説明

エレベータのかご内照明装置

【課題】乗りかご内の照明を制御することで、無駄な電力消費を抑え、省エネ効果の高いエレベータを実現する。
【解決手段】採光部5を有するエレベータ乗りかご室1と、このエレベータ乗りかご室1内に設けられた照明器具7と、前記エレベータ乗りかご室1内の床3又は操作盤周辺に設置された照度測定器具8と、タイマー機能を備え、前記エレベータ乗りかご室1を一定時間利用しない場合、前記照明器具7を自動的に休止する照明器具駆動回路12と、を備えたエレベータであって、前記タイマー機能により照明器具7が休止した場合、前記照度測定器具8によってエレベータ乗りかご室内の照度を測定し、一定の照度が確保できる場合には前記照明器具を点灯させない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータのかご内照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一定時間エレベータを利用しない場合、乗りかごの照明器具をタイマーにより自動的に消灯する照明装置は知られていた。また、エレベータに設けられた光センサによって乗りかご室内の照度を計測し、その結果に応じて室内の照度を調整する照明装置も知られていた。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-19315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のエレベータのかご内照明装置においては、前述のように、一定時間エレベータを利用しない場合、乗りかごの照明器具をタイマーにより自動的に消灯するが、エレベータを利用しているときは照明装置を常に点灯していた。このため、エレベータの利用時においては、乗りかごの照明を点灯する必要がない場合でも無条件に点灯していたため、不必要な電力を消費する結果となっていた。
【0005】
したがって本発明は、エレベータの利用時においても省エネルギーを実現し得るエレベータのかご内照明装置を提供することを目的とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の第一の実施形態におけるエレベータ乗りかごの斜視図。
【図2】本発明の第一の実施形態における制御回路を示すブロック図。
【図3】本発明の第一の実施形態における照明器具点灯条件を示すグラフ。
【図4】本発明の第二の実施形態におけるエレベータ乗りかごの一部縦断面図。
【図5】本発明の第二の実施形態におけるエレベータ乗りかごの一部縦断面図。
【図6】本発明の第二の実施形態における照明器具点灯条件を示すグラフ。
【図7】本発明の第三の実施形態における制御回路を示すブロック図。
【図8】本発明の第四の実施形態における制御回路を示すブロック図。
【図9】本発明の第一の実施形態におけるエレベータホールを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0008】
図1は、第一の実施形態のエレベータ乗りかご1を示す。乗りかご1は、天井2と、床3と、出入口戸4と、一部または全体に外光を取り込むための採光部5を設けた乗りかご壁6とで構成されている。乗りかご1内には照明器具7と、照度測定器具8、操作盤9、表示灯10を備えている。この照度測定器具8は、照明器具7及び採光部5からの外光を測定できる位置、例えば床3や操作盤9周辺などに設置される。
【0009】
図2は、本実施形態の照明装置における制御回路を示すブロック図である。エレベータ制御装置11は、操作盤9からの指示信号によりエレベータの運転を制御する制御装置である。照明器具駆動回路12は、エレベータ制御装置11と照度測定器具8の各出力信号が供給され、これらの出力信号を用いて照明器具7のオンオフ駆動する信号を出力する回路である。照明器具駆動回路12は図示しないがタイマーを備え、後述するように、所定の照度が所定時間継続する場合に、自動で照明器具7を点灯あるいは消灯する駆動信号を照明器具7に供給する。
【0010】
図3は、本実施形態における照明器具7の点灯条件を示すグラフである。同図(A)は、照度測定器具8による測定結果である照度を表し、同図(B)はエレベータ制御装置11が把握しているエレベータ利用状態を表し、同図(C)は照明器具駆動回路12の駆動信号であり、照度とエレベータ利用状態の条件に対応した照明器具7の点灯状態を表す。
【0011】
次に上記のように構成された本実施形態におけるエレベータのかご内照明装置の動作を説明する。照度測定器具8は、エレベータの利用時は常に照度を計測する。照明器具駆動回路12はタイマー機能を備え、照度計測器具8の計測した照度が一定時間連続して不足した場合、照明器具7の点灯が必要と判断する。すなわち、図3(A)のA1で示すように、照度が確保され、かつ、図3(B)に示すように、エレベータの利用時間内にある場合には、図3(C)に示すように、照明器具駆動回路12から消灯信号が発生し、照明器具7は消灯状態を維持する。次に、図3(A)のA2で示すように、照度不足である時間がタイマーの設定時間Toより短い場合は、図3(B)に示すように、エレベータの利用時間内にある場合でも、図3(C)に示すように、照明器具駆動回路12からは消灯を指示する信号が継続し、照明器具7は消灯状態を維持する。他方、図3(A)のA3で示すように、照度不足である時間がタイマーの設定時間Toより長い場合で、かつ、図3(B)に示すように、エレベータの利用時間内にある場合には、図3(C)に示すように、照明器具駆動回路12の出力は消灯信号からは点灯信号に変わり、照明器具7は点灯する。
【0012】
従って照度計測器具8が利用者の影など一時的な測定結果の変化に影響されず、乗りかご1内の照度を一定に保つことができ、不要な電力消費を低減させることができる。
【0013】
図4、図5は第二の実施形態のエレベータ乗りかご1の一部である、照度測定器具が設置される採光部を示す縦断面図である。本実施形態における照度測定器具8は、採光部5からの外光を測定できる位置のうち、利用者の影の影響をうけることが少ない位置に設置される。例えば、図4に示すように乗りかご壁6と採光部5の境目の窓枠内側や、図5に示すような乗りかご壁6と採光部5の境目の窓枠外側に設置する。
【0014】
これにより、利用者の影の影響をうけず乗りかご1の利用時でも常に正確な照度計測が可能となる。本実施形態では、エレベータが一定時間利用されなかった場合、自動で照明器具7を消灯する。自動消灯後、エレベータの運転が再開される際、乗りかご1内に利用者がいない状態で照度を計測し、採光部5からの光で十分な照度が確保されているか判断する。十分な照度が確保されている場合には照明器具7は点灯させず、照度が不足している場合には照明器具7を点灯させ運転を再開する。
【0015】
図6は本実施形態における照明器具7の点灯条件を示すグラフである。同図(A)は、照度測定器具8による測定結果である照度を表し、同図(B)はエレベータ制御装置11が把握しているエレベータ利用状態を表し、同図(C)は照明器具駆動回路12の駆動信号であり、照度とエレベータ利用状態の条件に対応した照明器具7の点灯状態を表す。
【0016】
照明器具駆動回路12は前述したように、タイマー機能を備え、照度計測器具8の計測した照度が一定時間連続して不足し、かつエレベータが利用状態の場合、照明器具7を点灯させる。つまり、図6(A)のA2で示すように、照度不足が断続的で、タイマー設定時間Toよりも短い場合、照明器具7は点灯させない。
【0017】
照明器具駆動回路12は、照明器具7の点灯中十分な照度を測定した場合、直ちに照明器具7を消灯することができる。つまり、採光部5からの外光によって照度が確保され次第照明は消灯する。
【0018】
本実施形態によれば、利用者の影など一時的な測定結果の変化に影響されず、採光部5からの光による照度を正確に測定することができる。従って、乗りかご1内の照度を一定に保つことができ、不要な照明の点灯を防ぎ電力消費を低減することができる。
【0019】
図7は第三の実施形態における制御回路を示すブロック図である。本実施形態では、調光装置13が設けられ、この調光装置13の入力側にエレベータ制御装置11と複数の照度測定器具8の各出力信号が供給される。これらの出力信号を用いて複数の照明器具7の照度制御あるいはオンオフ駆動する信号を出力する回路である。すなわちこの調光装置13は、複数個所の照度測定結果に応じて照明器具7を調節し、乗りかご1内の照度を一定に保つことができる。
【0020】
図8は第四の実施形態における制御回路を示すブロック図である。本実施形態では、
各照明測定器具8に対して一つの調光装置13および1つの照明器具7を設けこれをひとつの系統とする。この系統を複数設け、各々の調光装置13には共通のエレベータ制御装置11から出力信号が供給される。調光装置13には、エレベータ制御装置11と照度測定器具8の各出力信号が供給され、これらの出力信号を用いて照明器具7の照度制御あるいはオンオフ駆動信号を出力する。照明器具7は、対応する照度測定器具8の測定箇所を照射できる位置に設置する。
【0021】
本実施形態では、測定箇所ごとの照度を照明器具7の点灯に反映させることができる。
【0022】
従って、乗りかご1内の照度を一定に保ちながら不要な電力消費を低減させることができる。
【0023】
図9は本発明の第五の実施形態におけるエレベータホールを示す図である。エレベータ乗りかご1室内の表示灯10だけでなく、エレベータホールの操作盤9付近に設けた表示灯10に省エネ効果と乗りかご1内照明の制御状態を表示する。これにより、利用者に省エネ機能をPRすることができる。
【符号の説明】
【0024】
1 乗りかご
2 天井
3 床
4 出入口戸
5 採光部
6 乗りかご壁
7 照明器具
8 照度計測器具
9 操作盤
10 表示灯
11 エレベータ制御装置
12 照明器具駆動回路
13 調光装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
採光部を有するエレベータ乗りかご室と、
このエレベータ乗りかご室内に設けられた照明器具と、
前記エレベータ乗りかご室内の床又は操作盤周辺に設置された照度測定器具と、
タイマー機能を備え、前記エレベータ乗りかご室を一定時間利用しない場合、前記照明器具を自動的に休止する照明器具駆動回路と、を備えたエレベータであって、
前記タイマー機能により照明器具が休止した場合、前記照度測定器具によってエレベータ乗りかご室内の照度を測定し、一定の照度が確保できる場合には前記照明器具を点灯させないことを特徴とするエレベータのかご内照明装置。
【請求項2】
前記照明器具駆動回路は、前記照度測定器具が前記エレベータ乗りかご室内の照度を一定時間連続して計測し、照度が不足した場合、前記照明器具を点灯させることを特徴とする請求項1のエレベータのかご内照明装置。
【請求項3】
前記照度測定器具が利用者の影の影響をうけず光を測定できる場所に設置されたことを特徴とする請求項1または請求項2のエレベータのかご内照明装置。
【請求項4】
複数の前記照度測定器具と複数の前記照明器具とを接続する調光装置を備え、前記調光装置は前記照度測定器具で測定した照度に対応して前記照明器具を調節することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のエレベータのかご内照明装置。
【請求項5】
前記照度計測と前記照明器具を前記調光装置で接続した系統が複数備えられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のエレベータのかご内照明装置。
【請求項6】
前記照明器具の制御状態と、その省エネ効果を利用者へ知らせる表示灯を設置することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のエレベータのかご内照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−49552(P2013−49552A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189341(P2011−189341)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】