説明

エビフライ用のエビ

【課題】エビフライの食味を向上させる為に、これまでにない方法と新しい味の組合せによるエビフライ用のエビを提供する。
【解決手段】殻を剥いたエビの表面の背腸部分に切込を入れて、この切込みを入れた部分にエビの身以外の他の食材を詰込み、新しい味の組合せを特徴とするエビフライ用のエビ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エビフライ用のエビに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エビフライ用のエビの味付けとしては、殻を剥いたエビの背腸を除去し、塩、胡椒を振り掛ける、或いは酒、等に漬け込む、等といった、エビ自体の味を引き立たせる味付けを施すのが一般的である。また、エビの身に切込を入れた例としては、エビに切込を入れて、エビを加熱調理した際にエビの湾曲を防止することが目的とするものが知られている(特開平9−135659)。本発明の切込部にエビ以外の食材の挟み込みに関して言及したものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−135659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のエビフライは、塩、胡椒、酒、等でエビの味を引き立たせようとする単調な味付けであり、それのみを単独で食べるというよりは副食としての要素が強かった。
エビという海産物は強烈な味(甘味、辛味、塩味、酸味、等)を有しているのでは無いので、どちらかというと強烈な味を持った他の食材との組合せを考え、辛子めんたいこにエビを漬け込んだ。その結果、エビの中に辛子めんたいこの辛味と塩味の成分のみが浸透して、所謂、塩辛のような辛味と塩味が強烈な味のエビとなった。この方法での辛子めんたいことエビの新しい味の組合せの発明は実現できなかった。
【0005】
また、従来のエビフライはエビフライを単独ではなく、ある種のソース(とんかつソース、タルタルソース、等)と伴に食することが多かった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、殻を剥いたエビの表面の背腸部分に切込を入れて、この切込部分にエビ以外の他の食材を挟み込むことを特徴とするエビフライ用のエビの提供。
【0007】
また、上記エビの切込部分に辛子めんたいこを挟み込むことにも特徴を有する。
【0008】
また、上記エビの切込部分に柚子胡椒を挟み込むことにも特徴を有する。
【0009】
また、このエビフライ用のエビが冷凍されて保存上、長期間保存可能ということも特徴を有する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の本発明において、殻を剥いたエビの表面の背腸部分に切込を入れて、この切込部分にエビ以外の他の食材を挟み込み、挟み込んだ食材とエビの新しい味の組合せ(エビの表面ではなく、エビの内部からエビと挟み込み食材との味の組合せ)が出来、味の一体感が増す。また味的にある種のソースを必要としなくて食することが出来る。
【0011】
請求項1記載の本発明において、殻を剥いたエビの表面の背腸部分に切込を入れて、この切込部分に請求項2の辛子めんたいこを挟み込み、挟み込んだ食材とエビの新しい味の組合せ(エビの表面ではなく、エビの内部からエビと挟み込み食材との味の組合せ)が出来、味の一体感が増す。また味的にある種のソースを必要としなくて食することが出来る。
【0012】
請求項1記載の本発明において、殻を剥いたエビの表面の背腸部分に切込を入れて、この切込部分に請求項3の柚子胡椒を挟み込み、挟み込んだ食材とエビの新しい味の組合せ(エビの表面ではなく、エビの内部からエビと挟み込み食材との味の組合せ)が出来、味の一体感が増す。また味的にある種のソースを必要としなくて食することが出来る。
【0013】
また、これらのエビフライ用のエビが冷凍されていることで各家庭、外食産業、量販店、等で安易に入手可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】殻を剥いたエビの背側から見た図である。
【図2】殻を剥いたエビの腹側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
頭胸部を除去したエビは尾部を除くと関節が6関節ある。頭胸部側から第1関節、第2関節と尾部に向けて第6関節まで存在し、その後尾部となる。殻を剥いたエビは殻を全て剥いたエビでもよい。尾部或いは、尾部と第6関節を残した尾付剥きエビでもよい。殻を剥いたエビの背腸部分に切込を入れて図1の7を形成する。この切込は剥いたエビの第2関節部分から第5関節部分を目途とする。これは、第1関節、及び第6関節に切込を入れると切込部に挟み込んだエビ以外の食材が切込部から滑落する恐れがある。その切込はエビの身の厚さの大凡2分の1の深度を目途とする。この時、背腸も現れるので、同時に除去する。また加熱時の湾曲を防止する為に、公開特許公報 特開平9−135659号公報に記載されているように、腹側の腹筋の表面に切込みを入れて図2の8を形成しても構わない。その後、処理したエビを味付用の浸漬液(水、燐酸塩、PH調整剤、塩、砂糖、化学調味料、等の混合水)に数時間浸漬し、味付をしても構わない。これらの下準備の終了したエビをエビフライ用のエビの加工前のエビとする。
【0016】
エビの背腸部分に切込部を作り、その切込部に辛子めんたいこを挟み込む場合は、エビのサイズにもよるが、剥いた状態のエビの重量の大凡5%から30%の範囲としたが、好ましくは、8%から12%の範囲である。その後、打ち粉を施し、次いでバッター液に浸漬する。辛子めんたいこの味を強調する為に、バッター液にも辛子めんたいこを10%から30%範囲で溶き込ませてもよい。バッター液とは、卵、小麦粉を水で溶いたもの、或いは、市販のバッター粉、等のものがあり、エビに打ち粉をした後、その打ち粉をしたエビとパン粉を決着させる為のある程度粘度を持った水溶液である。
【0017】
エビの背腸部分に切込部を作り、その切込部に柚子胡椒を挟み込む場合は、エビのサイズにもよるが、剥いた状態のエビの重量の大凡2%から10%の範囲としたが、好ましくは約4%から6%の範囲とした。その後、打ち粉を施し、次いでバッター液に浸漬する。バッター液にも柚子胡椒を溶け込ませると、全体的に柚子胡椒の味にエビが負けて柚子胡椒とエビの新しい組合せの味が実現できないので、好ましくはバッター液には柚子胡椒を溶き込ませない方がよい。
【0018】
辛子めんたいこ、柚子胡椒以外に背腸部分の切込部に挟み込む食材としては、トマト、チーズ、大葉、バジル、カレー粉、等色々な食材が応用出来る。
【0019】
エビのサイズに関しては、色々なサイズ(大型サイズから小型サイズ、16/20、21/25、26,30,31/40,41/50,51/60,61/70,71/90,91/120,100/200,程度のサイズ)で使用可能。エビのサイズ:1ポンド(453.6g)の重量に対してのエビの尾数(頭胸部除去で殻の付いた状態の無頭状態のエビ)
【0020】
エビの種類に関しては、色々な種類(車エビ、ブラックタイガー、バナメイ、タイガー、ホワイト、ピンク、キャットタイガー、ブラウン、甘えび、ボタンエビ、ぶどうエビ、等)で使用可能。
【0021】
そして、バッター液の浸漬が終了したエビに、パン粉をまぶして、凍結してエビフライ用のエビとする。また凍結した未加熱の前記エビフライ用のエビを、油調調理してプリフライにしたものもエビフライ用のエビとする。プリフライの油調とは、エビフライの最終調理者が油調による再加熱調理をする場合、加熱調理時間を短縮出来るように予め油調した物、或いは、最終調理者が電子レンジを使用した加熱調理の際に、加熱調理出来るように予め油調したものである。最終調理者が再油調調理、或いは電子レンジで加熱調理をした後、食することが出来る温度と時間を設定した。
【実施例】
この発明に対する実施例を詳説する。
【0022】
実施例1
バナメイエビ:主として東南アジア(中国、ベトナム、タイ、インドネシア、インド、等)で養殖されている養殖エビ。
まず、バナメイエビの中型サイズ71/90サイズ程度(約5g/尾〜6.5g/尾程度)無頭のエビを100kg用意し、水洗浄後、皮を剥き尾も取った。このエビの背腸部分に切込を入れた。この切込は剥いたエビの第2関節部分から第5関節部分を目途とした。その切込はエビの身の厚さの大凡2分の1の深度を目途とした。この時背腸も同時に除去した。
また腹側の腹筋の表面を切る為に2箇所(第2関節、及び第4関節辺り)に切込を入れた。その後、処理したエビの全量をエビと同量の浸漬液(水:60%、氷:35.5%、燐酸塩:2%、塩:1%、砂糖:1%、化学調味料:0.5%)に1時間程度浸漬し、味付を施した。味付浸漬の終了したエビをエビフライ用のエビの加工前のエビとした。
【0023】
上記処理をしたエビの切込部分に辛子めんたいこを0.5g前後挟み込み、その後、打ち粉をし、辛子めんたいこを15%程度溶き込んだ市販のバッター液に浸漬し、その表面にパン粉を付着させた。その1尾当たりの重量が大凡10gになるようにバッター液とパン粉の量を調整した。その後、凍結してエビフライ用のエビとした。また、凍結したエビフライ用のエビを解凍せず、プリフライの油調調理した後、凍結した。これもエビフライ用のエビとした。この場合の油調調理は、170℃程度で2〜3分間程度であり、最終調理者が電子レンジ、或いは再油調調理で食することが出来る温度と時間にした。
【0024】
実施例2
実施例1と同様に調整した加工前のエビの切込部分に柚子胡椒を0.3g挟み込み、その後、打ち粉をし、市販のバッター液に浸漬し、その表面にパン粉を付着させた。その1尾当たりの重量が大凡10gになるようにバッター液とパン粉の量を調整した。その後、凍結してエビフライ用のエビとした。また、凍結したエビフライ用のエビを解凍せず、プリフライの油調調理した後、凍結した。これもエビフライ用のエビとした。この場合の油調調理は、170℃程度で2〜3分間程度であり、最終調理者が電子レンジ、或いは再油調調理で食することが出来る温度と時間にした。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明のエビフライ用のエビは、各家庭、外食産業、量販店、等に提供可能である。
【符号の説明】
【0026】
1 第一関節部分
2 第二関節部分
3 第三関節部分
4 第四間接部分
5 第五関節部分
6 第六関節部分
7 背側の切込(第二関節部分から第五関節部分にかけて)
8 腹側の切込(第二関節部分及び、第四関節部分)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部が除去され、殻が剥かれたエビの表面の背腸部分に切込部を有し、該切込部にエビ以外の食材が挟み込まれていることを特徴とするエビフライ用のエビ。
【請求項2】
前記エビ以外の食材が辛子めんたいこであることを特徴とする請求項1に記載のエビフライ用のエビ
【請求項3】
前記エビ以外の食材が柚子胡椒であることを特徴とする請求項1に記載のエビフライ用のエビ。
【請求項4】
前記エビが冷凍されていること特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のエビフライ用のエビ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−223972(P2011−223972A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−110612(P2010−110612)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(510131203)シーズ・コム株式会社 (1)
【Fターム(参考)】