説明

エレクトロルミネッセンス表示装置駆動用電子回路

複数のセグメント電極と共通電極とを有するエレクトロルミネッセンス表示装置を駆動するための電子回路。本回路は、DC電源と、セグメント電極および共通電極のそれぞれに対する出力端子と、セグメント電極および共通電極のそれぞれの少なくとも1つを選択的にDC源および基準電圧の一方に接続するための少なくとも1つの電源ハーフHブリッジとを含む。電源ハーフHブリッジはそれぞれ、直列に接続された上スイッチおよび下スイッチを含むとともにこれらの間に接続部を有する。上スイッチはDC源に接続され、下スイッチは基準電圧に接続される。エレクトロルミネッセンス表示装置を選択的に放電させるために、上スイッチがDC源と放電路とに接続された放電ハーフHブリッジを含む放電回路が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロルミネッセンス表示装置を駆動するための電子回路およびこのような回路と組み合わせた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロルミネッセンス表示装置は、選択的に点灯可能な情報表示領域を有することができる。このような表示装置は、競合技術に対して、大型化、フレキシブル化が可能で比較的安価であるという利点を有する。
【0003】
1950年代にはエレクトロルミネッセンスランプが知られていたが、それらは寿命が短く、フレキシブルなエレクトロルミネッセンス装置が開発されたのは1980年代になってからであった。しかしながら、これは液晶表示装置のバックライトとして用いられたものであり、実用的なエレクトロルミネッセンス表示装置が利用可能になったのはごく最近のことである。
【0004】
エレクトロルミネッセンス表示装置は、一般に、ドープされた硫化亜鉛粉末等の蛍光体材料の層を2つの電極間に含んでいる。少なくとも1つの電極は、通常、ポリエステルまたはポリエチレンテレフタレート(PET)膜等の透明基板上に設けられたインジウム錫酸化物(ITO)等の透明材料からなる。表示装置は、基板上にスクリーン印刷等によって電極層と蛍光体層とを堆積させることによって形成される場合があり、その場合、導電性インク、例えば銀を添加したインクで不透明な電極が形成されることもある。
【0005】
エレクトロルミネッセンス装置の例が、WO00/72638号およびWO99/55121号に記載されている。
【0006】
上述の一般的なタイプのエレクトロルミネッセンス表示装置は、ランプの電極間に適切な周波数の交流電圧を印加して蛍光体を励起することによって点灯させる。
【0007】
一般に、エレクトロルミネッセンス表示装置に用いられる蛍光体は、数百ボルトの電圧を必要とする。
【0008】
典型的には、このようなエレクトロルミネッセンス表示装置のキャパシタンスは100pF〜50nFの範囲であり得る。
【0009】
小さな電流しか必要とされないため、この比較的高い駆動電圧を周知の「フライバックコンバータ」等の回路によって低電圧DC源から容易に発生させることができる。フライバックコンバータは、直列に配置されたインダクタと発振スイッチとを含む。発振スイッチと並列に、ダイオードとコンデンサとが直列に配置される。スイッチは開状態と閉状態との間で周期変動する。閉状態において、DC源からインダクタおよびスイッチを通って電流が流れる。
【0010】
スイッチが開くと、電流路は遮断されるが、インダクタに伴う磁界によって電流は流れ続ける。したがって、インダクタによって電流がダイオードを流れ、コンデンサを充電する。ダイオードは、スイッチが閉じている間コンデンサの放電を防止する。
【0011】
したがって、コンデンサは、DC源電圧よりも高い電圧まで充電可能であり、この電圧での電流をコンデンサから得ることができる。
【0012】
フライバックコンバータから負荷に交流電流を供給するために、コンデンサと並列にHブリッジが設けられ得る。概して、Hブリッジは、2つの並列なリム(limb)を備え、各リムは直列に接続された第1のスイッチと第2のスイッチとを有する。各リムの第1および第2のスイッチの間にはノードがあり、リムのそれぞれのノードの間に負荷が接続される。電流は、一方のリムの第1のスイッチともう一方のリムの第2のスイッチとを介して一方向に、そして残りの2つのスイッチを介して他方向に、負荷を流れることができる。電流が負荷をまず一方向に流れ、次いで他方向に流れるように、Hブリッジのスイッチを動作させる。
【0013】
容量性負荷を放電させる場合、負荷と並列にグランドへのスイッチ式放電路を設けることが知られている。こうするとコンデンサに蓄えられた電荷を除くことができ、放電路は、グランドへの導電路を提供するために作動させたり、放電を止めて負荷を再充電したいときに再び閉じたりすることが可能である。これに代わる1つの方法として、負荷を放電させて容量性負荷の制御回路(すなわちHブリッジとフライバックコンバータのスイッチ)の各スイッチ用の補助電源を形成することが知られている(例えば、英国特許出願公開第GB2405270号を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
表示装置をいくつかの異なる領域つまり「セグメント」を選択的に点灯可能なものとする場合には、各セグメントに対してそのセグメント専用のセグメント電極が表示装置の背面に設けられる。典型的には、これらのセグメントは全て、表示装置の前面の透明ITO電極内に共通電極を共有する。そのため、各セグメント電極の駆動を、直列に接続された一対のスイッチを含み、この一対のスイッチ間に当該電極を接続させた「ハーフHブリッジ」で行うことが知られている。スイッチ対の一端はHV(高電圧)電源に接続され、他端は適切な基準電圧(典型的にはグランド)に接続される。一方のスイッチを閉じ、もう一方を開くことにより、HV電源かグランドのいずれかにセグメント電極を接続することができる。
【0015】
逆に、共通電極もまたハーフHブリッジによって同様にして電源およびグランドに接続される。しかしながら、共通電極のハーフHブリッジは、一般に、点灯させるべきセグメントのセグメント電極とは逆相で動作させ、セグメントが電源に接続されているときは共通電極がグランドに接続され、セグメントがグランドに接続されているときは共通電極が電源に接続されるようになっている。したがって、当該セグメントに高電圧交流信号を生成することができ、これにより当該セグメントを点灯する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の態様によると、複数のセグメント電極と共通電極とを有するエレクトロルミネッセンス(EL)表示装置を駆動するための電子回路であって、DC源と、セグメント電極および共通電極のそれぞれに対する出力端子と、セグメント電極および共通電極のそれぞれの少なくとも1つを選択的にDC源および基準電圧の一方に接続するための少なくとも1つの電源ハーフHブリッジとを含み、電源ハーフHブリッジがそれぞれ、直列に接続された上スイッチおよび下スイッチを含むとともにこれらの間に接続部を有し、該当する電極の出力端子が接続部に接続され、上スイッチがDC源に接続されるとともに下スイッチが基準電圧に接続された電子回路において、EL表示装置を選択的に放電させるために放電回路が設けられ、放電回路が放電ハーフHブリッジを含み、放電ハーフHブリッジの上スイッチがDC源と放電路とに接続された電子回路が提供される。
【0017】
ハーフHブリッジが多セグメントEL表示装置において既に用いられている可能性が高いことを考えると、周知の回路を使用することはこの普通の素子の新しい再利用法を提供することになるので有利であり、結果的には回路中の部品がより均質になる。
【0018】
放電ハーフHブリッジと電源ハーフHブリッジの少なくとも1つとを共通の集積回路(IC)上に設けてもよい。IC上に多数のハーフHブリッジを設けることはよく知られており、このようなICを使用することにより別個の放電スイッチの必要性を低減し得る。実際に、このようなIC上に設けられるハーフHブリッジの数が8つ等のある定数であり得ることを考えると、(表示装置中のセグメントの数によっては)放電ハーフHブリッジを形成可能な予備のハーフHブリッジが存在する場合があり、これにより、そうでない場合には利用されない回路機構を使用する。ICは特定用途向けIC(ASIC)であってもよい。
【0019】
放電路は、基準電圧への接続を含んでいてもよい。この接続は、直接なされてもよく、放電速度を制御するために放電路中のレジスタを介してなされてもよい。あるいは、放電路が、使用時にEL表示装置から放電された電流を再利用のために提供するように構成された補助電源を含んでいてもよい。典型的には、この電流はDC源よりも低い電圧で提供されることになる。補助電源は、放電電流を回路のスイッチング素子、さらなる表示装置、または放電電流によって有用に動作させ得るその他の装置に供給するように構成されていてもよい。
【0020】
補助電源は、放電ハーフHブリッジの下スイッチが閉じているときに電流が補助電源から放電ハーフHブリッジを通って逆流するのを防止するように構成された補助電源ダイオードを含んでいてもよい。
【0021】
補助電源は、使用時にEL表示装置からの放電電流が再利用のために蓄えられるように構成されたコンデンサを含んでいてもよい。したがって、このコンデンサは、補助電源によって生成された電圧を平滑化するように働き得る。
【0022】
補助電源は、補助電源によって生成された電圧を制限するための電圧制限手段を含んでいてもよい。これはツェナーダイオードを含み得る。
【0023】
DC源は、低電圧入力を高電圧出力に変換するように構成された電圧コンバータを含んでいてもよい。電圧コンバータは、フライバックコンバータを含み得、フライバックコンバータ自体は直列に配置された誘導素子とスイッチング素子とを含み得る。出力スイッチング素子が、使用時に第1の状態と第2の状態との間で切り換わり、これにより第1の状態においては誘導素子と出力スイッチング素子とを通って電流路が提供され、第2の状態においては電流路が遮断されるように構成され、スイッチング素子が第1の状態から第2の状態へと変化すると、誘導素子が容量性負荷を充電するための回路の出力に電圧を生成するようになっていてもよい。
【0024】
電圧コンバータは、スイッチング素子が前記第1の状態にある間は電流が電圧コンバータ出力へと逆流するのを防止するように構成された出力ダイオードをさらに含んでいてもよい。この出力ダイオードは、一方向にのみ電流を流れさせる任意の適切な装置であり得る。出力ダイオードの役割は、容量性負荷から誘導素子に向けて電流を逆流させることなく、DC源電圧よりも高い電圧を容量性負荷上に蓄えさせることである。
【0025】
DC源は、電極と基準電圧との間に並列に接続された電源コンデンサをさらに含んでいてもよい。放電路は、放電路がDC源に接続されたときにこの電源コンデンサが放電するように構成されていてもよい。いずれにせよ、放電路はDC源に接続されたときに典型的にEL表示装置を放電させることになる。
【0026】
出力スイッチング素子は、任意の適切なスイッチング装置であり得、概してトランジスタである。好適な構成においては、スイッチング素子は電界効果トランジスタ(FET)である。特に好適な構成においては、出力スイッチング素子はNチャネルFETである。
【0027】
基準電圧は典型的にはグランドである。電源ハーフHブリッジのそれぞれは、常にその上下スイッチの一方または他方だけが閉じているように構成されていてもよく、このことにより、予期せずしてDC源を基準電圧に短絡させてしまうおそれがなくなる。
【0028】
典型的には、セグメント電極および共通電極に対する出力のうちの複数、大半または全てに電源ハーフHブリッジが設けられることになる。
【0029】
本発明の第2の態様によると、本発明の第1の態様による電子回路と組み合わせた多セグメントエレクトロルミネッセンス表示装置が提供される。
【0030】
本発明の第3の態様によると、複数のセグメント電極と共通電極とを有するエレクトロルミネッセンス(EL)表示装置を駆動するための電子回路であって、DC源と、セグメント電極および共通電極のそれぞれに対する出力端子と、セグメント電極および共通電極のそれぞれの少なくとも1つを選択的にDC源および基準電圧の一方に接続するための少なくとも1つの電源ハーフHブリッジとを含み、電源ハーフHブリッジがそれぞれ、直列に接続された上スイッチおよび下スイッチを含むとともにこれらの間に接続部を有し、該当する電極の出力端子が接続部に接続され、上スイッチがDC源に接続されるとともに下スイッチが基準電圧に接続された電子回路において、さらなる放電ハーフHブリッジがEL表示装置を選択的に放電路に接続するのに用いられる電子回路が提供される。
【0031】
放電路は、基準電圧またはグランドに接続されていてもよく、DC源よりも低い電圧で少なくとも1つのさらなる素子を動作させるために補助電源に接続されていてもよい。これらのさらなる素子は、回路のスイッチング素子を含んでいてもよく、さらなる表示装置、サウンダまたはEL表示装置からの放電電流によって便利に動作させ得るその他のいかなるものであってもよい。
【0032】
放電ハーフHブリッジが、接続部を介して直列に接続された2つのスイッチとしての上スイッチおよび下スイッチを含み、上スイッチがDC電源に接続され接続部が放電路に接続される(またはその逆となる)ように接続されていてもよい。下スイッチは典型的には基準電圧に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1の実施形態による電子回路の回路図を示す。
【図2】本発明の第2の実施形態による電子回路の回路図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付の図面を参照しながら本発明の2つの実施形態を単なる例示として詳細に説明する。図面において、
図1は、本発明の第1の実施形態による電子回路の回路図を示し、
図2は、本発明の第2の実施形態による電子回路の回路図を示す。
【0035】
図1は、本発明の第1の実施形態による、エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置1の駆動用電子回路を示す。単純化するために、この回路を4セグメント表示装置1の駆動に必要な出力の組み合せを有するものとして図示したが、原則的に任意の数のセグメントが考えられる。
【0036】
EL表示装置1は、インジウム錫酸化物(ITO)透明共通電極からなる共通電極8と、4つのセグメント電極5とを備える。表示装置の各セグメント6は、セグメント電極5の形状によって規定される。セグメント電極と共通電極との間に交流電圧をかけることによって各セグメント6に交流電圧を印加することにより、EL表示装置1の当該セグメント6、すなわちセグメント電極5と共通電極8との間の蛍光体、を点灯させる。
【0037】
電池Vbattから得られる電圧をEL表示装置を動作させるのに適した電圧に変換するために、フライバック電圧コンバータ20が設けられる。フライバックコンバータは、インダクタL1とスイッチ12とを備える。スイッチ12は、インダクタとグランド10との間に接続される。実際的な構成においては、スイッチ12は電界効果トランジスタによって提供される。しかしながら、分かりやすくするために、図面においてはスイッチ12を単純なスイッチとして図示した。
【0038】
ダイオードDが設けられ、一端でインダクタL1とスイッチとの間の接続部に接続される。このダイオードの出力が高電圧DC源9を形成し、ダイオード出力とグランド10との間に接続された電源コンデンサ11によって平滑化される。
【0039】
使用時には、スイッチ12が開状態と閉状態とに繰り返し切り換えられる。スイッチ12は、閉じているときは、導通し、インダクタL1を通ってグランドまでの経路を提供する。開いているときは、スイッチ12は導通せず、これにより経路を切断する。
【0040】
スイッチが閉じているとき、電流は、低電圧DC源つまり電池から、インダクタL1と閉じているスイッチ12とを通ってグランド10へと流れる。電源コンデンサ11上の電圧がDC源電圧よりも高いとすると、ダイオードDには電流が流れない。
【0041】
スイッチが開くと、インダクタL1とスイッチ12とを通る電流路は遮断される。しかしながら、インダクタL1に伴う磁界に蓄えられたエネルギーによって電流は流れ続け、インダクタL1は、電流がダイオードDを通って高電圧DC源9まで流れて電源コンデンサ11を充電するのに十分に高い電圧を生成する。このように、スイッチ12が切り換わるたびに、容量性負荷電源コンデンサ11ひいてはDC電源9上の電圧が上昇する。ダイオードDは、電源9からグランド10への電流の逆流を防止する。
【0042】
制御信号C1〜C4およびCcommonを伝達する導体によって、制御ユニット2が5つの電源ハーフHブリッジH1〜H5に接続される。各電源ハーフHブリッジは、直列に接続された一対のスイッチとしての上スイッチ3a(DC電源9に接続される)および下スイッチ3b(グランド基準電圧10に接続される)と、インバータ4とを備え、各スイッチはMOSFETトランジスタの形態である。これらのトランジスタは制御信号C1〜C4によって制御され、インバータ4は、スイッチ対の一方が開いているときは他方が閉じているように、上スイッチに印加される制御信号の向きを下スイッチとは反対になるように反転する。
【0043】
電源ハーフHブリッジH1〜H4のそれぞれの接続部は、導体7を介して表示装置1の1つのセグメント6のセグメント電極5に接続される。電源ハーフHブリッジH5の接続部は共通電極8に接続される。共通電極は透明な導電性材料からなり、公知の方法で各セグメントに接続される。
【0044】
これにより、制御信号C1〜C4およびCcommonは、セグメント電極5および共通電極8のそれぞれがDC源9かグランド10のいずれかに接続可能となるように、対応する電源ハーフHブリッジH1〜H5の状態を制御する。共通電極の電源ハーフHブリッジH5に交流制御信号Ccommonが印加されると、所与のセグメント電極5を共通電極8とは反対の向きで駆動することにより、該当するセグメントに交流電圧が発生し、そのセグメントが点灯する。逆に、所与のセグメント電極5を共通電極と同じ向きで駆動することにより、そのセグメントには電圧が生じず、点灯しない。
【0045】
本回路には、放電ハーフHブリッジH6も設けられる。上述のように、これは、直列に接続された上スイッチ3aおよび下スイッチ3bを備える。これらのスイッチが一緒に切り換わるものの常に一方だけが閉じるように、やはりインバータ4が設けられる。上スイッチ3aは前述同様にDC源9に接続され、下スイッチはグランドに接続される。しかしながら、上スイッチ3aと下スイッチ3bとの間の接続部もレジスタRを介してグランド10に接続され、これにより放電路を提供する。つまり、制御信号「Discharge」が放電ハーフHブリッジに印加された場合、全ての電極がそれぞれの下スイッチを介してかまたはそれぞれの上スイッチ3aと放電ハーフHブリッジH6とを通じて同一電位つまりグランド10に接続されることになるため、EL表示装置の各セグメント6の電圧がグランドに流れることが可能になるのである。電源コンデンサ11もこれらの手段によって放電される。
【0046】
全てのハーフHブリッジH1〜H6が同一の特定用途向け集積回路(ASIC)上に設けられる。これらのハーフHブリッジは共通のDC源と共通のグランドとを備えるので、全て実質的に同じである。このことにより、全てのハーフHブリッジが同等であるため、放電路を接続するために別個のスイッチを用いた場合に比べてより均質な回路になるという利点が得られる。
【0047】
本発明の別の実施形態を添付の図面の図2に示す。本実施形態は添付の図面の図1の実施形態に類似しており、共通の特徴要素には共通の参照符号を付与している。
【0048】
回路の機能は上述のものとほとんど同じである。しかしながら、放電ハーフHブリッジH6の接続部からの放電路はグランド10には接続されない。その代わりに補助電源21に接続される。放電路は、電流の流れを絞って電流を確実に補助電源だけに流れ込ませるように接続部に直列に接続されたレジスタRとダイオードD2とで形成される。ダイオードD2の出力が補助電源21を形成する。
【0049】
この出力とグランド10との間に補助電源コンデンサ20と逆バイアスをかけたツェナーダイオードD3とを接続する。補助電源コンデンサ20は、EL表示装置から放電された電流を平滑化するように働き、ツェナーダイオードD3は、補助電源20における電圧が所定限界、例えば12Vを決して超えないようにする。この電源は、本明細書中に記載の電子回路のスイッチを動作させるため、もしくは別の表示装置を動作させるために、またはその他の目的で用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセグメント電極と共通電極とを有するエレクトロルミネッセンス(EL)表示装置を駆動するための電子回路であって、DC源と、前記セグメント電極および共通電極のそれぞれに対する出力端子と、前記セグメント電極および共通電極のそれぞれの少なくとも1つを選択的に前記DC源および基準電圧の一方に接続するための少なくとも1つの電源ハーフHブリッジとを含み、前記電源ハーフHブリッジがそれぞれ、直列に接続された上スイッチおよび下スイッチを含むとともにこれらの間に接続部を有し、該当する電極の前記出力端子が前記接続部に接続され、前記上スイッチが前記DC源に接続されるとともに前記下スイッチが前記基準電圧に接続された電子回路において、前記EL表示装置を選択的に放電させるために放電回路が設けられ、前記放電回路が放電ハーフHブリッジを含み、前記放電ハーフHブリッジの上スイッチが前記DC源と放電路とに接続された電子回路。
【請求項2】
前記放電ハーフHブリッジと前記電源ハーフHブリッジの少なくとも1つとが共通の集積回路(IC)上に設けられた請求項1に記載の電子回路。
【請求項3】
前記ICが特定用途向けIC(ASIC)である請求項2に記載の電子回路。
【請求項4】
前記放電路が前記基準電圧への接続を含む先行する請求項のいずれかに記載の電子回路。
【請求項5】
前記接続が前記基準電圧に対して直接なされる請求項4に記載の電子回路。
【請求項6】
前記接続が前記放電路中のレジスタを介してなされる請求項4に記載の電子回路。
【請求項7】
前記放電路が、使用時に前記EL表示装置から放電された電流を再利用のために提供するように構成された補助電源を含む請求項1から3のいずれかに記載の電子回路。
【請求項8】
前記電流が前記DC源よりも低い電圧で提供される請求項7に記載の電子回路。
【請求項9】
前記補助電源が、前記放電電流を前記回路のスイッチング素子もしくはさらなる表示装置に供給するように構成された請求項7または8に記載の電子回路。
【請求項10】
前記補助電源が、前記放電ハーフHブリッジの下スイッチが閉じているときに電流が前記補助電源から前記放電ハーフHブリッジを通って逆流するのを防止するように構成された補助電源ダイオードを含む請求項7から9のいずれかに記載の電子回路。
【請求項11】
前記補助電源が、使用時に前記EL表示装置からの放電電流が再利用のために蓄えられるように構成されたコンデンサを含む請求項7から10のいずれかに記載の電子回路。
【請求項12】
前記補助電源が、前記補助電源によって生成された電圧を制限するための電圧制限手段を含む請求項7から11のいずれかに記載の電子回路。
【請求項13】
前記電圧制限手段がツェナーダイオードである請求項12に記載の電子回路。
【請求項14】
前記DC源が、低電圧入力を高電圧出力に変換するように構成された電圧コンバータを含む先行する請求項のいずれかに記載の電子回路。
【請求項15】
前記電圧コンバータがフライバックコンバータを含む請求項14に記載の電子回路。
【請求項16】
前記フライバックコンバータが、直列に配置された誘導素子とスイッチング素子とを有する請求項15に記載の電子回路。
【請求項17】
前記スイッチング素子が、使用時に第1の状態と第2の状態との間で切り換わり、これにより第1の状態においては前記誘導素子と前記スイッチング素子とを通って電流路が提供され、第2の状態においては前記電流路が遮断されるように構成され、前記スイッチング素子が前記第1の状態から前記第2の状態へと変化すると、前記誘導素子が容量性負荷を充電するための回路の出力に電圧を生成するようになっている請求項16に記載の電子回路。
【請求項18】
前記電圧コンバータが、前記スイッチング素子が前記第1の状態にある間は電流が電圧コンバータ出力へと逆流するのを防止するように構成された出力ダイオードを含む請求項16または17に記載の電子回路。
【請求項19】
前記DC源が、前記電極と前記基準電圧との間に並列に接続された電源コンデンサを含む先行する請求項のいずれかに記載の電子回路。
【請求項20】
前記放電路が前記DC源に接続されたときに前記電源コンデンサが放電するように前記放電路が構成された請求項19に記載の電子回路。
【請求項21】
前記放電路が、前記DC源に接続されたときに前記EL表示装置を放電させる先行する請求項のいずれかに記載の電子回路。
【請求項22】
前記スイッチング素子がトランジスタである請求項16から18のいずれかに記載の電子回路。
【請求項23】
前記スイッチング素子が電界効果トランジスタ(FET)である請求項22に記載の電子回路。
【請求項24】
前記スイッチング素子がNチャネルFETである請求項22に記載の電子回路。
【請求項25】
前記基準電圧がグランドである先行する請求項のいずれかに記載の電子回路。
【請求項26】
前記電源ハーフHブリッジのそれぞれが、常にその上下スイッチの一方または他方だけが閉じているように構成された先行する請求項のいずれかに記載の電子回路。
【請求項27】
前記セグメント電極および共通電極に対する出力のうちの複数、大半または全てに電源ハーフHブリッジが設けられた先行する請求項のいずれかに記載の電子回路。
【請求項28】
請求項1から27のいずれかに記載の電子回路と組み合わせた多セグメントエレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項29】
複数のセグメント電極と共通電極とを有するエレクトロルミネッセンス(EL)表示装置を駆動するための電子回路であって、DC源と、前記セグメント電極および共通電極のそれぞれに対する出力端子と、前記セグメント電極および共通電極のそれぞれの少なくとも1つを選択的に前記DC源および基準電圧の一方に接続するための少なくとも1つの電源ハーフHブリッジとを含み、前記電源ハーフHブリッジがそれぞれ、直列に接続された上スイッチおよび下スイッチを含むとともにこれらの間に接続部を有し、該当する電極の前記出力端子が前記接続部に接続され、前記上スイッチが前記DC源に接続されるとともに前記下スイッチが前記基準電圧に接続された電子回路において、さらなる放電ハーフHブリッジが前記EL表示装置を選択的に放電路に接続するのに用いられる電子回路。
【請求項30】
前記放電路が基準電圧またはグランドに接続された請求項29に記載の電子回路。
【請求項31】
前記放電路が、前記DC源よりも低い電圧で少なくとも1つのさらなる素子を動作させるために補助電源に接続された請求項29に記載の電子回路。
【請求項32】
前記さらなる素子が、前記回路のスイッチング素子、さらなる表示装置または/およびサウンダを含む請求項31に記載の電子回路。
【請求項33】
前記放電ハーフHブリッジが、接続部を介して直列に接続された2つのスイッチとしての上スイッチおよび下スイッチを含み、前記上スイッチが前記DC電源に接続され前記接続部が前記放電路に接続される(またはその逆となる)ように接続された請求項29から32のいずれかに記載の電子回路。
【請求項34】
前記下スイッチが基準電圧に接続された請求項33に記載の電子回路。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−541783(P2009−541783A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−513749(P2009−513749)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【国際出願番号】PCT/GB2007/002032
【国際公開番号】WO2007/141494
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(503183640)ペリコン リミテッド (16)
【Fターム(参考)】