説明

エチレン−テトラフルオロエチレン中間体

式(I)
n2n+1(CH2x[(CF2CF2y(CH2CH2zmG (I)
(式中、Gは、I、OH、OC(O)CH=CH2、OC(O)CCH3=CH2、OC(O)CCl=CH2、NR1H、N3、NCO、SQ、式中、QはH、アルキル、(CH2nOH、(CH2nNH2、(CH2nOC(O)C(Me)=CH2または(CH2nNHC(O)C(Me)=CH2、SCN、COOH、SO3H、NHCOCH=CH2、NHCOC(CH3)=CH2)、OC(O)NHCH2CH2OC(O)C(CH3)=CH2またはOC(O)NHCH2CH2OC(O)C(CH3)=CH2であり、
下付きnは、1〜約6の整数であり、
下付きxは、1〜約6の整数であり、
下付きy、zおよびmは、それぞれ、独立して、1、2または3またはこれらの組み合わせであり、
Gを除いた前記式(I)中の炭素の総数は、約8〜約22の範囲である)
のオリゴマーおよびその調製方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレン−ヨウ化テトラフルオロエチレンオリゴマーおよびそれから誘導された誘導体、特に、アルコール、アクリレート(メソ)アクリレート、アミン、アジド、イソシアネート、チオール、チオシアネート、カルボン酸、スルホン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、ウレタンアクリレートおよびウレタン(メソ)アクリレートの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリフッ素化モノマーは、表面保護剤として有用な様々なフルオロポリマーおよびフルオロエラストマーの調製に用いられて、基板を処理して、基材に様々な表面効果を与える。かかる表面保護剤としては、撥水および撥水剤、防汚剤、粘着防止剤、界面活性剤およびその他処理剤が挙げられる。表面保護業界では、かかる表面保護剤を調製するのに、フッ素化中間体に、本質的に依存している。
【0003】
テトラフルオロエチレンおよびエチレンの共重合は、TEFZEL(E.I. du Pont de Nemours and Companyの登録商標)等の大部分が交互のテトラフルオロエチレンおよびエチレンのコポリマーの調製に商業的に用いられており、約10,000〜約200,000の高分子量のフルオロポリマーである。米国特許第3,956,000号明細書には、ヨウ化パーフルオロエチルまたは1,2−ジヨードテトラフルオロエチレンと、テトラフルオロエチレン、任意で、少量のクロロトリフルオロエチレン、ブロモトリフルオロエチレン、ヨードトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、1,1−ジフルオロエチレンまたはエチレンの短鎖重合により、特定の攪拌エネルギーを加えながら、反応媒体として純水性相を用いて、乳化プロセスを用いて、分子量10,000〜200,000のフルオロカーボンワックスを作製することが開示されている。15%までのテロゲンおよび少なくとも85%のオレフィンを用いることが開示されている。この技術は、分子量2,000未満の有用なオリゴマーヨウ化物を認めるものではない。この特許文献には、テトラフルオロエチレンおよびエチレンのオリゴマー化により、短鎖オリゴマーヨウ化物またはその他有用なオリゴマー誘導体を生成することは開示されていない。
【0004】
表面保護製品の中間体に対する顧客の要望は、常に進化しており、新たな、費用効率の高い、環境に優しい化学中間体および製品が必要とされ続けている。業界は、環境に与える影響が最少で、フッ素効率の高い化合物を探し続けている。特に、高価なフルオロカーボン部分の一部を、より安価で、より容易に生物分解可能な部分に置き換えた短鎖フルオロケミカルが必要とされている。本発明は、かかるフルオロケミカルを提供するものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、式(I)
n2n+1(CH2x[(CF2CF2y(CH2CH2zmG (I)
の化合物を含み、
式中、Gは、ヨウ化物(I)、ヒドロキシル(OH)、アクリレート(OC(O)CH=CH2)、メタクリレート(OC(O)CCH3=CH2)、クロロアクリレートOC(O)CCl=CH2)、アミン(NR1H)、アジド(N3)、イソシアネート(NCO)、チオールまたはチオール誘導体[SQ、式中、Q=H、アルキル、(CH2nOH、(CH2nNH2、(CH2nOC(O)C(Me)=CH2または(CH2nNHC(O)C(Me)=CH2]、チオシアネート(SCN)、カルボン酸(COOH)、スルホン酸(SO3H)、アクリルアミド(NHCOCH=CH2)、メタクリルアミド(NHCOC(CH3)=CH2)、またはウレタン(メソ)アクリレート基([OC(O)NHCH2CH2OC(O)C(CH3)=CH2]および[OC(O)NHCH2CH2OC(O)C(CH3)=CH2])であり、
下付きnは、1〜約6の整数であり、
下付きxは、1〜約6の整数であり、
下付きy、zおよびmは、それぞれ、独立して、1、2または3またはこれらの組み合わせであり、
Gを除いた式(I)中の炭素の総数は、約8〜約22の範囲である。
【0006】
本発明は、さらに、上述した式(I)の化合物の調製方法を含み、Gは、ヨウ化パーフルオロアルキル、ヨウ化パーフルオロアルキルエチルまたはヨウ化パーフルオロアルキルメチルと、テトラフルオロエチレンおよびエチレンの混合物のオリゴマー化を含むヨウ化物であり、ヨウ化物対テトラフルオロエチレンおよびエチレンの混合物の比率が、それぞれ気相中で、約1:3〜約20:1である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
商標は、会社によるものを示してある。
【0008】
「(メソ)アクリレート」という用語は、アクリレートかメタクリレートを示すのに本明細書では用いる。
【0009】
「短鎖」という用語は、鎖中の炭素原子の総数が22以下である化合物を意味するのに本明細書では用いる。
【0010】
本発明は、化合物、特に、オリゴマーヨウ化物およびそのモノマー誘導体を含み、表面保護剤の調製に有用な中間体である。かかる表面保護剤としては、例えば、表面活性剤、様々な基材に表面効果を与える組成物、および過フッ素化末端基が、特別な表面修正特性を与える数多くのその他用途を有する組成物が例示される。表面保護剤で処理された、基材、特に、繊維状および硬質表面基材に与えられる表面効果としては、撥水性、撥油性、汚れ付着防止性およびその他表面効果が例示される。本発明の化合物は、多くの用途について重要な中間体である。本明細書に参考文献として援用されるNandakumar,S.R. and Baker,B.E.,Organofluorine Chemistry;Banks,R.E.;Smart,B.E.;Tatlow,J.C.,Ed.;New York and London,1994;p321を参照のこと。
【0011】
本発明は、式(I)
n2n+1(CH2x[(CF2CF2y(CH2CH2zmG (I)
の化合物を含み、
式中、Gは、I、OH、OC(O)CH=CH2、OC(O)CCH3=CH2、OC(O)CCl=CH2、NR1H、N3、NCO、SQ、式中、QはH、アルキル、(CH2nOH、(CH2nNH2、(CH2nOC(O)C(Me)=CH2または(CH2nNHC(O)C(Me)=CH2、SCN、COOH、SO3H、NHCOCH=CH2、NHCOC(CH3)=CH2)、OC(O)NHCH2CH2OC(O)C(CH3)=CH2またはOC(O)NHCH2CH2OC(O)C(CH3)=CH2であり、
下付きnは、1〜約6の整数であり、
下付きxは、1〜約6の整数であり、
下付きy、zおよびmは、それぞれ、独立して、1、2または3またはこれらの組み合わせであり、
Gを除いた式(I)中の炭素の総数は、約8〜約22の範囲である。
【0012】
式(I)において、Gは、ヨウ化物またはヒドロキシル、アクリレート、メタクリレートまたは上述したその他基等のヨウ化物から誘導される基である。典型的に、ヨウ化物は、まず、オリゴマーとして生成され、モノマーとして用いるのに好適なヒドロキシル、アクリレート、メタクリレートまたはその他化合物が、後述する追加の反応によりヨウ化物から生成される。好ましくは、Gは、ヨウ化物、ヒドロキシルまたは(メソ)アクリレートである。
【0013】
下付きnは、1〜約6、好ましくは、約2〜約4、最も好ましくは、2の正の整数である。下付きxは、1〜約6、好ましくは、1〜約2、最も好ましくは、2である。下付きy、zおよびmは、それぞれ、独立して、1、2、3またはこれらの混合物である。好ましくは、yおよびzは、それぞれ、1であり、mは、1または2である。フルオロカーボン−ハイドロカーボン鎖(Gを除いた式(I))中の炭素の総数は、約8〜約22、好ましくは、約8〜約18、より好ましくは、約8〜約14である。式(I)の化合物の最大分子量は、約200〜約1500、好ましくは、約400〜約1200、より好ましくは、400〜約1000、より好ましくは、約800未満である。
【0014】
本発明の化合物の特に好ましい実施形態は、1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−G−オクタン、1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロ−1−G−デカンまたはこれらの混合物を含み、Gは上に定義したとおりである。これらには、以下のものが含まれる。
A)1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−ヨードオクタン、
B)1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロ−1−ヨードデカンまたはA)およびB)の混合物、
C)1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−ヨードデカン、
D)1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロ−1−ヨードテトラデカンまたはA)および/またはB)および/またはC)および/またはD)の混合物、
E)1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−オクタノール、
F)1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロ−1−ドデカノールまたはE)およびF)の混合物、
G)1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−デカノール、
H)1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロ−1−テトラデカノールE)および/またはF)および/またはG)および/またはH)の混合物、
I)1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロオクチルアクリレート、
J)1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロドデシルアクリレートまたはI)およびJ)の混合物、
K)1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロデシルアクリレート、
L)1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロテトラデシルアクリレートまたはI)および/またはJ)および/またはK)および/またはL)の混合物、
M)1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロオクチルメタクリレート、
N)1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロドデシルメタクリレートまたはM)およびN)の混合物、
O)1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロデシルメタクリレート、
P)1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロ−テトラデシルメタクリレートまたはM)および/またはN)および/またはOおよび/またはP)の混合物、
Q)1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロオクチルクロロアクリレート、
R)1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロドデシルクロロアクリレートまたはO)およびR)の混合物、
S)1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロデシルクロロアクリレート、ならびに、
T)1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロテトラデシルクロロアクリレートまたはQ)および/またはR)および/またはS)および/またはT)の混合物。
【0015】
本発明は、さらに、Gがヨウ化物である上記した式(I)の化合物の調製方法も含む。本発明の化合物は、テトラフルオロエチレンおよびエチレンの混合物により、フルオロアルキルヨウ化物をオリゴマー化して、フッ素化オリゴマーエチレン−テトラフルオロエチレンヨウ化物を生成することにより調製される。これらヨウ化物を用いて、表面保護剤を調製するための重合反応においてモノマーとして有用なアルカノール、(メソ)アクリレートおよびその他誘導体が調製される。
【0016】
このオリゴマー化反応の初期生成物は、密接に関係したオリゴマーの混合物である。主に得られるオリゴマーに加えて、かかる反応の性質から、やや長いまたは短い鎖長のその他のオリゴマーがあるであろう。予測した交互の順番から外れたエチレンとテトラフルオロエチレンの少ない割合のオリゴマーもあるであろう。上式(I)には、オリゴマー化反応からのオリゴマーと、そのアルコールおよび(メソ)アクリレート誘導体の元の混合物ばかりでなく、これらの混合物の精製または部分精製形態と各混合物の各成分も含まれるものとする。
【0017】
必要に応じて、反応混合物中の主要化学物質は、溶解度、融点、蒸気圧およびその他特徴の違いによって、個々の成分へと分離することができる。例えば、アセトニトリルおよびテトラヒドロフランのかかる成分の比溶解度は、以下の実施例で示されるとおり、かかる精製において有用であることが分かった。当業者であれば容易に判断されるとおり、その他溶媒および方法も用いることができる。
【0018】
実際的観点から、最も単純な精製を超えるものは、不要な費用となることが多い。本発明の中間体を、商業製品(例えば、表面保護剤)へ変換するとき、本発明のオリゴマーは全て、存在する主要オリゴマーと同様の特性を示し、最終製品への有用な添加物と見込まれる。
【0019】
本発明の式(I)のヨウ化物化合物の調製のためのテロゲン反応物質として有用なフルオロアルキルヨウ化物としては、Cn2n+1CH2CH2I、Cn2n+1CH2IおよびCn2n+1I(式中、nは1〜約6の整数である)が挙げられる。好ましくは、nは、約2〜約4、より好ましくは、nは2である。最も好ましいフルオロアルキルヨウ化物反応物は、パーフルオロエチルエチルヨウ化物である。
【0020】
本発明の式(I)のヨウ化物、Cn2n+1(CH2x[(CF2CF2y(CH2CH2zmI(式中、m、n、x、yおよびzは上に定義したとおりである)は、エチレン(ET)およびテトラフルオロエチレン(TFE)の混合物を用いた、Cn2n+124I、Cn2n+1CH2IまたはCn2n+1Iのオリゴマー化により好ましくは調製される。反応は、室温〜約150℃までの任意の温度で、好適なラジカル開始剤により、行うことができる。好ましくは、反応は、約40℃〜約100℃の温度で、その範囲内で約10時間の半減期を有する開始剤により行われる。気相中の出発材料の供給比、すなわち、Cn2n+124I、Cn2n+1CH2IまたはCn2n+1Iのモル対エチレンおよびテトラフルオロエチレンを併せたモル、を用いて、反応の変換を制御することができる。このモル比は、約1:3〜約20:1、好ましくは、約1:2〜10:1、より好ましくは約1:2〜約5:1である。エチレン対テトラフルオロエチレンのモル比は、約1:10〜約10:1、好ましくは約3:7〜約7:3、より好ましくは、約4:6〜約6:4である。
【0021】
本発明の式(I)のアルコールCn2n+1(CH2x[(CF2CF2y(CH2CH2zmOH(式中、m、n、x、yおよびzは上に定義したとおりである)は、上記のオリゴマーヨウ化物(Cn2n+124I、Cn2n+1CH2IまたはCn2n+1I)から、発煙硫酸処理および加水分解を用いて、調製される。例えば、発煙硫酸(15%SO3)と、約60℃で、約1.5時間反応させた後、氷冷希釈K2SO3溶液を用いた加水分解の後、約100℃まで、約30分間加熱すると、満足いく結果が得られることが分かった。ただし、その他の反応条件を用いることもできる。周囲室温まで冷やすと、固体が沈殿し、これを単離して精製する。例えば、液体の上澄みを取り、固体をエーテルに溶解し、NaClで飽和した水で洗い、無水Na2SO4で乾燥し、濃縮して、真空下で乾燥する。その他の通常の精製手順を用いることができる。
【0022】
あるいは、本発明の式(I)のアルコールは、上記のオリゴマーヨウ化物(Cn2n+124I、Cn2n+1CH2IまたはCn2n+1I)を、N−メチルホルムアミドと共に、約150℃まで加熱し、約19時間保持することにより調製することができる。反応混合物を水で洗うと残渣が得られる。この残渣とエタノールおよび濃塩酸の混合物を、約2.5時間、温和に還流(約85℃の浴温度で)する。反応混合物を水で洗い、ジクロロメタンで希釈し、硫酸ナトリウムで乾燥する。ジクロロメタン溶液を濃縮し、減圧で蒸留すると、アルコールが得られる。任意で、N,Nジメチルホルムアミドを、N−メチルホルムアミドの代わりに用いることができる。その他の通常の精製手順も用いることができる。
【0023】
本発明の式(I)の(メソ)アクリレート、Cn2n+1(CH2x[(CF2CF2y(CH2CH2zmOC(O)CR=CH2(式中、Rは、H、メチルまたはCl)は、式(I)のオリゴマーアルコールCn2n+1(CH2x[(CF2CF2y(CH2CH2zmOHから、トリエチルアミンおよびテトラヒドロフランを添加した後、塩化アクリロイル、塩化メタクリロイルまたはクロロアクリロイルと、それらをテトラヒドロフランに滴下して添加することにより反応させて調製される。固体を、典型的にはろ過により除去し、テトラヒドロフランで洗って、通常、エーテル抽出により精製し、水で洗い、濃縮し、真空下で乾燥する。
【0024】
任意で、本発明の式(I)の(メソ)アクリレート、Cn2n+1(CH2x[(CF2CF2y(CH2CH2zmOC(O)CR=CH2(式中、RはH、メチルまたはCl)は、式(I)のオリゴマーアルコール、Cn2n+1(CH2x[(CF2CF2y(CH2CH2zmOHから、アクリル、メタクリルまたはクロロアクリル酸と、酸触媒、例えば、トルエンスルホン酸および溶媒、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタンまたはトルエンを存在させて反応させることにより調製することができる。
【0025】
本発明の式(I)のアジドCn2n+1(CH2x[(CF2CF2y(CH2CH2zm3(式中、m、n、x、yおよびzは、上述したとおりである)は、オリゴマーヨウ化物(Gがヨウ化物である式(I)、)から、ナトリウムアジドを用いて、文献(Rondestvedt,C.S.,Jr.;Thayer,G.L.,Jr.J.Org.Chem.1977,42,2680)に開示された修正手順により、調製される。ヨウ化物のアジドへの置換は、アセトニトリルおよび水を、約3:1の比率で含む混合溶媒系で、ナトリウムアジドを用いて、90℃で定量的収率で実施される。あるいは、ジメチルホルムアミド−水、アセトン−水、イソプロピルアルコール−水を含む溶媒系またはその他同様の溶媒系を、この反応に、同様の条件で用いることができる。Cambonらに記載されている相間移動反応を、この変換に用いることができるが、これだと、100℃で36時間後、アジドの収率はあまり高くない(20〜30%)(Trabelsi,H.;Szoenyi,F.;Michelangeli,N.;Cambon,A..J.Fluorine Chem.,1994,69,115−117)。
【0026】
本発明の式(I)のアミンCn2n+1(CH2x[(CF2CF2y(CH2CH2zmNH2(式中、m、n、x、yおよびzは、上述したとおりである)は、上記のオリゴマーアジドから、ヒドラジン水和物およびNi−ラネーを用いて還元により、修正した文献の手順(Trabelsi,H.;Szoenyi,F.;Michelangeli,N.;Cambon,A.J.Fluorine Chem.,1994,69,115−117)に従って、調製される。オリゴマーアジドのアミンへの変換は、1:1水およびエタノールを含む混合溶媒系で、60°で12時間、ヒドラジン水和物/Ni−ラネーおよびナトリウムアジドを用いて実施される。あるいは、Pt/Cを用いた接触水素化またはその他還元剤を含む様々な条件を用いて、この変換を行うこともできる。
【0027】
本発明の式(I)のチオールCn2n+1(CH2x[(CF2CF2y(CH2CH2zmSH(式中、m、n、x、yおよびzは上述したとおりである)は、オリゴマーヨウ化物(Gがヨウ化物である式(I))から、チオウレアとの反応後、チオウロニウム塩の加水分解により、文献の手順(Rondestvedt,C.S.,Jr.;Thayer,G.L.,Jr.J.Org.Chem.1977,42,2680)に従って、調製される。オリゴマーヨウ化物は、チオウレアと、エタノール中で、36時間還流し、水酸化ナトリウムを用いて加水分解すると、対応のオリゴマーチオールが得られる。あるいは、エタノール中で、NaSHを用いた置換反応を用いて、この変換を行うことができる。
【0028】
本発明の式(I)の硫黄含有アルコールCn2n+1(CH2x[(CF2CF2y(CH2CH2zmS(CH2rOH(式中、m、n、x、yおよびzは上述したとおりであり、rは1〜5である)は、オリゴマーヨウ化物(Gがヨウ化物である式(I))から、2−メルカプトエタノールとの置換反応により、文献の手順(Rondestvedt,C.S.,Jr.;Thayer,G.L.,Jr.J.Org.Chem.1977,42,2680)に従って、調製される。オリゴマーヨウ化物は、2−メルカプトエタノールおよび水酸化ナトリウムと、tert−ブタノール中で、12時間還流すると、対応のオリゴマーヒドロキシエチルスルフィドが得られる。
【0029】
本発明の式(I)の硫黄含有アミンCn2n+1(CH2x[(CF2CF2y(CH2CH2zmS(CH2rNH2(式中、m、n、x、yおよびzは、上述したとおりであり、rは1〜5である)は、オリゴマーヨウ化物(Gがヨウ化物である式(I))から、2−アミノエタンチオールとの置換反応により、文献の手順(Rondestvedt,C.S.,Jr.;Thayer,G.L.,Jr.J.Org.Chem.1977,42,2680)に従って、調製される。オリゴマーヨウ化物は、塩酸2−メルカプトエチルアミンおよび水酸化ナトリウムと、tert−ブタノール中で、12時間還流すると、対応のオリゴマーアミノエチルスルフィドが得られる。
【0030】
本発明の式(I)のチオシアネートCn2n+1(CH2x[(CF2CF2y(CH2CH2zmSCN(式中、m、n、x、yおよびzは、上述したとおりである)は、オリゴマーヨウ化物(Gがヨウ化物である式(I))から、チオシアン化カリウムとの、エタノール中、または相間移動条件下で、文献(Trabelsi,H.;Szoenyi,F.;Michelangeli,N.;Cambon,A..J.Fluorine Chem.,1994,69,115−117)に記載されたとおりにして、調製される。オリゴマーチオシアネートは、Cn2n+1(CH2x[(CF2CF2y(CH2CH2zmSO2ClおよびCn2n+1(CH2x[(CF2CF2y(CH2CH2zmSO2H等のその他の有用な中間体へ変換することができる。
【0031】
本発明の式(I)のカルボン酸Cn2n+1(CH2x[(CF2CF2y(CH2CH2zmCO2H(式中、m、n、x、yおよびzは、上述したとおりである)は、オリゴマーヨウ化物(Gがヨウ化物である式(I))から、Mgとの反応の後、CO2によるアルキルマグネシウム試薬の処理により、文献(Jouani,A.M.;Szonyi,F.;Cambon,A,J.Fluorine Chem.,1992,56,85−92)に記載されたとおりにして、調製される。
【0032】
本発明の式(I)のイソシアネートCn2n+1(CH2x[(CF2CF2y(CH2CH2zmNCO(m、n、x、yおよびzは、上述したとおりである)は、オリゴマーヨウ化物(Gがヨウ化物である式(I))から、PCl5を用いた、上述したカルボン酸の、対応の酸塩化物への変換の後、トリメチルシリルアジドまたはナトリウムアジドとの処理により調製される(Jouani,A.M.;Szonyi,F.;Cambon,A,J.Fluorine Chem.,1992,56,85−92)。
【0033】
本発明の式(I)の(メソ)アクリルアミドCn2n+1(CH2x[(CF2CF2y(CH2CH2zmNHC(O)CR=CH2(式中、Rは、H、メチルまたはCl)は、式(I)のオリゴマーアミンCn2n+1(CH2x[(CF2CF2y(CH2CH2zmNH2から、トリエチルアミンおよび塩化メチレンを添加した後、塩化アクリロイルまたはメタクロイルまたはクロロアクリロイルと、それらを塩化メチレンに滴下して添加することにより反応させて調製される。生成物は、典型的に、水性検査により、塩化メチレンを、抽出溶媒として用いて、単離される。
【0034】
本発明の式(I)のウレア(メソ)アクリレートCn2n+1(CH2x[(CF2CF2y(CH2CH2zmNHC(O)NHCH2CH2O(CO)CR=CH2(式中、RはH、メチル)は、式(I)のオリゴマーアミン、Cn2n+1(CH2x[(CF2CF2y(CH2CH2zmNH2から、対応の2−イソシアネートエチル(メソ)アクリレートとの、塩化メチレン中での反応により、調製される。固体生成物は、典型的に、ろ過により除去され、再結晶により精製される。
【0035】
本発明の式(I)のウレタン(メソ)アクリレートCn2n+1(CH2x[(CF2CF2y(CH2CH2zmOC(O)NHCH2CH2O(CO)CR=CH2(式中、Rは、H、メチル)は、式(I)のオリゴマーアルコール、Cn2n+1 (CH2x [(CF2CF2y(CH2CH2zmOHから、対応の2−イソシアネートエチル(メソ)アクリレートとの、塩化メチレン中での反応により、調製される。固体生成物は、典型的に、ろ過により除去され、塩化メチレン/ヘキサンの混合物により繰り返し洗うことにより、精製される。
【0036】
本発明の式(I)のチオール誘導体、(メソ)アクリレート、Cn2n+1(CH2x[(CF2CF2y(CH2CH2zmS(CH2rO−C(O)NHCH2CH2O(CO)CR=CH2(式中、Rは、H、メチルまたはClであり、rは1〜5である)は、式(I)のオリゴマーアルコール、Cn2n+1(CH2x[(CF2CF2y(CH2CH2zmS(CH2rOHから、塩化アクリロイルまたは塩化メタクリロイルまたは塩化クロロアクリロイルとの、トリエチルアミンおよび塩化メチレン中での反応により、調製される。
【0037】
本発明の式(I)のチオール誘導体、ウレタン(メソ)アクリレート、Cn2n+1(CH2x[(CF2CF2y(CH2CH2zmS(CH2rO−C(O)NHCH2CH2O(CO)CR=CH2(式中、Rは、H、メチルであり、rは、1〜5である)は、式(I)のオリゴマーアルコール、Cn2n+1(CH2x[(CF2CF2y(CH2CH2zmS(CH2rOHから、対応の2−イソシアネートエチル(メソ)アクリレートとの、塩化メチレン中での反応により、調製される。
【0038】
本発明の式(I)のチオール誘導体、(メソ)アクリルアミド、Cn2n+1(CH2x[(CF2CF2y(CH2CH2zmS(CH2rNHC(O)CR−CH2(式中、Rは、H、メチルまたはClであり、rは、1〜5である)は、式(I)のオリゴマーアミン、Cn2n+1(CH2x[(CF2CF2y(CH2CH2zmS(CH2rNH2から、塩化アクリロイルまたは塩化メタクリルロイルまたは塩化クロロアクリロイルとの、トリエチルアミン中、塩化メチレン中での反応により、調製される。
【0039】
本発明の式(I)のチオール誘導体、ウレア(メソ)アクリレート、Cn2n+1(CH2x[(CF2CF2y(CH2CH2zmS(CH2rNH−C(O)NHCH2CH2O(CO)CR=CH2(式中、Rは、H、メチルであり、rは、1〜5である)は、式(I)のオリゴマーアミン、Cn2n+1(CH2x[(CF2CF2y(CH2CH2zmS(CH2rNH2から、対応の2−イソシアネートエチル(メソ)アクリレートとの、塩化メチレン中での反応により、調製される。
【0040】
アルコールおよび(メソ)アクリレート、アミン、チオール、チオシアネートおよびその他誘導体の調製で上述した一般的方法を実施例でより詳細に説明する。当然ながら、上記の方法の多くの変形を、当業者であれば行える。
【0041】
本発明の化合物は、表面処理化学物質およびポリマーの調製における中間体として有用である。上述したとおり、本発明のヨウ化物およびアルコールは、アクリレート、(メソ)アクリレートおよびその他誘導体を調製するのに有用である。(メソ)アクリレートは、ポリマー表面処理化学物質を調製するためのコモノマーとして有用な中間体である。上記のアルコールはまた、界面活性剤および撥水用途についての対応のホスフェート、アルコキシレートおよびポリウレタンの調製のための有用な中間体でもある。本発明の方法は、上述した様々な誘導体を調製するための中間体として用いるヨウ化物を提供するのに有用である。
【0042】
以下の実施例は、本発明を例示するためだけのものであり、本発明を決して限定するものとして解釈してはならない。
【0043】
実施例1
400mLの振とう管に、ヨウ化パーフルオロエチルエチル(PFEEI)(45g)およびE.I. du Pont de Nemours and Company,Wilmington,DEより入手可能なVAZO64(1g)、重合開始剤を入れた。冷排気後、エチレン(6g)およびテトラフルオロエチレン(25g)を添加した。得られた混合物を、80℃まで20時間加熱した。未反応のヨウ化パーフルオロエチルエチルを、真空蒸留により、室温で回収した。残りの固体を、CH3CN(3×100mL)で抽出した。CH3CN抽出物を濃縮し、減圧で蒸留したところ、純粋なヨウ化物1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−ヨードオクタンが得られた。CH3CN抽出後に残った固体を温テトラヒドロフランで抽出した。テトラヒドロフラン抽出物を濃縮し、乾燥したところ、純粋な1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロ−1−ヨードドデカンが得られた。テトラヒドロフラン抽出後に残った固体は、主に、式C25(CH2CH2CF2CF2nCH2CH2I(式中、n=3以上のオリゴマー)のヨウ化物であり、一般的な溶媒への溶解度が非常に低い。
【0044】
生成物、1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−ヨードオクタンおよび1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロ−1−ヨードドデカンを、H NMRおよびF NMRにより特定したところ、以下のとおりであった。1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−ヨードオクタン:融点75−77oC:
H NMR(CDCl3)2.33(m,4H),2.68(m,2H),3.24(m,2H)ppm。
F NMR(CDCl3)−85.9(s,3F),−115.8(m,4F),−119.2(m,2F)ppm。
【0045】
1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロ−1−ヨードドデカン:融点125−8oC:
H NMR(アセトン−d6)2.46(m,8H),2.77(m,2H),3.37(m,2H)ppm。
F NMR(アセトン−d6)−86.7(s,3F),−117.1(m,6F),−117.3(m,2F),−119.5(m,2F)ppm。
【0046】
実施例2
400mLの振とう管に、ヨウ化パーフルオロエチル(PFEI)(25g)、実施例1同様VAZO64(0.4g)およびヘキサン(5mL)を入れた。冷排気後、エチレン(6g)およびテトラフルオロエチレン(25g)を添加した。得られた混合物を、60℃まで1時間、80℃まで10時間加熱した。揮発物を、真空蒸留により、室温で回収した。残りの固体(20g)を、CH3CN(3×50mL)で抽出した。CH3CN抽出物を濃縮して、10.5gの固体を得た。これは、主に、1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−ヨードオクタンであった。CH3CN抽出後に残った固体を温テトラヒドロフラン(2×50mL)で抽出した。テトラヒドロフラン抽出物を濃縮し、乾燥して、5gの固体を得た。これは、主に、1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロ−1−ヨードドデカンであった。テトラヒドロフラン抽出後に残った固体は、主に、式C25(CH2CH2CF2CF2nCH2CH2I(式中、n=3以上のオリゴマー)のヨウ化物であった。
【0047】
実施例3
1ガロンのリアクタに、ヨウ化パーフルオロエチルエチル(PFEEI)(850g)を入れた。冷排気後、エチレンとテトラフルオロエチレンを、27:73の比率で、圧力が60psig(413.7×103Pa)に達するまで添加した。反応物を70℃まで加熱した。さらに、エチレンとテトラヒドロフランを、27:73の比で、圧力が160psig(1103.2×103Pa)に達するまで添加した。過酸化ラウロイル溶液(150gヨウ化パーフルオロエチルエチル中4g過酸化ラウロイルを、1mL/分の速度で1時間にわたって添加した。ガス供給比を、1:1のエチレンとテトラフルオロエチレンに調整し、圧力を160psig(1103.2×103Pa)に保った。約67gのエチレンを添加した後、エチレンとテトラフルオロエチレン供給の両方を停止した。反応物を70℃でさらに8時間加熱した。揮発物を、真空蒸留により、室温で除去した。オリゴマーヨウ化エチレン−テトラフルオロエチレン(773g)の固体が得られた。
【0048】
実施例4
400mLの振とう管に、ヨウ化パーフルオロブチルエチル(PFBEI)(75g)および実施例1同様VAZO64(1.5g)を入れた。冷排気後、エチレン(6g)およびテトラフルオロエチレン(25g)を添加した。得られた混合物を、80℃まで20時間加熱した。同じことを10回行って、反応混合物を併せて、未反応のヨウ化パーフルオロブチルを、真空蒸留により、室温で回収した。残りの固体(648g)を、CH3CN(10×300mL)で抽出した。併せたCH3CN抽出物を濃縮し、減圧で蒸留し、ヨウ化1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−ヨードデカンを得た。CH3CN抽出後に残った固体は、主に、1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロ−1−ヨードテトラデカンおよび高級オリゴマーであった。生成物、1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−ヨードデカンを、H NMRおよびF NMRにより特定したところ、以下のとおりであった。1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−ヨードデカン:融点72〜74℃:H NMR(CDCl3)2.36(m,4H),2.69(m,2H),.25(m,2H)ppm。F NMR(CDCl3)−81.5(tt,J=10,3Hz,3F),−115.3(m,2F),−115.7(m,4F),−124.7(m,2F),−126.4(m,2F)ppm。
【0049】
実施例5
実施例1で調製した1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−ヨードオクタン(10g)および発煙硫酸(15%SO3、20mL)の混合物を、60℃まで、1.5時間加熱した。K2SO3溶液(1.5%、氷水150mL)を、氷水浴で冷やしながら、反応混合物に添加した。得られた混合物を、100℃まで30分加熱した。室温まで冷却すると、固体が沈殿した。液体の上澄みを取り、固体をエーテル(200mL)に溶解し、水(2×50mL)、NaCl(飽和50mL)で洗い、無水Na2SO4で乾燥し、濃縮し、真空で乾燥して、1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−オクタノール7g、収率96%、融点48−9℃が得られた。生成物1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−オクタノールを、H NMRおよびF NMRにより特定したところ、以下のとおりであった。H NMR(CDCl3)1.51(t,J=6Hz,1H),2.34(m,6H),2.47(m,2H),3.97(q,J=6Hz,2H)ppm。F NMR(CDCl3)−85.9(s,3F),−114.1(m,2F),−116.0(m,2F),−119.2(m,2F)ppm。
【0050】
実施例6
実施例1で調製した1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−ヨードオクタン(136.91g,248.88mmol)およびN−メチルホルムアミド(NMF)(273mL)の混合物を150℃まで19時間加熱した。反応混合物を水(4×500mL)で洗って、残渣Aを得た。この残渣、エタノール(200mL)および濃塩酸(1mL)の混合物を、2.5時間、温和に還流(85℃浴温度)した。反応混合物を、水(200mL×2)で洗い、ジクロロメタン(200mL)で希釈し、硫酸ナトリウムで一晩乾燥した。ジクロロメタン溶液を濃縮し、減圧で蒸留したところ、1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−オクタノール、50.8gが得られた。
【0051】
実施例7
オリゴマーヨウ化物混合物F(CF2CF2CH2CH2nI(ヨウ化物の分離なしで、実施例2に記載した通りにして調製)式中、n=2,3は、約2:1の比率での主成分であった)(46.5g)を、N−メチルホルムアミド(NMF)(273mL)と混合し、150℃まで19時間加熱した。反応混合物を、水(4×500mL)で洗って、残渣を得た。この残渣の混合物、エタノール(200mL)および濃塩酸(1mL)を、24時間、温和に還流した(85℃浴温度)。反応混合物を水(300mL)に注いだ。固体を水(2×75mL)で洗い、真空(2トル、267Pa)で乾燥したところ、固体24.5gが得られた。約2gの生成物が昇華した。オリゴマーアルコールの総収率は26.5gであった。
【0052】
実施例8
N−メチルホルムアミド(135mL)および実施例1で調製した1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロ−1−ヨードデカン(65.62g)の混合物を、150℃まで4時間加熱した。反応混合物を水(1L)で洗い、固体生成物を得た。この固体生成物にエタノール(150mL)および濃塩酸(1mL)を添加し、19時間還流(85℃)で加熱した。反応混合物を、水(500mL)に注ぎ、得られた固体を水(3×300mL)で洗い、真空で乾燥したところ、1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロ−1−ドデカノール(50.8g)、収率98%、融点112−5oCを得られた。
【0053】
生成物1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロ−1−ドデカノールを、H NMRおよびF NMRにより特定したところ、以下のとおりであった。
H NMR(CDCl3)1.52(br s,1H),2.34(m,10H),3.97(q,J=6Hz,2H)ppm。
F NMR(CDCl3)−85.9(s,3F),−114.2(m,2F),−115.8(m,4F),−116.1(m,2F),−119.2(m,2F)ppm。
【0054】
実施例9
100mLのフラスコに、実施例6で調製した1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロオクタノール(24.1g)、トリエチルアミン(10.8g)およびテトラヒドロフラン(10mL)を入れた。テトラヒドロフラン(10mL)中塩化アクリロイル(9.7g)を、約10℃で滴下して添加した。さらに30mLのテトラヒドロフランを添加し、得られた混合物を室温で22時間攪拌した。反応混合物を水(150mL)に注ぎ、ジクロロメタン(300mL)で抽出した。ジクロロメタン抽出物を水(4×100mL)で洗い、中和し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、阻害剤(ジクロロメタン中4−メトキシフェノール1グラム当たり1505マイクログラムの溶液6.06g)を添加した。溶液を濃縮し、減圧で蒸留して、1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロオクチルアクリレート、24.1g、15トル(2000 Pa)で沸点31−50℃、84%収率が得られた。生成物1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルロオクチルアクリレートを、C NMR、H NMRおよびF NMRにより特定したところ、以下のとおりであった。C NMR(CDCl3)22.0(tt,J=28,4Hz),23.2(tt,J= 23,5Hz),29,6(t,J=22Hz),57.1(t,J=5Hz),115.1(tq,J=253,38Hz),118.00(tt,J=253,37Hz),118.03(tt,J=250,38Hz),119.0(qt,J=285,35Hz),128.0,131.4,165.8ppm。H NMR(CDCl3)2.34(m,4H),2.47(m,2H),4.45(t,J=7Hz,2H),5.86(dd,J=10,1.4,1H),6.12(dd,J=17,10,1H),6.43(dd,J=17,1.4,1H)ppm。F NMR(CDCl3)−85.9(s,3F),−114.4(m,2F),−115.9(m,2F),−119.2(m,2F)ppm。
【0055】
実施例10
500mLのフラスコに、実施例4のオリゴマーアルコール(24.5g)、トリエチルアミン(9.8g)およびテトラヒドロフラン(100mL)を入れた。テトラヒドロフラン(10mL)中塩化アクリロイル(8.8g)を、約10℃で滴下して添加した。さらに40mLのテトラヒドロフランを添加し、得られた混合物を室温で15時間、次に、30℃で2時間攪拌した。固体をろ過により除去し、テトラヒドロフラン(50mL)で洗った。併せたろ液および洗浄液を濃縮して残渣を得た。残渣をエーテル(600mL)と混合し、エーテル不溶固体をろ過により除去した。エーテル溶液を、NaHCO3で洗って、ほぼ中性とし、水(3×50mL)、NaCl(飽和)で洗い、無水Na2SO4で乾燥し、濃縮し、真空で乾燥して、固体アクリレート生成物19.8gとした。
【0056】
実施例11
100mLのフラスコに、実施例6で調製した1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロオクタノール(2.5g)、トリエチルアミン(1.2g)およびテトラヒドロフラン(10mL)を入れた。テトラヒドロフラン(6mL)中塩化メタクリロイル(1.2g)を、約10℃で滴下して添加した。さらに30mLのテトラヒドロフランを添加し、得られた混合物を室温で18時間攪拌した。反応混合物を水(150mL)に注ぎ、ジクロロメタン(3×50mL)で抽出した。ジクロロメタン抽出物を、中性になるまで水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、阻害剤(ジクロロメタン中4−メトキシフェノール1グラム当たり1505マイクログラムの溶液0.154g)を添加した。溶液を濃縮し、真空で乾燥して、ワックス生成物、2.86g、93%の収率を得た。1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルロオクチルメタクリレートを、H NMRおよびF NMRにより特定したところ、以下のとおりであった。H NMR(CDCl3)1.95(m,3H),2.34(m,4H),2.46(m,2H),4.44(t,J=7Hz,2H),5.59(m,1H),6.13(m,1H)ppm。F NMR(CDCl3)−85.9(s,3F),−114.4(m,2F),−115.9(m,4F),−119.2(m,2F)ppm。
【0057】
実施例12
500mLのフラスコに、実施例8で調製した1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロドデカノール(33.9g)、トリエチルアミン(10.7g)およびテトラヒドロフラン(200mL)を入れた。テトラヒドロフラン(10mL)中塩化アクリロイル(9.5g)を、約14℃で滴下して添加した。得られた混合物を室温で15時間攪拌した。反応混合物を真空で蒸留し、溶媒を除去した。得られた残渣をエーテル(3×300mL)で抽出した。併せたエーテル抽出物を、水(2×150mL)で洗い、Na2SO4で乾燥し、濃縮し、真空で乾燥して、8.95gの生成物を得た。エーテル抽出残渣をアセトン(400mL)と混合して、シリカゲルカラム(約300gのシリカゲル)に通した。カラムをアセトン(2×500mL)で濯いだ。併せたアセトン溶液を濃縮し、真空で乾燥したところ、22gの生成物が得られた。併せた収率は8.95g+22g=31.95g、84%、融点78−79℃であった。生成物1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロドデシルアクリレートを、H NMRおよびF NMRにより特定したところ、以下のとおりであった。H NMR(アセトン−d6)2.49(m,10H),4.45(t,J=7Hz,2H),5.92(dd,J=10,1.7,1H),6.15(dd,J=17,10,1H),6.38(dd,J=17,1.6,1H)ppm。F NMR(アセトン−d6)−86.8(s,3F),−115.9(m,2F),−117.1(4F),−117.4(2F),−119.6(m,2F)ppm。
【0058】
実施例13
発煙硫酸(15%SO3、125mL)および実施例1で調製した1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−ヨードデカン(12g)の混合物を、60℃まで2時間にわたって加熱した。Na2SO3溶液(4g,水100mL中)を、徐々に反応混合物に、60℃の浴で、65℃〜90℃の内部温度で添加した。得られた混合物を90℃で30分加熱した。室温まで冷やすと、固体が沈殿した。液体の上澄みを取り、固体をエーテル(150mL)に溶解し、Na2SO3(1M,20mL)、水(2×20mL)、NaCl(飽和20mL)で洗い、無水Na2SO4で乾燥し、濃縮し、真空で乾燥したところ残渣が得られ、これをさらに蒸留により精製したところ、オフホワイトの固体6.2g、2トル(267Pa)で沸点65−79℃の1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−デカノールが得られた。生成物を、MS、H NMRおよびF NMRにより特定したところ、以下のとおりであった。MS(m/e)392(M+,0.16%),372(3.3%),342(60%),323(53%),223(29%),95(100%)。H NMR(CDCl3)1.58(s,1H),2.36(m,6H),3.97(t,J=7Hz,2H)ppm。F NMR(CDCl3)−81.5(tt,J=9.5,3Hz,3F),−114.1(m,2F),−115.4(m,2F),−116.0(m,2F),−124.8(m,2F),−126.4(m,2F)ppm。
【0059】
実施例14
1Lのフラスコに、実施例1で調製した1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−ヨードデカン(135.3g)およびN−メチルホルムアミド(250mL)を入れた。混合物を150℃まで15時間加熱した。反応混合物を室温まで冷やし、水(600mL)を添加し、数分攪拌した。下層を単離し、水(3×800mL)で洗った。エタノール(290mL)および濃塩酸(約1mL)を添加した。混合物を、還流で22時間加熱した。エタノールを蒸留により除去した。残渣を水(3×100mL)で洗った。ジクロロメタン(250mL)を添加し、得られた溶液を水(2×100mL)で再び洗って、炭酸ナトリウムの水溶液でpH〜7まで中和した。ジクロロメタン溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して、さらに蒸留により減圧下で精製したところ、白色固体、1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルロ−1−デカノール、60.2gが得られた。
【0060】
実施例15
100mLのフラスコに、実施例13で調製した1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロデカノール(5.4g)、トリエチルアミン(1.8g)およびテトラヒドロフラン(20mL)を入れた。テトラヒドロフラン(2mL)中塩化メタクリロイル(1.7g)を、室温で滴下して添加した。得られた混合物を室温で15時間攪拌した。得られた固体をろ過により除去し、エーテル(2×50mL)で洗った。併せたろ液および洗浄液を、水(2×10mL)、HCl(0.05N、10mL)、水(10mL)、NaCl(飽和10mL)で洗い、濃縮し、真空で乾燥したところ、油5.75g、収率91%が得られた。生成物1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロデシルメタクリレートを、H NMRおよびF NMRにより特定したところ、以下のとおりであった。MS(m/e)460(M+,15%),445(0.3%),375(0.1%),335(5.7%),277(2.4%),95(100%)。NMR H NMR(CDCl3)1.87(s,3H),2.31(m,6H),4.36(t,J=7Hz,2H),5.52(m,1H),6.05(m,1H)ppm。F NMR(CDCl3)−81.6(tt,J=10,3Hz,3F),−114.5(m,2F),−115.5(m,2F),−116.0(m,2F),−124.8(m,2F),−126.5(m,2F)ppm。
【0061】
実施例16
500mLのフラスコに、実施例8で調製した1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロ−1−ドデカノール(25.5g)、トリエチルアミン(8.0g)およびテトラヒドロフラン(170mL)を入れた。混合物を50℃まで加熱し、固体を全て溶解し、約35℃まで冷やした。テトラヒドロフラン(30mL)中塩化メタクリロイル(8.3g)を、攪拌しながら(250rpm)、2時間にわたって35℃で滴下して添加した。次に、反応混合物を、25−30℃で4時間、35℃で1時間攪拌した。揮発物を、室温での真空蒸留により除去して、残渣を得た。残渣を水(2×400mL)で洗い、真空で乾燥したところ、固体生成物、27.1g、91%収率、沸点79−81℃が得られた。生成物1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロドデシルメタクリレートH NMRおよびF NMRにより特定したところ、以下のとおりであった。H NMR(CDCl3)1.95(m,3H),2.34(m,8H),2.46(tt,J=18,7Hz,2H),4.44(t,J=7Hz,2H),5.59(m,1H),6.13(m,1H)ppm。F NMR(CDCl3)−85.9(s,3F),−114.5(m,2F),−115.8(m,4F),−116.0(m,2F),−119.2(m,2F)ppm。
【0062】
実施例17
実施例1で調製した1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−ヨードオクタン(8.9g)およびアセトン(30mL)の混合物を、5時間還流した。室温まで冷やした後、反応混合物を、水(200mL)に注いだ。得られた固体を、ろ過により集め、水(2×40mL)で洗い、真空で乾燥したところ、7.1gの1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロオクチルチオシアネートが、白色固体として得られた。生成物を、GC−MS、H NMRおよびF NMRにより特定したところ、以下のとおりであった。MS(m/e)333(M+,100%),255(24%),235(30%),306(11%),197(49%),177(91%),77(92%)。H NMR(CDCl3)2.28(m,4H),2.55(m,2H),3.10(m,2H)ppm。F NMR−85.9(s,3F),−114.7(m,2F),−115.4(m,2F),−119.2(t,J=17Hz,2F)ppm。
【0063】
実施例18
オリゴマーヨウ化物、F(CF2CF2CH2CH2nI(オリゴマーの分離なしの実施例3の反応混合物、式中、n=2,3は、約2:1の比率での主成分であった)(10g)を、アセトニトリル(90mL)−水(34mL)中ナトリウムアジド(2.03g)の溶液に添加した。反応が、ガスクロマトグラフィーにより完了したと判断されるまで、混合物を90℃で加熱した。36時間までに、ヨウ化物のアジドへの完全な変換が観察された。混合物を室温まで冷やし、アセトニトリルのバルクを真空下にした。得られたスラリーを塩化メチレンで抽出した(3×60mL)。有機層を水(2×80mL)、塩水(1×80mL)で洗い、無水MgSO4で乾燥した。溶媒の蒸発および真空乾燥により、オリゴマーアジドF(CF2CF2CH2CH2n3が、白色固体(6.0g)として得られた。GC−MS:2つの主要ピークは、約2:1の比でn=2およびn=3アジドに対応している。1H NMR(CDCl3):δ3.52(bt,J=6.0Hz,N−CH2),2.29(bm,CF2−CH2’s)。
【0064】
実施例19
オリゴマーアジドヨウ化物、F(CF2CF2CH2CH2)N3(実施例18で調製したもの、式中、n=2,3は、約2:1の比率での主成分であった)(2.25g)およびNi−ラネー(0.032g)を、溶液エタノール(5mL)および水(5mL)に添加した。攪拌した混合物に、ヒドラジン水和物(0.328g)を徐々に添加した。添加完了後、混合物を、60℃まで漸次加熱し、60℃で12時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷やし、塩化メチレン(30mL)を添加し、10分間攪拌した。得られた混合物をろ過し、水(2×20mL)および塩水(1×20mL)で洗った。溶媒の蒸発後、塩化メチレン/ヘキサンからの再結晶化により、アミンF(CF2CF2CH2CH2nNH2が、淡褐色の固体(1.9g)として得られた。GC:2つの主要ピークは、n=2およびn=3アミン(約2:1の比)に対応している。1H NMR(CDCl3):δ3.05(bt,J=6.0Hz,NH2−CH2),2.29(bm,CF2−CH2’s)。
【0065】
実施例20
オリゴマーヨウ化物、F(CF2CF2CH2CH2nI(オリゴマーの分離なしの実施例3の反応混合物、式中、n=2,3は、約2:1の比率での主成分であった)(10g)を、70℃に保たれた無水エタノール(100mL)中チオウレア(2.03g)の溶液に添加した。反応が、ガスクロマトグラフィーによるヨウ化物の消失により完了したと判断されるまで、混合物を80℃で加熱し続けた。36時間までに、ヨウ化物の98%の消費が観察された。混合物を濃縮し、水(5mL)中水酸化ナトリウム(1.92g)の溶液で処理した。混合物を周囲温度で一晩攪拌した後、30分間沸騰するまで加熱した。次に、反応混合物を周囲温度まで冷やし、溶液が酸性になるまで、5%硫酸を滴下して添加した。混合物を塩化メチレン(3×50mL)で抽出し、有機層を、無水MgSO4で乾燥したところ、オリゴマーチオール[F(CF2CF2CH2CH2nSH]が、白色固体(5.8g)として得られた。GC−MS:2つの主要ピークは、約2:1の比でn=2[(m/e)308]およびn=3チオール[(m/e)436]に対応している。1H NMR(CDCl3):δ2.79(bt,J=6.0Hz,S−CH2),2.32(bm,CF2−CH2’s)。
【0066】
実施例21
tert−ブタノール(10mL)中80℃まで加熱した2−メルカプトエタノール(1.41g)および水酸化ナトリウム(0.720g)の溶液に、オリゴマーヨウ化物F(CF2CF2CH2CH2nI(オリゴマーの分離なしの実施例3の反応混合物、式中、n=2,3は、約2:1の比率での主成分であった)(5g)を徐々に添加した。混合物を80℃で12時間加熱し、反応の完了をガスクロマトグラフィーにより判断した。混合物を周囲温度まで冷やし、沈殿した生成物をろ過し、冷水の後、1:1塩化メチレンおよびヘキサンの混合物で繰り返し洗った。黄白色の固体を真空下で乾燥したところ、アルコールF(CF2CF2CH2CH2nSCH2CH2OHが、オリゴマーの混合物として得られた(3.4g)。GC−MS:2つの主要ピークは、約2:1の比でn=2[(m/e)352]およびn=3アルコール[(m/e)480]に対応している。
【0067】
実施例22
tert−ブタノール(10mL)中80℃まで加熱した2−アミノエタンチオール(1.39g)および水酸化ナトリウム(0.720g)の溶液に、オリゴマーヨウ化物、F(CF2CF2CH2CH2nI(オリゴマーの分離なしの実施例3の反応混合物、式中、n=2,3は、約2:1の比率での主成分であった)(5g)を徐々に添加した。混合物を80℃で12時間加熱し、反応の完了をガスクロマトグラフィーにより判断した。混合物を、80℃で12時間加熱し、反応の完了をガスクロマトグラフィーにより判断した。混合物を周囲温度まで冷やし、沈殿した生成物をろ過し、冷水の後、1:1塩化メチレンおよびヘキサンの混合物で繰り返し洗った。白色固体を真空下で乾燥したところ、アミンF(CF2CF2CH2CH2nSCCH2CH2NH2が、オリゴマーの混合物として得られた(3.9g)。GC−MS:2つの主要ピークは、約2:1の比でn=2[(m/e)351]およびn=3アミン[(m/e)479]に対応している。
【0068】
実施例23
0℃に保たれた塩化メチレン(20mL)中、実施例19で調製したオリゴマーアミン[F(CF2CF2CH2CH2nNH2](n=2,3は、約2:1の比率での主成分であった)(1.0g)およびトリエチルアミン(0.220g)の混合物を、塩化メチレン(10mL)中塩化メタクリロイル(0.228g)の溶液に、滴下して添加した。反応混合物を、8時間、周囲温度で攪拌した。水(20mL)を反応混合物に添加し、有機層を分離し、1N HCl(2×20mL)、飽和NaHCO3(2×20mL)および塩水(1×20mL)で洗った。有機層を分離し、無水MgSO4で乾燥した。減圧下での溶媒除去後、固体生成物の、冷塩化メチレンおよびヘキサン(1:4)の混合物による繰り返しの洗浄により、オリゴマーアクリルアミドF(CF2CF2CH2CH2nNHC(O)C(CH3)=CH2が、白色固体(0.7g)として得られた。1H NMR(CDCl3):δ5.9(bs,NH),5.60(d,J=1.0Hz,=CH),5.28(q,J=1.2Hz,=CH),3.58(q,J=6.0Hz,NHCH2),2.25(bm,CF2CH2’s),1.89(t,J=1.2Hz,CH3)。
【0069】
実施例24
0℃に保たれた塩化メチレン(20mL)中、1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−オクタノール(1.5g)(実施例5で調製した)の溶液に、2−イソシアネートエチルメタクリレート(0.724g)および触媒ジブチル錫ジラウレート(0.01g)を添加した。混合物を周囲温度で12時間攪拌した。溶媒を真空下で落とし、得られたゴム状固体を、冷ヘキサン−塩化メチレン混合物(4:1)で繰り返し洗った。生成物を真空下で乾燥したところ、ウレタンアクリレートF(CF2CF2CH2CH22OC(O)NH−CH2CH2OC(O)CH(Me)=CH2が白色固体(2.1g)として得られた。1H NMR(CDCl3):δ6.14(t,J=1.0Hz,1H),5.62(q,J=2.0Hz,1H),5.00(bs,1H),4.38(t,J=7.0Hz,2H),4.26(t,J=5.8Hz,2H),3.54(q,J=6Hz,2H),2.37(m,6H),1.97(q,J=1Hz,3H):19F NMR(CDCl3):δ−86.3(m,3F),−113.3(m,2F),−115.0(m,2F),−120.1(m,2F)。
【0070】
実施例25
0℃に保たれた塩化メチレン(15mL)中、実施例19で調製したオリゴマーアミンF(CF2CF2CH2CH2nNH2(式中、n=2,3は、約2:1の比率での主成分であった)(0.5g)の混合物に、2−イソシアネートエチルメタクリレート(0.163g)を添加し、混合物を周囲温度で12時間攪拌した。沈殿した固体をろ過し、冷ヘキサン−塩化メチレン混合物(3:1)で繰り返し洗った。生成物を真空下で乾燥したところ、ウレアアクリレートF(CF2CF2CH2CH2nNHC(O)NHCH2CH2OC(O)C(Me)=CH2が白色固体(0.48g)として得られた。1H NMR(CDCl3):δ6.04(t,J=1.6Hz,=CH),5.52(quintet,J=1Hz,=CH),4.56(bs,NH),4.16(t,J=6.0Hz,OCH2),3.46(2merging q,J=5.6Hz,NHCH2),2.24(bm,CF2CH2’s),1.87(t,J=1.2Hz,CH3)。
【0071】
実施例26
0℃に保たれた塩化メチレン(20mL)中、オリゴマーアルコール(実施例21、F(CF2CF2CH2CH2nSCH2CH2OH(式中、n=2,3は、約2:1の比率での主成分であった)(0.700g)およびトリエチルアミン(0.166g)の混合物に、塩化メチレン(10mL)中、塩化メタクリロイル(0.172g)の溶液を滴下して添加した。反応混合物を12時間、周囲温度で攪拌した。水(20mL)を反応混合物に添加し、有機層を分離し、1N HCl(2×20mL)、飽和NaHCO3(2×20mL)および塩水(1×20mL)で洗った。有機層を分離し、無水MgSO4で乾燥した。減圧下での溶媒除去後、固体生成物の、冷塩化メチレンおよびヘキサン(1:4)の混合物による繰り返しの洗浄により、オリゴマーアクリレートF(CF2CF2CH2CH2nSCH2CH2OC(O)C(Me)=CH2の混合物が、白色固体(0.42g)として得られた。1H NMR(CDCl3):δ6.1(t,J=1.0Hz,=CH),5.62(t,J=1.6Hz,=CH),4.36(t,J=6.8Hz,OCH2),2.85(t,J=6.8Hz,SCH2),2.81(m,SCH2),2.35(bm,CF2CH2’s),1.98(t,J=1.2Hz,CH3)。
【0072】
実施例27
0℃に保たれた塩化メチレン(20mL)中、オリゴマーアミン(実施例22、F(CF2CF2CH2CH2nSCH2CH2NH2(式中、n=2,3は、約2:1の比率での主成分であった)(0.700g)およびトリエチルアミン(0.166)の混合物に、塩化メチレン(10mL)中、塩化メタクリロイル(0.228g)の溶液を滴下して添加した。反応混合物を8時間、周囲温度で攪拌した。水(20mL)を反応混合物に添加し、有機層を分離し、1N HCl(2×20mL)、飽和NaHCO3(2×20mL)および塩水(1×20mL)で洗った。有機層を分離し、無水MgSO4で乾燥した。減圧下での溶媒除去後、固体生成物の、冷塩化メチレンおよびヘキサン(1:4)の混合物による繰り返しの洗浄により、オリゴマーアクリロイルアミドF(CF2CF2CH2CH2nSCH2CH2NHC(O)C(Me)=CH2の混合物が、白色固体(0.530g)として得られた。1H NMR(CDCl3):δ6.2(bs,NH),5.79(s,=CH),5.38(q,J=1.2Hz,=CH),3.56(q,J=6.0Hz,NCH2),2.79(t,J=6.6Hz,SCH2),2.77(t,J=6.6Hz,SCH2),2.37(bm,CF2CH2’s),2.0(s,CH3)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
n2n+1(CH2x[(CF2CF2y(CH2CH2zmG (I)
(式中、Gは、I、OH、OC(O)CH=CH2、OC(O)CCH3=CH2、OC(O)CCl=CH2、NR1H、N3、NCO、SQ、式中、QはH、アルキル、(CH2nOH、(CH2nNH2、(CH2nOC(O)C(Me)=CH2または(CH2nNHC(O)C(Me)=CH2、SCN、COOH、SO3H、NHCOCH=CH2、NHCOC(CH3)=CH2)、OC(O)NHCH2CH2OC(O)C(CH3)=CH2またはOC(O)NHCH2CH2OC(O)C(CH3)=CH2であり、
下付きnは、1〜約6の整数であり、
下付きxは、1〜約6の整数であり、
下付きy、zおよびmは、それぞれ、独立して、1、2または3またはこれらの組み合わせであり、
Gを除いた前記式(I)中の炭素の総数は、約8〜約22の範囲である)
の化合物。
【請求項2】
xは2であり、yおよびzはそれぞれ1であり、mは1または2である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Gがヨウ化物で、
1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−ヨードオクタン、
1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロ−1−ヨードドデカン、
1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−ヨードデカン、
1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロ−1−ヨードテトラデカン、またはこれらの混合物である請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Gがヒドロキシルで、
1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−オクタノール、
1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロ−1−ドデカノール、
1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−デカノール、
1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロ−1−テトラデカノール、またはこれらの混合物である請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Gがアクリレートで、
1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロオクチルアクリレート、
1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロドデシルアクリレート、
1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロデシルアクリレート、
1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロテトラデシルアクリレート、またはこれらの混合物である請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Gがメタクリレートで、
1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロオクチルメタクリレート、
1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロドデシルメタクリレート、
1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロデシルメタクリレート、
1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロテトラデシルメタクリレート、またはこれらの混合物である請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Gがクロロアクリレートで、
1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロオクチルクロロアクリレート、
1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロドデシルクロロアクリレート、
1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロデシルクロロアクリレート、
1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−テトラデカヒドロパーフルオロヘキサデシルクロロアクリレート、またはこれらの混合物である請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
ヨウ化パーフルオロアルキル、ヨウ化パーフルオロアルキルエチルまたはヨウ化パーフルオロアルキルメチルを、気相中、テトラフルオロエチレンおよびエチレンの混合物とオリゴマー化することを含み、ヨウ化物対テトラフルオロエチレンおよびエチレンの混合物の比率が、約1:3〜約20:1である請求項1に記載の化合物の調製方法。
【請求項9】
パーフルオロヨウ化物のモル対テトラフルオロエチレンおよびエチレンの混合物のモルが、約1:2〜約5:1である請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記化合物の最大分子量が約1000である請求項8または9に記載の方法。

【公表番号】特表2011−520904(P2011−520904A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−509686(P2011−509686)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際出願番号】PCT/US2009/043896
【国際公開番号】WO2009/140460
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】