説明

エレベータの異常診断装置および方法

【課題】エレベータの異常を音で診断する場合、エレベータ周辺は多様な音が発生していることから、車や人の声といったエレベータに起因しない環境音をエレベータの異常音と誤検知することを防ぐ。
【解決手段】エレベータの乗りかご内に2つ以上または乗りかご外に2つ以上の集音ユニットを間隔(基線長)をおいて配置し、ステレオの原理等により音源位置を計算し、音源位置がエレベータの機器周辺であると判定する異常診断の前処理を行ったあと、音源位置と判定したエレベータ機器周辺での過去の正常音と比較することによって、異常診断を実行し、異常と診断した場合にはアラームを発報する。前処理によって、エレベータに起因しない環境音をエレベータの異常音と誤検知することを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータシステムの異常を発見する異常診断装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータは、ビル、個人の家等幅広く利用されている。一方で、エレベータの設置場所とエレベータを管理する者、すなわち監視センタ等は、離れているのが通常である。エレベータは定期的に異常が発生したか否か検査されるが、エレベータは、常に、利用者に利用されるものであるから、通常運行中にも、監視されるべきである。定期検査前であっても、なんらかの異常が有れば、早期に監視センタに通報することが望ましい。
【0003】
そこで、エレベータ運行中に、エレベータの異常を発見するために、エレベータの異常診断装置が種々提案されている。その中で、エレベータの異常を発見するために、音を検出する装置についても提案されている。エレベータに異常音が発生している場合、異常発生あるいはその前触れであることが多く、異常音の検出によりエレベータの故障等に早期に対応することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−132441
【特許文献2】特開2009−274805
【特許文献3】特開2009−162413
【特許文献4】特開2001−278562
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
エレベータの異常を音を検出することによって発見する場合、エレベータの周辺には多様な音が発生しており、集音された音がエレベータの異常音でない場合は、誤検知してしまう。また、エレベータの設置場所により、車や人の話声といった環境音を誤検知してしまう。
【0006】
特許文献1の従来技術では、エレベータのガイドレールと被ガイド部材との摺動音を収集し、予め定められた音の大きさや高さと比較して異常を検知しているが、検知対象をガイドレールに限定しており、かつ集音手段がひとつであるので、音源の位置を特定することができない。
【0007】
特許文献2の従来技術では、エレベータの巻上げ機および、各階床に設置された集音マイクで異常音を収集し、音の特性で異常検知するが、各階床に集音マイクを設置する必要があり、コストがかかる。また、乗りかご自体には集音マイクが設置されていないため、移動中の乗りかごの異常音を検知することは難しい。
【0008】
特許文献3の従来技術では、車両に搭載されたマイクロフォンにより集音された銃声を計測し、三角測量の原理で音源位置を特定しているが、音源が複数あるような用途の場合には、音源位置を特定できない。また、音源位置を特定するためには別途、測距センサまたは地図情報が必要である。
【0009】
特許文献4の従来技術では、エレベータ乗りかごの内外に設置された集音マイクで異常音を収集し、予め決められた基準値と比較して異常を検知しているが、乗りかご内外にマイクが設置されているため、音源の位置特定ができない。また、乗り場の環境音とエレベータ自体の音を区別することが難しい。
【0010】
そこで、本発明の目的は、エレベータ以外の騒音とエレベータの異常音を区別して、エレベータの異常を診断することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の望ましい実施態様においては、乗りかご内または乗りかご外に2つ以上設けられた集音手段(集音ユニット)によって集音した音の差に基づいて、ステレオの原理等により音源位置を計算し、音源位置での異常の有無を診断し、異常があった場合にはアラームを出力する。
【0012】
本発明の具体的な実施形態においては、前記集音手段の1つとして、乗りかご内のインターホンのマイクを利用する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の望ましい実施態様によれば、エレベータが静止している場合でも、移動している場合でも、ドアが開いている場合でも音源位置がエレベータ周辺か否かを判別することができる。また、集音された音のみから音源位置を判別するため、他のセンサが不要であり、集音手段は最低2つで十分であるため、経済的に装置を設置することができる。
【0014】
本発明のその他の目的と特徴は、以下に述べる実施形態の中で明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態によるエレベータの異常診断装置の概要を示すブロック図である。
【図2】同じくエレベータの異常診断装置の処理フローチャートである。
【図3】乗りかご内の2つの集音手段(集音ユニット)の配置例を示す図である。
【図4】音源位置計算手段の一例を示すブロック図である。
【図5】異常音診断手段の一例を示すブロック図である。
【図6】本発明の第2の実施形態によるエレベータの異常診断装置の概要を示すブロック図である。
【図7】乗りかご外の2つの集音手段(集音ユニット)の配置例を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施形態によるエレベータの異常診断装置の概要を示す全体ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
まず、本発明の第1実施形態について説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明の第1の実施形態によるエレベータの異常診断装置の概要を示すブロック図である。異常診断機能を有するエレベータ100は、少なくともひとつの音S10を入力し、エレベータ乗りかご部B10、異常音診断部B20を有し、アラームS30を出力する。
【0019】
エレベータ乗りかご部B10は、音S10を入力し、少なくとも2つの乗りかご内集音ユニット10,20を有し、音を測定し、音響データ(音響信号)S20へ変換し出力する。音とは、例えばエレベータの走行音や、エレベータの機器の動作音や、車の音や、人の話声、といった環境音である。
【0020】
異常音診断部B20は、音響データS20を入力し、音源位置計算手段30、異常音診断手段40、警報発生手段50を有し、アラームS30を出力する。
【0021】
音源位置計算手段30は、入力された音響データS20の音の特徴から、音源の位置を計算する。音の特徴とは、音の大きさ(強さ)や音色、周波数などである。音源の位置を計算する手段として、たとえば、ステレオの原理が考えられる。音源がエレベータ周辺か否かを判別し、音源がエレベータ周辺の場合は、異常音診断手段40へ音響データS20を出力する。音源がエレベータ周辺ではない場合は、そこで処理を終了し、次の音響データS20の音源位置を計算する。
【0022】
異常音診断手段40は、音響データS20を入力とし、異常判定をおこない、異常の場合は、アラームのトリガーを出力する。異常判定をおこなう手段として、予め決められた閾値と音響データS20を比較する方法や、過去の音響データS20を記憶しておき、入力された音響データS20と比較する方法が考えられる。例えば、異常音診断手段40は、前段の音源位置計算手段30によって計算され求められた音響発生位置に対応する過去の音響データ(例えば正常音)との照合に基づいて、該当箇所(部品機器)の異常判定を行う。
【0023】
警報発生手段50は、アラームのトリガーを入力し、アラームの出力の要否を判定し、アラーム要と判定した場合は、アラームS30を出力する。アラームのトリガーが入力されたら、すぐにアラームS30を出力する方法と、入力されたアラームのトリガーをカウントし、カウント数が予め決められた時間内で、予め決められた閾値以上となった場合にのみ、予め決められた頻度以上であると判定し、アラームS30を出力する方法が考えられる。
【0024】
図2は、本発明の第1の実施形態によるエレベータの異常診断装置の処理フローチャートである。
【0025】
まず、エレベータは通常運行を行っており、エレベータの通常運行時に騒音が発生したとする。2つの乗りかご内集音ユニット10,20は、集音ステップF1,F2においてそれら騒音を集音し、音響データ取得ステップF3,F4にて、音響データを作成する。ステップF5では、2つの音響データの音響信号の強弱(大小)ならびに信号の時間差を算出し、2つの音響データの音響信号の強弱(大小)ならびに信号の時間差に基づいて音源位置を計算する。計算された音源位置に基づいて、ステップF6では、音源がエレベータ周辺か否かを判定し、否の場合はステップF17に移って診断を中止する。音源がエレベータ周辺と判定された場合、まず、音響データの選択ステップF7で、音響信号の強弱から優位の音響データを決めておく。予め決められた閾値を用い、2つの音響データの差が閾値以上の場合には、明らかに優位性があったと判定する。
【0026】
次に、ステップF8,F9において、2つの音響データそれぞれにFFT(Fast Fourier Transform)処理を行い、周波数のデータに変換する。各々の周波数のデータに対して、ステップF10,F11において統計的手法を用い、特徴量を計算する。ここで統計的手法とは、主成分分析やクラスタリングなどである。ステップF12,F13では、算出した特徴量を各々の学習データ201,202と比較して、差分を計算する。学習データ201,202としては、例えば正常音を用いることができる。ステップF14,F15では、差分が閾値以上なら異常と判断し、閾値より小さいなら正常と判断する。2つの音響データのいずれかが異常と診断された場合には、ステップF16においてアラームを発報する。それ以外では、ステップF17により診断を終了する。
【0027】
しかしながら、2つの音響データ間において優位性が顕著な場合には、優位性の高い音響データに対する診断結果に従って、異常判定を行うことが望ましい。つまり、優位性の高い音響データが異常と診断された場合は、異常と判断し、ステップF16においてアラームを発報するようにしてもよい。
【0028】
一方、優位性の高い音響データが正常と診断された場合には正常と判断し、ステップF17によりそのまま診断を終了するようにしてもよい。
【0029】
図3は、乗りかご内の2つの集音ユニットの配置例を示す図である。配置例(A)はドア面の左右上端に設置した例である。配置例(B)はドアの対面の左右上端に設置した例である。配置例(C)は乗りかご内の対称角に設置した例である。配置例(D)は乗りかご内の上端、下端に設置した例である。配置例(E)は監視カメラ等がある天板の角とインターホンのマイクを利用した例である。
【0030】
配置例(A)は、エレベータを構成する部品の多くが集まる天板とドア面に近いため、多くの部品の音を集音できる。特に、天板にはドア廻りの部品が集中しているため、ドアモータや従動ローラ、ドアレール等の音を集音できる。
【0031】
配置例(B)は、監視カメラ等が設置されている位置であるため、集音手段を追加しやすい。また、ドアと正対する位置にあるため、ドアの異常、例えばガタつきや人・物が挟まった際の音を集音できる。
【0032】
配置例(C)は、乗りかご内で対角線上に配置しているため、2つのマイクの間隔(基線長)が最大となる。そのため、エレベータ乗りかご内で起こる音をまんべんなく集音できると考えられる。
【0033】
配置例(D)は、乗りかご上下に配置しているため、天板の部品と床下の部品、特に、シル溝やドアシューの音を集音し易い。
【0034】
配置例(E)は、元来設置されているインターホンを使うため、新たに設置するマイクが1本で済む。また、配置例(C)と同様に、エレベータ乗りかご内で起こる音をまんべんなく集音できる。
【0035】
図4は、音源位置計算手段30の一例を示すブロック図である。音響データS20を入力し、音源位置計算部B30、音源位置判定部B40を有し、音響データS20がエレベータ周辺の音と判定された場合のみ、音響データS20を出力する。
【0036】
音源位置計算部B30は、音響データS20を入力し、音響データS20の特徴から、音響データS20の音源位置を計算し、音源位置S40を出力する。計算方法として、ステレオの原理を用いて、2つの集音ユニットから出力された音響データS20の差異と、2つの集音ユニットの距離(基線長)に基づいて、音源位置S40を計算する。
【0037】
音源位置判定部B40は音源位置S40を入力し、音源位置S40がエレベータ周辺の音か否かを判定し、エレベータ周辺の音と判定された場合のみ、音響データS20を出力する。判定方法として、予めエレベータ周囲の音と定義する閾値を有し、音源位置S40が閾値以下であれば、音響データS20はエレベータ周辺の音であると判定する。
【0038】
図5は、異常音診断手段40の一例を示すブロック図である。音響データS20を入力し、過去の正常音データベース(以下、DBと表記)410、異常音判定部B50を有し、エレベータの異常が検出された場合のみ、アラームのトリガーS50を出力する。
【0039】
過去の正常音DB410は、予め、エレベータの正常音S60が記憶されている。
【0040】
異常音判定部B50は、音響データS20、過去の正常音S60を入力し、音響データS20と過去の正常音S60を比較することで、エレベータの異常の有無を判定し、異常の場合のみ、アラームのトリガーS50を出力する。判定方法として、音響データS20と過去の正常音S60の類似度を計算する方法や、過去の正常音S60を学習し、音響データS20を診断する方法が考えられる。
【0041】
尚、過去の正常音DB410に、音源位置計算手段30で特定可能な音源位置ごとに対応する過去の正常音S60を記憶しておき、異常音診断手段40では音響データS20だけでなく音源位置S40を音源位置計算手段30から入力して、その音源位置に対応する過去の正常音S60を用いて異常音判定を行うようにしてもよい。
【0042】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【実施例2】
【0043】
図6は、本発明の第2の実施形態によるエレベータの異常診断装置を示すブロック図である。異常診断機能を有するエレベータ200は、少なくともひとつの音S10を入力し、エレベータ乗りかご部B10、異常音診断部B20を有し、アラームS30を出力とする。エレベータ乗りかご部B10は、音S10を入力し、少なくとも2つの乗りかご外集音ユニット110,120を有し、音響データS20を出力する。異常音診断部B20、アラームS30は、第1の実施形態と同様である。
【0044】
図7は、乗りかご外の2つの集音ユニットの配置例を示す図である。配置例(A)は、ドア面の上下端に設置した例である。配置例(B)は、天板のドア面側とドアと対面側に設置した例である。配置例(C)は、天板と床面に設置した例である。
【0045】
配置例(A)は、エレベータを構成する部品の多くが集まる天板とドア面に近いため、多くの部品の音を集音できる。特に、天板にはドア廻りの部品が集中しているため、ドアモータや従動ローラ、ドアレール等の音を集音できる。また、ドアの下部では、シル溝やドアシューの音を集音し易いと考えられる。
【0046】
配置例(B)は、エレベータを構成する部品の多くが集まる天板とドア面に近いため、多くの部品の音を集音でき、かつ異常音を発する機器を特定することができる。特に、ドアモータや従動ローラ、ドアレール等の音を集音できる。
【0047】
配置例(C)は、エレベータを構成する部品の多くが集まる天板と乗りかごをはさんだ床面に設置されているため、集音の時点で診断したい対象音と環境音の分離が容易である。また、配置例(A)と同様に、特に天板はドア廻りの部品が集中しているため、ドアモータや従動ローラ、ドアレール等の音を集音できる。また、乗りかごの下部では、シル溝やドアシューの音を集音し易いと考えられる。
【0048】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
【実施例3】
【0049】
図8は、本発明の第3の実施形態によるエレベータの異常診断装置の概要を示す全体ブロック図である。異常診断機能を有するエレベータ300は、音を入力し、エレベータ乗りかごE10、エレベータドアE20、ドアモータE30、少なくとも2つの乗りかご内集音ユニット10A,10B、異常音診断部B20を有し、アラームS30をモニタE40へ出力する。
【0050】
この実施形態では、特に、エレベータのドア廻りの異常音を検知対象とする。エレベータ乗りかごE10は、第1の実施形態のエレベータ乗りかご部B10に相当し、エレベータドアE20やドアモータE30で発生した音を入力し、2つの乗りかご内集音ユニット10A,10Bを有し、音響データS20を出力する。
【0051】
乗りかご内集音ユニット10A,10Bは、ドア面の上部とインターホン位置に設置される。いずれも無指向性のマイクである。ドア面上部に設置された乗りかご内集音ユニット10Aは、インターホン位置に設置された乗りかご内集音ユニット10Bと比べてエレベータドアE20やドアモータE30に近いため、ドア開閉時の音を集音し易い。
【0052】
異常音診断部B20、アラームS30は、第1の実施形態と同様である。
【0053】
また、異常音診断部B20において、予め決められた乗りかご内集音ユニット10A,10Bの閾値を有し、乗りかご内集音ユニット10Aの音響データS20が閾値よりも低く、乗りかご内集音ユニット10Bの音響データS20が閾値よりも高い場合は、エレベータ周辺の音よりも環境騒音の方が大きいと判定し、異常音診断を行わないと決定することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の異常診断機能を有するエレベータによれば、集音された音が、エレベータの周辺か否かを判定することができ、音でエレベータの異常を検知することができる。
【符号の説明】
【0055】
10,20…乗りかご内集音手段(集音ユニット)、30…音源位置計算手段、40…異常音診断手段、50…警報発生手段、100,200,300…異常音診断機能を有するエレベータ、110,120…乗りかご外集音手段(集音ユニット)、410…過去の正常音DB、B10…エレベータ乗りかご部、B20…異常音診断部、B30…音源位置計算部、B40…音源位置判定部、B50…異常音判定部、E10,E20…エレベータ乗りかご、E30…ドアモータ、E40…モニタ、F1,F2…集音ステップ、F3,F4…音響データ取得ステップ、F5…音源位置計算ステップ、F6…音源がエレベータ付近か判定ステップ、F7…優位な音響データ判定ステップ、F8,F9…FFT処理ステップ、F10,F11…統計的特徴量の算出ステップ、F12,F13…学習データとの差分計算ステップ、F14,F15…異常判定ステップ、F16…アラーム発報ステップ、F17…診断終了ステップ、201,202…学習データ、S10…音、S20…音響データ、S30…アラーム、S40…音源位置、S50…トリガー、S60…記憶された過去の正常音。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータ乗りかご内または乗りかご外に2つ以上設けられた集音手段と、
前記エレベータ乗りかご内または乗りかご外で集音された音響信号に基づいてエレベータの異常を診断する異常診断手段と、
前記異常診断手段の出力に基づき警報信号を出力する警報装置を備えたエレベータの異常診断装置において、
前記集音手段は、エレベータ乗りかご内または乗りかご外に、間隔をおいて配置された2つ以上の集音ユニットの組合せからなり、
前記2つ以上の集音ユニットによってそれぞれ集音した音響信号の差に基づいて音源の位置を計算する音源位置計算手段と、
集音した前記音響信号に基づいて、前記計算により求められた当該音響信号の音源位置での異常の有無を診断する異常診断手段を備えたことを特徴とするエレベータの異常診断装置。
【請求項2】
請求項1において、前記音源位置計算手段は、2つ以上の集音ユニットによってそれぞれ集音した音響信号の強弱ならびに時間の差に基づいて音源の位置を計算することを特徴とするエレベータの異常診断装置。
【請求項3】
請求項1または2において、前記音源位置計算手段は、間隔をおいて設置された2つ以上の前記集音ユニットによってそれぞれ集音された2つ以上の音響信号から、ステレオの原理に基づいて前記音源位置を計算することを特徴とするエレベータの異常診断装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、前記音源位置計算手段によって計算された音源位置に基づいて、異常機器を特定する異常機器特定手段を備えたことを特徴とするエレベータの異常診断装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかにおいて、前記音源位置計算手段によって計算された音源位置に基づいて、前記異常診断手段による異常診断の要否を判定する異常診断要否判定手段を備えたことを特徴とするエレベータの異常診断装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかにおいて、前記2つ以上の集音ユニットの1つとして、乗りかご内のインターホンのマイクを利用することを特徴とするエレベータの異常診断装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかにおいて、前記異常診断手段は、前記集音ユニットによって集音した音響信号を、予め記憶してある正常音と比較することによって、異常を診断することを特徴とするエレベータの異常診断装置。
【請求項8】
請求項7において、前記予め記憶してある正常音は、2つ以上の前記集音ユニットの組合せによって特定可能な複数の音源位置に対応してそれぞれ記憶されていることを特徴とするエレベータの異常診断装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかにおいて、前記異常診断手段により、所定時間内に所定回数以上の異常診断が得られたとき、前記警報信号を出力することを特徴とするエレベータの異常診断装置。
【請求項10】
エレベータ乗りかご内または乗りかご外で集音された音響信号に基づいてエレベータの異常を診断し、警報信号を出力するエレベータの異常診断方法において、
エレベータ乗りかご内または乗りかご外に、間隔をおいて配置された2つ以上の集音ユニットを組合せ、
前記2つ以上の集音ユニットによってそれぞれ集音した音響信号から、ステレオの原理に基づいて音源位置を計算する音源位置計算ステップと、
集音した前記音響信号に基づいて、前記計算により求められた当該音響信号の音源位置での異常の有無を診断する異常診断ステップと、
前記音源位置での異常が診断されたとき、前記警報信号を出力する警報ステップとを備えたことを特徴とするエレベータの異常診断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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