説明

エポキシ−官能化されたアルコキシアミンを経由するスター及びブロック−コポリマーの製造方法

【課題】エポキシ−官能化されたアルコキシアミンを経由するスター及びブロック−コポリマーの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、エポキシ−官能化されたアルコキシアミン及びエポキシ基と反応することが可能な多官能性化合物を使用する制御されたフリーラジカル重合により製造されるところの、スター及びブロック−コポリマーの製造方法に関するものである。前記スター及びブロック−コポリマーは、架橋剤、イオノマー、乳化剤、接着剤、表面改良剤、界面活性剤として、或いは、熱可塑性、弾性又は熱硬化性ポリマーにおける相溶化剤として、或いは、部品成形のための押出又は射出成形用プラスチック材として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ−官能化されたアルコキシアミン及びエポキシ基と反応することが可能な多官能性化合物を使用する制御されたフリーラジカル重合により製造されるところの、スター及びブロック−コポリマーの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
明確なスターポリマーは典型的には、種々のリビング重合技術により製造される。スターポリマーについて、三つの基本的な合成経路が存在する。一つは、いわゆるコア−ファースト法であり、これは、モノマーの重合を開始するために多官能性開始剤を使用し、それにより、開始剤分子における開始部位の数に応じてアームの数が決定される。これは、例えば、ジェイ.ウエダ(J.Ueda)、エム.カミガイト(M.Kamigaito)、エム.サワモト(M.Sawamoto)、マクロモレキュールズ(Macromolecules)31、6762(1988)(非特許文献1)に記載されている。
【0003】
アーム−ファースト技術は、通常、リビング重合を経由し、その後、例えば、エス.カナオカ(S.Kannaoka)、エム.サワモト(M.Sawamoto)、ティー.ヒガシムラ(T.Higashimura)、マクロモレキュールズ24、2309(1991)(非特許文献2)により、及び、アール.ティー.エイ.マヤデューン(R.T.A.Mayadunne)、ジェイ.ジェフェリー(J.Jeffery)、ジー.モード(J.Moad)、イー.リザード(E.Rizzardo)、マクロモレキュールズ36、1505(2003)(非特許文献3)により記載されているような多官能性結合剤と反応させることによる、予め形成されるアームの合成を含む。
【0004】
第三の方法は、前記アーム−ファースト技術の僅かな変法であり、これは時々、“ノジュール(nodule)”法とも表現される。この方法において、リビング重合技術により製造された反応性マクロ開始剤(アーム)は、例えば、エックス.チャン(X.Zhang)、ジェイ.エイチ.ツァ(J.H.Xia)、ケイ.マチジャスゼウスキー(K.Matyjaszewski)、マクロモレキュールズ33、2340(2000)(非特許文献4)により記載されているように、ジビニル試薬により架橋結合されてスターポリマーを形成する。
【0005】
別の研究手法は、官能化されたポリマーに対するエポキシ−末端閉鎖オリゴマーのグラフト化であり、これもまた、例えば国際特許出願公開第04/069887号パンフレット(特許文献1)に開示されているように、スター及び櫛形−コポリマーを導く。
【非特許文献1】ジェイ.ウエダ(J.Ueda)、エム.カミガイト(M.Kamigaito)、エム.サワモト(M.Sawamoto)、マクロモレキュールズ(Macromolecules)31、6762(1988)
【非特許文献2】エス.カナオカ(S.Kannaoka)、エム.サワモト(M.Sawamoto)、ティー.ヒガシムラ(T.Higashimura)、マクロモレキュールズ24、2309(1991)
【非特許文献3】アール.ティー.エイ.マヤデューン(R.T.A.Mayadunne)、ジェイ.ジェフェリー(J.Jeffery)、ジー.モード(J.Moad)、イー.リザード(E.Rizzardo)、マクロモレキュールズ36、1505(2003)
【非特許文献4】エックス.チャン(X.Zhang)、ジェイ.エイチ.ツァ(J.H.Xia)、ケイ.マチジャスゼウスキー(K.Matyjaszewski)、マクロモレキュールズ33、2340(2000)
【特許文献1】国際特許出願公開第04/069887号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
エポキシ−官能性アルコキシアミンを用いて開始することで、制御された方法によりエチレン性不飽和モノマーを第一に重合させ、そして、それにより、ポリマー骨核内に反応性エポキシ基を導入することが可能であることが今や判った。第二段階において、前記エポキシ基は、選択された多官能性化合物とポリマーと同様の反応で反応させる行うことができ、最終的に、高度に分岐したスターポリマーを与える。しかしながら、エポキシ−官能性アルコキシアミンを多官能性化合物と第一に反応させ、それにより、第一の反応段階において分岐を導入することも可能である。第二段階として、エチレン性不飽和モノマーの存在下における制御されたラジカル重合を行うことができる。両方の場合において、高度に分岐した広汎なスターポリマーが使用可能である。
【0007】
狭い分子量分布の星形に分岐されたコポリマーは特有のレオロジー的性質を有し、そして、直鎖状ポリマー溶融物とは非常に異なる挙動を示す。機械的性質及び溶解性におけるこのような相違は、スター(コ)ポリマーの、それらの直鎖状の対応物と比較した場合の異なる動力学に起因する。星形に形成されたポリマーは、表面活性剤、相溶化剤、熱可塑性エラストマー、部品成形用材料及び乳化剤として役立ち得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの対象は、スターポリマー又はコポリマーの製造方法であって、
a1)第一段階において、次式(I):
【化1】

[式中、Lは炭素原子数1ないし18のアルキレン基、フェニレン基、フェニレン−炭素原子数1ないし18のアルキレン基、炭素原子数1ないし18のアルキレン−フェニレン基、炭素原子数1ないし18のアルキレン−フェニレンオキシ基及び炭素原子数5ないし12のシクロアルキレン基からなる群から選択された結合基を表わし、
p 及びRq は独立して、非置換或いは一つ若しくはそれより多くの電子吸引性基により又はフェニル基により置換された第三級結合した炭素原子数4ないし28のアルキル基を表わし、或いは、
p 及びRq は一緒になって、少なくとも四つの炭素原子数1ないし4のアルキル基により置換され且つ更に窒素原子又は酸素原子により中断され得る5又は6員ヘテロ環を形成する。]で表わされる開始剤化合物の存在下で、エチレン性不飽和モノマーを重合させること、並びに、第二段階において、
b1)段階a1)において得られたポリマーを式R1 (X)n [式中、R1 は炭素原子数1ないし24のアルキル基、炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、炭素原子数7ないし15のフェニルアルキル基を表わし、或いは、燐含有酸の残基を表わし、
Xは−OH基、−COOH基、−COCl基、−NH2 基、−NHR基、次式:
【化2】

で表わされる基を表わし、或いは、
Xはグリセロールから又はポリビニルアルコールから誘導された基を表わし、
Rは炭素原子数1ないし24のアルキル基を表わし、そして、
nは3ないし30の数を表わす。]で表わされる化合物と反応させること、或いは、
a2)第一段階において、式(I)で表わされる化合物を上記で定義された通りの式R1 (X)n で表わされる化合物と反応させること、並びに、
b2)重合反応において、段階a2)において得られた多官能性開始剤化合物をエチレン性不飽和モノマーと反応させること、
を含む方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
例えば、式(I)で表わされる化合物は、次式(II):
【化3】

[式中、
1 、R2 、R3 及びR4 は互いに独立して炭素原子数1ないし4のアルキル基を表わし、
5 は水素原子又は炭素原子数1ないし4のアルキル基を表わし、
R’6 は水素原子を表わし、そして
6 は水素原子、−OR10基、−NR1011基、−O−C(O)−R10基又は−NR11
−C(O)−R10基を表わし、
10及びR11は独立して、水素原子、炭素原子数1ないし18のアルキル基、炭素原子数2ないし18のアルケニル基、炭素原子数2ないし18のアルキニル基、又は、少なくとも一つのヒドロキシ基により置換された炭素原子数2ないし18のアルキル基を表わし、或いは、R6 が−NR1011基を表わす場合には、R10及びR11は一緒になって、炭素原子数2ないし12のアルキレンブリッジ、又は、少なくとも一つの酸素原子により中断された炭素原子数2ないし12のアルキレンブリッジを表わし、或いは、
6 及びR’6 は共に水素原子を表わし、また一緒になって基=O又は基=N−O−R20を表わし、該式中、
20は水素原子;非置換、或いは、一つ又はそれより多くの−OH基、炭素原子数1ないし8のアルコキシ基、カルボキシ基、炭素原子数1ないし8のアルコキシカルボニル基により置換され得る直鎖状又は分岐鎖状の炭素原子数1ないし18のアルキル基、炭素原子数3ないし18のアルケニル基又は炭素原子数3ないし18のアルキニル基;炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基又は炭素原子数5ないし12のシクロアルケニル基;フェニル基、炭素原子数7ないし9のフェニルアルキル基、或いは、非置換、又は、一つ又はそれより多くの炭素原子数1ないし8のアルキル基、ハロゲン原子、−OH基、炭素原子数1ないし8のアルコキシ基、カルボキシ基、炭素原子数1ないし8のアルコキシカルボニル基により置換され得るナフチル基;−C(O)−炭素原子数1ないし36のアルキル基、或いは、3個ないし5個の炭素原子を有するα,β−不飽和カルボン酸の又は7個ないし15個の炭素原子を有する芳香族カルボン酸のアシル部分:−SO3 - + 基、−PO(O- + 2 基、−P(O)(OR2 2 基、−SO2 −R2 基、−CO−NH−R2 基、−CONH2 基、−COOR2 基又はSi(Me)3 基(これらの基において、Q+ はH+ 、アンモニウム又はアルカリ金属カチオンを表わす。)を表わし、或いは、
6 及びR’6 は独立して、−O−炭素原子数1ないし12のアルキル基、−O−炭素原子数3ないし12のアルケニル基、−O−炭素原子数3ないし12のアルキニル基、−O−炭素原子数5ないし8のシクロアルキル基、−O−フェニル基、−O−ナフチル基、−O−炭素原子数7ないし9のフェニルアルキル基を表わし、或いは、
6 及びR’6 は一緒になって、二価基:−O−C(R21)(R22)−CH(R23)−O−、−O−CH(R21)−CH2 −C(R22)(R23)−O−、−O−CH(R22)−CH2 −C(R21)(R23)−O−、−O−CH2 −C(R21)(R22)−CH(R23)−O−、−O−o−フェニレン−O−、−O−1,2−シクロヘキシリデン−O−、−O−CH2 −CH=CH−CH2 −O−又は
【化4】

の一つを形成し、これらの式中、
21は水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基、−COOH基、−COO(炭素原子数1ないし12)のアルキル基又は−CH2 OR24を表わし、
22及びR23は独立して、水素原子、メチル基、エチル基、−COOH基、−COO(炭素原子数1ないし12)のアルキル基を表わし、
24は水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基、ベンジル基、或いは、18個までの炭素原子を有する脂肪族、脂環式又は芳香族モノカルボン酸から誘導される一価アシル残基を表わし、そして
7 及びR8 は独立して、水素原子又は炭素原子数1ないし18のアルキル基を表わす。]で表わされるものである。
【0010】
炭素原子数1ないし18のアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状であってよい。その例は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、2−ブチル基、イソブチル基、第三ブチル基、ペンチル基、2−ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、第三オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基又はオクタデシル基である。炭素原子数36までのアルキル基が使用可能である場合、炭素原子数1ないし18のアルキル基が好ましい。
【0011】
基−COOHにより置換されたアルキル基は、例えば、−CH2 −COOH基、−CH2 −CH2 −COOH基、−(CH2 3 −COOH基又は−CH2 −CHCOOH−CH2 −CH3 基である。
【0012】
ヒドロキシル−又はアルコキシカルボニル置換された炭素原子数1ないし18のアルキル基は、例えば、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、メトキシカルボニルメチル基又は2−エトキシカルボニルエチル基であってよい。
【0013】
2個ないし18個の炭素原子を有するアルケニル基は分岐鎖状又は非分岐鎖状基、例えば、プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソブテニル基、n−2,4−ペンタジエニル基、3−メチル−2−ブテニル基、n−2−オクテニル基、n−2−ドデセニル基、イソドデセニル基である。
【0014】
2個ないし18個の炭素原子を有するアルキニル基は分岐鎖状又は非分岐鎖状基、例えば、プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、イソブチニル基、n−2,4−ペンタジイニル基、3−メチル−2−ブチニル基、n−2−オクチニル基、n−2−ドデシニル基、イソドデシニル基である。
【0015】
アルコキシ基の例は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、ペントキシ基、イソペントキシ基、ヘキソキシ基、ヘプトキシ基又はオクトキシ基である。
【0016】
炭素原子数7ないし9のフェニルアルキル基は、例えば、ベンジル基、α−メチルベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基又は2−フェニルエチル基であり、ベンジル基が好ましい。
【0017】
炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基は、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、メチルシクロペンチル基又はシクロオクチル基である。
【0018】
炭素原子数5ないし12のシクロアルケニル基は、例えば、3−シクロペンテニル基、3−シクロヘキセニル基又は3−シクロヘプテニル基である。
【0019】
18個までの炭素原子を有するモノカルボン酸の例は、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、吉草酸の異性体、メチルエチル酢酸、トリメチル酢酸、カプロン酸、ラウリン酸又はステアリン酸である。不飽和脂肪酸の例は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、リノール酸及びオレイン酸である。
【0020】
脂環式カルボン酸の典型的な例は、シクロヘキサンカルボン酸又はシクロペンタンカルボン酸である。
【0021】
芳香族カルボン酸の例は、安息香酸、サリチル酸又は桂皮酸である。
【0022】
ハロゲン原子は、F、Cl、Br又はIである。
【0023】
炭素原子数1ないし18のアルキレン基は分岐鎖状又は非分岐鎖状基、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基又はドデカメチレン基である。
【0024】
少なくとも一つの酸素原子により中断された炭素原子数2ないし12のアルキレンブリッジは、例えば、−CH2 −O−CH2 −CH2 −基、−CH2 −O−CH2 −CH2 −CH2 −基、−CH2 −O−CH2 −CH2 −CH2 −CH2 −基、−CH2 −O−CH2 −CH2 −O−CH2 −基である。
【0025】
アルコキシカルボニル基は、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基である。
【0026】
例えば、R1 、R2 、R3 及びR4 はメチル基を表わすか、又は、R1 及びR3 はエチル基を表わし、そしてR2 及びR4 はメチル基を表わすか、又は、R1 及びR2 はエチル基を表わし、そしてR3 及びR4 はメチル基を表わす。
【0027】
例えば、R5 は水素原子又はメチル基を表わす。
【0028】
好ましくは、R’6 は水素原子を表わし、そしてR6 は水素原子、−OR10基、−NR1011基、−O−C(O)−R10基又は−NR11−C(O)−R10基を表わし、
10及びR11は独立して、水素原子、炭素原子数1ないし18のアルキル基、炭素原子数2ないし18のアルケニル基、炭素原子数2ないし18のアルキニル基、又は、少なくとも一つのヒドロキシ基により置換された炭素原子数2ないし18のアルキル基を表わし、或いは、R6 が−NR1011基を表わす場合には、R10及びR11は一緒になって、炭素原子数2ないし12のアルキレンブリッジ、又は、少なくとも一つの酸素原子により中断された炭素原子数2ないし12のアルキレンブリッジを表わし、或いは、
6 及びR’6 が共に水素原子を表わし、また一緒になって基=O又は基=N−O−R20を表わし、該式中、
20は水素原子或いは直鎖状又は分岐鎖状の炭素原子数1ないし18のアルキル基を表わす。
【0029】
他の好ましい実施態様において、R6 及びR’6 は一緒になって、二価基:−O−C(R21)(R22)−CH(R23)−O−、−O−CH(R21)−CH2 −C(R22)(R23)−O−、−O−CH(R22)−CH2 −C(R21)(R23)−O−、−O−CH2 −C(R21)(R22)−CH(R23)−O−の一つを形成し、そして、R21、R22及びR23は、上記において定義されたものと同じ意味を有する。
【0030】
具体的化合物は、表Aに記載されている。
【表1】

【0031】
式(II)で表わされる化合物及び特に表Aに記載された化合物は公知であり、そして、国際特許出願公開第99/46261号パンフレット、国際特許出願公開第02/48109号パンフレット及び米国特許第5721320号明細書に記載されたように製造され得る。
【0032】
例えば、エチレン性不飽和モノマー又はオリゴマーは、スチレン、置換スチレン、共役ジエン、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、マレイン酸無水物、(アルキル)アクリル酸の酸無水物、(アルキル)アクリル酸塩、(アルキル)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、(アルキル)アクリルアミド、ハロゲン化ビニル及びハロゲン化ビニリデンからなる群から選択される。
【0033】
特に、エチレン性不飽和モノマーは、スチレン、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、第三ブチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)
アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド又はジメチルアミノプロピル−メタクリルアミドである。
【0034】
特に、エチレン性不飽和モノマーは、イソプレン、1,3−ブタジエン、α−炭素原子数5ないし18のアルケン、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン又は式CH2 =C(Ra )−(C=Z)−Rb [式中、Ra は水素原子又は炭素原子数1ないし4のアルキル基を表わし、Rb は−NH2 基、O- (Me+ )、グリシジル基、非置換の炭素原子数1ないし18のアルコキシ基、少なくとも一つの窒素原子及び/又は酸素原子により中断された炭素原子数2ないし100のアルコキシ基、或いはヒドロキシ置換された炭素原子数1ないし18のアルコキシ基、非置換の炭素原子数1ないし18のアルキルアミノ基、ジ(炭素原子数1ないし18のアルキル)アミノ基、ヒドロキシ置換された炭素原子数1ないし18のアルキルアミノ基又はヒドロキシ置換されたジ(炭素原子数1ないし18のアルキル)アミノ基、−O−CH2 −CH2 −N(CH3 2 基又は−O−CH2 −CH2 −N+ H(CH3 2 An- を表わし、
An- は一価有機又は無機酸のアニオンを表わし、
Meは一価金属原子又はアンモニウムイオンを表わし、
Zは酸素原子又は硫黄原子を表わす。]で表わされる化合物である。
【0035】
少なくとも一つの酸素原子により中断された炭素原子数2ないし100のアルコキシ基としてのRa の例は、次式:
【化10】

[式中、Rc は炭素原子数1ないし25のアルキル基、フェニル基又は炭素原子数1ないし5のアルキル基により置換されたフェニル基を表わし、Rd は水素原子又はメチル基を表わし、そしてvは1ないし50の数を表わす。]で表わされるものである。これらのモノマーは、例えば、対応するアルコキシル化されたアルコール又はフェノールのアクリル化により、非イオン性表面活性剤から誘導される。前記繰り返しユニットは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド又は両方の混合物から誘導され得る。
【0036】
適するアクリレートモノマー又はメタクリレートモノマーの別の例は、以下において与えられる。
【化11】

【化12】

[式中、An- 及びRa は上記において定義されたものと同じ意味を表わし、そしてRe はメチル基、ベンジル基又はベンゾイルベンジル基を表わす。]。An- は好ましくはCl- 、Br- 又は -3 S−O−CH3 を表わす。
【0037】
別のアクリレートモノマーは、次式:
【化13】

[式中、Me+ はアルカリ金属カチオン又はアンモニウムカチオンを表わす。]で表わされるものである。
【0038】
アクリレート以外の適するモノマーの例は、次式:
【化14】

【化15】

で表わされるものである。
【0039】
好ましくは、Ra は水素原子又はメチル基を表わし、Rb は−NH2 基、グリシジル基、非置換又はヒドロキシ置換された炭素原子数1ないし4のアルコキシ基、非置換の炭素原子数1ないし4のアルキルアミノ基、ジ(炭素原子数1ないし4のアルキル)アミノ基、ヒドロキシ−置換された炭素原子数1ないし4のアルキルアミノ基又はヒドロキシ−置換されたジ(炭素原子数1ないし4のアルキル)アミノ基を表わし、そして、Zは酸素原子を表わす。
【0040】
例えば、式R1 (X)n で表わされる化合物において、
1 は炭素原子数1ないし12のアルキル基、炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基又はフェニル基を表わし、
Xは−OH基、−COOH基、−COCl基、−NH2 基、−NHR基、次式:
【化16】

で表わされる基を表わし、
Rは炭素原子数1ないし12のアルキル基を表わし、そして、
nは3ないし6の数を表わす。
【0041】
特に有用なのは下記の化合物:
【化17】

【化18】

である。
【0042】
例えば、反応段階a2)及びb1)は、温度20℃ないし120℃で行われる。
【0043】
エポキシ−官能化されたNOR又はエポキシ−官能化された/NO−末端閉鎖−オリゴマー、コオリゴマー、ポリマー又はコポリマーと、多官能性化合物とのカップリング段階(a2、b1)は、バルク又は、溶剤10〜90%(容量による)を含む溶液において行うことができる。適する溶剤は、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、塩素化溶剤及びそれらの混合物である。
【0044】
好ましくは、カップリング段階の温度は50℃〜120℃、より好ましくは60℃〜110℃、そして最も好ましくは70℃〜100℃である。
【0045】
好ましくは、カップリング段階は、重合が開始されるNOR結合の開裂温度より下の温度で行われる。この開裂温度は、選択されたNOR化合物の構造に依存する。例えば、表Aに記載されたテトラメチルピペリジンは、ジメチル、ジエチル置換された化合物番号104に比べて、より高い温度において加工することができる。
【0046】
典型的な反応時間は1〜72時間、より好ましくは1〜48時間、そして最も好ましくは3〜24時間である。
【0047】
反応は通常、大気圧下で行われる。
【0048】
スターコポリマーの単離は、その分子構造に依存する。残渣モノマーは、100℃を越えない温度において、真空中で除去することができる。適切な溶媒を用いてポリマーを沈澱させることも、又は、残渣モノマーを抽出することも可能である。
【0049】
好ましくは、反応段階a1)及びb2)は、温度80℃ないし160℃で行われる。
【0050】
既に述べたように、アルコキシアミン結合は高められた温度において開裂し、そしてラジカル重合が開始される。好ましくは、重合温度は80℃ないし140℃、特に100℃ないし140℃である。
【0051】
例えば、反応段階a1)において、式Iで表わされる化合物は、エチレン性不飽和モノマーのモル量に基づいて、0.01ないし10モル%の量存在する。
【0052】
例えば、反応段階b2)において、段階a2)の反応生成物は、エチレン性不飽和モノ
マーのモル量に基づいて、0.01ないし10モル%の量存在する。
【0053】
典型的には、スターポリマー又はコポリマーの重量平均分子量Mw は、1000ないし300000、好ましくは3000ないし100000である。
【0054】
得られる櫛形又はスターコポリマーの多分散性指数は、典型的には、1.1ないし3.0である。
【0055】
段階b)の重合は“疑似リビング”なので、それは事実上自由に、開始することもまた停止することもできる。更に、ポリマー生成物は、官能性アルコキシアミン基を保持しており、リビング物質における重合の継続を可能にする。従って、本発明の一実施態様において、一旦、第一モノマーが初期ラジカル重合において消費されると、その後、第二重合段階において、第二モノマーを添加して、成長ポリマー鎖上に第二ブロックを形成することができる。それ故、同一又は異なるモノマーとの更なる重合を行い、マルチ−ブロックコポリマーを製造することが可能である。
【0056】
更に、これは“疑似リビング”ラジカル重合であるので、ブロックは、本質的に、如何なる順序でも製造することができる。イオン重合における場合のように、最小の安定化されたポリマー中間体から最大の安定化されたポリマー中間体まで逐次重合段階が行われなければならないブロックコポリマーの製造に、必ずしも限定されない。従って、ポリアクリロニトリル又はポリ(メタ)アクリレートブロックを最初に製造し、その後、スチレン又はブタジエンブロックをそれに結合させるなど、マルチ−ブロックコポリマーを製造することが可能である。
【0057】
モノマー混合物を使用することにより、又は、第一モノマーが完全に消費される前に第二モノマーを添加することにより、ランダムコポリマー及びテーパーコポリマー構造物を同様に合成することができる。
【0058】
本発明の別の対象は、上記の方法により得ることが可能なスターポリマー又はコポリマーである。
【0059】
本発明のまた別の対象は、上記の方法により得ることが可能なスターポリマー又はコポリマーの使用であって、架橋剤、イオノマー、乳化剤、接着剤、表面改良剤、界面活性剤としての、或いは、熱可塑性、弾性又は熱硬化性ポリマーにおける相溶化剤としての、或いは、部品成形のための押出又は射出成形用プラスチック材としての使用である。
【実施例】
【0060】
下記の実施例により、本発明を説明する。
概論:
溶剤及びモノマーは、使用直前に、アルゴン雰囲気下又は真空下で、ビグリューカラムを通して蒸溜した。
酸素を除去するために、重合前にアルゴンを用いて全ての重合反応混合物をフラッシュし、そして、凍結融解サイクルを適用して真空下で揮発させた。反応混合物を、その後、アルゴン雰囲気下で重合させた。
重合反応の開始時点で、全ての出発物質は、均質に溶解された。
転換率は、メタノール中での沈澱により、及び/又は、少なくとも60分間、真空中(0.002トル)で乾燥させることにより、ポリマーから未反応モノマーを除去し、残留ポリマーを秤量し、そして 開始剤の重量を差し引くことにより決定された。
ポリマーのキャラクタリゼーションは、GPC(ゲル透過クロマトグラフィー)により行った。
【0061】
GPC:
GPCは、フラックス インスツルメンツ(FLUX INSTRUMENTS)社製のレオス(RHEOS)4000を使用して行った。テトラヒドロフラン(THF)が溶剤として使用され、そして、1mL/分でポンプ押出された。二本のクロマトグラフィーカラム[英国、シュロップシャー州のポリマー インスツルメンツ(POLYMER INSTRUMENTS)社製のプルゲル(Plgel)5μm 混合−C型]が直列に配置された。測定は40℃で行われた。カラムは、200ないし2000000ダルトンのMn を有する低多分散性ポリスチレンを用いてキャリブレーションされた。検出は、30℃で、アーカテック アーゲー(ERCATECH AG)のRI−検出器ERC−7515Aを使用して行った。
【0062】
1H−NMRは、ブルカー アヴァンス(BRUKER AVANCE)200を使用して行った。
化合物103
【化19】

は、国際特許出願公開第02/48109号パンフレットに従って製造された。
【0063】
ポリスチレンのサイドアームを持つスターポリマーの製造
二段階反応:
第一段階:多官能性開始剤化合物の合成
第二段階:スターポリマーを製造するための、スチレンとのCFRPの反応

第一段階:トリス(2−アミノメチル)アミンと化合物103との反応
ゴム隔膜、磁気撹拌棒及びアルゴン入口を備えた、乾燥し、アルゴン−パージされたシュレンク管内において、トリス(2−アミノメチル)アミン0.618g(0.00423モル)及び化合物103:5.502g(0.01269モル)を、乾燥トルエン15mLに溶解した。この溶液を、90℃で9時間加熱した。室温に冷却した後、真空下で溶剤を除去し、そして得られた化合物を、恒量まで、50℃真空下で一晩乾燥した。
多官能性開始剤化合物Aが、微黄色固体として、定量的収率で得られた。
1H−NMR:スペクトル中にエポキシ基が無いことで、エポキシ−官能化されたNORとトリアミンとの完全な反応が確認された。
第二段階:スチレンを用いる、多官能性開始剤化合物Aの再開始
ゴム隔膜、磁気撹拌棒及びアルゴン入口を備えた、乾燥し、アルゴン−パージされたシュレンク管内において、化合物A2.5gを、スチレン90g(0.864モル)に溶解した。この溶液を、130℃で6時間加熱した。室温に冷却した後、真空下で残渣モノマー(スチレン)を除去し、そして得られたスターポリマーを、恒量まで、50℃真空下で一晩乾燥した。
スターポリマーが、白色固体として、転換率55%で得られた。
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
スターポリマー又はコポリマーの製造方法であって、
a1)第一段階において、次式(I):
【化1】

[式中、Lは炭素原子数1ないし18のアルキレン基、フェニレン基、フェニレン−炭素原子数1ないし18のアルキレン基、炭素原子数1ないし18のアルキレン−フェニレン基、炭素原子数1ないし18のアルキレン−フェニレンオキシ基及び炭素原子数5ないし12のシクロアルキレン基からなる群から選択された結合基を表わし、
p 及びRq は独立して、非置換或いは一つ若しくはそれより多くの電子吸引性基により又はフェニル基により置換された第三級結合した炭素原子数4ないし28のアルキル基を表わし、或いは、
p 及びRq は一緒になって、少なくとも四つの炭素原子数1ないし4のアルキル基により置換され且つ更に窒素原子又は酸素原子により中断され得る5又は6員ヘテロ環を形成する。]で表わされる開始剤化合物の存在下で、エチレン性不飽和モノマーを重合させること、並びに、第二段階において、
b1)段階a1)において得られたポリマーを式R1 (X)n [式中、R1 は炭素原子数1ないし24のアルキル基、炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、炭素原子数7ないし15のフェニルアルキル基を表わし、或いは、燐含有酸の残基を表わし、
Xは−OH基、−COOH基、−COCl基、−NH2 基、−NHR基、次式:
【化2】

で表わされる基を表わし、或いは、
Xはグリセロールから又はポリビニルアルコールから誘導された基を表わし、
Rは炭素原子数1ないし24のアルキル基を表わし、そして、
nは3ないし30の数を表わす。]で表わされる化合物と反応させること、或いは、
a2)第一段階において、式(I)で表わされる化合物を上記で定義された通りの式R1 (X)n で表わされる化合物と反応させること、並びに、
b2)重合反応において、段階a2)において得られた多官能性開始剤化合物をエチレン
性不飽和モノマーと反応させること、
を含む方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、前記モノマーが次式(II):
【化3】

[式中、
1 、R2 、R3 及びR4 は互いに独立して炭素原子数1ないし4のアルキル基を表わし、
5 は水素原子又は炭素原子数1ないし4のアルキル基を表わし、
R’6 は水素原子を表わし、そして
6 は水素原子、−OR10基、−NR1011基、−O−C(O)−R10基又は−NR11−C(O)−R10基を表わし、
10及びR11は独立して、水素原子、炭素原子数1ないし18のアルキル基、炭素原子数2ないし18のアルケニル基、炭素原子数2ないし18のアルキニル基、又は、少なくとも一つのヒドロキシ基により置換された炭素原子数2ないし18のアルキル基を表わし、或いは、R6 が−NR1011基を表わす場合には、R10及びR11は一緒になって、炭素原子数2ないし12のアルキレンブリッジ、又は、少なくとも一つの酸素原子により中断された炭素原子数2ないし12のアルキレンブリッジを表わし、或いは、
6 及びR’6 は共に水素原子を表わし、また一緒になって基=O又は基=N−O−R20を表わし、該式中、
20は水素原子;非置換、或いは、一つ又はそれより多くの−OH基、炭素原子数1ないし8のアルコキシ基、カルボキシ基、炭素原子数1ないし8のアルコキシカルボニル基により置換され得る直鎖状又は分岐鎖状の炭素原子数1ないし18のアルキル基、炭素原子数3ないし18のアルケニル基又は炭素原子数3ないし18のアルキニル基;炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基又は炭素原子数5ないし12のシクロアルケニル基;フェニル基、炭素原子数7ないし9のフェニルアルキル基、或いは、非置換、又は、一つ又はそれより多くの炭素原子数1ないし8のアルキル基、ハロゲン原子、−OH基、炭素原子数1ないし8のアルコキシ基、カルボキシ基、炭素原子数1ないし8のアルコキシカルボニル基により置換され得るナフチル基;−C(O)−炭素原子数1ないし36のアルキル基、或いは、3個ないし5個の炭素原子を有するα,β−不飽和カルボン酸の又は7個ないし15個の炭素原子を有する芳香族カルボン酸のアシル部分:−SO3 - + 基、−PO(O- + 2 基、−P(O)(OR2 2 基、−SO2 −R2 基、−CO−NH−R2 基、−CONH2 基、−COOR2 基又はSi(Me)3 基(これらの基において、Q+ はH+ 、アンモニウム又はアルカリ金属カチオンを表わす。)を表わし、或いは、
6 及びR’6 は独立して、−O−炭素原子数1ないし12のアルキル基、−O−炭素原子数3ないし12のアルケニル基、−O−炭素原子数3ないし12のアルキニル基、−O−炭素原子数5ないし8のシクロアルキル基、−O−フェニル基、−O−ナフチル基、−O−炭素原子数7ないし9のフェニルアルキル基を表わし、或いは、
6 及びR’6 は一緒になって、二価基:−O−C(R21)(R22)−CH(R23)−O−、−O−CH(R21)−CH2 −C(R22)(R23)−O−、−O−CH(R22)−CH2 −C(R21)(R23)−O−、−O−CH2 −C(R21)(R22)−CH(R23)−O−、−O−o−フェニレン−O−、−O−1,2−シクロヘキシリデン−O−、−O−CH2 −CH=CH−CH2 −O−又は
【化4】

の一つを形成し、これらの式中、
21は水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基、−COOH基、−COO(炭素原子数1ないし12)のアルキル基又は−CH2 OR24を表わし、
22及びR23は独立して、水素原子、メチル基、エチル基、−COOH基、−COO(炭素原子数1ないし12)のアルキル基を表わし、
24は水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基、ベンジル基、或いは、18個までの炭素原子を有する脂肪族、脂環式又は芳香族モノカルボン酸から誘導される一価アシル残基を表わし、そして
7 及びR8 は独立して、水素原子又は炭素原子数1ないし18のアルキル基を表わす。]で表わされるものである方法。
【請求項3】
前記R1 、R2 、R3 及びR4 がメチル基を表わすか、又は、前記R1 及びR3 がエチル基を表わし、そして前記R2 及びR4 がメチル基を表わすか、又は、前記R1 及びR2 がエチル基を表わし、そして前記R3 及びR4 がメチル基を表わす、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記R5 が水素原子又はメチル基を表わす、請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記式中、
R’6 が水素原子を表わし、そしてR6 が水素原子、−OR10基、−NR1011基、−O−C(O)−R10基又は−NR11−C(O)−R10基を表わし、
10及びR11が独立して、水素原子、炭素原子数1ないし18のアルキル基、炭素原子数2ないし18のアルケニル基、炭素原子数2ないし18のアルキニル基、又は、少なくとも一つのヒドロキシ基により置換された炭素原子数2ないし18のアルキル基を表わし、或いは、R6 が−NR1011基を表わす場合には、R10及びR11は一緒になって、炭素原子数2ないし12のアルキレンブリッジ、又は、少なくとも一つの酸素原子により中断された炭素原子数2ないし12のアルキレンブリッジを表わし、或いは、
6 及びR’6 が共に水素原子を表わし、また一緒になって基=O又は基=N−O−R20を表わし、該式中、
20は水素原子或いは直鎖状又は分岐鎖状の炭素原子数1ないし18のアルキル基を表わす、請求項2記載の方法。
【請求項6】
前記式中、
6 及びR’6 は一緒になって、二価基:−O−C(R21)(R22)−CH(R23)−
O−、−O−CH(R21)−CH2 −C(R22)(R23)−O−、−O−CH(R22)−CH2 −C(R21)(R23)−O−、−O−CH2 −C(R21)(R22)−CH(R23)−O−の一つを形成し、そして、
21、R22及びR23は、請求項2において定義されたものと同じ意味を表わす、請求項2記載の方法。
【請求項7】
前記エチレン性不飽和モノマー又はオリゴマーが、スチレン、置換スチレン、共役ジエン、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、マレイン酸無水物、(アルキル)アクリル酸の酸無水物、(アルキル)アクリル酸塩、(アルキル)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、(アルキル)アクリルアミド、ハロゲン化ビニル及びハロゲン化ビニリデンからなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記エチレン性不飽和モノマーが、スチレン、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、第三ブチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド又はジメチルアミノプロピル−メタクリルアミドである、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記式R1 (X)n で表わされる化合物において、
1 が炭素原子数1ないし12のアルキル基、炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基又はフェニル基を表わし、
Xが−OH基、−COOH基、−COCl基、−NH2 基、−NHR基、次式:
【化5】

で表わされる基を表わし、
Rが炭素原子数1ないし12のアルキル基を表わし、そして、
nが3ないし6の数を表わす、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記反応段階a2)及びb1)が、温度20℃ないし120℃で行われる、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記反応段階a1)及びb2)が、温度80℃ないし160℃で行われる、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記反応段階a1)において、式(I)で表わされる化合物が、エチレン性不飽和モノマーのモル量に基づいて、0.01ないし10モル%の量存在する、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記反応段階b2)において、段階a2)の反応生成物が、エチレン性不飽和モノマーのモル量に基づいて、0.01ないし10モル%の量存在する、請求項1記載の方法。
【請求項14】
請求項1記載の方法により得ることが可能なスターポリマー又はコポリマー。
【請求項15】
請求項1記載の方法により得ることが可能なスターポリマー又はコポリマーの使用であって、架橋剤、イオノマー、乳化剤、接着剤、表面改良剤、界面活性剤としての、或いは、熱可塑性、弾性又は熱硬化性ポリマーにおける相溶化剤としての、或いは、部品成形のための押出又は射出成形用プラスチック材としての使用。

【公表番号】特表2008−534758(P2008−534758A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−504733(P2008−504733)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【国際出願番号】PCT/EP2006/061045
【国際公開番号】WO2006/106048
【国際公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(396023948)チバ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Holding Inc.
【Fターム(参考)】