説明

エポキシ樹脂組成物及びこれを用いたディスペンサー塗布用接着剤

【課題】
表面実装用電子部品を各種プリント基板上に固定するのに、従来よりも低温でも短い硬化時間で接着固定させることができ、しかも保存安定性に優れたエポキシ樹脂組成物及びこれを用いたディスペンサー塗布用接着剤を提供する。
【解決手段】
(A)常温で液状の水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、(B)融点が70〜85℃で平均粒径が1〜20μmの変性脂肪族ポリアミン系潜在性硬化剤及び(C)反応抑制剤を配合することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面実装用電子部品を各種プリント基板上に固定するのに好適なエポキシ樹脂組成物及びこれを用いたディスペンサー塗布用接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表面実装用電子部品をプリント基板上に接着固定するための接着剤としては、エポキシ樹脂組成物が広く用いられている。このようなエポキシ樹脂組成物としては、例えば経時的な粘性変化が少なく、また硬化時に塗布面が広がることの少ないエポキシ樹脂組成物を得るため、エポキシ樹脂にアミン系硬化剤とチクソ付与剤としての親水性シリカを配合したもの(特許文献1参照)や、ディスペンサーを用いて塗布する場合に、高速塗布に対応した糸切れ性と、さらに貯蔵安定性の両方に優れたエポキシ樹脂組成物を提供することを目的として、エポキシ樹脂にアミン系潜在性硬化剤と焼成タルクと有機系レオロジー添加剤とを配合したもの(特許文献2参照)が提案されている。
【0003】
近時、半導体を含む電子部品は、小型化、高密度化が進み、データの大容量化や処理速度の高速化等の性能向上を目的としている一方で、低コスト化が求められている。このため、従来とは材料の異なる電子部品が開発されており、その表面の(接着面)の状態も多様化してきているため、前記特許文献1や特許文献2に記載の組成物(接着剤)や従来の接着剤では十分な接着強度を得られない場合があり、電子部品の種類に関係なく短い硬化時間で安定した接着強度を発現する組成物(接着剤)として、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂、又はこれらの混合物からなるエポキシ樹脂と前記エポキシ樹脂を硬化させる硬化剤、特に常温で固体の変性アミン化合物で熱により活性化するものや所望の温度で溶解又は破壊されるマイクロカプセル中に例えば酸無水物、イミダゾール類、フェノール系化合物、アミド類等の硬化剤を含有させたマイクロカプセル型潜在性硬化剤とからなる液状エポキシ樹脂組成物であって、該組成物はソルダーレジストとプリフラックスを塗布した基板上にディスペンサーを用いて、1点の塗布直径が0.7±0.15mmのものを2点塗布後、被着体として2012タイプの角型セラミックコンデンサーを、塗布した箇所の上に装着させ、装着後30秒で基板の表面温度が150℃になるように昇温後、60秒間又は1時間保持して硬化後、23℃まで放冷し、部品の長軸と直角方向に押して剥離したときの強度をプッシュプルゲージにて測定する接着試験により試験したとき、150℃の温度下における保持時間が60秒のときの接着力(A)と、1時間保持したときの接着力(B)とが、式0.6B<Aで規定する関係を満たす液状エポキシ樹脂組成物が提案されている(特許文献3参照)。
【0004】
特許文献3に記載の組成物は、硬化温度が130〜150℃程度と高いため、近年においては電子部品の種類がさらに多様化し、発光ダイオードや高機能ICなどの耐熱性の低い電子部品には適さないものであった。また、より低い温度で短時間硬化させることが可能な(A)分子内に平均1個より多くのエポキシ基を有するエポキシ化合物と、(B)分子中にOH基、SH基、NH基、NH2基、COOH基及びCONHNH2
基から選ばれる少なくとも1個の官能基と3級アミノ基を兼有する化合物とを、化合物(A)のエポキシ基1当量に対して0.05〜5.0当量の割合の水の存在下で反応させて得ることのできる反応物からなるエポキシ樹脂用潜在性硬化剤と(x)分子内に平均1個より多くのエポキシ基を有するエポキシ化合物とからなる保存安定性にも優れたエポキシ樹脂組成物(特許文献4参照)も提案されている。
【0005】
しかしながら、特許文献4に記載した組成物は、硬化時間が100℃で4分程度と未だ長く、低コスト化、生産性の向上の面から満足できるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−033916号公報
【特許文献2】特開平7−316400号公報
【特許文献3】WO2007/083673号公報
【特許文献4】特開2000−001526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、表面実装用電子部品を各種プリント基板上に固定するのに、従来よりも低温(100℃)でも短い硬化時間(140秒以内)で接着固定させることができ、しかも保存安定性に優れたエポキシ樹脂組成物及びこれを用いたディスペンサー塗布用接着剤を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記課題を解決することができた。すなわち、常温で液状の水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂は潜在性硬化剤の平均粒径が1〜20μmの範囲で溶解することなく、かつ相溶性が良好なため、均一に分散され、保存安定性に優れたエポキシ樹脂組成物が得られる。さらに、平均粒径が1〜20μmなので加熱した際、潜在性硬化剤が速やかに溶解し、エポキシ樹脂と反応するため、低温速硬化性に優れたエポキシ樹脂組成物が得られる。このように、常温で液状の水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂に融点が70〜85℃で平均粒径が1〜20μmの潜在性硬化剤を分散混合することによって、本課題を解決し、低温速硬化性と保存安定性に優れた、エポキシ樹脂組成物及びこれを用いたディスペンサー塗布用接着剤を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)(A)常温で液状の水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、(B)融点が70〜85℃で平均粒径が1〜20μmの変性脂肪族ポリアミン系潜在性硬化剤及び(C)反応抑制剤を配合したことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
(2)前記(B)成分が前記(A)成分に非溶性でかつ均一に分散されていることを特徴とする(1)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(3)前記(A)成分100質量部に対して、前記(B)成分の配合量が30〜80質量部であることを特徴とする(1)又は(2)のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
(4)(C)反応抑制剤がホウ素化合物であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物に(D)充填材を添加することを特徴とするディスペンサー塗布用接着剤。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば(A)常温で液状の水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、(B)融点が70〜85℃で平均粒径が1〜20μmの変性脂肪族ポリアミン系潜在性硬化剤及び(C)反応抑制剤を配合した組成物であって、(A)成分は(B)成分を常温で溶解することなく、均一に分散混合できるため、低温速硬化性と保存安定性に優れるエポキシ樹脂組成物及びこれを用いたディスペンサー塗布用接着剤を提供できる。
【0011】
プリント基板に表面実装用電子部品を固定するのに低い温度で短時間硬化できるため、耐熱性の低い表面実装用電子部品に適していて、また次工程までの時間を短くすることができ、作業効率、生産性が向上するため、ディスペンサー塗布用接着剤に好適である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明のエポキシ樹脂組成物及びこれを用いたディスペンサー塗布用接着剤について説明する。
(A)常温で液状の水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂
本発明で用いる、(A)成分は、潜在性硬化剤を均一に分散した状態で存在させることができ、初期粘度が低いエポキシ樹脂組成物を得ることができるため、常温で液状の水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いる。水素化の方法としては、例えばロジウム及び/又はルテニウム触媒を用いて、特定のエーテル基含有アルコールの存在下、1〜20MPaの水素圧下、30〜100℃で水素化することで製造できる。(A)成分は、保存安定性を考慮すると水素化率80〜100%であり、好ましくは90〜100%で、かつエポキシ当量は180〜240、特に205〜220が好ましい。
【0013】
(A)成分には、効果を損なわない範囲で他の常温で液状のエポキシ樹脂を混合して使用することができる。他の常温で液状のエポキシ樹脂としては、エピクロルヒドリンとビスフェノールAやビスフェノールF、ビスフェノールAD等より得られるビスフェノール型エポキシ樹脂、エピクロルヒドリンとフェノールノボラックやクレゾールノボラックより得られるノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン環を含んだ骨格を有するナフタレン含有エポキシ樹脂、ポリブタジエンのエポキシ化物等のポリオレフィン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン、グリシジルエーテル、ビフェニルなどの1分子内に2個以上のグリシジル基を有する各種のエポキシ化合物、脂環エポキシ基を1分子内に2個以上有する脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの化合物は単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0014】
(B)融点が70〜85℃で平均粒径が1〜20μmの変性脂肪族ポリアミン系潜在性硬化剤
本発明で用いる、(B)成分は、硬化反応が良好であり、融点が70〜85℃で平均粒径が1〜20μmの脂肪族ポリアミンの変性物である。(B)成分は、融点が70〜85℃である。融点が70℃より低い場合は保存安定性に優れず、85℃を超える場合は低温硬化では硬化不十分となる。保存安定性と低温硬化性の両面を考慮すると、融点はより好ましくは73〜83℃である。
【0015】
(B)成分の平均粒径は1〜20μmである。平均粒径が1μより小さい場合は粒子が凝集し、均一に分散することができないため、低温速硬化に優れず、20μmより大きい場合、短時間硬化では硬化不十分となる。分散性と短時間硬化の両面を考慮すると平均粒径はより好ましくは3〜7μmである。本発明において、配合量は限定されるわけではないが、短時間硬化と接着力を考えると、(A)成分100質量部に対して(B)成分は30〜80質量部であることが好ましい。(B)成分の配合量が30質量部より少ない場合、短時間硬化では硬化不十分となり、80質量部を超える場合、十分な接着力が得られないので好ましくない。短時間硬化と接着力の両面を考慮すると配合量は40〜70質量部の範囲とすることがより好ましい。
【0016】
(B)成分には、効果を損なわない範囲で他の潜在性硬化剤を混合して使用することができる。他の潜在性硬化剤としては、ジシアンジアミド及びその誘導体、有機酸ヒドラジド系化合物、ポリアミン系化合物、ポリアミド化合物、アミンアダクト系化合物、イミダゾール化合物、スピロアセタール系化合物、アミン−尿素アダクト系化合物等が挙げられる。これらの化合物は単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0017】
(C)反応抑制剤
(C)成分の反応抑制剤としては、ホウ素化合物及び/または酸性化合物がある。
【0018】
(C)成分の1つとしてのホウ素化合物は、室温で液状または固体のホウ素化合物で硬化促進剤表面と反応し硬化促進剤表面の塩基性をブロックする役割を果たし組成物の保存状態での貯蔵安定性をさらに向上させる効果がある。例えば、このようなものとしては、トリメチルボレート、トリエチルボレート、トリ−n−プロピルボレート、トリイソプロピルボレート、トリ−n−ブチルボレート、トリペンチルボレート、トリアリルボレート、トリヘキシルボレート、トリシクロヘキシルボレート、トリオクチルボレート、トリノニルボレート、トリデシルボレート、トリドデシルボレート、トリヘキサデシルボレート、トリオクタデシルボレート、トリス(2−エチルヘキシロキシ)ボラン、ビス(1,4,7,10−テトラオキサウンデシル)(1,4,7,10,13−ペンタオキサテトラデシル)(1,4,7−トリオキサウンデシル)ボラン、トリベンジルボレート、トリフェニルボレート、トリ−o−トリルボレート、トリ−m−トリルボレート、トリエタノールアミンボレート、2,2’−オキシビス(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン)等が挙げられるがこれに限定されるものではない。また、これらのものは1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
前記ホウ素化合物は取扱い性の面からフェノール樹脂と組み合わせて用いることもできる。このようなものとしては、例えば、四国化成工業株式会社製、キュアダクトL−07N等が市販されているがこれらに限定されるものではない。
【0020】
(C)成分のもう一方ものとしては、酸性化合物があり、室温で液状または固体の有機酸、または無機酸で、組成物の保存状態での保存安定性をさらに向上させる効果がある。例えば、硫酸、酢酸、アジピンサ酸、酒石酸、フマル酸、バルビーツ酸、ホウ酸、ピロガロール、フェノール樹脂、カルボン酸無水物等が挙げられる。ただし、本発明においては取り扱いが良好のため、ホウ素化合物がより好ましい。
【0021】
本発明において、配合量は必ずしも限定されるわけではないが、保存安定性や硬化性を考えると、(A)成分100質量部に対して(C)成分の配合量は1〜50質量部が好ましい。(C)成分の配合量が1質量部より少ない場合、エポキシ樹脂組成物の保存安定性を損ない、50質量部を超える場合、硬化性を損なうので好ましくない。特に保存安定性や硬化性の両面を考慮して2〜20質量部の範囲とすることがより好ましい。これらの化合物は単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0022】
また、本発明のエポキシ樹脂組成物には、(A)成分100質量部、(B)成分30〜80質量部及び(C)成分1〜50質量部に加え、所望に応じ、本発明の目的が損なわれない範囲で、充填剤、硬化促進剤、希釈剤、可塑剤、着色剤、レベリング剤、難燃剤、消泡剤、界面活性剤などの添加剤を配合することができる。これらの添加剤は、(A)、(B)及び(C)成分を混合した後にこれらの添加剤を加えて均一に混合してもよいし、(A)、(B)及び(C)成分の1種又は2種以上の成分と混合してもよい。
【0023】
特に、本発明のエポキシ樹脂組成物に(D)成分として充填材を添加することにより、高速塗布に必要な糸切れ性に優れるディスペンサー塗布用接着剤が得られる。
【0024】
(D)成分としては、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、溶融シリカ、結晶性シリカ、非晶性シリカ、低α線シリカ、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ガラスバルーン、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、マグネシア、タルク、マイカ、クレー、チタンホワイト、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、硫酸バリウム、等の無機充填材や各種の合成樹脂粒子、例えば、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ベンゾグアナミン/メラミン/ホルマリン縮合物、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、スチレン樹脂等の有機充填材が挙げられ、これらの1種又は2種を混合して用いることもできる。
【0025】
(D)成分の充填剤は、平均粒径が10〜1000nmであることが好ましい。より好ましくは10〜50nmで、その配合量は(A)成分100質量部に対して2〜10質量部である。(D)成分の配合量が2質量部より少ない場合、塗布面が広がり、またディスペンサーの部品を汚してしまい、10質量部を超える場合、高速塗布に必要な糸切れ性の良い接着剤を得られなくなるので好ましくない。塗布性や作業性の両面を考慮して、配合量は特に4〜8質量部が好ましい。
本発明の接着剤の製造方法としては、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、潜在性硬化剤及び充填材を攪拌混合し調製する。
【実施例】
【0026】
次に、本発明を実施例に基づいて具対的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、各物性は下記のようにして測定したものである。
(1)初期粘度(Pa・s)
EHD型粘度計を用い、25℃において回転数0.5rpmで測定し、100Pa・s未満のものを○、100Pa・s以上のものを×とする。
(2)ゲル化時間(s)
JIS C−2104に依拠したゲル板を100℃に保ち、その板上に0.4mlの資料を載置後、かきまぜ棒でかきまぜ、糸が引かなくなるまでの時間(s)を測定した。100℃で140秒未満のものを○、140秒以上のものを×とする。
(3)接着力(N)
予め、ソルダーレジストとその上にプリフラックスを塗布した基板の上に、本発明のエポキシ樹脂組成物(接着剤)をディスペンサーにて1点の塗布直径が0.7±0.15mmで2点塗布する。この接着剤上に2012タイプの角型セラミックコンデンサーを装着した後、20秒で基板の表面温度が100℃になるように上昇し、その後、60秒間保持して硬化する(硬化炉:静止式リフロー炉SAR−401A(奥原電気社製))。その後、試験片を室温(25℃)まで放冷し、部品の長軸と直角方向に押した時の剥離強度をプッシュプルゲージで測定する。測定回数は50点とし、その平均値が13N以上を○、13N未満を×とする。
(4)保存安定性
エポキシ樹脂組成物を25℃及び40℃雰囲気下に放置して粘度を測定する。25℃雰囲気下で、初期粘度に対して2倍となる日数を示し、30日以上のものを○、30未満のものを×とし、40℃雰囲気下で、初期粘度に対して2倍となる日数を示し、30日以上のものを○、30未満のものを×とする。この場合の粘度は、前記初期粘度に際して用いたのと同じ粘度計を用い、25℃で0.5rpmの条件で測定する。
【0027】
なお、表1に示した配合成分の内容は次のとおりである。
(I)エポキシ樹脂
(I−1)水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、「リカレジンHBE−100」、新日本理化社製
(I−2)ビスフェノールA型エポキシ樹脂、「JER828」、油化シェルエポキシ社製
(I−3)ビスフェノールF型エポキシ樹脂、「JER807」、油化シェルエポキシ社製
(II)潜在性硬化剤
(II−1)変性脂肪族ポリアミン、「アデカハードナーEH−4357S」、融点78℃、平均粒径5μm、ADEKA社製
(II−2)II−1の平均粒径を10μmになるように分級したものです。変性脂肪族ポリアミン、「アデカハードナーEH−4357S」、融点78℃、平均粒径10μm、ADEKA社製
(II−3)II−1の平均粒径を25μmになるように分級したものです。変性脂肪族ポリアミン、「アデカハードナーEH−4357S」、融点78℃、平均粒径25μm、ADEKA社製
(II−4)変性ポリアミン、「フジキュアーFXR−1081」、融点121℃、平均粒径4μm、富士化成工業社製
(III)反応抑制剤
エポキシ−フェノール−ホウ素化合物配合物、「キュアダクトL−07N」、四国化成社製
(IV)充填剤
親水性シリカ、「AEROSIL#300」、日本アエロジル社製
【0028】
実施例1
水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(I−1)100質量部、潜在性硬化剤(II−1)61質量部、反応抑制剤(III)10質量部及び充填材(IV)3質量部をプラネタリーミキサー(井上製作所社製)にて常温で3h攪拌混合し、エポキシ樹脂組成物を調製した。このものの物性を表1に示す。
【0029】
実施例2〜4、比較例1〜6
実施例1と同様にして、表1に記載の各成分を表1に記載の割合で攪拌混合し、エポキシ樹脂組成物を調整した。このものの物性を表1に示す。
【0030】
【表1】

【0031】
(評価)
表1に示したように、実施例1のエポキシ樹脂組成物は、ゲル化時間が140秒未満で、接着力が13N以上であった。これは、比較例1と2から分かるように、潜在性硬化剤の平均粒径及び融点の違いによるものであり、本発明の重要なポイントである。
【0032】
また、表1に示したように、実施例1〜4のエポキシ樹脂組成物は全て、保存安定性が30日以上であった。これは、比較例3から分かるように、エポキシ樹脂が、(I−1)水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂と、(I−3)ビスフェノールF型エポキシ樹脂の違いによるものである。
【0033】
加えて、表1に示したように、実施例1のエポキシ樹脂組成物は、保存安定性が30日以上であった。これは、比較例4から分かるように、反応抑制剤の有無の違いによるものである。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、(B)成分が(A)成分に非溶性でかつ均一に分散性した状態で存在し、低温速硬化性と保存安定性に優れるので、ディスペンサー塗布用接着剤に好適である。プリント基板に表面実装用電子部品を固定するのに低い温度で短時間硬化できるため、耐熱性の低い表面実装用電子部品に適していて、また次工程までの時間を短くすることができ、作業効率、生産性が向上する。しかも保存安定性が高いのでディスペンサー塗布に適した接着剤が得られる。このようなディスペンサー塗布用接着剤を用いて高品質の実装プリント基板を低コストで得ることができるため、本発明のエポキシ樹脂組成物及びこれを用いたディスペンサー塗布用接着剤は、実装分野に極めて有効である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)常温で液状の水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、(B)融点が70〜85℃で平均粒径が1〜20μmの変性脂肪族ポリアミン系潜在性硬化剤及び(C)反応抑制剤を配合することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
前記(B)成分が前記(A)成分に非溶性でかつ均一に分散されていることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
前記(A)成分100質量部に対して、前記(B)成分の配合量が30〜80質量部であることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
(C)反応抑制剤がホウ素化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物に(D)充填材を添加することを特徴とするディスペンサー塗布用接着剤。

【公開番号】特開2011−148869(P2011−148869A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9550(P2010−9550)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000108454)ソマール株式会社 (81)
【Fターム(参考)】