説明

エレクトロクロミックミラー

【課題】十分な反射率を保持しつつ、着色時及び消色時の応答性に優れるエレクトロクロミックミラーを提供すること。
【解決手段】本エレクトロクロミックミラー10は、パラジウムを5at%以上15at%以下で含む銀合金からなり、クラックの発生が抑制された導電性反射膜18と、還元反応することで着色されるエレクトロクロミック膜16と、を備えることで、十分な反射率を保持しつつ、着色時及び消色時の応答性に優れるものとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車両の後方確認用としてアウタミラーやインナミラーに用いられ、電圧を印加することにより反射率を変化させるエレクトロクロミックミラーに関する。
【背景技術】
【0002】
還元反応により着色されるエレクトロクロミック膜と、該エレクロトクロミック膜に隣接した反射膜と、を備えたエレクロトクロミックミラーが知られている(例えば、特許文献1参照)。このエレクトロクロミックミラーは、エレクトロクロミック膜を還元反応により着色し、反射膜からの反射光の透過率を低減させることができる。
反射膜の材料としては、パラジウムを用いることや(例えば、特許文献1参照)、その他、銀、銀合金を用いることが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許3844636号明細書
【特許文献2】特開2008−8751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、エレクロトクロミックミラーにおいては、反射膜の材質によっては、着色時及び消色時の応答性が遅い、着色時の反射率が十分に低下しないなどの性能的な課題や、性能が良い材料は貴金属であるなどの価格的な課題から、その材質の選択が重要視されていた。
【0005】
そこで、本発明は、上記事実を考慮してなされたものであり、以下の目的を解決することを課題とする。
即ち、着色時及び消色時の応答性に優れ、着色時の反射率の低下が充分であって、かつ、貴金属の使用量が低減されたエレクトロクロミックミラーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題が下記の構成により解決されることを見出した。
即ち、本発明の構成は以下に示すものである。
請求項1に係る発明は、パラジウムを5at%以上15at%以下で含む銀合金からなり、入射した光を反射すると共に、導電性を有する導電性反射膜と、
前記導電性反射膜の前記光の入射面側に設けられ、還元反応することで着色されるエレクトロクロミック膜と、
前記導電性反射膜の前記エレクトロクロミック膜とは反対側に設けられた導電性を有する導電性膜と、
リチウムイオンを含み、前記導電性膜と前記導電性反射膜との間に封入されて、前記導電性膜を正とし前記導電性反射膜を負として電圧を印加することで前記リチウムイオンが前記エレクトロクロミック膜の還元反応に供される電解液と、
を備えるエレクトロクロミックミラーである。
【0007】
本発明のエレクトロクロミックミラーでは、エレクトロクロミック膜を透過した光が導電性反射膜により反射される。
導電性膜を正として導電性反射膜を負として電圧を印加すると、導電性膜と導電性反射膜との間に封入された電解液のリチウムイオンがエレクトロクロミック膜の側へ移動する。エレクトロクロミック膜の側へリチウムイオンが移動することでエレクトロクロミック膜が還元反応を起こし、エレクトロクロミック膜が着色される。このようにしてエレクトロクロミック膜が着色されることでエレクトロクロミック膜における光の透過率が低下する。
【0008】
ここで、本発明のエレクトロクロミックミラーでは、パラジウムを5at%以上15at%以下で含む銀合金からなる導電性反射膜を備えている。このように、特定の範囲でパラジウムを含む銀合金とすることで、着色時及び消色時の応答性を高めることができる。一方で、パラジウムを含む銀合金で構成した導電性反射膜は、銀のみで構成した導電性反射膜に比べて反射率が低下する。しかしながら、パラジウムの含有量が上記特定の範囲である銀合金で導電性反射膜が構成された本発明のエレクトロクロミックミラーでは、消色時(電圧未印加時)の反射率を充分に高く維持しつも、着色時(電圧印加時)の反射率を充分に低くさせることができ、更に、着色時及び消色時の応答性に優れる、といった効果を有する。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明によれば、着色時及び消色時の応答性に優れ、着色時の反射率の低下が充分であって、かつ、貴金属の使用量が低減されたエレクトロクロミックミラーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るエレクトロクロミックミラーの構成の概略を示す断面図である。
【図2】LiWOにおけるXと、光の反射率との関係がグラフにより示されている。
【図3】エレクトロクロミック膜16の膜厚と反射率との関係がグラフにより示されている。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るエレクトロクロミックミラーの構成の概略を示す断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るエレクトロクロミックミラーの要部を拡大した概略的な断面図である。
【図6】透孔の内径寸法Dと隣り合う透孔の中心間距離Lとの比と、透孔を形成することによるエレクトロクロミックミラーでの反射率の減少比率との関係を示すグラフである。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係るエレクトロクロミックミラーの構成の概略を示す断面図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係るエレクトロクロミックミラーの要部を拡大した概略的な断面図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態に係るエレクトロクロミックミラーの構成の概略を示す断面図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係るエレクトロクロミックミラーの要部を拡大した概略的な断面図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係るエレクトロクロミックミラーの変形例を示す図10に対応した断面図である。
【図12】本発明の第5の実施の形態に係るエレクトロクロミックミラーの構成の概略を示す断面図である。
【図13】実施例にて測定した消色時の反射率と銀合金中のパラジウムの濃度との関係を示す図である。
【図14】実施例にて測定した着色時の応答速度と銀合金中のパラジウムの濃度との関係を示す図である。
【図15】実施例にて測定した消色時の応答速度と銀合金中のパラジウムの濃度との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1の実施の形成>
図1には本発明の第1の実施の形態に係るエレクトロクロミックミラー10の構成が概略的な断面図により示されている。
【0012】
この図に示されるように、エレクトロクロミックミラー10は、表面側基板12を備えている。表面側基板12はガラス等により形成された透明の基板本体14を備えている。この基板本体14の厚さ方向の一方(図1の矢印W方向)側の面には、エレクトロクロミック膜16が形成されている。エレクトロクロミック膜16は、例えば、三酸化タングステン(WO)や三酸化モリブデン(MoO)、又はこのような酸化物が含まれる混合物により形成されており、特に、本実施の形態では、三酸化タングステンによりエレクトロクロミック膜16が形成されている。
【0013】
基板本体14の厚さ方向に沿ったエレクトロクロミック膜16の厚さは300nm以上1000nm以下の範囲で設定され、特に、本実施の形態ではエレクトロクロミック膜16の厚さは500nmに設定されている。このエレクトロクロミック膜16の基板本体14とは反対側の面には導電性反射膜18が形成されている。
【0014】
この導電性反射膜18は、入射した光を反射すると共に、導電性を有するものであって、パラジウムを5at%以上15at%以下で含む銀合金からなる。パラジウムの含有量が5at%未満であると、着色時及び消色時の応答性が低下し、また、パラジウムの含有量が15at%を超えると、十分な反射率が得られない。中でも、パラジウムを7at%以上15at%以下で含む銀合金が好ましく、パラジウムを10at%以上15at%以下で含む銀合金がより好ましい。特に、本実施の形態では、パラジウムを10at%で含む銀合金により導電性反射膜18が形成されている。なお、導電性反射膜18は、パラジウムと銀との他に、微量の他の金属を含んでいてもよい。この他の金属の含有量は、15at%以下である。
基板本体14の厚さ方向に沿った導電性反射膜18の厚さは30nm以上200nm以下の範囲で設定され、特に、本実施の形態では導電性反射膜18の厚さは50nmに設定されている。
【0015】
導電性反射膜18の形成方法としては、スパッタリング法や、真空蒸着法等が用いられる。成膜の条件としては、通常用いられる条件を本発明においても特に制限なく用いることができる。
なお、例えば、スパッタリング法で成膜する場合には、銀とパラジウムを予め定めた量で混合したターゲット材料を使用することで、銀合金中のパラジウムの含有量を上記の範囲に調整することができる。
【0016】
以上の構成の表面側基板12の厚さ方向の一方の側には、裏面側基板24が表面側基板12と対向するように設けられている。裏面側基板24はガラス等により形成された透明の基板本体26を備えている。この基板本体26の厚さ方向の他方、即ち、表面側基板12の側の面には導電性膜28が形成されている。導電性膜28は、クロム(Cr)やニッケル(Ni)等の金属や、インジウムチンオキサイド(In:Sn、所謂「ITO」)や酸化スズ(SnO)、フッ素ドープ酸化スズ(SnO:F)、酸化亜鉛(ZnO)等、更にはこれらの混合物により形成されている。
【0017】
この導電性膜28の表面側基板12の側の面には導電性を有するカーボン膜30が形成されている。カーボン膜30はフェノール樹脂やポリイミド樹脂、又はアクリル等の合成樹脂材をバインダーとして有している。また、これらのバインダーの他にカーボン膜30はグラファイト、カーボンブラック、及び活性炭の混合物により形成されており、特に、この混合物には活性炭が50質量%以上含まれている。
【0018】
以上の構成のカーボン膜30は静電容量が10mF/cm以上又は電荷蓄積容量が1.5Vの電圧で15mQ/cm以上に設定され、特に、本実施の形態では、静電容量が20mF/cm又は電荷蓄積容量が1.5Vの電圧で30mQ/cmに設定されている。
【0019】
以上の構成の表面側基板12と裏面側基板24との間には所定の隙間が形成されていると共に、表面側基板12の外周部と裏面側基板24の外周部との間は封止材32により封止されている。表面側基板12、裏面側基板24、及び封止材32により囲まれた空間内には電解液34が封入されている。電解液34は、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、γブチロラクトン、ジメチルフォルムアミド等、又はこれらの混合物からなる溶媒を含み、特に、本実施の形態ではプロピレンカーボネートが溶媒として用いられている。
【0020】
このような溶媒の他に、電解液34は、過塩素酸リチウム(LiClO)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiN(SOCF)、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド(LiN(SO)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCFSO)等やこれらの混合物を電解質として含んでおり、特に、本実施の形態では過塩素酸リチウムが電解質として用いられている。
【0021】
更に、以上の構成のエレクトロクロミックミラー10の導電性膜28は、回路40を構成するスイッチ42に接続されている。スイッチ42は、ON状態で接続される端子に車両に搭載されるバッテリー等で構成され定格電圧が1.3V程度の直流電源44の正極が接続されている。この直流電源44の負極は導電性反射膜18に接続されている。また、スイッチ42がOFF状態で接続される端子は、上記の直流電源44を介さずに導電性反射膜18に接続されており、OFF状態では導電性膜28と導電性反射膜18とが短絡される。
【0022】
<第1の実施の形態の作用、効果>
以上の構成のエレクトロクロミックミラー10では、スイッチ42のOFF状態では、エレクトロクロミック膜16が略透明となっており、このため、基板本体14のエレクトロクロミック膜16とは反対側から入射した光は、基板本体14、エレクトロクロミック膜16を透過して導電性反射膜18にて反射される。更に、導電性反射膜18にて反射された光はエレクトロクロミック膜16、基板本体14を透過し、以上の構成の本実施の形態では、結果的に光の反射率が55パーセント程度となる。
【0023】
一方、スイッチ42をON状態に切り替えると、回路40を導電性反射膜18の側に移動した電子(e)がエレクトロクロミック膜16に侵入すると共に、電解液34の電解質を構成するリチウムイオン(Li)が導電性反射膜18を透過してエレクトロクロミック膜16に侵入する。これにより、エレクトロクロミック膜16では以下の(式1)の還元反応が生じ、所謂タングステンブロンズと称される青色のLiWOがエレクトロクロミック膜16で形成される。
【0024】
Li+e+WO→LiWO・・・(式1)
このようにしてエレクトロクロミック膜16が青色に着色されることで、エレクトロクロミック膜16が着色される前では55パーセント程度であった反射率が7パーセント程度まで低下する。
【0025】
更に、以上の還元反応が生じる際には、カーボン膜30を構成する炭素から直流電源44の側へ電子(e)が移動し、これにより、電解質を構成する過塩素酸リチウムの負イオン(ClO)がカーボン膜30の側へ移動する。これにより、上記の還元反応に対する以下の(式2)のような補償反応が生じる。
【0026】
ClO+C−e→C・ClO・・・(式2)
ここで、図2には、LiWOにおけるXと、光の反射率と、の関係がグラフにより示されている。なお、このグラフにおいては、X=0、即ち、三酸化タングステンが透明の場合を1として規格化されている。このグラフに示されるように、反射率はX=0.15以上で概ね飽和しており、X=0.15〜0.2程度でエレクトロクロミック膜16に充分な着色がなされる。
【0027】
一方、図3にはエレクトロクロミック膜16の膜厚と反射率との関係がグラフにより示されている。なお、このグラフにおいては、エレクトロクロミック膜16がないときの反射率を1として規格化されている。このグラフに示されるように、反射率はエレクトロクロミック膜16の膜厚が300nmまでで急激に低下し、500nmで飽和するため、エレクトロクロミック膜16の膜厚は300nm以上500nm以下の範囲に設定されることが好ましい。
【0028】
ここで、LiWOのXの値をX=0.15、エレクトロクロミック膜16の膜厚をd=500nm、エレクトロクロミック膜16を構成する三酸化タングステンのバルク密度をρ=7.18g/cm、エレクトロクロミック膜16を構成する三酸化タングステンの空孔度をP=0.8、ファラデー定数をF=96485.3415Q/mol、三酸化タングステンの分子量をM=231.9molとして、以下の(式3)に代入すると電荷蓄積容量Q=17.92mQ/cmとなり、更に、印加電圧をV=1.3として、式3の結果(即ち、Q=17.92mQ/cm)を以下の(式4)に代入すると、静電容量C=13.79mF/cmとなる。
【0029】
Q=(X・d・ρ・P・F)/M・・・(式3)
C=Q/V・・・(式4)
即ち、エレクトロクロミック膜16において充分に着色されるための還元反応には、上記の(式3)で求められる電荷蓄積容量、及び、(式4)で求められる静電容量が必要になる。ここで、本実施の形態では、カーボン膜30は活性炭を含めて構成されている。活性炭は多孔質であるが故に表面積が大きい。このため、多くの負イオン及び正電荷の蓄積能力を有しており、これにより、カーボン膜30の静電容量を20mF/cm又は電荷蓄積容量を1.5Vの電圧で30mQ/cmに設定できる。
【0030】
このように、本実施の形態では、静電容量及び電荷蓄積容量が共に、上記の(式3)及び(式4)での計算結果よりも充分に大きい。このため、エレクトロクロミック膜16において充分な還元反応を生じさせることができ、この結果、上記のように、スイッチ42をON状態として電圧を印加することで、エレクトロクロミック膜16を充分に着色させることができる。
【0031】
また、カーボン膜30には、活性炭のみならず、グラファイトとカーボンインクが含まれており、これにより、カーボン膜30は充分な導電性が付与され、カーボン膜30における反応を早くできる。
【0032】
更に、本実施の形態では、エレクトロクロミック膜16を着色するに際して印加する電圧を1.3Vと低くできる。このため、スイッチ42をOFF状態にして導電性反射膜18と導電性膜28とを短絡させると、上記の(式1)及び(式2)とは逆向きの反応が生じ、エレクトロクロミック膜16が素早く消色される。
【0033】
以上のようなエレクトロクロミックミラー10を、例えば、車両における後方確認用のインナミラー(ルームミラー)やアウタミラー(ドアミラーやフェンダーミラー)等のミラー本体に用いると、昼間時にはスイッチ42をOFF状態で維持して高い反射率で後方を確認することができ、夜間時等に後方の車両がヘッドライトを点灯させている場合には、スイッチ42をON状態に切り換えてエレクトロクロミック膜16を着色し、反射率を低下させることで、ヘッドライトの反射光を低減でき、眩しさが低下する。
【0034】
更に、以上の構成のエレクトロクロミックミラー10では、パラジウムを5at%以上15at%以下で含む銀合金からなる導電性反射膜18を有している。この銀合金の組成により、消色時及び着色時の応答性(エレクトロクロミック膜16の応答性)を高めることができる。
【0035】
<第2の実施の形態の構成>
次に、本発明のその他の実施の形態について説明する。なお、以下の各実施の形態を説明するにあたり、前記第1の実施の形態を含めて説明している実施の形態よりも前出の実施の形態と基本的に同一の部位に関しては、同一の符号を付与してその詳細な説明を省略する。
【0036】
図4には、本発明の第2の実施の態様に係るエレクトロクロミックミラー60の構成が概略的な断面図により示されている。
この図に示されるように、エレクトロクロミックミラー60は、導電性反射膜18の代わりに、導電性反射膜68を備えている。この導電性反射膜68は、導電性反射膜18と同様の材質(即ち、パラジウムを10at%で含む銀合金)で、同様の厚さに形成されているが、図5に示されるように、その厚さ方向に貫通した微細な多数の透孔70が形成されている。これらの透孔70は内径(内周部の直径)寸法Dが20μm以下で、特に、本実施の形態では5μmとされている。また、これらの透孔70は基本的に導電性反射膜68に不規則(ランダム)に形成されている。但し、これらの透孔70は隣り合う透孔70の中心間距離Lが10μmに設定されている。
【0037】
これらの透孔70は、以下の方法で形成している。
即ち、まず、導電性反射膜68上にフォトレジストを塗設し、このフォトレジスト上に、透孔70のパターンが印刷されたフォトマスクを施して、露光を行う。その後、透孔70に対応した領域のフォトレジストを除去し、露出した領域の導電性反射膜68を、エッチング液を用いて溶解する。
【0038】
<第2の実施の形態の作用、効果>
以上の構成のエレクトロクロミックミラー60では、上記のように導電性反射膜68に透孔70が形成されるため、スイッチ42をON状態として電圧を印加した際には、電解液34の電解質を構成するリチウムイオン(Li)が透孔70を通過することで透孔70が形成されていない部位で導電性反射膜68を透過するよりも素早くエレクトロクロミック膜16に侵入する。これにより、エレクトロクロミック膜16において素早く還元反応が生じ、全体的にエレクトロクロミック膜16が素早く着色される。
【0039】
また、本実施の形態では、透孔70は内径(内周部の直径)寸法Dを5μm(即ち、20μm以下)としていることで、基本的には透孔70を直接目視することができない。このため、透孔70を形成してもエレクトロクロミックミラー60での反射光を目視した際に違和感が生じない。
【0040】
一方、図6には、透孔70の内径(内周部の直径)寸法Dと隣り合う透孔70の中心間距離Lとの比と、透孔70を形成することによるエレクトロクロミックミラー60での反射率の減少比率と、の関係が示されている。ここで、本実施の形態では、透孔70の内径寸法Dを5μm、隣り合う透孔70の中心間距離Lを10μmとしたことで、その比率は0.5となる。このため、図6に示されるように、透孔70を形成していない場合の80%の反射率を確保できる。このように、透孔70の内径寸法Dと隣り合う透孔70の中心間距離Lとの比を0.5に設定したことで透孔70を形成したにも関わらず、導電性反射膜68にて光を充分に反射できる。
【0041】
また、本実施の形態では、隣り合う透孔70の中心間距離Lは10μmに設定されるが、その形成位置は不規則(ランダム)である。このため、導電性反射膜68での反射光に規則的な干渉等が生じない。これにより、更に反射像を鮮明にできる。
【0042】
なお、本実施の形態に係るエレクトロクロミックミラー60は、導電性反射膜18に代わり透孔70が形成された導電性反射膜68を設けた点以外は基本的に前記第1の実施の形態に係るエレクトロクロミックミラー10と構成が同じである。したがって、エレクトロクロミックミラー60は基本的にエレクトロクロミックミラー10と同様の作用を奏し、エレクトロクロミックミラー10と同様の効果を得ることもできる。
【0043】
<第3の実施の形態の構成>
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
図7には、本発明の第3の実施の形態に係るエレクトロクロミックミラー80の構成が概略的な断面図により示されている。
【0044】
この図に示されるように、エレクトロクロミックミラー80はエレクトロクロミック膜16の代わりに、エレクトロクロミック膜86を備えており、また、透孔70を有する導電性反射膜68を備えている。このエレクトロクロミック膜86はエレクトロクロミック膜16を構成する三酸化タングステンにパラジウムを10%添加した材質で同様の厚さに形成されているが、図8に示されるように、その厚さ方向に貫通した微細な多数の透孔92が形成されている。これらの透孔92は、導電性反射膜68の透孔70に連通しており、その内径(内周部の直径)寸法Dが20μm以下で、特に、本実施の形態では5μmとされている。また、これらの透孔92は基本的にエレクトロクロミック膜86に不規則(ランダム)に形成されている。但し、これらの透孔92は隣り合う透孔92の中心間距離Lが10μmとされている。
【0045】
この透孔92は、以下の方法で形成している。
即ち、まず、エレクトロクロミック膜86上にフォトレジストを塗設し、このフォトレジスト上に、透孔92のパターンが印刷されたフォトマスクを施して、露光を行う。その後、透孔92に対応した領域のフォトレジストを除去し、露出した領域のエレクトロクロミック膜86を、エッチング液を用いて溶解する。
【0046】
<第3の実施の形態の作用、効果>
以上の構成のエレクトロクロミックミラー80では、導電性反射膜68に透孔70が形成され、エレクトロクロミック膜86に透孔92が形成されている。このため、スイッチ42をON状態として電圧を印加した際には、先ず、電解液34の電解質を構成するリチウムイオン(Li)が透孔70を通過することで透孔70が形成されていない部位で導電性反射膜68を透過するよりも素早くエレクトロクロミック膜86に到達する。
【0047】
更に、エレクトロクロミック膜86に到達したリチウムイオンは透孔92に入り込み、透孔92の内周部からエレクトロクロミック膜86に侵入する。これにより、エレクトロクロミック膜86において更に素早く還元反応が生じ、全体的にエレクトロクロミック膜86が更に素早く着色される。
【0048】
また、本実施の形態では、透孔92は内径(内周部の直径)寸法Dを5μm(即ち、20μm以下)としていることで、基本的には透孔92を直接目視することができない。このため、透孔92を形成しても導電性反射膜68での反射光を目視した際に違和感が生じない。
【0049】
更に、導電性反射膜68に透孔70を形成した場合と同様に、本実施の形態では、透孔92の内径寸法Dを5μm、隣り合う透孔92の中心間距離Lを10μmとしたことで、その比率は0.5となる。このため、透孔92を形成していない場合の80パーセントの反射率を確保できる。このように、透孔92の内径寸法Dと隣り合う透孔92の中心間距離Lとの比を0.5に設定したことで透孔92を形成したにも関わらず、エレクトロクロミック膜86にて光を充分に反射できる。
【0050】
また、本実施の形態では、隣り合う透孔92の中心間距離Lは10μmに設定されるが、その形成位置は透孔70と同様に不規則(ランダム)である。このため、エレクトロクロミック膜86での反射光に規則的な干渉等が生じない。これにより、更に反射像を鮮明にできる。
【0051】
なお、本実施の形態に係るエレクトロクロミックミラー80は、エレクトロクロミック膜16に代わり、透孔92が形成されたエレクトロクロミック膜86を設けた点以外は基本的に前記第2の実施の形態に係るエレクトロクロミックミラー60と構成が同じである。したがって、エレクトロクロミックミラー80は基本的にエレクトロクロミックミラー60と同様の作用を奏し、エレクトロクロミックミラー60と同様の効果を得ることもできる。
【0052】
<第4の実施の形態の構成>
次に、本発明の第4の実施の形態ついて説明する。
図9には、本実施の形態に係るエレクトロクロミックミラー110の構成が概略的な断面図により示されている。
【0053】
この図に示されるように、エレクトロクロミックミラー110は導電性反射膜68の代わりに、導電性反射膜118を備えている。この導電性反射膜118は第1導電性反射膜120と、導電性保護膜としての第2導電性反射膜122とによって構成されている。第1導電性反射膜120はエレクトロクロミック膜16の基板本体14とは反対側に形成されている。第1導電性反射膜120は、パラジウムを5at%以上15at%以下で含む銀合金により形成されている。特に、本実施の形態では、パラジウムを10at%で含む銀合金により形成されている。これに対して、第2導電性反射膜122は第1導電性反射膜120よりも腐食し難い金属、例えば、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)等により形成されている。
【0054】
また、この第2導電性反射膜122は外周縁部が第1導電性反射膜120の外周縁部よりも外側に位置するように形成されている。これにより、第1導電性反射膜120は、その全体がエレクトロクロミック膜16とは反対側から第2導電性反射膜122により覆われている。
【0055】
また、前記第2、第3の実施の形態では、導電性反射膜68に透孔70が形成されていたが、図10に示されるように、本実施の形態においても第1導電性反射膜120には透孔70に対応した透孔124が形成され、第2導電性反射膜122には透孔70に対応した透孔126が透孔70と同様の条件で形成されている。
【0056】
<第4の実施の形態の作用、効果>
以上の構成のエレクトロクロミックミラー110では、基板本体14のエレクトロクロミック膜16とは反対側から入射した光は、基板本体14、エレクトロクロミック膜16を透過して第1導電性反射膜120にて反射される。また、仮に、第1導電性反射膜120にて反射されずに第1導電性反射膜120を透過した光は、第2導電性反射膜122にて反射される。
【0057】
ところで、導電性反射膜118のエレクトロクロミック膜16とは反対側では電解液34が封入されている。ここで、エレクトロクロミックミラー110では、主に光を反射する第1導電性反射膜120の電解液34の側は第1導電性反射膜120よりも腐食し難い金属により形成された第2導電性反射膜122で覆われる。このため、電解液34に対して第1導電性反射膜120は第2導電性反射膜122に保護され、第1導電性反射膜120が腐食され難くなる。これにより、長期に亘って第1導電性反射膜120によって良好に光を反射できる。
【0058】
しかも、第2導電性反射膜122の外周縁部は、第1導電性反射膜120の外周縁部よりも外側に位置している。これにより、第1導電性反射膜120は、その全体がエレクトロクロミック膜16とは反対側から第2導電性反射膜122により覆われることになり、エレクトロクロミック膜16とは反対側の面のみならず、第1導電性反射膜120の外周端も電解液34に対して第2導電性反射膜122により保護され、第1導電性反射膜120の腐食を効果的に抑制又は防止できる。
【0059】
更に、第2導電性反射膜122は、それ自体が基板本体14の側からの光を反射するため、第1導電性反射膜120の外周縁部よりも外側で基板本体14を透過した光は第1導電性反射膜120で反射されることはないが、代わりに第2導電性反射膜122により反射される。このため、光の反射領域を広くできる(第2導電性反射膜122で第1導電性反射膜120全体を覆う構成とするために、第1導電性反射膜120を小さくしても、光の反射領域が狭くなることがない)。
【0060】
なお、本実施の形態に係るエレクトロクロミックミラー110は、透孔70が形成された導電性反射膜68に代わり透孔124が形成された第1導電性反射膜120及び透孔126が形成された第2導電性反射膜122により構成された導電性反射膜118を設けた点以外は基本的に前記第2の実施の形態に係るエレクトロクロミックミラー60と構成が同じである。したがって、エレクトロクロミックミラー110は基本的にエレクトロクロミックミラー60と同様の作用を奏し、エレクトロクロミックミラー60と同様の効果を得ることもできる。
【0061】
また、本実施の形態に係るエレクトロクロミックミラー110はエレクトロクロミック膜16を備える構成であるが、図11に示されるように、エレクトロクロミック膜16に代えてエレクトロクロミック膜86を設ける構成とした場合には、本実施の作用並びに効果に加え、前記第3の実施の形態に係るエレクトロクロミックミラー80と同様の作用を奏し、エレクトロクロミックミラー80と同様の効果を得ることもできる。
【0062】
<第5の実施の形態の構成>
続いて、本発明の第5の実施の形態ついて説明する。
図12には、本発明の第5の実施の形態に係るエレクトロクロミックミラー240の構成が概略的な断面図により示されている。
この図に示されるように、エレクトロクロミックミラー240では、前述の第2の実施の形態とは異なり、導電性膜28の表面側基板12の側の面にはカーボン膜30が形成されていない。また、電解液34に代わり電解液244が表面側基板12と裏面側基板24との間に封入されている。
【0063】
電解液244には、電解液34を構成する材質の他に、更に、還元反応補償手段を構成する酸化剤として、中性物質であるフェロセン(Fe(C)が含まれている。
【0064】
<第5の実施の形態の作用、効果>
本エレクトロクロミックミラー240では、スイッチ42をON状態に切り替えることで、上記(式1)の還元反応がエレクトロクロミック膜16で生じる際には、以下の(式5)に示されるように、電解液244に含まれるフェロセンが正の電荷を帯びる。これにより、上記の還元反応に応じた補償がなされる。
【0065】
Fe(C→〔Fe(C・・・(式5)
このように、本実施の形態では、エレクトロクロミック膜16における還元反応に対して補償反応が確実に生じるので、エレクトロクロミック膜16を着色するに際して印加する電圧を1.3Vと低くできる。このため、スイッチ42をOFF状態にして導電性反射膜68と導電性膜28とを短絡させると上記の(式1)及び(式2)とは逆向きの反応が生じ、エレクトロクロミック膜16が素早く消色される。
【0066】
以上のようなエレクトロクロミックミラー240を、例えば、車両における後方確認用のインナミラー(ルームミラー)やアウタミラー(ドアミラーやフェンダーミラー)等のミラー本体に用いると、昼間時にスイッチ42をOFF状態で維持して高い反射率で後方を確認でき、夜間時等に後方の車両がヘッドライトを点灯させている場合には、スイッチ42をON状態に切り換えてエレクトロクロミック膜16を着色し、反射率を低下させることで、ヘッドライトの反射光を低減でき、眩しさが低下する。
【0067】
なお、本実施の形態に係るエレクトロクロミックミラー240は、カーボン膜30を設けず、電解液34に代わり電解液244を用いた点以外は基本的に前記第2の実施の形態に係るエレクトロクロミックミラー60と構成が同じである。したがって、エレクトロクロミックミラー240は基本的にエレクトロクロミックミラー60と同様の作用を奏し、エレクトロクロミックミラー60と同様の効果を得ることもできる。
【0068】
なお、上記の第5の実施の形態は、第2の実施の形態の変形例であったが、第1の実施の形態、及び、第2の実施形態から第4の実施の形態の変形例とする構成としてもよい。
【実施例】
【0069】
以下、実施例により本発明のエレクトロクロミックミラーをその製造方法と共に詳細に説明するが、これら実施例の内容に本発明を限定解釈することを意図していない。
【0070】
<実施例1>
85×114mmのガラス基板上に、以下のようにしてエレクトロクロミック膜を形成した。即ち、市販の真空蒸着装置を用いて、三酸化タングステン(WO)を蒸着し、厚さ500nmの三酸化タングステンからなるエレクトロクロミック膜をガラス基板上に形成した。
【0071】
次に、上記得られたエレクトロクロミック膜に接して導電性光反射膜を形成した。即ち、市販のスパッタリング装置を用い、5at%のパラジウムを含む銀合金をターゲット材料として使用して、エレクトロクロミック膜上に厚さ50nmの導電性反射膜を形成した。尚、得られた導電性反射膜を構成する銀合金中のパラジウム濃度は5at%であった。
得られた導電性反射膜について、以下のようにして透孔を形成した。
即ち、形成された導電性反射膜の表面にフォトレジスト膜を形成し、透孔のパターンが印刷されたフォトマスクを通して露光し、透孔に対応したフォトレジストを除去し、エッチング液で導電性反射膜及びエレクトロクロミック膜をエッチング除去することにより、エレクトロクロミック膜及び導電性反射膜に直径5μmの透孔を形成した。このとき、エレクトロクロミック膜中の透孔と導電性反射膜中の透孔とは、図8に示すように互いに連通している。また、透孔の中心間距離(図8のL)は10μmであった。
【0072】
その一方、上記表面側基板と同じガラス基板を裏面側基板としても採用し、その表面に厚さ200nmのクロム(Cr)からなる導電性膜を、上記と同様にして蒸着により形成した。
次いでクロムからなる導電性膜上に、カーボン電極膜を形成した。即ち、グラファイト10質量%、カーボンブラック10質量%、活性炭70質量%及びセルロースバインダー10質量%からなるカーボン材料を適量の水と混合し、得られた混合材料を基板表面にドクターブレード法により塗布した。その後、180℃で1時間加熱し、厚さ約50μmのカーボン電極膜を形成した。
【0073】
その後、導電性膜の周縁部にエポキシ系樹脂から成るシール材を、乾燥後の厚さが0.5mmとなるように塗布し、そこへ、エレクトロクロミック膜、及び導電性反射膜を備える表面側基板を貼り合わせた。なお、この際、シール材からなる封止材には、電解液の注入口が形成される。その後、表面側基板、裏面側基板、及び封止材からなる空間を真空にした後、電解液の注入口から電解液を注入し、その後、注入口を封止した。
なお、本実施例で用いた電解液は、溶媒であるプロピレンカーボネートに、濃度100mMとなるように過塩素酸リチウムを加えたものを使用した。
以上のようにして、図7と同様の構造に構成された実施例1におけるエレクロトクロミックミラーを得た。
【0074】
<実施例2>
実施例1における導電性反射膜を構成する銀合金中のパラジウム濃度を、スパッタリング法に用いるターゲット材料のパラジウム濃度を10%とすることで、10at%に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2におけるエレクロトクロミックミラーを得た。
【0075】
<実施例3>
実施例1における導電性反射膜を構成する銀合金中のパラジウム濃度を、スパッタリング法に用いるターゲット材料のパラジウム濃度を15%とすることで、15at%に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例3におけるエレクロトクロミックミラーを得た。
【0076】
<実施例4>
実施例1における導電性反射膜を構成する銀合金中のパラジウム濃度を、スパッタリング法に用いるターゲット材料のパラジウム濃度を6%とすることで、6at%に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例4におけるエレクロトクロミックミラーを得た。
【0077】
<比較例1>
実施例1における導電性反射膜を銀単体(即ち、パラジウム濃度0at%)に変えた以外は、実施例1と同様にして、比較例1におけるエレクロトクロミックミラーを得た。
【0078】
<比較例2>
実施例1における導電性反射膜を構成する銀合金中のパラジウム濃度を、スパッタリング法に用いるターゲット材料のパラジウム濃度を4%とすることで、4at%に変えた以外は、実施例1と同様にして、比較例1におけるエレクロトクロミックミラーを得た。
【0079】
<評価>
−消色時の反射率の評価−
実施例及び比較例で得られたエレクロトクロミックミラーの消色時(電圧未印加時)の反射率を市販の反射率計を用いて測定した。
測定した消色時の反射率と銀合金中のパラジウムの濃度との関係を図13に示す。
【0080】
−着色時及び消色時の応答性の評価−
実施例及び比較例で得られたエレクトロクロミックミラーの未着色状態(消色状態)から着色状態へと変化するのに要する時間(着色時間)と、着色状態から未着色状態(消色状態)へと変化するのに要する時間(消色時間)とを測定した。
なお、着色状態と未着色状態は、電圧印加時の反射率(着色状態)と電圧未印加時の反射率(未着(消色)状態)とを予め測定することで区別した。また、本評価において、印加した電圧は、1.3Vであった。
測定した着色時の応答時間と銀合金中のパラジウムの濃度との関係を図14に示す。また、測定した消色時の応答時間と銀合金中のパラジウムの濃度との関係を図15に示す。
【0081】
図13に明らかなように、銀合金中のパラジウムの濃度が大きくなるほど、消色時の反射率が低くなっている。通常、反射率が55%〜60%が実用上の限界となることから、パラジウムの濃度の上限は15at%となることが分かる。
【0082】
また、図14及び図15に明らかなように、銀合金中のパラジウムの濃度が大きくなるほど、着色時間、及び消色時間のいずれもが短くなっている。特に、銀合金中のパラジウムの濃度が5at%を超えると、着色時間、及び消色時間のいずれもが短くなり、応答性に優れることが分かる。
【符号の説明】
【0083】
10 エレクトロクロミックミラー
16 エレクトロクロミック膜
18 導電性反射膜
28 導電性膜
30 カーボン膜
34 電解液
60 エレクトロクロミックミラー
68 導電性反射膜
70 透孔
80 エレクトロクロミックミラー
86 エレクトロクロミック膜
92 透孔
110 エレクトロクロミックミラー
118 導電性反射膜
120 第1導電性反射膜
122 第2導電性反射膜(導電性保護膜)
124 透孔
126 透孔
240 エレクトロクロミックミラー
244 電解液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パラジウムを5at%以上15at%以下で含む銀合金からなり、入射した光を反射すると共に、導電性を有する導電性反射膜と、
前記導電性反射膜の前記光の入射面側に設けられ、還元反応することで着色されるエレクトロクロミック膜と、
前記導電性反射膜の前記エレクトロクロミック膜とは反対側に設けられた導電性を有する導電性膜と、
リチウムイオンを含み、前記導電性膜と前記導電性反射膜との間に封入されて、前記導電性膜を正とし前記導電性反射膜を負として電圧を印加することで前記リチウムイオンが前記エレクトロクロミック膜の還元反応に供される電解液と、
を備えるエレクトロクロミックミラー。
【請求項2】
前記導電性反射層が、厚さ方向に貫通する微細な透孔を多数有するものである請求項1に記載のエレクトロクロミックミラー。

【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−95483(P2011−95483A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249010(P2009−249010)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【出願人】(504139662)国立大学法人名古屋大学 (996)
【Fターム(参考)】