説明

エナンチオマー濃縮されたイミダゾアゼピノン化合物

本発明は、式(I)のエナンチオマー的に純粋な化合物を、それを含有する医薬調合剤およびその使用方法と共に提供する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
抗原に遭遇すると、天然CD4+Tヘルパー前駆体(Thp)細胞は、2つの異なるサブセット、1型Tヘルパー(Th1)および2型Tヘルパー(Th2)、に分化される。これらの分化Th細胞は、それらの異なる機能能力と独特なサイトカインプロフィールの両方によって定義される。具体的には、Th1細胞は、インターフェロン−ガンマ、インターロイキン(IL)−2および腫瘍壊死因子(TNF)−ベータを産生し、これらは、マクロファージを活性化し、ならびに細胞媒介免疫および食細胞依存性保護反応の原因となる。対照的に、Th2細胞は、IL−4、IL−5、IL−6、IL−9、IL−10およびIL−13を産生することが知られ、これらは、強力な抗体生産、好酸球活性化、および幾つかのマクロファージ機能の阻害の原因となり、その結果、食細胞非依存性保護反応をもたらす。従って、Th1およびTh2細胞は、異なる免疫病理学的反応を伴う。
【0002】
加えて、Th細胞のそれぞれのタイプの発現は、異なるサイトカイン経路によって媒介される。具体的には、IL−4は、Th2分化を促進し、同時にTh1発現を阻止することが証明されている。対照的に、IL−12、IL−18およびINF−ガンマは、Th1細胞の発現にとって欠くことのできないサイトカインである。従って、サイトカインそれら自体が、Thを分極させるおよびTh1とTh2との均衡を維持する、ポジティブおよびネガティブ・フィードバック・システムを構成する。
【0003】
Th1細胞は、様々な器官特異的自己免疫疾患、クローン病、ヘリコバクターピロリ誘発消化性潰瘍、急性腎同種移植片拒絶反応、および原因不明再発性流産の病因に関与している。対照的に、アレルゲン特異的Th2反応は、遺伝的感受性個体におけるアトピー性疾患の原因となる。さらに、未だ不明の抗原に対するTh2反応が、オーメン症候群、特発性肺線維症、および進行性全身性硬化症では優勢である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
Th1/Th2細胞分化不均衡に関連した様々な状態の治療に有用である新たな治療的処置の開発に対する、未だ対処されていない強い医学的要求が依然として存在する。これらの状態の多くに対して現在利用できる治療選択肢は、不適当である。従って、Th1/Th2パラダイムは、アレルギー疾患および自己免疫疾患の治療戦略の開発の理論的根拠となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第一の態様は、式I:
【化1】

またはさらに詳細には式Iaもしくは式Ib:
【化2】

[式中、
は、C1−3アルキルであり;
Xは、メチレン、エチレン、プロピレン、エテニレン、プロペニレン、またはブテニレンであり;
は、フェニル、ピロリル、ベンズイミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾチアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、インダゾリル、ピリジニル、イミダゾピリジニル、インドリル、ベンゾトリアゾリル、イミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアジアゾリル、ピリジミジニル、ベンゾピラノニル、チアゾリル、チアジアゾリル、フリル、チエニル、ピラゾリル、キノキサリニル、またはナフチルであり、C1−4アルキル、C1−3アルコキシ、ヒドロキシル、C1−3アルキルチオ、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、トリフロオロメトキシ、5−メチルイソオキサゾリル、ピラゾリル、ベンジルオキシ、アセチル、(シアニル)C1−3-アルキル、(フェニル)C2−3アルケニル;およびハロから独立して選択される0個と5個の間の置換基で置換され;
は、H、メチル、エチル、プロピル、(C1−3アルコキシ)C1−3アルキル、(C1−3アルキルチオ)C1−3アルキル、C1−3ヒドロキシアルキル、フェニル、ベンジル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ピリジル、およびチエニルであり;
ここで、Rは、メチル、エチル、ハロ、ヒドロキシル、C1−3アルコキシ、C1−3アルキルチオ、(C1−3アルコキシ)C1−3アルキル、(C1−3アルキルチオ)C1−3アルキル、C1−3ヒドロキシアルキル、(C1−3メルカプトアルキル)フェニル、ベンジル、フリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ピリジル、およびチエニルから独立して選択される0個と3個の間の置換基で置換され;
、R、およびRのそれぞれは、水素、ヒドロキシル、メトキシ、ベンジルオキシ、フルオロ、クロロ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、およびフェノキシから独立して選択され;
またはRおよびR、ならびにRおよびRから選択される1つのペアは、一緒に結合して、−O−(CH)−O−または−O−CH−CH−O−である。]
のエナンチオマー的に純粋な化合物(本明細書では、時として、「活性化合物」と呼ぶ)またはその医薬的に許容される塩、C1−6アルキルエステルもしくはアミド、またはC2−6アルケニルエステルもしくはアミドである。
【0006】
本発明の第二の態様は、医薬的に許容される担体中に本明細書に記載するとおりの活性化合物を含む組成物である。
【0007】
本発明の第三の態様は、治療の必要がある被験体において関節リウマチの治療薬の製造のための、本明細書に記載するとおりの活性化合物の使用に加えて、本明細書に記載するとおりの活性化合物を治療有効量で該被験体に投与するステップを含む、治療の必要がある被験体において関節リウマチを治療する方法である。
【0008】
本発明の第四の態様は、治療の必要がある被験体において多発性硬化症の治療薬の製造のための、本明細書に記載するとおりの活性化合物の使用に加えて、本明細書に記載するとおりの活性化合物を治療有効量で該被験体に投与するステップを含む、治療の必要がある被験体において多発性硬化症を治療する方法である。
【0009】
本発明の第五の態様は、治療の必要がある被験体において自己免疫疾患の治療薬の製造のための、本明細書に記載するとおりの活性化合物の使用に加えて、本明細書に記載するとおりの活性化合物を治療有効量で該被験体に投与するステップを含む、治療の必要がある被験体において自己免疫疾患を治療する方法であり、ここで、自己免疫疾患は、全身性エリテマトーデス、1型糖尿病、乾癬およびアテローム性動脈硬化症から成る群より選択される。
【0010】
本発明の他の態様は、本明細書の中で開示し、下でより詳細に論ずる。
【発明を実施するための態様】
【0011】
A.定義
本明細書において用いる場合の「エナンチオマー的に純粋な(enantiomerically pure)」は、立体異性体的に純粋な(stereomerically pure)化合物、または化合物の組成物を意味し、該化合物は、1つのキラル中心を有する。
【0012】
本明細書において用いる場合の「立体異性体的に純粋な(stereomerically pure)」は、化合物の1つの立体異性体を含み、その化合物の他の立体異性体が実質的にない、化合物またはその組成物を意味する。例えば、1つのキラル中心を有する化合物の立体異性体的に純粋な組成物には、その化合物の反対のエナンチオマーが実質的にない。2つのキラル中心を有する化合物の立体異性体的に純粋な組成物には、その化合物の他のジアステレオマーが実質的にない。典型的な立体異性体的に純粋な化合物は、その化合物の一方の立体異性体を約80重量%より多くおよびその化合物の他の立体異性体を約20重量%未満、さらに好ましくはその化合物の一方の立体異性体を約90重量%より多くおよびその化合物の他の立体異性体を約10重量%未満、さらにいっそう好ましくはその化合物の一方の立体異性体を約95重量%より多くおよびその化合物の他の立体異性体を約5重量%未満、ならびに最も好ましくはその化合物の一方の立体異性体を約97重量%より多くおよびその化合物の他の立体異性体を約3重量%未満含む。例えば、米国特許第7,189,715号参照。
【0013】
「安定な」は、本明細書において用いる場合、それらの生産、検出、および好ましくはそれらの回収、精製、ならびに本明細書に開示する目的の1つ以上のための使用に備える条件に付されたとき、実質的に改変されない化合物を指す。一部の実施形態において、安定な化合物または化学的に実行可能な化合物は、湿気または他の化学反応性条件の不在下で少なくとも1週間、40℃以下の温度で保持されたとき、実質的に改変されないものである。
【0014】
「アルキル」または「アルキル基」は、本明細書において用いる場合、完全に飽和されている直鎖(すなわち、非分岐)、分岐または環式炭化水素鎖を意味する。一定の実施形態において、アルキル基は、1〜3個の炭素原子を含有する。さらに他の実施形態において、アルキル基は、2〜3個の炭素原子を含有し、およびさらに他の実施形態において、アルキル基は、1〜2個の炭素原子を含有する。一定の実施形態において、用語「アルキル」または「アルキル基」は、炭素環としても公知の、シクロアルキル基を指す。例示的なC1−3アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルおよびシクロプロピルが挙げられる。
【0015】
「アルケニル」または「アルケニル基」は、本明細書において用いる場合、1つ以上の二重結合を有する、直鎖(すなわち、非分岐)、分岐または環式炭化水素鎖を意味する。一定の実施形態において、アルケニル基は、2〜4個の炭素原子を含有する。さらに他の実施形態において、アルケニル基は、3〜4個の炭素原子を含有し、およびさらに他の実施形態において、アルケニル基は、2〜3個の炭素原子を含有する。もう1つの態様によると、用語アルケニルは、「ジエン」とも呼ばれる、2つの二重結合を有する直鎖炭化水素を指す。他の実施形態において、用語「アルケニル」または「アルケニル基」は、シクロアルケニル基を指す。例示的なC2−4アルケニル基としては、−CH=CH、−CHCH=CH(アリルとも呼ばれる)、−CH=CHCH、−CHCHCH=CH、−CHCH=CHCH、−CH=CHCHCH、−CH=CHCH=CH、およびシクロブテニルが挙げられる。
【0016】
「アルコキシ」または「アルキルチオ」は、本明細書において用いる場合、酸素原子によって主炭素鎖に付いている、前に定義したとおりのアルキル基(「アルコキシ」)、または硫黄原子によって主炭素鎖に付いている、前に定義したとおりのアルキル基(「アルキルチオ」)を指す。
【0017】
本明細書において用いる場合の「メチレン」、「エチレン」、および「プロピレン」は、二価の部分−CH−、−CHCH−、および−CHCHCH−をそれぞれ指す。
【0018】
本明細書において用いる場合の「エテニレン」、「プロペニレン」、および「ブテニレン」は、二価の部分−CH=CH−、−CH=CHCH−、−CHCH=CH−、−CH=CHCHCH−、−CHCH=CHCH−、および−CHCHCH=CH−を指し、ここで、それぞれのエテニレン、プロペニレンおよびブテニレン基は、シス配置である場合もあり、またはトランス配置である場合もある。一定の実施形態において、エテニレン、プロペニレンまたはブテニレン基は、トランス配置である場合がある。
【0019】
「アルキリデン」は、メチレンの一または二アルキル置換によって形成された二価の炭化水素基を指す。一定の実施形態において、アルキリデン基は、1〜6個の炭素原子を有する。他の実施形態において、アルキリデン基は、2〜6、1〜5、2〜4または1〜3個の炭素原子を有する。そのような基としては、プロピリデン(CHCHCH=)、エチリデン(CHCH=)、およびイソプロピリデン(CH(CH)CH=)などが挙げられる。
【0020】
「アルケニリデン」は、メチレンの一または二アルケニル置換によって形成された1つ以上の二重結合を有する二価の炭化水素基を指す。一定の実施形態において、アルケニリデン基は、2〜6個の炭素原子を有する。他の実施形態において、アルケニリデン基は、2〜6、2〜5、2〜4または2〜3個の炭素原子を有する。1つの態様によると、アルケニリデンは、2つの二重結合を有する。例示的なアルケニリデン基としては、CHCH=C=、CH=CHCH=、CH=CHCHCH=、およびCH=CHCHCH=CHCH=が挙げられる。
【0021】
「C1−6アルキルエステルまたはアミド」は、C1−6アルキルエステルまたはC1−6アルキルアミドを指し、ここで、それぞれのC1−6アルキル基は上で定義したとおりである。そのようなC1−6アルキルエステル基は、式(C1−6アルキル)OC(=O)−または(C1−6アルキル)C(=O)O−で表される。そのようなC1−6アルキルアミド基は、式(C1−6アルキル)NHC(=O)−または(C1−6アルキル)C(=O)NH−で表される。
【0022】
「C2−6アルケニルエステルまたはアミド」は、C2−6アルケニルエステルまたはC2−6アルケニルアミドを指し、ここで、それぞれのC2−6アルケニル基は上で定義したとおりである。そのようなC2−6アルケニルエステル基は、式(C2−6アルケニル)OC(=O)−または(C2−6アルケニル)C(=O)O−で表される。そのようなC2−6アルケニルアミド基は、式(C2−6アルケニル)NHC(=O)−または(C2−6アルケニル)C(=O)NH−で表される。
【0023】
「治療」、「治療する」、および「治療すること」は、本明細書に記載するような疾病もしくは疾患の逆転、該疾病もしくは疾患の緩和、該疾病もしくは疾患の発症の遅延、該疾病もしくは疾患の進行の抑制、または該疾病もしくは疾患の予防を指す。一部の実施形態では、1つ以上の症状が発現された後に治療を施すことができる。他の実施形態では、症状不在の状態で治療を施すことができる。例えば、症状の発症前に(例えば、症状の履歴にかんがみて、および/または遺伝もしくは他の感受性要因にかんがみて)感受性個体に治療を施すことができる。症状が解消された後、例えばそれらの再発を予防または遅延するために、治療を継続することもできる。
【0024】
「患者」または「被験体(subject)」は、本明細書において用いる場合、動物被験体、好ましくは哺乳動物被験体(例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、サルなど)、および特にヒト被験体(男性被験者と女性被験者の両方を含み、ならびに新生児、乳児、幼年、青年、成人および老人被験者を含む)を意味する。
【0025】
本明細書において用いる場合の「医薬的に許容される担体」は、それを用いて調合される化合物の薬理活性を消失させない非毒性担体、アジュバントまたはビヒクルを指す。本発明の組成物において使用することができる医薬的に許容される担体、アジュバントまたはビヒクルとしては、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミン等の血清タンパク質、リン酸塩等の緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、シクロデキストリン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリラート、ろう、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
他の指示がない限り、本明細書において用いる場合の化学基または部分を記述するために用いる命名法は、左から右に名前を読んでその分子の残部への結合点がその名前の右手側にあるという規約に準ずる。例えば、基「(C1−3アルコキシ)C1−3アルキル」は、そのアルキル基端でその分子の残部に結合される。さらなる例としては、結合点がエチル端であるメトキシエチル、および結合点がアミン端であるメチルアミノが挙げられる。
【0027】
他の指示がない限り、二価の基が、「−」によって示される2つの末端結合部分を含むその化学式によって記述されている場合、その結合を左から右に読むことは理解される。
【0028】
他の指示がない限り、本明細書に描かれる構造は、その構造のすべてのエナンチオマー、ジアステレオマーおよび幾何学的(または配座的)形態;例えば、それぞれの不斉中心についてのRおよびS構造、(Z)および(E)二重結合異性体、ならびに(Z)および(E)配座異性体、を含む意味も持つ。従って、本発明の化合物の単一の立体化学異性体ならびにエナンチオマー、ジアステレオマーおよび幾何学的(または配座的)混合物は、本発明の範囲内である。別様に述べていない限り、本発明の化合物のすべての互変異性体形態は、本発明の範囲内である。加えて、別様に述べていない限り、本明細書に描かれる構造は、1つ以上の同位体濃縮原子の存在のみが異なる化合物を含む意味も持つ。例えば、ジューテリウムもしくはトリチウムによる水素の置換、または13Cもしくは14C濃縮炭素による炭素の置換以外は本構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。そのような化合物は、例えば、生物学的アッセイにおける分析ツールまたはプローブとして有用である。
【0029】
B.活性化合物。
本明細書に記載するような本発明の活性化合物は、上で一般に例証しているものなどの、または本発明の特定のクラス、サブクラスおよび種によって例示されるような、1つ以上の置換基で場合によっては置換されてもよい。一般に、用語「置換されて(substituted)」は、特定置換基のラジカルでの所与の構造における水素ラジカルの置換を指す。他に指示がない限り、置換されている基は、その基のそれぞれの置換可能な位置に置換基を有することがあり、および任意の所与の構造における2つ以上の位置が、特定された基から選択された2つ以上の置換基で置換されていることがあるとき、それらの置換基は、すべての位置において、同じこともあり、異なることもある。
【0030】
上で述べたように、本発明は、式I:
【化3】

またはさらに詳細には式Iaもしくは式Ib:
【化4】

[式中、
は、C1−3アルキルであり;
Xは、メチレン、エチレン、プロピレン、エテニレン、プロペニレン、またはブテニレンであり;
は、フェニル、ピロリル、ベンズイミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾチアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、インダゾリル、ピリジニル、イミダゾピリジニル、インドリル、ベンゾトリアゾリル、イミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアジアゾリル、ピリジミジニル、ベンゾピラノニル、チアゾリル、チアジアゾリル、フリル、チエニル、ピラゾリル、キノキサリニル、またはナフチルであり、C1−4アルキル、C1−3アルコキシ、ヒドロキシル、C1−3アルキルチオ、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、トリフロオロメトキシ、5−メチルイソオキサゾリル、ピラゾリル、ベンジルオキシ、アセチル、(シアニル)C1−3-アルキル、(フェニル)C2−3アルケニル;およびハロから独立して選択される0個と5個の間の置換基で置換され;
は、H、メチル、エチル、プロピル、(C1−3アルコキシ)C1−3アルキル、(C1−3アルキルチオ)C1−3アルキル、C1−3ヒドロキシアルキル、フェニル、ベンジル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ピリジル、およびチエニルであり;
ここで、Rは、メチル、エチル、ハロ、ヒドロキシル、C1−3アルコキシ、C1−3アルキルチオ、(C1−3アルコキシ)C1−3アルキル、(C1−3アルキルチオ)C1−3アルキル、C1−3ヒドロキシアルキル、(C1−3メルカプトアルキル)フェニル、ベンジル、フリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ピリジル、およびチエニルから独立して選択される0個と3個の間の置換基で置換され;
、R、およびRのそれぞれは、水素、ヒドロキシル、メトキシ、ベンジルオキシ、フルオロ、クロロ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、およびフェノキシから独立して選択され;または
およびR、ならびにRおよびRから選択される1つのペアは、一緒に結合して、−O−(CH)−O−または−O−CH−CH−O−である。]
のエナンチオマー的に純粋な化合物、もしくは活性な化合物、またはそれらの医薬的に許容される塩、C1−6アルキルエステルもしくはアミド、またはC2−6アルケニルエステルもしくはアミドを提供する。
【0031】
上述のもの、またはそれらの医薬的に許容される塩、C1−6アルキルエステルもしくはアミド、またはC2−6アルケニルエステルもしくはアミド、の一部の実施形態において:
は、C1−2アルキルであり;
は、フェニル、ピロリル、ベンズイミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾチアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、インダゾリル、ピリジニル、イミダゾピリジニル、インドリル、ベンゾトリアゾリル、イミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアジアゾリル、ピリジミジニル、ベンゾピラノニル、チアゾリル、チアジアゾリル、フリル、チエニル、ピラゾリル、キノキサリニル、またはナフチルであり、C1−4アルキル、C1−3アルコキシ、ヒドロキシル、C1−3アルキルチオ、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、トリフロオロメトキシ、5−メチルイソオキサゾリル、ピラゾリル、ベンジルオキシ、アセチル、(シアニル)C1−3-アルキル、(フェニル)C2−3アルケニル;およびハロから独立して選択される0個と5個の間の置換基で置換され;
は、メチル、エチル、またはプロピルであり、ここで、Rは、0から3個までのヒドロキシル置換基で置換され;
Xは、メチレンまたはエチレンであり;
、RおよびRは、Hおよびメトキシから成る群よりそれぞれ独立して選択される。
【0032】
上述のもの、またはその医薬的に許容される塩、の一部の実施形態において:
は、メチルであり;
は、フェニル、ピロリルまたはピラゾリルであり、これらのそれぞれが0、1または2回、メチルで置換され;
は、エチルであり;
Xは、メチレンであり;
およびRは、それぞれメトキシであり;および
は、Hである。
【0033】
上述のものの特定の実施形態において、該化合物は、
【化5】

またはそれらの医薬的に許容される塩である。
【0034】
本発明の活性化合物は、上述のものの医薬的に許容される塩を含む。医薬的に許容される塩としては、医薬的に許容される無機および有機酸および塩基から誘導されるものが挙げられる。適する酸塩の例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(palmoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩およびウンデカン酸塩が挙げられる。シュウ酸などの他の酸は、それら自体は医薬的に許容されないが、本発明の化合物およびそれらの医薬的に許容される酸付加塩を得る際に中間体として有用な塩の調製に利用することができる。
【0035】
適切な塩基から誘導される塩としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウムおよびカリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、アンモニウムおよびN(C1−4アルキル)塩が挙げられる。本発明は、本明細書に開示する化合物の任意の塩基性窒素含有基の四級化も考えている。そのような四級化によって、水溶性もしくは油溶性または水分散性もしくは油分散性生成物を得ることができる。
【0036】
C.医薬調合剤
本発明の活性化合物を医薬的に許容される担体と併用して、それらの医薬調合剤を提供することができる。担体および調合剤の個々の選択は、その組成物について意図する個々の投与経路に依存する。
【0037】
本発明の組成物は、経口、非経口、吸入スプレー、局所、直腸内、鼻、口腔内、膣または埋め込み型レザバー投与などに適し得る。好ましくは、本組成物は、経口、腹腔内または静脈内投与される。本発明の組成物の滅菌注射用形態は、水性懸濁液である場合もあり、または油性懸濁液である場合もある。これらの懸濁液は、適する分散または湿潤剤および懸濁化剤を使用して、当該技術分野において公知の技法に従って調合することができる。該滅菌注射用製剤は、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液のような、非毒性で非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液または懸濁液である場合もある。利用することができる、許容されるビヒクルおよび溶媒には、水、リンガー溶液および等張塩化ナトリウム溶液などがある。加えて、滅菌固定油が、溶媒または懸濁化媒質として慣例的に利用されている。
【0038】
このために、合成モノまたはジグリセリドをはじめとする任意の無菌固定油を利用することができる。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は、注射剤の調製に有用であり、天然の医薬的に許容される油、例えばオリーブ油またはヒマシ油、特にそれらのポリオキシエチル化バージョン、も同様である。これらの油性溶液または懸濁液は、長鎖アルコール希釈剤または分散剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、またはエマルジョンおよび懸濁液をはじめとする医薬的に許容される剤形の調合において一般に使用される同様の分散剤も含有し得る。他の一般に使用される界面活性剤、例えばTween、Span、および他の乳化剤またはバイオアベイラビリティー増進剤(これらは、医薬的に許容される固体、液体または他の剤形の製造の際に一般に使用される)も調合のために使用することができる。
【0039】
本発明の医薬的に許容される組成物は、カプセル、錠剤、水性懸濁液または水溶液をはじめとする(しかし、これらに限定されない)任意の経口的に許容される剤形で経口投与することができる。経口使用のための錠剤の場合、一般に使用される担体としては、ラクトースおよびコーンスターチが挙げられる。概して、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤も添加される。カプセル形態での経口投与のために有用な希釈剤としては、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが挙げられる。経口使用のために水性懸濁液が必要とされるときには、該活性成分を乳化および懸濁化剤と併せる。所望される場合には、一定の甘味料、着香(flavoring)剤または着色剤も添加することができる。
【0040】
あるいは、本発明の医薬的に許容される組成物は、直腸内投与様の坐剤形態で投与することができる。これらは、室温では固体であるが直腸温度では液体であり、そのため直腸内で溶融して薬物を放出する好適な無刺激性賦形剤と該薬剤を混合することによって、調製することができる。そのような材料としては、カカオ脂、蜜ろうおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0041】
本発明の医薬的に許容される組成物は、特に、治療ターゲットが、目、皮膚または下部腸管の疾病をはじめとする局所塗布を容易に利用できる領域または器官を含むとき、局所投与することもできる。これらの領域または器官のそれぞれに適する局所調合剤は、容易に調製される。
【0042】
下部腸管に対する局所塗布は、肛門坐剤調合剤(上記参照)または好適な浣腸調合剤で果たすことができる。局所経皮パッチを用いることもできる。
【0043】
局所塗布のための医薬的に許容される組成物は、1つ以上の担体に懸濁または溶解した活性成分を含有する好適な軟膏に調合することができる。本発明の化合物の局所投与のための担体としては、鉱物油、流動ペトロラタム(liquid petrolatum)、白色ワセリン(white petrolatum)、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ろうおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、該医薬的に許容される組成物は、1つ以上の医薬的に許容される担体に懸濁または溶解した活性成分を含有する好適なローションまたはクリームに調合することができる。好適な担体としては、鉱物油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルろう、セチルアルコール、2オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
眼科使用のための医薬的に許容される組成物は、等張性、pH調整食塩水中の微細化懸濁液として、または好ましくは、塩化ベンジルアルコニウムなどの保存薬を伴うまたは伴わない、等張性、pH調整滅菌食塩水中の溶液として、調合することができる。あるいは、眼科使用のための医薬的に許容される組成物は、ワセリンなどの軟膏に調合することができる。
【0045】
本発明の医薬的に許容される組成物は、鼻エーロゾルまたは吸入によって投与することもできる。そのような組成物は、医薬調合技術分野において周知の技法に従って調製し、ベンジルアルコールもしくは他の好適な保存薬、バイオアベイラビリティーを増進するための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または他の従来の可溶化もしくは分散剤を利用して食塩水中の溶液として調製することができる。
【0046】
最も好ましくは、本発明の医薬的に許容される組成物は、経口投与用に調合する。
【0047】
D.被験体および使用方法
本発明の活性化合物は、様々な異なる状態を治療するために、患者または被験体、特に、
(a)関節リウマチ;
(b)多発性硬化症;
(c)全身性エリテマトーデス(例えば、T−bet regulates IgG class switching and pathogenic auto Ab production,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99(8):5545−50(2002);Imbalance of Th1/Th2 transcription factors in patients with lupus nephritis,Rheumatology(Oxford)45(8):951−7(2006)参照);
(d)1型糖尿病(例えば、Identification of a novel type 1 diabetes susceptibility gene,T−bet,Human Genetics 111(3):177−84(2004);T−bet controls autoaggressive CD8 lymphocyte response in type I diabetes,J.Exp.Med.199(8):1153−62(2004)参照);
(e)乾癬(例えば、J.Mol.Med 81(8):471−80(2003)参照);および
(f)アテローム性動脈硬化症(例えば、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 102(5):1596−601(2005)参照)
に罹患している患者または被験体、に投与することができる。
【0048】
活性化合物は、例えば、経口的に、非経口的に、吸入スプレーにより、局所的に、直腸内に、鼻に、口腔内に、膣にまたは埋め込み型レザバーにより、任意の適する経路によって被験体に投与することができる。本明細書において用いる場合の用語「非経口的」は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液包内、胸骨内、髄腔内、肝臓内、病変内および頭蓋内注射または注入技術を含む。好ましくは、該組成物を経口、腹腔内または静脈内投与する。
【0049】
活性化合物は、治療有効量、または治療法の有効量で被験体に投与する。単一剤形の組成物を製造するために担体材料と併せることができる本発明の化合物の量は、治療する宿主、および個々の投与経路に依存して変わる。好ましくは、組成物は、これらの組成物を摂取する患者に阻害剤の0.01〜100mg/(体重kg)の投薬量を投与することができるように調合すべきである。一定の実施形態において、本発明の組成物は、0.01mgと50mgの間の投薬量をもたらす。他の実施形態では、0.1mgと25mgの間または5mgと40mgの間の投薬量をもたらす。
【0050】
いずれの個々の患者のための具体的な投薬および治療レジメンも、利用される具体的な化合物、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与回数、排泄率、薬の組み合わせ、および治療する医師の判断ならびに治療する個々の疾病の重症度をはじめとする様々な要因に依存することも理解されるはずである。組成物中の本発明の化合物の量は、その組成物中の個々の化合物にも依存する。
【0051】
本明細書に記載する本発明をさらに十分に理解するために、以下の実施例を示す。これらの実施例は、例証のみを目的とし、如何なる点においても本発明を限定すると解釈すべきでないことは理解されるはずである。
【実施例】
【0052】
[実施例1−41]
化合物の合成
マイクロ波援用反応は、Biotage Corporationによって供給されたEmrys Liberator機器を使用して行った。溶媒除去は、BuchiロータリーエバポレーターまたはGenevac遠心エバポレーターのいずれかを使用して行った。分析および分取クロマトグラフィーは、Waters自動精製機器を使用して、酸性、中性または塩基性いずれかの条件下、順相または逆相いずれかのHPLCカラムを使用して行った。化合物は、ELSDクロマトグラムの面積パーセントによって判定して、90%より高い純度であると判断した。NMRスペクトルは、Varian 300 MHz分光計を使用して記録した。
【0053】
本発明の化合物を調製するための一般的な方法および実験を下に示す。ある場合には、特定の化合物を例として説明する。しかし、それぞれの場合、下で説明するスキームおよび実験に従って本発明の一連の化合物を調製したことは、理解される。
【化6】

【0054】
ER−811160。上のスキーム1に示したように、水(50mL)中のシアン化カリウム(22.5g、0.335mol)の溶液を、水(90mL)およびメタノール(110mL)中の1−Boc−ピペリドン(32.48g、0.1598mol)および炭酸アンモニウム(33.8g、0.351mol)の溶液に、5分かけて1滴ずつ添加した。添加完了後すぐにオフホワイトの沈殿が形成し始めた。反応フラスコを密封し、その懸濁液を室温で72時間攪拌した。得られた淡黄色の沈殿を濾過し、少量の水で洗浄して、ER−811160(37.1g、86%)を無色の固体として得た。
【化7】

【0055】
ER−818039。上の図式2に示したように、アセトン(555mL)中のER−811160(30.0g、0.111mol)、臭化3,5−ジメトキシベンジル(30.9g、0.134mol)および炭酸カリウム(18.5g、0.134mol)の懸濁液を一晩、還流させながら加熱した。その反応溶液を室温に冷却し、濾過し、真空下で濃縮した。その粗製有機残留物を最少量のMTBE(250mL)に溶解した。少量のヘキサンを添加し(50mL)、その生成物を放置して無色の固体として(〜2時間かけて)沈殿させ、それを真空濾過によって単離した。フィルターケークを少量のMEBEで洗浄し、真空下で乾燥させて、ER−818039(39.6g、85%)を無色の固体として得た。
【化8】

【0056】
ER−823143−01。上のスキーム3に示したように、ER−818039(2.15g、0.00512mol)が入っている1つ口丸底フラスコに、1,4−ジオキサン(3.8mL、0.049mol)中の4N HClの溶液をゆっくりと添加した。出発原料が20分かけてゆっくりと溶解し、30分後に無色の沈殿が形成した。その後、MTBE(3mL)を添加した。2時間後、その反応物を濾過し、MTBEで洗浄し、それによってER−823143−01(1.81g、99%)を無色の固体として得た。
【化9】

【0057】
ER−817098:上のスキーム4に示したように、窒素雰囲気下、1,2−ジメトキシエタン(0.5mL、0.004mol)中のER−823143−01(41.5mg、0.000117mol)および4Åモレキュラーシーブの懸濁液に、3,5−ジメトキシベンズアルデヒド(21.3mg、0.000128mol)、続いてトリエチルアミン(16.2μL、0.000117mol)を添加した。その反応物を1時間攪拌した。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(34.6mg、0.000163mol)を添加し、その反応物を一晩攪拌した。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって、ER−817098(45.3mg、83%)を無色の固体として得た。
【化10】

【0058】
ER−817116:上のスキーム5に示したように、N−メチルピロリジノン(1.0mL、0.010mol)中のER−817098−00(50.0mg、0.000106mol)および1−ブロモ−2−メトキシエタン(15.6μL、0.000160mol)の溶液に、テトラヒドロフラン中の1.0M リチウムヘキサメチルジシラジド溶液(0.16mL)を添加した。温度を80℃に上昇させ、反応混合物を一晩攪拌した。その反応混合物を室温に冷却し、水で反応停止させ、その後、MTBEで数回抽出した。MEBE抽出物を併せ、水(2x)およびブライン(1x)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーによって、ER−817116(32.2mg、58%)を無色の油として得た。
【化11】

【0059】
ER−817118:上のスキーム6に示したように、N,N−ジメチルホルムアミド(15mL)中のER−817098(2.85g、0.00607mol)の溶液に、水素化ナトリウム(364mg、0.00910mol)、続いてヨードエタン(758μL、0.00910mol)を添加した。その反応混合物を一晩攪拌した。水を非常にゆっくりと添加し、その反応混合物をMTBEで数回抽出した。MTBE抽出物を併せ、水(2x)およびブライン(1x)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。酢酸エチルを溶離剤として使用するフラッシュクロマトグラフィーによって、ER−817118(2.89g、96%)を無色の油として得た。
【化12】

【0060】
ER−823914:上のスキーム7に示したように、−78℃でテトラヒドロフラン(30.0mL、0.370mol)中のER−823143−01(5.03g、0.0141mol)の溶液に、エーテル(71mL)中の1.0Mの臭化アリルマグネシウムをゆっくりと添加した。その反応混合物を室温に温め、一晩攪拌した。反応混合物を−78℃に冷却し、トリフルオロ酢酸(21.8mL、0.283mol)を滴下して処理し、その後、真空下で少しの残留量になるまで濃縮した。トリエチルアミンを添加して残留TFAを中和し、その後、その混合物を真空下で濃縮乾燥させた。残留赤色油をメタノール(138mL、3.41mol)に溶解し、ジ−t−ブチルジカーボネート(3.34g、0.0148mol)、続いてトリエチルアミン(2.38mL、0.0169mol)で処理し、室温で一晩攪拌した。その反応混合物を真空下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(溶離剤:酢酸エチル中の50%ヘキサン)によって精製して、ER−823914(3.25g、52%)を無色の固体として得た。
【化13】

【0061】
ER−823915:上のスキーム8に示したように、N,N−ジメチルホルムアミド(12.4mL、0.160mol)中のER−823914(2.20g、0.00496mol)の溶液に、水素化ナトリウム(298mg、0.00744mol)続いてヨードエタン(607μL、0.00744mol)を添加した。その反応混合物を一晩攪拌し、その後、水で反応停止させ、MTBEで数回抽出した。MTBE抽出物を併せ、水およびブラインで洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(溶離剤:酢酸エチル中の40%ヘキサン)によって、ER−823915(0.80g、34%)を無色のフォームとして得た。
【化14】

【0062】
ER−823917−01:上のスキーム9に示したように、ER−823915(799.2mg、0.001695mol)を1,4−ジオキサン中の4M塩化水素の溶液(10mL)に溶解した。その反応混合物を一晩攪拌し、その後、真空下で濃縮して、ER−823917−01(0.69g、定量的)をオレンジ色の固体として得た。
【化15】

【0063】
ER−824184およびER−824185:上のスキーム10に示したように、アセトニトリル(1mL)中のER−823915(200mg)の溶液をCHIRALPAK(登録商標)AS−H SFCカラム(30mm×250mm、粒径5マイクロメートル)に注入し、40mL/分の流量での95:5 n−ヘプタン:i−プロパノールで溶離した。UV検出器を用い、波長を290nmに設定して、溶離画分を検出した。第一の溶離画分を単離し、真空下でロータリーエバポレーションによって濃縮して、ER−824184を得;第二の溶離画分を単離し、真空下でロータリーエバポレーションによって濃縮して、ER−824185を得た。
【化16】

【0064】
ER−824188−01:上のスキーム11に示したように、ER−824184(25.33g、0.05371mol)を1,4−ジオキサン中の4M塩化水素の溶液(135mL)に溶解した。その反応混合物を一晩攪拌し、その後、真空下で濃縮して、ER−824188−01(21.9g、定量的)をオレンジ色の固体として得た。ER−824188−01の単結晶X線回折分析は、その立体中心の絶対配置が、スキーム11に示したように、Sであることを示した。
【化17】

【0065】
ER−824280−01:上のスキーム12に示したように、ER−824185(457.2mg、0.0009695mol)を1,4−ジオキサン中の4M塩化水素の溶液(2.5mL)に溶解した。その反応混合物を一晩攪拌し、その後、真空下で濃縮して、ER−824280−01(383.2g、97%)をオレンジ色の固体として得た。ER−824188−01のモッシャー(Mosher)アミド誘導体の単結晶X線回折分析は、その立体中心の絶対配置が、スキーム11に示したように、Rであることを示した。
【化18】

【0066】
ER−819924:上のスキーム13に示したように、ER−824188−01(62.4mg、0.000153mol)およびN−メチルピロール−2−カルバルデヒド(0.000229mol)をN,N−ジメチルホルムアミド(0.62mL)に溶解/懸濁させた。30分間攪拌した後、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(47.8mg、0.000214mol)を添加した。その反応混合物を一晩攪拌し、その後、逆相クロマトグラフィーによって精製して、ER−819924(71.1mg、83.4%)を油として得た。
【化19】

【0067】
ER−819925:上のスキーム14に示したように、ER−824280−01(59.5mg、0.000146mol)およびN−メチルピロール−2−カルバルデヒド(0.000219mol)をN,N’−ジメチルホルムアミド(0.60mL)に溶解/懸濁させた。30分間攪拌した後、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(45.6mg、0.000204mol)を添加した。その反応混合物を一晩攪拌し、その後、逆相クロマトグラフィーによって精製して、ER−819925(51.9mg、76.6%)を油として得た。
【化20】

【0068】
ER−189762:上のスキーム15に示したように、N,N−ジメチルホルムアミド(50mL)中のER−824188−01(5.7g、0.0140mol)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(4.4mL、0.029mol)および臭化3,5−ジメチルベンジル(4.7g、0.024mol)の溶液を97Cで一晩加熱した。水性処理およびフラッシュクロマトグラフィーによる精製によって、ER−189762(4.86g、71%)を無色の固体として得た。
【化21】

【0069】
ER−819762−01:上のスキーム16に示したように、ER−819762(4.77g、0.00974mol)、アセトニトリル(10mL)および水中の1M HCl(11mL)の溶液を室温でおよそ5分間攪拌した。その溶液を濃縮して、凍結乾燥後、ER−819762−01(5.1g、定量的)を無色の結晶質固体として得た。ER−819762−01の単結晶X線回折分析は、その立体中心の絶対配置が、スキーム16に示したように、Sであることを示した。
【化22】

【0070】
ER−819763:上のスキーム17に示したように、N−メチルピロリジノン(669mL)中のER−824280−01(66.9g、0.1640mol)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(54mL、0.361mol)および塩化3,5−ジメチルベンジル(42.4g、0.213mol)の溶液を72Cで2時間加熱した。冷却後、水を添加して所望の生成物を沈殿させた。分画および真空下での乾燥によって、ER−819763(74.4g、92%)を無色の固体として得た。
【化23】

【0071】
ER−824102:上のスキーム18に示したように、室温でN,N−ジメチルホルムアミド(25mL)中のER−823143−01(4.00g、0.0112mol)の溶液に、アルファ−ブロモメシチレン(3.13g、0.0157mol)、続いてDBU(4.37mL、0.0292mol)を添加した。1時間攪拌した後、NHCl半飽和水溶液で反応を停止させ、酢酸エチルで希釈し、1時間攪拌して、透明な二層を得た。有機層を分離し、水性層を酢酸エチル(2x)で抽出した。併せた抽出物をNaSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。MTBEからの結晶化によってER−824102(4.30g、87%)を無色の固体として得た。
【化24】

【0072】
ER−819929:上のスキーム19に示したように、−65℃でテトラヒドロフラン(35mL)中のER−824102(3.72g、0.0085mol)の溶液に、内部温度を−50℃未満に保持しながら10分間かけてエーテル中の1.0M臭化アリルマグネマグネシウム(25.5mL、0.0255mol)を添加した。その反応混合物を放置して0℃に温めた。0℃で3時間後、NHCl飽和水溶液で反応を停止させ、酢酸エチルおよび水で希釈し、10分間攪拌して、透明な二層を得た。有機層を分離し、水性層を酢酸エチルで抽出した。併せた抽出物を水、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、ER−819929(4.15g、定量的)を無色の固体として得、それをさらに精製せずに次の段階に使用した。
【化25】

【0073】
ER−819930:上のスキーム20に示したように、トリフルオロ酢酸(0.5mL)中のER−819929(37mg、0.000077mol)の溶液を室温で16時間攪拌した。暗赤褐色の反応混合物をEtOAc(5mL)で希釈し、NaHCO飽和水溶液(5mL、慎重:ガス発生)で中和した。二層混合物を10分間攪拌して2つの透明でほぼ無色の層を得た。有機層を分離し、水性層をEtOAcで抽出した。併せた有機抽出物をNaSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。1:1 ヘプタン−EtOAc、1:3 ヘプタン−EtOAc、100%EtOAcで溶離するフラッシュクロマトグラフィーによる精製によって、ER−819930(26mg、73%)を無色の固体として得た。
【化26】

【0074】
ER−820006およびER−820007:上のスキーム21に示したように、DMF(1.5mL、)中のER−819930(110mg、0.000238mol)および臭化メタリル(72μL、0.000715mol)の溶液に、テトラヒドロフラン中の1.0Mリチウムヘキサメチルジシラジド溶液(0.52mL、0.00052mol)を添加した。18時間、室温で攪拌した後、反応混合物をMTBEで希釈し、NHCl半飽和水溶液で反応停止させた。水性層を分離し、MTBEで抽出した。併せた抽出物をNaSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。3:2 ヘプタン−EtOAc、1:1 ヘプタン−EtOAcで溶離するフラッシュクロマトグラフィーによる精製によって、ラセミ生成物(68mg、55%)を無色の固体として得た。ラセミ生成物(55mg)を、ヘプタン−イソプロパノール(9:1)で溶離するChiralpak ASカラムでのキラルHPLCに付して、最初に溶離するエナンチオマーER−820006(21mg、38%、[α]=+83.7°(c=0.35、CHCl3))および二番に溶離するエナンチオマーER−820007(23mg、42%、[α]=−74.2°(c=0.38、CHCl3))を得た。ER−819762/ER−819763のエナンチオマーペアでの光学回転およびHPLC保持時間に関する類推に基づき、絶対立体化学を仮に割り当てた。
【化27】

【0075】
ER−819786およびER−819787:上のスキーム22に示したように、攪拌棒を装備した5mLマイクロ波反応器バイアルにER−819930(110mg、0.000238mol)、DMF(1.5mL)、2−(2−ブロモエトキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン(108μL、0.000715mol)およびテトラヒドロフラン中の1.00Mのリチウムヘキサメチルジシラジド(520μL、0.00052mol)を充填した。その反応器バイアルを200℃で15分間、マイクロ波処理した。さらなる2−(2−ブロモエトキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン(108μL、0.000715mol)およびテトラヒドロフラン中の1.00Mのリチウムヘキサメチルジシラジド(520μL、0.00052mol)を添加し、200℃でさらに15分間のマイクロ波照射によって反応混合物を加熱した。分取逆相HPLCによる精製によって、ラセミ生成物(25mg、21%)を無色のガラス質の油として得た。ラセミ生成物(17mg)を、ヘプタン−イソプロパノール(9:1)で溶離するChiralpak ASカラムでのキラルHPLCに付して、最初に溶離するエナンチオマーER−819786(7.2mg、42%、[α]=+72.0°(c=0.1、CHCl))および二番目に溶離するエナンチオマーER−819787(7.5mg、44%、[α]=−73.0°(c=0.1、CHCl))を得た。ER−819762/ER−829763のエナンチオマーペアでの光学回転およびHPLC保持時間に関する類推に基づき、絶対立体化学を仮に割り当てた。
【化28】

【0076】
ER−819993およびER−819994:上のスキーム23に示したように、攪拌棒を装備した5mLマイクロ波反応器バイアルにER−819930(110mg、0.000238mol)、DMF(1.5mL)、4−メチルベンゼンスルホン酸((4S)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(205mg、0.000715mol)およびテトラヒドロフラン中の1.00Mのリチウムヘキサメチルジシラジド(520μL、0.00052mol)を充填した。その反応器バイアルを200℃で15分間、マイクロ波照射によって加熱した。さらなる4−メチルベンゼンスルホン酸((4S)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(157mL、0.000548mol)およびテトラヒドロフラン中の1.00Mのリチウムヘキサメチルジシラジド(477μL、0.000477mol)を添加し、200℃でさらに15分間のマイクロ波照射によって反応混合物を加熱した。分取逆相HPLCによる精製によって、アセトニドER−819993(40mg、30%)およびジオール材料(18mg、14%)をジアステレオマーの1:1混合物として得た。ヘプタン−イソプロパノール(9:1)で溶離するChiralpak ASカラムでのキラルHPLCによりジアステレオマージオールを分離することによって、最初に溶離するジアステレオマーER−819788(5.0mg)および二番目に溶離するジアステレオマーER−819789(5.2mg)を得た。ER−819762/ER−829763のエナンチオマーペアでのキラルHPLC保持時間に関する類推に基づき、絶対立体化学を仮に割り当てた。
【化29】

【0077】
ER−81990:上のスキーム24に示したように、塩化メチレン(500μL)中のER−824220−00(51.8mg、0.000139mol)、テトラエチルアミン(97μL、0.00070mol)、4−ジメチルアミノピリジン(3.4mg、0.000028mol)および塩化(R)−(−)−α−メトキシ−α−トリフルオロメチルフェニルアセチル(0.052mL、0.00028mol)の溶液を室温で5時間攪拌した。フラッシュクロマトグラフィー、続いて酢酸エチル/ヘプタン/ペンタンからの結晶化による精製によって、ER−819990(49.2mg、60%)を結晶として得た。
【0078】
上に明確に示していないが後続のセクションにおいておよび下の表1〜2において例示する化合物は、スキーム13および/またはスキーム15と一貫性がある一般的な方法を用いて合成することができる。塩酸塩形態で例示する化合物の場合、これらは、スキーム16に関して説明した一般条件に対応する遊離塩基を付すことによって調製することができる。
【0079】
表1.式Iの例示的な化合物についての分析データ
【表1A】

【0080】
【表1B】

【0081】
【表1C】

【0082】
【表1D】

【0083】
【表1E】

【0084】
【表1F】

【0085】
【表1G】

【0086】
【表1H】

【0087】
【表1I】

【0088】
【表1J】

【0089】
【表1K】

【0090】
【表1L】

【0091】
【表1M】

【0092】
【表1N】

【0093】
【表1O】

【0094】
【表1P】

【0095】
【表1Q】

【0096】
【表1R】

【0097】
【表1S】

【0098】
【表1T】

【0099】
【表1U】

【0100】
【表1V】

【0101】
【表1W】

【0102】
分析方法:
方法A1
溶媒A:水中の0.2%Et
溶媒B:アセトニトリル中の0.2%Et
流量:2.0mL/分
線形勾配
【表1X】

【0103】
方法C1
移動相:エタノール中の0.1%EtNH
流量:1.0mL/分
イソクラティック
【0104】
[実施例42−126]
インビトロ生物活性
HEKT−bet−lucアッセイ:このアッセイは、ルシフェラーゼレポーターを駆動するヒトT−betおよびT−box反応性要素を発現する遺伝子操作HEK細胞におけるT−bet依存性レポーター(ルシフェラーゼ)活性を測定するものである。HEKT−bet細胞を96ウエルプレートに2×104/ウエルでプレーティングし、化合物を24時間にわたって細胞培養物に添加した。50μLのSteady−Glo試薬(Promega)を添加することによってルシフェラーゼ活性を測定し、Victor Vリーダー(PerkinElmer)でサンプルを読み取った。化合物で処理したサンプルと化合物で処理していないビヒクル対照とを比較することによって、化合物の活性を判定した。試験化合物不在下でのルシフェラーゼの量に対応する最大値と、最大阻害時に得られる試験化合物値に対応する最小値とを用いて、IC50値を計算した。
【0105】
正規化HEKT−bet IC50値の決定:化合物をマイクロプレートでアッセイした。ER−819544である参照化合物をそれぞれのプレートに含めた。特定の化合物についての非正規化IC50値を、同じマイクロタータープレート内の参照化合物について決定したIC50値で割って、相対強度(relative potency)値を得た。その後、その相対強度値に参照化合物の確定強度を掛けて、正規化HEKT−betIC50値を得た。このアッセイにおいて、ER−819544についての確定強度は、0.035μMであった。本明細書に提供するIC50値は、この正規化方法を用いて得た。
【0106】
上に記載したHEKT−bet−lucアッセイに関する上で述べた方法に従って、本発明の例示的な化合物をアッセイした。下の表2は、上に記載した正規化HEKT−bet−lucアッセイによって判定したときに示した量(μM)までのIC50を有する本発明の例示的な化合物を示すものである。
【0107】
表2.例示的な化合物のIC50
【表2A】

【0108】
【表2B】

【0109】
【表2C】

【0110】
【表2D】

【0111】
【表2E】

【0112】
【表2F】

【0113】
【表2G】

【0114】
【表2H】

【0115】
【表2I】

【0116】
【表2J】

【0117】
【表2K】

【0118】
【表2L】

【0119】
【表2M】

【0120】
【表2N】

【0121】
【表2O】

【0122】
【表2P】

【0123】
【表2Q】

【0124】
【表2R】

【0125】
【表2S】

【0126】
【表2T】

【0127】
【表2U】

【0128】
【表2V】

【0129】
【表2W】

【0130】
【表2X】

【0131】
【表2Y】

【0132】
【表2Z】

【0133】
【表2ZZ】

【0134】
[実施例126]
インビボ生物活性:能動免疫
CIAにおける関節炎発現の抑制:DBA1/Jマウスを第0日にbCII/CFAで免疫し、その後、第21日にbCII/IFAで追加免疫した。この研究過程を通して関節炎発現をモニターした。関節炎スコアは次のとおりである:0=正常な足(paw)、1のスコア=1〜2本の指に炎症を起こした足、2のスコア=3本の指または1〜2本の指+手関節(wrist)または足関節(ankle)に炎症を起こしている、3のスコア=手+2本より多くの指に炎症を起こしている;および4のスコア=多数の指(3〜4本)+重要な手関節または足関節炎症。
【0135】
(A)化合物の部分的治療評価。疾病発現前だがコラーゲンIIに対する抗体の誘導後、第20日から、示した用量での1日1回の経口投与によって活性化合物を与えた。(B)化合物の完全治療評価。疾病を発現した後(第二免疫後、第7日から)活性化合物を与えた。(C)完全治療CIA研究からのマウス足のX線分析。X線スコアは、骨減少と骨侵食と新骨形成の組み合わせについての指標である。(D)代表的X線ラジオグラフ。
【0136】
データを下の表3に与える。一般に、これらのデータは、このモデルにおけるメトトレキサートの活性と好適に比較される。
【0137】
[実施例127]
インビボ生物活性:受身免疫
CAIAにおける関節炎発現の抑制:第0日にBALB/cマウスに1mgの抗II型コラーゲン抗体を静脈内注射し、3日後、25μgのLPSを活性化合物と共に腹腔内注射し、第0日から第7日まで1日1回、メトトレキサート(MTX)を経口で与えた。この研究過程を通して、関節炎スコアおよび体重をモニターした。
【0138】
データを下の表3に与える。これらのデータは、このモデルにおいて特に活性でないメトトレキサートと好適に比較される。
【0139】
【表3】

【0140】
本発明者らは、本発明の多数の実施形態を説明したが、本発明者らの基本的実施例を改変して、本発明の化合物および方法を利用する他の実施形態を得ることができることは明らかである。従って、本発明の範囲が、例として表した特定の実施形態によってではなく添付の特許請求の範囲によって定義されるものであることは理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Ia:
【化1】

[式中、
は、C1−3アルキルであり;
Xは、メチレン、エチレン、プロピレン、エテニレン、プロペニレン、またはブテニレンであり;
は、フェニル、ピロリル、ベンズイミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾチアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、インダゾリル、ピリジニル、イミダゾピリジニル、インドリル、ベンゾトリアゾリル、イミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアジアゾリル、ピリジミジニル、ベンゾピラノニル、チアゾリル、チアジアゾリル、フリル、チエニル、ピラゾリル、キノキサリニル、またはナフチルであり、C1−4アルキル、C1−3アルコキシ、ヒドロキシル、C1−3アルキルチオ、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、トリフロオロメトキシ、5−メチルイソオキサゾリル、ピラゾリル、ベンジルオキシ、アセチル、(シアニル)C1−3-アルキル、(フェニル)C2−3アルケニル;およびハロから独立して選択される0個と5個の間の置換基で置換され;
は、H、メチル、エチル、プロピル、(C1−3アルコキシ)C1−3アルキル、(C1−3アルキルチオ)C1−3アルキル、C1−3ヒドロキシアルキル、フェニル、ベンジル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ピリジル、およびチエニルであり;
ここで、Rは、メチル、エチル、ハロ、ヒドロキシル、C1−3アルコキシ、C1−3アルキルチオ、(C1−3アルコキシ)C1−3アルキル、(C1−3アルキルチオ)C1−3アルキル、C1−3ヒドロキシアルキル、(C1−3メルカプトアルキル)フェニル、ベンジル、フリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ピリジル、およびチエニルから独立して選択される0個と3個の間の置換基で置換され;
、R、およびRのそれぞれは、水素、ヒドロキシル、メトキシ、ベンジルオキシ、フルオロ、クロロ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、およびフェノキシから独立して選択され;または
およびR、ならびにRおよびRから選択される1つのペアは、一緒に結合して、−O−(CH)−O−または−O−CH−CH−O−である。]
のエナンチオマー的に純粋な化合物またはその医薬的に許容される塩、C1−6アルキルエステルもしくはアミド、またはC2−6アルケニルエステルもしくはアミド。
【請求項2】
が、C1−2アルキルであり;
が、フェニル、ピロリル、ベンズイミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾチアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、インダゾリル、ピリジニル、イミダゾピリジニル、インドリル、ベンゾトリアゾリル、イミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアジアゾリル、ピリジミジニル、ベンゾピラノニル、チアゾリル、チアジアゾリル、フリル、チエニル、ピラゾリル、キノキサリニル、またはナフチルであり、C1−4アルキル、C1−3アルコキシ、ヒドロキシル、C1−3アルキルチオ、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、トリフロオロメトキシ、5−メチルイソオキサゾリル、ピラゾリル、ベンジルオキシ、アセチル、(シアニル)C1−3-アルキル、(フェニル)C2−3アルケニル;およびハロから独立して選択される0個と5個の間の置換基で置換され;
が、メチル、エチル、またはプロピルであり、ここで、Rは0から3個までのヒドロキシル置換基で置換され;
Xが、メチレンまたはエチレンであり;
、RおよびRが、Hおよびメトキシから成る群よりそれぞれ独立して選択される、
請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項3】
が、メチルであり;
が、フェニル、ピロリルまたはピラゾリルであり、これらのそれぞれが、0、1または2回、メチルで置換され;
が、エチルであり;
Xが、メチレンであり;
およびRが、それぞれメトキシであり;
が、Hである、
請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項4】
下記式
【化2】

の化合物およびその医薬的に許容される塩から成る群より選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
下記式
【化3】

の化合物およびその医薬的に許容される塩から成る群より選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
下記式
【化4】

の化合物およびその医薬的に許容される塩から成る群より選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
下記式
【化5】

の化合物およびその医薬的に許容される塩から成る群より選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
医薬的に許容される担体中に請求項1に記載の化合物を含む組成物。
【請求項9】
治療の必要がある被験体において関節リウマチを治療する方法であって、請求項1に記載の化合物を治療有効量で該被験体に投与するステップを含む方法。
【請求項10】
が、C1−2アルキルであり;
が、フェニル、ピロリル、ベンズイミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾチアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、インダゾリル、ピリジニル、イミダゾピリジニル、インドリル、ベンゾトリアゾリル、イミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアジアゾリル、ピリジミジニル、ベンゾピラノニル、チアゾリル、チアジアゾリル、フリル、チエニル、ピラゾリル、キノキサリニル、またはナフチルであり、C1−4アルキル、C1−3アルコキシ、ヒドロキシル、C1−3アルキルチオ、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、トリフロオロメトキシ、5−メチルイソオキサゾリル、ピラゾリル、ベンジルオキシ、アセチル、(シアニル)C1−3-アルキル、(フェニル)C2−3アルケニル;およびハロから独立して選択される0個と5個の間の置換基で置換され;
が、メチル、エチル、またはプロピルであり、ここで、Rは0から3個までのヒドロキシル置換基で置換され;
Xが、メチレンまたはエチレンであり;
、RおよびRが、Hおよびメトキシから成る群よりそれぞれ独立して選択される;
(または、その医薬的に許容される塩)、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記化合物が、下記式
【化6】

の化合物およびその医薬的に許容される塩から成る群より選択される請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記化合物が、下記式
【化7】

の化合物およびその医薬的に許容される塩から成る群より選択される請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記化合物が、下記式
【化8】

の化合物およびその医薬的に許容される塩から成る群より選択される請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記化合物が、下記式
【化9】

の化合物およびその医薬的に許容される塩から成る群より選択される請求項9に記載の方法。
【請求項15】
治療の必要がある被験体において多発性硬化症を治療する方法であって、請求項1に記載の化合物を治療有効量で該被験体に投与するステップを含む方法。
【請求項16】
が、C1−2アルキルであり;
が、フェニル、ピロリル、ベンズイミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾチアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、インダゾリル、ピリジニル、イミダゾピリジニル、インドリル、ベンゾトリアゾリル、イミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアジアゾリル、ピリジミジニル、ベンゾピラノニル、チアゾリル、チアジアゾリル、フリル、チエニル、ピラゾリル、キノキサリニル、またはナフチルであり、C1−4アルキル、C1−3アルコキシ、ヒドロキシル、C1−3アルキルチオ、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、トリフロオロメトキシ、5−メチルイソオキサゾリル、ピラゾリル、ベンジルオキシ、アセチル、(シアニル)C1−3-アルキル、(フェニル)C2−3アルケニル;およびハロから独立して選択される0個と5個の間の置換基で置換され;
が、メチル、エチル、またはプロピルであり、ここで、Rは0から3個までのヒドロキシル置換基で置換され;
Xが、メチレンまたはエチレンであり;
、RおよびRが、Hおよびメトキシから成る群よりそれぞれ独立して選択される;
(または、その医薬的に許容される塩)、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記化合物が、下記式
【化10】

の化合物およびその医薬的に許容される塩から成る群より選択される請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記化合物が、下記式
【化11】

の化合物およびその医薬的に許容される塩から成る群より選択される請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記化合物が、下記式
【化12】

の化合物およびその医薬的に許容される塩から成る群より選択される請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記化合物が、下記式
【化13】

の化合物およびその医薬的に許容される塩から成る群より選択される請求項15に記載の方法。
【請求項22】
治療の必要がある被験体において自己免疫疾患を治療する方法であって、請求項1に記載の化合物を治療有効量で該被験体に投与するステップを含み、
該自己免疫疾患が、全身性エリテマトーデス、1型糖尿病、乾癬およびアテローム性動脈硬化症から成る群より選択される方法。
【請求項23】
が、C1−2アルキルであり;
が、フェニル、ピロリル、ベンズイミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾチアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、インダゾリル、ピリジニル、イミダゾピリジニル、インドリル、ベンゾトリアゾリル、イミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアジアゾリル、ピリジミジニル、ベンゾピラノニル、チアゾリル、チアジアゾリル、フリル、チエニル、ピラゾリル、キノキサリニル、またはナフチルであり、C1−4アルキル、C1−3アルコキシ、ヒドロキシル、C1−3アルキルチオ、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、トリフロオロメトキシ、5−メチルイソオキサゾリル、ピラゾリル、ベンジルオキシ、アセチル、(シアニル)C1−3-アルキル、(フェニル)C2−3アルケニル;およびハロから独立して選択される0個と5個の間の置換基で置換され;
が、メチル、エチル、またはプロピルであり、ここで、Rは0から3個までのヒドロキシル置換基で置換され;
Xが、メチレンまたはエチレンであり;
、RおよびRが、Hおよびメトキシから成る群よりそれぞれ独立して選択される;
(または、その医薬的に許容される塩)、
請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記化合物が、下記式
【化14】

の化合物およびその医薬的に許容される塩から成る群より選択される請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記化合物が、下記式
【化15】

の化合物およびその医薬的に許容される塩から成る群より選択される請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記化合物が、下記式
【化16】

の化合物およびその医薬的に許容される塩から成る群より選択される請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記化合物が、下記式
【化17】

の化合物およびその医薬的に許容される塩から成る群より選択される請求項22に記載の方法。
【請求項28】
治療の必要がある被験体における関節リウマチの治療薬の製造のための請求項1〜8に記載の化合物の使用。
【請求項29】
治療の必要がある被験体における多発性硬化症の治療薬の製造のための請求項1〜8に記載の化合物の使用。
【請求項30】
自己免疫疾患が、全身性エリテマトーデス、1型糖尿病、乾癬および多発性硬化症から成る群より選択される、治療の必要がある被験体において自己免疫疾患の治療薬の製造のための請求項1〜8に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2011−503179(P2011−503179A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534000(P2010−534000)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際出願番号】PCT/US2007/024011
【国際公開番号】WO2009/064274
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(506137147)エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社 (215)
【Fターム(参考)】