説明

エレクトロルミネセントポリマー及びそれの使用

本発明は、少なくとも5モル%の式(1)の構造単位を含むエレクトロルミネセントポリマー及びそれの使用に関する。本発明のポリマーは、特にポリマー発光ダイオードにおける使用に関して、改善された効率とより長い寿命を示す。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、ポリマー、好ましくは少なくとも5モル%の式(1)の構造単位を含むエレクトロルミネセントポリマー及びそれの使用に関する。本発明によるポリマーは、特に、ポリマー有機発光ダイオードにおける使用に関して、改善された効率とより長い寿命を示す。
【0002】
ポリマー(有機)発光ダイオード(PLED)に基づく表示装置及び照明要素の商業化に関する広範な基礎的研究が、10年以上にわたり進行中である。この開発は、WO 99/13148 A1に記載された基礎的開発により刺激された。まず、たとえ簡単でも、製品(フィリップスN.V.からの髭剃り器の小表示装置)も近年市場で入手可能となった。しかしながら、これら表示装置を、現在市場で支配的である液晶表示装置(LCD)の真の競争者にするためには、いまだ顕著な改善が必要とされている。
【0003】
全ての3発光色を製造するためには、ある種のコモノマーを対応するポリマーに共重合化する必要がある。(例えば、WO 00/46321 A1、WO 03/020790 A2及びWO 02/077060 A1)このようにして、青色発光ベースポリマー(「主鎖」(バックボーン))から出発して、2つの他の原色である赤色及び緑色を一般的に製造することが更に可能となる。
【0004】
種々のクラスの材料が、フルカラー表示装置のためのポリマーとして、既に提案され開発されてきた。したがって、例えばポリフルオレン誘導体及びポリスピロビフルオレン、ポリジヒドロフェナントレン並びにポリインデノフルオレン誘導体の両方が検討されている。前記構造単位の組み合わせを含むポリマーをも既に提案されてきた。加えて、構造単位としてポリ-p-フェニレン(PPP)を含むポリマーが使用されてもいる。
【0005】
先行技術によるポリマーのいくつかは、PLEDでの使用に関して、良好な特性を既に示している。しかしながら、既に達成された進歩にもかかわらず、これらポリマ−は、高品質の応用のためにそれらになされる要請を未だ満足していない。
【0006】
特に、緑色及び特に青色発光ポリマーの寿命は、多くの応用で不適当である。同じことは、赤色発光ポリマーの効率についていえる。
【0007】
驚くべきことに、ポリマーの新規なクラスが、前記先行技術より優れた非常に良好な特性を有することが、今回見出された。それゆえ、本発明は、これらポリマーとそれらのPLEDでの使用に関する。新規な構造単位は、特にポリマー主鎖として適しているが、置換パターンに依存して、正孔伝導体、電子伝導体及び/又はエミッターとしても適している。
【0008】
エレクトロルミネセントポリマーにおけるフェナントレンの使用は公知であり、例えば、WO 02/077060 A1、WO 03/020790 A2及びDE 10337346 A1に開示されている。しかしながら、これらの構造要素は、莫大な数の他のモノマーと同様に、実際のポリマー主鎖に加えて可能な更なる要素として存在してもよいことが、そこでは一般的な言葉で挙げられているだけである。これら単位の特別の効果は記載されていない。加えて、それらが、非芳香族置換基により置換されていても、非置換でもよいことが、非常に一般的な言葉で記載されているだけである。しかしながら、非置換フェナントレン単位の使用は、不溶性ポリマーを生じ、これら単位がせいぜい少ない割合で使用し得ることを意味している。しかしながら、どの置換基が適しており、フェナントレン単位のどの位置で、これら置換基が好ましく結合するべきかは、これらの開示からは、明らかではない。それらは、先行技術において比較的少量でのコモノマーとして言及されているだけであるから、新規な構造単位が、ポリマー中で大量の割合で使用することに特に適していることは、同様に明確ではない。したがって、当分野の当業者には、いかにしてこれら単位が、効果的にエレクトロルミネセントポリマーで使用できるかは自明ではない。よって、フェナントレン単位の一般的開示は、偶然の開示とみなされるべきである。
【0009】
フェナントレン単位の9-若しくは9,10-位での置換及び3,6-位でのポリマーでの結合は、驚くべきことに、フェナントレン単位の他の位置での置換と比べて特に適していることが証明された。この選好は、この位置で置換された単位の特に良好な合成容易性及びより良好な光学的及び電子特性に基づくのもであるのかもしれない。
【0010】
本発明は、少なくとも5モル%の、好ましくは少なくとも10モル%の、特に好ましくは少なくとも30モル%の、特に、少なくとも50モル%の、式(1)の単位を含むポリマーに関する。
【化3】

【0011】
ここで、使用される記号及び添字は、以下の意味を有する:
Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、1〜40個のC原子を有する直鎖、分岐或いは環状アルキル鎖(各鎖は、Rにより置換されていてもよく、加えて、1以上の隣接しないC原子は、=N-R、-O-、-S-、-O-CO-O-、-CO-O-、-CR=CR-若しくは、-C≡C-で置き代えられていてもよく、但し、好ましくは、へテロ原子は、フェナントレン単位に直接結合しないものであり、加えて、1以上のH原子は、F、Cl、Br、I若しくはCNで置き代えられていてもよい)又は1以上のR基により置換されていてもよい、2〜40個のC原子を有する芳香族若しくは複素環式芳香族環構造であり;ここで、2個のR基は、互いに更なるモノ若しくはポリ環状、芳香族若しくは脂肪族環構造を形成するものであってもよく、但し、好ましくは、2個のR基の少なくとも一方は、Hではないものであり;
Xは、出現毎に同一であるか異なり、-CR=CR-、-C≡C-若しくは=N-Ar-であり、
Yは、出現毎に同一であるか異なり、1以上のRにより置換されていても、置換されていなくともよい、2〜40個のC原子を有する2価の芳香族若しくは複素環式芳香族環構造であり、
は、出現毎に同一であるか異なり、H、1〜22個のC原子を有する直鎖、分岐或いは環状アルキル若しくはアルコキシ鎖(各鎖は、Rにより置換されていてもよく、加えて、1以上の隣接しないC原子は、=N-R、-O-、-S-、-O-CO-O-、-CO-O-、-CR=CR-若しくは、-C≡C-で置き代えられていてもよく、加えて、1以上のH原子は、F、Cl、Br、I若しくはCNで置き代えられていてもよい)又は1以上の非芳香族R基により置換されていてもよい、5〜40個のC原子を有するアリール、ヘテロアリール、アリールオキシ若しくはヘテロアリールオキシ基であり;ここで、2以上のR基は、互いに及び/又はRと共に環構造を形成するものであってもよく;又はF、Cl、Br、I、CN、N(R、Si(R若しくはB(Rであり;
は、出現毎に同一であるか異なり、H又は1〜20個のC原子を有する脂肪族若しくは芳香族炭化水素基であり、
Arは、出現毎に同一であるか異なり、Rにより置換されていても、置換されていなくともよい、2〜40個のC原子を有する1価の芳香族若しくは複素環式芳香族環構造であり、
nは、出現毎に同一であるか異なり、0若しくは1であり;
mは、出現毎に同一であるか異なり、0、1若しくは2であり;そして
式(1)及び他の全ての式の点線の結合はここではポリマーでの連結を示す。ここでは、メチル基を表すつもりはない。
【0012】
説明から明らかであるが、式(1)の構造単位は非対称的に置換されてもよい、即ち異なる置換基R若しくはRが1つの単位に存在してもよく、又は置換基X及びYが、存在するならば、異なるものであってよく、若しくは一方だけにあってもよいことが、再度明示されるべきである。
【0013】
本発明の目的のために、芳香族若しくは複素環式芳香族環構造は、必ずしも芳香族若しくは複素環式芳香族基のみを含む構造ではなく、その代わりに、加えて、複数の芳香族若しくは複素環式芳香族基は、例えば、sp混成のC、O、N等のような短い非芳香族単位(H以外の原子は、10%より少なく、好ましくは、H以外の原子は、5%より少ない)により中断されていてもよい構造を意味するものと解されることを意図している。このように、例えば、9,9’-スピロビフルオレン、9,9-ジアリールフルオレン、トリアリールアミン等も、芳香族環構造と理解されることをも意図している。
【0014】
本発明の一面は、共役ポリマーに関する。本発明の更なる面は、非共役ポリマーに関する。本発明の一層更なる面は、部分共役ポリマーに関する。好ましいのは、共役若しくは部分共役ポリマーである。
【0015】
本発明の目的のために、共役ポリマーは、主としてsp混成の炭素原子を含み、加えて、主鎖中で、対応するヘテロ原子により置き代えられてよい。最も単純な場合には、これは、主鎖中の2重及び単結合の交互の存在を意味する。主として、共役への中断を生じる自然に生起する欠陥は、用語「共役ポリマー」を無効にはしない。更に、例えば、アリールアミン単位及び/又はある種のヘテロ環(即ち、N、O若しくはS原子による共役)及び/又は有機金属錯体(即ち、金属原子による共役)が主鎖内に位置するならば、用語共役は、本出願の文脈で同様に使用される。反対に、例えば、単純アルキル架橋、(チオ)エーテル、エステル、アミド若しくはイミド連結のような単位は、非共役セグメントとして、曖昧さなく定義される。部分共役ポリマーは、主鎖中の相対的に長い共役部分が非共役部分により中断されているポリマーか或いは主鎖中では非共役であるポリマーの側鎖に、相対的に長い共役部分を含むポリマーを意味するものと解される。
【0016】
本発明によるポリマーは、式(1)の単位に加えて更なる構成要素を含んでもよい。これらは、とりわけ、WO 02/077060 A1及びDE 10337346 A1に広範囲に挙げられ、開示されるようなものである。これらは、参照のために本発明の部分とみなされる。更なる構造単位は、例えば以下のクラスから生じるものであってよい。
【0017】
群1:ポリマーの正孔注入及び/又は正孔輸送特性を増加する単位;
群2:ポリマーの電子注入及び/又は電子輸送を増加する単位;
群3:群1及び群2からの個々の単位の組み合わせを有する単位;
群4:電子蛍光ではなく電子燐光を得ることができるような程度で、発光特性を変える単位;
群5:いわゆるシングレット状態からトリプレット状態への遷移を改善する単位;
群6:合成ポリマーの形態学及び/又は発光色に影響する単位;
群7:典型的には主鎖として使用される単位;
本発明の好ましいポリマーは、少なくとも1つの構成要素が電荷輸送特性を有するもの、即ち群1及び群2からの単位を含むものである。
【0018】
正孔輸送特性を有する群1からの構成要素は、例えば、トリアリールアミン、ベンジジン、テトラアリール-パラ-フェニレンジアミン、トリアリールホスフィン、フェノチアジン、フェノキサジン、ジヒドロフェナジン、チアントレン、ジベンゾ-パラ-ジオキシン、フェノキサチン、カルバゾール、アズレン、チオフェン、ピロール及びフラン誘導体及びさらに高HOMO(HOMO=最高占有分子軌道)を有する、O-、S-若しくはN-を含有するヘテロ環である。これらのアリールアミン及びヘテロ環は、ポリマー中で、好ましくは−5.8eV(真空レベルに対して)より大きい、特に好ましくは−5.5eVより大きいHOMOを生じる。
【0019】
電子輸送特性を有する群2からの構成要素は、例えば、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、オキサジアゾール、キノリン、キノキサリン及びフェナジン誘導体であるが、また、トリアリールボラン及び低LUMO(LUMO=最低非占有分子軌道)を有する、更なるO-、S-若しくはN-を含有するヘテロ環である。これらの単位は、ポリマー中で、好ましくは−2.7eV(真空レベルに対して)より小さい、特に好ましくは−3.0eVより小さいLUMOを生じる。
【0020】
正孔移動性及び電子移動性を増加する構造(即ち、群1及び群2からの単位)が互いに直接結合する群3からの単位を含むことが、本発明のポリマーのためには好ましいかもしれない。これら単位のいくつかは、エミッターとして役立ち、緑色、黄色若しくは赤色に発光色をシフトしてもよい。このように、それらの使用は、例えば、元々の青色発光ポリマーから他の発光色を生み出すために適している。
【0021】
群4による構造単位は、トリプレット状態から室温でさえも高効率で発光することができるものであり、即ち、電子蛍光ではなく電子燐光を示し、しばしばエネルギー効率の増加を引き起こす。この目的に適するものは、まず、36より大きい原子番号を有する重原子を含む化合物である。好ましいのは、前記条件を満足するd-若しくはf-遷移金属を含む化合物である。特に好ましいのは群8乃至10からの元素(Ru、Os、Rh、Ir、Pd、Pt)を含む対応する構造単位である。本発明によるポリマーのために適する構造単位は、ここで例えば、例えばWO 02/068435 A1、DE 10116962 A1、EP 1239526 A2及びDE 10238903 A1に記載される種々の錯体である。対応するモノマーは、WO 02/068435 A1及びDE 1010350606 A1に記載されている。
【0022】
群5からの構成要素は、シングレット状態からトリプレット状態への遷移を改善するものであり、群4からの構成要素のサポートに使用され、これら構成要素の燐光特性を改善する。この目的のために適するものは、特に、DE 10304819 A1及びDE 10328627 A1に記載されるカルバゾール及び架橋カルバゾール2量体単位である。また、この目的のために適するものは、DE 10349033 A1に記載されるケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシド、スルホン、シラン誘導体及び同様の化合物である。
【0023】
群6からの構成要素は、ポリマーの形態学及び/又は発光色に影響するものであり、上記言及されたものに加えて、上記群に属さない少なくとも1つの更なる芳香族或いは他の共役構造を有するもの、即ち、電荷担持移動性に関し少しの効果しか有さないか、有機金属錯体でないか、或いはシングレット-トリプレット遷移に何の影響も及ぼさないものである。このタイプの構成要素は、合成ポリマーの形態学及び/又は発光色に影響してもよい。それゆえ、その単位に依存して、それらは、エミッターとして使用することもできる。ここで好ましいものは、6〜40個のC原子を有する芳香族構造又はトラン、スチルベン若しくはビスチリルアリーレン誘導体であって、夫々は、1以上のR基によって置換されていてよい。ここで特に好ましいものは、1,4-フェニレン、1,4-ナフチレン、1,4-或いは9,10-アントリレン、1,6、2,7-或いは4,9-ピレニレン、3,9-或いは3,10-ペリレニレン、4,4’-ビフェニリレン、4,4’’-ターフェニリレン、4,4’-ビ-1,1’-ナフチリレン、4,4’-トラニレン、4,4’-スチルベニレン若しくは4,4’’-ビススチリルアリーレン誘導体の結合である。
【0024】
群7からの構成要素は、典型的にはポリマー主鎖として使用される、6〜40個のC原子を有する芳香族構造を含む単位である。これらは、例えば、4,5-ジヒドロピレン誘導体、4,5,9,10-テトラヒドロピレン誘導体、フルオレン誘導体、9,9’-スピロビフルオレン誘導体、9,10-ジヒドロフェナントレン誘導体、5,7-ジヒドロジベンゾオキセピン誘導体及びシス並びにトランスインデノフルオレン誘導体である。しかしながら、式(1)の単位の割合は、非常に特に好ましくは、少なくとも50モル%であることから、群7からのこれら構成要素は、ここで好ましくは主要なポリマーの主鎖としてではなく、その代わりより少ない割合で存在する主鎖としてせいぜい使用される。
【0025】
本発明によるポリマーの選好は、同時に式(1)の構造単位に加えて、追加的に群1乃至7から選ばれる1以上の単位を含む。同様に、同時に存在する群からの1以上の構造単位が選好されてもよい。
【0026】
式(1)の単位の割合は、好ましくは少なくとも10モル%、特に好ましくは少なくとも30モル%、そして特に少なくとも50モル%である。この選好は、特に式(1)の単位がポリマー主鎖であるならば適用される。他の機能の場合には、他の割合が選好されてもよく、例えば、エレクトロルミネセンスポリマーでの正孔伝導体或いはエミッターの場合は、約5〜20モル%の割合である。他の応用の場合には、例えば、有機トランジスターに対しては、好ましい割合は、再度異なってもよく、例えば、正孔或いは電子伝導単位の場合は、100モル%まででよい。
【0027】
本発明によるポリマーの好ましいものは、式(1)の構造単位に加えて、上記群からの少なくとも1つの構造単位をも含む。少なくとも2つの構造単位は、特に好ましくは上記言及したものの異なるクラスからのものである。存在するならば、これら構成要素の割合は、好ましくは各場合少なくとも5モル%、特に好ましくは各場合少なくとも10モル%である。特に、これら構造単位の1つは、正孔伝導単位の群から選択され、他の群は発光単位であり、これら2つの機能(正孔伝導および発光)は、同じ単位によりなされてもよい。
【0028】
しかしながら、発光単位、特に緑色及び赤色発光単位のより少ない割合が、例えば白色発光コポリマーの合成に対して、選好されてもよい。白色発光コポリマーが合成され得る方法は、DE 10343606 A1に詳細に記載されている。
【0029】
本発明によるポリマーは、一般的に10〜10,000、好ましくは50〜5000、特に好ましくは50〜2000の反復単位を含む。
【0030】
要求されるポリマーの溶解度は、とりわけ、存在する他の単位上に充てられる式(1)の単位上の置換基R若しくはRにより確保される。更なる置換基が存在するのならば、これらが溶解性に貢献してもよい。
【0031】
適切な溶解性を確保することを目的として、平均して少なくとも2個の非芳香族C原子が反復単位毎の置換基中に存在することが好ましい。ここで好ましいものは、少なくとも4個の、特に好ましいものは、少なくとも8個のC原子である。加えて、これらの個々のC原子は、O若しくはSにより置き代えられてもよい。しかしながら、反復単位のある割合が、更なる非芳香置換基を全く持たないことを意味することも、これに対して完全に可能である。
【0032】
フィルムの形態学を損うことを避けることを目的として、直鎖中に、12個より多いC原子を有する長鎖置換基を有さないことが好ましく、特に好ましくは8個より多いC原子、特に6個より多いC原子を有さないものが好ましい。
【0033】
非芳香族C原子は、例えば、式(1)に関するR若しくはRに対する説明にあるように、対応する直鎖、分岐若しくは環状アルキル或いはアルコキシ鎖中に存在する。
【0034】
本発明によるポリマーの好ましいものは、式(1)の単位である。
【0035】
Rは、出現毎に同一であるか異なり、2〜25個のC原子を有する直鎖、分岐或いは環状アルキル鎖(加えて各鎖は、1以上の隣接しないC原子が、=N-R、-O-、-S-、-O-CO-O-、-CO-O-、-CH=CH-若しくは-C≡C-で置き代えられていてもよく、但し、好ましくは、へテロ原子は、フェナントレン単位に直接結合しないものであり、加えて、1以上のH原子は、F若しくはCNで置き代えられていてもよい)又は1以上の非芳香族R基により置換さていてもよい、4〜20個のC原子を有する芳香族若しくは複素環式芳香族基であり;ここで、2個のR基は、一緒になって更なるモノ若しくはポリ環状、芳香族若しくは脂肪族環構造を形成するものであってもよく;
Xは、出現毎に同一であるか異なり、-CR=CR-、-C≡C-若しくは=N-Ar-であり、
Yは、出現毎に同一であるか異なり、1以上のRにより置換されていてもよい、4〜30個のC原子を有する2価の芳香族若しくは複素環式芳香族環構造であり、
は、出現毎に同一であるか異なり、H、1〜22個のC原子を有する直鎖、分岐或いは環状アルキル若しくはアルコキシ鎖(各鎖は、1以上の隣接しないC原子が、=N-R、-O-、-S-、-O-CO-O-、-CO-O-、-CH=CH-若しくは-C≡C-で置き代えられていてもよく、加えて、1以上のH原子は、F若しくはCNで置き代えられていてもよい)又は1以上の非芳香族R基により置換されていてもよい、5〜40個のC原子を有するアリール、ヘテロアリール、アリールオキシ若しくはヘテロアリールオキシ基であり;ここで、2以上のR基は、互いに及び/又はRと共にモノ若しくはポリ環状、芳香族若しくは脂肪族環構造を形成するものであってもよく;又はF、Cl、Br、I、CN、N(R、Si(R若しくはB(Rであり;
Arは、出現毎に同一であるか異なり、Rにより置換されていても、置換されていなくともよい、4〜30個のC原子を有する1価の芳香族若しくは複素環式芳香族環構造であり;
mは、出現毎に同一であるか異なり、0若しくは1であり、そして他の記号及び添字は、式(1)に関連する上記定義されるものと同じである。
【0036】
本発明によるポリマーの特に好ましいものは、式(1)の単位である。
【0037】
Rは、出現毎に同一であるか異なり、加えて、1以上の隣接しないC原子は、=N-R、-O-、-S-、-O-CO-O-、-CO-O-、-CH=CH-若しくは-C≡C-で置き代えられていてもよく、(但し、好ましくは、これらは、フェナントレン単位に直接結合しない)加えて、1以上のH原子は、Fで置き代えられていてもよい4〜20個のC原子を有する直鎖、分岐或いは環状アルキル鎖、特に好ましくは分岐アルキル鎖であり;ここで、2個のR基は、互いに一緒になって更なるモノ若しくはポリ環構造を形成するものであってもよく、
Xは、出現毎に同一であるか異なり、-CH=CH-、-C≡C-若しくは=N-Ar-であり、
Yは、出現毎に同一であるか異なり、1以上の非芳香族基Rにより置換されていてもよい、6〜25個のC原子を有する2価の芳香族若しくは複素環式芳香族環構造であり、
Arは、出現毎に同一であるか異なり、非芳香族基Rにより置換されていてもよい、4〜20個のC原子を有する1価のアリール若しくはヘテロアリール基であり、
mは、出現毎に同一であるか異なり、0若しくは1であり、そして、
他の記号及び添字は、上記定義と同じである。
【0038】
脂肪族基Rに対する選好は、合成ポリマーの更により良好な溶解性及びより良好な合成し易さに基づくものであってよい。
【0039】
置換パターンに依存して、式(1)の単位は、ポリマー中での種々の機能に特に適している。したがって、これら単位は、好ましくは、(電子伝導)ポリマー主鎖として、正孔伝導体として若しくはエミッターとして、使用することができる。どの機能に対してどの化合物が特に適しているかは、置換基X及びYにより特に決定される。置換基Rは、式(1)の単位の電子特性に、より少ない明白な影響を有する。
【0040】
したがって、ポリマー主鎖としての使用のために好ましいのは、nが出現毎に0であるもの、即ち純粋に芳香族構造単位であるものである。
【0041】
正孔輸送単位としての、式(1)の単位の使用のために好ましいのは、
nが、出現毎に同一であるか異なり、0若しくは1であり、ここで少なくとも1つのn=1であり;
mが、出現毎に同一であるか異なり、0、1若しくは2であり、ここで対応するn=1ならば、mは0でなく;
Xは、出現毎に、=N-Ar-であり;
即ち、これらは、フェナントレンのトリアリールアミン誘導体である。
【0042】
エミッターとしての、式(1)の単位の使用のために好ましいのは、
nが、出現毎に同一であるか異なり、0若しくは1であり、ここで少なくとも1つのn=1であり;
mが、出現毎に同一であるか異なり、0、1若しくは2であり、ここで対応するn=1ならば、mは0でなく;
Xは、出現毎に同一であるか異なり、-CR=CR-、-C≡C-若しくは=N-Ar-であり、ここで、少なくとも1つのXは、-CR=CR-若しくは-C≡C-であり;
即ち、これらは、追加的に、トリアリールアミン単位を含んでもよい、最も広い意味でのジアリールビニレン若しくはジアリールアセチレン誘導体である。
【0043】
式(1)の単位の更に好ましいものは、フェナントレン単位の9,10-位で対称的に置換されるものである。この選好は、モノマーのより良好な合成し易さに基づく。したがって、式(1)の単位において全てのRが同一であることが好ましく、特に好ましいものは同一に置換されもしているものである。この選好は、片側のみにある若しくは異なるものである置換基X及びYを排除しない。
【0044】
式(1)の単位の好ましい例は、次の構造(S1)乃至(S33)であって、各場合、ポリマーでの連結は、点線結合により示されるように、フェナントレン単位の3,6-位でなされる。明確性のために、可能な置換基は、一般的には示されておらず或いはどの場所にも示されない。Rに対して説明したように、ここで、アルキルは、一般的に脂肪族アルキル基を表し、アリールは、芳香族又は複素環式芳香族構造を表す。ここで、構造(S1)乃至(S18)は、主鎖単位の例であり、構造(S19)乃至(S30)は、発光単位の例であり、構造(S31)乃至(S33)は、正孔伝導単位の例である。
【化4−1】

【化4−2】

【化4−3】

【化4−4】

【化4−5】

【化4−6】

本発明によるポリマーは、ホモポリマーかコポリマーの何れかである。1以上の式(1)の構造に加えて、本発明のコポリマーは、場合によっては、例えば上記群1乃至7からの1以上の更なる構造を含んでもよい。
【0045】
本発明のコポリマーは、ランダム、交互或いはブロック様構造を有し、又は複数のこれら交互構造を有することができる。ブロック様構造を有するコポリマーを得ることができる方法は、例えば、DE 10337077 A1に詳細に記載されている。この公開明細書は、参照のために本出願に組み込まれる。
【0046】
複数の異なる構成要素の使用は、溶解性、固相形態学、色、電荷注入及び電荷輸送特性、温度安定性、電子光学特性等の特性を調整することを可能とする。
【0047】
本発明のポリマーは、1以上のタイプのモノマーの重合により一般的に調整され、少なくとも1つのモノマーは、ポリマー中で式(1)の単位を生じる。原則的に多くの対応する重合反応が存在する。しかしながら、C-C若しくはC-N連結を生成する少しのタイプが、ここでは特に役立つことが分かった。
【0048】
(A)鈴木重合;
(B)山本重合;
(C)スチル重合;
(D)ハートウイッグ-ブッフバルト重合
である。
【0049】
これらの方法により重合を行う方法及びポリマーを反応媒体から分離し純化する方法は、例えば、DE 10249273 A1に詳細に記載されている。
【0050】
本発明のポリマー中で式(1)の構造単位を生じるモノマーは、9-及び/又は10-位で適切に置換され、このモノマー単位がポリマー中に組み込まれることを可能にする3,6-位(若しくは、存在するならY上の適切な位置)での適切な官能基を有するフェナントレン誘導体である。
【0051】
ポリマー中で式(1)の単位を生じるモノマーは、新規であって、したがって同様に本発明の主題である。
【0052】
したがって、本発明は、更に式(2)の化合物に関する。
【化5】

【0053】
ここで、2個の官能基Aは、同一か異なり、C-C若しくはC-N連結反応条件下で共重合することを特徴とするものであり、他の記号と添字は、式(1)と同じ意味である。
【0054】
Aは、好ましくは、Cl、Br、I、O-トシレート、O-トリフレート、O-SO、B(OR)及びSn(Rから選択され、特に、好ましくはBr、I及びB(OR)から選択され、R基は、上記と同じ意味を有し、2以上のR基は互いに環構造を形成してもよい。
【0055】
C-C連結反応は好ましくは、鈴木カップリング、山本カップリング及びスチルカップリングから選択され、C-N連結反応は、好ましくは、ハートウイッグ-ブッフバルトカップリングである。
【0056】
式(2)の2官能化モノマー化合物に対して、式(1)の構造単位に対しての上記記載と同様に、選好が適用される。
【0057】
本発明によるポリマーを純粋物としてだけではなく、その代わりに全ての所望の更なるポリマー、オリゴマー、デンドリマー若しくは低分子量物質と一緒に、配合物として使用することが選好されてもよい。これらは、例えば、電子特性を改善し、シングレット状態からトリプレット状態への遷移に影響し、若しくはシングレット状態或いはトリプレット状態からそれ自身発光してもよい。しかしながら、電子的に不活性な物質も、例えば形成されたポリマーフィルムの形態学若しくはポリマー溶液の粘度に影響することを目的として適切であるかもしれない。したがって、本発明は、このタイプの配合物にも関する。
【0058】
本発明は、更に1以上の溶媒中に、1以上の本発明のポリマー或いは配合物を含む溶液及び処方に関する。ポリマー溶液を調製することができる方法は、例えば、WO 02/072714 A1、WO 03/019694 A2及びそこに引用された文献に記載されている。これらの溶液は、例えば、表面被覆法(例えば、スピンコート)或いは印刷方法(例えば、インクジェット印刷)により薄いポリマー層を製造することを目的として、使用することができる。
【0059】
本発明のポリマーは、PLEDに使用することができる。これらは、陰極、陽極、発光層及び随意に例えば好ましくは、正孔注入層及び随意に正孔注入層と発光層との間の中間層のような更なる層を含む。PLEDを製造することができる方法は、一般的方法として例えば、DE 10304819 A1に詳細に記載されており、個々の場合に応じて選択されるべきである。
【0060】
上記したように、本発明のポリマーは、PLED若しくはこの方法で製造される表示装置でのエレクトロルミネセンス材料に非常に特に適している。
【0061】
本発明の目的のために、エレクトロルミネセンス材料は、PLEDでの活性層として使用することのできる材料を意味するものと解される。活性層は、層が、電界の適用で発光することができるものであること(発光層)及び/又は層が、正及び/又は負電荷の注入及び/又は輸送を改善するものであること(電荷注入若しくは電荷輸送層)を意味するものと解される。それは、正孔注入層と発光層との間の中間層であってもよい。
【0062】
それゆえ、本発明は、本発明のポリマーのPLEDでの、特に、エレクトロルミネセンス材料での使用にも関する。
【0063】
したがって、本発明は、同様に、1以上の活性層を有し、これら活性層の少なくとも1つが1以上の本発明のポリマーを含む、PLEDに関する。活性層は、例えば、発光層及び/又は輸送層及び/又は電荷注入層及び/又は中間層であることができる。
【0064】
本発明のポリマーは、最も近い先行技術としてこれまで言及されたWO 03/020790 A2及びWO 02/077060 A1に記載されたポリスピロビフルオレン及びポリフルオレンを超えた以下の驚くべき効果を有する。
【0065】
(1)(その他の点で同一若しくは同様の組成を有する)本発明のポリマーは、応用でのより高い輝度効率を有することが見出された。これは、特に青色発光を示すコポリマーに適用される。これは、より低いエネルギー消費で同じ輝度を達成できることから重大な重要性を有するが、それは、特に電池に依存する移動用への応用(セルホン、ポケベル、PDA等のための表示装置)に非常に重要である。逆に、より高い輝度が同じエネルギーで達成され、例えば照明への応用に興味深いかもしれない。
【0066】
(2)更に、直接の比較でまた、本発明のポリマーは、特に緑色及び青色発光PLEDの場合に、より長い駆動寿命を有することが、驚くべきことに見出された。
【0067】
(3)本発明のポリマーは、溶解作用(例えば、所与の濃度でのゲル化温度、所与の濃度での粘度)に関して公知のポリマーと等価でもあり、或いはある場合には、より広範囲の溶媒でのより良好な溶解性を有し、それゆえ例えば印刷技術による溶液からの加工にちょうど適するし、或いはより高度に適している。
【0068】
(4)色の入手容易性と達成可能性は、従来技術と比べて、本発明のポリマーの場合には、等価かより優れている。特に、青色発光ポリマーの場合には、改善された色配置とより飽和した青色発光が観察される。
【0069】
(5)本発明のポリマーは、電子伝導性コモノマーを使用しないときでさえも、良好な電子伝導性を示す。ポリマー中での電子伝導特性は、先行技術の多くの電子伝導体は、高品質の応用に対しては、十分に安定ではないことから、これまでは、困難であり続けた。
【0070】
(6)式(1)の新規なポリマー主鎖は、それ自身暗青色発光を生じることから、ある発光単位に簡単に導入し、次いで更にポリマー中で青色発光を生じることができる。それによりポリマー中で電荷輸送と発光特性を分離することも簡単にできる。これは、安定なポリマーを得るために必要と思われる。しかしながら、ポリマー主鎖自身は同時に常に発光もしたことから、これはこれまでは困難なだけであった。
【0071】
本出願のテキスト及び以下の具体例も、PLED及び対応する表示装置に関する本発明のポリマー若しくは配合物の使用に向けられている。説明の制限にもかかわらず、当業者には、更なる発明段階を要することなく、ほんの少しの適用を言及される他の電子素子、例えば、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機太陽電池(O-SC)若しくは有機レーザーダイオード(O-laser)における更なる使用のために、本発明のポリマーを使用することが可能である。
【0072】
本発明は、同様に、本発明のポリマーの対応する素子への使用及びこれら素子それ自身に関する。
【0073】
本発明は、以下の実施例を参照してより詳細に説明されるが、それにより制限されることを望むものではない。
【0074】

例1:3,6-ジブロモ-9,10-ジメチルフェナントレンの合成
a)3,6-ジブロモ-9,10-ジヒドロキシ-9,10-ジメチル-9,10-ジヒドロフェナントレンの合成
【化6】

【0075】
34.3g(94ミリモル)の3,6-ジブロモフェナントレン-9,10-キノリンが、−10℃の600mlの無水THF中に、アルゴン下、懸濁され、141ml(282ミリモル)のメチルマグネシウムクロライド(THF中2モル溶液)に、内部温度が0℃を超えないような速度で滴下される。混合物は、引き続き室温で1晩中撹拌される。50mlの氷酢酸が、氷冷でバッチに添加され、バッチは、酢酸エチルで希釈される。2度飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄された後、混合物は、硫酸ナトリウムで乾燥され、溶媒が除去され、生成物が得られ、更なる純化をせずに次工程で使用される。
【0076】
b)3,6-ジブロモ-9-ケト-10,10-ジメチル-9,10-ジヒドロフェナントレンの合成
【化7】

【0077】
132.8g(294ミリモル)の3,6-ジブロモ-9,10-ジヒドロキシ-9,10-ジメチル-9,10-ジヒドロフェナントレンが、420mlの酢酸と210mlのトリフルオロ酢酸中にアルゴン下、懸濁され、還流下3時間撹拌される。混合物は、室温で1晩中撹拌され、吸引ろ過され、残留物は、水とメタノールで洗浄され、トルエンに溶解され、溶液はシリカゲルでろ過され、溶媒が除去され、生成物が得られ、更なる純化をせずに次工程で使用される。
【0078】
c)3,6-ジブロモ-9-ヒドロキシ-10,10-ジメチル-9,10-ジヒドロフェナントレンの合成
【化8】

【0079】
2.16g(57ミリモル)の水素化リチウムアルミニウムが、加熱により乾燥されたフラスコに導入される。100mlのTHFが、氷冷で添加される。150mlのTHF中の43.4g(114ミリモル)の3,6-ジブロモ-9-ケト-10,10-ジメチル-9,10-ジヒドロフェナントレンが、次いで滴下され、混合物は、引き続き還流される。混合物は、室温で1晩中冷却されるままにされ、その後2mlの水が注意深く添加される。15分間撹拌後、2mlの15%NaOHが添加され、混合物は、15分間撹拌され、6mlの水が滴下され、混合物は、15分間撹拌される。得られた固形物は吸引ろ過され、THFで洗浄され、溶媒がろ液から除去され、生成物が得られ、更なる純化をせずに次工程で使用される。
【0080】
d)3,6-ジブロモ-9,10-ジメチルフェナントレンの合成
【化9】

【0081】
43.4g(113ミリモル)の3,6-ジブロモ-9-ヒドロキシ-10,10-ジメチル-9,10-ジヒドロフェナントレンが、610mlの酢酸中に懸濁される。酢酸中の780mgのヨウ素と3.5mlのHBrが添加され、懸濁液は還流される。混合物は、撹拌しながら1晩中冷却されるままにされる。生成物は、残留物の吸引ろ過及び水とエタノールでの洗浄により得られる。
【0082】
例2:3,6-ジブロモ-9,10-ビス(4-tert-ブチルフェニル)フェナントレンの合成
【化10】

【0083】
合成は、メチルマグネシウムクロライドに代えて、4-tert-ブチルフェニルマグネシウムクロライドを使用して、例1と同様になされる。生成物は、トルエンから及びクロロベンゼンからの反復再結晶化により純化される。
【0084】
例3:ポリマーの合成
ポリマーが、WO 03/048225に記載された鈴木カップリングにより合成される。合成されたポリマーP1乃至P3の組成が、表1に示される。加えて、ポリマー中の式(1)の単位を生じるモノマーM1及びM2に代えて、モノマーM4及び/又はM5を含む比較例のポリマーC1及びC2が合成される。これら比較例のポリマーの組成は、表1に同様に示される。
【0085】
例4:PLEDの製造
ポリマーは、PLEDでの使用に対して調査される。PLEDは、各場合2層システム即ち基板/ITO/PEDOT/ポリマー/陰極である。PEDOTは、ポリチオフェン誘導体(H.C.Stark,GoslarからのBaytron P)である。全ての場合で使用された陰極は、Ba/Ag(Aldrich)である。PLEDが製造される方法は、WO 04/037887及びそこに引用された文献に詳細に記載されている。
【0086】
例5乃至9:素子例
PLEDにおけるポリマーP1乃至P3の使用で得られた結果が、表1に示される。また、比較例のポリマーC1乃至C2を使用して得られたエレクトロルミネセンス結果も示される。
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも5モル%の式(1)の単位を含むポリマー。
【化1】

ここで、使用される記号及び添字は、以下の意味を有する:
Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、1〜40個のC原子を有する直鎖、分岐或いは環状アルキル鎖(各鎖は、Rにより置換されていてもよく、加えて、1以上の隣接しないC原子は、=N-R、-O-、-S-、-O-CO-O-、-CO-O-、-CR=CR-若しくは、-C≡C-で置き代えられていてもよく、加えて、1以上のH原子は、F、Cl、Br、I若しくはCNで置き代えられていてもよい)又は1以上のR基により置換されていてもよい、2〜40個のC原子を有する芳香族若しくは複素環式芳香族環構造であり;ここで、2個のR基は、互いに更なるモノ若しくはポリ環状、芳香族若しくは脂肪族環構造を形成するものであってもよく;
Xは、出現毎に同一であるか異なり、-CR=CR-、-C≡C-若しくは=N-Ar-であり、
Yは、出現毎に同一であるか異なり、1以上のRにより置換されていても、置換されていなくともよい、2〜40個のC原子を有する2価の芳香族若しくは複素環式芳香族環構造であり、
は、出現毎に同一であるか異なり、H、1〜22個のC原子を有する直鎖、分岐或いは環状アルキル若しくはアルコキシ鎖(各鎖は、Rにより置換されていてもよく、加えて、1以上の隣接しないC原子は、=N-R、-O-、-S-、-O-CO-O-、-CO-O-、CR=CR-若しくは、-C≡C-で置き代えられていてもよく、加えて、1以上のH原子は、F、Cl、Br、I若しくはCNで置き代えられていてもよい)又は1以上の非芳香族R基により置換されていてもよい、5〜40個のC原子を有するアリール、ヘテロアリール、アリールオキシ若しくはヘテロアリールオキシ基であり;ここで、2以上のR基は、互いに及び/又はRと共に環構造を形成するものであってもよく;又はF、Cl、Br、I、CN、N(R、Si(R若しくはB(Rであり;
は、出現毎に同一であるか異なり、H又は1〜20個のC原子を有する脂肪族若しくは芳香族炭化水素基であり、
Arは、出現毎に同一であるか異なり、Rにより置換されていても、置換されていなくともよい、2〜40個のC原子を有する1価の芳香族若しくは複素環式芳香族環構造であり、
nは、出現毎に同一であるか異なり、0若しくは1であり;
mは、出現毎に同一であるか異なり、0、1若しくは2であり;
点線の結合はここではポリマーでの連結を示す。
【請求項2】
共役もしくは部分共役ポリマーであることを特徴とする、請求項1記載のポリマー。
【請求項3】
式(1)の単位に加えて、更なる構成要素を含むことを特徴とする、請求項1又は2記載のポリマー。
【請求項4】
正孔注入及び/又は正孔輸送特性を増加する更なる構成要素が、トリアリールアミン、ベンジジン、テトラアリール-パラ-フェニレンジアミン、トリアリールホスフィン、フェノチアジン、フェノキサジン、ジヒドロフェナジン、チアントレン、ジベンゾ-パラ-ジオキシン、フェノキサチン、カルバゾール、アズレン、チオフェン、ピロール及びフラン誘導体及びさらに高HOMOを有する、O-、S-若しくはN-を含有する複素環の群から選択されることを特徴とする、請求項1乃至3何れか1項記載のポリマー。
【請求項5】
電子注入及び/又は電子輸送特性を増加する更なる構成要素が、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、オキサジアゾール、キノリン、キノキサリン及びフェナジン誘導体であり、また、トリアリールボラン及びさらに低LUMOを有する、O-、S-若しくはN-を含有する複素環の群から選択されることを特徴とする、請求項1乃至4項の何れか1項記載のポリマー。
【請求項6】
更なる構成要素が、請求項4又は5項記載の個々の単位の組み合わせを有することを特徴とする請求項1乃至5何れか1項記載のポリマー。
【請求項7】
更なる構成要素が、電子蛍光ではなく電子燐光を得ることができるような程度で、発光特性を変えることを特徴とする請求項1乃至6何れか1項記載のポリマー。
【請求項8】
シングレット状態からトリプレット状態への遷移を改善する更なる構成要素が、カルバゾール及び架橋カルバゾール2量体単位、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシド、スルホン及びシラン誘導体のクラスから選択されることを特徴とする、請求項1乃至7何れか1項記載のポリマー。
【請求項9】
ポリマーの形態学及び/又は発光色に影響する更なる構成要素が、1,4-フェニレン、1,4-ナフチレン、1,4-或いは9,10-アントリレン、1,6-、2,7-或いは4,9-ピレニレン、3,9-或いは3,10-ペリレニレン、4,4’-ビフェニリレン、4,4’’-ターフェニリレン、4,4’-ビ-1,1’-ナフチリレン、4,4’-トラニリレン、4,4’-スチルベニレン若しくは4,4’’-ビススチリルアリーレン誘導体のクラスから選択されることを特徴とする、請求項1乃至8何れか1項記載のポリマー。
【請求項10】
典型的には主鎖として使用される更なる構成要素が、4,5-ジヒドロピレン誘導体、4,5,9,10-テトラヒドロピレン誘導体、フルオレン誘導体、9,9’-スピロビフルオレン誘導体、9,10-ジヒドロフェナントレン誘導体、5,7-ジヒドロジベンゾオキセピン誘導体並びにシス及びトランスインデノフルオレン誘導体のクラスから選択されることを特徴とする、請求項1乃至9何れか1項記載のポリマー。
【請求項11】
式(1)の単位の割合が、少なくとも10モル%であることを特徴とする、請求項1乃至10何れか1項記載のポリマー。
【請求項12】
式(1)の単位に加えて、ポリマーが、請求項4乃至10何れか1項記載の異なるクラスからの少なくとも2個の構成要素を含むことを特徴とする、請求項1乃至11何れか1項記載のポリマー。
【請求項13】
これらの構造単位の1つが、正孔伝導単位から選ばれ、その他の構造単位が発光単位から選ばれることを特徴とする、請求項1乃至12何れか1項記載のポリマー。
【請求項14】
主鎖として式(1)の単位を含み、nが、出現毎に0であることを特徴とする、請求項1乃至13何れか1項記載のポリマー。
【請求項15】
正孔輸送単位として式(1)の単位を含み、
nが、出現毎に同一であるか異なり、0若しくは1であって、少なくとも1つのn=1であり;
mが、出現毎に同一であるか異なり、0、1若しくは2であって、対応するn=1であるならばmは0でなく;そして、
Xが、出現毎に=N-Ar-であることを特徴とする、請求項1乃至14何れか1項記載のポリマー。
【請求項16】
エミッターとして式(1)の単位を含み、
nが、出現毎に同一であるか異なり、0若しくは1であって、少なくとも1つのn=1であり;
mが、出現毎に同一であるか異なり、0、1若しくは2であって、対応するn=1であるならばmは0でなく;そして、
Xが、-CR=CR-、-C≡C-若しくは=N-Ar-であって、少なくとも1つのXは、-CR=CR-若しくは-C≡C-であることを特徴とする、請求項1乃至15何れか1項記載のポリマー。
【請求項17】
式(1)の単位が、フェナントレン単位の9,10-位で対称的に置換されていることを特徴とする、請求項1乃至16何れか1項記載のポリマー。
【請求項18】
鈴木重合、山本重合、スチル(STILLE)重合若しくはハートウイッグ-ブッフバルト(HARTWIG-BUCHWALD)重合により調製されることを特徴とする、請求項1乃至17何れか1項記載のポリマー。
【請求項19】
2個の官能基Aは同一であるか異なり、C-C若しくはC-N連結反応の条件下でコポリマー化し、そしてその他の記号及び添字は、請求項1で示すのと同じ意味を有する式(2)の化合物。
【化2】

【請求項20】
Aが、Cl、Br、I、O-トシレート、O-トリフレート、O-SO、B(OR)及びSn(Rから選択され、Rは、請求項1で示すのと同じ意味を有し、2以上のR基は互いに環構造を形成してもよいことを特徴とする、請求項19記載の式(2)の化合物。
【請求項21】
C-C連結反応は、鈴木カップリング、山本カップリング及びスチルカップリングから選択され若しくはC-N連結反応は、ハートウイッグ-ブッフバルトカップリングであることを特徴とする、請求項19又は20記載の式(2)の化合物。
【請求項22】
1以上の請求項1乃至18何れか1項記載のポリマーと更なるポリマー、オリゴマー、デンドリマー及び/又は低分子量物質との配合物。
【請求項23】
1以上の請求項1乃至18何れか1項記載のポリマー若しくは1以上の溶媒中の請求項22記載の配合物を含む溶液及び処方。
【請求項24】
請求項1乃至18何れか1項記載のポリマー、請求項22記載の配合物若しくは請求項23の溶液のポリマー発光ダイオードでの使用。
【請求項25】
これら活性層の少なくとも1つが、1以上の請求項1乃至18何れか1項記載のポリマー若しくは請求項22記載の配合物を含むことを特徴とする、1以上の活性層を有する有機電子素子。
【請求項26】
ポリマー発光ダイオード(PLED)、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機太陽電池(O-SC)、若しくは有機レーザーダイオード(O-laser)であることを特徴とする、請求項25の有機電子素子。
【請求項27】
ポリマー発光ダイオードであることを特徴とする、請求項25又は26記載の有機電子素子。

【公表番号】特表2009−504811(P2009−504811A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525414(P2008−525414)
【出願日】平成18年7月19日(2006.7.19)
【国際出願番号】PCT/EP2006/007105
【国際公開番号】WO2007/017066
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(597035528)メルク パテント ゲーエムベーハー (209)
【Fターム(参考)】