説明

エレベータの乗場装置

【課題】劣化等により既設の乗場三方枠が鉛直面又は水平面に対して傾いている場合であっても、既設の乗場三方枠を流用して乗場に遮煙構造を付加することができるエレベータの乗場装置を提供する。
【解決手段】第1縦柱カバー部材11及び第2縦柱カバー部材12は、スタッドボルト14A〜14C及びナット16A〜16Cによって、縦柱5Xに取り付けられている。座板13A〜13Cは、縦柱5Xに対する縦柱カバー7Xの傾きを調整するための傾き調整機構を構成している。座板13A〜13C、スタッドボルト14A〜14C、座金15A〜15C及びナット16A〜16Cの組は、乗場出入口1bの高さ方向に間隔をおいて複数箇所に配置されている。全ての座板13A〜13Cの厚み寸法や枚数が適宜調整されて、鉛直面に沿うように縦柱カバー7Xの傾きが調整される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、乗場ドアパネルと乗場三方枠との間の隙間をドアの全閉時に遮蔽するための遮煙構造をもつエレベータの乗場装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、遮煙構造をもつエレベータの乗場装置の需要が高まってきている。そこで、例えば特許文献1に示すような遮煙構造を付加したエレベータの乗場装置が提案されている。このものでは、乗場ドアパネルに取り付けられたドア側遮煙部材が、乗場三方枠の一部に当接することによって、乗場三方枠と乗場ドアパネルとの間の隙間が閉塞される。
【0003】
この特許文献1に示すようなエレベータの乗場装置のような遮煙構造に対応した乗場三方枠と、遮煙構造未対応の乗場三方枠との形状は、互いに異なっている。これにより、改修工事によって、既設の乗場三方枠を流用して乗場に遮煙構造を付加する際には、その乗場三方枠に接触板等を追加して気密構造を構成する必要がある。
【0004】
他に、改修工事によって遮煙構造を乗場に付加するには、既設の乗場装置を一掃して前述の遮煙構造に対応した乗場装置へと交換する方法がある。しかしながら、既設の乗場三方枠を交換する場合には、乗場壁(建築壁)の取り壊しが必要となり、工事が大規模となってしまう。これに対して、例えば特許文献2に示すような従来のエレベータの乗場装置では、工事の規模を縮小するために、ドア側遮煙部材当接用の戸当り金が既設の乗場三方枠に取り付けられる。
【0005】
さらに、例えば特許文献3に示すような従来のエレベータの乗場装置では、乗場の改修工事に際して、既設の乗場三方枠にカバーが被せられ、乗場三方枠の意匠面が更新される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許2715828号公報
【特許文献2】特開2007−70023号公報
【特許文献3】特開平9−295784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、既設の乗場三方枠を流用して乗場に遮煙構造を付加する場合、劣化等により既設の乗場三方枠が鉛直面又は水平面に対して傾いていたり、表面に傷や凹凸があったりして状態が悪い場合には、遮煙構造を付加する上で必要な基準寸法を満足できない。従って、このような場合には、上記の特許文献2に示すような従来のエレベータの乗場装置を適用して、乗場に遮煙構造を付加することができなかった。
【0008】
また、特許文献3に示すような従来のエレベータの乗場装置でも、劣化等により既設の乗場三方枠が鉛直面又は水平面に対して傾いている場合には、改修後の乗場三方枠も同様に傾いてしまう。このため、このような改修方法を用いて既設の乗場三方枠の傾きを改善することはできなかった。
【0009】
従って、乗場壁の取り壊しができない建物において、既設の乗場三方枠が流用できない状態である場合、エレベータ側で乗場に遮煙構造を付加する方法がなく、建物側で例えば遮煙シャッター等を追加しなければならなかった。
【0010】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、劣化等により既設の乗場三方枠が鉛直面又は水平面に対して傾いている場合であっても、既設の乗場三方枠を流用して乗場に遮煙構造を付加することができるエレベータの乗場装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明のエレベータの乗場装置は、互いに間隔をおいて配置された一対の縦柱と、前記一対の縦柱の上端部同士を繋ぐ上梁とを有し、乗場出入口を囲むように建物の乗場に据え付けられた乗場三方枠を備えるものであって、前記一対の縦柱の前記乗場側へ向けられた面と前記乗場出入口の開口領域側へ向けられた面とのそれぞれを覆うように、前記一対の縦柱のそれぞれに取り付けられた一対の縦柱カバーと、前記上梁の前記乗場側へ向けられた面と前記乗場出入口の開口領域側へ向けられた面とのそれぞれを覆うように、前記上梁に取り付けられた上梁カバーと、前記一対の縦柱と前記一対の縦柱カバーとの間、及び前記上梁と前記上梁カバーとの間のそれぞれに介在され、前記一対の縦柱カバー及び前記上梁カバーについての前記乗場三方枠に対する傾き調整用の複数の傾き調整機構と、前記一対の縦柱及び上梁カバーのそれぞれに設けられ、前記乗場出入口を開閉する乗場ドア装置の乗場ドアパネルに取り付けられたドア側隙間閉塞部材と前記乗場ドア装置の全閉時に接触可能であり、前記ドア側隙間閉塞部材と接触した際に前記ドア側隙間閉塞部材と協働して前記乗場ドアパネルと乗場三方枠との間の隙間を閉塞する複数の三方枠側隙間閉塞部とをさらに備えるものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明のエレベータの乗場装置によれば、一対の縦柱カバー及び上梁カバーが、それぞれ傾き調整機構を介して、一対の縦柱及び上梁に取り付けられているので、一対の縦柱カバー及び上梁カバーをそれぞれ鉛直面及び水平面に沿って配置することが可能となることから、劣化等により既設の乗場三方枠が鉛直面又は水平面に対して傾いている場合であっても、既設の乗場三方枠を流用して乗場に遮煙構造を付加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1によるエレベータの乗場を示す正面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】ボルト通し孔の形状を説明するための説明図である。
【図5】ボルト通し孔の形状を説明するための説明図である。
【図6】図2の縦柱用密閉板の位置調整作業を説明するための説明図である。
【図7】図3の上梁用密閉板の位置調整作業を説明するための説明図である。
【図8】この発明の実施の形態2による乗場三方枠を示す断面図である。
【図9】図8の縦柱用密閉板の位置調整作業を説明するための説明図である。
【図10】この発明の実施の形態3による乗場三方枠を示す断面図である。
【図11】この発明の実施の形態3による乗場三方枠を示す断面図である。
【図12】この発明の実施の形態4による乗場三方枠を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるエレベータの乗場を示す正面図である。図2は、図1のII−II線に沿う断面図である。
図1,2において、乗場1の乗場壁1aには、乗場出入口1bと、乗場出入口1bを開閉する乗場ドア装置2と、乗場出入口1bを囲む乗場三方枠3とが設けられている。
【0015】
乗場ドア装置2は、乗場出入口1bの間口方向に沿って移動可能な一対のドアパネル4X,4Yを有している。また、乗場ドア装置2は、両開き式のドアである。乗場三方枠3は、乗場出入口1bの間口方向に互いに間隔をおいて配置された一対の縦柱(縦枠)5X,5Yと、縦柱5X,5Yの上端部同士を繋ぐ上梁(上枠)6とを有している。縦柱5X,5Yには、それぞれ一対の縦柱カバー7X,7Yが取り付けられている。上梁6には、上梁カバー8が取り付けられている。
【0016】
縦柱5Xの水平断面形状は、略コ字状である。また、縦柱5Xは、縦柱第1〜第5面部5a〜5eを有している。縦柱第1面部5aは、乗場1側に配置され、その外面が乗場1側へ向けられている。また、縦柱第1面部5aは、乗場壁1aの乗場1側の端面(図2の下側の面)についての乗場出入口1b側への延長面から、乗場出入口1bの奥行方向の乗場1側に間隔をおいて配置されている。
【0017】
縦柱第2面部5bは、乗場出入口1bの開口領域側に配置され、その外面が縦柱5Y側へ向けられている。また、縦柱第2面部5bの一端(図2の下端)は、縦柱第1面部5aの一端(図2の右端)と繋がっている。縦柱第3面部5cは、縦柱第1面部5aから乗場出入口1bの奥行方向昇降路側に間隔をおいて、縦柱第1面部5aに対向して配置されている。また、縦柱第3面部5cの外面は、昇降路側へ向けられている。さらに、縦柱第3面部5cの一端(図2の右端)は、縦柱第2面部5bの一端(図2の上端)と繋がっている。
【0018】
縦柱第4面部5dは、縦柱第1面部5aの他端(図2の左端)と繋がっている。また、縦柱第4面部5dは、縦柱第1面部5aから乗場出入口1bの奥行方向昇降路側へ突出している。さらに、縦柱第4面部5dの先端箇所は、乗場壁1aの開口側端面に接している。
【0019】
縦柱第5面部5eは、縦柱第3面部5cの他端(図2の左端)と繋がっている。また、縦柱第5面部5eは、縦柱第3面部5cから乗場出入口1bの奥行方向乗場1側へ突出している。縦柱第4面部5d及び縦柱第5面部5eの先端面同士は、間隔を空けて、乗場出入口1bの奥行方向で対向している。なお、縦柱5Yの構成は、縦柱5Xの構成と同様である。
【0020】
縦柱カバー7Xの水平断面形状は、略コ字状である。また、縦柱カバー7Xは、第1縦柱カバー部材11及び第2縦柱カバー部材12を有している。なお、縦柱カバー7Yの構成は、縦柱カバー7Xの構成と同様である。
【0021】
第1縦柱カバー部材11の水平断面形状は、略L字状である。また、第1縦柱カバー部材11は、第1面部11a、第2面部11b及び突出部11cを有している。第1面部11aの一端(図2の右端)は、第2面部11bの一端(図2の下端)と繋がっている。第1縦柱カバー部材11の第1面部11aの内面(図2の上側の面)は、縦柱第1面部5aの外面(図2の下側の面)全体と接し合うように配置されている。
【0022】
第1縦柱カバー部材11の第2面部11bは、縦柱第2面部5bから乗場出入口1bの間口方向中心側に間隔をおいて、縦柱第2面部5bに対向して配置されている。突出部11cは、第1面部11aの他端(図2の左端)から乗場壁1aへ向けて突出している。
【0023】
第2縦柱カバー部材12の水平断面形状は、略L字状である。また、第2縦柱カバー部材12は、第1面部12a、第2面部12b及び突出部12cを有している。第1面部12aの一端(図2の右端)は、第2面部12bの一端(図2の上端)と繋がっている。
【0024】
また、第1面部12aは、縦柱第3面部5cの外面から乗場出入口1bの奥行方向昇降路側に間隔をおいて、縦柱第3面部5cの外面と対向するように配置されている。さらに、第1面部12aの昇降路側の面は、全閉位置に配置された際の乗場ドアパネル(図示せず)との間の隙間を閉塞するための三方枠側隙間閉塞部をなしている。第1面部12aと縦柱第3面部5cとの間には、座板13Aが介在されている。
【0025】
第2面部12bは、縦柱第2面部5bと第1縦柱カバー部材11の第2面部11bとの間に配置されている。また、第2面部12bの外面(図2の右側の面)は、第1縦柱カバー部材11の第2面部11bの内面(図2の左側の面)と接し合っている。第2面部12bの内面と、縦柱第2面部5bとの間には、複数の座板13B,13Cが介在されている。突出部12cは、第1面部12aの他端(図2の左端)から縦柱第3面部5c側へ突出している。
【0026】
次に、第1縦柱カバー部材11及び第2縦柱カバー部材12の取り付け構造について説明する。第2縦柱カバー部材12の第1面部12aの内面(図2の下側の面)には、スタッドボルト14Aの基端部が固着されている。縦柱第3面部5c及び座板13Aには、スタッドボルト14Aを通すためのボルト通し孔が設けられている。スタッドボルト14Aの軸部は、縦柱第3面部5c及び座板13Aのボルト通し孔に挿入されている。スタッドボルト14Aの軸部の先端側には、座金15Aが挿入されて、ナット16Aが螺着されている。
【0027】
第1縦柱カバー部材11の第2面部11bの内面には、複数のスタッドボルト14B,14Cの基端部が互いに間隔をおいて固着されている。第2縦柱カバー部材12の第2面部12b、縦柱第2面部5b、及び座板13B,13Cには、それぞれスタッドボルト14B,14Cを通すための複数のボルト通し孔が設けられている。
【0028】
スタッドボルト14B,14Cの軸部は、第2縦柱カバー部材12の第2面部12bと縦柱第2面部5bと座板13B,13Cとのそれぞれのボルト通し孔に挿入されている。スタッドボルト14B,14Cの軸部の先端側には、それぞれ座金15B,15Cが挿入されて、ナット16B,16Cが螺着されている。
【0029】
従って、第1縦柱カバー部材11及び第2縦柱カバー部材12は、スタッドボルト14A〜14C及びナット16A〜16Cによって、縦柱5Xに取り付けられている。ここで、座板13A〜13Cは、縦柱5Xに対する縦柱カバー7Xの傾きを調整するための傾き調整機構を構成している。具体的に、図2における座板13A〜13C、スタッドボルト14A〜14C、座金15A〜15C及びナット16A〜16Cの組は、乗場出入口1bの高さ方向に間隔をおいて複数箇所に配置されている。そして、全ての座板13A〜13Cの厚み寸法や枚数が適宜調整されて、鉛直面に沿うように縦柱カバー7Xの傾きが調整される。
【0030】
縦柱第3面部5cと第2縦柱カバー部材12の第1面部12aとの間、及び縦柱第2面部5bと第2縦柱カバー部材12の第2面部12bとの間には、傾き調整用スペースが空けられている。縦柱5Xには、傾き調整用スペースを閉塞するように、カバー内閉塞材としての縦柱用密閉板17が、スタッドボルト14D及びナット16Dによって取り付けられている。縦柱用密閉板17は、乗場出入口1bの高さ方向に沿ってその全高に亘って配置されている。
【0031】
第1縦柱カバー部材11の突出部11cの内面と縦柱第4面部5dの外面との間には、図2の矢示Sのように、取付作業用スペースが空けられている。この取付作業用スペースの長さは、スタッドボルト14B,14Cの挿入作業及び傾き調整作業のために、スタッドボルト14B,14Cの軸部よりも長く設定されている。即ち、第1縦柱カバー部材11の第1面部11aの面積は、縦柱第1面部5aよりも、傾き調整しろ及びスタッドボルト14B,14Cの軸部の長さ寸法分大きくなっている。
【0032】
図3は、図1のIII−III線に沿う断面図である。図3において、上梁6の鉛直断面形状は、略コ字状である。また、上梁6は、上梁第1〜第5面部6a〜6eを有している。上梁第1面部6aは、乗場1側に配置され、その外面が乗場1側へ向けられている。また、上梁第1面部6aは、乗場壁1aの乗場1側の端面(図3の左側の面)についての乗場出入口1b側への延長面から、乗場出入口1bの奥行方向乗場1側に間隔をおいて配置されている。
【0033】
上梁第2面部6bは、乗場出入口1bの開口領域側に配置され、その外面が乗場敷居(図示せず)側へ向けられている。また、上梁第2面部6bの一端(図3の左端)は、上梁第1面部6aの一端(図3の下端)と繋がっている。上梁第3面部6cは、上梁第1面部6aから乗場出入口1bの奥行方向昇降路側に間隔をおいて、上梁第1面部6aに対向して配置されている。また、上梁第3面部6cの外面は、昇降路側へ向けられている。さらに、上梁第3面部6cの一端(図3の下端)は、上梁第2面部6bの他端(図3の右端)と繋がっている。
【0034】
上梁第4面部6dは、上梁第1面部6aの他端(図3の上端)と繋がっている。また、上梁第4面部6dは、上梁第1面部6aから乗場出入口1bの奥行方向昇降路側へ突出している。さらに、上梁第4面部6dの先端箇所は、乗場壁1aの開口側端面に接している。
【0035】
上梁第5面部6eは、上梁第3面部6cの他端(図6の上端)と繋がっている。また、上梁第5面部6eは、上梁第3面部6cから乗場出入口1bの奥行方向乗場1側へ突出している。上梁第4面部6d及び上梁第5面部6eの先端面同士は、互いに間隔をおいて、乗場出入口1bの奥行方向で対向している。
【0036】
上梁カバー8の鉛直断面形状は、略コ字状である。また、上梁カバー8は、第1上梁カバー部材21、第2上梁カバー部材22及び第3上梁カバー部材23を有している。第1上梁カバー部材21の鉛直断面形状は、略L字状である。また、第1上梁カバー部材21は、第1面部21a、第2面部21b及び突出部21cを有している。第1面部21aの一端(図3の下端)は、第2面部21bの一端(図3の左端)と繋がっている。第1面部21aの内面(図3の右側の面)は、上梁第1面部6aの外面(図3の左側の面)全体と接し合うように配置されている。
【0037】
第2面部21bは、上梁第2面部6bから乗場出入口1bの高さ方向下側に間隔をおいて、上梁第2面部6bに対向して配置されている。突出部21cは、第1面部21aの他端(図3の上端)と繋がっている。また、突出部21cは、第1面部21aの他端から乗場壁1aへ向けて突出している。
【0038】
第2上梁カバー部材22の鉛直断面形状は、L字状である。また、第2上梁カバー部材22は、第1面部22a及び第2面部22bを有している。第1面部22aの一端(図3の右端)は、第2面部22bの一端(図3の下端)と繋がっている。また、第1面部22aは、上梁第3面部6cの外面から乗場出入口1bの奥行方向昇降路側に間隔をおいて、上梁第3面部6cの外面と対向するように配置されている。第1面部22aと上梁第2面部6bとの間には、座板24A,24Bが介在されている。
【0039】
第2面部22bは、上梁第3面部6cの外面から乗場出入口1bの奥行方向昇降路側に間隔をおいて、上梁第3面部6cと対向するように配置されている。第2面部22bと上梁第3面部6cとの間には、座板24Cが介在されている。
【0040】
第3上梁カバー部材23の鉛直断面形状は、L字状である。また、第3上梁カバー部材23は、第1面部23a及び第2面部23bを有している。第1面部23aの一端(図3の上端)は、第2面部23bの一端(図3の右端)と繋がっている。また、第1面部23aの内面(図3の左側の面)は、第2上梁カバー部材22の第2面部22bの外面(図3の右側の面)と接し合うように配置されている。
【0041】
第2面部23bは、第1面部23aの一端から、乗場出入口1bの間口方向の乗場1側へ突出するように、上梁第5面部6eの上方に配置されている。さらに、第2面部23bの上面には、三方枠側隙間閉塞部としての気密材28が取り付けられている。気密材28は、乗場出入口1bの間口方向に沿ってその全長に亘って配置されている。
【0042】
次に、第1上梁カバー部材21、第2上梁カバー部材22及び第3上梁カバー部材23の取り付け構造について説明する。第1上梁カバー部材21の第2面部21bの内面(図3の上側の面)には、スタッドボルト25A,25Bの基端部が固着されている。上梁第2面部6b、第2上梁カバー部材22の第1面部22a、及び座板24A,24Bには、スタッドボルト25A,25Bを通すためのボルト通し孔が設けられている。スタッドボルト25A,25Bの軸部は、上梁第2面部6b、第2上梁カバー部材22の第1面部22a、及び座板24A,24Bのボルト通し孔に挿入されている。スタッドボルト25A,25Bの軸部の先端側には、座金26A,26Bが挿入されて、ナット27A,27Bが螺着されている。
【0043】
第3上梁カバー部材23の第1面部23aの内面には、スタッドボルト25C,25Dの基端部が固着されている。第2上梁カバー部材22の第2面部22b、上梁第3面部6c、及び座板24Cには、それぞれスタッドボルト25Cを通すためのボルト通し孔が設けられている。また、第2上梁カバー部材22の第2面部22bには、スタッドボルト25Dを通すためのボルト通し孔が設けられている。さらに、上梁第3面部6cには、スタッドボルト25Dの締結部を回避するための開口6fが空けられている。
【0044】
スタッドボルト25Cの軸部は、第2上梁カバー部材22の第2面部22b、上梁第3面部6c、及び座板24Cのボルト通し孔に挿入されている。スタッドボルト25Cの軸部の先端側には、それぞれ座金26Cが挿入されて、ナット27Cが螺着されている。スタッドボルト25Cの軸部は、第2上梁カバー部材22の第2面部22bのボルト通し孔と、上梁第3面部6cの開口6fに挿入されている。スタッドボルト25Cの軸部の先端側には、座金26Dが挿入されて、ナット27Dが螺着されている。
【0045】
従って、第1上梁カバー部材21、第2上梁カバー部材22及び第3上梁カバー部材23は、スタッドボルト25A〜25D及びナット27A〜27Dによって、上梁6に取り付けられている。ここで、座板24A〜24Cは、上梁6に対する上梁カバー8の傾きを調整するための傾き調整機構を構成している。具体的に、図3における座板24A〜24C、スタッドボルト25A〜25C、座金26A〜26C、及びナット27A〜27Cの組は、乗場出入口1bの間口方向に間隔をおいて複数箇所に配置されている。そして、全ての座板24A〜24Cの厚み寸法や枚数が適宜調整されて、水平面に沿うように上梁カバー8の傾きが調整される。
【0046】
上梁第2面部6bと第2上梁カバー部材22の第1面部22aとの間、上梁第3面部6cと第2上梁カバー部材22の第2面部22bとの間には、傾き調整用スペースが空けられている。上梁6には、傾き調整用スペースを閉塞するように、カバー内閉塞材としての上梁用密閉板29が、スタッドボルト25E及びナット27Eによって取り付けられている。上梁用密閉板29は、乗場出入口1bの間口方向に沿ってその全長に亘って配置されている。
【0047】
第1上梁カバー部材21の突出部21cの内面と上梁第4面部6dの外面との間には、図3の矢示Tのように、取付作業用スペースが空けられている。この取付作業用スペースの長さは、スタッドボルト25A,25Bの挿入作業及び傾き調整作業のために、スタッドボルト25A,25Bの軸部よりも長く設定されている。即ち、第1上梁カバー部材21の第1面部21aの面積は、上梁第1面部6aよりも、傾き調整しろ及びスタッドボルト25A,25Bの軸部の長さ寸法分大きくなっている。
【0048】
次に、各カバー部材11,12,21〜23及び各密閉板17,29の取付に際して、縦柱5X,5Y及び上梁6に設けられるボルト通し孔の形状について説明する。なお、ここでは、縦柱用密閉板17の取付構造におけるボルト通し孔を例に説明するが、各カバー部材11,12,21〜23及び上梁用密閉板29の取付構造におけるボルト通し孔についても、縦柱用密閉板17の取付構造におけるボルト通し孔と同様である。
【0049】
図4は、ボルト通し孔5fの形状を説明するための説明図である。ボルト通し孔5fには、図4(a),(b)に示すような丸孔(スタッドボルトの直径よりも大きな孔)や、図4(c),(d)に示すような長孔を用いることができる。この丸孔及び長孔のサイズは、孔の開口領域内の位置調整用スペース(調整しろ)が座金15D及びナット16D、又は各密閉板17で閉塞可能なサイズであればよい。但し、図5に示すように、図5の2点破線を越えて、ボルト通し孔5fの開口領域を形成した場合には、座金15Dのサイズを大きくしても、図5の矢示αのように空気が漏れてしまう。このため、ボルト通し孔5fの開口領域が、縦柱第2面部5bと縦柱第3面部5cとの角部に及ばないようにする必要がある。
【0050】
また、第2縦柱カバー部材12の第2面部12bと、第2上梁カバー部材22の第1面部22a及び第2面部22bとのそれぞれに設けられるボルト通し孔についても、長孔や丸孔を用いることができる。即ち、第2縦柱カバー部材12の第2面部12bのボルト通し孔によって、第1縦柱カバー7X,7Yにおける乗場出入口1bの奥行方向(図2の上下方向)の長さを調整可能である。また、第2上梁カバー部材22の第1面部22a及び第2面部22bのボルト通し孔によって、上梁カバー8における乗場出入口1bの奥行方向(図3の左右方向)の長さと、上梁カバー8における乗場出入口1bの高さ方向(図3の上下方向)とを調整可能である。
【0051】
次に、縦柱用密閉板17及び上梁用密閉板29の位置調整作業について説明する。図6は、図2の縦柱用密閉板17の位置調整作業を説明するための説明図である。図6において、予め下げ振り等で任意に設定した鉛直方向基準線(縦柱5Xの傾きとは無関係の線:図6の一点鎖線)と縦柱用密閉板17の先端との間の間隔(図6の矢示U)が、縦柱用密閉板17の全高で一定となるように、縦柱用密閉板17の縦柱第2面部5bからの突出量が調整される。
【0052】
図7は、図3の上梁用密閉板29の位置調整作業を説明するための説明図である。図7において、芯出し器具等で任意に設定した水平方向基準線(上梁6の傾きとは無関係の線)、又は敷居面と、上梁用密閉板29の先端との間の間隔(図7の矢示V)が、乗場出入口1bの間口方向全体に亘って一定となるように、上梁用密閉板29の上梁第2面部6bからの突出量が調整される。
【0053】
次に、縦柱カバー7X,7Y及び上梁カバー8の取付作業について説明する。はじめに、縦柱5X,5Y及び上梁6のそれぞれに、ボルト通し孔が空けられる。この後に、縦柱用密閉板17及び上梁用密閉板29が縦柱5X,5Y及び上梁6に仮固定状態で取り付けられる。(なお、この段階で縦柱用密閉板17及び上梁用密閉板29の位置・傾きを調整して、縦柱用密閉板17及び上梁用密閉板29を本固定してもよい。)
【0054】
そして、各カバー部材11,12,21〜23が、内側から順に縦柱5X,5Y及び上梁6に取り付けられ、縦柱5X,5Y及び上梁6の形状に対応するように、各カバー部材11,12,21〜23の位置が調整される。これとともに、各座板13A〜13C,24A〜24Cの枚数・厚さが調整されて、第1縦柱カバー部材12及び第3上梁カバー部材23の傾きがそれぞれ調整される。
【0055】
この後に、縦柱用密閉板17及び上梁用密閉板29の先端が各カバー部材12,22に当るように、縦柱用密閉板17及び上梁用密閉板29の位置が調整されて縦柱用密閉板17及び上梁用密閉板29が固定される。これにより、縦柱カバー7X,7Y及び上梁カバー8の取付作業が終了する。
【0056】
ここで、乗場ドアパネル4X,4Yの上端部及び全閉位置側端部にドア側隙間閉塞部材(図示せず:ドア側遮煙部材)を取り付けることによって、乗場ドア装置2の全閉時に、第1縦柱カバー部材12の第1面部12aの昇降路側の面(図2の上面)とドア側隙間閉塞部材とが接触する。これとともに、乗場ドア装置2の全閉時に、気密材28とドア側隙間閉塞部材とが接触する。従って、第1縦柱カバー部材12の第1面部12aにおける昇降路側の面、及び気密材28が、それぞれドア側隙間閉塞部材と接触した際に、ドア側隙間閉塞部材と協働して乗場ドアパネル4X,4Yと乗場三方枠3との間の隙間を閉塞する。
【0057】
上記のような実施の形態1のエレベータの乗場装置によれば、一対の縦柱カバー7X,7Y及び上梁カバー8が、それぞれ傾き調整機構としての座板13A〜13C,24A〜24Cを介して、一対の縦柱5X,5Y及び上梁6に取り付けられている。この構成により、一対の縦柱カバー7X,7Y及び上梁カバー8をそれぞれ鉛直面及び水平面に沿って配置することが可能となることから、劣化等により既設の乗場三方枠3が鉛直面又は水平面に対して傾いている場合であっても、既設の乗場三方枠3を流用して乗場1に遮煙構造を付加することができる。このように、既設の乗場三方枠3を流用して乗場1に遮煙構造を付加することは、工事規模の縮小化に繋がるため、施工期間・経費を低減させることができる。
【0058】
また、乗場三方枠3の乗場1側の面、及び乗場出入口1bの開口領域側の面が、一対の縦柱カバー7X,7Y及び上梁カバー8によって覆われる。この構成により、乗場三方枠3の意匠(外観面)を更新することができる。
【0059】
さらに、第1縦柱カバー部材11の第1面部11aの面積が、縦柱第1面部5aよりも、傾き調整しろ及びスタッドボルト14B,14Cの軸部の長さ寸法分大きくなっており、第1上梁カバー部材21の第1面部21aの面積が、上梁第1面部6aよりも、傾き調整しろ及びスタッドボルト25A,25Bの軸部の長さ寸法分大きくなっている。この構成により、各カバー7X,7Y,8の位置調整及び傾き調整の際の作業性を向上させることができる。
【0060】
ここで、乗場に遮煙構造を付加する場合、ただ気密性を向上させるだけでなく、エレベータの乗場としての機能(例えば乗場ドアパネルの円滑な開閉移動や、乗場ドアとかごドアとの連動等の機能)も満足させる必要がある。これらを同時に満足できるように、適正な気密材の接触状態を保ち、かつ適正な隙間寸法を保つために、乗場ドアパネルの周囲の関連寸法を比較的高精度に管理する必要がある。具体的に、既設の乗場三方枠にカバーを取り付けて傾き等を是正する場合、カバーの厚さ分各部の隙間寸法が縮小されてしまい、さらに遮煙構造用の追加部品を取り付けるには十分な隙間寸法を確保できない可能性がある。特に、乗場ドアパネルと乗場三方枠との間における乗場出入口の奥行方向の隙間については、かご側の寸法に影響が出る寸法変更を実施するか、又は乗場ドアパネルの厚みを薄くする必要がある。乗場ドアパネルの厚みを薄くする場合には、工作上・強度上の問題が発生する可能性がある。
これに対して、実施の形態1のエレベータの乗場装置では、第1縦柱カバー部材12の第1面部12aの昇降路側の面が三方枠側隙間閉塞部をなしている。この構成により、一対の縦柱カバー7X,7Yに遮煙構造用の追加部品を取り付ける必要がないことから、エレベータの乗場としての機能を損なうことなく、既設の乗場三方枠3を流用して乗場1に遮煙構造を付加することができる。
【0061】
実施の形態2.
実施の形態1では、乗場ドア装置2が両開き式のドアであり、乗場三方枠3が両開き式のドア用のものであった。これに対して、実施の形態2では、乗場ドア装置2が片開き式のドアであり、乗場三方枠3が片開き式のドア用のものである。
【0062】
図8は、この発明の実施の形態2による乗場三方枠を示す断面図である。図8において、実施の形態2の乗場三方枠は、一対の縦柱としての戸袋柱(図示せず)及び戸当り柱35Xと、上梁とを有している。実施の形態2の戸袋柱及び上梁の構成は、それぞれ実施の形態1の縦柱5Y及び上梁6の構成と同様である。また、実施の形態2の戸袋柱及び上梁には、それぞれ実施の形態1の縦柱カバー7Y及び上梁カバー8と同様のカバーが取り付けられている。
【0063】
戸当り柱35Xは、戸当り柱第1〜第7面部35a〜35gを有している。戸当り柱第1〜第3面部35a〜35cは、それぞれ実施の形態1の縦柱第1〜第3面部5a〜5cと同様に配置されている。戸当り柱第6面部35fは、実施の形態1の縦柱第4面部5dと同様に配置されている。
【0064】
戸当り柱第4面部35dは、乗場出入口1bの開口領域側に配置され、その外面が戸袋柱側へ向けられている。また、戸当り柱第4面部35dの一端(図8の下端)は、戸当り柱第3面部35cの他端(図8の左端)と繋がっている。戸当り柱第5面部35eは、戸当り柱第3面部35cから乗場出入口1bの奥行方向昇降路側に間隔をおいて、戸当り柱第1面部35aに対向して配置されている。戸当り柱第5面部35eの一端(図8の右端)は、戸当り柱第4面部35dの他端(図8の上端)と繋がっている。戸当り柱第7面部35gは、戸当り柱第5面部35eの他端(図8の左端)から、乗場壁1aへ向けて突出するように配置されている。
【0065】
戸当り柱35Xには、縦柱カバーとしての戸当り柱カバー37Xが取り付けられている。戸当り柱カバー37Xは、第1戸当り柱カバー部材41と第2戸当り柱カバー部材42とを有している。第1及び第2戸当り柱カバー部材41,42は、実施の形態1と同様に、スタッドボルト44A〜44C、(座金45A〜45C)及びナット46A〜46Cによって、戸当り柱35Xに取り付けられている。第1戸当り柱カバー部材41は、第1〜第3面部41a〜41c及び突出部41dを有している。
【0066】
第1,第2面部41a,41b及び突出部41dは、それぞれ実施の形態1の第1,第2面部11a,11b及び突出部11cと同様に配置されている。第3面部41cは、戸当り柱第3面部35cから乗場出入口1bの奥行方向昇降路側に間隔をおいて、戸当り柱第3面部35cに対向して配置されている。第3面部41cの一端(図8の右端)は、第2面部41bの他端(図8の上端)と繋がっている。
【0067】
第2戸当り柱カバー部材42の水平断面形状は、連続L字状である。また、第2戸当り柱カバー部材42は、第1〜第3面部42a〜42cを有している。第1面部42aは、戸当り柱第5面部35eから乗場出入口1bの奥行方向昇降路側に間隔をおいて、戸当り柱第5面部35eに対向して配置されている。第1面部42aの一端(図8の右端)は、第2面部42bの一端(図8の上端)と繋がっている。第1面部42aは、三方枠側隙間閉塞部をなしており、乗場ドア装置の全閉時に、ドア側隙間閉塞部材と接触可能である。
【0068】
第2面部42bは、戸当り柱第4面部35dから乗場出入口1bの間口方向戸袋柱側へ間隔をおいて、戸当り柱第4面部35dに対向して配置されている。第2面部42bの他端(図8の下端)は、第3面部42cの一端(図8の左端)と繋がっている。第3面部42cは、戸当り柱第3面部35cから乗場出入口1bの奥行方向昇降路側に間隔をおいて、戸当り柱第3面部35cに対向して配置されている。また、第3面部42cの反第2面部42b側の箇所における戸当り柱第3面部35c側の面は、第1戸当り柱カバー部材41の第3面部41cにおける反戸当り柱第3面部35c側の面と接し合っている。
【0069】
第1及び第2戸当り柱カバー部材41,42と戸当り柱35Xとの間には、傾き調整機構としての座板43A〜43Cが介在されている。これらの座板43A〜43Cの厚さ・枚数が調整されることにより、第1及び第2戸当り柱カバー部材41,42の戸当り柱35Xに対する傾きが調整される。また、戸当り柱第3面部35cには、第1及び第2戸当り柱カバー部材41,42と戸当り柱35Xとの間の傾き調整用スペースを閉塞するように、カバー内閉塞材としての戸当り柱用密閉板47が、スタッドボルト44D及びナット46Dによって取り付けられている。
【0070】
従って、実施の形態2では、戸当り柱第1〜4面部35a〜35dが、第1及び第2戸当り柱カバー部材41,42によって覆われている。なお、戸当り柱用密閉板47の位置調整作業では、図9に示すように、実施の形態1の縦柱用密閉板17の位置調整作業と同様に、鉛直方向基準線と戸当り柱用密閉板47の先端との間の間隔(図9の矢示X)が、戸当り柱用密閉板47の全高で一定となるように、戸当り柱用密閉板47の戸当り柱第2面部35bからの突出量が調整される。他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0071】
上記のような実施の形態2のエレベータの乗場装置によれば、戸当り柱第1〜4面部35a〜35dが、第1及び第2戸当り柱カバー部材41,42によって覆われている。この構成により、乗場ドア装置が片開き式のドアである場合でも、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0072】
実施の形態3.
実施の形態1では、第2縦柱カバー部材12が、スタッドボルト14B,14C及びナット16B,16Cによって、第1縦柱カバー部材11と一体的に縦柱5Xに取り付けられていた。また、実施の形態1では、第2上梁カバー部材22が、スタッドボルト25A〜25C及びナット27A〜27Cによって、第1及び第3上梁カバー部材21,23と一体的に上梁6に取り付けられていた。これに対して、実施の形態3では、第2縦柱カバー部材12が、第1縦柱カバー部材11から独立して縦柱5Xに取り付けられている。また、第2上梁カバー部材22が、第1及び第3上梁カバー部材21,23から独立して上梁6に取り付けられている。
【0073】
図10,11は、この発明の実施の形態3による乗場三方枠を示す断面図である。なお、図10は、図1のII−II線から上下方向(乗場出入口1bの高さ方向)にずれた箇所の断面を示し、図11は、図1のIII−III線から左右方向(乗場出入口1bの間口方向)にずれた箇所の断面を示す。
【0074】
図10において、実施の形態3の第2縦柱カバー部材12の第2面部12bには、皿ねじ61A,61Bを通すための複数の皿孔(テーパ部が形成された孔)が設けられている。また、第2縦柱カバー部材12の第2面部12bと縦柱第2面部5bとの間には、実施の形態1の座板13B,13Cと同様の座板60A,60Bが介在されている。縦柱第2面部5b及び座板60A,60Bには、皿ねじ61A,61Bを通すためのねじ通し孔が設けられている。
【0075】
皿ねじ61A,61Bは、第2縦柱カバー部材12の第2面部12bの皿孔と、座板60A,60Bのねじ通し孔と、縦柱第2面部5bのねじ通し孔とに挿入されている。また、皿ねじ61A,61Bの軸部の先端側には、座金62A,62Bが挿入されて、ナット63A,63Bが螺着されている。従って、皿ねじ61A,61B及びナット63A,63Bによって、第2縦柱カバー部材12が、第1縦柱カバー部材11から独立して縦柱5Xに取り付けられている。
【0076】
次に、図11において、実施の形態3の第2上梁カバー部材22の第1面部22a及び第2面部22bには、皿ねじ71A〜71Cを通すための複数の皿孔が設けられている。第2上梁カバー部材22の第1面部22aと上梁第2面部6bとの間には、実施の形態1の座板24A,24Bと同様の座板70A,70Bが介在されている。第2上梁カバー部材22の第2面部22bと上梁第3面部6cとの間には、実施の形態1の座板24Cと同様の座板70Cが介在されている。
【0077】
上梁第2面部6b、上梁第3面部6c、及び座板70A〜70Cには、皿ねじ71A〜71Cを通すためのねじ通し孔が設けられている。皿ねじ71A〜71Cは、第2上梁カバー部材22の第1面部22a及び第2面部22bの皿孔と、座板70A〜70Cのねじ通し孔と、上梁第2面部6b及び上梁第3面部6cのねじ通し孔とに挿入されている。また、皿ねじ71A〜71Cの軸部の先端側には、座金72A〜72Cが挿入されて、ナット73A〜73Cが螺着されている。従って、皿ねじ71A〜71C及びナット73A〜73Cによって、第2上梁カバー部材22が、第1及び第3上梁カバー部材21,23から独立して上梁6に取り付けられている。他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0078】
上記のような実施の形態3のエレベータの乗場装置によれば、第2縦柱カバー部材12が、第1縦柱カバー部材11から独立して縦柱5Xに取り付けられている。また、第2上梁カバー部材22が、第1及び第3上梁カバー部材21,23から独立して上梁6に取り付けられている。この構成により、第1縦柱カバー部材11を取り付ける前に予め第2縦柱カバー部材12を縦柱5Xに取り付けることができ、また、第1及び第3上梁カバー部材21,23を取り付ける前に予め第2上梁カバー部材22を上梁6に取り付けることができ、取付作業性を向上させることができる。
【0079】
実施の形態4.
実施の形態2では、スタッドボルト44B及びナット46Bによって、第1戸当り柱カバー部材41が、第2戸当り柱カバー部材42と一体的に戸当り柱35Xに取り付けられていた。これに対して、実施の形態4では、第1戸当り柱カバー部材41が、第2戸当り柱カバー部材42から独立して戸当り柱35Xに取り付けられている。
【0080】
図12は、この発明の実施の形態4によるエレベータの乗場三方枠を示す断面図である。なお、図12は、図8から乗場出入口1bの高さ方向にずれた箇所の断面を示す。図12に示すように、実施の形態4の第1戸当り柱カバー部材41は、実施の形態3と同様に、皿ねじ81、(座金82)及びナット83によって、第2戸当り柱カバー部材42から独立して戸当り柱35Xに取り付けられている。他の構成は、実施の形態2,3と同様である。
【0081】
上記のような実施の形態4のエレベータの乗場装置によれば、実施の形態4の第1戸当り柱カバー部材41が、第2戸当り柱カバー部材42から独立して戸当り柱35Xに取り付けられている。この構成により、乗場ドア装置が片開き式のドアである場合でも、取付作業性を向上させることができる。
【0082】
なお、実施の形態3,4において、皿ねじ71A〜71C,81に代えて、スタッドボルトを用いてもよい。具体的に、実施の形態3の構成において、第2縦柱カバー部材12の皿孔を省略して、第2面部12bにおける縦柱第2面部5b側の面にスタッドボルトの基端部を固着すればよい。この場合、図10の右上側から左下側へ第2縦柱カバー部材12を移動させて各スタッドボルトをそれぞれ各ボルト通し孔に挿入することになる。このため、縦柱第2面部5b及び縦柱第3面部5cのボルト通し孔のサイズを大きくし、比較的大きなサイズの座金を用いて、ボルト通し孔を座金によって塞げばよい。実施の形態4の構成についても、同様の変形が可能である。
【0083】
また、実施の形態1〜4におけるボルト・ナット等の取付部材の位置については、この例に限定するものではなく、種々の変形が可能である。
【0084】
さらに、実施の形態1〜4では、各カバーを固定する締結部材として、スタッドボルト、皿ねじ及びナットを用いた。しかしながら、この例に限定するものではなく、乗場の意匠性が損なわれないような締結部材を用いればよい。例えば、皿ねじ及びナット、リベット、又は皿タッピンネジ等をカバー固定用の締結部材として用いてもよい。スタッドボルト以外のものを締結部材として用いる場合には、作業性の向上や、スタッドボルトの挿入のためのスペースの縮小(但し、傾き・位置調整用のスペースは必要である)を図ることができる。
【0085】
また、実施の形態1〜4では、カバー内閉塞材として密閉版17,29,47を用いた。しかしながら、この例に限定するものではなく、カバー内閉塞材の形状・位置・数について、気密性が確保される範囲であれば、種々の変形が可能である。例えば、カバー内閉塞材の形状が、カバーとの接触面積を増やすために、断面L字状であってもよい。さらに、気密性をより向上させるために、各カバーと、乗場三方枠の外面との間のスペースに、モルタルやしっくい等の不燃性充填材を充填してもよい。この場合、不燃性充填材の充填状態によっては密閉版17,29,47を省略することもできる。即ち、カバー内閉塞材として、不燃性充填材を用いることもできる。
【0086】
さらに、縦柱5X,5Y、上梁6、戸当り柱35X及び戸袋柱の形状については、実施の形態1〜4で説明した形状に限るものではなく、この発明は、種々の形状の縦柱、上梁、戸当り柱及び戸袋柱(乗場三方枠)に適用できる。例えば、図2,10の縦柱5Xについては、縦柱第5面部5eを省略したものや、縦柱第1面部5aと縦柱第3面部5cとの長さが異なるものや、縦柱第1面部5aと縦柱第2面部5bとのなす角が鋭角又は鈍角であるもの(直角でないもの)や、縦柱第2面部5bと縦柱第3面部5cとのなす角が鋭角又は鈍角であるもの、縦柱第1面部5aと縦柱第3面部5cとが平行でないもの等にも、この発明を適用できる。これと同様に、図3,11の上梁6や、図8,12の戸当り柱35Xについても、種々の形状のものに、この発明を適用できる。これに加えて、縦柱5X,5Y、上梁6、戸当り柱35X及び戸袋柱の形状に対応するように、各カバー7X,7Y,8,37Xの形状を適宜変更できる。
【符号の説明】
【0087】
1 乗場、1a 乗場壁、1b 乗場出入口、2 乗場ドア装置、3 乗場三方枠、4X,4Y 乗場ドアパネル、5X,5Y 縦柱、5a 縦柱第1面部、5b 縦柱第2面部、5c 縦柱第3面部、5d 縦柱第4面部、5e 縦柱第5面部、6 上梁、6a 上梁第1面部、6b 上梁第2面部、6c 上梁第3面部、6d 上梁第4面部、6e 上梁第5面部、7X,7Y 縦柱カバー、8 上梁カバー、11 第1縦柱カバー部材、11a 第1面部、11b 第2面部、11c 突出部、12 第2縦柱カバー部材、12a 第1面部、12b 第2面部、12c 突出部、13A〜13C,24A〜24C,43A〜43C,60A,60B,70A〜70C 座板(傾き調整機構)、14A〜14D,25A〜25E,44A〜44C スタッドボルト、16A〜16D,27A〜27E,46A〜46C,63A,63B,73A〜73C,83 ナット、17 縦柱用密閉板(カバー内閉塞材)、21 第1上梁カバー部材、21a 第1面部、21b 第2面部、21c 突出部、22 第2上梁カバー部材、22a 第1面部、22b 第2面部、23 第3上梁カバー部材、23a 第1面部、23b 第2面部、28 気密材(三方枠側隙間閉塞部)、29 上梁用密閉板(カバー内閉塞材)、35X 戸当り柱(縦柱)、35a 戸当り柱第1面部、35b 戸当り柱第2面部、35c 戸当り柱第3面部、35d 戸当り柱第4面部、35e 戸当り柱第5面部、35f 戸当り柱第6面部、35g 戸当り柱第7面部、37X 戸当り柱カバー(縦柱カバー)、41 第1戸当り柱カバー部材、41a 第1面部、41b 第2面部、41c 第3面部、41d 突出部、42 第2戸当り柱カバー部材、42a 第1面部、42b 第2面部、42c 第3面部、47 戸当り柱用密閉板(カバー内閉塞材)、61A,61B,71A〜71C,81 皿ねじ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに間隔をおいて配置された一対の縦柱と、前記一対の縦柱の上端部同士を繋ぐ上梁とを有し、乗場出入口を囲むように建物の乗場に据え付けられた乗場三方枠
を備えるエレベータの乗場装置であって、
前記一対の縦柱の前記乗場側へ向けられた面と前記乗場出入口の開口領域側へ向けられた面とのそれぞれを覆うように、前記一対の縦柱のそれぞれに取り付けられた一対の縦柱カバーと、
前記上梁の前記乗場側へ向けられた面と前記乗場出入口の開口領域側へ向けられた面とのそれぞれを覆うように、前記上梁に取り付けられた上梁カバーと、
前記一対の縦柱と前記一対の縦柱カバーとの間、及び前記上梁と前記上梁カバーとの間のそれぞれに介在され、前記一対の縦柱カバー及び前記上梁カバーについての前記乗場三方枠に対する傾き調整用の複数の傾き調整機構と、
前記一対の縦柱及び上梁カバーのそれぞれに設けられ、前記乗場出入口を開閉する乗場ドア装置の乗場ドアパネルに取り付けられたドア側隙間閉塞部材と前記乗場ドア装置の全閉時に接触可能であり、前記ドア側隙間閉塞部材と接触した際に前記ドア側隙間閉塞部材と協働して前記乗場ドアパネルと乗場三方枠との間の隙間を閉塞する複数の三方枠側隙間閉塞部と
をさらに備えることを特徴とするエレベータの乗場装置。
【請求項2】
前記複数の傾き調整機構は、前記縦柱カバーの内面と前記縦柱の外面との間、前記上梁カバーの内面と前記上梁の外面との間にそれぞれ設けられた複数の傾き調整用スペースに配置され、
前記縦柱の外面及び前記上梁の外面にそれぞれ取り付けられ、前記複数の傾き調整用スペースのそれぞれを閉塞する複数のカバー内閉塞材
をさらに備えることを特徴とする請求項1記載のエレベータの乗場装置。
【請求項3】
前記縦柱カバーは、前記乗場出入口の奥行方向へ長さ調整可能となるように複数の縦柱カバー部材に分割されており、
前記上梁カバーは、前記乗場出入口の奥行方向及び高さ方向の少なくともいずれか1つの方向へ長さ調整可能となるように複数の上梁カバー部材に分割されている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエレベータの乗場装置。
【請求項4】
前記縦柱カバーは、前記縦柱における前記乗場出入口の奥行方向昇降路側へ向けられた面に沿って配置され、かつ前記三方枠側隙間閉塞部をなす隙間閉塞面部を有している
ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のエレベータの乗場装置。
【請求項5】
前記縦柱カバー及び前記上梁カバーのそれぞれの内面には、複数のスタッドボルトの基端部が固着されており、
前記縦柱及び前記上梁には、前記複数のスタッドボルトの軸部を通すための複数のボルト通し孔が設けられており、
前記複数のスタッドボルトの軸部が前記縦柱及び前記上梁の前記複数のボルト通し孔にそれぞれ挿入され、その軸部の先端側にそれぞれ複数のナットが螺着されて、前記縦柱カバー及び前記上梁カバーが前記縦柱及び前記上梁に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のエレベータの乗場装置。
【請求項6】
前記縦柱カバーにおける前記一対の縦柱の前記乗場側へ向けられた面を覆う面の面積は、前記一対の縦柱の前記乗場側へ向けられた面よりも、傾き調整しろ及び前記スタッドボルトの軸部の長さ寸法分大きく、
前記上梁カバーにおける前記上梁の前記乗場側へ向けられた面を覆う面の面積は、前記上梁の前記乗場側へ向けられた面よりも、傾き調整しろ及び前記スタッドボルトの軸部の長さ寸法分大きい
ことを特徴とする請求項5記載のエレベータの乗場装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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