説明

エラストマー成分を有する多元繊維及びそれから形成された結合構造体

エラストマー多元繊維及びエラストマー多元繊維から作られた結合繊維構造体を開示する。エラストマー多元繊維は熱可塑性重合体コア材料、及びコア材料を取り巻くエラストマー重合体さや材料を包含できる。結合繊維構造体は、接触点から空間を離れて互いに結合した複数の繊維を包含し、少なくとも一部の繊維は少なくとも1のエラストマー繊維成分を有する多元繊維であり得る。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
この出願は、米国仮出願No.60/664,032号「エラストマー2元繊維及びそれから形成された結合構造体」(2005年3月22日出願)及び米国仮出願No.60/737,342号「エラストマー2元繊維から形成されたインク貯蔵器」(2005年11月16日出願)の優先権を主張し、引用によってその全体を編入する。
【0002】
技術分野
本発明は、一般的に多元繊維及び結合繊維構造体(structure)の分野に関する。特に、本発明は、少なくとも1繊維成分がエラストマーである多成分繊維及びそのようなエラストマー繊維からなる三次元自己支持性結合繊維構造体を指向する。
【0003】
背景技術
多元繊維には、製造法と同様に多くの形態と方法がある。2元繊維は、典型的には融解紡糸技術(通常の融解紡糸、融解ブロー、スパンボンド(spun bond)及び他の溶融紡糸法を含む)によって製造される。2元繊維は、サイドバイサイド構造、中心(centric)さや−コア構造、中心を外れた(acentric、例えば自己捲縮)さや−コア構造で製造され得る。これは連続フィラメント又はステープル形態及び/又はウエブ又はトウに集めて用い得る。これは単独で又は混合繊維システムの部分として製造できる。
【0004】
多元繊維は、織物及び不織布又は構造体及び結合又は非結合構造体を含むがこれに限られることなく、各種の用途に用い得る。このような繊維で形成される多孔性、結合(bonded)構造体は、流体保存及び流体取扱い用途に優れた明確な利点を有する。このような結合繊維構造体は、各種の処方の液体をとり及びそれらを制御して放出することを示す。これらの構造体の典型的な用途は、筆記具用のニブ、筆記具用のインキ貯蔵部及び/又はインクジェットプリンターカートリッジ、広範囲の装置及び用途のウイック(wicks)、デプスフィルター、及びそのような構造の特性が利点を示す他の用途である。
【0005】
更に、結合繊維構造体は、各種医療用及び/又は診断用用途、例えば試験場所又は診断用装置に毛細管作用で体液を移送する用途を見出し得る。繊維状製品の他の用途は吸収貯蔵器、おしめ又は失禁パッドとして液体をとる及び単に保持するのに適した製品としてである。結合繊維構造体の更に他の用途は濾過要素としての使用を含む。濾過要素としての用途の有利な特徴は気体又は液体が繊維フィルターを通過する場合に微細な粒子状物の補足用に有効な曲がった隙間通路を提供する能力を含む。
【0006】
米国特許第5,607,766号、第5,620,641号、第5,633,082号、第6,103,181号、第6,330,883号、及び第6,840,692号に記載されているように、その全体を引用によってここに導入するが、結合繊維構造体の多くの形態及び使用、同様に多くの製造方法がある。一般に、このような結合繊維構造体は、接触点で互いに結合した高度分散した繊維の相互連結ネットワークを包含する熱可塑性繊維材料のウエブで形成される。これらのウエブは実質的に自己支持性(self-sustaining)、三次元多孔性成分及び構造体に形成され、これらは各種の大きさ及び形で製造され得る。
【0007】
結合繊維構造体の有利な特性の多くが、これらの構造体が形成される繊維に用いられる材料から生じる。上記の特許は、三次元結合構造体に用いる繊維を形成するために用いられる広範囲の重合体材料を記載している。然し、これらの構造体は弾力又は貫通性が求められる一定の用途には適しないことがしばしばである。従って、弾性のある結合繊維構造体を製造するのに用い得る繊維の必要性がある。
【0008】
発明の概要
本発明の観点は、1以上のエラストマー成分を有する多元繊維及びこれらの繊維から形成された結合繊維構造体を含む。本発明の特定の観点は、熱可塑性重合体コア材料及びコア材料を取り巻くエラストマー重合体さや材料を包含する、さや−コア多元繊維を提供する。本発明の他の観点は、熱可塑性重合体を包含する第1成分及びエラストマー重合体材料を包含する第2成分を包含する融解ブロー多元繊維を提供する。本発明の更に他の観点は接触点から空間を離れて互いに結合した複数の繊維を包含し、繊維の少なくとも一部は少なくとも1のエラストマー繊維成分を有するものを提供する。
【0009】
上記の一般的説明及び以下の詳細な説明は例示であり及び例示のみであり、本発明を制限するものではない。添付する図面は明細書の一部を構成し、発明の特定の態様を説明し、詳細な説明と共に、本発明の原則の説明に役立つ。
【0010】
図面の簡単な説明
本発明の理解を助けるために、添付図面を参照する。同一の参照符号は同一の要素を参照する。図面は例示のみであり、本発明を限定するものと解すべきではない。
【0011】
図1は、本発明の若干の態様による中心的さや−コア二元繊維の断面図である。
【0012】
図2は、本発明の若干の態様による中心を外れたさや−コア二元繊維の断面図である。
【0013】
図3は、本発明の若干の態様によるサイドバイサイド二元繊維の断面図である。
【0014】
図4は、本発明の若干の態様による多元繊維の断面図である。
【0015】
図5は、本発明の若干の態様による多元繊維の断面図である。
【0016】
図6は、本発明の若干の態様による結合繊維構造体の製造ラインの概要図である。
【0017】
図7は、本発明の若干の態様による結合繊維構造体の製造方法を示すブロックダイアグラムである。
【0018】
図8は、本発明の態様によるエラストマーさや成分を有するさや−コア繊維の断面の写真図である。
【0019】
本発明の詳細な説明
本発明の詳細な態様を説明する。例は添付図面に記載されている。
【0020】
本発明の態様は、弾性(resilient)結合繊維構造体を形成するために用い得る1以上のエラストマー成分を有する多元(multicomponent)繊維を提供する。ここに用いられる「多元繊維」の語は、異なる特性及び/又は異なる化学的性質を有する重合体材料で形成された2以上の別個の成分を有する繊維を意味する。二元(bicomponent)繊維は多元繊維の特定のタイプである。ここで用いられるように、「二元繊維」の語は、異なる特性及び/又は異なる化学的性質を有する重合体材料から一体に(integrally)形成された2以上の成分を有する繊維をいう。二元繊維の他の形態は可能であるが、最も通常のタイプは、2つの重合体成分の間に「サイドバイサイド(side by side)」又は「さや(sheath)−コア」関係で一体に形成される。例えば、1の重合体のコア及び異なる重合体の被覆又はさやを包含する二元繊維が多くの用途に望ましい。コア材料が相対的に廉価であり、かさ高く、かつ強度を提供するからであるが、より高価だが独特のさや材料の相対的に薄い層が繊維に独特の特性を、特に結合に関して、提供する。
【0021】
ここで用いるように、「エラストマー成分多元繊維」又は「ECM繊維」の語は、少なくともエラストマー材料を包含する少なくとも1の成分を有する多元繊維を意味する。「エラストマー成分二元繊維」又は「ECB繊維」の語は、エラストマー材料を包含する少なくとも1成分を有する二元繊維を意味する。ここで用いられるように「エラストマー材料」の語は実質的な変形及び応力の解放後に初期ディメンジョン及び形態に迅速に戻る高分子材料をいう。
【0022】
ここで用いるように、「流体(fluid)」の語は、液体又は気体に限られずに含む互いに分子が自由に動く物質を意味する。ここで用いる「流体」の語は多相でもあり得、液体又は気体に懸濁する粒子状物をも含み得る。
【0023】
特定の用途用の構造を求めるために、本発明者は弾性(resilient)特性が結合繊維構造体に大いなる利点を利用し得るECM繊維を製造する方法を開発した。例えば、結合繊維構造体はエラストマーである第1成分及び非エラストマー性であるか又は第1成分とは異なる物理的及び/又は熱的性質を有するエラストマー性である第2成分を有する繊維から形成され得る。これらの繊維は、エラストマー成分が互いに及び他の繊維材料と接合でき、弾性のある多孔性構造を形成する場合に特に価値がある。
【0024】
本発明の態様は、種々の形態のECM繊維を提供する。若干の態様では、エラストマー第1成分は露出表面を有し結合材料としてサイドバイサイド繊維配置の一成分として又はさや/コア配置におけるさや成分として二重になる。より詳しく説明するように、本発明の態様におけるECM繊維は、(i)さやはエラストマー材料からなり、コアは非弾性材料からなるさや−コア多元繊維;(ii)さや及びコアは両者がエラストマー材料からなり、さや材料とは異なる物理的及び/又は熱的特性を有するコア材料である、さや−コア多元繊維;(iii)一成分がエラストマー材料からなる融解ブローサイドバイサイド二元繊維;及び(iv)両成分がエラストマー材料からなり、かつ及び1成分は他とは異なる物理的及び/又は熱的特性を有する融解ブロー二元繊維を包含する。
【0025】
一定のECM繊維が過去に製造されていたことは理解されよう。然し、これらは(a)コア材料がエラストマーであり、かつさや材料が実質的に非弾性性であった、及び(b)定法の紡糸サイドバイサイド二元繊維に限られていた。重要なのは、これらの繊維のいずれも結合繊維構造の製造に用いられていないことである。
【0026】
対照的に、本発明のECM繊維の多くが結合繊維構造体に特に適している。図1〜5に関して、本発明によるECM繊維態様の種々の例を詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の例示的なエラストマー成分二元繊維(ECB繊維)を説明する。この態様では、繊維は熱可塑性エラストマーを包含するさや成分110で囲まれたコア成分120を有するさや/コア二元繊維100として形成される。
【0028】
さや成分としてエラストマーの使用は、相互に及び他の繊維に結合するエラストマー材料において特に有利である。結合したときに、本発明のさや−コアECB繊維のコア成分は繊維に強度と安定性を提供するが、エラストマーさや成分は結合している他の繊維に対して繊維が伸張することを許容する。この伸張できる結合は、通常のさや−コア繊維を用いて達成できない結合構造に弾性を提供する。
【0029】
本発明のECB繊維のさや対コア比は、特定の材料、繊維の用途及び製造方法に応じて適合できる。典型的なさや対コア比は10:90から90:10の範囲にできる。特定の態様では、さや対コア容積比は25:75から40:60の範囲にできる。
【0030】
ECB繊維100は、同中心のさや−コア繊維、即ち、さや及びコアは実質的に同心円断面を有する。本発明による他のECB繊維は、図2に示されるECB繊維200で例示される中心を逸れたさやコア繊維として形成できる。中心を逸れたさやコアECB繊維200はエラストマー材料を包含する第1成分210及び第2成分220を有する。この繊維では、第1及び第2成分は断面では実質的に円状であるが、その中心がずれている。この配置は、より高く、よりかさ高く、より弾性的なウエブの製造を容易にする自己捲縮繊維の製造に用い得る。
【0031】
本発明の融解ブローECB繊維は、図3に示されるようにECB繊維300によって例示されるサイドバイサイド配置で形成され得る。さやコア繊維100のように、サイドバイサイド繊維300はエラストマーを包含する第1成分及び第2成分320を有する。サイドバイサイド配置はエラストマー成分の表面の少なくとも一部が露出されて他の繊維と延長可能な結合することを確保する。
【0032】
本発明のECM繊維は2元繊維に限られないことは理解されよう。例えば、図4は、1以上がエラストマー材料を包含し得る成分410、420,430を有する本発明によるECM繊維400を示す。
【0033】
ECMさや−コア繊維は2以上の成分でも製造し得る。図5に関して、ECM繊維500は、エラストマー材料を包含するさや成分510、中間成分520、及びコア成分530を包含する。同様な繊維は中心を外れた成分で製造できる。
【0034】
さや−コアECM繊維100、200、500のコア成分120、220、530、サイドバイサイドECM繊維300の第2成分320及びサイドバイサイドECM繊維400の第2及び第3成分420、430は非エラストマーであり得、又は第1成分110、210、310、410、510のエラストマー材料とは異なる材料及び/又は熱的特性を有するエラストマー材料を包含し得る。若干の態様において、コア成分120、220、530及びサイドバイサイド成分320、420、430は結晶性又は半結晶性重合体を包含し得る。このような重合体はポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、高密度ポリエチレン、及びナイロン6及びナイロン66のようなポリアミドを含み得るが、それらに限られない。
【0035】
本発明のECM繊維の各種エラストマー成分は任意のエラストマー材料を包含できる。適当な熱可塑性エラストマーはポリウレタン、ポリエステル共重合体、スチレン共重合体、オレフィン共重合体、又はこれらの材料の任意の組合せを含むが、これらに限られない。特に熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ウレア、エラストマー又はプラストマーポリプロピレン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリクロロプレン、ブタジエン−アクリロニトリル、エラストマーブロックオレフィン共重合体(スチレン−イソプレン−スチレンのような)、エラストマーブロックコ−ポリエーテルポリアミド、エラストマーブロックコポリエステル、及びエラストマーシリコーンを用い得る。
【0036】
熱可塑性ポリウレタンは、ECM繊維を製造するのに結合繊維構造体に用いるのに特に適していることが示された。ここに用いられるように、「熱可塑性ポリウレタン」又は「TPU」の語は、ソフト及びハードセグメントからなる線状セグメントブロック重合体を包含し、ハードセグメントは芳香族又は脂肪族及びソフトセグメントは線状ポリエーテル又はポリエステルである。TPUの定義する化学はジイソシアネートであり、これは短鎖ジオールと反応して線状ハード重合体ブロックを形成する。芳香族ハードセグメントブロックは通常芳香族ジイソシアネート、最も一般にはMDI(4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート)に基づく。脂肪族ハードセグメントブロックは一般に脂肪族ジイソシアネート、とくに一般には水素化MDI(H12MDI)に基づく。一般に用いられる線状ポリエーテルソフトセグメントブロックはポリ(ブチレンオキサイド)ジオール、ポリ(エチレンオキサイド)ジオール及びポリ(プロピレンオキサイド)ジオール又は異なるグリコールの反応生成物を含む。一般に用いられる線状ポリエステルソフトセグメントブロックは、アジピン酸及び短い炭素鎖のグリコールのポリ縮合生成物である。ポリカプロラクトンも用い得る。一般に、エーテルベースのTPUは熱、湿気、酸性、又は塩基性環境により抵抗性であるが、エステルベースのTPUは一般に一層耐油性であり、及び典型的に一層大きい機械的強度を有する。
【0037】
熱可塑性ポリウレタンは一般にDupont(R)、Bayer(R)、Dow(R)、Noveon(R)及びBASF(R)のような供給者から市場で入手できる。
【0038】
ECM繊維に用いるために選択された特定のエラストマー材料は、繊維から形成された結合繊維構造に必要な紡糸能、結合能、及び弾性能及び結合繊維構造の使用に関する他の特性を含む各種の因子に左右される。特定のエラストマー材料は、例えば、相対的疎水性又は親水性に基づいて又は結合繊維構造と相互作用が予測される液体又は他の材料との適合性に基づいて選び得る。
【0039】
一般に、ECM繊維成分材料は、少なくとも部分的に製造工程を通して接着する能力に基づいて、及び、後に結合繊維構造体への形成に際して選定できる。製造されたECM繊維成分組合せの典型的な例は、TPU/ポリプロピレン、TPU/ナイロン、TPU/ポリエステル、TPU/ポリブチレンテレフタレート、及びTPU/ポリエチレンテレフタレートを含む。製造されたECM繊維成分組合せは、エチレンポリプロピレン共重合体エラストマー/ポリプロピレン、エチレンポリプロピレン共重合体エラストマー/ポリイソブチレンテレフタレート、及びエチレンポリプロピレン共重合体エラストマー/ナイロン6を含む。
【0040】
上記のECM繊維の態様について、繊維の統合性が製造工程の全体を通して維持されるように注意をすることが必要である。後述するように、本発明の繊維は数種の方法のいずれかを用いて製造できる。然し、製造方法とは関係なく、実現可能な繊維が製造できることを確保するために、特定の方法の因子は使用する特定の材料に適合させなければならない。さや-コアECM繊維においては、例えば、工程因子はコアを完全に包囲することを確保し、かつ、さやがコアに接着することを確保しなければならない。
【0041】
本発明のECM繊維は、制限なく通常の融解紡糸、融解ブロー及び融解ボンド法を含む多元繊維の製造に典型的に用いられる技術を用いて製造できる。用いられる特定の方法は、重合体の特性及び/又は所望の特性及び生成する繊維の用途によって示されることが多い。
【0042】
ECM繊維を製造するのに他の方法も用い得るが、一般に融解紡糸技術、及び特に融解ブロー技術が、本発明のECM繊維の製造に高度に成功的であることが判った。融解紡糸法において、融解重合体は紡糸口に送られ圧力下に紡糸口金から多数の連続繊維に押出される。融解紡糸技術は一般に一成分及びサイドバイサイド又はさや-コア多元繊維を作るのに用いられる。鞘-コア多元繊維は中心又は中心を外れた融解紡糸法に用いられる。
【0043】
押出し後に、繊維は細くされて直径を減少できる。繊細化は、押出し速度より速い速度で紡糸器から繊維を引出すことによって行われえる。若干の方法では、これは押出し速度より速い速度で回転するロールで取り上げて行うことができる。他の方法では、繊維は異なる速度で操作する引張ロールで単に後引きすることができる。重合体材料の特性に応じ、この方法で繊維を延伸して重合体鎖を配向し、繊維の物理特性を調整する。
【0044】
融解紡糸法の特定の形態において、繊細化は押出し時に熱空気流で繊維を打つことによって達成される。この方法は典型的には融解ブローといわれ、製造された繊維は融解ブロー繊維といわれる。融解ブローにおいては、高速、典型的に高温、ガス流を繊維押出し口で適用して繊維が融解状態にある間に微細化するか又は繊維を延伸する。融解ブロー法は、米国特許第3,595,245号、第3,615,995号及び第3,972,759号に詳細に記載され、その全体を引用によって挿入する。
【0045】
融解ブローの使用を通して、本発明のECM繊維は、凡その直径が約1ミクロンから約50ミクロンの範囲ので製造できる。比較的には、通常の融解紡糸は約15ミクロンから約200ミクロン又はより大きい範囲のECM繊維の製造に用い得る。融解紡糸も繊維及び/又はそれから形成されるウエブに方法関連特性に作用する能力をも提供できる。例えば、冷空気流又は水噴霧は融解ブロー繊維の押出し又は微細化の方向を横切って向け得る。冷却水又は水噴霧は繊維を冷却してもつれを向上するが、処理においてこの点で互いに繊維の結合を最小にし、それによって繊維状物のふわふわ特性を保持し及びを生産性を向上する。若干の二元繊維で、押出しの直後の繊維の冷却は、成分材料の1以上の結晶化を防ぎ得る。成分材料の相対的特性により、これは1以上の結晶成分及び1以上の無定形成分を有する繊維を製造し得る。例えば米国特許第5,607,766号に記載されているようにさや-コア繊維において、さや材料の冷却は結晶コア及び無定形さやを有する繊維を製造できる。非結晶特性の保持はさや材料の結合力を保持できる。
【0046】
上述したように、融解温度、融解粘度、メルトフロー、及び融解圧力のような特定の処理因子はECM繊維の製造に用いられる特定の材料に合せることができる。これらの因子は異なる繊維成分について異なり得る。然し、Berger’766特許に記載されているように、繊維成分を選定する場合に類似したメルトインデックスの材料を選択することが望ましい。Berger’766特許に記載されているように、1以上の繊維成分材料の粘度は融解押出し法との適合を確保するように調整できる。他の因子も一貫した一体性の繊維を製造するようにも調整できる。
【0047】
押出し及び微細化の後に、本発明のECM繊維は種々の方法で集め又は更に処理できる。若干の方法において、連続繊維は延伸し、及びフィラメントヤーンの場合はボビン又は包装にとり、又はトウに一緒にし及びステープルファイバーに切断する。ECM繊維の連続トウは、結合繊維構造体に後処理することもできる。ステープルECM繊維は不織織物又はウエブに形成できる。これらも結合繊維構造体に後に処理できる。
【0048】
他の方法では、ECM繊維は互いに沈積され、及び緩やかに結合した繊維ウエブに直ちに形成され又は形成されない。これは、これはコンベヤーベルトのような移動表面上にランダムに分散したもつれたウエブに押出し繊維を沈着して行われる。ウエブは後の使用のために回収され得るか又は結合繊維構造体の形成用の直列処理システムに直接延伸できる。
【0049】
若干の方法では、一般にステープル繊維は、同一のオリエンテーションで横たわる繊維を有するウエブを達成するためにカードできる。
【0050】
米国特許第6,814,911号(これは引用によって全体として挿入する)に記載されているように、繊維ウエブ及びそれから形成された製品は、製造中に繊維状ウエブに添加物の配合を求めることもあり、又はそれによって向上する。従って、特定の濃度の界面活性剤又は他の化学品を、例えばマーク又は筆記具又はインクジェット貯蔵器の形成に用いられるECM繊維ウエブに添加できる。これらの添加物は繊維の表面特性を変性して特定のインク処方との吸収性及び/又は親和性を向上させる。各種の医学用途に用いられるウイッキング(wicking)材料もモノクローン抗体のような活性成分の溶液で処理して通過する材料と相互作用させることができる。同様に、ウエブに特定の特性(例えば、吸収性の増大)を生じさせるために微粒子物を繊維状ウエブに接着させ得る。
【0051】
本発明によるECM繊維を包含するウエブは単一繊維タイプで形成できる。即ち、全ての繊維が実質的に同一の成分幾何学及び材料を包含する。或いは、ECM繊維を包含する二方式性(bimodal)ウエブは米国特許第6,103,181号に記載された方法を用いて形成できる。二方式性ウエブは異なるタイプ、材料及び/又は配置の繊維の組合せから形成されるウエブである。例えば、第1繊維のタイプは、さや材料がエラストマーでありかつコアが非エラストマーであり、及び第2繊維タイプはエラストマー又は非エラストマー単元繊維である。若干の態様では、ウエブは、コア材料がエラストマーでありかつさやが非エラストマーであるエラストマーさやコア二元繊維である第1繊維タイプ及び二元繊維のコアと同一のエラストマーから形成される単元繊維である第2繊維タイプを包含できる。他の態様では、ECM及びエラストマー成分のない多元繊維を交代して形成し得る。これらの態様のいずれにおいても、二方式性繊維コレクションは一のタイプの繊維が互いに及び他のタイプの繊維との結合に用いられる結合ウエブの形成に用い得る。
【0052】
本発明のECM繊維は束ねた個別繊維、連続繊維、トウ、移動又は軽く結合した不織ウエブ又はシートの形態で集め得ることが上記から判る。これらのいずれかの形態に集められた繊維は更にシート又は多孔性3次元構造のような結合繊維物品に処理し得る。これらの結合した繊維物品を形成するために用いられた方法は、ECM繊維が集められた形態、結合構造体の所望の幾何学及び/又は物理的特性、及び繊維の構成材料に依存し得る。
【0053】
本発明により集められたECM繊維の結合可能なウエブは、回復可能な弾性特性を有する本質的に2次元不織布を形成するために用い得る。後に詳述するように、これらのウエブは結合した2次元3次元構造体を得るために用い得る。或いは、繊維はニードルパンチに付すことができ、多くの針は繊維を通って押し、維持できるようなウエブを生じる方法で繊維がもつれるようにする。繊維は水でもつれさせる(hydro-entangled)こともできる。維持できるウエブは次いで巻き上げることもでき、又は別に集め及び更なる処理のために調製する。
【0054】
若干の処理態様では、ウエブ、束にした繊維又はトウの形態のECM繊維は結合繊維物品を製造するために連続処理ラインに送り得る。ここで、繊維は加熱されて繊維の間に結合を確立し及び所望の断面を形成する。所望であればかつ提供される形態に応じて、繊維は機械的に捲縮され又は連続形成法の間に(例えば、繊維を延伸し及び次いで緩めて)自己捲縮が導入され得る。更に、若干の態様では、ECM繊維から形成される自己保持ウエブは後延伸されてより弾性的な捲縮を機械方向に沿って形成できる。追加の捲縮は高く、嵩だかく、かつより弾性的な基体を形成するのに役立つ。
【0055】
図6は本発明の特定の態様による全体的処理ライン600の概略図である。この態様では、ECM繊維自体は、繊維を3次元自己支持性結合繊維構造体に処理するのに用いられる装置で直列に製造される。図示された直列法は若干の利点を有するが、本発明はそのように限定されると理解すべきではなく、かつ前述したように本発明のECM繊維及びウエブは別個に製造し、集め及び処理できる。
【0056】
図6の処理ライン600は、繊維紡糸及びウエブ形成部分610及び結合/形成部分650を含む。ウエブ形成部610は本発明の態様に従ってECM繊維630を製造するように配置された紡糸機620を含む。繊維紡糸機620は複数の繊維を製造するために複数の押出機を用い得る。各繊維は繊維成分の数に応じて複数の押出機を用い得る。繊維紡糸機620は上記融解ブロー技術を介して繊維の製造用に配置し得る。各繊維は繊維成分の数に応じて複数の押出機を有し得る。繊維紡糸機620は上述した融解ブロー技術を介して繊維の製造に配置し得る。繊維紡糸機620はコンベヤーベルト640上に又は繊維630がランダムに分散してもつれたウエブ632を形成する他の移動表面にECM繊維630を沈積する。このウエブ632は後の微細化又は捲縮誘導処理なしで直接処理に適した形態であり得る。然し、若干の態様で、ウエブ632はウエブのかさ又はロフトを変化するために選択した予め定めた割合で延伸できる。
【0057】
処理ライン600の結合/形成部650は、ニップロール620又はベルト640からウエブ632を延伸するための他の機構を包含できる。結合/形成部650は繊維材料632が通過する加熱帯660を含み得る。加熱帯660は互いに接触する点でウエブにおいて繊維の接合を容易にする所望の温度、典型的には、少なくとも1の繊維成分の融解又は軟化温度を超える温度に、繊維材料を加熱するための各種の機構を含み得る。特定の態様では、加熱帯660はさや-コアECB繊維の例えば弾性さや材料のような弾性繊維成分の融解又は軟化温度を超える温度に繊維を加熱するように配置する。加熱帯660の加熱機構は輻射熱、熱空気又はスチームの源を含むが、それに限られない。加熱機構は、オーブン又は若干の態様では、加熱機構として役立つだけではなく、ウエブが所定の断面を取るようにする加熱ダイを含み得る。
【0058】
繊維成分の1以上を融解又は軟化するに十分の温度に繊維材料が熱せられると、繊維材料の冷却に配置された冷却帯670を通って通過でき、及び加熱帯に設立された帯を固化し、それによって自己支持性結合繊維構造体634を生じる。冷却帯670は相対的に冷たい空気又は水の適用を含む今結合した繊維材料を冷却するための任意の各種冷却機構を包含できる。若干の態様では、冷却帯は単に周囲空気を通して結合繊維材料の通過を許容する。若干の態様では、冷却帯670は繊維材料が強制される冷却ダイを含むことができ、それによって結合した材料が特定の断面を永久にとれるようにする。若干の態様では、結合/形成部650はマルチプルダイを通って繊維材料が通過するように配置され、その1以上は加熱帯660に及びその1以上は冷却帯670に配置され得る。
【0059】
処理ラインは結合繊維構造体634が所望の長さに切断され得る切断所(図示しない)をも含み得る。
【0060】
図7は、図6の処理ライン600を用いてECM繊維材料を包含する結合繊維構造体を製造するための特定の方法M100を説明する。この方法はS110で始まり、S120で少なくとも1エラストマー材料を含む繊維成分材料を紡糸機620で別個に融解する。押出機に導入する前に特定の材料が処理を求めることは当業者には理解できよう。例えば、TPUs、ポリエステル及びナイロンを含む多くの材料が残留湿分を除くために予備乾燥を必要とし得る。これはこれらの重合体を、存在する水と共に融解及び押出す方法が分解及び/又は解重合を生じ、特性の損失及び/又は繊維の紡糸不能を生じる。結果として、典型的なTPU材料は60−90℃で2-4時間の乾燥を必要とする。これは、当業者には良く知られている通常の重合体乾燥機を用いて達成できる。
【0061】
S130において、ECM繊維は繊維紡糸機620で紡糸され、緩やかに結合するウエブを形成する移動表面610上に沈積する。この作用は、押出し繊維の微細化を含み得る。繊維紡糸機620がそのように配置されているときには、この作用は上述した融解ブロー技術を用いて行われる。この作用は押出し時の繊維を冷却することを含み得る。前述したように、二元繊維配分が望まれる場合には追加の繊維を同時に押出し得る。
【0062】
S140において、繊維は移動表面610から上げられ又は移動される。この段階において、繊維表面はS141での仕上げ(finish)又は界面活性剤の適用で場合によって化学的に変性され得る。繊維状生成物は、しばしば繊維製造の間又は後に繊維状ウエブにおける添加物(又は仕上げ)を必要とするか又はその配合によって向上される。融解添加物は繊維紡糸の前に紡糸機620において重合体に添加できる。局部的添加物は、繊維がコンベヤーベルト640又は他の移動表面に沈積する前に繊維紡糸の直後に添加できる。繊維媒体に特定の濃度で選定された界面活性剤又は他の化学剤の添加は繊維の一定の特性を変性及び向上できる。例えば、インク貯蔵器として用いられる繊維構造体においては、添加物は特定のインク処方で吸着性及び/又は適合性を向上できる。同様に、各種医学用途に用いられるウイッキング物質はモノクローナル抗体のような活性成分の溶液で処理されて通過した物質と相互作用できる。所望ならば、反応性仕上げは水噴霧に配合されて繊維表面をより疎水性又は親水性にできる。
【0063】
S142において、場合により粒子状物を繊維に付着できる。このような粒子状物は繊維及び生成する繊維構造体を改良し、例えば繊維を液体又は匂いをより吸収性にする。
【0064】
S150において、緩やかに結合され又はされていない回収したウエブは、繊維が外部成分(例えば、さや-コアECM繊維のさや成分)の1の融解又は軟化温度に加熱される加熱帯660を通して延伸され得る。この温度はさや成分は融解又は軟化するが、コア成分は融解又は軟化しないように選ばれ得る。これはECM繊維を接触点で相互に結合させる。上述したように、この作用は加熱ダイを通してウエブを延伸することを含み、それによって結合した繊維にダイの断面をとらせる。
【0065】
S160において、結合した繊維材料は、冷却帯通過でき、そこで融解又は軟化繊維材料は硬化して自己支持性(self-sustaining)結合繊維構造体を生じ得る。場合により、繊維構造体の冷却は、周囲温度環境に導入するだけで達成できる。
【0066】
S170において、自己支持性結合繊維構造体は所望の大きさに切断できる。最終生成物の大きさは結合繊維構造体の用途に基づいて定めることができる。この方法はS180で終わる。
【0067】
一体に形成された、ECM繊維を包含する3の結合繊維構造体は他の製造方法によっても作り得ることは理解されよう。例えば、米国特許第3,533,416号、第3,599,646号、第3,637,447号、及び第3,703,429号(これらはそれぞれを引用によって全体を挿入する)に、開示された空気入り形成法を用い得る。これらの方法は、空気圧で形成ダイに打つことができ、次いでスチームで処理して多孔性、三次元、自己支持性、結合繊維構造体を形成できる繊維のトウを利用する。
【0068】
結合したECM繊維構造体を形成するのに用いる繊維は、束になった個別のフィラメント、連続フィラメント、フィラメントトウ、フィラメント繊維の軽く結合した(又は機械的にもつれた)ウエブ又はシート、ステープルファイバー、ステープルファイバートウ、ステープルファイバーのロービング又は不織ステープルファイバーの軽く結合した(又は機械的にもつれた)ウエブ又はシートの形態であり得る。繊維は機械的に捲縮でき、又は連続形成法の間に自己支持が導入できる(例えば、繊維の延伸及び次いで緩和による)ような構造であり得る。更に、若干の態様では、ECB繊維から形成される実質的に自己支持性ウエブはポスト延伸で機械方向に沿ってより弾性的な捲縮が作られる。追加の捲縮は高く、かさ高く、及びより弾性的な基体を生じるのに役立つ。
【0069】
上述した方法で製造された構造は、それぞれ結合ECM繊維の自己支持性ネットワークである。このネットワークは構造体を通して流体の通路用の曲がりくねった流路を定める。繊維の特性(例えば、表面エネルギー)及び、密度及び多孔性等全ての構造特性に応じて、このタイプの結合繊維構造体は、ウイッキング用途、治療器具又は濾過装置に用い得る。本発明の結合繊維構造体は実質的に平らなシート又は三次元構造体として形成できる。いずれの場合も、結合繊維構造体は典型的に約20%から95%の範囲の多孔性を有する。
【0070】
結合ECM繊維構造体の特性は、広範囲の利用に利点を提供する。これはより弾性構成分によって提供される延伸可能性及び弾力性及び少ない弾性(又は非弾性)構成分によって提供される強度及び安定性の組合せの結果としての独特な特性のセットを提供する。高度の構造弾力性は繊維の弾性成分の結合に基づいて達成できる。特に価値ある用途は、弾性又は部分的弾性が求められる濾過用途又はインクジェットカートリッジとしての利用である。説明するように、特定の利点は針又は他の装置による挿入によるような変形した後に元の形に戻るこれらの構造の能力である。結合ECM繊維構造体は高度の摩擦、磨耗抵抗、バイオ適合性、絶縁、及び音吸収性をも提供できる。更に、これらの構造体の延伸できる結合は、その構造高度製を保持しながら200%から700%の延伸を許容する。
【0071】
これらの特性は、白ボードふき、スポンジ避妊具、傷ケアドレッシング、耳プラグ、使い捨てワイプ/クリーナー、筆記具用ペン先、顔マスク、自動車流体フィルター、スクイージー、化粧用パッド、消音材、非-滑りパッド、及びスタンプパッドを含む、広く異なる用途に、結合ECM繊維構造体を理想的にする。
【0072】
更に、結合ECM繊維構造体が、貫通できるワインコルク、おしめライナー、ごみパッド、血液分離具、側流ウイック、つばウイック、医薬分配具、シャミ皮、印、ポンプガスケット、航空機凝縮パッド、ピペットフィルター、マットレスパッド/テーブル布、及びノンスリップ手袋のような広範囲に異なる製品に用い得る。
【実施例】
【0073】
例1: 熱可塑性ポリウレタン(TPU)/ポリプロピレン(PP)を用いる二元さや-コア繊維
さやーコアECB繊維を、さや及びコア材料としてそれぞれNoveon(R)Estane(R)X4280ポリエステル−ベースTPU及びAtofina(R)PP3960ポリプロピレンを用いて前述した融解ブロー法によって形成した。乾燥したTPUさや材料対ポリプロピレンコア材料の割合はほぼ35:65(容積)であった。151℃の融解温度を有するTPUさや材料を加熱し、218℃から241℃の範囲の温度で押出した。165℃の融解温度を有するPPコア樹脂を加熱し、177℃乃至200℃の範囲の温度で押出した。ダイチップを形成する繊維は168℃であった。繊維は約10ミクロンの平均直径で製造され、さやでコアが完全に覆われて良好な一体性を示した。
【0074】
同一の材料成分を有するが急冷なしで自由落下によって形成された繊維をも製造した。40〜50ミクロンの範囲の直径を有する、これらの繊維の写真を図8に示す。写真は、TPUさやによってコア材料が一貫して完全に覆われていることを明確に示している。
【0075】
例2: 熱可塑性ポリウレタン(TPU)/ポリプロピレン(PP)を用いた二元さや-コア繊維
Noveon(R)Estane(R)58245ポリエーテル-ベースTPU及びAltofina(R)PP3960ポリプロピレンをそれぞれさや及びコア材料として用いて、上述した融解ブロー法によってさや-コアECB繊維を形成した。乾燥したTPUさや材料対ポリプロピレンコア材料の比は約35:65(容積)であった。融解温度150℃を有するTPUさや材料を193℃乃至210℃の範囲の温度に加熱しかつ押出した。融解温度165℃を有するPPコア樹脂を177℃乃至199℃の範囲の温度に加熱しかつ押出した。ダイチップを形成する繊維は168℃であった。繊維は約11ミクロンの平均直径で製造され、及びさやによるコアの完全被覆及び良好な一体性を示した。
【0076】
例3: 融解ブロー熱可塑性ポリウレタン(TPU)/ポリプロピレン(PP)さや-コア繊維を用いる結合繊維構造体
自己支持性、結合繊維構造体を融解ブローさや-コアECB繊維から形成した。説明例において、さや及びコアとしてNoveon(R)Estane(R)X4280TPU及びAtofina(R)PP3960PPをそれぞれ用いてECB繊維を形成した。TPUは当初60℃で4時間乾燥した。乾燥TPUさや材料対PPコア材料の比は約30:70(容積)であった。TPUさや材料を218℃乃至240℃の範囲の温度で押出し、かつコア樹脂は168℃の繊維形成ダイチップで177℃乃至199℃の範囲の温度で押出した。生成ウエブは良好なかさ高さ及び軟らかさを示した。スチーム結合を用いて自己支持性ロッドを形成し、長さに切った。結合繊維構造体は直径7.5mm及び3mmの長さ及び、5〜15ミクロンの範囲の繊維サイズを用いて0.7g/ccの範囲の密度で製造された。これらの構造体は42%〜87%の範囲の有効多孔性を示し、0.9mm直径針の貫通及び引戻し後にこれらの多孔性への戻りを示した。
【0077】
各種密度の結合ECBユニットの機械的特性をInstronシリーズIX/S自動化材料試験、バージョン8.27.00ソフトウェアを用いて1kNロードセルでInstron3365によって測定した。試料は上部及び下部クランプの間の当初50.0mmギャップで水力クランプにおいた。試験は、破断まで試料を10mm/分の速度で引張り始めた。各試料の末端で応力、ひずみ、モジュラス及び破断エネルギーを集め、かつ記録した。これらの値は表1に示す。
【表1】

【0078】
例4: 融解ブローエチレンポリプロピレン共重合体エラストマー/ポリプロピレン(PP)さや-コア繊維を用いる結合繊維構造体
自己支持性結合繊維構造体を融解ブローさや-コアECB繊維から形成した。他の説明的例で、さや及びコア材料としてそれぞれExxonMobil(R)Vistamaxx2330エチレンポリプロピレン共重合体エラストマー及びAtofina(R)3860PPを用いて、ECB繊維を形成した。Vistamaxxさや材料及びPPコア材料の比は約30:70(容積)であった。Vistamaxxさや材料は277℃の繊維形成ダイチップで204℃〜238℃の温度範囲で押出した。生成するウエブは良好な高さ及びかさ高さを示した。スチーム結合を用いて幅3mm及び、長さ13mmで生成断面積が39mm2の自己支持性方形ロッドを形成した。結合繊維ユニットは6〜20ミクロンの範囲の繊維サイズを用いて0.15〜0.75g/ccの密度範囲で製造された。
【0079】
各種の密度のVistamaxx/PPさやーコア材料を用いた結合ECB単位の機械的特性を、InstronシリーズIX/S自動化材料試験、バージョン8.27.00ソフトウエアを用いて1kN荷重セルでInstron3365によって測定した。上部及び下部クランプの間の当初50.0mm間隔で水力クランプに試料をおいた。試験は破断するまで10mm/分の速度で試料を延ばし始めた。応力、ひずみ、モジュラス及び破断エネルギーを試料の末端で集めて記録した。これらの値は表2に示してある。
【表2】

【0080】
当業者には、本発明の範囲及び精神を逸脱することなく、本発明の方法、製造、配置、及び/又は使用に各種の変型及び変形を行い得ることは明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の若干の態様による中心的さや−コア二元繊維の断面図。
【図2】本発明の若干の態様による中心を外れたさや−コア二元繊維の断面図。
【図3】本発明の若干の態様によるサイドバイサイド二元繊維の断面図。
【図4】本発明の若干の態様による多元繊維の断面図。
【図5】本発明の若干の態様による多元繊維の断面図。
【図6】本発明の若干の態様による結合繊維構造体の製造ラインの概要図。
【図7】本発明の若干の態様による結合繊維構造体の製造方法を示すブロックダイアグラム。
【図8】本発明の態様によるエラストマーさや成分を有するさや−コア繊維の断面の写真図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性重合体コア材料;及びコア材料を取囲むエラストマー重合体さや材料を包含する多元繊維。
【請求項2】
エラストマー重合体さや材料が熱可塑性ポリウレタンである請求項1に記載の多元繊維。
【請求項3】
エラストマー重合体さや材料は、エラストマー及びプラストマーポリプロピレン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリクロロプレン、ブタジエン−アクリロニトリル、エラストマーブロックオレフィン共重合体、エラストマーブロックコ-ポリエーテルポリアミド、エラストマーブロックコポリエステル、ポリ(エーテル−ウレタン−ウレア)、ポリ(エステル−ウレタン−ウレア)及びエラストマーシリコーンからなる群から選ばれる請求項1に記載の多元繊維。
【請求項4】
熱可塑性コア材料がエラストマー重合体さや材料とは異なる第2のエラストマー材料を包含する請求項1に記載の多元繊維。
【請求項5】
熱可塑性重合体コア材料がポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、ポリブチレン テレフタレート、及びポリエチレン テレフタレートからなる群から選ばれる請求項1に記載の多元繊維。
【請求項6】
さや材料で定められる断面積と実質的に同心である断面積をコア材料が定める請求項1に記載の多元繊維。
【請求項7】
さや材料で定められる断面積と実質的に非同心である断面積をコア材料が定める請求項1に記載の多元繊維。
【請求項8】
繊維が連続ストランドである請求項1に記載の多元繊維。
【請求項9】
繊維はさや材料がコア材料に結合する二元繊維である請求項1に記載の多元繊維。
【請求項10】
繊維はさや材料とコア材料の間に配置された少なくとも1の中間成分材料を包含する請求項1に記載の多元繊維。
【請求項11】
さや材料が繊維の約10容量%〜約90容量%を包含する請求項1に記載の多元繊維。
【請求項12】
さや材料が繊維の約25容量%〜約40容量%を包含する請求項1に記載の多元繊維。
【請求項13】
繊維が約1ミクロン〜約200ミクロンの直径を有する請求項1に記載の多元繊維。
【請求項14】
繊維が約1ミクロン〜約25ミクロンの直径を有する請求項1に記載の多元繊維。
【請求項15】
第1成分が熱可塑性重合体材料を包含し;及び第2成分がエラストマー重合体材料を包含する融解ブロー多元繊維。
【請求項16】
第1成分がコアとして形成され、及び第2成分がコアを取巻くさやとして形成され、繊維はさや-コア繊維として形成される請求項15に記載の融解ブロー多元繊維。
【請求項17】
繊維がサイドバイサイド二成分繊維として形成され、第1成分及び第2成分が長さに沿って互いに同一の広がりを持って結合する請求項15に記載の融解ブロー多元繊維。
【請求項18】
第1成分が第1成分のエラストマー重合体材料とは異なる弾性を有する第2のエラストマー材料を包含する請求項15に記載の融解ブロー多元繊維。
【請求項19】
熱可塑性重合体を包含する第3成分を更に包含する請求項15に記載の多元繊維。
【請求項20】
繊維の少なくとも一部が少なくとも1のエラストマー繊維成分を有する多元繊維であり、空間をおいて離れた接触点で互いに結合した複数の繊維を包含する、結合繊維構造体。
【請求項21】
多元繊維が融解ブローされたサイドバイサイド2成分繊維である請求項20に記載の結合繊維構造体。
【請求項22】
多元繊維が弾性体重合体さや材料を有するさや-コア多元繊維である請求項20に記載の結合繊維構造体。
【請求項23】
3次元結合繊維構造体は構造体が構造一体性を保持しながら少なくとも200%延伸できる少なくとも1元を有する請求項20に記載の結合繊維構造体。
【請求項24】
3次元結合繊維構造体が約20%〜約95%の範囲の全体的多孔性を有する請求項20に記載の結合繊維構造体。
【請求項25】
結合繊維構造体が実質的に平らなシートとして形成される請求項20に記載の結合繊維構造体。
【請求項26】
結合繊維構造体が3次元、自己支持性構造体として形成される請求項20に記載の結合繊維構造体。
【請求項27】
少なくとも1のエラストマー繊維成分が熱可塑性ポリウレタン、ポリエステル共重合体、スチレン共重合体、オレフィン共重合体、及びポリアミド共重合体からなる群から選ばれた材料を包含する請求項20に記載の結合繊維構造体。
【請求項28】
少なくとも1のエラストマー繊維成分が熱可塑性ポリウレタンを包含する請求項20に記載の結合繊維構造体。
【請求項29】
エラストマー重合体さや材料がエラストマー及びプラストマーポリプロピレン、スチレン-ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリクロロプレン、ブタジエン-アクリロニトリル、エラストマー性ブロックオレフィン共重合体、エラストマー性ブロックコ-ポリエーテル ポリアミド、エラストマー性ブロックコポリエステル、ポリ(エーテル-ウレタン-ウレア)、ポリ(エステル-ウレタン-ウレア)、及びエラストマー性シリコーンからなる群から選ばれる請求項20に記載の多元繊維。
【請求項30】
空間をおいて離れた接触点で互いに結合して自己支持性、三次元、流体伝達体を形成し、繊維は集合して流体伝達体を通して曲がった流体流路を定める複数の重合体繊維を包含し、
自己支持性、三次元、流体伝達体は、構造体が構造一体性を保持しながら少なくとも200%延伸することができる少なくとも一元を有する結合繊維構造体。
【請求項31】
熱可塑性繊維の少なくとも一部はエラストマー重合体さや材料を有するさや-コア多元繊維である請求項31に記載の結合繊維構造体。
【請求項32】
エラストマー重合体さや材料が熱可塑性ポリウレタンである請求項31に記載の多元繊維。
【請求項33】
エラストマー重合体さや材料は、エラストマー及びプラストマーポリプロピレン、スチレン-ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリクロロプレン、ブタジエン-アクリロニトリル、エラストマーブロックオレフィン共重合体、エラストマーブロックコ-ポリエーテルポリアミド、エラストマーブロックコポリステル、ポリ(エーテル-ウレタン-ウレア)、ポリ(エステル-ウレタン-ウレア)、及び弾性体シリコーンからなる群から選ばれる請求項31に記載の多元繊維。
【請求項34】
エラストマー重合体さや材料は約10容量%〜約90容量%の繊維を包含する請求項31に記載の多元繊維。
【請求項35】
エラストマー重合体さや材料は約25容量%〜約40容量%の繊維を包含する請求項31に記載の多元繊維。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−533328(P2008−533328A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−503072(P2008−503072)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/010075
【国際公開番号】WO2006/102249
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(507310341)フィルトロナ・リッチモンド・インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】