説明

エミュレータ管理システムおよびプログラム

【課題】PCに搭載された電子機器のエミュレータについて、使用する電子機器の機種・バージョンを容易に合わせることが可能になるエミュレータ管理システムを提供する。
【解決手段】PC10に関数電卓20を接続すると、PC10内の電卓エミュレータ12bが有する電卓binデータ12b2に記述された機種コードおよびバージョン情報について、接続先の関数電卓20の電卓binデータ22aから読み込まれた機種コードおよびバージョン情報との同一性が判断される。そして、PC10内の電卓エミュレータ12bに対し、前記接続された関数電卓20の機種コードあるいはバージョン情報が異なると判断された場合には、例えば最新機種あるいは最新バージョンに合わせるように、関数電卓20の電卓binデータ22aがPC10に読み込まれて当該PC20内の電卓エミュレータ12bの電卓binデータ12b2が書き替えられて更新一致される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PC(Personal Computer)に搭載した関数電卓などのエミュレータを管理するためのエミュレータ管理システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、関数計算などの多種多様な計算処理が行える関数電卓と称する小型電子式計算機が広く実用されている。
【0003】
また、このような関数電卓は、例えば同一出願人によって出願された計算機エミュレーション装置(特願2006−297095号)に記載されるように、PC上で機能するエミュレータによって模倣動作させることもできる。
【0004】
図7は、関数電卓のエミュレータをPC上で機能させた場合の動作画面を示す図である。
【0005】
これによれば、PC画面上の左側に関数電卓のエミュレーション画面GEが表示され、そのキーボードKBの所望のキーをマウスカーソルによってクリック操作することで、当該キー操作に応じた処理が実行され電卓ディスプレイDPの表示内容が更新される。
【0006】
この際、前記キーボードKBにおけるキー入力の履歴データをキーログデータとして記録し、前記エミュレーション画面GEの右隣りにログ画面GLとして表示させることができる。そして、当該ログ画面GLに表示され記録されたキーログデータは、後にそのまま再生して表示させ、全く同様の電卓動作を再現させることができる。
【0007】
なお、ユーザ操作に応じたキーログデータを記録し、またこの記録されたキーログデータを再生することのできるキーボードログ取得再生機能付きキーボードも考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平08−241153号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記関数電卓のエミュレータは、教育現場における教師側のPCに搭載されて使用されることが多い。一方で、新入生が購入してくる関数電卓は、順次そのバージョンが更新されたり、機種そのものが変更されたりして進化しているため、教師側のPCに搭載された関数電卓のエミュレータと生徒が使用する関数電卓の機種、バージョンとが一致しない場合がある。
【0009】
この場合、例えば前記エミュレーション画面GEそのものの外観が、生徒が使用する関数電卓の外観と異なったり、同様の処理をさせても電卓ディスプレイDPにおける表示形態が異なったりするため、当該電卓エミュレータによって手本を示して生徒に学習させるのに作業がしにくい問題がある。
【0010】
本発明は、このような課題に鑑みなされたもので、PCに搭載された電子機器のエミュレータについて、使用する電子機器の機種・バージョンを容易に合わせることが可能になるエミュレータ管理システムおよびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載のエミュレータ管理システムは、電子機器のエミュレータを記憶したパーソナル・コンピュータにおいて当該エミュレータを管理するためのエミュレータ管理システムであって、前記電子機器が接続された際に、当該電子機器と前記エミュレータとの同一性を判断する同一性判断手段と、この同一性判断手段により前記接続された電子機器とエミュレータとの同一性が無いと判断さたれ場合には、前記電子機器または前記エミュレータの何れか一方の動作プログラムに基づき他方の動作プログラムを更新させるプログラム更新手段と、を備えたことを特徴としている。
【0012】
請求項2に記載のエミュレータ管理システムは、前記請求項1に記載のエミュレータ管理システムにおいて、前記プログラム更新手段は、ユーザ操作に応じて、前記電子機器または前記エミュレータの何れか一方に合わせるかを選択するユーザ選択手段を有し、このユーザ選択手段による選択に応じて、前記電子機器または前記エミュレータの何れか一方の動作プログラムに基づき他方の動作プログラムを更新させる、ことを特徴としてる。
【0013】
請求項3に記載のエミュレータ管理システムは、前記請求項2に記載のエミュレータ管理システムにおいて、前記ユーザ選択手段は、ユーザ操作に応じて、前記電子機器または前記エミュレータの何れか新しい方に合わせることを選択する選択手段であって、前記プログラム更新手段は、前記選択手段による選択に応じて、前記電子機器または前記エミュレータの何れか新しい方の動作プログラムに基づき古い方の動作プログラムを更新させる、ことを特徴としている。
【0014】
請求項4に記載のプログラムは、電子機器のエミュレータを記憶したパーソナル・コンピュータを制御して当該エミュレータを管理するためのプログラムであって、前記コンピュータを、前記電子機器が接続された際に、当該電子機器と前記エミュレータとの同一性を判断する同一性判断手段、この同一性判断手段により前記接続された電子機器とエミュレータとの同一性が無いと判断さたれ場合には、前記電子機器または前記エミュレータの何れか一方の動作プログラムに基づき他方の動作プログラムを更新させるプログラム更新手段、として機能させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、PCに搭載された電子機器のエミュレータについて、使用する電子機器の機種・バージョンを容易に合わせることが可能になるエミュレータ管理システムおよびプログラムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下図面により本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係るエミュレータ管理システムにより管理される関数電卓エミュレータを搭載したPC10および関数電卓20の電子回路の構成を示すブロック図である。
【0018】
PC10は、グラフ描画機能を備えたグラフ関数電卓20の電卓エミュレータ(Managerプログラム)をインストールして備えている。
【0019】
このPC10は、制御部としてのCPU(Central Processing Unit)11を内蔵したコンピュータ本体10Aを備え、このコンピュータ本体10Aには、HDD(Hard Disc Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置12、RAM13、記憶媒体読み書き部14、通信部15が備えられる。
【0020】
前記CPU11は、キーボードおよびマウスを備えた入力部16からの入力信号に応じて、記憶装置12に予め記憶されているPC制御プログラム、あるいは磁気ディスク(FD),光ディスク(CD,DVD),メモリカードなどの外部記憶媒体18からその記憶媒体読み書き部14を介して記憶装置12に読み込まれたPC制御プログラム、あるいは外部のコンピュータ端末であるWebサーバ(プログラムサーバ)30から通信ネットワークNを経由し通信部15を介して記憶装置12に読み込まれたPC制御プログラムを起動させ回路各部の動作を制御する。
【0021】
記憶装置12は、装置電源の投入直後にCPU11により読み出される前述のPC制御プログラム(OS:Operation System)12aを予め格納している他に、グラフ関数電卓20のエミュレータ(Managerプログラム)12b、文書作成のアプリケーションプログラム12c、表計算のアプリケーションプログラム12dなど、各種のアプリケーションソフトウエアを格納している。
【0022】
前記電卓エミュレータ(Managerプログラム)12bは、ハードウエアエミュレータ12b1、電卓bin(binary)データ12b2、エミュレータ管理プログラム12b3を有している。
【0023】
前記ハードウエアエミュレータ12b1は、関数電卓20の動作用プログラムである前記電卓binデータ12b2を、本PC10のCPU11において、関数電卓20のCPU21による動作と同様に実行させるためのプログラム(EXEファイル)である。
【0024】
そして、前記電卓binデータ12b2は、PC10が模倣動作すべき関数電卓20の動作用プログラムを有するだけでなく、当該電卓binデータ12b2により標準動作する関数電卓20の機種コード、同電卓binデータのver.(バージョン)情報、PC10における関数電卓20のエミュレーション動作に伴い表示制御される当該関数電卓20の外観表示データ(GE)やキー表示データ(KB),キー配列データ(座標)などを含むエミュレータ動作用ファイルを有している。
【0025】
すなわち、電卓エミュレータ12bを起動させると、前記電卓binデータ12b2の関数電卓20の動作用プログラムが、前記ハードウエアエミュレータ12b1を介在してCPU11により実行され、関数電卓20を模倣したエミュレーション画面GE、キーボードKB、電卓ディスプレイDP、ログ画面GLなど(図7参照)が表示部17に表示される。
【0026】
そして、表示部17に表示されたエミュレーション画面GEにおけるキーボードKBをマウスクリックなどにより入力操作することで、そのキー入力に応じた関数電卓20の処理が実行される。
【0027】
一方、関数電卓20は、制御部としてのCPU21を備え、このCPU21には、記憶装置およびRAMからなるメモリ22、キー入力部23、表示部24、通信部26が接続される。
【0028】
前記CPU21は、キー入力部13からのキー入力信号に応じて、メモリ22に予め記憶されている電卓制御プログラム(電卓binデータ22a)、あるいは外部のコンピュータ端末であるPC10から通信部25を介して書き替えられたメモリ22内の電卓制御プログラム(電卓binデータ22a)を起動させ、ワークエリア22bに必要に応じた作業用データを記憶させて回路各部の動作を制御する。
【0029】
前記メモリ22に記憶された電卓binデータ22aは、この関数電卓20の動作用プログラムを有するだけでなく、当該関数電卓20の機種コード、電卓binデータ22aのver.(バージョン)情報、前記PC10においてこの関数電卓20をエミュレーション動作させた場合に表示制御される当該関数電卓20の外観表示データ(GE)やキー表示データ(KB),キー配列データ(座標)などを含むエミュレータ動作用ファイルを有している。
【0030】
すなわち、前記関数電卓20のメモリ22に記憶された電卓binデータ22aと、前記PC10の記憶装置12に記憶された電卓エミュレータ(Managerプログラム)12bに含まれる電卓binデータ12b2とのデータ構造は同じであるが、機種コード、Ver.情報の違いによってエミュレータ動作用ファイルの内容が異なり、Ver.情報が違った場合には電卓動作用プログラムが異なり、機種コードが違った場合には電卓動作用プログラムだけでなく電卓外観表示データ(GE)やキー表示データ(KB),キー配列データ(座標)なども異なってくる。
【0031】
例えば教育現場において、関数電卓20を使用した関数計算の学習などを行う場合に、教師側ではPC10により電卓エミュレータ12bを起動させ、当該関数電卓20の操作手順や処理結果を生徒に示すことになるが、生徒が所有する関数電卓20とその機種やバージョンが違うと上手く説明ができない。このため、本実施形態のPC10にインストールされた電卓エミュレータ(Managerプログラム)12bは、関数電卓20とその機種やバージョンが違う場合に、それを一致させる管理機能(エミュレータ管理プログラム12b3)を有する。なお、このエミュレータ管理プログラム12b3は、必ずしも電卓エミュレータ(Managerプログラム)12bが有する必要はなく、同PC10内の記憶装置12に独立して記憶されてもよい。
【0032】
次に、前記構成の関数電卓エミュレータを搭載したPC10および関数電卓20において、当該PC10に搭載した電卓エミュレータ12bを、関数電卓20とその機種やバージョンを一致させるエミュレータ管理機能について説明する。
【0033】
図2は、前記PC10に搭載した電卓エミュレータ12bを関数電卓20の機種やバージョンに一致させる場合の動作イメージを示す図である。
【0034】
電卓エミュレータ12bにおいて、関数電卓20とその機種やバージョンの違いを一致させる必要があるのは、当該機種やバージョンの違いに応じて内容が異なる電卓binデータ12b2である。このため、PC10と関数電卓20とを接続した場合に、PC10内の電卓エミュレータ12bが有する電卓binデータ12b2に記述された機種コードおよびver.情報と、関数電卓20を動作させる電卓binデータ22aに記述された機種コードおよびver.情報とを比較し、一致しない場合には、何れか新しい機種コードおよびver.情報の電卓binデータ(例えば22a)に書き替える。こうすることで、教師側PC10における電卓エミュレータ12bによる動作と、生徒側の関数電卓20による動作とを、新しい方の機種やバージョンとして一致させることができる。
【0035】
図3は、前記電卓エミュレータ12bを搭載したPC10に関数電卓20を接続した際に、エミュレータ管理プログラム12b3に従いPC10にて初期表示されるエミュレータ管理メニューMを示す図である。
【0036】
このエミュレータ管理メニューMでは、[バージョン]の選択項目として、「電卓に合わせる」「Managerに合わせる」「最新版に合わせる」が設けられ、また、[機種データが無い場合の動作]として、「問い合わせる」「自動ロード」が設けられる。
【0037】
図4は、前記PC10内の電卓エミュレータ12bが有するエミュレータ管理プログラム12b3に従ったエミュレータ管理処理を示すフローチャートである。
【0038】
前記図1で示したように、電卓エミュレータ12bを搭載したPC10に関数電卓20を接続し、前記図3で示したように、エミュレータ管理メニューMにおいて[バージョン]の選択項目「最新版に合わせる」が選択されると、関数電卓20の電卓binデータ22aに記述された機種コードが読み込まれ、PC10内の電卓エミュレータ12bが有する電卓binデータ12b2に記述された機種コードとの一致(同機種)/不一致(異機種)が判断される(ステップS1)。
【0039】
ここで、PC10内の電卓エミュレータ12bが有する電卓binデータ12b2に記述された機種コードが、前記関数電卓20から読み込まれた電卓binデータ22aに記述された機種コードと一致し同機種であると判断された場合には、次に同関数電卓20の電卓binデータ22aに記述されたver.情報が読み込まれ、PC10内の電卓エミュレータ12bが有する電卓binデータ12b2に記述されたver.情報と新旧比較される(ステップS2)。
【0040】
ここで、PC10側のver.情報が、関数電卓20側のver.情報と同じであると判断された場合には、当該PC10内の電卓エミュレータ12bが有する電卓binデータ12b2は、前記関数電卓20の機種・バージョンと一致したことになるので、その更新は行われず、次のユーザ操作に応じたアプリケーション処理が実行される(ステップSA)。
【0041】
一方、前記ステップS2において、PC10側のver.情報が、関数電卓20側のver.情報より古いと判断された場合には、当該関数電卓20の電卓binデータ22aが読み込まれ、PC10内の電卓エミュレータ12bが有する電卓binデータ12b2と書き替えられて更新される(ステップS3)。
【0042】
これにより、PC10内の電卓エミュレータ12bが有する電卓binデータ12b2は、前記関数電卓20の新しいバージョンの電卓binデータ22aと一致したことになり、当該PC10内の電卓エミュレータ12bによる電卓動作を、前記関数電卓20の動作と全く同じに合わせることできる。
【0043】
また一方、前記ステップS2において、PC10側のver.情報が、関数電卓20側のver.情報より新しいと判断された場合には、当該PC10側の電卓binデータ12b2が読み出されて前記関数電卓20に送られ、当該関数電卓20が有する電卓binデータ22aと書き替えられて更新される(ステップS4)。
【0044】
これにより、PC10内の電卓エミュレータ12bが有する新しいバージョンの電卓binデータ12b2は、前記関数電卓20の電卓binデータ22aと一致したことになり、当該PC10内の電卓エミュレータ12bによる電卓動作を、前記関数電卓20の動作と全く同じに合わせることできる。
【0045】
一方、前記ステップS1において、PC10内の電卓エミュレータ12bが有する電卓binデータ12b2に記述された機種コードが、前記関数電卓20から読み込まれた電卓binデータ22aに記述された機種コードと不一致となり異機種であると判断された場合には、当該関数電卓20の電卓binデータ22aが読み込まれ、PC10内の電卓エミュレータ12bが有する電卓binデータ12b2と書き替えられて更新される(ステップS5)。
【0046】
これにより、PC10内の電卓エミュレータ12bが有する電卓binデータ12b2は、前記異機種である関数電卓20の電卓binデータ22aと一致したことになり、当該PC10内の電卓エミュレータ12bによる電卓動作を、前記関数電卓20の動作と全く同じに合わせることできる。
【0047】
図5は、前記PC10に搭載した電卓エミュレータ12bについて、後に順次機種変更された関数電卓20A,20Bに合わせて更新する場合の動作イメージを示す図である。
【0048】
先ず図5(A)に示すように、教師側で使用するPC10においてインストールされた電卓エミュレータ12bの対応機種が、初期購入時の関数電卓20(Defaultモデル)に対応している場合に、その電卓エミュレータ12bを起動させると、当該初期購入時の関数電卓20の外観である電卓エミュレーション画面GEが表示部17に表示される。
【0049】
この後、図5(B1)に示すように、新入生徒が購入した新たな機種の関数電卓20Aを前記教師側PC10に接続すると、当該PC10内の電卓エミュレータ12bが有する電卓binデータ12b2は、接続された新たな機種の関数電卓20Aから読み込まれた電卓binデータ22aに書き替えられて更新一致される。このため、図5(B2)に示すように、PC10において前記電卓binデータ更新後の電卓エミュレータ12bを起動させると、前記新入生徒が購入した新たな機種の関数電卓20Aの外観である電卓エミュレーション画面GEが表示部17に表示されてエミュレーション処理される。
【0050】
さらにこの後、図5(C1)に示すように、次の新入生徒が購入した最新機種の関数電卓20Bを前記教師側PC10に接続すると、当該PC10内の電卓エミュレータ12bが有する電卓binデータ12b2は、接続された最新機種の関数電卓20Bから読み込まれた電卓binデータ22aに書き替えられて更新一致される。このため、図5(C2)に示すように、PC10において前記電卓binデータ更新後の電卓エミュレータ12bを起動させると、前記新入生徒が購入した最新機種の関数電卓20Bの外観である電卓エミュレーション画面GEが表示部17に表示されてエミュレーション処理される。
【0051】
図6は、前記PC10に搭載した電卓エミュレータ12bについて、その電卓機種が初期バージョンの関数電卓20ver1に対応している場合に、その後に順次異なるバージョンの関数電卓20ver2,20ver1に合わせて更新した状態での動作イメージを示す図である。
【0052】
先ず図6(A)に示すように、教師側で使用するPC10においてインストールされた電卓エミュレータ12bの対応機種が、初期バージョンの関数電卓20ver1に対応している場合に、その電卓エミュレータ12bを起動させると、当該初期バージョンの関数電卓20ver1の外観である電卓エミュレーション画面GEが表示部17に表示される。
【0053】
この後、図6(B1)に示すように、新入生徒が購入した第2バージョンの関数電卓20ver2を前記教師側PC10に接続すると、当該PC10内の電卓エミュレータ12bが有する電卓binデータ12b2は、接続された第2バージョンの関数電卓20Aから読み込まれた電卓binデータ22aに書き替えられて更新一致される。このため、図6(B2)に示すように、PC10において前記電卓binデータ更新後の電卓エミュレータ12bを起動させると、前記第2バージョンの関数電卓20ver2に応じた電卓エミュレーション画面GEが表示部17に表示されてエミュレーション処理される。
【0054】
さらにこの後、図6(C1)に示すように、以前より教師が使用している前記初期バージョンの関数電卓20ver1を前記教師側PC10に接続すると、当該PC10内の電卓エミュレータ12bが有する電卓binデータ12b2は、接続された初期バージョンの関数電卓20ver1から読み込まれた電卓binデータ22aに再び書き替えられて更新一致される。このため、図6(C2)に示すように、PC10において前記電卓binデータ更新後の電卓エミュレータ12bを起動させると、元の第1バージョンの関数電卓20ver1に応じた電卓エミュレーション画面GEが表示部17に表示されてエミュレーション処理される。
【0055】
したがって、前記構成の関数電卓エミュレータを搭載したPC10および関数電卓20において、当該PC10に搭載した電卓エミュレータ12bを、関数電卓20とその機種やバージョンを一致させるエミュレータ管理機能によれば、PC10に関数電卓20を接続すると、PC10内の電卓エミュレータ12bが有する電卓binデータ12b2に記述された機種コードおよびバージョン情報について、接続先の関数電卓20の電卓binデータ22aから読み込まれた機種コードおよびバージョン情報との同一性が判断される。そして、PC10内の電卓エミュレータ12bに対し、前記接続された関数電卓20の機種コードあるいはバージョン情報が異なると判断された場合には、例えば最新機種あるいは最新バージョンに合わせるように、関数電卓20の電卓binデータ22aがPC10に読み込まれて当該PC20内の電卓エミュレータ12bの電卓binデータ12b2が書き替えられて更新一致される。またはPC10内の電卓エミュレータ12bから読み出された電卓binデータ12b2が関数電卓20に送られて当該関数電卓20内の電卓binデータ22aが書き替えられて更新一致される。このため、例えば教育現場において、教師側のPC10により電卓エミュレータ12bを起動させ、関数電卓20の操作手順や処理結果を生徒に示し学習させる場合に、生徒が所有する関数電卓20とその機種やバージョンを容易に一致させることができ、違和感のない学習指導を行うことができるようになる。
【0056】
また、前記構成のPC10に搭載した電卓エミュレータ12bにおいて、外部の関数電卓20とその機種やバージョンを一致させるエミュレータ管理機能によれば、PC10に関数電卓20を接続した際に、当該PC10の表示部17にエミュレータ管理メニューM(図3参照)を表示させ、教師が使用するPC10内の電卓エミュレータ12bを生徒が使用する関数電卓20のバージョンに合わせて更新一致させるか、逆に、生徒が使用する関数電卓20を教師が使用するPC10内の電卓エミュレータ12bのバージョンに合わせて更新一致させるか、あるいは何れか最新バージョンに合わせて更新一致させるかを、ユーザ操作に応じて選択できる。
【0057】
なお、前記実施形態において記載したPC10内の電卓エミュレータ12bが有するエミュレータ管理プログラム12b3による各処理の手法、すなわち、図4のフローチャートに示すエミュレータ管理処理などの各手法は、何れもコンピュータに実行させることができるプログラムとして、メモリカード(ROMカード、RAMカード等)、磁気ディスク(フロッピディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の外部記憶媒体(18)に格納して配布することができる。そして、電卓エミュレータ12bをインストールしたPC10などのコンピュータは、この外部記憶媒体(18)に記憶されたプログラムを内部メモリ(12)に読み込み、この読み込んだプログラムによって動作が制御されることにより、前記実施形態において説明した電卓エミュレータ管理機能を実現し、前述した手法による同様の処理を実行することができる。
【0058】
また、前記各手法を実現するためのプログラムのデータは、プログラムコードの形態として通信ネットワーク(インターネット)N上を伝送させることができ、この通信ネットワーク(インターネット)Nに接続されたコンピュータ端末(WEBサーバ30)から前記のプログラムデータを取り込み、前述した電卓エミュレータ管理機能を実現することもできる。
【0059】
なお、本願発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、前記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されたり、幾つかの構成要件が異なる形態にして組み合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施形態に係るエミュレータ管理システムにより管理される関数電卓エミュレータを搭載したPC10および関数電卓20の電子回路の構成を示すブロック図。
【図2】前記PC10に搭載した電卓エミュレータ12bを関数電卓20の機種やバージョンに一致させる場合の動作イメージを示す図。
【図3】前記関数電卓エミュレータを搭載したPC10に関数電卓20を接続した際に、エミュレータ管理プログラム12b3に従いPC10にて初期表示されるエミュレータ管理メニューMを示す図。
【図4】前記PC10内の電卓エミュレータ12bが有するエミュレータ管理プログラム12b3に従ったエミュレータ管理処理を示すフローチャート。
【図5】前記PC10に搭載した電卓エミュレータ12bについて、後に順次機種変更された関数電卓20A,20Bに合わせて更新する場合の動作イメージを示す図。
【図6】前記PC10に搭載した電卓エミュレータ12bについて、その電卓機種が初期バージョンの関数電卓20ver1に対応している場合に、その後に順次異なるバージョンの関数電卓20ver2,20ver1に合わせて更新した状態での動作イメージを示す図。
【図7】関数電卓のエミュレータをPC上で機能させた場合の動作画面を示す図。
【符号の説明】
【0061】
10 …PC(Personal Computer)
10A…コンピュータ本体
11 …CPU(PC)
12 …記憶装置
12a…OS(Operation System)
12b…電卓エミュレータ
12b1…ハードウエアエミュレータ
12b2…電卓bin(binary)データ
12b3…エミュレータ管理プログラム
12c…文書作成プログラム
12d…表計算プログラム
13 …RAM
14 …記憶媒体読み書き部
15 …通信部(PC)
16 …入力部
17 …表示部(PC)
18 …外部記憶媒体
20、20A、20B、20ver1、20ver2…関数電卓
21 …CPU(電卓)
22 …メモリ
22a…電卓binデータ
22b…ワークエリア
23 …キー入力部
24 …表示部(電卓)
25 …通信部(電卓)
30 …WEBサーバ
M …エミュレータ管理メニュー
GE …電卓エミュレーション画面
KB …電卓キーボード
DP …電卓ディスプレイ
GL …キーログ画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器のエミュレータを記憶したパーソナル・コンピュータにおいて当該エミュレータを管理するためのエミュレータ管理システムであって、
前記電子機器が接続された際に、当該電子機器と前記エミュレータとの同一性を判断する同一性判断手段と、
この同一性判断手段により前記接続された電子機器とエミュレータとの同一性が無いと判断さたれ場合には、前記電子機器または前記エミュレータの何れか一方の動作プログラムに基づき他方の動作プログラムを更新させるプログラム更新手段と、
を備えたことを特徴とするエミュレータ管理システム。
【請求項2】
前記プログラム更新手段は、ユーザ操作に応じて、前記電子機器または前記エミュレータの何れか一方に合わせるかを選択するユーザ選択手段を有し、このユーザ選択手段による選択に応じて、前記電子機器または前記エミュレータの何れか一方の動作プログラムに基づき他方の動作プログラムを更新させる、ことを特徴とする請求項1に記載のエミュレータ管理システム。
【請求項3】
前記ユーザ選択手段は、ユーザ操作に応じて、前記電子機器または前記エミュレータの何れか新しい方に合わせることを選択する選択手段であって、前記プログラム更新手段は、前記選択手段による選択に応じて、前記電子機器または前記エミュレータの何れか新しい方の動作プログラムに基づき古い方の動作プログラムを更新させる、ことを特徴とする請求項2に記載のエミュレータ管理システム。
【請求項4】
電子機器のエミュレータを記憶したパーソナル・コンピュータを制御して当該エミュレータを管理するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記電子機器が接続された際に、当該電子機器と前記エミュレータとの同一性を判断する同一性判断手段、
この同一性判断手段により前記接続された電子機器とエミュレータとの同一性が無いと判断さたれ場合には、前記電子機器または前記エミュレータの何れか一方の動作プログラムに基づき他方の動作プログラムを更新させるプログラム更新手段、
として機能させるようにしたコンピュータ読み込み可能なプロクラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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