説明

エチレン−アクリレート系共重合体を含んで成る酸素遮断性フィルム及び容器

本発明は、エチレン−アクリレート共重合体を含んでなる酸素遮断性フィルム及び容器に関するものであって、より詳しくはエチレン単量体10乃至50モル%及びアクリレート系単量体50乃至90モル%とからなり、質量平均分子量が30,000g/モル以上であるエチレン−アクリレート系共重合体を含んでなることを特徴とする酸素遮断性フィルム及び容器に関するものである。
本発明によると、柔軟性、延伸性、ガラス転移温度、耐吸収性及びRockwell硬度など機械的物性に優れながらも酸素遮断性及び透明度に優れた酸素遮断性フィルム及び容器を提供する効果がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレン−アクリレート系共重合体を含んで成る酸素遮断性フィルム及び容器に関し、より詳細には、柔軟性、延伸性、ガラス転移温度、耐吸収性、及びRockwell硬度など機械的物性に優れているとともに酸素遮断性及び透明度などが優秀な酸素遮断性フィルム及び容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)のようなポリオレフィン系樹脂は、成形性、機械的物性及び湿気に対する遮断性などに優れているため様々な用途に使用されている。しかしながら、食品包装用などの特定の用途には気体透過度、特に酸素透過度が高くて使用が制限される。これを解決するためにポリオレフィン系樹脂にナノ複合体を組み合わせることで酸素遮断性を増大させようと試みたが、遮断性は改善されず、機械的物性が低下するという問題点が生じた。それ故に、食品包装用フィルム、シート、及び容器として用いるために、ポリオレフィン系樹脂は、酸素遮断性が優秀なエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ナイロン、ポリビニルリデンクロライドなどと共押出(co-extrusion)またはラミネーション(lamination)を通じて多層フィルムとして製造される。
【0003】
これらエチレン−ビニルアルコール共重合体は、優れた気体遮断性及び透明性を有する高分子材料であるために、食品及び化学製品の包装に利用されてきた。しかしながら、価格が極めて高く、且つ柔軟性及び延伸性など機械的物性が低いことから、エチレン−ビニルアルコール共重合体の用途は制限される。
【0004】
このポリオレフィン系樹脂の低酸素遮断性、及びエチレン−ビニルアルコール共重合体の低柔軟性と低延伸性を解決するために、ポリオレフィン系樹脂とエチレン−ビニルアルコール共重合体との混合が試みられたが、ポリオレフィン系樹脂とエチレン−ビニルアルコール共重合体との間の相溶性(compatibility)が好ましくないために、フィルムやシートの製造時に不均一な混合物が得られるため、機械的物性が低下するという問題点がある。したがって、このような混合物製造の時には適当な相溶化剤を選定し混合物の均一度を高めることが主な技術的な課題となる。
【0005】
例えば、極性基を有する化合物がポリエチレンにグラフト重合された相溶化剤を使うことによって、ポリオレフィン系樹脂とエチレン−ビニルアルコール共重合体との混合物の均一性を高めて酸素遮断性と機械的物性とが向上されたフィルムが製造されることについて開示されている(特許文献1〜3を参照)。また、極性基を有する化合物がポリエチレンにグラフト重合されたポリオレフィンとポリアミド(または、ポリアミドオリゴマー)との反応物を相溶化剤として使ってポリオレフィン系樹脂とエチレン−ビニルアルコール共重合体との混合物の延伸性(stretchability)と柔軟性(flexibility)とを向上させる方法が開示されている(特許文献4を参照)。
【0006】
しかしながら、上記方法によって製造されたフィルムは、相溶性を高めるために相溶化剤を大量に用いた場合、溶融成形性及び酸素遮断性が低下し、相溶化剤を少量用いた場合、フィルムなどの透明性及び機械的物性が劣悪となる問題点がある。
【0007】
また、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)を溶融させた後、機械的物性及び製品の見掛けを改善するためにエチレン共重合体を添加する技術が開示されているが、このような技術を適用するためには特別な圧出機や成形装備が必要となる問題点がある(特許文献5を参照)。
【0008】
また、エチレン−ビニルアセテート共重合体の部分鹸化樹脂を相溶化剤としてポリオレフィン系樹脂とエチレン−ビニルアルコール共重合体とに各々混合した後、ポリオレフィン系樹脂をエチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムの両表面にコーティングすることにより得られる多層フィルムが開示されている(特許文献6を参照)。しかしながら、ポリオレフィン系樹脂とエチレン−ビニルアルコール共重合体との間の相溶性には限界があり、多層フィルムなどを製造しなければならないという煩わしさがある。
【0009】
前記酸素遮断性フィルムなどの均一性問題を解決するための他の方法としてポリオレフィン系樹脂に直接極性基を取り入れる方法について検討されてきたが、これに対する一般的な製造方法である高温高圧法及び触媒法は、製造工程上の難しさと及び極性基の導入が低いという問題点がある。
【0010】
したがって、均一性問題がなく極性基が充分に導入されたポリオレフィン樹脂から製造された、機械的物性だけでなく透明度及び酸素遮断性などに優れた酸素遮断性フィルム及び容器などの開発が必要な実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】欧州特許第0015556号明細書
【特許文献2】欧州特許第0210725号明細書
【特許文献3】米国特許第4971864号明細書
【特許文献4】米国特許第5310788号明細書
【特許文献5】米国特許第5356990号明細書
【特許文献6】韓国公開特許第1996−001657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記のような従来技術の問題点を解決するために、本発明は、樹脂内の不均一性などが惹起されないと共に、機械的物性だけでなく透明性及び酸素遮断性に優れているフィルム及び容器などを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記の目的を果たすために、本発明は、エチレン単量体10乃至50モル%及びアクリレート系単量体50乃至90モル%からなり、質量平均分子量が30,000g/モル以上であるエチレン−アクリレート系共重合体を含んでなる酸素遮断性フィルム及び容器を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の酸素遮断性フィルムは、エチレン−アクリレート系共重合体を材質にして樹脂間の均一性などの問題が根本的に解決され、フィルムとしての機械的物性に優れていると共に、酸素遮断性及び透明度が優れているこのような特性を必要とする多様な産業分野において利用することができる。
【0015】
また、本発明の容器は前記エチレン−アクリレート系共重合体を材質にして上述した特性以外にガラス転移温度が高く、水分吸収率が低くて、Rockwell硬度が優れているので、食品容器、包装容器、化粧品容器及び温蔵庫用容器などに利用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明者らは、上記のような技術的課題を果たすために、一連の研究を繰り返し実施した結果、従来技術において主成分として用いられてきた従来のエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)ではない新しい組成の共重合体を利用することで、優れた透明性及び酸素遮断性のみならず、高いガラス転移温度及びRockwell硬度を有するフィルム及び容器の製造に成功し、本発明は達成された。
【0017】
本発明の酸素遮断性フィルム及び容器は、エチレン単量体10乃至50モル%及びアクリレート系単量体50乃至90モル%からなり、質量平均分子量が30,000g/モル以上であるエチレン−アクリレート系共重合体を含んでなることを特徴とする。
【0018】
前記エチレン−アクリレート系共重合体は、エチレン単量体及びアクリレート系単量体を、金属酸化物またはルイス酸(Lewis acid)の存在下で、ラジカル重合開始剤により重合させることによって調製することができる。
【0019】
以下本発明を詳しく説明する。
前記エチレン単量体の好適な含有量は10乃至50モル%であり、より好ましくは15乃至40モル%である。エチレン単量体の含有量が10モル%未満である場合、柔軟性及び延伸性の側面から不利であるためフィルムなどとしての用途に適合されず、50モル%以上である場合には、機械的強度は有利であるがフィルムの透明性が低下され、エチレンの反応性がアクリレートの反応性より顕著に低下し、重合観点から技術的に実施するのが難しい。特に、エチレン含有量が15乃至40モル%の範囲にある場合、技術的に実施することが容易であるだけでなく機械的強度がより改善され、フィルム及び容器として製造するのにより適している。
【0020】
前記アクリレート系単量体は、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレートまたはこれらの混合物であっても良い。前記アルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートは、直鎖または分岐鎖の炭素数1乃至12であるアルコールのアクリル酸またはメタクリル酸エステルであり、好ましくは、直鎖または分岐鎖の炭素数1乃至8であるアルコールのアクリル酸またはメタクリル酸エステル等であり、より好ましくは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソ−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、または炭素数5乃至12のアルコールのネオ−異性体のアクリル酸エステルである。
【0021】
前記アクリレート系単量体の含有量は、酸素遮断性及び透明性などを決定する主な要因であり、機械的物性を決めるエチレン単量体の含有量とともに適切に調節されることによって、透明性及び酸素遮断性に優れると共に機械的物性に優れたエチレン−アクリレート系共重合体を製造することができるが、本発明の酸素遮断性フィルム及び容器用としては50乃至90モル%が適当であり、より好ましくは60乃至85モル%であっても良い。
【0022】
更に、前記エチレン単量体及びアクリレート系単量体は、第3の単量体を含むことができる。前記第3の単量体としては、ビニルアセテートなどのビニルエステルと、アクリル酸、メタクリル酸またはマレイン酸の部分エステルと、一酸化炭素とを含む群から選択される。好適な第3の単量体の含有量は、エチレン単量体とアクリレート単量体の混合物100質量部に対して5乃至80質量部である。
【0023】
前記エチレン−アクリレート系共重合体の分子量は、質量平均分子量30,000g/モル以上が好ましく、より好ましくは70,000g/モル以上であり、上限値は特別に制限されないが、従来技術の水準などを考慮して好ましくは300,000g/モル以下である。エチレン−アクリレート系共重合体の質量平均分子量が30,000g/モルより小さい場合、フィルムの機械的強度が低下し、70,000g/モル以上である場合、引張強度などの機械的強度はより向上する。
【0024】
前記酸素遮断性フィルムは、シート(sheet)及びラップ(wrap)を含む薄膜フィルムの総称である。酸素遮断性フィルムの厚さは5乃至1,000μmであることが好ましい。
【0025】
ここで示す酸素遮断性容器は、プラスチック材質から成る容器を意味し、例として、食品容器、包装容器、化粧品容器などが挙げられる。この容器は、高いガラス転移温度及び低い水分吸収率の特性により温蔵庫用容器として用いることもできる。
【0026】
前記金属酸化物は、アルカリ土類金属、転移金属、13族及び14族金属の酸化物などであってよく、物理的な方法で回収が可能であるため、重合する際に再利用ができるという特徴を有する。アクリレート系単量体1モルを基準にすると、金属酸化物の好適な含有量はモル0.1乃至10モルであり、より好ましくは0.5乃至3モルである。
【0027】
前記ルイス酸は、特別に制限されないが、金属塩であっても良く、好ましくは金属ハロゲン化物であり、より好ましくは金属塩化物であり、特に好ましくは塩化アルミニウム(III)、塩化亜鉛、塩化鉄(II)または塩化鉄(III)であっても良い。アクリレート系単量体1モルに対する前記ルイス酸の好適な含有量は、モル0.01乃至1モルである。
【0028】
前記金属酸化物またはルイス酸を添加することによって、従来技術である高温高圧法及び触媒法が持つ製造工程上の難しさ及び極性基の限られた導入という問題点を解決することができる。
【0029】
前記重合開始剤は当該技術分野において既知であるようなあらゆる重合開始剤を用いてよく、好ましくは過酸化物またはアゾ化合物開始剤であり、より好ましくはアゾ化合物開始剤である。アクリル系共単量体1モルを基準に、前記重合開始剤の好適な含有量はモル0.001乃至1.0モルであり、より好ましくは0.01乃至0.1モルである。
【0030】
エチレン−アクリレート系単量体の重合は溶媒存在下で実施されてよく、この場合、当該技術分野において通常的に用いられる溶媒を使っても良く、好ましくは、トルエン、クロロベンゼン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、テトラヒドロフラン、クロロホルム及びメチレンクロライドを含む群から選択される1種以上を溶媒として使っても良い。この重合溶媒は、アクリレート系単量体の総体積を基準に、0.5乃至5.0、好ましくは1.5乃至3.5の割合で添加してもよい。
【0031】
エチレン単量体とアクリレート系単量体の重合反応は、30乃至150℃及び常圧乃至200気圧の圧力で実施されることが好ましく、より好ましくは50乃至120℃及び5乃至50気圧の圧力で実施されることである。
【0032】
前記エチレン−アクリレート系共重合体の製造方法は、高温高圧が要求される従来技術と違い、200気圧以下100℃以下の穏やかな条件で実施することができるため、製造工程が単純で共重合体の物性制御が容易であり、また前記製造方法によって製造されたエチレン−アクリレート系共重合体は、エチレン単量体とアクリレート系単量体とのランダム共重合体であると共に極性基の含有量が従来技術に比べて非常に高くてエチレンの結晶性が存在しないようになるため、その他の製品で加工した後にも高分子の透明性には影響がなくて光学素材などとしても利用が可能である。
【0033】
以下、本発明の理解を供するために好ましい実施例を提示するが、下記実施例は本発明を例示することであるだけで、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で多様な変更及び修正が可能であることは当業者において明白なことであり、このような変形及び修正が添付された特許請求の範囲に属するのも当然なことである。
【実施例】
【0034】
実施例1乃至11及び比較例1乃至4
125ml高圧反応器を真空にした後、窒素が次いで充填され、トルエン30mlを投入した。前記反応器は適当な恒温槽に入れて、塩化アルミニウム(III)を下記の表1に記載した量ほど投入した後、MMA(メチルメタクリレート)またはMA(メタクリレート)6mlを投入して反応温度が安定化されるまで30分間待った。次いで、下記の表1に記載した量のAIBN(Azobisisobutyronitril)をクロロベンゼン5mlに溶かして前記反応器に注入した。次に、エチレンを35barで反応器に充填し、反応温度を70℃に昇温して20時間間重合を実施した。重合反応が完了された後、反応温度を常温にまで冷却させ、非溶媒であるエタノールを投入して製造された重合体を固体相に沈澱させた(前記塩化アルミニウム(III)の代わりにAlなどのような金属酸化物を使う場合には、エタノールの投入前濾過しこれを回収する段階を更に含む)。この固体相を沈めて上層液を取り除き、またエタノールを添加して固体相を洗浄した後沈めて上層液を取り除き、残っている固体相に粒子を堅固にするために水を添加し撹拌した後、これを濾過して重合体のみを回収した。このように得られた共重合体を60℃の真空オーブンで一日間乾燥した。
【0035】
前記実施例1乃至11及び比較例1乃至4に対する反応条件及び結果を下記の表1に示した。
【0036】
【表1】

【0037】
比較例5
現在市場において、食品包装用パック、食品容器、化粧品容器などの材質として利用されている、エチレン含有量44モル%、質量平均分子量100,000g/mol及び密度1.14g/cmであるエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH、AT4403、Nippon Gohsei)を用いて実施した。
【0038】
[試験例1]
*ガラス転移温度−実施例6、7及び比較例5から得た共重合体をTA Instrument社のDSC Q100に基づいて20乃至150℃の範囲で測定し、これに対する結果を下記の表2に示した。
【0039】
*水分吸収率−実施例1、2、11、12及び比較例5から得た共重合体を直径50mm、厚さ3mmのディスクで製造した後、50℃のオーブンで24時間乾燥し、以後デシケーターで室温に冷却し各ディスクの重さ(m1)を測定した。乾燥したディスクを23℃の蒸溜水に24時間浸漬してから取り出し、表面にある水気をとり除いた後、また重さ(m2)を測定した後、下記の数学式1を利用して計算し、これに対する結果を下記の表3に示した。
【0040】
【数1】

【0041】
*Rockwell硬度−実施例2、3、4及び比較例5から得た共重合体を横及び縦が各々30mm、厚さ3mmの直四角形の試片で製造してInstron社のWilson Rockwell series2000に基づいて測定し、これに対する結果を下記の表4に示した。
【0042】
【表2】

【0043】
前記表2に示したように、本発明のエチレン−アクリレート共重合体はガラス転移温度においてエチレン−ビニルアルコール共重合体(比較例5)より顕著に高いことを確認することができた。
【0044】
【表3】

【0045】
前記表3に示したように、本発明のエチレン−アクリレート共重合体の場合エチレン−ビニルアルコール共重合体(比較例5)に比べて水分をほとんど吸収しないことを確認することができた。
【0046】
【表4】

【0047】
前記表4に示したように、本発明のエチレン−アクリレート共重合体は硬度においてエチレン−ビニルアルコール共重合体(比較例5)より顕著に優秀であることを確認することができた。
【0048】
実施例12
実施例1から製造されたエチレン−メチルメタクレート共重合体粉末10gをテトラヒドロフラン20gに混合した後、この混合物をガラス板に扇形で均等に敷いた。以後レギュレータ(regulator)の刃と下端部との間隔を150μmに維持した後、ガラス板上の混合物溶液を均一に調整してフードの中で乾燥させた。乾燥したガラス板上のフィルムを剥ぎ取って60℃のオーブンで24時間再乾燥させ、厚さ25μmのフィルムを製造した。
【0049】
実施例13
実施例2で製造されたエチレン−メチルメタクレート共重合体粉末を用いたことを除いては、実施例11と同一の方法と条件で厚さ23μmのフィルムを製造した。
【0050】
実施例14
実施例3で製造されたエチレン−メチルメタクレート共重合体粉末を用いたことを除いては、実施例11と同一の方法と条件で厚さ12μmのフィルムを製造した。
【0051】
実施例15
実施例4で製造されたエチレン−メチルメタクレート共重合体粉末を用いたことを除いては、実施例11と同一の方法と条件で厚さ20μmのフィルムを製造した。
【0052】
実施例16
実施例5で製造されたエチレン−メチルメタクレート共重合体粉末を用いたことを除いては、実施例11と同一の方法と条件で厚さ20μmのフィルムを製造した。
【0053】
実施例17
実施例7で製造されたエチレン−メチルアクリレート共重合体粉末を用いたことを除いては、実施例11と同一の方法と条件で厚さ24μmのフィルムを製造した。
【0054】
実施例18
実施例8で製造されたエチレン−メチルアクリレート共重合体粉末を用いたことを除いては、実施例11と同一の方法と条件で厚さ25μmのフィルムを製造した。
【0055】
実施例19
実施例9で製造されたエチレン−メチルアクリレート共重合体粉末を用いたことを除いては、実施例11と同一の方法と条件で厚さ25μmのフィルムを製造した。
【0056】
実施例20
実施例10で製造されたエチレン−メチルアクリレート共重合体粉末を用いたことを除いては、実施例11と同一の方法と条件で厚さ25μmのフィルムを製造した。
【0057】
実施例21
実施例11で製造されたエチレン−メチルメタクレート共重合体粉末が用いられ、レギュレータの刃と下端部との間隔を100μmに調整したことを除いては、実施例12と同一の方法と条件で厚さ15μmのフィルムを製造した。
【0058】
実施例22
レギュレータの刃と下端部との間隔を200μmに調整したことを除いては、実施例21と同一の方法と条件で厚さ30μmのフィルムを製造した。
【0059】
実施例23
レギュレータの刃と下端部との間隔を450μmに調整したことを除いては、実施例21と同一の方法と条件で厚さ70μmのフィルムを製造した。
【0060】
実施例24
レギュレータの刃と下端部との間隔を2,000μmに調整したことを除いては、実施例21と同一の方法と条件で厚さ400μmのフィルムを製造した。
【0061】
実施例25
レギュレータの刃と下端部との間隔を6,000μmに調整したことを除いては、実施例21と同一の方法と条件で厚さ1,200μmのフィルムを製造した。
【0062】
比較例7
比較例1で製造されたエチレン−メチルメタクレート共重合体粉末を用いたことを除いては、実施例12と同一の方法と条件で実施した。結果として、フィルム上の割れ目が生じてフィルムを製造することができなかった。
【0063】
比較例8
比較例2で製造されたエチレン−メチルメタクレート共重合体粉末を用いたことを除いては、実施例12と同一の方法と条件で厚さ20μmのフィルムを製造した。
【0064】
比較例9
実施例6で製造されたエチレン−メチルメタクレート共重合体粉末を用いたことを除いては、実施例12と同一の方法と条件で厚さ4μmのフィルムを製造した。
【0065】
比較例10
比較例3で製造されたエチレン−メチルアクリレート共重合体粉末を用いたことを除いては、実施例12と同一の方法と条件で実施したが、フィルム内の割れ目が生じてフィルムを製造することができなかった。
【0066】
比較例11
比較例4で製造されたエチレン−メチルアクリレート共重合体粉末を用いたことを除いては、実施例12と同一の方法と条件で厚さ24μmのフィルムを製造した。
【0067】
比較例12
比較例5のエチレン−ビニルアルコール共重合体が用いられ、テトラヒドロフランをジメチルスルホキシド(DMSO;dimethyl sulfoxide)に変更されたことを除いては、実施例12と同一の方法と条件で厚さ20μmのフィルムを製造した。
【0068】
[試験例2]
*酸素透過度−前記実施例12乃至20及び比較例7乃至12で製造されたエチレン−メチルメタクリレート共重合体(PEMMA)フィルム、エチレン−メタクリレート共重合体(PEMA)フィルム及びエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルムは、横及び縦10cmの規格の試片に形成され、相対湿度0%、供給される酸素の純度99.9%、供給圧力0.5barの条件で、ガス透過率測定器(Mocon Oxtran)を用いて1時間の間隔で12時間以上測定し、これに対する結果を下記の表5に示した。
【0069】
【表5】

【0070】
前記表5に示したように、本発明による酸素遮断性フィルム(実施例12乃至20)は、酸素透過度が大略0.1乃至0.4の範囲で非常に低いことが分かり、特に分子量が70,000g/モル以上の場合には、酸素透過度が0.1乃至0.3の範囲で酸素遮断性がより優れていることが分かった。
【0071】
比較例7及び10のように、エチレンの含有量が10モル%未満の場合にはフィルムで製造することができなく、比較例8及び11のように平均分子量が30,000g/モル未満の場合と比較例9のようにフィルムの厚さ(4μm)が薄い過ぎる場合には酸素透過度が極めて高いことを確認することができた。
【0072】
従来に使われているエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)材質のフィルム(比較例12)は前記比較例(7乃至11)の場合より酸素遮断性に優れているが、本発明による酸素遮断性フィルム(実施例12乃至20)に比べては劣悪であることを確認することができた。
【0073】
[試験例3]
*フィルムの厚さによる透明度−前記実施例21乃至25で製造されたエチレン−メチルメタクリレート共重合体フィルムは、横及び縦各々2cmの規格の試片に形成され、UV測定器(Agilent 8453)で波長200乃至1000nmの領域において透明度を測定し、これに対する結果を下記の表6に示した。
【0074】
【表6】

【0075】
前記表6に示したように、本発明による酸素遮断性フィルムはその厚さが1,200μmほどまでも透明度が大きく低下されていないことを確認し、したがって5乃至1000μmである場合、産業用透明材質として使用するに適合であることが確認できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン単量体10乃至50モル%とアクリレート系単量体50乃至90モル%とから成り、質量平均分子量が30,000g/モル以上であるエチレン−アクリレート系共重合体を含む酸素遮断性フィルム。
【請求項2】
前記エチレン単量体の含有量は15乃至40モル%であり、前記アクリレート系単量体の含有量は60乃至85モル%であることを特徴とする請求項1に記載の酸素遮断性フィルム。
【請求項3】
前記エチレン−アクリレート系共重合体は、質量平均分子量が70,000g/モル以上であることを特徴とする請求項1に記載の酸素遮断性フィルム。
【請求項4】
前記アクリレート系単量体は、アルキルアクリレート及びアルキルメタクリレートを含む群から選択される1種以上の単量体であることを特徴とする請求項1に記載の酸素遮断性フィルム。
【請求項5】
前記アクリレート系単量体は、直鎖または分岐鎖の炭素数1乃至12であるアルコールのアクリル酸及びメタクリル酸エステルを含む群から選択される1種以上の単量体であることを特徴とする請求項1に記載の酸素遮断性フィルム。
【請求項6】
前記アクリレート系単量体は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソ−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、及び炭素数5乃至12であるアルコールのネオ−異性体のアクリル酸エステルを含む群から選択される1種以上の単量体であることを特徴とする請求項1に記載の酸素遮断性フィルム。
【請求項7】
前記酸素遮断性フィルムは、厚さが5乃至1,000μmであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の酸素遮断性フィルム。
【請求項8】
エチレン単量体10乃至50モル%及びアクリレート系単量体50乃至90モル%とからなり、質量平均分子量が30,000g/モル以上であるエチレン−アクリレート系共重合体を含む酸素遮断性容器。
【請求項9】
前記エチレン単量体の含有量は15乃至40モル%であり、前記アクリレート系単量体の含有量は60乃至85モル%であることを特徴とする請求項8に記載の酸素遮断性容器。
【請求項10】
前記エチレン−アクリレート系共重合体は、質量平均分子量が70,000g/モル以上であることを特徴とする請求項8に記載の酸素遮断性容器。
【請求項11】
前記アクリレート系単量体は、アルキルアクリレート及びアルキルメタクリレートを含む群から選択される1種以上の単量体であることを特徴とする請求項8に記載の酸素遮断性容器。
【請求項12】
前記アクリレート系単量体は、直鎖または分岐鎖の炭素数1乃至12であるアルコールのアクリル酸及びメタクリル酸エステルを含む群から選択される1種以上の単量体であることを特徴とする請求項8に記載の酸素遮断性容器。
【請求項13】
前記アクリレート系単量体は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソ−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、及び炭素数5乃至12であるアルコールのネオ−異性体のアクリル酸エステルを含む群から選択される1種以上の単量体であることを特徴とする請求項8に記載の酸素遮断性容器。
【請求項14】
前記容器は、食品容器、包装容器、化粧品容器または温蔵庫用容器であることを特徴とする請求項8乃至13のいずれかに記載の酸素遮断性容器。

【公表番号】特表2010−506995(P2010−506995A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533247(P2009−533247)
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際出願番号】PCT/KR2007/005101
【国際公開番号】WO2008/048052
【国際公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】