説明

エレクトロルミネッセンスホウ素錯体

新規なホウ素錯体は、青色発光ルミネッセンス化合物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロルミネッセンス物質およびエレクトロルミネッセンスデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
電流が流れたときに発光する物質は公知であり、ディスプレイに広範囲で応用されている。液晶デバイスおよび、無機半導体システムに基づいたデバイスは、広範囲に用いられているが、これらは高いエネルギー消費、製造時の高コスト、低い量子効率およびフラットパネルディスプレイをつくることができないという見地に鑑みて不利である。
【0003】
有機ポリマーはエレクトロルミネッセンスデバイスにおいて有用であるとの提案がなされてきたが、純色を得ることができず、製造コストが高く、また、比較的低い効率である。
【0004】
別に提案された化合物としては、アルミニウムキノラート(aluminium quinolate)があるが、色の範囲を得るためには添加共存物質(ドーパント; dopants)が必要となり、また、比較的低い効率である。
【0005】
特許出願 WO98/58037号は、改良された特性とよりよい結果を与えるエレクトロルミネッセンスデバイスにおいて用いることができる、ランタノイドおよび遷移金属の錯体の範囲を開示している。特許出願 PCT/GB98/01773号、PCT/GB99/03619号、PCT/GB99/04030号、PCT/GB99/04024号、PCT/GB99/04028号、PCT/GB00/00268号 において、希土類元素のキレートを用いたエレクトロルミネッセンス錯体、構造およびデバイスが開示されている。
【0006】
米国特許 5128587号は、高い仕事関数の透明電極と、エレクトロルミネッセンス層と前記の高い仕事関数の透明電極との間に置かれた正孔伝導層、および、前記エレクトロルミネッセンス層と電子注入低仕事関数カソードとの間に置かれた電子伝導層、を有する低い仕事関数の第二電極との間に挟まれた、ランタノイド系列の希土類元素の有機金属錯体から成る、エレクトロルミネッセンスデバイスを開示している。前記正孔伝導層および前記電子伝導層は、前記デバイスのはたらきと効率を改善するために必要とされる。前記正孔伝導層は、正孔を伝送し、かつ電子を阻止するため、正孔と再結合していない電子は前記電極内へ入ることができない。これらキャリアーの再結合は、主に前記放射層(the emitter layer)で起こる。
【0007】
この参照により開示に含まれる米国特許 6,287,713号および 6,368,731号は、 8-アミノキノラート誘導体( 8-aminoquinolate derivatives ) を有するホウ素錯体であるエレクトロルミネッセンス化合物を開示している。
【発明の開示】
【0008】
われわれは、新規なエレクトロルミネッセンスホウ素錯体を発明した。
本発明により、以下の構造式のホウ素化合物が提供される。
【0009】
【化5】

ここで、式中の、
Ar1は、非置換もしくは置換の単環または多環のヘテロアリール基であって、矢印で指されているホウ素原子と配位結合を形成するひとつの環員窒素原子と、オプションとして前記のひとつの環員窒素原子に隣接しないことを条件とするひとつもしくは複数の付加環員窒素原子とを、有するヘテロアリール基を示す。また、 X および Z は、炭素原子もしくは窒素原子であり、且つ、 Y は、炭素原子、または、 X および Z のいずれも窒素原子ではないときには窒素原子とすることができる。また、前記置換基が存在する場合には、前記置換基は置換および非置換ヒドロカルビル基、置換および非置換ヒドロカルビルオキシ基( hydrocarbyloxy ) 、フルオロカーボン、ハロ ( halo )、ニトリル ( nitrile)、アミノアルキルアミノ基( amino alkylamino )、ジアルキルアミノ基、もしくはチオフェニル基、から選択することができる。また、
Ar2は、単環もしくは多環アリール基またはヘテロアリール基であって、置換および非置換ヒドロカルビル基、置換および非置換ヒドロカルビルオキシ基、フルオロカーボン、ハロ、ニトリル、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、もしくはチオフェニル基、から選択される、ひとつもしくは複数の置換基を任意に持つことができる。
【0010】
R1 は、水素原子、置換もしくは非置換ヒドロカルビル基、ハロヒドロカルビル基 ( halohydrocarbyl )、またはハロを示す。また、
R2 および R3 は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基 ( cycloalkylalkyl )、ハロアルキル基、ハロ、あるいは、単環もしくは多環のアリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、またはヘテロアラルキル基であって、任意に、ひとつもしくは複数のアルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、ハロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロ、ニトリル、アミノ基、アルキルアミノ基、またはジアルキルアミノ基で置換することができる。
【0011】
Ar1 は、典型的には、環員ヘテロ原子が窒素原子である単環もしくは二環のヘテロアリール基であって、例えば、非置換の、あるいは、ひとつもしくは複数のシクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、ハロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロ、ニトリル、アミノ基、アルキルアミノ基、またはジアルキルアミノ基で置換されている、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジニル基、キノリニル基( quinolinyl )、イソキノリニル基、キノキサリニル基( quinoxalinyl )、もしくはキナゾリニル基(quinazolinyl)である。好ましくは、置換基は、アルキル基、ハロカーボン、もしくはハロ置換基から選択され、例えば、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、もしくはフルオロ基である。
【0012】
Ar2 は、典型的には、単環もしくは多環のアリール基であって、フェニル基もしくはナフチル基が頻用されるが、さらに、例えば、非置換の、あるいは、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、ハロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロ、ニトリル、アミノ基、アルキルアミノ基、またはジアルキルアミノ基で置換されている、アントラセニル基( anthracenyl )、フェナントレニル基( phenanthrenyl )、ピレニル基、もしくはペリレニル基( perylenyl )、であるフルオレニル基、および、2-6 多環アリール基 ( 2-6 polycyclic aryl )も用いられる。好ましい置換基は、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、フルオロ基、およびニトリルを含む。
【0013】
R1 は、通常は水素原子であるが、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、ハロアルキル基、ならびに、単環もしくは多環の、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、およびヘテロアラルキル基、も用いることができる。好ましい非水素原子置換基は、メチル基、トリフルオロメチル基、および、フルオロ基である。
【0014】
R2 および R3 は、典型的には、フェニル基、あるいは、例えばメチル基もしくはエチル基である C1- C4 アルキル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、またはフルオロ基によって4位が置換された4位置換フェニル基、である。 R2 および R3 の基は、例えばジメチルボリン酸 (dimethylborinic acid )、無水ジメチルボリン酸、ジエチルボリン酸、無水ジエチルボリン酸、ジシクロヘキシルボリン酸、無水ジシクロヘキシルボリン酸、ジフェニルボリン酸、無水ジフェニルボリン酸、ジ-p-トリルボリン酸 ( di-p-tolylborinic acid )(米国特許 2002/0161230, Meudt et al, Clariant Corporation を参照のこと)、ならびに、ビス(ペンタフルオロフェニル)ボリン酸およびその無水物、からの誘導体とすることもできる。
【0015】
本発明の別の範囲においては、以下の構造式のホウ素錯体が提供される。
【0016】
【化6】

ここで、式中の、
Ph は、非置換もしくは置換のフェニル基であって、水素原子、ならびに、置換および非置換脂肪族基のような置換および非置換ヒドロカルビル基、置換および非置換芳香族基、複素環構造および多環構造、トリフルオリルメチル基( trifluoryl methyl groups )のようなフルオロカーボン、フッ素原子のようなハロゲン、あるいはチオフェニル基から選択される、同一もしくは異なった置換基を持つことができる。また、
R 、 R1 および R2 は、水素原子、あるいは、置換および非置換芳香族基のような置換もしくは非置換ヒドロカルビル基、複素環構造および多環構造、フルオロ基、トリフルオリルメチル基( trifluoryl methyl groups )のようなフルオロカーボン、フッ素原子のようなハロゲン、またはチオフェニル基、またはニトリル、とすることができる。
【0017】
構造式(Ia)における、 R および/もしくは R1 および/もしくは R2および/もしくは R3 の例は、脂肪族基、芳香族および複素環のアルコキシ基およびアリールオキシ基およびカルボキシ基、置換および置換のフェニル基、フルオロフェニル基、ビフェニル基、フェナントレン基、アントラセン基、ナフチル基およびフルオレン基、ならびに、t-ブチル基のようなアルキル基、ならびにカルバゾールのような複素環基、を含む。
【0018】
上述した化合物の置換基は、前記化合物が、120〜250℃の温度の真空中(例えば 10-5 〜 10-7 Torr)において、分解することなく昇華するように選択するのが有用である。
本発明のさらなる態様では、以下の構造式のジケトンの縮合反応を含む、上述した構造式(I)の化合物の製造プロセスも提供する。
【0019】
【化7】

前記ジケトンにヒドラジンを加えることにより、以下の構造式のピラゾールが得られる。
【0020】
【化8】

そして前記ピラゾールを、構造式R2R3BOH のボリン酸、もしくは、構造式 R2R3BOBR3R2 の無水ボリン酸によってエステル化して、構造式(I)の化合物を得る。ここで、式中の原子 X および Y および Z と、環 Ar1および Ar2 と、置換基 R1 〜 R3 は、構造式(I)と同一の定義下にある。
【0021】
前記ジケトンの出発物質は、1,3-ジオンを生成する標準的な方法、例えば、対応する非置換もしくは置換の単環または多環のヘテロアリールカルボン酸のエステルと、対応する単環もしくは多環アリールエタノンまたは対応する単環もしくは多環のヘテロアリールエタノンとの、塩基性下の縮合反応による方法、によって合成することができる。
【0022】
本発明は、第一電極、エレクトロルミネッセンス物質層、および第二電極、を含み、前記エレクトロルミネッセンス物質が構造式(I)もしくは(Ia)の錯体である、エレクトロルミネッセンスデバイスも提供する。
【0023】
前記エレクトロルミネッセンス物質の層の厚さは、10〜250nm であるのが好ましく、20〜75nm であるのがさらに好ましい。
前記第一電極はアノードとして機能し、且つ、前記第二電極はカソードとして機能し、好ましくは、正孔伝送物質の層が、前記アノードと前記エレクトロルミネッセンス物質層との間に存在する。
【0024】
前記正孔伝送物質は、現在エレクトロルミネッセンスデバイスに使用されている任意の正孔伝送物質とすることができる。
例えば、 a-NBP 、ポリ(ビニルカルバゾール)、 N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(3-メチルフェニル)-1,1'-ビフェニル-4,4'-ジアミン(TPD)、アミノ基置換芳香族化合物の非置換もしくは置換ポリマー、ポリアニリン、置換ポリアニリン類、ポリチオフェン類、置換ポリチオフェン類、ポリシラン類など、といったアミン錯体とすることができる。ポリアニリン類の例は、以下の構造式の化合物のポリマーである。
【0025】
【化9】

ここで、式中の R は、オルト位またはメタ位の、水素原子、C1-18 アルキル基、C1-6 アルコキシ基、アミノ基、クロロ基、ブロモ基、ヒドロキシ基、もしくは、以下の構造式の基である。
【0026】
【化10】

ここで、式中の R はアルキル基もしくはアリール基であり、且つ、 R' は、水素原子、C1-6 アルキル基、もしくは、上述の構造式(I)の他のモノマーを少なくともひとつ有するアリール基、である。
【0027】
または、前記正孔伝送物質はポリアニリンとすることができる。本発明に用いることができるポリアニリン類は、以下の一般の構造式を有する。
【0028】
【化11】

ここで、式中の p は1から10の数であり、 n は1から20の数であり、 R は上述したものであり、且つ、 X は、好ましくは Cl、 Br、 SO4、 BF4 、 PF6 、 H2PO3 、 H2PO4 、アリールスルホナート ( arylsulphonate )、アレーンジカルボキシラート ( arenedicarboxylate )、ポリスチレンスルホナート( polystyrenesulphonate )、アルキルスルホン酸ポリアクリラート ( polyacrylate alkysulphonate )、ビニルスルホナート( vinylsulphonate )、ビニルベンゼンスルホナート ( vinylbenzene sulphonate )、セルローススルホナート、ショウノウスルホナート、セルローススルホナート、もしくは過フッ化ポリアニオン、から選択されるアニオンである。アリールスルホナート類の例としては、 p-トルエンスルホナート、ベンゼンスルホナート、 9,10-アントラキノンスルホナート、およびアントラセンスルホナートがある。アレーンジカルボキシラートの例はフタラート( phthalate )であり、アレーンカルボキシラートの例はベンゾアートである。
【0029】
われわれは、ポリアニリンのような、アミノ基置換された芳香族化合物の非置換もしくは置換のポリマーの、プロトン化したポリマーが、蒸着困難もしくは蒸着不可能であることを見出した。しかしながら、アミノ基置換された芳香族化合物の、非置換もしくは置換ポリマーを脱プロトン化すると、容易に蒸着でき、すなわちその(ポリマーの)ポリマーも蒸着可能であるということを発見した。
【0030】
アミノ基置換された芳香族化合物の、非置換もしくは置換ポリマーの、蒸着可能な脱プロトン化ポリマーを用いるのが好ましい。前記のアミノ基置換された芳香族化合物の、脱プロトン化された非置換もしくは置換ポリマーは、水酸化アンモニウム、または、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムのような水酸化アルカリ金属といったアルカリで処理することによって、前記ポリマーを脱プロトン化して合成する。プロトン化の程度は、プロトン化ポリアニリンの形成と脱プロトン化によって制御できる。ポリアニリンの処理方法は、文献 A. G. MacDiarmid and A. F. Epstein, Faraday Discussions, Chem Soc.88 P319 1989 に開示されている。前記ポリアニリンの電気伝導度は、プロトン化の程度に依存し、電気伝導度が最大となるのは、プロトン化の程度が40%から60%の間であるときであり、例えば、約50%のときである。前記ポリマーは、実質的にすべて脱プロトン化するのが好ましい。
【0031】
ポリアニリンはオクタマー単位(p=4)をとることができ、例えば、以下の構造式となる。
【0032】
【化12】

前記ポリアニリンは、1x10-1Siemen cm-1 のオーダーか、さらにそれ以上の伝導度を持つことができる。前記芳香環は、非置換であるか、または、例えばエチル基のような炭素数が1〜20のアルキル基による置換をすることができる。
【0033】
前記ポリアニリンは、アニリンのコポリマーとすることができ、また、好ましいコポリマーは、o-アニシジン(o-anisidine )、m-スルファニル酸( m-sulphanilic acid )、もしくは o-アミノフェノールとアニリンとのコポリマー、または、o-アミノフェノール、o-エチルアニリン、もしくは o-フェニレンジアミンと、o-トルイジン(o-toluidine )とのコポリマー、または、アミノアントラセン類、 o-トルイジン、 o-エチルアニリン、 m-トルイジン、 m-エチルアニリンなどのコポリマー、である。
【0034】
使用できるアミノ基置換芳香族化合物の他のポリマーは、置換もしくは非置換のポリアミノナフタレン類、ポリアミノアントラセン類、ポリアミノフェナントレン類など、および、他の任意の縮合ポリ芳香族化合物のポリマー、を含む。ポリアミノアントラセン類およびその合成方法は、米国特許 6,153,726号に開示されている。前記の芳香環は、非置換であるか、もしくは、例えば上述で定義した基 R によって置換することができる。
【0035】
他の正孔伝送物質としては、共役ポリマー、ならびに、米国特許 5807627号、PCT/WO90/13148 、PCT/WO92/03490 に開示もしくは参照されている任意の共役ポリマーを用いた共役ポリマー、がある。好ましい共役ポリマーとしては、ポリ(p-フェニレンビニレン) ( poly(p-phenylenevinylene); PPV)、および、PPVを含むコポリマーである。他の好ましいポリマーは、ポリ[(2-メトキシ-5-(2-メトキシペンチルオキシ-1,4-フェニレンビニレン)] (poly[(2-methoxy-5-(2-methoxypentyloxy-1,4-phenylene vinylene)] )、ポリ(2-メトキシペンチルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン) (poly(2-methoxypentyloxy)-1,4-phenylenevinylene) )、ポリ(2-メトキシ-5-(2-ドデシルオキシ-1,4-フェニレンビニレン) (poly(2-methoxy-5-(2-dodecyloxy-1,4-phenylenevinylene) )といったポリ(2,5ジアルコキシフェニレンビニレン) (poly(2,5dialkoxyghenylene vinylene) )、ならびに、アルコキシ基、ポリフルオレン類およびオリゴフルオレン類、ポリフェニレン類およびオリゴフェニレン類、ポリアントラセン類およびオリゴアントラセン類、ポリチオフェン類およびオリゴチオフェン類、に可溶である少なくともひとつの長鎖アルコキシ基を持つ、他のポリ(2,5ジアルコキシフェニレンビニレン) 、である。PPVにおいては、フェニレン環は、例えば、好ましくはメチル基であるアルキル基、好ましくはメトキシ基もしくはエトキシ基であるアルコキシ基から、それぞれ独立に選択される基であるひとつまたは複数の置換基を任意に持つことができる。
【0036】
ポリ(フルオレン) においては、フルオレン環は、例えば、好ましくはメチル基であるアルキル基、好ましくはメトキシ基もしくはエトキシ基であるアルコキシ基から、それぞれ独立に選択される基であるひとつまたは複数の置換基を任意に持つことができる。
【0037】
置換された誘導体を含む、任意の ポリ(アリーレンビニレン) (poly(arylenevinylene) )を使用することができ、また、 ポリ(p-フェニレンビニレン) 内のフェニレン環は、アントラセン環またはナフチレン環のような縮合環系に置き換えることができ、また、それぞれのポリフェニレンビニレン基中のビニレン基の数は、7個もしくはそれ以上に増やすことができる。
【0038】
前記の共役ポリマーは、米国特許5807627号 、PCT/WO90/13148 、PCT/WO92/03490 に開示されている方法で合成することができる。
前記正孔伝送層の厚さは、好ましくは、20nm〜200nmである。
【0039】
上記で言及したポリアニリン類のようなアミノ基置換芳香族化合物のポリマーは、例えば、アノードと前記正孔伝送層との間に在る他の正孔伝送物質と連携するもしくは接合する、バッファ層(buffer layer)として用いることができる。
【0040】
他の正孔伝送物質の構造式を、図3〜7に示す。ここで、式中の R1 、 R2 および R3 は、水素原子、ならびに、置換および非置換脂肪族基のような置換および非置換ヒドロカルビル基、置換および非置換芳香族基、複素環構造および多環構造、トリフルオリルメチル基( trifluoryl methyl groups )のようなフルオロカーボン類、フッ素原子のようなハロゲン類、もしくはチオフェニル基から選択する、同一であるかまたは異なる基であるか、あるいは、R1 、 R2 および R3 は、置換および非置換の縮合環芳香族基、複素環構造基および多環構造基を形成することができ、且つスチレンのようなモノマーと共重合できる。 X は、 Se 、 S もしくは O であり、 Y は、水素原子、置換および非置換芳香族基のような置換もしくは非置換ヒドロカルビル基、複素環構造および多環構造、フッ素原子、トリフルオリルメチル基( trifluoryl methyl groups )のようなフルオロカーボン類、フッ素原子のようなハロゲン類、またはチオフェニル基、またはニトリル、とすることができる。
【0041】
R1 および/または R2 および/または R3 の例は、脂肪族および芳香族および複素環の、アルコキシ基、アリールオキシ基、ならびにカルボキシ基、ならびに、置換および置換のフェニル基、フルオロフェニル基、ビフェニル基、フェナントレン基( phenanthrene )、アントラセン基(anthracene )、ナフチル基およびフルオレン基( fluorene )、ならびに、t-ブチル基のようなアルキル基、ならびに、カルバゾールのような複素環基、を含む。
【0042】
前記カソードと前記エレクトロルミネッセンス物質層との間に、電子注入物質の層を任意に置くことができる。前記電子注入物質は、前記電子注入物質中を電流が通過するときに電子を伝送する物質であって、TAZ(図2に構造式を示す)、または、例えば、ジルコニウムキノラート( Zrq4 )、亜鉛キノラート、アルミニウムキノラート、リチウムキノラート、もしくは Mx(DBM)n (式中の Mx は金属であり、 DBM はジベンゾイルメタンであり、 n は Mx の原子価である。例えば、 Mx はアルミニウムもしくはクロムである)のような金属錯体を含む物質である。
【0043】
DBM 基の代りに、シッフ塩基(a Schiff base)を用いることもできる。
前記電子注入物質は、9,10-ジシアノアントラセン ( 9,10 dicyanoanthracene )のようなシアノアントラセン、シアノ基置換芳香族化合物、テトラシアノキニドジメタン( tetracyanoquinidodimethane )、ポリスチレンスルホナート( a polystyrene sulphonate )、または、図1もしくは2に示した構造式においてフェニル環を上述で定めた置換基 R によって置換したもの、といった化合物とすることもできる。隔壁層(a separate layer)を置く代わりに、前記電子注入物質を前記エレクトロルミネッセンス物質と混合し、且つ、共に析出させることができる。
【0044】
任意に、前記正孔伝送物質は、前記エレクトロルミネッセンス物質と混合し且つ共に析出させることができ、且つ、前記電子注入物質と前記エレクトロルミネッセンス物質を混合することができる。構造の簡略化のために、前記正孔伝送物質および前記エレクトロルミネッセンス物質および前記電子注入物質を、共に混合してひとつの層とすることができる。
【0045】
前記アノードは、好ましくは、アノードとして機能する導電性ガラスもしくは導電性プラスチック物質のような透明な基層である。好ましい基層は、錫ドープ酸化インジウム( indium tin oxide )被覆ガラスのような導電性ガラスであるが、導電性があるか、または金属もしくは導電性ポリマーのような導電性層を持つ任意のガラスを用いることもできる。導電性ポリマーおよび、導電性ポリマー被覆ガラスもしくはプラスチック物質は、前記の基層としても用いることができる。前記カソードは、例えばアルミニウム、バリウム、希土類金属類、遷移金属類、カルシウム、リチウム、マグネシウム、および、銀/マグネシウム合金、希土類金属合金などのようなこれらの合金、である、低い仕事関数の金属であるのが好ましい。好ましい金属は、アルミニウムである。例えばフッ化リチウムであるアルカリ金属のような金属のフッ化物、もしくは希土類金属のフッ化物を、前記第二電極とすることができ、例えば、金属上にフッ化金属層を形成するように用いることができる。
【0046】
本発明に係るホウ素錯体は、青色発光エレクトロルミネッセンス物質を含む。
本発明に係るデバイスは、ビデオディスプレイ、携帯電話、携帯コンピュータ、および、電気的に制御される画像を用いる任意の他の用途に使用することができる。本発明に係るデバイスは、ディスプレイのような、能動的且つ受動的な用途に用いることができる。
【0047】
公知のエレクトロルミネッセンスデバイスにおいては、一方もしくは双方の電極を、ケイ素(シリコン)で形成することができ、且つ、前記エレクトロルミネッセンス物質、ならびに正孔伝送物質および電子伝送物質の中間層を、前記シリコン基層上のピクセルとして形成することができる。好ましくは、各ピクセルは、少なくともひとつのエレクトロルミネッセンス物質層と、前記基層から遠い方の側の有機層と接触する、ひとつの(少なくとも半透明である)透明電極とを含む。
【0048】
好ましくは、前記基層は結晶シリコンであり、且つ、前記基層の表面は、電極もしくはエレクトロルミネッセンス化合物を析出させるような平坦な表面とするために、研磨もしくは平滑化処理をすることができる。別の方法として、平らでないシリコン基層に導電性ポリマーを被覆して平滑にし、さらなる物質の析出のために平坦な表面をつくることができる。
【0049】
ひとつの実施例においては、各ピクセルは、前記基層と接触したひとつの金属電極を含む。前記金属と透明電極との相対仕事関数に依って、どちらかがアノードとなり、他方がカソードを構成する。
【0050】
前記シリコン基層がカソードとなる場合、錫ドープ酸化インジウム被覆ガラスがアノードとなり、前記アノードを通して光が放出される。前記シリコン基層がアノードとなる場合、カソードは適切な仕事関数を持つ透明電極、例えば、酸化インジウム・酸化亜鉛が低い仕事関数である酸化インジウム・酸化亜鉛被覆ガラス(a indium zinc oxide coated glass; IZO)、でつくることができる。アノードは、適切な仕事関数を得るために、金属上に透明な被覆を有することができる。これらのデバイスは、トップエミッティングデバイス(top emitting devices)もしくはバックエミッティングデバイス(back emitting devices)と呼ばれることがある。
【0051】
前記金属電極は、複数の金属層から成ることができ、例としては、アルミニウムのような高仕事関数金属を前記基層上に析出させ、カルシウムのような低仕事関数金属を、前記高仕事関数金属上に析出させる。別の例としては、アルミニウムのような安定な金属の上面に、導電性ポリマーのさらなる層を敷く。
【0052】
好ましくは、前記電極は各ピクセルの背面の鏡としても機能し、また、前記電極は前記基層の平滑な表面の上に析出させるか、もしくは前記基層の内部に沈める。または、別の光吸収黒色層を、前記基層に隣接させることもできる。
【0053】
さらに別の実施例では、底面の導電性ポリマー層の領域を選んで適切な水溶液に曝すことによって非導電性にすることで、前記底面が前記ピクセル電極に接触するように保持されている導電性ピクセルパッドのアレイが構成されている。
【0054】
青色エレクトロルミネッセンス物質は、充分なパフォーマンスを得ることがもっとも困難なものであり、青単色ディスプレイおよび多色ディスプレイにおいて、本発明の青色エレクトロルミネッセンス物質を用いることができる。
【0055】
WO00/60669 に記載されているように、マトリックス回路に適用する電圧もしくは電流の調整によるアナログ手法、もしくは、各ピクセルの回路内でアナログ信号に変換される、デジタル信号の入力によるアナログ手法によって、各ピクセルから放射される光の明度(brightness)を制御するのが好ましい。前記基層は、ピクセルのアレイのアドレス情報を処理して画像を生成するための、データドライバ、データコンバータおよびスキャンドライバも提供するのが好ましい。
【0056】
さらなる実施例においては、便利のために双方が金属-酸化膜-半導体電界効果型トランジスタ(metal-oxide-semiconductor field effect transistors; MOSFETs)、もしくはアクティブマトリックストランジスタ(an active matrix transistor)によって形成されている、電圧制御要素および可変抵抗要素を含むスイッチによって、各ピクセルが制御されている。
【発明を実施するための最良の態様】
【0057】
本発明を以下の実施例を参照してさらに詳述する。
(実施例1)
2-(2-ジフェニルボラニル-5-フェニルピラゾール-3-イル)ピリジン (2-(2-diphenylboranyl-5-phenylpyrazol-3-yl)pyridine )の調製
【0058】
【化13】

アセトフェノン(11.6mL, 99mmol)を、カリウム=tert-ブトキシド ( potassium tert-butoxide ) (12.34g, 110mmol)とトルエン(150mL)との懸濁液中に加え、アルゴン雰囲気下で攪拌した。その後、(反応液の入った)フラスコにピコリン酸エチル(13.4mL, 99mmol)を入れて、混合液を一晩攪拌した。トルエンをロータリーエバポレータ(回転式蒸発器)によって除去し、ジエチルエーテル 200mL と脱イオン水 200mL を加えた。混合液を攪拌しながら、希塩酸を加え、エーテル層が深橙色となるところ迄(pH7)酸性化した。前記エーテル層を分液し、脱イオン水(3 x 100mL)で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥して濾過した。溶媒を除去し、固形分を熱エタノールから再結晶して、淡黄色結晶(15.3g, 69%)として 1-フェニル-3-ピリジン-2-イルプロパン-1,3-ジオン (1-phenyl-3-pyridin-2-ylpropane-1,3-dione )(1) を得た。
【0059】
250mLフラスコに、化合物 (1) (10g, 44mmol)、磁気攪拌子(a magnetic follower)、およびエタノール 150mL を入れた。ヒドラジン一水和物(2.15mL, 44mmol)を加え、混合液を一晩還流した。冷却しながらエタノールを除去し、残留物をメタノールから再結晶し、淡黄色結晶(9.5g, 97%)として 2-(5-フェニルピラゾール-3-イル)ピリジン ( 2-(5-phenylpyrazol-3-yl)pyridine ) (2) を得た。
【0060】
150mLフラスコに、無水ジフェニルボリン酸 (1.00g, 2.9mmol)、化合物 (2) (1.28g, 5.8mmol)およびトルエン 100mL を入れた。前記無水ジフェニルボリン酸が完全に溶けるまで混合液を還流し、さらに2時間還流した。冷却して、白色結晶を得た。濾過して減圧乾燥し、 2.15g(96%)の 2-(2-ジフェニルボラニル-5-フェニルピラゾール-3-イル)ピリジン ( 2-(2-diphenylboranyl-5-phenylpyrazol-3-yl)pyridine )を得た。示差走査熱量分析(Differential Scanning Calorimetry; DSC): 融点 261.4〜265.2℃ (再結晶:173.3℃)。この錯体の特性を表1に示し、放射スペクトルおよびUV吸光度を図8、図9に示した。
【0061】
(実施例2)
2-(2-ジフェニルボラニル-5-(4-フルオロフェニル)ピラゾール-3-イル)ピリジン ( 2-(2-diphenylboranyl-5-(4-fluorophenyl)pyrazol-3-yl)pyridine )の調製
【0062】
【化14】

2-(2-ジフェニルボラニル-5-(4-フルオロフェニル)ピラゾール-3-イル)ピリジンを、実施例1の方法のうちアセトフェノンを 4'-フルオロアセトフェノンに置き換えたものによって調製した。前記ジケトンは収率〜70% で合成され、遊離配位子およびホウ素錯体は収率 90+% で合成された。DSC: 融点 263.7〜266.6℃ (再結晶:196.4℃)。この錯体の特性を表1に示し、放射スペクトルおよびUV吸光度を図10、図11に示した。
【0063】
【表1】

(実施例3〜12)
表2に示した化合物群は、実施例1で調製されたものであり、化合物の特性はこの表に示している。ここで、表の右端の二列のxおよびyの値は、色座標である。
【0064】
【表2】

(実施例13)
プレエッチングITO(錫ドープ酸化インジウム)被覆ガラス片(10 x 10cm2)を用いた。デバイスは、前記ITO上で、ULVAC社(茅ヶ崎、日本)製の Solciet を使用した真空蒸着によって連続的に組み上げられ、各ピクセルの活性領域は 3mm x 3mm となった。前記層は、
ITO(H)/CuPc(25nm)/α-NPB(110nm)/化合物A(35nm)/Al
を含み、ここで、化合物Aは以下の構造式を有する。
【0065】
【化15】

また、CuPc はフタロシアニン銅のバッファ層であり、 α-NPB は図7に示したものである。前記被覆電極は、真空塗装機(10-6torr)内でアルミニウムトップ接触(aluminium top contacts)を形成するまでの間は、モレキュラシーブおよび五酸化リンとともに真空デシケータに格納した。エレクトロルミネッセンス研究が完了するまでの間、前記デバイスは真空デシケータ内に保存した。
【0066】
これらの研究において、前記のITO電極は、つねに陽極と接触している。電流と電圧の相関の研究は、コンピューター制御されたKeithly 2400 source meter 上で行われた。エレクトロルミネッセンススペクトルを測定し、その結果を図12に示した。ルミネッセンスおよび電流密度を電圧の関数として測定し、また、ルミネッセンスおよび電流効率を電流密度の関数として測定して、その結果を図13に示した。
【0067】
さらなるエレクトロルミネッセンスデバイスを、以下の層を含むセルで作成した。(ここで、 LiF はフッ化リチウムを指す)
ITO(H)/CuPc(25nm)/α-NPB(85nm)/化合物A(55nm)/LiF(0.2nm)/Al
エレクトロルミネッセンススペクトルを測定し、その結果を図14に示した。ルミネッセンスおよび電流密度を電圧の関数として測定し、また、ルミネッセンスおよび電流効率を電流密度の関数として測定して、その結果を図15に示した。第三のエレクトロルミネッセンスデバイスを、以下の層を含むセルで作成した。
【0068】
ITO(H)/CuPc(25nm)/α-NPB(110nm)/化合物A(40nm)/Zrq4(10nm)/LiF(0.2nm)/Al
ここで、ZrQ4はジルコニウムキノラート( zirconium quinolate )である。エレクトロルミネッセンススペクトルを測定し、その結果を図16に示した。ルミネッセンスおよび電流密度を電圧の関数として測定し、また、ルミネッセンスおよび電流効率を電流密度の関数として測定して、その結果を図17に示した。第四のエレクトロルミネッセンススルを、以下の層を含めて作成した。
【0069】
ITO(H)/CuPc(25nm)/α-NPB(110nm)/化合物B(1mn)/化合物A(40nm)/Zrq4(10nm)/LiF(0.2nm)/Al
ここで、化合物Bは以下の構造式の化合物である。
【0070】
【化16】

エレクトロルミネッセンススペクトルを測定し、その結果を図18に示した。ルミネッセンスおよび電流密度を電圧の関数として測定し、また、ルミネッセンスおよび電流効率を電流密度の関数として測定して、その結果を図19に示した。
【0071】
(実施例14)
エレクトロルミネッセンスデバイスを、以下の層で作成した。
ITO(H)/CuPc(25nm)/α-NPB(110nm)/化合物C(40nm)/Zrq4(10nm)/LiF(0.5nm)/Al
ここで、化合物Cは、以下の構造式の化合物である。
【0072】
【化17】

エレクトロルミネッセンススペクトルおよび他の特性を測定し、その結果を図20および図21に示した。
【0073】
第二のエレクトロルミネッセンスデバイスを、以下の層で作成した。
ITO(H)/CuPc(25nm)/α-NPB(75nm)/BAlq2(15nm)/化合物C(40nm)/Zrq4(10nm)/LiF(0.5nm)/Al
上記で、構造式 BAlq2は、ビフェニルアルミニウムビキノラート ( biphenyl aluminium biquinolate )を指す(これは図1の BAlq1 と同じ化合物である)。エレクトロルミネッセンススペクトルを測定し、その結果を図22に示した。ルミネッセンスおよび電流密度を電圧の関数として測定し、また、ルミネッセンスおよび電流効率を電流密度の関数として測定して、その結果を図23に示した。
【0074】
(実施例15)
エレクトロルミネッセンスデバイスを、以下の層で作成した。
ITO(H)/CuPc(25nm)/α-NPB(110nm)/化合物D(40nm)/BAlq2(10nm)/LiF(0.5nm)/Al
ここで、化合物Dは、以下の構造式の化合物である。
【0075】
【化18】

エレクトロルミネッセンススペクトルを測定し、その結果を図24に示した。ルミネッセンスおよび電流密度を電圧の関数として測定し、また、ルミネッセンスおよび電流効率を電流密度の関数として測定して、その結果を図25に示した。
【0076】
(実施例16)
エレクトロルミネッセンスデバイスを、以下の層で作成した。
ITO(H)/CuPc(25nm)/α-NPB(60nm)/化合物E:ペリレン(30:0.02nm)/BAlq2(10nm)/LiF(0.5nm)/Al
ここで、化合物Eは、以下の構造式の化合物である。
【0077】
【化19】

エレクトロルミネッセンススペクトルを測定し、その結果を図26に示した。ルミネッセンスおよび電流密度を電圧の関数として測定し、また、ルミネッセンスおよび電流効率を電流密度の関数として測定して、その結果を図27に示した。
【図面の簡単な説明】
【0078】
本文中に図面の簡単な説明に関する記載なし。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】

【図24】

【図25】

【図26】

【図27】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造式のホウ素化合物であって、
【化1】

式中の、
Ar1が、非置換もしくは置換の単環または多環のヘテロアリール基であって、式中の矢印で指されているホウ素原子と配位結合を形成するひとつの環員窒素原子と、オプションとして前記のひとつの環員窒素原子に隣接しないことを条件とするひとつもしくは複数の付加環員窒素原子とを、有するヘテロアリール基であり、且つ、 X および Z は、炭素原子もしくは窒素原子であり、且つ、 Y は、炭素原子、または、 X および Z のいずれも窒素原子ではないときには任意に窒素原子とすることができるものであり、且つ、前記置換基が存在する場合には、前記置換基は置換および非置換ヒドロカルビル基、置換および非置換ヒドロカルビルオキシ基( hydrocarbyloxy ) 、フルオロカーボン、ハロ ( halo )、ニトリル ( nitrile )、アミノアルキルアミノ基( amino alkylamino )、ジアルキルアミノ基、もしくはチオフェニル基、から選択される、ヘテロアリール基であって、且つ、
Ar2が、単環もしくは多環のアリール基またはヘテロアリール基であって、置換および非置換ヒドロカルビル基、置換および非置換ヒドロカルビルオキシ基、フルオロカーボン、ハロ、ニトリル、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、もしくはチオフェニル基、から選択される、ひとつもしくは複数の置換基を任意に持つ、アリール基またはヘテロアリール基であって、且つ、
R1 が、水素原子、置換もしくは非置換ヒドロカルビル基、ハロヒドロカルビル基 ( halohydrocarbyl )、またはハロであって、且つ、
R2 および R3 が、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基 ( cycloalkylalkyl )、ハロアルキル基、ハロ、あるいは、単環もしくは多環のアリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、もしくはヘテロアラルキル基であって、ひとつもしくは複数のアルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、ハロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロ、ニトリル、アミノ基、アルキルアミノ基、またはジアルキルアミノ基で任意に置換されている基、
であることを特徴とする、ホウ素化合物。
【請求項2】
式中の Ar1が、非置換の、あるいは、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、トリフルオロメチル基、またはフルオロ基で置換されている、単環もしくは二環のヘテロアリール基であることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
式中の Ar1が、非置換または置換の、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジニル基、キノリニル基 ( quinolinyl )、イソキノリニル基、キノキサリニル基( quinoxalinyl )、もしくはキナゾリニル基( quinazolinyl )である、単環もしくは二環のヘテロアリール基であることを特徴とする、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
式中の Ar2が、非置換の、単環アリール基もしくは環数2〜6の多環アリール基であることを特徴とする、上記の請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
ひとつまたは複数の、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、トリフルオロメチル基、フルオロ基、もしくはニトリルによって、前記の単環アリール基もしくは多環アリール基が置換されていることを特徴とする、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
前記の単環アリール基もしくは多環アリール基が、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基( anthracenyl )、フェナントレニル基( phenanthrenyl )、ピレニル基、もしくはペリレニル基( perylenyl )、であることを特徴とする、請求項4もしくは6に記載の化合物。
【請求項7】
式中の R1が、水素原子であることを特徴とする、上記の請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
式中の R1が、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、ハロアルキル基、あるいは、単環もしくは多環のアリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基またはヘテロアラルキル基であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
式中の R1が、炭素数1〜4のアルキル基、トリフルオロメチル基、もしくはフルオロ基であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
式中の R2および R3 が、フェニル基、もしくは 4位置換フェニル基であることを特徴とする、上記の請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
前記の4位の置換基が、炭素数1〜4のアルキル基、トリフルオロメチル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、もしくはフルオロ基であることを特徴とする、請求項10記載の化合物。
【請求項12】
第一電極、および、上記の請求項のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス物質の層、および、第二電極を含むことを特徴とする、エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項13】
アノードとして機能する前記第一電極と、前記のエレクトロルミネッセンス物質の層との間に、正孔伝送物質の層が存在することを特徴とする、請求項12記載のデバイス。
【請求項14】
前記正孔伝送物質が、芳香族アミン錯体であることを特徴とする、請求項13記載のデバイス。
【請求項15】
前記正孔伝送物質が、ポリ芳香族アミン錯体であることを特徴とする、請求項13記載のデバイス。
【請求項16】
前記正孔伝送物質が、a-NPB 、ポリ(ビニルカルバゾール)、 N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(3-メチルフェニル)-1,1'-ビフェニル-4,4'-ジアミン (TPD)、CBP、ポリアニリン、置換ポリアニリン類、ポリチオフェン類、置換ポリチオフェン類、ポリシラン類、および置換ポリシラン類、から選択されるポリマーのフィルムであることを特徴とする、請求項13記載のデバイス。
【請求項17】
前記正孔伝送物質が、明細書中の構造式(II)もしくは(III)の化合物、または図3〜7の化合物のフィルムであることを特徴とする、請求項13記載のデバイス。
【請求項18】
前記正孔伝送物質が、アニリンのコポリマー、または、o-アニシジン、m-スルファニル酸、もしくは o-アミノフェノールとアニリンとのコポリマー、または、o-アミノフェノール、o-エチルアニリン、もしくは o-フェニレンジアミンと、o-トルイジンとのコポリマー、または、アミノアントラセン、 o-トルイジン、 o-エチルアニリン、 m-トルイジン、 m-エチルアニリンのコポリマー、であることを特徴とする、請求項13記載のデバイス。
【請求項19】
前記正孔伝送物質が、共役ポリマーであることを特徴とする、請求項13記載のデバイス。
【請求項20】
前記共役ポリマーが、ポリ(p-フェニレンビニレン)-PPV 、ならびに、PPV、ポリ(2,5ジアルコキシフェニレンビニレン)、ポリ(2-メトキシ-5-(2-メトキシペンチルオキシ-1,4-フェニレンビニレン)、ポリ(2-メトキシペンチルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン)、ポリ(2-メトキシ-5-(2-ドデシルオキシ-1,4-フェニレンビニレン)、ならびに、アルコキシ基、ポリフルオレン類、オリゴフルオレン類、ポリフェニレン類およびオリゴフェニレン類、ポリフェニレン類およびオリゴフェニレン類、ポリアントラセン類およびオリゴアントラセン類、ポリチオフェン類およびオリゴチオフェン類、および置換ポリフルオレン類に可溶である長鎖アルコキシ基を少なくともひとつ含む、他のポリ(2,5 ジアルコキシフェニレンビニレン)類、を含むコポリマー、から選択されることを特徴とする、請求項19記載のデバイス。
【請求項21】
前記エレクトロルミネッセンス化合物が、前記正孔伝送物質と混合されていることを特徴とする、請求項12〜20のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項22】
カソードとして機能する前記第二電極と、前記のエレクトロルミネッセンス物質の層との間に、電子伝送物質の層が存在することを特徴とする、請求項12〜21のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項23】
前記電子伝送物質が、金属キノラートであることを特徴とする、請求項22記載のデバイス。
【請求項24】
前記金属キノラートが、アルミニウムキノラートもしくはリチウムキノラートであることを特徴とする、請求項23記載のデバイス。
【請求項25】
前記電子伝送物質が、構造式 Mx(DBM)n の化合物であり、ここで式中の Mx が金属であり、且つ、 DBM がジベンゾイルメタンであり、且つ、 n が Mx の原子価であるか、あるいは、前記 DBM の代わりにシッフ塩基が存在することを特徴とする、請求項22記載のデバイス。
【請求項26】
前記電子伝送物質が、シアノアントラセン、 9,10ジシアノアントラセン、ポリスチレンスルホナート、または、図1もしくは図2に示した構造式の化合物であることを特徴とする、請求項22記載のデバイス。
【請求項27】
前記電子伝送物質が、前記エレクトロルミネッセンス化合物と混合されていることを特徴とする、請求項22〜26のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項28】
前記第一電極が、透明導電性ガラス電極であることを特徴とする、請求項12〜27のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項29】
前記第二電極が、アルミニウム、バリウム、希土類金属類、遷移金属類、カルシウム、リチウム、マグネシウム、およびこれらの合金、ならびに銀/マグネシウム合金から選択されることを特徴とする、請求項12〜28のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項30】
前記第二電極が、金属フッ化物の層を上面に有する金属から選択されることを特徴とする、請求項12〜29のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項31】
前記金属フッ化物が、フッ化リチウム、もしくは希土類金属のフッ化物であることを特徴とする、請求項30記載のデバイス。
【請求項32】
請求項1で定義されている構造式(I)の化合物を製造する方法であって、以下の構造式のジケトンと、ヒドラジンとの縮合反応を含み、
【化2】

以下の構造式のピラゾールを与える方法であって、且つ、
【化3】

上記のピラゾールを、構造式 R2R3BOH であるボリン酸、もしくは、構造式 R2R3BOBR3R2の無水ボリン酸によってエステル化して、構造式(I)の化合物を与える(ここで式中の 原子 X 、 Y および Z 、ならびに、環 Ar1、 Ar2 、ならびに置換基 R1 〜 R3 は、請求項1と同一の意味を有する)ことを特徴とする、方法。
【請求項33】
非置換または置換の単環もしくは多環のヘテロアリールカルボン酸のエステルと、単環または多環のアリールエタノンもしくはヘテロアリールエタノンとの、塩基性下における縮合反応によって、前記ジケトンを合成するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記ピラゾールを、ジメチルボリン酸、無水ジメチルボリン酸、ジエチルボリン酸、無水ジエチルボリン酸、ジシクロヘキシルボリン酸、無水ジシクロヘキシルボリン酸、ジフェニルボリン酸、無水ジフェニルボリン酸、ジ-p-トリルボリン酸 ( di-p-borinic acid )、または、ビス(ペンタフルオロフェニル)ボリン酸もしくはその無水物、によってエステル化するステップを含むことを特徴とする、請求項32もしくは33に記載の方法。
【請求項35】
以下の構造式のホウ素錯体であって、
【化4】

式中の、
Ph が、非置換もしくは置換のフェニル基であって、水素原子、ならびに、置換および非置換脂肪族基のような置換および非置換ヒドロカルビル基、置換および非置換芳香族基、複素環構造および多環構造、トリフルオリルメチル基( trifluoryl methyl groups )のようなフルオロカーボン、フルオロ基のようなハロゲン、あるいはチオフェニル基から選択される、同一もしくは異なった置換基を持つことができるフェニル基であり、且つ、
R 、 R1 および R2 が、水素原子、あるいは、置換および非置換芳香族基のような置換もしくは非置換ヒドロカルビル基、複素環構造および多環構造、フルオロ基、トリフルオリルメチル基( trifluoryl methyl groups )のようなフルオロカーボン、フッ素原子のようなハロゲン、またはチオフェニル基、またはニトリル、とすることができる基である
ことを特徴とする、錯体。
【請求項36】
式中の R および/もしくは R1 および/もしくは R2 が、脂肪族基、芳香族、もしくは複素環のアルコキシ基およびアリールオキシ基およびカルボキシ基、ならびに、置換および置換のフェニル基、フルオロフェニル基、ビフェニル基、フェナントレン基、アントラセン基、ナフチル基およびフルオレン基、ならびに、t-ブチル基のようなアルキル基、ならびにカルバゾールのような複素環基、であることを特徴とする、請求項35記載の錯体。

【公表番号】特表2006−520772(P2006−520772A)
【公表日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505961(P2006−505961)
【出願日】平成16年3月12日(2004.3.12)
【国際出願番号】PCT/GB2004/001079
【国際公開番号】WO2004/084325
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(505347488)ヌコ 70 リミテッド (12)
【氏名又は名称原語表記】NUKO 70 LIMITED
【Fターム(参考)】