説明

エネルギ取入れ装置および方法

【課題】振動エネルギーに応答して電気エネルギーを発生するエネルギ取入れ装置および方法。
【解決手段】装置はベースからその第1の端部で支持される1対のフレキシブルなビームを使用する。各ビームの第2の端部は剛性リンクに動作的に結合される。その剛性リンクはフレキシブルなビームの縦軸にほぼ平行なパスで自由に直線的に運動する質量コンポーネントに結合されて動作する。振動力に応答する質量コンポーネントの運動はフレキシブルな各ビームの第2の端部にねじりモーメントを生じさせる。これは各フレキシブルなビームの均等な屈曲を生じさせる。各ビーム上のピエゾセラミック材料層はビームの屈曲運動に応答して電気信号を発生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエネルギ取入れ装置および方法に関し、特に振動エネルギに応答して電気エネルギ信号を発生する1以上のフレキシブルなビームの使用を含んでいるエネルギ取入れ装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は一般的な主題において同時出願の米国特許出願(ボーイング登録番号06-0745;HDP登録番号7784-001020)に関係し、それは本出願で参考文献として含まれている。
【0003】
このセクションの説明は単に本発明の説明に関する背景情報を提供し、従来技術を構成するものではない。
【0004】
例えば宇宙船、航空機、自動車ビークル等の種々の形態の移動体プラットフォームが受けるエネルギの取入れのための装置の使用に対する関心が高まっている。エネルギ取入れ装置および方法は種々の形態のセンサまたはアクチュエイタを付勢し、または他の電子或いは電子機械装置を制御するために電気信号を発生する目的で、振動エネルギを取入れるために使用されることができる。
【0005】
従来開発された振動取入れ装置はしばしばカンチレバービームを使用する。カンチレバービームは第1の端部で支持構造に固定され支持され、ここでは第1の構造は振動エネルギを受ける。カンチレバービームの第2の端部はビームにより受ける振動エネルギに応答して自由に動く。振動エネルギは典型的に軸に沿って与えられる力を形成し、これは図1に示されているように、ビームの最先端部(即ちこの例ではビームの第2の端部)でビームの縦方向の長さに対して垂直に導かれる。このような垂直に導かれる力がビームに与えられるとき、ビームが受ける応力および/または歪はビームが図1に示されている破線の位置に曲げられるときビームの根本領域(即ちビームが支持構造に固定される領域)で最大である。例えばビームがピエゾセラミック材料で構成されるならば、ピエゾセラミック材料内のエネルギ分布は図2に示されているものと類似したものとなる。図2はビームの屈曲期間中に発生する大部分のピエゾセラミックエネルギがビームの根本領域で生じることを示している。したがってビームの長さの大部分はビームが偏向されたときに少量のエネルギしかを発生しない。この特性はしたがってビームの屈曲動作期間中に電気エネルギの発生においてビームのピエゾセラミック材料の効率を制限する傾向にある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、振動エネルギに応答して、さらに一層効率的に電気信号を発生することができるエネルギ取入れ装置を提供することが非常に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は振動構造により発生された振動エネルギをより効率的に取入れるエネルギ取入れ装置および方法に関する。1実施形態では、装置は支持構造により第1の端部で支持されるフレキシブルなビームを含んでおり、その第2の端部は自由に動く。そのフレキシブルなビームはフレキシブルなビームの屈曲運動に応答して電気信号を発生するために応力および/または歪のレベルの変化に応答する材料を含んでいる。モーメント発生サブシステムは振動構造からの振動エネルギに応答し、フレキシブルなビームと連通している。
【0008】
モーメント発生サブシステムは装置が受ける振動エネルギに応答してビームの第2の部分に隣接するねじりモーメントを与えるように動作する。ねじりモーメントはフレキシブルなビームの屈曲を生成し、これによりビームによる応力および/または歪のレベルの変化を生成する。変化するレベルまたは応力および/または歪はフレキシブルなビームに電気信号を発生させる。ビームの第2の部分に隣接して与えられるねじりモーメントは応力および/または歪がフレキシブルなビームの固定された端部に集中されるのではなく、ビームの大部分の長さにわたってより均等に分配されることを可能にする。
【0009】
1実施形態では、モーメント発生サブシステムは振動エネルギに応答して、通常線形で、滑動する運動をするように支持された質量コンポーネントを含んでいる。その質量コンポーネントとフレキシブルなビームとの間に挿入されたリンクは、フレキシブルなビームの第2の部分にねじりモーメントを発生する方法で、質量コンポーネントの運動をフレキシブルなビームへ伝達する。
【0010】
別の実施形態では、1対のフレキシブルなビームはその第1の部分で固定され、各フレキシブルなビームの第2の部分は自由に動く。モーメント発生サブシステムはねじりモーメントを振動エネルギに応答して各フレキシブルなビームの第2の部分へ与える。各フレキシブルなビームは応力および/または歪のレベルの変化に電気的に応答する材料を含んでいる。各フレキシブルなビームに与えられるねじりモーメントはそれぞれのビームに電気信号を発生させる。
【0011】
1つの特定の実施形態では、ピエゾセラミック材料層を含んでいるフレキシブルなビームが使用される。ピエゾセラミック材料層はフレキシブルなビームが屈曲するとき応力および/または歪の変化を経験し、それに応答して電気出力信号を発生する。1実施形態では、それぞれピエゾセラミック材料層を含んでいる1対のフレキシブルなビームが含まれている。
【0012】
さらに、応用領域はここで与えられている説明から明白である。説明および特定の例は単なる例示の目的を意図しており、本発明の技術的範囲を限定する意図はないことを理解すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
ここで示されている図面は単に例示であり、本発明の技術的範囲を限定することは何等意図していない。
以下の説明は本質的に単なる例示であり、本発明の説明、応用または使用を限定することを意図してはいない。図面を通して、対応する参照符号は類似または対応する部品および特徴を示すことを理解すべきである。
【0014】
種々の実施形態を説明するが、当業者は本発明の説明から逸脱せずに行われることのできる変形または変更を認識するであろう。例は種々の実施形態を示しており、本発明の説明を限定することは意図されていない。それ故、説明および請求項は関連する従来技術を考慮して必要であるときにこのような限定でのみ広く解釈されるべきである。
【0015】
図3を参照すると、エネルギ取入れ装置10が本発明の1実施形態にしたがって示されている。この装置10は少なくとも1つのフレキシブルなビーム12、この例では、1対のフレキシブルなビーム12、14を含んでいる。各フレキシブルなビーム12、14は第1の端部12aと14aでそれぞれベース16に固定されている。フレキシブルなビーム12、14はさらに以下の段落で詳細に説明するように、フレキシブルなビーム12、14から電気出力信号を受信する信号調節サブシステム17と電気的に通信する。
【0016】
ベース16上の線形の滑動運動をするように質量コンポーネント18が支持されており、このコンポーネント18はベース16に固定されフレキシブルなビーム12、14の縦軸に通常平行に延在するロッド20により誘導される。質量コンポーネント18はロッド20を受ける開口18aを含んでいる。1対の剛性リンク22、24は質量コンポーネント18の運動を各フレキシブルなビーム12、14へ伝達する。剛性リンク22はリンク22の下端部22aを質量コンポーネント18へ接続する屈曲部26を含んでいる。同様に、剛性リンク24は質量コンポーネント18を剛性リンク24の下端部24aへ接続する屈曲素子28を含んでいる。
【0017】
剛性リンク22は屈曲部30に結合された上端部22bを含んでおり、この上端部22bは代わりに結合素子32に結合されている。結合素子32はフレキシブルなビーム12の上端部12bに固定して結合されている。上端部12bはベース16に固定されている下端部12aと比較して空間で自由に動くため、フレキシブルなビーム12の「自由端部」とみることができる。剛性リンク24は同様に上端部24bを結合素子36へ固定する屈曲部34を有する上端部24bを含んでいる。結合素子36はフレキシブルなビーム14の上端部14bに固定されている。質量コンポーネント18、剛性リンク22および24、屈曲部26、28、30、34、結合素子32および36は集合的にモーメント発生サブシステムとみることができる。モーメント発生サブシステムの機能は以下詳細に説明される。
【0018】
図3をさらに参照すると、フレキシブルなビーム12、14の下端部12aと14aはそれぞれベース16へ任意の適切な方法で固定されることができる。例えば下端部12aと14aはベース16に形成されるめくら穴に挿入され、適合な接着剤により、または取付け螺子により、または任意のその他の適当な手段によりそこに固定される。上端部12bと14bは結合コンポーネント32と36のそれと匹敵するように成形された開口を通って延在でき、接着剤、取付け螺子または任意の他の適当な手段により結合コンポーネント32および36に固定される。屈曲素子26、28、30、34は同様に例えば端部をめくら穴または穴に挿入し、接着剤、取付け螺子または任意の他の適当な手段を使用することにより質量コンポーネント18と結合素子32、36へ固定されることができる。ベース16は例えば複数のねじ固定部40により振動構造38に固定される。しかしながら、接着剤、クランプまたは任意の他の適当な構造または装置がベース16を構造38へ固定して保持するために使用されることができる。
【0019】
リンク22は屈曲および屈折に耐性のある任意の材料から作られることができる。適切な材料にはアルミニウム、スチールまたは高強度プラスティックが含まれる。屈曲部26、28、30、34はばねスチールの比較的薄い部分または僅かに屈曲することのできる任意の他の適当な材料から形成されることができる。1形態では、屈曲部26、28、30、34は0.003インチ乃至0.0003インチ(0.0762mm乃至0.00762mm)の範囲の厚さを有するばねスチール材料から形成される。結合素子32と36はアルミニウム、高強度プラスティック、スチールまたはその関連されるフレキシブルなビーム(12または14)上にねじりモーメントを発生することのできる任意の他の適切な材料から形成されることができる。
【0020】
構造38は非移動構造または移動プラットフォームの一部を形成することができる。装置10は有人または無人の宇宙船、商用および軍事航空機のような機上移動プラットフォームおよび自動車、トラック、バン、バス等のような自動車ビークルと共に特定の利用性を発見することが予測される。他の潜在的な応用は海上船での使用を含んでいる。
【0021】
図4を参照すると、フレキシブルなビーム12がより詳細に示されている。フレキシブルなビーム12はこの例では、構造的にフレキシブルなビーム14と同一である。フレキシブルなビーム12はその対向する表面に固定された1対の応力および歪応答材料層44と46を有する支持基板42を含んでいる。1実施形態では、支持基板42はばねスチール、導電性のカーボン複合材料または破壊または割れずに屈曲することのできる任意のその他の導電性弾性材料から形成されることができる。応力および歪応答材料層44と46はピエゾセラミック材料層、ピエゾファイバ複合材料層または(ピエゾポリマーのポリ弗化ビニリデン(PVDF))で構成されている。便宜上、材料層44と46は以下の説明を通して「ピエゾセラミック」材料層44、46とする。基板を支持するために導電性材料を使用することは2つのピエゾセラミック材料層44、46からの電気信号が加算されることができる利点を与える。これは層44、46に使用されるピエゾセラミック材料が引張状態下に置かれるときには一方が正の極性の電圧を発生し、圧縮状態に置かれるときには他方が正の電圧を発生するようにそれぞれ製造期間中にポーリングされる。
【0022】
ピエゾセラミック材料層44、46は接着剤、クランプ素子または任意の他の適切な固定構成により基板42へ固定されることができる。端部45aはベース16中の類似した寸法のめくら穴または開口内に固定されることができる。端部45bは結合素子32中の類似の寸法のめくら穴または開口内に固定されることができる。ピエゾセラミック材料層44、46は幅、長さ、厚さが変化されることができるが、1形態では、長さ約0.5インチ乃至2.5インチ(12.7mm乃至63.5mm)、幅約0.2インチ乃至0.75インチ(5.08mm乃至19.05mm)、厚さ約0.02インチ乃至0.005インチ(0.508mm乃至0.127mm)を有する。支持基板42は典型的にピエゾセラミック材料層44、46の寸法と類似の寸法を有する。1例では、支持基板42は厚さ約0.002インチ乃至0.015インチ(0.0508mm乃至0.381mm)、各ピエゾセラミック材料層44、46の幅とほぼ等しい幅、およびピエゾセラミック材料層44、46の長さとほぼ等しい長さを有する。
【0023】
図3をさらに参照すると、質量コンポーネント18は種々の形態および構造を具備することができる。したがって図3に示されている特定の構造は厳密に例示であることが認識されよう。質量コンポーネント18はアルミニウム、スチールまたは構造38の振動に応答してフレキシブルなビーム12と14の上端部12bと14bでねじりモーメントを発生するのに適した任意の他の適当な材料から作られることができる。これに関して、質量コンポーネント18に選択された正確な寸法と材料は装置10により受けると予想される振動エネルギの予想される振幅および周波数に部分的に依存する。また、リンク22と24の長さは質量コンポーネント18が図3の矢印50により表されている垂直軸に沿った両方向で質量コンポーネント18の運動を可能にするためにベースの上部表面16a上に懸架されるように選択されている。しかしながら、この例では質量コンポーネント18の総質量は装置10により受ける振動がない間、フレキシブルなビーム12と14の屈曲を起こさずに懸架されるようにされることができる。
【0024】
図5および6を参照すると、装置10の動作が説明されている。最初に図5を参照すると、ベース16が矢印52方向の振動力を受けるとき、質量コンポーネント18の質量はベース16が下方向に動くとき静止状態を維持しやすくする。この効果により、ベース16は質量コンポーネント18から離れるように下方向へ動き、相対的に言えば、剛性リンク22と24はフレキシブルなビーム12の上端部12bとフレキシブルなビーム14の上端部14bにねじりモーメントを発生させる。フレキシブルなビーム12に与えられるねじりモーメントは結合素子32により与えられ、フレキシブルなビーム14に与えられるねじりモーメントは結合素子36により与えられる。屈曲部26、28、30、34は質量コンポーネント18のベース16に関するこの上方向の運動期間中に必要とされるとき僅かに屈曲する。ビームが屈曲し信号が信号調節サブシステム17に出力されるとき、電気信号がフレキシブルなビーム12と14により発生される。信号調節サブシステム17は他の電子機械装置または電子装置を付勢するか、このような装置を制御するために電気信号を与えるために必要なときに使用される電気出力を発生するように構成されることができる。
【0025】
図7を簡単に参照すると、フレキシブルなビーム12の上端部12bに与えられたねじりモーメントが線54により概略的に示されている。結合素子32はフレキシブルなビーム12の外側表面56で下方向に向けられたモーメントを効率的に与え、上方向に向けられたモーメントはフレキシブルなビーム12の内側表面58で与えられる。これはピエゾセラミック材料層44と46に応力および/または歪の変化するレベルを与え、それぞれに信号調節サブシステム17へ入力される電気出力信号を発生させる。
【0026】
各フレキシブルなビーム12、14の上端部12b、14bで発生されるねじりモーメントは各ビーム12、14により受ける応力および/または歪がビーム12、14の全長を横切ってより均一におよび均等に与えられる大きな利点を与える。図8を管単に参照すると、グラフ60はフレキシブルなビーム12の長さにわたる線形のピエゾセラミックのエネルギ分布を示している。これはフレキシブルなビーム12により受ける応力および歪がフレキシブルなビーム12の全長に沿って均一に分布されていることを示している。これはビームがビームの縦軸に垂直な方向でその最も外部先端で力を与える通常のカンチレバービームについての図2のピエゾセラミックのエネルギ分布とは非常に対照的である。したがって各フレキシブルなビーム12、14のピエゾセラミック材料層44の出力は各ビーム12、14の端部に与えられるねじりモーメントにより非常に増加される。
【0027】
図6を参照すると、ベース16が矢印66方向の振動力を経験するとき、質量コンポーネント18の質量はそれ自身を静止状態に保持しようとする傾向がある。相対的に言えば、これは質量コンポーネント18をベース16方向に効率的に動かす。それによって剛性リンク22、24を下方向に引っ張らせ、したがってフレキシブルなビーム12、14を相互の方向に内方向に屈曲する。これによってフレキシブルなビーム12の上端部12bと、フレキシブルなビーム14の上端部14bにねじりモーメントを生成し、そのねじりモーメントは図5に示されているようにフレキシブルなビーム12、14の屈曲運動中に発生されるねじりモーメントとは本質的に反対の方向である。各フレキシブルなビーム12、14に関連されるピエゾセラミック材料層44、46はこの屈曲運動期間中に変化する応力および/または歪を与えられ、それに応答して電気出力信号を発生し、屈曲動作を追跡する。ビーム12、14のこの屈曲運動はベース16が構造38からの振動エネルギを受けるとき図5および6で示されている屈曲運動間を交番して行う。
【0028】
図9および10を参照すると、本発明の別の実施形態100が示されている。装置100は装置10と類似するが、装置10のような1対のフレキシブルなビームと1対の剛性リンクではなく単一のフレキシブルなビームと単一の剛性リンクだけを使用する。装置10に関して説明した装置と共通している装置100のコンポーネントは装置10の説明に関して使用された参照符合に100を付加した参照番号で示されている。矢印152にしたがって誘導された振動エネルギは質量コンポーネント118が装置100のベース116から離れるように上方向に動くとき装置100のフレキシブルなビーム112の屈曲を生成する。図10では、矢印152の方向の振動エネルギは効率的に質量コンポーネント118をベース116方向に動かし、図9に示されている方向と反対方向にフレキシブルなビーム112の屈曲を生じさせる。装置100により、剛性リンク122が取付けられている側面に対して反対側の質量コンポーネント118の側面に打ち消し合う力が存在するので、フレキシブルなビーム112の屈曲中に受ける横方向の負荷に対処するため質量コンポーネント118の誘導ロッド120と穴118aの境界で適切な支持アセンブリが必要とされることが認識されよう。
【0029】
図11を参照すると、本発明の別の実施形態にしたがった装置200が示されている。この装置200は装置10に類似しているが、2個ではなく4個のフレキシブルなビームを含んでいる。装置10と共通しているコンポーネントは装置10の説明に関して使用された参照符合に200を付加した参照番号で示されている。この例では、本質的に1対のフレキシブルなビーム212と1対のフレキシブルなビーム214が対応する対の剛性リンク222と224と共に組み込まれている。装置200はその他では装置10と同様に動作するが、装置10により与えられる電気出力を本質的に2倍にすることが予想できる。図11から、必要とされる電気出力、予想される振動エネルギ量、特定の応用に関するその他のファクタにしたがって任意の数のフレキシブルなビームが実際に組み込まれることができることが認識されよう。
【0030】
ここで説明された種々の実施形態は全て振動エネルギが取入れられ、電気エネルギの発生に使用されることを可能にする。種々の実施形態は遠隔に位置されたセンサまたは振動を受ける他の形態のコンポーネントへ導体を導き、それによってこのようなセンサまたはコンポーネントを付勢することが困難であるか不可能であるような応用で特別な利用性を発見することが予想される。このような応用では、ここで説明したような振動エネルギを取り入れる装置の実施形態の1つをセンサまたはコンポーネントに近接して配置することにより、装置がセンサまたはコンポーネントへ電力を提供し、それによって電気導体を遠隔に位置されたセンサまたはコンポーネントへ導く必要性を無くすことができる。
【0031】
さらに応用可能な領域はここで行った説明から明白になるであろう。説明および特定の例は例示の目的のみを意図しており、本発明の技術的範囲を限定することを意図しないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】破線で示されているビームの結果的な偏向を有しているビームの最先端部に与えられる力を示す従来技術のピエゾセラミックビームの側面図。
【図2】図1のビームのピエゾセラミックエネルギ分布のグラフ。
【図3】本発明の1実施形態によるエネルギ取入れ装置の斜視図。
【図4】図3に示されているフレキシブルなビームの1つを示す図。
【図5】質量コンポーネントを上方向に動かす質量コンポーネントの受ける振動に応答して、各フレキシブルなビームの最外端部に与えられるねじりモーメントに応答するフレキシブルなビームの屈曲運動を示す図。
【図6】質量コンポーネントが下方向で動くときの2つのフレキシブルなビームの屈曲運動を示す装置を示す図。
【図7】フレキシブルなビームの自由端部でねじり運動を発生するモーメントアームを概略的に示している図5のフレキシブルなビームの1つの拡大側面図。
【図8】図3の装置のフレキシブルなビームの1つの長さを横切る実質的に線形のピエゾセラミックエネルギ分布のグラフ。
【図9】本発明の装置の別の実施形態であるが、質量コンポーネントの上方向の運動期間中に外方向に屈曲される単一のフレキシブルなビームだけを含んでいる図。
【図10】質量コンポーネントの下方向の運動に応答して反対方向で屈曲するフレキシブルなビームを有する図9の装置の側面図。
【図11】質量コンポーネントの動作に応答して同時に電気信号を発生する4つのフレキシブルなビームを使用して形成される別のエネルギ取入れ装置の斜視図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビームが屈曲されるとき、フレキシブルなビームにより受ける応力および歪の少なくとも一方に応答して電気信号を発生し、
動かないように固定して支持される第1の端部と、前記フレキシブルなビームの屈曲を可能にするように動くことのできる第2の端部とを有しているフレキシブルなビームと、
振動エネルギに応答して前記フレキシブルなビームの前記第2の端部においてねじりモーメントを発生するために前記第2の端部と結合され、前記ねじりモーメントを前記フレキシブルなビームの実質的に全長にわたって応力および歪の少なくとも一方をほぼ均等に生成させるモーメント発生サブシステムとを具備しているエネルギ取入れ装置。
【請求項2】
前記モーメント発生サブシステムは、
前記フレキシブルなビームの縦軸からオフセットされるパスに沿って運動するように支持されている質量コンポーネントと、
前記質量コンポーネントの送信運動を前記質量コンポーネントに結合するリンクとを具備している請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記フレキシブルなビームは前記電気信号を発生するためにピエゾ電気材料層を含んでいる請求項1記載の装置。
【請求項4】
ビームが屈曲されるとき、フレキシブルなビームにより受ける応力および歪の少なくとも一方に応答して電気信号を発生し、動かないように固定して支持される第1の端部と、前記フレキシブルなビームの屈曲を可能にするように動くことのできる第2の端部とを有するフレキシブルなビームと、
前記フレキシブルなビームの前記第2の端部と結合され、前記フレキシブルなビームの縦軸からオフセットされ取入れられる振動エネルギの方向に対してほぼ平行であるパスに沿って運動するように支持され、前記振動エネルギに応答して前記屈曲ビームの屈曲を生じさせ、前記屈曲ビームにより前記電気信号を発生するために、上に前記装置が支持されている外部構造により受ける前記振動エネルギに応答する質量コンポーネントとを具備しているエネルギ取入れ装置。
【請求項5】
前記質量コンポーネントは前記フレキシブルなビームに平行なパスに沿って動くように支持されている請求項4記載の装置。
【請求項6】
さらに、前記質量コンポーネントと前記フレキシブルなビームの前記第2の端部とを結合するためのリンクを具備している請求項4記載の装置。
【請求項7】
前記リンクはそれぞれ屈曲コンポーネントを含んでいる対向する第1および第2の端部を有し、前記屈曲コンポーネントの一方は前記第1の端部を前記質量コンポーネントへ結合し、前記屈曲コンポーネントの他方は前記リンクの前記第2の端部を前記フレキシブルなビームの前記第2の端部へ結合する請求項6記載の装置。
【請求項8】
さらに、前記フレキシブルなビームの前記第1の端部を支持し、ほぼ線形のパスに沿って前記質量コンポーネントの運動を誘導するためのベースを具備している請求項4記載の装置。
【請求項9】
さらに、前記振動エネルギに応答して電気信号を発生し、前記フレキシブルなビームに近接してその側方に配置され、前記質量コンポーネントと結合し、前記質量コンポーネントの運動に応答して屈曲する付加的なフレキシブルなビームを具備している請求項4記載の装置。
【請求項10】
前記フレキシブルなビームはピエゾ電気材料を具備している請求項4記載の装置。
【請求項11】
前記フレキシブルなビームはその上にピエゾ電気材料層を有するフレキシブルな基板を具備している請求項4記載の装置。
【請求項12】
前記フレキシブルなビームは前記フレキシブルな基板の両側の表面上に配置されている1対のピエゾ電気材料層を有するフレキシブルな基板を備えている請求項4記載の装置。
【請求項13】
ベースと、
屈曲されるとき、それが受ける応力および歪の少なくとも一方に応答して電気信号を発生し、前記ベースに固定して支持されている第1の端部と、その屈曲を可能にするように動くことのできる第2の端部とを有するフレキシブルなビームと、
前記フレキシブルなビームの前記第2の端部と結合され、前記フレキシブルなビームに近接するほぼ直線形のパスに沿って振動運動を行い、前記フレキシブルなビームに対してほぼ平行なパスに沿って誘導される前記質量コンポーネントが受ける振動エネルギを前記フレキシブルなビームの前記第2の端部で前記フレキシブルなビームにほぼ垂直なパスに沿って導かれる振動力へ変換するように支持されている質量コンポーネントとを具備し、
前記振動力は前記フレキシブルなビームが電気信号を発生することを可能にするように前記フレキシブルなビームを屈曲させ、
前記質量コンポーネントは前記装置が支持される外部構造が受ける前記振動エネルギに応答し、前記振動エネルギに応答して前記屈曲ビームの屈曲を生成し、前記屈曲ビームにより前記電気信号を発生させるエネルギ取入れ装置。
【請求項14】
前記ベースは誘導コンポーネントを含み、
前記質量コンポーネントは前記誘導コンポーネントと結合され、それによって前記質量コンポーネントは前記振動エネルギに応答してほぼ直線形のパスに沿って滑動して動くことが可能にされている請求項13記載の装置。
【請求項15】
さらに、前記フレキシブルなビームにほぼ平行に配置され、前記質量コンポーネントの運動に応答し、前記質量コンポーネントの振動運動に応答して電気信号を発生する付加的なフレキシブルなビームを具備している請求項13記載の装置。
【請求項16】
前記質量コンポーネントは2つの前記フレキシブルなビームの間に配置され、前記質量コンポーネントの直線の振動運動に応答して前記フレキシブルな両方のビームの屈曲運動を同時に生成する請求項15記載の装置。
【請求項17】
前記フレキシブルなビームはピエゾ電気材料を含んでいる請求項13記載の装置。
【請求項18】
フレキシブルなビームを支持構造で第1の端部で固定して支持し、そのフレキシブルなビームはその屈曲に応答して電気信号を発生するように動作可能であり、
前記フレキシブルなビームの縦軸に少なくとも実質的に平行で、振動エネルギが導かれるパスに対して少なくとも実質的に平行なパスに沿って運動するように質量コンポーネントを配置し、
前記振動エネルギをフレキシブルなビームの第2の端部で前記フレキシブルなビームへ伝送し、それによって前記フレキシブルなビームを屈曲させるように前記振動エネルギに応答して発生される前記質量コンポーネントのほぼ直線形の運動を使用し、
前記フレキシブルなビームの屈曲を使用して電気信号を発生させるステップを含んでいる振動エネルギの取入れ方法。
【請求項19】
前記質量コンポーネントのほぼ直線形の運動の使用は、前記フレキシブルなビームの屈曲振動運動を生成するために前記質量コンポーネントのほぼ線形の振動運動の使用を含んでいる請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記質量コンポーネントのほぼ直線形の運動の使用は、前記質量コンポーネントの前記運動にほぼ垂直なパスに沿って前記フレキシブルなビームに与えられる前記質量コンポーネントのほぼ線形の振動運動の使用を含んでいる請求項19記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−157938(P2008−157938A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−325849(P2007−325849)
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】