説明

エネルギー回収方法

各段階が1つのコンプレッサ要素(4,5)によって実現される2つ以上の圧縮段階を備えたコンプレッサ(1)によって気体を圧縮する時にエネルギーを回収する方法であって、各場合において、少なくとも2つの上記コンプレッサ要素よりも下流に、第1部分と第2部分を有する熱交換器(4,5)を備え、該冷却材の流れの方向に見えるとおり、冷却材は少なくとも2つの熱交換器(4,5)の第2部分を連続して順次案内され、少なくとも1つの後続の熱交換器の第1部分の入口における温度が、先行する熱交換器の第1部分の入口における温度よりも高温又は同じ温度になるように、該冷却材が該熱交換器(4,5)を通って案内されるシーケンスが選択され、少なくとも1つの熱交換器(4及び/又は17)には冷却材のための第3部分を備えていること、を特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエネルギーを回収する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
さらに詳しくは、本発明は、各段階が一つのコンプレッサ要素によって実現される2つ以上の圧縮段階を有するコンプレッサによって気体が圧縮される時のエネルギーを回収するための方法に関するものであって、各場合に、少なくとも2つの上記コンプレッサ要素よりも下流に、第1部分と第2部分とを、より詳しく言えば、当該熱交換器よりも上流の圧縮段階から流れてくる圧縮気体を案内するための第1部分と、該圧縮気体からの圧縮熱の一部を回収するために冷却材を案内するための第2部分とを備えた熱交換器(4,5)を設けている。
【0003】
一つの圧縮段階の入口における気体の温度は、そのコンプレッサのエネルギー消費に重要な影響を与える。
【0004】
それ故、連続する段階の間で気体を冷却するのが望ましい。
【0005】
従来のやり方では、熱交換器の第1部分に気体を通し、一般的には水が用いられる冷却材が第2部分を通って流れるようにすることによって、該気体が2つの連続する段階の間で冷却される。
【0006】
そのようにして、供給される冷却材の全流量は分割され、用いられる数の熱交換器の間で分配される。言い換えれば、該冷却材は、該複数の熱交換器の第2部分を並列的に通るように案内される。
【0007】
上記のことは、該冷却材が同じ温度で異なる熱交換器に入っていくことを意味する。
【0008】
前記冷却材は、前記複数の熱交換器を通って流れる時に熱を帯びる。該熱交換器を出ていく時に、その熱を帯びた冷却材が再び集められる。通常の設計条件では、限られた冷却領域で効率的に冷却するために、この加熱は非常に限られたものである。
【0009】
しかしながら、もし、その蓄えた熱を有効に用いようとするならば、この冷却材の加熱をより強力に行う方が望ましい。このことは、冷却材の流量を抑えなければならないことを意味する。
【0010】
このように抑えることの不利な点は、複数の熱交換器を通って流れる冷却材の速度が減少することによって、異なる熱交換器において石灰集積が起こることである。
【0011】
別の不利な点は、異なる熱交換器における冷却材の制限された速度が、上記熱交換器における最適な熱伝達にそぐわないことである。
【発明の概要】
【0012】
本発明の目的は、上記の1つ又はそれ以上の不利な点及び/又はその他の不利な点について解決策を与えることにあり、それは、各段階が1つのコンプレッサ要素(4,5)によって実現される2つ以上の圧縮段階を備えたコンプレッサ(1)によって気体を圧縮する時にエネルギーを回収する方法であって、各場合において、少なくとも2つの上記コンプレッサ要素よりも下流に、第1部分と第2部分とを、より詳しく言えば、当該熱交換器よりも上流の圧縮段階から流れてくる圧縮気体を案内するための第1部分と、該圧縮気体からの圧縮熱の一部を再生するために冷却材を案内するための第2部分とを備えた熱交換器(4,5)を設け、該冷却材は少なくとも2つの熱交換器(4,5)の第2部分に連続して順次案内され、該冷却材の流れの方向に見えるとおり、少なくとも1つの後続の熱交換器の第1部分の入口における温度が、先行する熱交換器の第1部分の入口における温度よりも高温又はそれと同じ温度になるように、該冷却材が該熱交換器(4,5)を通って案内されるシーケンスが選択され、少なくとも1つの熱交換器(4及び/又は17)には冷却材のための第3部分を備えている、方法を提供すること、によって実現するものである。
【0013】
本発明の有利な点は、冷却材を従来のように異なる熱交換器の間で分割するのではなく、冷却材が複数の熱交換器を連続的に通るように送ることによって、冷却材を供給する速度をより良く維持することが出来ることである。
【0014】
これに関連する有利な点は、異なる複数の熱交換機における冷却材がより高速度になる結果として、石灰集積のリスクが実質的に減少することである。
【0015】
別の有利な点は、複数の熱交換器において冷却材の流量がより多くなることによって、一方における圧縮気体と、他方における冷却材との間において、より良好な熱伝達を可能にすることである。
【0016】
上記のシーケンスに従って、該冷却材が異なる熱交換器を通るように送ることによって、それらの熱交換器を通り抜けた後の該冷却材の温度が、既存のエネルギー回収方法に比べて、より高温になる。
【0017】
このようにして、既存のエネルギー回収方法に比べて、より多くのエネルギーを回収することが出来る。
【0018】
本発明の別の望ましい特徴によれば、該冷却材は、該コンプレッサの全ての熱交換器を通るように順次案内される。
【0019】
該冷却材が全ての熱交換器を通るように送られるため、エネルギーの最大量を回収することが出来る。
【0020】
本発明の別の望ましい特徴は、1つ又はそれ以上のコンプレッサ要素の速度が所定の基準によって制御されることにある。
【0021】
該コンプレッサの各コンプレッサ要素が可能な最高効率に達するように作動パラメーターが設定されるのが望ましい。このことは容易なことではない。なぜならば、異なるコンプレッサ要素が連続的に連結されているからである。もし、一つのコンプレッサ要素が、上記コンプレッサ要素の効率に最適でない条件又は有害な条件で作動する場合は、それは該コンプレッサの後続の全てのコンプレッサ要素に影響を与えることは確かである。
【0022】
該コンプレッサが全体として最大効率に達することが出来るように、後続のコンプレッサ要素を互いに調整させることが重要である。
【0023】
圧縮段階の相対速度を制御可能なコンプレッサ(例えば、直接駆動する多段階コンプレッサ)の場合は、本発明の方法においては、複数のコンプレッサ要素の上記のような互いの調整は、冷却材が異なる熱交換器を通るように案内されるシーケンス及び後続の複数のコンプレッサ要素の回転速度の相対的な速度差に、応答することによって行うことができる。
【0024】
そのようにして、1つ又はそれ以上のコンプレッサ要素の回転速度が所定の基準に従って制御される。さらに詳しく言えば、異なるコンプレッサ要素が最適な方法で互いに調整され、それによってコンプレッサが全体として可能な最高効率に達するように、1つ又はそれ以上のコンプレッサ要素の回転速度が適切に調整される。
【0025】
本発明の特定の特徴によれば、上記のエネルギー回収の結果としての各々の圧縮段階作動領域の変更が少なくとも部分的に中立化されるように、複数の圧縮段階の回転速度が制御される。
【0026】
このことは、例えば前記相対速度を制御することによって行うことができ、それによって、上記のエネルギー回収による悪い影響を最も受けてしまう複数の圧縮段階が、全負荷の中のより少ない部分を引き受ける一方、上記のエネルギー回収による悪い影響をあまり受けない圧縮段階が、全負荷の中のより大きな部分を引き受けることになる。
【0027】
ターボ式コンプレッサの場合、コンプレッサ要素が温度、圧力及び速度について作動領域外の状態になった時に該コンプレッサ要素を通る気体の逆流が起こり得るサージング又はパンピングという現象の発生率等によって効率が決定される。同様に、各スクリュー式コンプレッサ要素の場合は、その範囲外では該コンプレッサ要素が作動し得ない温度、圧力及び速度についての一定の作動領域がある。
【0028】
それ故、本発明は、該速度制御と連携した冷却シーケンスに応答することによって該コンプレッサ要素をこの最適作動領域内で用いることが出来ることを提供する。
【0029】
このようにして、該作動領域の限界点の近くにある重要な安全領域を考慮することなく、該作動領域の限界近くで該コンプレッサを作動させることが出来る。
【0030】
本発明による方法においては、複数の圧縮段階の相対速度を、それぞれの入口の温度の変化に比例して変化させるのが望ましい。
【0031】
さらに、チューブを通って流れる第1媒体の入力と出力及び該チューブの周りを流れる第2媒体の入力と出力、を有するハウジング内に配置したチューブを備えたチューブ式の熱交換器を用いるのが望ましい。そして、この場合に、冷却材が該チューブを通って流れ、
気体が該チューブに沿って流れることは必ず必要というわけではない。
【0032】
気体が該熱交換器を通って流れる間に起こる圧力降下は、気体が該熱交換器の複数のチューブに沿って流れるように案内することによって制限される。このことは、当然、該コンプレッサの効率に良い影響を与える。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明によるエネルギー回収方法を利用した装置を模式的に示す。
【図2】本発明による方法を利用した装置のバリエーションを示す。
【図3】図2によるバリエーションを示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の特徴をより良く示すために、本発明による望ましい方法を、添付図面を参照しながら、いかなる限定をもすることなく、一例として以下に説明する。
【0035】
図1は、一つの気体、例えば空気を圧縮するための、この場合においては連続的に連結された2つの圧縮段階を備えた、コンプレッサ1を示す。各圧縮段階はターボ式コンプレッサ要素、すなわち、低圧コンプレッサ要素2と高圧コンプレッサ要素3によってそれぞれ実現される。
【0036】
この特定の実施例においては、第1低圧コンプレッサ要素2の出口の温度は、第2高圧コンプレッサ要素3の出口の温度よりも高い。
【0037】
この場合において、各コンプレッサ要素2及び3から下流に熱交換器を備えている。さらに詳しく言えば、前記低圧コンプレッサ要素2から下流に第1熱交換器4又はインタークーラーを備え、前記高圧コンプレッサ要素3から下流に第2熱交換器5又はアフタークーラーを備えている。
【0038】
前記低圧コンプレッサ要素2は、モーター制御器8を備えた第1モーター7によって駆動する第1シャフト6に連結されている。
【0039】
前記高圧コンプレッサ要素3は、モーター制御器11を備えた第2モーター10によって駆動する第2シャフト9に連結されている。本発明は、言うまでもなく、2つのモーター制御器8及び11を適用することに限定するものではなく、該モーター7及び10を単一のモーター制御器又は2つよりも数が多いモーター制御器によって駆動させてもよい。
【0040】
熱交換器4及び5の各々は、該熱交換器から上流の圧縮段階から流れてくる気体を案内するための第1部分と、冷却材を案内するための第2部分を内部に備えている。この場合において、インタークーラー4は第3部分をも備えている。このことによって、該冷却剤がインタークーラー4を通るように送ることを2回まで可能にする。該第3部分は、本発明による方法を適用した装置における別の熱交換器に設けてもよい。
【0041】
パイプ12は冷却材を供給し、該冷却材が別個の熱交換器4及び5を通るように一定のシーケンスで案内する。この場合において、該冷却材は水から成るが、本発明の範囲を超えることなく、液体又は気体等の別の冷却材に代えてもよい。
【0042】
添付図面に示されていない特徴によれば、一つ又はそれ以上の熱交換器4及び/又は5から下流に、該熱交換器の第1部分側で生じ得る凝縮液を取り除く水分離器を設けてもよい。
【0043】
本発明による方法は非常に簡単であり、それは以下に述べるとおりである。
【0044】
気体、この場合においては空気は、前記低圧コンプレッサ要素2の入口を通るように吸い込まれ、このコンプレッサ要素2内で一定の圧力になるまで圧縮される。
【0045】
前記空気を前記低圧段階から下流の第2圧縮段階を通るように送る前に、該空気は、インタークーラーの形式の第1熱交換器4の第1部分を通るように案内され、そのようにして該空気は冷却される。結局、連続する段階の間で該空気を冷却することが重要である。なぜならば、そのことによって、コンプレッサ1の効率を促進するからである。
【0046】
前記空気が上記第1熱交換器4を通って流れた後、該空気は、高圧コンプレッサ要素3とアフタークーラー5を通るように案内される。
【0047】
前記空気がコンプレッサ1を出た後、その圧縮された空気は、例えば設備等を稼動させるために下流に配置した応用装置において用いられるか、或いは、フィルター装置及び/又は乾燥器などの処理後の装置に最初に案内しても良い。
【0048】
前記冷却材、例えば水は、前記インタークーラー4とアフタークーラー5の第2部分を連続的に通るように案内され、最後に該インタークーラー4の第3部分を通る。該水は、連続する段階の間の圧縮空気を冷却する。
【0049】
現在の技術水準では、該水は、連続する段階の間の圧縮空気を冷却するのに用いられる。エネルギーの回復は、熱水の形式においては極めて小さい。なぜならば、水が熱交換器を通って流れる間、水は不十分にしか加熱されないからである。
【0050】
本発明による方法は、冷却材が、圧縮空気を冷却するために用いられるだけでなく、上記の熱を有用に分配できる程度に該冷却材を加熱する、ということによって特徴づけられる。この特定の実施例においては、該水を約90℃に加熱するのが望ましい。
【0051】
前記冷却材を十分な程度にまで加熱することは、本発明によれば、連続させて設けた前記熱交換器4及び5を該冷却材が連続的に通るように案内することによって実現される。さらに、冷却材が異なった熱交換器4及び5を通って流れるシーケンスは、該冷却材がそれらの異なった熱交換器4及び5を通って流れた後で可能な最高温度になるように、決定されるのが望ましい。
【0052】
図1に示したように、この場合には、該水は最初にインタークーラー4を通って流れ、それからアフタークーラー5を通り、それから再びインタークーラー4を通る。
【0053】
この場合には、該インタークーラー4の入口に置ける圧縮空気の温度は、該アフタークーラー5の入口における空気の温度よりも十分に高い。
【0054】
別の表現をすれば、該冷却材がそれらの熱交換器を通って流れるように案内される順序は、冷却材の流れる方向から分かるように、少なくとも後続側の熱交換器の第1部分の入口における温度が、先行側の熱交換器の第1部分の入口における温度よりも高いか、又は同じになるように選択するのが望ましい。
【0055】
本発明の極めて望ましい特徴によれば、上記の、後続側の熱交換器は、冷却材が流れる最後の熱交換器によって形成される。この最後の熱交換器は、勿論、この場合に該冷却材が流れる第1熱交換器であっても良いが、しかし、このことは、本発明によれば絶対に必要というわけではない。
【0056】
或る圧縮段階の最後における圧縮空気の温度は、その圧縮段階においてそのコンプレッサ要素が吸収するエネルギーに比例する。冷却材がそれらの異なる熱交換器を通るように案内されるシーケンスは、結局、それらの異なる熱交換器によって吸収されるエネルギーに従って策定しても良い。
【0057】
本発明による方法においては、最後の例において、最も大きなエネルギーを吸収するコンプレッサ要素から流れて来る気体が第1部分を通って流れる当該熱交換器を、該冷却材が通るように案内するのが望ましい。
【0058】
この場合に、低圧段階2のコンプレッサ要素は、高圧段階3のコンプレッサ要素を駆動させるために用いられるモーター10よりも大きな動力を有するモーター7によって、駆動させ、その結果、該最後の例において、該冷却材は、インタークーラー4の第3部分を通るように送られる。
【0059】
該冷却材が異なる熱交換器を通るように案内されるシーケンスと、そのシーケンスがそれらの段階の異なる入口の温度に与える影響及びそれに伴うシステム全体の効率に対する影響とを、調整することによって、上記のエネルギー回収が該コンプレッサの全体的な効率に最小限の影響しか与えないように構成するのが望ましい。
【0060】
前記第1熱交換器4の第3部分を通るように案内される冷却材は、この場合は、最初に供給される冷却材の温度に比べてすでに比較的に高い温度になっている。それ故、該圧縮気体は、低圧段階と高圧段階との間で不十分にしか冷却されない。このことは、確実に該コンプレッサの効率に有害な影響を与える。なぜならば、最大限の効率を得るためには、それらの段階の入り口の温度を出来るだけ低く抑えなければならないからである。最悪の場合には、そのことは該コンプレッサの作動を妨げることさえある。
【0061】
上記の副作用は、前記第1熱交換器に第3部分を設けることによって除くことが出来る。このように、該圧縮気体を該低圧段階と高圧段階との間で冷却することが出来るように、最初に供給された冷却材は先ずインタークーラー4の第2部分を通るように案内される。
【0062】
上記のことは、連続的に繋がれた3つの圧縮段階を備えたコンプレッサ13を示す図2及び図3に例示されている。各圧縮段階はターボ式コンプレッサ要素、すなわち、低圧コンプレッサ要素14、第1高圧コンプレッサ要素15及び第2高圧コンプレッサ要素16によってそれぞれ実現される。
【0063】
この場合に、各コンプレッサ要素の下流に一つずつ熱交換器が設けられている。すなわち、低圧コンプレッサ要素14の下流に第1熱交換器17又はインタークーラーが、第1高圧コンプレッサ要素15の下流に第2熱交換機18又はインタークーラーが、さらには第2高圧コンプレッサ要素16の下流には第3熱交換器19又はアフタークーラーが、それぞれ設けられている。
【0064】
該第1及び第2高圧コンプレッサ要素15及び16は、モーター制御器を備えた第1モーター21によって駆動する共通の軸20を有する。前記低圧コンプレッサ要素14は、モーター制御器25を備えた第2モーター24によって駆動する第2軸に連結されている。
【0065】
前記の2つの高圧コンプレッサ要素15及び16を一つの軸20によって駆動させることによって、それらの相対速度は常に等しくなる。
【0066】
この場合に、上記のモーター21及び24は同一の動力を伝える。このことは、該低圧コンプレッサ要素が他の2つのコンプレッサ要素15,16に比べてより大きな動力を吸収することを意味する。
【0067】
一つのコンプレッサにおいて、第1インタークーラー17が他の2つの熱交換器18,19に比べて2倍冷却できる能力を有するように、一つの段階で吸収されたエネルギーは、略完全に熱の形に変換される。このことは、また、低圧段階の出口における圧縮気体の温度が、他の圧縮段階の最後における圧縮気体の温度よりもずっと高いことを意味する。図2及び3に示した冷却材はパイプ26によって供給される。最後の例では、上記の冷却材が第1インタークーラー17を通るように送られるが、このことには、主として2つの理由がある。1つ目の理由は、該冷却材が最高の出口温度に達することが出来るように、該第1インタークーラー17の第1部分側における圧縮気体の温度が最高温度になっていることである。
【0068】
2つ目の理由は、所定の冷却材の場合に、例えば90℃の出口温度であれば、他の2つの熱交換器18,19の性能に対する影響が制限されたものとなるように、該第1インタークーラー17の冷却能力が最高になっていることである。
【0069】
該シーケンスにおける2つの連続する熱交換器の間で、最もエネルギーの取り込みが少ないコンプレッサ要素からの気体が第1部分を通って流れる当該熱交換器を、該冷却材が最初に通って流れる、ということによってさらに該冷却材のシーケンスを決定するのが望ましい。
【0070】
図2及び3に示したように、2つの高圧コンプレッサ要素15及び16は、この場合に同一のエネルギーを吸収する。この場合に、該冷却材は最初に第2インタークーラー18を通って流れ、それからアフタークーラー19を通って流れる。
【0071】
図2に示したように、前記低圧段階と第1高圧段階との間で圧縮気体を十分に冷却するために、最初に供給される冷却材が先ず第1インタークーラー17を通るように送られ、それから、第2インタークーラー18、アフタークーラー19及び第1インタークーラー17を通って流れる。
【0072】
上記の実施例のバリエーションは図3に示されていて、そこでは、第2冷却材がパイプ27を介して供給される。前記冷却材を前記第1インタークーラー17の第2部分に送ることによって、低圧段階と第1高圧段階との間で圧縮気体を十分に冷却するために、該冷却材が用いられる。
【0073】
前記水、もっと一般的に言えば冷却材は、また、それぞれのモーター制御器8,11,22及び/又は25を備えた1つ又はそれ以上のモーター7,10,21及び/又は24を冷却するために用いることも出来る。該冷却材を異なる熱交換器を通るように送る前に、最初に該モーターを冷却するために冷却材を用いるのが望ましい。
【0074】
前記圧縮空気が熱交換器の、異なるチューブに沿って流れるチューブ式の熱交換器を複数用いるのが望ましい。このようにして、一つの熱交換器を通過する際の空気の圧力降下が制限される。
【0075】
第2及び第3段階のコンプレッサ要素15及び16は、この場合には、第1段階のコンプレッサ要素14のドライブとは独立して速度制御が可能なモーター21の軸20の形式による一つの共通のドライブによって駆動する。
【0076】
本発明は、決して、実施例として記載し或いは図面に示した方法に限定されるものではなく、該方法は、本発明の範囲から離れることなく、様々な態様で実現することが出来る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各段階が1つのコンプレッサ要素(4,5)によって実現される2つ以上の圧縮段階を備えたコンプレッサ(1)によって気体を圧縮する時にエネルギーを回収する方法であって、各場合において、少なくとも2つの上記コンプレッサ要素よりも下流に、第1部分と第2部分とを、より詳しくは、当該熱交換器よりも上流の圧縮段階から流れてくる圧縮気体を案内するための第1部分と、該圧縮気体からの圧縮熱の一部を回収するために冷却材を案内するための第2部分とを備えた熱交換器(4,5)を設け、該冷却材は少なくとも2つの熱交換器(4,5)の第2部分に連続して順次案内され、該冷却材の流れの方向に見えるとおり、少なくとも1つの後続の熱交換器の第1部分の入口における温度が、先行する熱交換器の第1部分の入口における温度よりも高温又はそれと同じ温度になるように、該冷却材が該熱交換器(4,5)を通って案内されるシーケンスが選択される方法において、少なくとも1つの熱交換器(4及び/又は17)には冷却材のための第3部分を備えていること、を特徴とする方法。
【請求項2】
上記後続の熱交換器が、冷却材が案内される最後の熱交換器によって形成されること、を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該冷却材が異なる熱交換器(4,5)を通るように案内されるシーケンスと、そのシーケンスがそれらの段階の異なった入口の温度に与える影響及びそれに伴うシステム全体の効率に対する影響とを、調整することによって、前記のエネルギー回収が該コンプレッサ(1)の全体的な効率に最小限の影響しか与えないようにエネルギー回収が行われること、を特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
該シーケンスにおける2つの連続する熱交換器(4,5)の間で、気体が、最もエネルギーの取り込みが少ないコンプレッサ要素の第1部分を通って流れる当該熱交換器を、該冷却材が最初に通って流れるように、該冷却材が異なる熱交換器(4,5)を通るように案内されるシーケンスが選択されること、を特徴とする先行する請求項の何れか一つに記載の方法。
【請求項5】
一つ手前の例において、最もエネルギーの取り込みが大きいコンプレッサ要素(2)からの気体が第1部分を通って流れる当該熱交換器(4)を、該冷却液が通るように案内すること、を特徴とする先行する請求項の何れか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記冷却材が前記コンプレッサ要素(1)の全ての熱交換器(4,5)を連続的に通るように案内されること、を特徴とする先行する請求項の何れか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記気体が、3つの段階、すなわち低圧段階、第1高圧段階、第2高圧段階のそれぞれにおいて圧縮され、それらの後には第1熱交換器(17)、第2熱交換器(18)及び第3熱交換器(19)がそれぞれ配置され、該冷却材が最初に第2熱交換器(18)を通り、それから第3熱交換器(19)を通り、最後に第1熱交換器(17)を通って流れること、を特徴とする先行する請求項の何れか一つに記載の方法。
【請求項8】
前記冷却材が、最初に第3部分を備えた熱交換器の第2部分を通って流れ、それから他の熱交換器を通って流れ、最後に第3部分を備えた該熱交換器の第3部分を通って流れること、を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記気体が、3つの段階、すなわち低圧段階、第1高圧段階、第2高圧段階のそれぞれにおいて圧縮され、それらの後には第1熱交換器(17)、第2熱交換器(18)及び第3熱交換器(19)がそれぞれ配置され、該冷却材が第1熱交換器(17)、第2熱交換器(18)、第3熱交換器(19)を通るように連続的に案内され、最後に第1熱交換器(17)に戻されてそこを通るように案内されること、を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
冷却材が異なる熱交換器を通るように送られる前に、複数のコンプレッサ要素の1つ又はそれ以上のモーター(7,10,21及び/又は24)、及び/又はそれぞれのモーター制御器(8,11,22及び/又は25)を冷却するために、冷却材が用いられること、を特徴とする先行する請求項の何れか一つに記載の方法。
【請求項11】
第2冷却材が上記の第3部分を通って流れること、を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第2冷却材が、複数のコンプレッサ要素の1つ又はそれ以上のモーター(21,24)及び/又はそれぞれのモーター制御器(22,25)を冷却するためにも用いられること、を特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
1つ又はそれ以上のコンプレッサ要素(2,3,14,15及び/又は16)の回転速度が所定の基準によって制御されること、を特徴とする先行する請求項の何れか一つに記載の方法。
【請求項14】
少なくとも2つの上記の熱交換器によって各圧縮段階操作領域の変化を少なくとも部分的に中立化させるために、それらの圧縮段階の回転速度を制御すること、を特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
複数の圧縮段階の相対的な回転速度を、それぞれの入口の温度の変化に比例して、変化させること、を特徴とする請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
第1及び第2高圧段階のコンプレッサ要素(15,16)が、低圧段階のコンプレッサ要素(14)のドライブから独立して回転速度が制御される共通のドライブによって、駆動すること、を特徴とする請求項7又は8に記載の方法。
【請求項17】
複数のチューブを通って流れる第1媒体のための入力及び出力と、複数のチューブの周りを流れる第2媒体のための入力及び出力と、を有するハウジング内に複数のチューブを備えたチューブ式の熱交換器を用い、この場合に、冷却材が該複数のチューブを通って流れ、気体が該複数のチューブに沿って流れること、を特徴とする先行する請求項のいずれか一つに記載の方法。
【請求項18】
第3部分を備えた熱交換器が、第1熱交換器によって形成されること、を特徴とする請求項7及び11に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−518233(P2013−518233A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549210(P2012−549210)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【国際出願番号】PCT/BE2010/000087
【国際公開番号】WO2011/088527
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(593074329)アトラス コプコ エアーパワー,ナームローゼ フェンノートシャップ (45)
【氏名又は名称原語表記】ATLAS COPCO AIRPOWER,naamloze vennootschap
【Fターム(参考)】