エレベータのドア制御装置
【課題】制御定数の変更を必要とせずに、各階床の機構部の状態に応じてかごドアを適正な位置で減速停止させる。
【解決手段】各階床のドア重量Mを機構定数として機構定数記憶部21に記憶しておく。この機構定数記憶部21に記憶された機構定数に基づいて、各階床でかごドアを開閉したときの減速開始位置Dを求めて減速位置記憶部23にセットする。かごドアを開閉する際に、速度指令出力部19は現在の階床に対応した減速開始位置Dを減速位置記憶部23から取得し、その減速開始位置Dでかごドアの減速を開始するように速度制御を行う。
【解決手段】各階床のドア重量Mを機構定数として機構定数記憶部21に記憶しておく。この機構定数記憶部21に記憶された機構定数に基づいて、各階床でかごドアを開閉したときの減速開始位置Dを求めて減速位置記憶部23にセットする。かごドアを開閉する際に、速度指令出力部19は現在の階床に対応した減速開始位置Dを減速位置記憶部23から取得し、その減速開始位置Dでかごドアの減速を開始するように速度制御を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータのかごドアを開閉制御するためのドア制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータのかごドアの開閉動作を制御する方式として、ドア駆動モータにパルスエンコーダ等の速度検出器を設置しておき、その速度検出器によって検出された速度を速度制御系にフィードバックする方式がある(例えば、特許文献1参照)。これを「速度帰還制御方式」と呼び、開閉動作中の実際の速度を検出するので、高精度な開閉制御を行うことができる。
【0003】
この速度帰還制御方式では、予め指定された速度指令値に対してモータの実速度が追従するようにトルク指令を出力する速度制御器が設けられる。この速度制御器には一定の応答特性があるため、例えばドア重量が重い場合に、速度指令に対する実速度に追従遅れが生じる。このような追従遅れがあると、かごドア(ドアパネル)を適切な位置で減速停止しないため、開端または閉端で激しくぶつかる可能性がある。
【0004】
そこで、従来、速度制御器の制御定数(ゲイン)を各階床のドア重量に応じて変更することにより、速度指令値に対する実速度の追従遅れを解消する方法がある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−286588号公報
【特許文献2】特開2006−182479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1のように、速度制御器の制御定数を変更すると、信号の応答周波数が変化するため、ドア機構部の周波数と共振して振動や騒音が発生することがある。
【0007】
さらに、速度制御器の制御定数をドア重量に合わせた場合に、ドア摩擦力や自閉力などの他の要因が大きく変化した場合に、かごドアを適正な位置で減速停止できないなどの問題がある。
【0008】
本発明は上記のような点に鑑みなされたもので、制御定数の変更を必要とせずに、各階床の機構部の状態に応じてかごドアを適正な位置で減速停止させることのできるエレベータのドア制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るエレベータのドア制御装置は、かごドアを開閉するモータの実速度を検出し、その検出された実速度を予め指定された速度指令に追従させるように上記モータの駆動を制御するエレベータのドア制御装置において、各階床の機構部の状態を示す機構定数を各階床のデータと関連付けて記憶する第1の記憶手段と、この第1の記憶手段に記憶された機構定数に基づいて、上記かごドアを開閉するときの減速開始位置を算出する減速位置算出手段と、この減速位置算出手段によって算出された減速開始位置を各階床のデータと関連付けて記憶する第2の記憶手段と、上記かごドアを開閉する際に、現在の階床に対応した減速開始位置を上記第2の記憶手段から取得し、その減速開始位置で上記かごドアの減速を開始するように速度制御を行う速度制御手段とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、各階床の機構定数に基づいて上記かごドアを開閉するときの減速開始位置を切り替えることにより、制御定数の変更を必要とせずに、各階床の機構部の状態に応じてかごドアを適正な位置で減速停止させる。これにより、各階床の機構部の状態でかごドアが開端や閉端で激しくぶつかるような事態を回避して、常にスムーズな開閉を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は本発明の第1の実施形態に係るエレベータのかごドア制御装置に用いられるかごドアの構成を示す図である。
【図2】図2は同実施形態におけるエレベータのドア制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は同実施形態におけるエレベータのドア制御装置に設けられた減速位置記憶部の一例を示す図である。
【図4】図4は同実施形態における速度指令Vrefとモータ実速度Vmとの関係、かご位置Xと減速開始位置Dとの関係を示す図である。
【図5】図5は本発明の第2の実施形態に係るエレベータのドア制御装置の構成を示すブロック図である。
【図6】図6は同実施形態における補正前のモータ実速度Vm、補正後のモータ実速度Vm、開端スイッチ信号OPSの関係を示す図である。
【図7】図7は本発明の第3の実施形態に係るエレベータのドア制御装置の構成を示すブロック図である。
【図8】図8は同実施形態における補正前のモータ実速度Vm、かご位置X、開端スイッチ信号OPS、終端信号ENDの関係を示す図である。
【図9】図9は同実施形態における補正後のモータ実速度Vm、かご位置X、開端スイッチ信号OPS、終端信号ENDの関係を示す図である。
【図10】図10は本発明の第4の実施形態に係るエレベータのドア制御装置の構成を示すブロック図である。
【図11】図11は同実施形態における補正前のモータ実速度Vm、トルク指令Tref、終端信号ENDの関係を示す図である。
【図12】図12は同実施形態における補正後のモータ実速度Vm、トルク指令Tref、終端信号ENDの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
まず、本発明のエレベータのかごドア制御装置に用いられるかごドアの構成について説明する。
【0014】
図1はそのかごドアの構成を示す図であり、2枚のドアパネルを有する左右中開きタイプのかごドアの構成が示されている。
【0015】
一対のドアパネル1a,1bは、ベルト2を介して中央中開で左右方向に開閉自在に支持されている。ベルト2は、一対のプーリ3a,3bに巻き掛けられており、一方のプーリ3bの軸にドア駆動用モータ11が連結されている。ドアパネル1a,1bは、それぞれベルト2の上側、下側に結合され、ドア駆動用モータ11の回転方向に応じて、戸開方向または戸閉方向に移動する。
【0016】
また、かごドアの閉端の位置から一定距離手前でオン動作する閉端スイッチ5と、開端の位置から一定距離手前でオン動作する開端スイッチ6がドアパネル1aの上端部付近に配設されている。
【0017】
「開端」の位置とは、かごドアが全開した状態で、一方のドアパネルの戸開側の端部(図1の例ではドアパネル1aの左側端部)が停止する位置である。「閉端」の位置とは、かごドアが全閉した状態で、一方のドアパネルの戸閉側の端部(図1の例ではドアパネル1aの右側端部)が停止する位置である。
【0018】
なお、各階床の乗場に設置された図示せぬ乗場ドアは、乗りかごが着床したときに、かごドアに係合して開閉動作する。
【0019】
次に、かごドア1a,1bを開閉駆動するためのドア制御装置の構成について説明する。
【0020】
図2は本発明の第1の実施形態に係るエレベータのドア制御装置の構成を示すブロック図である。なお、図中のD1,D2は減算器である。
【0021】
図2に示すように、このドア制御装置には、エレベータ主制御装置10、ドア駆動用モータ11、パルスエンコーダ(PG)12、電力変換部13、電流制御部14、速度制御部15、電流トルク変換部16、モータ速度演算部17、ドア位置演算器18、速度指令出力部19が備えられている。
【0022】
エレベータ主制御装置10は、ドア制御を含むエレベータ全体の制御を行うものであり、ここではドア開閉指令OP/CL、階床数データNを出力する。
【0023】
ドア駆動用モータ11は、図1に示したドアパネル1a,1bを開閉動作させるためのモータである。パルスエンコーダ12は、このドア駆動用モータ11の回転軸などに取り付けられており、ドア駆動用モータ11の回転速度に応じてパルス信号を出力する。モータ速度演算部17は、パルスエンコーダ12から出力されるパルス信号に基づいてモータ実速度Vmを求め、速度制御系にフィードバックする。
【0024】
ドア位置演算部18は、モータ速度演算部17から出力されるモータ実速度Vmを積分してドア位置Xを示す信号を生成して速度指令出力部19に出力する。
【0025】
速度指令出力部19は、予め設定された目標速度に従って速度指令値Vrefを出力する。速度制御部15は、モータ速度演算部17から出力されるモータ実速度Vmと速度指令出力部19から出力される速度指令値Vrefとの速度偏差信号に基づいて、ドア駆動用モータ11に対するトルク指令Trefを出力する。
【0026】
一方、電流トルク変換部16は、ドア駆動用モータ11の実電流をトルク電流に変換することにより、そのトルク電流に基づいてモータ実トルクTmを出力する。電流制御部14は、電流トルク変換部16から出力されるモータ実トルクTmと速度制御部15から出力されるトルク指令Trefとが一致するように、電力変換部13への電圧指令を制御する。これにより、電力変換部13からドア駆動用モータ11に対して所要の電力供給がなされて、かごドア1a,1bが目標速度で戸閉方向または戸開方向に移動することになる。
【0027】
ここで、ドア重量等の機構部の状態に応じた速度帰還制御(速度フィードバック制御)を実現するための機能として、機構定数記憶部21、減速位置算出部22、減速位置記憶部23がさらに備えられている。
【0028】
機構定数記憶部21には、エレベータ主制御装置10から出力される階床数データNに基づいて各階床毎に設定された機構定数が記憶されている。
【0029】
「機構定数」とは、ドア機構部の状態を示すパラメータであり、例えば「ドア重量」、「ドア走行摩擦」、「ドア自閉力」などである。
【0030】
すなわち、乗りかごが着床したときに、かごドアに係合して乗場ドアが開閉動作する。「ドア重量」は、かごドアが乗場ドアに係合した状態での合計重量のことである。この場合、乗場ドアについて、各階床でオプション仕様などによって重量が異なる。「ドア走行摩擦」は、かごドアが乗場ドアと共に開閉方向に移動するときに生じる摩擦力のことであり、ゴミの付着状態等によって各階床で摩擦力が異なる。また、各階床の乗場には、乗場ドアが単独で自閉できるように、重りや巻き取り式の機構を持つ自閉装置が設置されているのが一般的である。「ドア自閉力」は、その自閉装置の戸閉力のことであり、自閉装置の機構部の具合によって各階床で戸閉力が異なる。
【0031】
機構定数記憶部21には、これらのうちの少なくとも1つが機構定数として各階床のデータに関連付けられて記憶されている。以下では、機構定数として、ドア重量Mが記憶されているものとして説明する。
【0032】
減速位置算出部22は、機構定数記憶部21に記憶された各階床の機構定数(ここではドア重量M)に基づいて、各階床でかごドアを開閉するときの減速開始位置Dを算出する。減速位置記憶部23は、減速位置算出部22によって算出された減速開始位置Dを各階床のデータに関連付けて記憶する。
【0033】
図3は減速位置記憶部23の一例を示す図である。
【0034】
この例では、3Fの減速開始位置Dを基準にして、各階床でかごドアを開閉するときの減速開始位置Dが設定されている。すなわち、3Fの減速開始位置D=α(cm)とすると、1FはD=「α+1」(cm)、2FはD=「α+2」(cm)、4FはD=「α−1」(cm)、5FはD=「α−2」(cm)…として設定されている。αはかごドアの閉端または開端からの移動距離を表している。各階床のドア重量Mの違いによって、このαの値を調整したものを減速開始位置Dとして設定している。
【0035】
このような構成において、速度指令出力部19は、エレベータ主制御装置10から出力されるドア開閉指令OP/CLに従って、予め設定されたドア開閉の速度パターンに対応した速度指令値Vrefを出力する。速度制御部15では、この速度指令値Vrefとモータ実速度Vmとの差分値に基づいてトルク指令Trefを出力することにより、かごドア(ドアパネル1a,1b)を上記速度パターンに合わせて開閉動作させる。
【0036】
その際、速度指令出力部19は、減速位置記憶部23から現在の階床に対応した減速開始位置Dを取得し、その減速開始位置Dに従ってかごドアの減速を開始する。この減速開始位置Dは、図3で説明したように、機構定数(ここではドア重量M)によって各階床毎に異なる。
【0037】
このときの様子を図4に示す。
図4(a)は速度指令Vrefとモータ実速度Vmとの関係、同図(b)はかご位置Xと減速開始位置Dとの関係を示している。
【0038】
速度指令Vrefによって指定された速度パターンは、「初期低速」、「加速」、「定速」、「減速」、「終端低速」の5つの期間を有する。図4(a)に示すように、速度帰還制御方式では、この速度指令Vrefの速度パターンにモータ実速度Vmの速度パターンを追従させるように、かごドアの移動速度つまりドア駆動用モータ11の回転速度を制御する。
【0039】
図4(a)の例では、実線で示す速度指令Vrefに対して、破線のように実速度Vmに追従遅れが生じている。通常、ドア重量が重い場合やドア走行摩擦が大きい場合には、速度指令Vrefに対する実速度Vmの遅れが大きくなり、ドア重量が軽い場合やドア走行摩擦が小さい場合には速度指令Vrefに対する実速度Vmの遅れが小さくなる。
【0040】
ここで、戸開時において、図4(b)に示すように、ドア駆動用モータ11の回転に伴い、かごドアが閉端から戸開方向に移動する。そのときのドア位置Xが当該階床に対応した減速開始位置Dに達した時点で減速が開始される。
【0041】
すなわち、図3の例で、現在の階床数が3Fであれば、減速位置記憶部23からD=αの値が読み出され、かごドアが閉端からαの距離だけ移動したときに減速が開始されることになる。そして、かごドアが開端近くにくると、開端スイッチ6がオンして速度指令Vrefの出力が零となる。
【0042】
戸閉時についても同様である。
すなわち、かごドアが開端から戸閉方向に移動し、かご位置Xが当該階床に対応した減速開始位置Dに達した時点で減速が開始される。かごドアが閉端近くにくると、閉端スイッチ5がオンして速度指令Vrefの出力が零となる。
【0043】
なお、閉端スイッチ5は、閉端の位置から10mm程度手前でオンするように配置されている。開端スイッチ6は、開端の位置から10mm程度手前でオンするように配置されている。これは、スイッチ5,6がオンしたタイミングで速度指令Vrefの出力を零にしても、かごドアはすぐに止まらず、惰性で少し動いてしまうことを考慮してのことである。
【0044】
このように、各階床の機構定数に基づいて減速開始位置Dを適宜切り替えることで、速度制御部15の制御定数(ゲイン)を変更せずとも、各階床の機構部の状態に応じてかごドアを適正な位置で減速停止させることができる。
【0045】
なお、上記第1の実施形態では、機構定数として「ドア重量」を例にして説明したが、「ドア重量」の他に、「ドア走行摩擦」、「ドア自閉力」などを各階床で測定しておき、これらの中の1つ、あるいは、複数を組み合わせて機構定数として用いるようにしてもよい。
【0046】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0047】
階床によっては開端または閉端でかごドア(ドアパネル1a,1b)の停止位置がずれていたり、ドア機構部の再調整によって停止位置がずれている場合がある。第2の実施形態では、この停止位置のずれに対して減速開始位置Dを補正する構成としたものである。
【0048】
図5は本発明の第2の実施形態に係るエレベータのドア制御装置の構成を示すブロック図である。なお、上記第1の実施形態における図2の構成と同じ部分には同一符号を付して、その説明は省略するものとする。
【0049】
図5において、図2の構成と異なる点は減速位置補正部(1)24が設けられていることである。なお、機構定数記憶部21と減速位置算出部22は省略されており、減速位置記憶部23には既に各階床の減速開始位置Dが記憶されているものとする。
【0050】
減速位置補正部(1)24には、開端スイッチ信号OPS、開端スイッチ信号OPS、閉端スイッチ信号CLS、モータ実速度Vm、ドア位置Xが入力される。減速位置補正部(1)24は、閉端スイッチ5または開端スイッチ6がオンしたタイミングでモータ実速度Vmの値をチェックし、その値が所定の範囲を超える場合に当該階床の減速開始位置Dを補正する。
【0051】
この減速位置補正部(1)24の動作について、図6を用いて詳しく説明する。
【0052】
図6(a)は補正前のモータ実速度Vm、同図(b)は補正後のモータ実速度Vm、同図(c)は開端スイッチ信号OPSを示している。また、図中のVSは開端スイッチ信号OPSがオンしたときの実速度値である。VHとVLは減速開始位置Dの補正の必要性を判定するための速度判定値であり、VHはその上限値、VLはその下限値を示している。
【0053】
今、ある階床でかごドアを戸開する場合を想定する。
戸開時において、かごドア(ここではドアパネル1a)が閉端の位置から戸開方向に移動すると、開端の手前で開端スイッチ6がオンして、開端スイッチ信号OPSが減速位置補正部(1)24に入力される。
【0054】
減速位置補正部(1)24は、この開端スイッチ信号OPSの入力タイミングでモータ11の実速度値VSを検出し、その実速度値VSと予め設定された速度判定値VH,VLとの比較を行う。その結果、図6(a)に示すように、VSがVHとVLの範囲を超える場合に、減速位置補正部(1)24は、現在設定されている減速開始位置Dが不適切であると判断する。
【0055】
減速開始位置Dが不適切であった場合、図6(b)に示すように、減速位置補正部(1)24は、VSがVHとVLの範囲内に収まるように補正値ΔD1を算出する。この補正値ΔD1は減速位置記憶部23に与えられる。減速位置記憶部23では、当該階床に設定された減速開始位置Dに対し、補正値ΔD1を加減算して速度指令出力部19に出力する。以後、補正後の減速開始位置Dでモータ実速度Vmの減速が開始されることになる。
【0056】
戸閉時でも同様である。
すなわち、戸閉時には、閉端スイッチ5がオンしたときのタイミングでモータ11の実速度値VSを検出し、その実速度値VSと予め設定された速度判定値VH,VLとを比較する。そして、VSがVHとVLの範囲を超える場合には減速開始位置Dが不適切であると判断し、VSをVHとVLの範囲内に収まるように補正値ΔD1を算出して、その補正値ΔD1にて減速開始位置Dを補正する。
【0057】
このように、スイッチ5,6がオン動作したときのモータ実速度Vmの状態に応じて減速開始位置Dを補正することで、常にかごドアを適正な位置で減速停止させることができる。
【0058】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0059】
第3の実施形態では、上記第2の実施形態とは別の方法で、減速開始位置Dを補正する構成としたものである。
【0060】
図7は本発明の第3の実施形態に係るエレベータのドア制御装置の構成を示すブロック図である。なお、上記第1の実施形態における図2の構成と同じ部分には同一符号を付して、その説明は省略するものとする。
【0061】
図7において、図2の構成と異なる点は終端検出部25と減速位置補正部(2)26が設けられていることである。なお、機構定数記憶部21と減速位置算出部22は省略されており、減速位置記憶部23には既に各階床の減速開始位置Dが記憶されているものとする。
【0062】
上記第2の実施形態と同様に、開端/閉端におけるかごドアの停止位置がずれている場合を考慮して減速開始位置Dを補正するものである。
【0063】
終端検出部25は、モータ実速度Vmが零になったことを検出し、終端信号ENDを減速位置補正部(2)26に出力する。減速位置補正部(2)26には、開端スイッチ信号OPS、開端スイッチ信号OPS、終端信号ENDが入力される。減速位置補正部(2)26は、これらの信号を用いて減速開始位置Dを補正する。
【0064】
この減速位置補正部(2)26の動作について、図8および図9を用いて詳しく説明する。
【0065】
図8は補正前の各信号の状態を示す図であり、図8(a)は補正前のモータ実速度Vm、同図(b)はかご位置X、同図(c)は開端スイッチ信号OPS、同図(d)は終端信号ENDを示している。図9は補正後の各信号の状態を示す図であり、図9(a)は補正後のモータ実速度Vm、同図(b)はかご位置X、同図(c)は開端スイッチ信号OPS、同図(d)は終端信号ENDを示している。
【0066】
今、ある階床でかごドアを戸開する場合を想定する。
【0067】
戸開時において、かごドア(ここではドアパネル1a)が閉端の位置から戸開方向に移動すると、開端の手前で開端スイッチ6がオンして、開端スイッチ信号OPSが減速位置補正部(2)26に入力される。その後、モータ実速度Vmが零となり、終端検出部25から終端信号ENDが出力されて減速位置補正部(2)26に入力される。
【0068】
ここで、減速位置補正部(2)26は、開端スイッチ信号OPSがオンしたときのドア位置XSと、開端スイッチ信号OPSがオンかつ終端信号ENDがオンしたときのドア位置XOPとを検出して両者の差分を算出する。
【0069】
この差分(XOP−XS)は、開端スイッチ6が動作してから実際にかごドア(ここではドアパネル1a)が開端で停止するまでの誤差に相当する。図8に示すように、この差分(XOP−XS)が予め設定された適正値X0と一致しない場合に、減速位置補正部(2)26は、現在設定されている減速開始位置Dが不適切であると判断する。
【0070】
減速開始位置Dが不適切であった場合、図9に示すように、減速位置補正部(2)26は、補正値ΔD2=XOP−XS−X0を求めて、これを減速位置記憶部23に出力する。つまり、XOPとXSの差分が大きい場合に、XOPとXSの差分がX0と一致するように補正値ΔD2を算出する。減速位置記憶部23では、当該階床に設定された減速開始位置Dに対し、補正値ΔD2を加減算して速度指令出力部19に出力する。以後、補正後の減速開始位置Dでモータ実速度Vmの減速が開始されることになる。
【0071】
戸閉時でも同様である。
すなわち、戸閉時には、閉端スイッチ信号CLSがオンしたときのドア位置XSと、閉端スイッチ信号CLSがオンかつ終端信号ENDがオンしたときのドア位置XOPとの差分を求め、その差分が予め設定された適正値X0と一致するように補正値ΔD2を算出して減速開始位置Dを補正する。
【0072】
このように、モータ実速度Vmの状態から実際にかごドアが終端(閉端/開端)に位置したことを検出し、その位置(XOP)とスイッチ5,6がオン動作したときの位置(XS)と差分に応じて減速開始位置Dを補正することにより、常にかごドアを適正な位置で減速停止させることができる。
【0073】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
【0074】
第4の実施形態では、かごドアが開端または閉端に位置したときのトルクの状態から減速開始位置Dを補正する構成としたものである。
【0075】
図10は本発明の第4の実施形態に係るエレベータのドア制御装置の構成を示すブロック図である。なお、上記第1の実施形態における図2の構成と同じ部分には同一符号を付して、その説明は省略するものとする。
【0076】
図10において、図2の構成と異なる点は終端検出部25と減速位置補正部(3)27が設けられていることである。なお、機構定数記憶部21と減速位置算出部22は省略されており、減速位置記憶部23には既に各階床の減速開始位置Dが記憶されているものとする。
【0077】
上記第2の実施形態と同様に、開端/閉端におけるかごドアの停止位置がずれている場合を考慮して減速開始位置Dを補正するものである。
【0078】
終端検出部25は、モータ実速度Vmが零になったことを検出し、終端信号ENDを減速位置補正部(3)27に出力する。減速位置補正部(3)27には、開端スイッチ信号OPS、開端スイッチ信号OPS、終端信号END、トルク指令Trefが入力される。減速位置補正部(3)27は、これらの信号を用いて減速開始位置Dを補正する。
【0079】
この減速位置補正部(3)27の動作について、図11および図12を用いて詳しく説明する。
【0080】
図11は補正前の各信号の状態を示す図であり、図11(a)は補正前のモータ実速度Vm、同図(b)はトルク指令Tref、同図(c)は終端信号ENDを示している。図12は補正後の各信号の状態を示す図であり、図12(a)は補正前のモータ実速度Vm、同図(b)はトルク指令Tref、同図(c)は終端信号ENDを示している。
【0081】
今、ある階床でかごドアを戸開する場合を想定する。
【0082】
戸開時において、かごドア(ここではドアパネル1a)が閉端の位置から戸開方向に移動すると、開端の手前で開端スイッチ6がオンして、開端スイッチ信号OPSが減速位置補正部(3)27に入力される。その後、モータ実速度Vmが零となり、終端検出部25から終端信号ENDが出力されて減速位置補正部(3)27に入力される。
【0083】
ここで、減速位置補正部(3)27は、終端信号ENDがオンしたときのトルク指令Trefを監視する。この場合、かごドアの減速が遅く、開端位置で強く衝突している場合には、図11(b)に示すようにトルク指令Trefに振動が生じる。
【0084】
減速位置補正部(3)27は、このときのトルク指令Trefの振動成分が予め設定されたトルク閾値Terrを超えた場合にかごドアが衝突しているものと判断して、トルク指令Trefの振動成分がトルク閾値Terr以下になるように補正値ΔD3を算出して減速位置記憶部23に出力する。
【0085】
減速位置記憶部23では、当該階床に設定された減速開始位置Dに対し、補正値ΔD3を加減算して速度指令出力部19に出力する。なお、ここでは停止位置でのトルクが強い場合を前提としているので、現在設定されている減速開始位置Dに補正値ΔD3を減算して補正することになる。以後、補正後の減速開始位置Dでモータ実速度Vmの減速が開始されることになる。
【0086】
戸閉時でも同様である。
すなわち、戸閉時には、閉端スイッチ信号CLSがオンした後、モータ実速度Vmが零となって終端信号ENDがオンしたときのトルク指令Trefを監視する。このときのトルク指令Trefの振動成分が予め設定されたトルク閾値Terrを超えた場合にかごドアが衝突しているものと判断して、トルク指令Trefの振動成分がトルク閾値Terr以下になるように補正値ΔD3を算出して減速位置記憶部23に出力する。
【0087】
このように、モータ実速度Vmの状態から実際にかごドアが終端(閉端/開端)に位置したことを検出し、そのときのトルクの状態に応じて減速開始位置Dを補正することにより、常にかごドアを適正な位置で減速停止させることができる。
【0088】
なお、上記各実施形態では、2枚戸両開きタイプのかごドアを例にして説明したが、本発明はこれに限るものではなく、例えば2枚戸片開きタイプなど、様々なタイプのかごドアに適用可能である。
【0089】
要するに、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1a,1b…かごドア、2…ベルト、3a,3b…プーリ、11…ドア駆動用モータ、12…パルスエンコーダ、13…電力変換部、14…電流制御部、15…速度制御部、16…電流トルク変換部、17…モータ速度演算部、18…ドア位置演算部、19…速度指令出力部、21…機構定数記憶部、22…減速位置算出部、23…減速位置記憶部、24…減速位置補正部(1)、25…終端検出部、26…減速位置補正部(2)、27…減速位置補正部(3)、D1,D2…減算器、Vref…速度指令値、Tref…トルク指令値、Tm…モータ実トルク、Vm…モータ実速度、X…ドア位置、M…ドア重量、N…階床数データ、D…減速開始位置、OPS…開端スイッチ信号、CLS…閉端スイッチ信号、ΔD1,ΔD2,ΔD3…補正値。
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータのかごドアを開閉制御するためのドア制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータのかごドアの開閉動作を制御する方式として、ドア駆動モータにパルスエンコーダ等の速度検出器を設置しておき、その速度検出器によって検出された速度を速度制御系にフィードバックする方式がある(例えば、特許文献1参照)。これを「速度帰還制御方式」と呼び、開閉動作中の実際の速度を検出するので、高精度な開閉制御を行うことができる。
【0003】
この速度帰還制御方式では、予め指定された速度指令値に対してモータの実速度が追従するようにトルク指令を出力する速度制御器が設けられる。この速度制御器には一定の応答特性があるため、例えばドア重量が重い場合に、速度指令に対する実速度に追従遅れが生じる。このような追従遅れがあると、かごドア(ドアパネル)を適切な位置で減速停止しないため、開端または閉端で激しくぶつかる可能性がある。
【0004】
そこで、従来、速度制御器の制御定数(ゲイン)を各階床のドア重量に応じて変更することにより、速度指令値に対する実速度の追従遅れを解消する方法がある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−286588号公報
【特許文献2】特開2006−182479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1のように、速度制御器の制御定数を変更すると、信号の応答周波数が変化するため、ドア機構部の周波数と共振して振動や騒音が発生することがある。
【0007】
さらに、速度制御器の制御定数をドア重量に合わせた場合に、ドア摩擦力や自閉力などの他の要因が大きく変化した場合に、かごドアを適正な位置で減速停止できないなどの問題がある。
【0008】
本発明は上記のような点に鑑みなされたもので、制御定数の変更を必要とせずに、各階床の機構部の状態に応じてかごドアを適正な位置で減速停止させることのできるエレベータのドア制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るエレベータのドア制御装置は、かごドアを開閉するモータの実速度を検出し、その検出された実速度を予め指定された速度指令に追従させるように上記モータの駆動を制御するエレベータのドア制御装置において、各階床の機構部の状態を示す機構定数を各階床のデータと関連付けて記憶する第1の記憶手段と、この第1の記憶手段に記憶された機構定数に基づいて、上記かごドアを開閉するときの減速開始位置を算出する減速位置算出手段と、この減速位置算出手段によって算出された減速開始位置を各階床のデータと関連付けて記憶する第2の記憶手段と、上記かごドアを開閉する際に、現在の階床に対応した減速開始位置を上記第2の記憶手段から取得し、その減速開始位置で上記かごドアの減速を開始するように速度制御を行う速度制御手段とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、各階床の機構定数に基づいて上記かごドアを開閉するときの減速開始位置を切り替えることにより、制御定数の変更を必要とせずに、各階床の機構部の状態に応じてかごドアを適正な位置で減速停止させる。これにより、各階床の機構部の状態でかごドアが開端や閉端で激しくぶつかるような事態を回避して、常にスムーズな開閉を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は本発明の第1の実施形態に係るエレベータのかごドア制御装置に用いられるかごドアの構成を示す図である。
【図2】図2は同実施形態におけるエレベータのドア制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は同実施形態におけるエレベータのドア制御装置に設けられた減速位置記憶部の一例を示す図である。
【図4】図4は同実施形態における速度指令Vrefとモータ実速度Vmとの関係、かご位置Xと減速開始位置Dとの関係を示す図である。
【図5】図5は本発明の第2の実施形態に係るエレベータのドア制御装置の構成を示すブロック図である。
【図6】図6は同実施形態における補正前のモータ実速度Vm、補正後のモータ実速度Vm、開端スイッチ信号OPSの関係を示す図である。
【図7】図7は本発明の第3の実施形態に係るエレベータのドア制御装置の構成を示すブロック図である。
【図8】図8は同実施形態における補正前のモータ実速度Vm、かご位置X、開端スイッチ信号OPS、終端信号ENDの関係を示す図である。
【図9】図9は同実施形態における補正後のモータ実速度Vm、かご位置X、開端スイッチ信号OPS、終端信号ENDの関係を示す図である。
【図10】図10は本発明の第4の実施形態に係るエレベータのドア制御装置の構成を示すブロック図である。
【図11】図11は同実施形態における補正前のモータ実速度Vm、トルク指令Tref、終端信号ENDの関係を示す図である。
【図12】図12は同実施形態における補正後のモータ実速度Vm、トルク指令Tref、終端信号ENDの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
まず、本発明のエレベータのかごドア制御装置に用いられるかごドアの構成について説明する。
【0014】
図1はそのかごドアの構成を示す図であり、2枚のドアパネルを有する左右中開きタイプのかごドアの構成が示されている。
【0015】
一対のドアパネル1a,1bは、ベルト2を介して中央中開で左右方向に開閉自在に支持されている。ベルト2は、一対のプーリ3a,3bに巻き掛けられており、一方のプーリ3bの軸にドア駆動用モータ11が連結されている。ドアパネル1a,1bは、それぞれベルト2の上側、下側に結合され、ドア駆動用モータ11の回転方向に応じて、戸開方向または戸閉方向に移動する。
【0016】
また、かごドアの閉端の位置から一定距離手前でオン動作する閉端スイッチ5と、開端の位置から一定距離手前でオン動作する開端スイッチ6がドアパネル1aの上端部付近に配設されている。
【0017】
「開端」の位置とは、かごドアが全開した状態で、一方のドアパネルの戸開側の端部(図1の例ではドアパネル1aの左側端部)が停止する位置である。「閉端」の位置とは、かごドアが全閉した状態で、一方のドアパネルの戸閉側の端部(図1の例ではドアパネル1aの右側端部)が停止する位置である。
【0018】
なお、各階床の乗場に設置された図示せぬ乗場ドアは、乗りかごが着床したときに、かごドアに係合して開閉動作する。
【0019】
次に、かごドア1a,1bを開閉駆動するためのドア制御装置の構成について説明する。
【0020】
図2は本発明の第1の実施形態に係るエレベータのドア制御装置の構成を示すブロック図である。なお、図中のD1,D2は減算器である。
【0021】
図2に示すように、このドア制御装置には、エレベータ主制御装置10、ドア駆動用モータ11、パルスエンコーダ(PG)12、電力変換部13、電流制御部14、速度制御部15、電流トルク変換部16、モータ速度演算部17、ドア位置演算器18、速度指令出力部19が備えられている。
【0022】
エレベータ主制御装置10は、ドア制御を含むエレベータ全体の制御を行うものであり、ここではドア開閉指令OP/CL、階床数データNを出力する。
【0023】
ドア駆動用モータ11は、図1に示したドアパネル1a,1bを開閉動作させるためのモータである。パルスエンコーダ12は、このドア駆動用モータ11の回転軸などに取り付けられており、ドア駆動用モータ11の回転速度に応じてパルス信号を出力する。モータ速度演算部17は、パルスエンコーダ12から出力されるパルス信号に基づいてモータ実速度Vmを求め、速度制御系にフィードバックする。
【0024】
ドア位置演算部18は、モータ速度演算部17から出力されるモータ実速度Vmを積分してドア位置Xを示す信号を生成して速度指令出力部19に出力する。
【0025】
速度指令出力部19は、予め設定された目標速度に従って速度指令値Vrefを出力する。速度制御部15は、モータ速度演算部17から出力されるモータ実速度Vmと速度指令出力部19から出力される速度指令値Vrefとの速度偏差信号に基づいて、ドア駆動用モータ11に対するトルク指令Trefを出力する。
【0026】
一方、電流トルク変換部16は、ドア駆動用モータ11の実電流をトルク電流に変換することにより、そのトルク電流に基づいてモータ実トルクTmを出力する。電流制御部14は、電流トルク変換部16から出力されるモータ実トルクTmと速度制御部15から出力されるトルク指令Trefとが一致するように、電力変換部13への電圧指令を制御する。これにより、電力変換部13からドア駆動用モータ11に対して所要の電力供給がなされて、かごドア1a,1bが目標速度で戸閉方向または戸開方向に移動することになる。
【0027】
ここで、ドア重量等の機構部の状態に応じた速度帰還制御(速度フィードバック制御)を実現するための機能として、機構定数記憶部21、減速位置算出部22、減速位置記憶部23がさらに備えられている。
【0028】
機構定数記憶部21には、エレベータ主制御装置10から出力される階床数データNに基づいて各階床毎に設定された機構定数が記憶されている。
【0029】
「機構定数」とは、ドア機構部の状態を示すパラメータであり、例えば「ドア重量」、「ドア走行摩擦」、「ドア自閉力」などである。
【0030】
すなわち、乗りかごが着床したときに、かごドアに係合して乗場ドアが開閉動作する。「ドア重量」は、かごドアが乗場ドアに係合した状態での合計重量のことである。この場合、乗場ドアについて、各階床でオプション仕様などによって重量が異なる。「ドア走行摩擦」は、かごドアが乗場ドアと共に開閉方向に移動するときに生じる摩擦力のことであり、ゴミの付着状態等によって各階床で摩擦力が異なる。また、各階床の乗場には、乗場ドアが単独で自閉できるように、重りや巻き取り式の機構を持つ自閉装置が設置されているのが一般的である。「ドア自閉力」は、その自閉装置の戸閉力のことであり、自閉装置の機構部の具合によって各階床で戸閉力が異なる。
【0031】
機構定数記憶部21には、これらのうちの少なくとも1つが機構定数として各階床のデータに関連付けられて記憶されている。以下では、機構定数として、ドア重量Mが記憶されているものとして説明する。
【0032】
減速位置算出部22は、機構定数記憶部21に記憶された各階床の機構定数(ここではドア重量M)に基づいて、各階床でかごドアを開閉するときの減速開始位置Dを算出する。減速位置記憶部23は、減速位置算出部22によって算出された減速開始位置Dを各階床のデータに関連付けて記憶する。
【0033】
図3は減速位置記憶部23の一例を示す図である。
【0034】
この例では、3Fの減速開始位置Dを基準にして、各階床でかごドアを開閉するときの減速開始位置Dが設定されている。すなわち、3Fの減速開始位置D=α(cm)とすると、1FはD=「α+1」(cm)、2FはD=「α+2」(cm)、4FはD=「α−1」(cm)、5FはD=「α−2」(cm)…として設定されている。αはかごドアの閉端または開端からの移動距離を表している。各階床のドア重量Mの違いによって、このαの値を調整したものを減速開始位置Dとして設定している。
【0035】
このような構成において、速度指令出力部19は、エレベータ主制御装置10から出力されるドア開閉指令OP/CLに従って、予め設定されたドア開閉の速度パターンに対応した速度指令値Vrefを出力する。速度制御部15では、この速度指令値Vrefとモータ実速度Vmとの差分値に基づいてトルク指令Trefを出力することにより、かごドア(ドアパネル1a,1b)を上記速度パターンに合わせて開閉動作させる。
【0036】
その際、速度指令出力部19は、減速位置記憶部23から現在の階床に対応した減速開始位置Dを取得し、その減速開始位置Dに従ってかごドアの減速を開始する。この減速開始位置Dは、図3で説明したように、機構定数(ここではドア重量M)によって各階床毎に異なる。
【0037】
このときの様子を図4に示す。
図4(a)は速度指令Vrefとモータ実速度Vmとの関係、同図(b)はかご位置Xと減速開始位置Dとの関係を示している。
【0038】
速度指令Vrefによって指定された速度パターンは、「初期低速」、「加速」、「定速」、「減速」、「終端低速」の5つの期間を有する。図4(a)に示すように、速度帰還制御方式では、この速度指令Vrefの速度パターンにモータ実速度Vmの速度パターンを追従させるように、かごドアの移動速度つまりドア駆動用モータ11の回転速度を制御する。
【0039】
図4(a)の例では、実線で示す速度指令Vrefに対して、破線のように実速度Vmに追従遅れが生じている。通常、ドア重量が重い場合やドア走行摩擦が大きい場合には、速度指令Vrefに対する実速度Vmの遅れが大きくなり、ドア重量が軽い場合やドア走行摩擦が小さい場合には速度指令Vrefに対する実速度Vmの遅れが小さくなる。
【0040】
ここで、戸開時において、図4(b)に示すように、ドア駆動用モータ11の回転に伴い、かごドアが閉端から戸開方向に移動する。そのときのドア位置Xが当該階床に対応した減速開始位置Dに達した時点で減速が開始される。
【0041】
すなわち、図3の例で、現在の階床数が3Fであれば、減速位置記憶部23からD=αの値が読み出され、かごドアが閉端からαの距離だけ移動したときに減速が開始されることになる。そして、かごドアが開端近くにくると、開端スイッチ6がオンして速度指令Vrefの出力が零となる。
【0042】
戸閉時についても同様である。
すなわち、かごドアが開端から戸閉方向に移動し、かご位置Xが当該階床に対応した減速開始位置Dに達した時点で減速が開始される。かごドアが閉端近くにくると、閉端スイッチ5がオンして速度指令Vrefの出力が零となる。
【0043】
なお、閉端スイッチ5は、閉端の位置から10mm程度手前でオンするように配置されている。開端スイッチ6は、開端の位置から10mm程度手前でオンするように配置されている。これは、スイッチ5,6がオンしたタイミングで速度指令Vrefの出力を零にしても、かごドアはすぐに止まらず、惰性で少し動いてしまうことを考慮してのことである。
【0044】
このように、各階床の機構定数に基づいて減速開始位置Dを適宜切り替えることで、速度制御部15の制御定数(ゲイン)を変更せずとも、各階床の機構部の状態に応じてかごドアを適正な位置で減速停止させることができる。
【0045】
なお、上記第1の実施形態では、機構定数として「ドア重量」を例にして説明したが、「ドア重量」の他に、「ドア走行摩擦」、「ドア自閉力」などを各階床で測定しておき、これらの中の1つ、あるいは、複数を組み合わせて機構定数として用いるようにしてもよい。
【0046】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0047】
階床によっては開端または閉端でかごドア(ドアパネル1a,1b)の停止位置がずれていたり、ドア機構部の再調整によって停止位置がずれている場合がある。第2の実施形態では、この停止位置のずれに対して減速開始位置Dを補正する構成としたものである。
【0048】
図5は本発明の第2の実施形態に係るエレベータのドア制御装置の構成を示すブロック図である。なお、上記第1の実施形態における図2の構成と同じ部分には同一符号を付して、その説明は省略するものとする。
【0049】
図5において、図2の構成と異なる点は減速位置補正部(1)24が設けられていることである。なお、機構定数記憶部21と減速位置算出部22は省略されており、減速位置記憶部23には既に各階床の減速開始位置Dが記憶されているものとする。
【0050】
減速位置補正部(1)24には、開端スイッチ信号OPS、開端スイッチ信号OPS、閉端スイッチ信号CLS、モータ実速度Vm、ドア位置Xが入力される。減速位置補正部(1)24は、閉端スイッチ5または開端スイッチ6がオンしたタイミングでモータ実速度Vmの値をチェックし、その値が所定の範囲を超える場合に当該階床の減速開始位置Dを補正する。
【0051】
この減速位置補正部(1)24の動作について、図6を用いて詳しく説明する。
【0052】
図6(a)は補正前のモータ実速度Vm、同図(b)は補正後のモータ実速度Vm、同図(c)は開端スイッチ信号OPSを示している。また、図中のVSは開端スイッチ信号OPSがオンしたときの実速度値である。VHとVLは減速開始位置Dの補正の必要性を判定するための速度判定値であり、VHはその上限値、VLはその下限値を示している。
【0053】
今、ある階床でかごドアを戸開する場合を想定する。
戸開時において、かごドア(ここではドアパネル1a)が閉端の位置から戸開方向に移動すると、開端の手前で開端スイッチ6がオンして、開端スイッチ信号OPSが減速位置補正部(1)24に入力される。
【0054】
減速位置補正部(1)24は、この開端スイッチ信号OPSの入力タイミングでモータ11の実速度値VSを検出し、その実速度値VSと予め設定された速度判定値VH,VLとの比較を行う。その結果、図6(a)に示すように、VSがVHとVLの範囲を超える場合に、減速位置補正部(1)24は、現在設定されている減速開始位置Dが不適切であると判断する。
【0055】
減速開始位置Dが不適切であった場合、図6(b)に示すように、減速位置補正部(1)24は、VSがVHとVLの範囲内に収まるように補正値ΔD1を算出する。この補正値ΔD1は減速位置記憶部23に与えられる。減速位置記憶部23では、当該階床に設定された減速開始位置Dに対し、補正値ΔD1を加減算して速度指令出力部19に出力する。以後、補正後の減速開始位置Dでモータ実速度Vmの減速が開始されることになる。
【0056】
戸閉時でも同様である。
すなわち、戸閉時には、閉端スイッチ5がオンしたときのタイミングでモータ11の実速度値VSを検出し、その実速度値VSと予め設定された速度判定値VH,VLとを比較する。そして、VSがVHとVLの範囲を超える場合には減速開始位置Dが不適切であると判断し、VSをVHとVLの範囲内に収まるように補正値ΔD1を算出して、その補正値ΔD1にて減速開始位置Dを補正する。
【0057】
このように、スイッチ5,6がオン動作したときのモータ実速度Vmの状態に応じて減速開始位置Dを補正することで、常にかごドアを適正な位置で減速停止させることができる。
【0058】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0059】
第3の実施形態では、上記第2の実施形態とは別の方法で、減速開始位置Dを補正する構成としたものである。
【0060】
図7は本発明の第3の実施形態に係るエレベータのドア制御装置の構成を示すブロック図である。なお、上記第1の実施形態における図2の構成と同じ部分には同一符号を付して、その説明は省略するものとする。
【0061】
図7において、図2の構成と異なる点は終端検出部25と減速位置補正部(2)26が設けられていることである。なお、機構定数記憶部21と減速位置算出部22は省略されており、減速位置記憶部23には既に各階床の減速開始位置Dが記憶されているものとする。
【0062】
上記第2の実施形態と同様に、開端/閉端におけるかごドアの停止位置がずれている場合を考慮して減速開始位置Dを補正するものである。
【0063】
終端検出部25は、モータ実速度Vmが零になったことを検出し、終端信号ENDを減速位置補正部(2)26に出力する。減速位置補正部(2)26には、開端スイッチ信号OPS、開端スイッチ信号OPS、終端信号ENDが入力される。減速位置補正部(2)26は、これらの信号を用いて減速開始位置Dを補正する。
【0064】
この減速位置補正部(2)26の動作について、図8および図9を用いて詳しく説明する。
【0065】
図8は補正前の各信号の状態を示す図であり、図8(a)は補正前のモータ実速度Vm、同図(b)はかご位置X、同図(c)は開端スイッチ信号OPS、同図(d)は終端信号ENDを示している。図9は補正後の各信号の状態を示す図であり、図9(a)は補正後のモータ実速度Vm、同図(b)はかご位置X、同図(c)は開端スイッチ信号OPS、同図(d)は終端信号ENDを示している。
【0066】
今、ある階床でかごドアを戸開する場合を想定する。
【0067】
戸開時において、かごドア(ここではドアパネル1a)が閉端の位置から戸開方向に移動すると、開端の手前で開端スイッチ6がオンして、開端スイッチ信号OPSが減速位置補正部(2)26に入力される。その後、モータ実速度Vmが零となり、終端検出部25から終端信号ENDが出力されて減速位置補正部(2)26に入力される。
【0068】
ここで、減速位置補正部(2)26は、開端スイッチ信号OPSがオンしたときのドア位置XSと、開端スイッチ信号OPSがオンかつ終端信号ENDがオンしたときのドア位置XOPとを検出して両者の差分を算出する。
【0069】
この差分(XOP−XS)は、開端スイッチ6が動作してから実際にかごドア(ここではドアパネル1a)が開端で停止するまでの誤差に相当する。図8に示すように、この差分(XOP−XS)が予め設定された適正値X0と一致しない場合に、減速位置補正部(2)26は、現在設定されている減速開始位置Dが不適切であると判断する。
【0070】
減速開始位置Dが不適切であった場合、図9に示すように、減速位置補正部(2)26は、補正値ΔD2=XOP−XS−X0を求めて、これを減速位置記憶部23に出力する。つまり、XOPとXSの差分が大きい場合に、XOPとXSの差分がX0と一致するように補正値ΔD2を算出する。減速位置記憶部23では、当該階床に設定された減速開始位置Dに対し、補正値ΔD2を加減算して速度指令出力部19に出力する。以後、補正後の減速開始位置Dでモータ実速度Vmの減速が開始されることになる。
【0071】
戸閉時でも同様である。
すなわち、戸閉時には、閉端スイッチ信号CLSがオンしたときのドア位置XSと、閉端スイッチ信号CLSがオンかつ終端信号ENDがオンしたときのドア位置XOPとの差分を求め、その差分が予め設定された適正値X0と一致するように補正値ΔD2を算出して減速開始位置Dを補正する。
【0072】
このように、モータ実速度Vmの状態から実際にかごドアが終端(閉端/開端)に位置したことを検出し、その位置(XOP)とスイッチ5,6がオン動作したときの位置(XS)と差分に応じて減速開始位置Dを補正することにより、常にかごドアを適正な位置で減速停止させることができる。
【0073】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
【0074】
第4の実施形態では、かごドアが開端または閉端に位置したときのトルクの状態から減速開始位置Dを補正する構成としたものである。
【0075】
図10は本発明の第4の実施形態に係るエレベータのドア制御装置の構成を示すブロック図である。なお、上記第1の実施形態における図2の構成と同じ部分には同一符号を付して、その説明は省略するものとする。
【0076】
図10において、図2の構成と異なる点は終端検出部25と減速位置補正部(3)27が設けられていることである。なお、機構定数記憶部21と減速位置算出部22は省略されており、減速位置記憶部23には既に各階床の減速開始位置Dが記憶されているものとする。
【0077】
上記第2の実施形態と同様に、開端/閉端におけるかごドアの停止位置がずれている場合を考慮して減速開始位置Dを補正するものである。
【0078】
終端検出部25は、モータ実速度Vmが零になったことを検出し、終端信号ENDを減速位置補正部(3)27に出力する。減速位置補正部(3)27には、開端スイッチ信号OPS、開端スイッチ信号OPS、終端信号END、トルク指令Trefが入力される。減速位置補正部(3)27は、これらの信号を用いて減速開始位置Dを補正する。
【0079】
この減速位置補正部(3)27の動作について、図11および図12を用いて詳しく説明する。
【0080】
図11は補正前の各信号の状態を示す図であり、図11(a)は補正前のモータ実速度Vm、同図(b)はトルク指令Tref、同図(c)は終端信号ENDを示している。図12は補正後の各信号の状態を示す図であり、図12(a)は補正前のモータ実速度Vm、同図(b)はトルク指令Tref、同図(c)は終端信号ENDを示している。
【0081】
今、ある階床でかごドアを戸開する場合を想定する。
【0082】
戸開時において、かごドア(ここではドアパネル1a)が閉端の位置から戸開方向に移動すると、開端の手前で開端スイッチ6がオンして、開端スイッチ信号OPSが減速位置補正部(3)27に入力される。その後、モータ実速度Vmが零となり、終端検出部25から終端信号ENDが出力されて減速位置補正部(3)27に入力される。
【0083】
ここで、減速位置補正部(3)27は、終端信号ENDがオンしたときのトルク指令Trefを監視する。この場合、かごドアの減速が遅く、開端位置で強く衝突している場合には、図11(b)に示すようにトルク指令Trefに振動が生じる。
【0084】
減速位置補正部(3)27は、このときのトルク指令Trefの振動成分が予め設定されたトルク閾値Terrを超えた場合にかごドアが衝突しているものと判断して、トルク指令Trefの振動成分がトルク閾値Terr以下になるように補正値ΔD3を算出して減速位置記憶部23に出力する。
【0085】
減速位置記憶部23では、当該階床に設定された減速開始位置Dに対し、補正値ΔD3を加減算して速度指令出力部19に出力する。なお、ここでは停止位置でのトルクが強い場合を前提としているので、現在設定されている減速開始位置Dに補正値ΔD3を減算して補正することになる。以後、補正後の減速開始位置Dでモータ実速度Vmの減速が開始されることになる。
【0086】
戸閉時でも同様である。
すなわち、戸閉時には、閉端スイッチ信号CLSがオンした後、モータ実速度Vmが零となって終端信号ENDがオンしたときのトルク指令Trefを監視する。このときのトルク指令Trefの振動成分が予め設定されたトルク閾値Terrを超えた場合にかごドアが衝突しているものと判断して、トルク指令Trefの振動成分がトルク閾値Terr以下になるように補正値ΔD3を算出して減速位置記憶部23に出力する。
【0087】
このように、モータ実速度Vmの状態から実際にかごドアが終端(閉端/開端)に位置したことを検出し、そのときのトルクの状態に応じて減速開始位置Dを補正することにより、常にかごドアを適正な位置で減速停止させることができる。
【0088】
なお、上記各実施形態では、2枚戸両開きタイプのかごドアを例にして説明したが、本発明はこれに限るものではなく、例えば2枚戸片開きタイプなど、様々なタイプのかごドアに適用可能である。
【0089】
要するに、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1a,1b…かごドア、2…ベルト、3a,3b…プーリ、11…ドア駆動用モータ、12…パルスエンコーダ、13…電力変換部、14…電流制御部、15…速度制御部、16…電流トルク変換部、17…モータ速度演算部、18…ドア位置演算部、19…速度指令出力部、21…機構定数記憶部、22…減速位置算出部、23…減速位置記憶部、24…減速位置補正部(1)、25…終端検出部、26…減速位置補正部(2)、27…減速位置補正部(3)、D1,D2…減算器、Vref…速度指令値、Tref…トルク指令値、Tm…モータ実トルク、Vm…モータ実速度、X…ドア位置、M…ドア重量、N…階床数データ、D…減速開始位置、OPS…開端スイッチ信号、CLS…閉端スイッチ信号、ΔD1,ΔD2,ΔD3…補正値。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
かごドアを開閉するモータの実速度を検出し、その検出された実速度を予め指定された速度指令に追従させるように上記モータの駆動を制御するエレベータのドア制御装置において、
各階床の機構部の状態を示す機構定数を各階床のデータと関連付けて記憶する第1の記憶手段と、
この第1の記憶手段に記憶された機構定数に基づいて、上記かごドアを開閉するときの減速開始位置を算出する減速位置算出手段と、
この減速位置算出手段によって算出された減速開始位置を各階床のデータと関連付けて記憶する第2の記憶手段と、
上記かごドアを開閉する際に、現在の階床に対応した減速開始位置を上記第2の記憶手段から取得し、その減速開始位置で上記かごドアの減速を開始するように速度制御を行う速度制御手段と
を具備したことを特徴とするエレベータのドア制御装置。
【請求項2】
上記機構定数には、ドア重量、ドア走行摩擦、ドア自閉力のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1記載のエレベータのドア制御装置
【請求項3】
上記かごドアの開端または閉端の位置から一定距離手前で動作するスイッチ手段と、
このスイッチ手段が動作したときの上記モータの実速度が所定の範囲を超えている場合に、上記モータの実速度を上記所定の範囲内に収めるように上記第2の記憶手段内の当該階床の減速開始位置を補正する減速位置補正手段と
を具備したことを特徴とする請求項1記載のエレベータのドア制御装置
【請求項4】
上記かごドアの開端または閉端の位置から一定距離手前で動作するスイッチ手段と、
上記かごドアが開端または閉端の位置したことを検出する終端検出手段と、
上記スイッチ手段が動作したときの上記かごドアの位置と上記終端検出手段による検出位置との差分が予め設定された適正値以外であった場合に、上記差分を上記適正値に一致させるように上記第2の記憶手段内の当該階床の減速開始位置を補正する減速位置補正手段と
を具備したことを特徴とする請求項1記載のエレベータのドア制御装置
【請求項5】
上記かごドアが開端または閉端の位置したことを検出する終端検出手段と、
この終端検出手段によって上記かごドアが開端または閉端の位置したときのトルクが予め設定された閾値を超えた場合に、上記トルクを上記閾値以下になるように上記第2の記憶手段内の当該階床の減速開始位置を補正する減速位置補正手段と
を具備したことを特徴とする請求項1記載のエレベータのドア制御装置
【請求項1】
かごドアを開閉するモータの実速度を検出し、その検出された実速度を予め指定された速度指令に追従させるように上記モータの駆動を制御するエレベータのドア制御装置において、
各階床の機構部の状態を示す機構定数を各階床のデータと関連付けて記憶する第1の記憶手段と、
この第1の記憶手段に記憶された機構定数に基づいて、上記かごドアを開閉するときの減速開始位置を算出する減速位置算出手段と、
この減速位置算出手段によって算出された減速開始位置を各階床のデータと関連付けて記憶する第2の記憶手段と、
上記かごドアを開閉する際に、現在の階床に対応した減速開始位置を上記第2の記憶手段から取得し、その減速開始位置で上記かごドアの減速を開始するように速度制御を行う速度制御手段と
を具備したことを特徴とするエレベータのドア制御装置。
【請求項2】
上記機構定数には、ドア重量、ドア走行摩擦、ドア自閉力のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1記載のエレベータのドア制御装置
【請求項3】
上記かごドアの開端または閉端の位置から一定距離手前で動作するスイッチ手段と、
このスイッチ手段が動作したときの上記モータの実速度が所定の範囲を超えている場合に、上記モータの実速度を上記所定の範囲内に収めるように上記第2の記憶手段内の当該階床の減速開始位置を補正する減速位置補正手段と
を具備したことを特徴とする請求項1記載のエレベータのドア制御装置
【請求項4】
上記かごドアの開端または閉端の位置から一定距離手前で動作するスイッチ手段と、
上記かごドアが開端または閉端の位置したことを検出する終端検出手段と、
上記スイッチ手段が動作したときの上記かごドアの位置と上記終端検出手段による検出位置との差分が予め設定された適正値以外であった場合に、上記差分を上記適正値に一致させるように上記第2の記憶手段内の当該階床の減速開始位置を補正する減速位置補正手段と
を具備したことを特徴とする請求項1記載のエレベータのドア制御装置
【請求項5】
上記かごドアが開端または閉端の位置したことを検出する終端検出手段と、
この終端検出手段によって上記かごドアが開端または閉端の位置したときのトルクが予め設定された閾値を超えた場合に、上記トルクを上記閾値以下になるように上記第2の記憶手段内の当該階床の減速開始位置を補正する減速位置補正手段と
を具備したことを特徴とする請求項1記載のエレベータのドア制御装置
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−152973(P2011−152973A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−14621(P2010−14621)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]