説明

エッチングラインの水使用量管理システム、エッチングラインの水使用量管理方法、エッチングライン

【課題】エッチングラインにおける水使用状況等の時間変化を把握し、効率の悪い状況の発見を容易とするエッチングラインの水使用量管理システム等を提供する。
【解決手段】水使用量管理システム1が、エッチングライン100の水使用量を所定の時間間隔で計測しPC300に送信する流量計150と、センサ31により検知したエッチングライン100上の基板70の有無をエッチングライン100の運転情報として受信してPC300に送信するPLC200と、水使用量、エッチングライン100の運転情報を受信し、水使用金額を算出し、水使用量と運転状況、水使用金額を水使用量管理画面としてリアルタイムに表示するPC300とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエッチングラインで使用される水を管理するためのエッチングラインの水使用量管理システム、エッチングラインの水使用量管理方法、エッチングラインに関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品や医療用部品等を精密に加工するため、エッチングラインにより化学的な精密加工が行われる場合がある。一般的にエッチングラインは、現像装置、腐食(エッチング)装置、剥離装置、乾燥装置等で構成されており、各装置を独立して設置しているタイプ(オフライン)や、装置間をコンベア等で連結しているタイプ(インライン)がある。
【0003】
エッチングラインを運転するためには、ユーティリティーとして電力、蒸気、水を必要とする。例えば電力は、現像機の電源や、各装置の駆動モータやファン等の動力源、乾燥装置の熱源等に使用される。蒸気は、腐食装置における腐食液、剥離装置における剥離液の加熱・保温等に使用される。水は、洗浄水(軟水、純水等)として、各装置の前後で使用される。
【0004】
電力などについては、使用量を把握出来るよう計測器が設置されている。従来は、検針員(測定員)が各計測器を見て回り、計測器の指示値(表示値)を帳簿等に記録したり、近年では計測器に指示値(表示値)を送信する機能を持たせ、中央監視室等で一括して情報を収集、記録して管理を行っている。
【0005】
特に、電力、そして蒸気の燃料である重油又は液化天然ガスは、二酸化炭素排出量届出の義務化により、使用量削減の取組み(省エネ)が積極的に行われている。また、電力、重油、液化天然ガス等エネルギーの使用状況の把握を行いエネルギー使用効率の改善を図るために、上記のようにエネルギー使用量を把握(監視)するだけでなく、エネルギー使用設備の運転状況(積算運転時間、連続停止時間、連続運転時間等)を表示させ、エネルギー使用設備の使用頻度やバランス等を考慮する際参考にするシステムがある(特許文献1)。また、 プラント設備に設けたセンサからの運転情報を監視し、異常発生時には、的確に対処できるプラント運転診断・支援システムがある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−164377号公報
【特許文献2】特開2002−117468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、水は上述の届出の義務化が十分にされておらず、電力、重油、液化天然ガス等に比べると、使用量削減の取組み(省エネ)が積極的に行われていないのが現状である。冒頭のエッチングラインでは、製品の洗浄に多量の水(軟水、純水)を使用している。この水使用効率の向上を図る場合、詳細に運転状況を把握する必要があり、上述のシステム等では、詳細な水の使用状況が把握出来ないといった問題点がある。
【0008】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、エッチングラインの運転状況に合わせ、エッチングラインにおける水の使用量を監視することが出来るシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達するための第1の発明は、エッチングラインの水使用状況を管理するエッチングラインの水使用量管理システムであって、エッチングラインの水使用量量を所定の時間間隔で計測する水使用量計測装置と、エッチングラインの運転情報を所定の時間間隔で取得する運転情報取得装置と、前記水使用量計測装置で計測した水使用量と、前記運転情報取得装置で取得したエッチングラインの運転情報を水使用量管理画面としてリアルタイムに表示する情報処理装置と、を具備することを特徴とするエッチングラインの水使用量管理システムである。
【0010】
前記運転情報は、エッチングラインに設けられたセンサで検知された、エッチングラインを搬送される基板の数である。基板の数は、例えば基板がライン上を流れているか否か(=基板の有り無し)である。
また、前記情報処理装置は、水使用量管理画面として、エッチングラインの運転情報と、水使用量を、時刻を揃え重ねて表示する。
さらに、前記情報処理装置は、水使用量と単位水量あたりの金額を基に、水使用額、および、運転情報よりエッチングラインによる基板の処理が行われていないと判定される時間帯の水使用額を算出し、水使用量管理画面に表示する。
【0011】
また、前記情報処理装置は、前記水使用量が所定値以上でありかつ運転情報よりエッチングラインによる基板の処理が行われていないと判定される場合に、前記水使用量管理画面で強調表示を行う。
さらに、第1の水使用量管理システムでは、前記情報処理装置と接続され、前記情報処理装置により前記水使用量が所定値以上でありかつ運転情報よりエッチングラインによる基板の処理が行われていないと判定される場合に、所定の警報を発する警報装置を更に具備することが望ましい。
加えて、第1の発明のエッチングラインの水使用量管理システムでは、前記情報処理装置とネットワークを介して接続された別の情報処理装置に、水使用量管理画面を表示させる。
【0012】
前述した目的を達するための第2の発明は、エッチングラインの水使用状況を管理するエッチングラインの水使用量管理方法であって、水使用量計測装置により、エッチングラインの水使用量を所定の時間間隔で計測する水使用量計測ステップと、運転情報取得装置により、エッチングラインの運転情報を所定の時間間隔で取得する運転情報取得ステップと、情報処理装置により、前記水使用量計測装置で計測した水使用量と、前記運転情報取得装置で取得したエッチングラインの運転情報を水使用量管理画面としてリアルタイムに表示する表示ステップと、を具備することを特徴とするエッチングラインの水使用量管理方法である。
【0013】
前記運転情報は、エッチングラインに設けられたセンサで検知された、エッチングラインを搬送される基板の数である。
また、前記表示ステップでは、前記情報処理装置により、水使用量管理画面として、エッチングラインの運転情報と、水使用量を、時刻を揃え重ねて表示する。
さらに、前記表示ステップでは、前記情報処理装置により、水使用量と単位水量あたりの金額を基に算出された水使用額、および、運転情報よりエッチングラインによる基板の処理が行われていないと判定される時間帯の水使用額を水使用量管理画面に表示する。
【0014】
また、前記表示ステップでは、前記情報処理装置により、前記水使用量が所定値以上でありかつ運転情報よりエッチングラインによる基板の処理が行われていないと判定される場合に、前記水使用量管理画面で強調表示を行う。
さらに、第2の発明の水使用量管理方法では、前記情報処理装置と接続された警報装置により、前記情報処理装置により前記水使用量が所定値以上でありかつ運転情報よりエッチングラインによる基板の処理が行われていないと判定される場合に、所定の警報を発する警報ステップを更に具備することが望ましい。
加えて、前記表示ステップでは、前記情報処理装置とネットワークを介して接続された別の情報処理装置に、水使用量管理画面を表示させる。
【0015】
前述した目的を達するための第3の発明は、第1の発明の水使用量管理システムが設けられたエッチングラインである。
【0016】
上記構成により、エッチングラインにおいて、短時間刻みで水使用量やエッチングラインの運転状況等を把握することができる。これにより、水使用量とエッチングラインの運転状況の関係の時間変化をリアルタイムで把握することができ、水使用効率の悪い状況の判断を容易にし、改善策の検討につなげることができる。
【0017】
また、センサによりエッチングラインにおいて搬送される基板を検知し、これによりエッチングラインの運転状況を把握する。これにより、実際の基板の処理状況を運転状況として取得し、水使用状況の管理を実際に即したものとする。
【0018】
さらに、水使用量管理画面として、エッチングラインの運転情報と、水使用量を、時刻を揃え重ねて表示することにより、これらの関係を一目で把握し、効率の悪い水使用状況を迅速に判断することができる。例えばエッチングラインによる基板の処理が行われていない状態にも関わらず、水使用量にそれほど変化がない場合、無駄な水が使用されていることになる。
【0019】
また、水使用額およびエッチングラインで基板が処理されていない時間帯の水使用額を水使用量管理画面に表示することも可能で、これにより無駄な水が使用されていることをよりオペレータにアピールできる。さらに、無駄な水が使用されている場合には水使用量管理画面での強調表示を行ったり、警報装置で警報を発するなどして、オペレータに注意を促すことができる。
【0020】
加えて、ネットワークを介して、別の情報処理装置にも水使用量管理画面を表示させることが可能で、これにより複数の箇所で、複数人がエッチングラインの水使用状況を監視することができ、確実な管理が可能になる。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、エッチングラインにおける水使用状況等の時間変化を把握し、効率の悪い状況の発見を容易とするエッチングラインの水使用量管理システム等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】エッチングラインの水使用量管理システムの一例を示す図
【図2】PCのハードウェア構成の一例を示す図
【図3】エッチングラインの水使用量管理システムにおける水使用量管理方法の一例を示す図
【図4】水使用量管理画面の例を示す図
【図5】水使用量管理画面の例を示す図
【図6】水使用量管理画面の例を示す図
【図7】水使用量管理画面の例を示す図
【図8】水使用量管理画面の例を示す図
【図9】水使用量管理画面の例を示す図
【図10】エッチングラインの水使用量管理システムの一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づいて本発明に係るエッチングラインの水使用量管理システムの実施形態について詳細に説明する。まず、図1、図2を参照しながら、水使用量管理システム1の構成について説明する。
【0024】
図1に示すように、本発明の水使用量管理システム1を適用するエッチングライン100は、腐食装置10、剥離装置20、乾燥装置30、コンベア40等により構成される。また、腐食装置10の後は軟水、剥離装置20の後は軟水と純水、乾燥装置30の前は純水による洗浄を行うための管路50(50a〜50f)やノズルが設けられる。
【0025】
腐食装置10は、現像処理により所定のレジスト膜のパターンを形成した基板70の表面にエッチング液を吹き付けて、基板上で前記レジスト膜が形成されていない領域をエッチングするものである。
剥離装置20は、基板70上に剥膜液を吹き付け、前記の基板70上に形成したレジスト膜を剥離除去するものである。
乾燥装置30は、基板70に乾燥空気を吹き付け加熱乾燥させるものである。
コンベア40は、各装置間での基板70の搬送を行うためのものである。
【0026】
管路50(50a〜50f)は、腐食装置10や剥離装置20の後、また乾燥装置30の前などで、基板70に純水や軟水を吹き付け、基板70の洗浄を行うものである。管路50は図示しない水供給源と接続される。例えば、軟水は陽イオン交換樹脂で+イオンをNa+とする処理が行われた水であり、純水は陽イオン交換樹脂で+イオンをH+イオンとするとともに陰イオン交換樹脂で−イオンをOH−イオンとする処理が行われた水である。
【0027】
軟水により基板70の洗浄を行うための管路50aは、さらに、腐食装置10の後で軟水を吹き付け洗浄を行うための管路50cや剥離装置20の後で基板70に軟水を吹き付け洗浄を行うための管路50dに分岐する。また、純水により基板70の洗浄を行うための管路50bは、さらに、剥離装置20の後で純水を吹き付け洗浄を行うための管路50eや乾燥装置30の前で基板70に純水を吹き付け洗浄を行うための管路50fに分岐する。
【0028】
水使用量管理システム1は、流量計(水使用量計測装置)150(150a、150b)、PLC(Programmable Logic Controller)200(運転情報取得装置)、センサ31、PC300(情報処理装置)、警報装置80、ネットワークを介してPC300と同様のデータを閲覧出来るPC310等を備える。
【0029】
流量計150は、エッチングライン100に純水や軟水を供給する管路50に設けられ、管路50における流量を測定し、パルスとして出力してPC300にこれを送る。流量計150aは、エッチングライン100の腐食装置10や剥離装置20の後で基板70に軟水を吹き付けるための管路50aに設けられる。流量計150bは、剥離装置20の後や乾燥装置30の前で基板70に純水を吹き付けるための管路50bに設けられる。
【0030】
流量計150は、水使用量として、所定の間隔で測定データをパルス出力し、有線にてPC300に送信する。しかし、これに限られることはなく、例えばアナログ信号などパルス出力以外の他の出力形式でもよいし、無線にてこれを送信するものであってもよい。有線にて送信する場合、より短い時間間隔で水使用量データをPC300に送信することが可能である。また、本実施形態では1分間隔でデータ送信するが、これに限られることはない。有線にて送信するならばより短い時間間隔で送信することも可能であるし、その間隔を長くとることも可能である。但し、1分程度の短い時間間隔でデータ測定、送信を行うことは、水使用状況の詳細な時間変化を追うことができる点で有利である。
【0031】
PLC200は、エッチングライン100に設けられ、エッチングライン100の各所からの信号を処理してライン速度等のエッチングライン100のシーケンス制御を行うもので、制御部、入力部(入力回路)、出力部(出力回路)、通信部等を備える。
【0032】
エッチングライン100には、エッチングライン100で処理され搬送される基板70の検知を行うセンサ31が設けられる。例えば乾燥装置30の後に処理後の基板70の検知を行うセンサ31を設ける。センサ31は基板70を検知するとPLC200に信号を送信し、PLC200は、これをエッチングライン100の運転状況を示す運転情報としてPC300に送信する。運転情報も、水使用量と同様、1分おきにPC300に送信される。なお、センサ31の設置位置はこれに限ることは無く、搬送され処理される基板70の存在を検知できる位置に設けられればよい。
【0033】
図2に示すように、PC300は、制御部301、記憶部302、メディア入出力部303、周辺機器I/F部304、通信部305、入力部306、表示部307等がバス308により接続されて構成される。また、PLC200と有線(例えばRS232C/シリアル通信)を介して接続する。
【0034】
制御部301は、CPU、ROM、RAM等により構成される。CPUは、記憶部302、ROM、記録媒体等に格納されるプログラムをRAM上のワークメモリ領域に呼び出して実行し、バス308を介して接続された各部を駆動制御する。ROMは、コンピュータのブートプログラムやBIOS等のプログラム、データ等を恒久的に保持する。RAMは、ロードしたプログラムやデータを一時的に保持するとともに、制御部301が各種処理を行うために使用するワークエリアを備える。
【0035】
記憶部302は、ハードディスクドライブであり、制御部301が実行するプログラムや、プログラム実行に必要なデータ、OS(オペレーティング・システム)等が格納されている。これらのプログラムコードは、制御部301により必要に応じて読み出されてRAMに移され、CPUに読み出されて実行される。
【0036】
メディア入出力部303(ドライブ装置)は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、CDドライブ、DVDドライブ、MOドライブ等のメディア入出力装置であり、データの入出力を行う。周辺機器I/F(インタフェース)部304は、周辺機器を接続させるためのポートであり、周辺機器I/F部304を介して周辺機器とのデータの送受信を行う。周辺機器I/F部304は、USB等で構成されており、通常複数の周辺機器I/Fを有する。周辺機器との接続形態は有線、無線を問わない。
【0037】
通信部305は、通信制御装置、通信ポート等を有し、ネットワーク等との通信を媒介する通信インタフェースであり、通信制御を行う。入力部306は、例えば、キーボード、マウス等のポインティング・デバイス、テンキー等の入力装置であり、入力されたデータを制御部301へ出力する。
【0038】
表示部307は、例えば液晶パネル、CRTモニタ等のディスプレイ装置と、ディスプレイ装置と連携して表示処理を実行するための論理回路(ビデオアダプタ等)で構成され、制御部301の制御により入力された表示情報をディスプレイ装置上に表示させる。バス308は、各装置間の制御信号、データ信号等の授受を媒介する経路である。
【0039】
以上の構成により、PC300は、PLC200から運転情報を受信するほか、流量計150からの信号として水使用量のデータ受信を行う。そして、これらのデータをRAMや記憶部302等に保存し、水使用量管理画面として、水使用量、エッチングライン100の運転情報等の表示を行う。
【0040】
また、PC300の記憶部302に、軟水や純水の単位水量当たりの金額を予め記憶させておき、水使用量に単位水量当たり金額を乗算して、水使用額を算出する。
【0041】
警報装置80は、PC300と接続され、聴覚的または/および視覚的に警報を発するもので、PC300から制御信号を受信したことに応じて警報を発しオペレータに注意を促すアラーム装置や警告灯装置などである。
【0042】
PC310は、PC300と同様のハードウェア構成を有する。PC310は、インターネット(ネットワーク400)を介してPC300と接続し、PC300と同様の、水使用量、運転情報等の水使用量管理画面を表示する。PC310は、PC300の水使用量管理画面の画面データを受信しこれを表示するものであってもよいし、PC300から水使用量、運転情報等のデータを受信しこれを水使用量管理画面として表示するものであってもよい。
【0043】
次に、図3を用いてエッチングライン100の水使用量管理システム1における水使用量管理方法について説明する。
【0044】
まず、流量計150より、水使用量のデータを計測、取得し、パルス出力により有線を介しPC300に送信する。また、センサ31により基板70を検知し、パルス出力としてPLC200に送信する。PLC200は基板70を検知したこと(検知した数)をエッチングライン100の運転状態を示す運転情報として取得しPC300に送信する(ステップS101)。水使用量、運転情報は1分おきに取得しPC300に送信する。
【0045】
PC300は、各データを受信し、水使用量(軟水、純水)を単位水量当たり金額で乗算する計算処理を行い、水使用額を算出する(ステップS102)。単位水量当たり金額は、軟水と純水とで異なる値が定められる。
【0046】
続いて、PC300は、水使用量、運転情報、水使用額を水使用量管理画面として表示部307に表示する(ステップS103)。
【0047】
また、PC310は、PC300から水使用量管理画面の画面データ、または水使用量、運転情報、水使用額等のデータを受信して、表示部にPC300と同様の表示を行う(ステップS104)。そして、ユーザは、PC300、PC310等で水使用量管理画面を監視して、水使用状況の管理を行う(ステップS105)。
【0048】
次に、図4から図9を用いて、PC300等に表示される画面の例を説明する。
【0049】
図4は水使用量を表示する水使用量管理画面501の例を示す図で、横軸に時間を、縦軸に流量計150aで計測された軟水の使用量を水使用量として表示したものである。水使用量は、流量計150aで1分おきに計測され、水使用量管理画面501においてリアルタイムで表示される。
【0050】
図5はエッチングライン100の運転情報を表示する水使用量管理画面502の例を示す図で、横軸に時間を、縦軸にセンサ31で計測したライン上を流れている基板の数量である基板処理数量(基板の有り無し)を運転情報として示すものである。運転情報もまた、PLC200より1分おきにPC300に送信され、水使用量管理画面502としてリアルタイムで表示される。
【0051】
上記説明した水使用量を表示する水使用量管理画面501、運転情報を表示する水使用量管理画面502は、切り替えボタン(不図示)で切り替えて表示部307に表示することもできるが、同一の画面で表示されることが好ましく、これらを一目で見比べて、水使用状況を監視することができる。
【0052】
図6は、運転情報と水使用量を表示する水使用量管理画面503の例を示す図で、流量計150aで計測した軟水の使用量と基板処理数量を、時刻を揃え重ねて表示したものである。
【0053】
このように、時刻を揃え重ねて表示することで、刻々と変化する水使用等の状態を瞬時に判断することができる。即ち、2つのグラフの差により、基板処理数量が0となるなどライン上に基板70が流れていない状態にも関わらず、例えば流量計150aによる軟水の使用量などに変化がなく、水を無駄に使用している状況を瞬時に見つけることができる。
【0054】
図7は、上記の水を無駄に使用している状況を強調して示す水使用量管理画面504の例を示すもので、ライン上に基板70が流れておらずエッチングライン100による基板70の処理が行われていない、即ち基板処理数量が所定値以下(「無し」)となり、かつ流量計150aによる軟水の使用量が所定量以上あるとPC300等により判定される場合、水を無駄に使用している状況であるので、PC300やPC310では、グラフの強調表示を行う。例えば図に示すようにグラフの色を変える。上記の所定値は予め記憶部302に記憶しておく。
【0055】
上記の場合には水使用量管理画面504に警告を表示させることも可能で、オペレータに明確に認知させ、注意を促すことができる。警告の表示は、これを示すメッセージなどを水使用量管理画面504に表示させることができる。
さらに、このような場合には、水の使用を停止するように管路50のバルブ等にPC300からPLC200を介して制御信号を送信しこれを閉じるなどの制御を自動的に行うようにしてもよい。
【0056】
また、このように、基板処理数量が所定値以下(エッチングライン100による基板70の処理が行われていない)となりかつ流量計150による水の使用量が所定量以上あるとPC300により判定される場合には、PC300から警報装置80へ制御信号を送信し、警報装置80で警報を発し、エッチングライン100のオペレータに水を無駄に使用している状況であることを知らせ、注意を促す。
【0057】
また、水使用量管理画面としては、ステップS102で算出した水使用額をリアルタイムに表示することもできる。図8は横軸を時間、縦軸を水使用額とした水使用量管理画面505である。右上部には所定期間の水使用総額5051が表示される。また、水使用総額5051の下には運転無し時の水使用額5052が合わせて表示される。運転無し時の水使用額5052は、上記と同じく、PC300によりエッチングライン100による基板70の処理が行われていないと判定される(基板処理数量が所定値以下、例えば0即ち「無し」など)時間帯の水使用額であり、その時間帯の水使用量に単位水量あたり金額を掛けて算出される。運転無し時の水使用額5052により無駄となっている水使用量を金額で表示することにより、オペレータに対し無駄な水が使用されていることがよりアピールされる。
【0058】
以上のような画面を表示することにより、オペレータが無駄な水を使用していることを判断し、これを低減するように水使用状況の管理、指導を行うことができる。無駄な水使用を低減した場合の水使用量管理画面506を図9に示す。エッチングライン100による基板70の処理が行われていない場合の水の使用量が低減されている。
【0059】
なお、上記の実施形態では、流量計150aは、管路50aの分岐前に設け、エッチングライン100全体で用いる軟水の量を計測するようにしているが、図10に示すように水使用量管理システム1aにおいて、管路50aから分岐した管路50c、50dのそれぞれに流量計150c、150dを設け、各所で使用する軟水の量を測定するようにしてもよい。流量計150bについても同様である。
図1のように、管路の分岐前に流量計150を設ける場合、設置する数が少なくなるのでコストの削減につながり、管路の分岐後に設ける場合、より詳細に水使用箇所を特定する水使用量管理が可能になる。これらは目的に応じて適宜定めればよい。
【0060】
以上説明したように、本実施形態によれば、エッチングライン100において、1分等、短時間刻みで水使用量や運転情報等を把握することができる。そしてこれに基づく計算処理を行い、水使用額を算出し、これらの情報をリアルタイムで水使用量管理画面として表示する。これにより、水使用状況の時間変化をリアルタイムで把握することができ、水使用の効率の悪い状況の判断を容易にし、改善策の検討につなげることができる。
【0061】
また、基板を検知するセンサ31を用いて、基板処理数量を計測する。これにより、エッチングライン100の実際の運転状況を正確に取得することができる。運転状況の計測はセンサ31以外により取得してもよく、例えばPLC200がエッチングライン100を運転すべく各装置に送信する制御信号を用いてもよいが、センサ31を用いることにより、基板70の実際の処理状況に即した運転情報が取得できる。
【0062】
さらに、水使用量管理画面において、エッチングライン100の運転情報と、水使用量を、時刻を揃え重ねて表示する。これにより、これらの関係を一目で把握し、効率の悪い水使用状況を迅速に判断することができる。例えばエッチングライン100により基板70が処理されていない状態にも関わらず、水使用量にそれほど変化がない場合、無駄な水が使用されていることになる。
【0063】
また、水使用額や、エッチングラインによる基板70の処理が行われていない時間帯の水使用額を水使用量管理画面に表示することにより無駄な水が使用されていることをよりオペレータにアピールできる。さらに、無駄な水が使用されている場合には水使用量管理画面での強調表示を行ったり、警報装置で警報を発するなどして、オペレータに注意を促すことができる。
【0064】
加えて、ネットワーク400を介して、別のPC310にも水使用量管理画面を表示させる。これにより複数の箇所で、複数人がエッチングライン100の水使用状況を監視することができる。
【0065】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係るエッチングラインの水使用量管理システム等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0066】
例えば、上記の実施形態では、コンベアで基板70の搬送を行いつつ各装置での処理を連続して行う(インラインの)エッチングライン100への適用例を示したが、各装置が独立して処理を行う(オフラインの)エッチングラインに適用することも可能である。各装置への搬入前もしくは搬出後の基板を検知するようにセンサを設ければよい。
【符号の説明】
【0067】
1………水使用量管理システム
31………センサ
50………管路
70………基板
80………警報装置
100………エッチングライン
150………流量計
200………PLC
300、310………PC
400………ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エッチングラインの水使用状況を管理するエッチングラインの水使用量管理システムであって、
エッチングラインの水使用量を所定の時間間隔で計測する水使用量計測装置と、
エッチングラインの運転情報を所定の時間間隔で取得する運転情報取得装置と、
前記水使用量計測装置で計測した水使用量と、前記運転情報取得装置で取得したエッチングラインの運転情報を水使用量管理画面としてリアルタイムに表示する情報処理装置と、
を具備することを特徴とするエッチングラインの水使用量管理システム。
【請求項2】
前記運転情報は、エッチングラインに設けられたセンサで検知された、エッチングラインを搬送される基板の数であることを特徴とする請求項1記載のエッチングラインの水使用量管理システム。
【請求項3】
前記情報処理装置は、水使用量管理画面として、エッチングラインの運転情報と、水使用量を、時刻を揃え重ねて表示することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエッチングラインの水使用量管理システム。
【請求項4】
前記情報処理装置は、水使用量と単位水量あたりの金額を基に、水使用額、および、運転情報よりエッチングラインによる基板の処理が行われていないと判定される時間帯の水使用額を算出し、水使用量管理画面に表示することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のエッチングラインの水使用量管理システム。
【請求項5】
前記情報処理装置は、前記水使用量が所定値以上でありかつ運転情報よりエッチングラインによる基板の処理が行われていないと判定される場合に、前記水使用量管理画面で強調表示を行うことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のエッチングラインの水使用量管理システム。
【請求項6】
前記情報処理装置と接続され、前記情報処理装置により前記水使用量が所定値以上でありかつ運転情報よりエッチングラインによる基板の処理が行われていないと判定される場合に、所定の警報を発する警報装置を更に具備することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のエッチングラインの水使用量管理システム。
【請求項7】
前記情報処理装置とネットワークを介して接続された別の情報処理装置に、水使用量管理画面を表示させることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載のエッチングラインの水使用量管理システム。
【請求項8】
エッチングラインの水使用状況を管理するエッチングラインの水使用量管理方法であって、
水使用量計測装置により、エッチングラインの水使用量を所定の時間間隔で計測する水使用量計測ステップと、
運転情報取得装置により、エッチングラインの運転情報を所定の時間間隔で取得する運転情報取得ステップと、
情報処理装置により、前記水使用量計測装置で計測した水使用量と、前記運転情報取得装置で取得したエッチングラインの運転情報を水使用量管理画面としてリアルタイムに表示する表示ステップと、
を具備することを特徴とするエッチングラインの水使用量管理方法。
【請求項9】
前記運転情報は、エッチングラインに設けられたセンサで検知された、エッチングラインを搬送される基板の数であることを特徴とする請求項8記載のエッチングラインの水使用量管理方法。
【請求項10】
前記表示ステップでは、前記情報処理装置により、水使用量管理画面として、エッチングラインの運転情報と、水使用量を、時刻を揃え重ねて表示することを特徴とする請求項8または請求項9に記載のエッチングラインの水使用量管理方法。
【請求項11】
前記表示ステップでは、前記情報処理装置により、水使用量と単位水量あたりの金額を基に算出された、水使用額、および、運転情報よりエッチングラインによる基板の処理が行われていないと判定される時間帯の水使用額を水使用量管理画面に表示することを特徴とする請求項8から請求項10のいずれかに記載のエッチングラインの水使用量管理方法。
【請求項12】
前記表示ステップでは、前記情報処理装置により、前記水使用量が所定値以上でありかつ運転情報よりエッチングラインによる基板の処理が行われていないと判定される場合に、前記水使用量管理画面で強調表示を行うことを特徴とする請求項8から請求項11のいずれかに記載のエッチングラインの水使用量管理方法。
【請求項13】
前記情報処理装置と接続された警報装置により、前記情報処理装置により前記水使用量が所定値以上でありかつ運転情報よりエッチングラインによる基板の処理が行われていないと判定される場合に、所定の警報を発する警報ステップを更に具備することを特徴とする請求項8から請求項12のいずれかに記載のエッチングラインの水使用量管理方法。
【請求項14】
前記表示ステップでは、前記情報処理装置とネットワークを介して接続された別の情報処理装置に、水使用量管理画面を表示させることを特徴とする請求項8から請求項13のいずれかに記載のエッチングラインの水使用量管理方法。
【請求項15】
請求項1から請求項7のいずれかに記載のエッチングラインの水使用量管理システムが設けられたエッチングライン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−151315(P2012−151315A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9340(P2011−9340)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】