なくとも1つの他のアルキレンオキシドの順次的な添加によって製造されたブロック共重合体であり、その順次的な添加においては、最初の単量体のほとんどすべてが次の単量体の添加前に消費される。その代わりに、エチレンオキシド共重合体は、エチレンオキシドと別の共重合性単量体を、共重合された形で、含んでもよく、別の共重合性単量体は、たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、カプロラクトン、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、1,3−ジオキソラン、二酸化炭素、硫化カルボニル、テトラヒドロフラン、イソシアン酸メチル、またはメチルイソシアニドである。好ましいエチレンオキシド共重合体は、エチレンオキシドとエピクロロヒドリンとの共重合体またはエチレンオキシドとシクロヘキセンオキシドとの共重合体である。エチレンオキシド共重合体は、一般に少なくとも約50モル%、好ましくは少なくとも約70モル%、より好ましくは少なくとも約85モル%のエチレンオキシド単位を含む。最も好ましいエチレンオキシド重合体はエチレンオキシド単独重合体である。
【0016】
ポリエチレンオキシドは、好ましくは約50,000〜約10,000,000、より好ましくは約70,000〜約8,000,000、最も好ましくは約90,000〜約5,000,000の質量平均分子量を有する。本組成物において有用なポリエチレンオキシドは、ダウ・ケミカル社の子会社であるユニオン・カーバイド社(Union Carbide Corporation)から商業上入手可能である。使用されるポリエチレンオキシドの平均分子量は、一般に、選択される加工条件に影響するであろう。約5,000,000超のような非常に高い平均分子量のポリエチレンオキシドは、一般に、押出工程において、約5,000,000以下の平均分子量を有するポリエチレンオキシドよりも高い加工温度、トルクおよび/または圧力を必要とするであろう。
【0017】
エチルセルロースとポリエチレンオキシドの質量比は、好ましくは約20:1〜約1:5、より好ましくは約10:1〜約1:3である。
【0018】
ビタミン、薬草およびミネラルサプリメントならびに医薬品のような多種多様の生物活性成分を、本発明の組成物の中に含めることができる。生物活性成分は、疎水性、親水性および両親媒性化合物を包含する。生物活性成分は、組成物の任意の成分に可溶である必要はない。生物活性成分は、組成物の重合体マトリックスの中に溶解させてもよいし、部分的に溶解させてもよいし、懸濁させてもよい。生物活性成分は、一般に、使用される溶融押出工程条件において安定でなければならない。安定とは、生物活性成分のかなりの部分が溶融押出工程中に著しく劣化または分解しないことを意味する。本発明の組成物中のホットメルト押出することができる生物活性成分は、限定するものではないが、たとえば、炎症、痛風、高コレステロール血症、微生物感染症、エイズ、結核、真菌感染症、アメーバ感染症、寄生虫感染症、癌、腫瘍、器官拒絶反応、糖尿病、心不全、関節炎、喘息、疼痛、充血、尿路感染症、膣感染症、発作関連障害、うつ病、精神病、痙攣、糖尿病、血液凝固、高血圧症および避妊のような適応症を治療するために使用することができる。
【0019】
本発明の組成物によって投与することができる生物活性成分の例は、たとえば、(1)アスピリン、ケトプロフェン、アセトアミノフェンおよびデフルニサル(deflunisal)のような鎮痛薬、(2)リドカイン、プロカイン、ベンゾカインおよびキシロカインのような麻酔薬、(3)フェニルブタゾン、インドメタシン、スリンダク、デクサメタゾーン、イブプロフェン、アロプリノール、オキシフェンブタゾンプロベネシッド、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、ベータメタゾン、デクサメタゾーン、フルオコルトロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、インドメタシン、ナプロキセンおよびその塩、スリンダクおよびその塩ならびに対応スルフィドのような抗関節炎薬および抗炎症剤、(4)テオフィリン、エフェドリン、ジプロピオン酸ベクロメタゾンおよびエピネフリンのような抗喘息薬、(5)スルファルメトキサゾール(sulfarmethoxazole)、トリメトプリム、ニトロフラントインおよびノルフロキシシン(norfloxicin)のような尿道消毒薬(disinfectives)、(6)ヘパリン、ビスヒドロキシクマリンおよびワルファリンのような抗凝血剤、(7)ジフェニルヒダントインおよびジアゼパムのような抗痙攣薬、(8)アミトリプチリン、クロルジアゼポキシド、ペルフェナジン、プロトリプチリン、イミプラミンおよびドキセピンのような抗うつ薬、(9)インシュリン、トルブタミドトラザミド、ソマトトロピン、アセトヘキサミドおよびクロルプロパミドのような糖尿病の治療および血糖調節に有用な薬剤、(10)アドリアマイシン、フルオウラシル(fluouracil)、メトトレキセートおよびアスパラギナーゼのような抗腫瘍薬、(11)プロクロルペラジン、炭酸リチウム、クエン酸リチウム、チオリダジン、モリンドン、フルフェナジン、トリフルオペラジン、ペルフェナジン、アミトリプチリンおよびトリフルプロマジンのような抗精神病薬、(12)スピロノラクトン、メチルドパ、ヒドララジン、クロニジン、クロロサイアザイド、デセルピジン、チモロール、プロプラノロール、メタプロトール(metaprotol)、塩酸プラゾシンおよびレセルピンのような抗高血圧剤、(13)メファラン(mephalan)、ダンブロレン(danbrolene)、シクロベンザプリン、メトカルバモール、ジアゼパムおよび塩化スクシニル(succinoyl chloride)のような筋弛緩剤、(14)クロラムフェニコール、クロロキンおよびトリメトプリムのような抗原虫薬、(15)ノノキシノールのような殺精子剤、(16)β−ラクタム型抗生物質、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ネオマイシン、セホキシチン、チエナマイシン、グラミシジン、バシトラシン、スルホンアミド、アミノ配糖体抗生物質、トブラマイシン、ニトロフラゾン、ナリジクス酸および類似体、およびフルダラニン(fludalanine)/ペンチジドン(pentizidone)の抗菌性組合わせのような抗菌性物質、(17)ペリラミン(perilamine)、クロルフェニラミン、プソイドフェドリン(pseudophedrine)、フェニレフリン、ロラチジン(loratidine)およびテトラヒドロゾリンのような抗ヒスタミン剤およびうっ血除去薬、(18)イベルメクチンのような駆虫性化合物、および(19)アシクロビルおよびインターフェロンのような抗ウイルス化合物である。抗真菌剤、殺アメーバ剤(amoebicidal)、殺トリコモナス剤または抗原虫薬を必要とする膣および尿道病の治療用に、次の薬剤、たとえばポリオキシエチレンノニルフェノール、スルホン酸アルキルアリール、硫酸オキシキノリン、硝酸ミコナゾール、スルファニルアミド、カンジシジン、スルフイソキサゾール、ニサチチン(nysatitin)、クロトリマゾールおよびメトロニダゾールが使用できる。
【0020】
組成物の中に充填される生物活性成分の量は、化合物の薬理活性、治療される適応症、目標とされる投薬計画、計画された投与方法、最終組成物の完全性もしくは安定性またはその他の理由によって異なるであろう。生物活性成分の量は、組成物の全質量を基準として、一般に少なくとも約0.5%、好ましくは少なくとも約1%、より好ましくは少なくとも約5%、最も好ましくは少なくとも約10%であり、そして組成物の全質量を基準として、一般に約75%以下、好ましくは約65%以下、より好ましくは約55%以下、最も好ましくは約45%以下である。驚くべきことに、溶融押出の形の本発明の組成物は、生物活性成分を高い充填量(たとえば20%以上、典型的には30%以上、多くの場合45%以上)で含むことができ、しかもなお、組成物から制御または持続された態様で生物活性成分を放出することができることが見いだされた。
【0021】
本発明のより好ましい生物活性組成物は、エチルセルロース、ポリエチレンオキシドおよび生物活性成分の合計質量を基準として、約20〜約85%、最も好ましくは約25〜約80%のエチルセルロース、約10〜約79%、最も好ましくは約15〜約70%のポリエチレンオキシド、および約1〜約65%、最も好ましくは約5〜約55%の生物活性成分を含む。ただし、エチルセルロースの量は、組成物の全質量を基準として、少なくとも約15%である。
【0022】
エチレンオキシド、ポリエチレンオキシドおよび生物活性成分の合計質量は、一般に組成物の全質量の少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、そして最も好ましくは少なくとも75%である。
【0023】
生物活性組成物は、1種以上の追加の成分を含んでもよく、たとえば、エチルセルロース、ポリエチレンオキシドおよび生物活性成分以外の1種以上の重合体および/または1種以上の固体または液体の医薬品添加剤を含んでもよく、たとえば、1種以上の充填剤、顔料、着色剤、芳香剤(flavorants)、崩壊剤、結合剤、可塑剤、酸化防止剤および/または滑剤を含んでもよい。有用な追加の重合体のいくつかは既知の医薬品添加剤であってもよく、そして医薬品添加剤は単量体であってもよいし重合体であってもよいことは理解されるべきである。
【0024】
よく知られている医薬品添加剤の例は、アラビアゴム、コーンスターチ、グアーゴム、じゃがいもデンプン、アルギン酸、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、乳糖、蔗糖、リン酸二カルシウム、微結晶性セルロース、砂糖、ミネラル、セルロース粉末またはセルロース繊維である。
【0025】
追加の重合体の例は、エチルセルロース以外の1種以上の多糖、1種以上のゼラチン、アクリル酸、アクリル酸塩、アクリルアミド、ビニルアルコール、酢酸ビニル、ビニルピロリドンもしくはビニルピリジンを重合された形で含む単独重合体および共重合体からなる群から選択された1種以上の合成高分子、または1種以上の多糖、1種以上のゼラチンおよび/または1種の以上の前記合成高分子の組合わせである。多糖の例としては、アラビアゴム、キサンタンガム、カラヤゴム、トラガカントゴム、ガティガム、カラギーナン、デキストラン、アルギナート、寒天、ジェランガム、グアーゴムのようなガラクトマンナン、ペクチン、デンプン、デンプン誘導体、グアーゴム誘導体およびキサンタン誘導体が挙げられる。デンプン誘導体、グアー誘導体およびキサンタン誘導体は、欧州特許第0504870号明細書第3頁第25行〜第56行および第4頁第1行〜第30行にさらに詳しく記載されている。有用なデンプン誘導体は、たとえばヒドロキシプロピルデンプンまたはカルボキシメチルデンプンのようなスターチエーテルである。有用なグアー誘導体は、たとえばカルボキシメチルグアー、ヒドロキシプロピルグアー、カルボキシメチルヒドロキシプロピルグアーまたは陽イオン化されたグアーである。好ましいヒドロキシプロピルグアーおよびその製法は、米国特許第4,645,812号明細書第4欄〜第6欄に記載されている。好ましい多糖は、エチルセルロース以外のセルロースエステルまたはセルロースエーテルである。好ましいセルロースエーテルは、カルボキシメチルセルロースのようなカルボキシ−C−C−アルキルセルロース;カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースのようなカルボキシ−C−C−アルキルヒドロキシ−C−C−アルキルセルロース;メチルセルロースのようなC−C−アルキルセルロース;ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはエチルヒドロキシエチルセルロースのようなC−C−アルキルヒドロキシ−C1−3−アルキルセルロース;ヒドロキシエチルセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロースのようなヒドロキシ−C1−3−アルキルセルロース;ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロースのような混合ヒドロキシ−C−C−アルキルセルロース、またはアルコキシヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロース(ただしアルコキシ基は直鎖または分岐であり2〜8個の炭素原子を含有する。)である。多糖および上述の合成高分子は、一般に少なくとも10,000、好ましくは少なくとも12,000、より好ましくは少なくとも15,000の質量平均分子量を有する。質量平均分子量の好ましい上限は、主として重合体の種類に依存する。一般に、追加の重合体の質量平均分子量は、1,000,000以下、好ましくは500,000以下、より好ましくは100,000以下である。
【0026】
本発明の組成物は、一般に、溶融押出できる。ここで使用するときは、用語「溶融押出できる」とは、溶融押出することができる、特にホットメルト押出することができる化合物または組成物をいう。ホットメルト押出することができる組成物は、粉末またはグラニュールのような粒状でないときは、標準の周囲温度および圧力で十分に硬質であるが、高温または高圧(25℃より高い温度または大気圧より高い圧力を意味する。)で変形し得るまたは半液体状態を形成し得るものである。本発明の組成物はそれをホットメルト押出することができるようにするための可塑剤を含有する必要はないが、ここに記載された種類の可塑剤を1つ以上の追加の成分として含んでもよい。可塑剤は、ホットメルト押出工程中に、より低い加工温度、押出機トルクおよび圧力を可能にするために、生物活性組成物のガラス転移温度または軟化点を低下させることができるに違いない。可塑剤は、また一般に、重合体溶融物の粘度を低下させ、それによってホットメルト押出中のより低い加工温度および押出機トルクを可能にする。可塑剤は、約5,000,000を超えるような非常に高い分子量のポリエチレンオキシドを使用するときに、好都合に含められる。
【0027】
エチルセルロース、ポリエチレンオキシドおよび生物活性成分以外の1種以上の追加の成分の量は、生物活性組成物中に存在するならば、組成物の全質量を基準として、一般に70%以下、好ましくは60%以下、より好ましくは50%以下、特に25%以下である。本発明の生物活性組成物は、一般に溶融押出できるものであり、好ましくは溶融押出された形で使用される。好ましい溶融押出された形は、次の加工によって有用な剤形に変換することができるロッド、ストランド、他の断面およびシートである。好ましい形は、層の少なくとも1つが上述の組成物から製造された、溶融押出された単層または多層のフィルムである。他の好ましい溶融押出された形は、上述の組成物から製造された粉末、ビーズ、ペレットまたはグラニュールのような溶融押出された粒子である。
【0028】
医薬品剤形を製造するための溶融押出法、特にホットメルト押出法は、一般に、以下のように記述される。エチルセルロース、ポリエチレンオキシドおよび生物活性成分を含む生物活性組成物を用意する。ただし、エチルセルロースの量は組成物の全質量を基準として、少なくとも約15%である。組成物は、好ましくは粒子の形で、より好ましくは粉末の形で、上記の成分を混合することによって、所望により上記の追加の成分の1種以上を混合することによって、用意される。好ましくは、追加の成分は、使用するならば、ホットメルト押出法をあまり妨害しないものが使用される。本発明のいくつかの実施態様においては押出機の中に混合される組成物は液体の物質を含有してもよいが、本発明の溶融押出法においては乾燥供給原料が好都合に使用される。混合物は押出機の中に供給され、組成物またはその少なくとも1種以上の成分を溶融するまたは軟化する温度で押出機の加熱域の中に通され、生物活性成分が分散したマトリックスを形成する。典型的な押出溶融温度は、80〜210℃、好ましくは90〜200℃、より好ましくは100〜190℃である。加工中の組成物の生物活性成分および他の成分の劣化または分解を最小限にする操作温度範囲が選択されるべきである。本発明を実施するために使用される押出機は、好ましくは、乾燥供給原料を扱うように装備され、固体搬送ゾーン、1つまたは多数の加熱ゾーンおよび押出口金を有する商業上入手可能な型式である。押出機が多数の別個の温度制御可能な加熱ゾーンを有することは特に有利である。単軸または多軸スクリュー押出機、好ましくは二軸スクリュー押出機を、本発明の溶融押出法において使用することができる。
【0029】
その後、溶融したまたは軟化した混合物は、口金または他のそのような要素を通って押出機から出、そのとき混合物(今や押出物と呼ばれる。)は固まり始める。押出物は、フィルム、シート、ロッド、ストランドまたは他の断面のような様々な形で口金を出ることができる。押出物は口金を出たときはまだ暖かいまたは熱いので、それは容易に形造り、様々な形に(たとえばフィルムに)成形し、細断し、粉末に砕き、ビーズまたはペレットに球形化し、ストランドに切断し、錠剤にし、または他の方法で望まれる物理的形状に加工することができる。たとえば、押出物は、フィルム、シートまたはストランドの形の押出物を、ペレット化、粉砕または微粉砕のような既知の手段で、ペレット、ビーズ、グラニュールまたは粉末のような様々な形に細かくし、そしてその粒子を剤形に変換することによって、様々な剤形に加工することができる。多層フィルムを製造する場合は、成形されたフィルムは、まだ暖かいまたは熱いうちにまたは冷えた後、他のフィルム層と結合することができる。交替に、多層フィルムは、共押出によって製造することができ、その場合はそれらの層の1つ以上が生物活性組成物から製造される。
【0030】
溶融押出法が好ましいが、射出成形法、加熱浸漬成形法、溶融流延法、溶液流延法および圧縮成形法のような他の方法も、単層もしくは多層フィルムの製造にまたは粒子の製造に用いることができる。これらの方法のいずれかの使用によって、所望の投与の方法に応じて必要とされるように、組成物を成形することができる(たとえば皮膚貼付剤のようなフィルム、タブレット、ピル、トローチ、坐剤およびカプセル)。
【0031】
もし望むならば、本発明の溶融押出された組成物、特に溶融押出された粒子は、医薬品剤形を製造するために、1種以上の充填剤、顔料、着色剤、芳香剤、崩壊剤、結合剤、可塑剤、酸化防止剤、滑剤、固体の希釈剤および/または液体の希釈剤のような医薬品添加剤と混合することができる。有用な液体の希釈剤の例は、薬に適した界面活性剤、懸濁化剤または乳化剤を添加したまたは無添加の油、水、アルコールまたはそれらの混合物である。
【実施例】
【0032】
本発明を、次の実施例によってさらに詳しく説明するが、それらの実施例は本発明の範囲を限定するものと解してはならない。別段の定めがない限り、部およびパーセントはすべて質量基準である。
【0033】
次の物質をホットメルト押出組成物の調製に使用する。
【0034】
エチルセルロース
エトキシル含有量48.0〜49.5%のエチルセルロース。この重合体は、トルエンとエチルアルコールの80/20の混合物中5%溶液として25℃で測定した溶液粘度が9〜11cP(mPa・s)である。そのエチルセルロースは、ダウ・ケミカル社からETHOCELTM Standard 10 Premiumの商標で商業上入手可能である。
【0035】
POLYOXTM 301 WSR
ダウ・ケミカル社の子会社であるユニオン・カーバイド社からPOLYOXTM 301 WSRの商標で商業上入手可能な約4,000,000の質量平均分子量を有するポリエチレンオキシド。
【0036】
POLYOXTM N−10 WSR
ダウ・ケミカル社の子会社であるユニオン・カーバイド社からPOLYOXTM N−10 WSRの商標で商業上入手可能な約100,000の質量平均分子量を有するポリエチレンオキシド。
【0037】
HPMC E5
メトキシル含有量が28〜30%、ヒドロキシプロポキシル含有量が約8%、および20℃でブルックフィールド粘度計を使用して2質量%水溶液として測定した粘度が4〜6mPa・sのヒドロキシプロピルメチルセルロース。それは、METHOCEL E5 Premium LVの商標でダウ・ケミカル社から商業上入手可能である。
【0038】
アセトアミノフェン
軽度から中程度の痛みを取り除きそして熱を下げるために一般に使用される薬剤。アセトアミノフェンは、14mg/mLの水溶解度を有し、難溶性として分類される米国薬局方である。
【0039】
ケトプロフェン
軽度から中程度の痛みを取り除き、炎症を抑え、熱を下げるために一般に使用される薬剤。ケトプロフェンは、0.294mg/mLの水溶解度を有し、非常にわずかに可溶のものとして分類される米国薬局方である。
【0040】
ニフェジピン
狭心症と高血圧症の治療に一般に使用される薬剤。ニフェジピンは、20℃で0.1mg/mL未満の水溶解度を有する。
【0041】
薬剤はすべて、スペクトル・ケミカル・アンド・ラボラトリー・プロダクツ社(Spectrum Chemical & Laboratory Products Inc.)(米国カリフォルニア)から商業上入手可能である。
【0042】
下記の比較例は本発明の範囲内にはないが、必ずしも先行技術を示すものではない。
【0043】
実施例1
37.5質量部のエチルセルロース、12.5質量部のPOLYOXTM 301 WSRおよび50質量部のアセトアミノフェンを、Vブレンダーを使用して、10分間配合する。その後、この配合物は、直径0.325インチ(0.8cm)のロッド押出口金を装備した長さ/直径比28:1の3/4インチ(1.9cm)の単軸スクリュー押出機によって押出される。押出機の加工条件は、ゾーン1が110℃、ゾーン2が150℃、ゾーン3が150℃、口金温度が150℃、そして押出機スクリューの速度が100rpmである。押出されたロッドは、不透明で淡褐色である。加工直後にロッドを切断し300〜500mgのタブレットにする。
【0044】
比較例A
50質量部のPOLYOXTM 301 WSRおよび50質量部のアセトアミノフェンを配合し押出すること以外は、実施例1を繰り返す。押出物は、透明であるが、いくつかの小さな不透明な領域がある。
【0045】
比較例B1
50質量部のエチルセルロースおよび50質量部のアセトアミノフェンを配合した以外は、実施例1を繰り返す。配合物は、実施例1と同じ押出機で押出されるが、温度条件は次のとおりとする。ゾーン1が120℃、ゾーン2が170℃、ゾーン3が170℃、および口金温度が170℃。混合物が押出機の中を通って運ばれないので、押出物が回収されない。
【0046】
比較例B2
次の温度条件でも押出が試みられる。ゾーン1が90℃、ゾーン2が160℃、ゾーン3が190℃、および口金温度が190℃。再度、不十分な加工のために押出物は回収されない。
【0047】
比較例C1およびC2
25質量部のエチルセルロースと75質量部のアセトアミノフェンが配合される。2つの押出試験において、比較例B1およびB2の加工条件が使用される。押出試験は両方とも失敗する。
【0048】
比較例B1、B2、C1およびC2の結果は、エチルセルロースとよく知られている薬剤アセトアミノフェンの混合物は、おそらく重合体と薬剤との不相溶性のために、押出するのが非常に困難であることを示す。
【0049】
実施例1と比較例Aの薬剤放出試験
溶解試験は、ヒューレット・パッカード8452Aダイオードアレイ分光光度計を装備したDistek TCS0200B溶解システムで行なわれる。アセトアミノフェンに使用された波長は242〜244nmである。溶解試験はすべて、900mLの脱気された(Distek MD−1 De−Gasser)燐酸緩衝液(pH 5.8)中で行われる。溶解媒体温度は37±0.5℃である。米国薬局方装置IIは回転速度50rpm(パドル)で使用される。6つの反復試験試料を各々の溶出試験に供する。
溶解試験結果を図1に示す。POLYOXTM WSR 301/アセトアミノフェン(50/50)試料では、すべてのアセトアミノフェンの放出は、1400分頃に起こる。エチルセルロースを組成物に加えると、有意差が観察される。1400分で、アセトアミノフェンの約65%だけが放出された。
【0050】
実施例2
60質量部のエチルセルロース、20質量部のPOLYOXTM 301 WSRおよび20質量部のケトプロフェンを、Vブレンダーを使用して、10分間配合する。その後、この配合物は、実施例1と同じ押出機で押出される。加工温度は、ゾーン1が60℃、ゾーン2が90℃、ゾーン3が150℃、および口金温度が150℃である。押出されたロッドは、不透明で、色はオフホワイトである。加工直後にロッドを切断し300〜500mgのタブレットにする。
【0051】
比較例D
95質量部のPOLYOXTM 301 WSRと5質量部のケトプロフェンを配合し押出する以外は、実施例2を繰り返す。加工温度は、ゾーン1が100℃、ゾーン2が140℃、ゾーン3が150℃、そして口金温度が150℃である。押出されたロッドは、口金を出たときは透明であるが、その後すぐに白色不透明になる。
【0052】
比較例E
80質量部のPOLYOXTM 301 WSRと20質量部のケトプロフェンを配合し押出する以外は、実施例2を繰り返す。加工温度は、ゾーン1が120℃、ゾーン2が150℃、ゾーン3が150℃、そして口金温度が150℃である。押出されたロッドは、透明、琥珀色である。
【0053】
実施例2ならびに比較例DおよびEの薬剤放出試験は、ケトプロフェンに使用する波長が258〜262nmである点および溶解媒体が人工腸液(pH 7.4)である点を除いて、実施例1と同様に行う。ケトプロフェン溶解データを図2に示す。結果は、ポリエチレンオキシドとエチルセルロースを組み合わせることによって特注の薬剤放出プロフィールを得ることができることを示す。
【0054】
実施例3
40質量部のエチルセルロース、10質量部のPOLYOXTM N−10 WSRおよび50質量部のケトプロフェンを、Vブレンダーを使用して、10分間配合する。配合物は、K−tron容量供給装置によって、19.23g/分の流量で、直径5mmのロッド押出口金を装備したC.W.Brabender円錐形二軸スクリュー押出機PL2000型に供給される。加工条件は、ゾーン1が60℃、ゾーン2が90℃、ゾーン3が150℃、口金温度が150℃、そして押出機スクリューの速度が30rpmである。押出されたロッドは、不透明、クリームオレンジ色である。加工直後にロッドを切断し300〜500mgのタブレットにする。
【0055】
実施例4
37.5質量部のエチルセルロース、12.5質量部のPOLYOXTM 301 WSRおよび50質量部のケトプロフェンを配合し、12.21g/分の流量で二軸スクリュー押出機に供給する以外は、実施例3を繰り返す。加工温度は、ゾーン1が80℃、ゾーン2が150℃、ゾーン3が150℃、そして口金温度が150℃である。押出されたロッドは、透明、琥珀色である。
【0056】
比較例F
80質量部のPOLYOXTM N−10 WSRと20質量部のケトプロフェンを配合し、20.04g/分の流量で二軸スクリュー押出機に供給する以外は、実施例3を繰り返す。加工温度は、ゾーン1が80℃、ゾーン2が120℃、ゾーン3が120℃、そして口金温度が120℃である。押出されたロッドは、色がクリームイエローである。
【0057】
比較例G
80質量部のエチルセルロースと20質量部のケトプロフェンを配合し、23.71g/分の流量で二軸スクリュー押出機に供給する以外は、実施例3を繰り返す。加工温度は、ゾーン1が80℃、ゾーン2が100℃、ゾーン3が100℃、そして口金温度が100℃である。押出されたロッドは、色がクリームイエローである。
【0058】
比較例H
50質量部のPOLYOXTM 301 WSRと50質量部のケトプロフェンを配合し、19.95g/分の流量で二軸スクリュー押出機に供給する以外は、実施例3を繰り返す。加工温度は、ゾーン1が80℃、ゾーン2が150℃、ゾーン3が150℃、そして口金温度が150℃である。押出されたロッドは、色が灰白色である。
【0059】
実施例3および4ならびに比較例F〜Hの薬剤放出試験を、実施例2と同様に行う。ケトプロフェン溶解データを図3に示す。結果は、ポリエチレンオキシドとエチルセルロースを組み合わせることによって特注の薬剤放出プロフィールを得ることができることを示す。
【0060】
実施例5
36質量部のPOLYOXTM N−10 WSR、28質量部のHPMC E5、16質量部のエチルセルロースおよび20質量部のニフェジピンを、Vブレンダーを使用して、10分間配合する。配合物を、押出前に50℃で16時間減圧乾燥器で乾燥する。その後、この配合物を、直径0.325インチ(0.8cm)のロッド押出口金を装備した長さ/直径比28:1の3/4インチ(1.9cm)単軸スクリュー押出機によって押出する。押出機の加工条件は、ゾーン1が130℃、ゾーン2が175℃、ゾーン3が175℃、口金温度が175℃、そして押出機スクリューの速度が100rpmである。押出物は、不透明、黄色である。加工直後にロッドを切断し300〜500mgのタブレットにする。
【0061】
比較例I
80質量部のPOLYOXTM N−10 WSRと20質量部のニフェジピンを配合し押出する以外は、実施例5を繰り返す。押出条件は、ゾーン1が80℃、ゾーン2が170℃、ゾーン3が205℃、口金温度が205℃、そして押出機の速度が100rpmである。押出物は、不透明、黄色である。加工直後にロッドを切断し、300〜500mgのタブレットにする。
【0062】
比較例J
80質量部のエチルセルロースと20質量部のニフェジピンを配合し押出する以外は、実施例5を繰り返す。押出条件は、ゾーン1が130℃、ゾーン2が175℃、ゾーン3が175℃、口金温度が175℃、そして押出機の速度が100rpmである。押出物は、色が黄色であり、いくつかの小さな不透明な領域を有する。加工直後にロッドを切断し300〜500mgのタブレットにする。
【0063】
比較例K
40質量部のHPMC E5、40質量部のPOLYOXTM N−10 WSRおよび20質量部のニフェジピンを配合し押出する以外は、実施例5を繰り返す。配合物は、押出前に50℃で16時間減圧乾燥器で乾燥する。押出条件は、ゾーン1が80℃、ゾーン2が170℃、ゾーン3が205℃、口金温度が205℃、そして押出機の速度が100rpmである。押出物は、不透明、黄色である。加工直後にロッドを切断し、300〜500mgのタブレットにする。
【0064】
実施例5ならびに比較例I、JおよびKの薬剤放出試験
溶解試験は、Autosampler venkel通し番号17−695−0298を装備したDistek D12604095溶解システムで行なわれる。溶出試験はすべて、900mLの1%ラウリル硫酸ナトリウム緩衝液で行われる。溶解媒体温度は37±0.5℃である。米国薬局方装置IIは回転速度50rpm(パドル)で使用される。HPLC分析のために、溶解実験の30分、60分、180分、300分、420分、540分、660分、840分、1140分および1440分の時点で試料を採取する。6つの反復試験試料を各々の溶解試験に供する。
溶解試験からの試料は0.45μmのナイロンフィルターでろ過する。ろ過された試料はAgilent 1100系列HPLCを使用して分析する。移動相は、アセトニトリルと精密ろ過された水の50:50配合物である。25マイクロリットルの注入容積が使用される。HPLCポンプは、1mL/分の流量を有し、そして分析は3分間続く。ニフェジピンを評価するために使用される波長は236nmである。分析にカラムは使用されない。オーブン温度は30℃である。ヒューレット・パッカードChemstationソフトウェアがデータを集めるために使用される。
溶解結果を図4に示す。結果は、エチルセルロース以外のセルロースエーテルのような第三の重合体の存在下においても、ポリエチレンオキシドとエチルセルロースを組み合わせることによって特注の薬剤放出プロフィールを得ることができることを示す。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の溶融押出された組成物および比較組成物の薬剤放出プロフィールを示す。
【図2】本発明の別の溶融押出された組成物および他の2つの比較組成物の薬剤放出プロフィールを示す。
【図3】本発明の他の2つの溶融押出された組成物および他の3つの比較組成物の薬剤放出プロフィールを示す。
【図4】本発明の他の別の溶融押出された組成物および他の3つの比較組成物の薬剤放出プロフィールを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチルセルロース、ポリエチレンオキシドおよび生物活性成分を含む生物活性組成物であって、エチルセルロースの量が組成物の全質量を基準として少なくとも約15%である、組成物。
【請求項2】
エチルセルロースの量が組成物の全質量を基準として少なくとも約20%であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
エチルセルロースの量が組成物の全質量を基準として少なくとも約25%であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
エチルセルロースとポリエチレンオキシドの質量比が約20:1〜約1:5であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
エチルセルロースとポリエチレンオキシドの質量比が約10:1〜約1:3であることを特徴とする請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
エチルセルロース、ポリエチレンオキシドおよび生物活性成分の合計質量を基準として、約20〜約85%のエチルセルロース、約10〜約79%のポリエチレンオキシドおよび約1〜約65%の生物活性成分を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
溶融押出された形である請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
溶融押出された単層または多層フィルムであって、その層の少なくとも1つは、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物から製造されたものであることを特徴とするフィルム。
【請求項9】
i)エチルセルロース、ポリエチレンオキシドおよび生物活性成分を含む生物活性組成物を用意する工程(ただしエチルセルロースの量は組成物の全質量を基準として少なくとも約15%である。)、および
ii)前記組成物をフィルムに溶融押出する工程
を含む溶融押出された単層または多層フィルムを製造する方法。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物から製造された押出物。
【請求項11】
ロッド、ストランド、シートまたは粒子の形である請求項10に記載の押出物。
【請求項12】
i)エチルセルロース、ポリエチレンオキシドおよび生物活性成分を含む生物活性組成物を用意する工程(ただしエチルセルロースの量は組成物の全質量を基準として少なくとも約15%である。)、および
ii)前記組成物を溶融押出する工程
を含む押出物を製造する方法。
【請求項13】
前記組成物が、ロッド、ストランドまたはシートに押出され、続いて粒子に粉砕されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記粒子が剤形に変換されることを特徴とする請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−523793(P2009−523793A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551256(P2008−551256)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2006/044557
【国際公開番号】WO2007/084212
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】