エレベータシステム
【課題】モータにより駆動される駆動シーブとしての吊り車、及びそれ以外のそらせシーブとなる吊り車を効果的に配置構成したエレベータシステムを提供する。
【解決手段】吊り支持用のロープ17を、昇降路13の頂部に固定された乗りかご11用の返し車22、乗りかご11側と釣合錘側との中継用の返し車24、釣合錘用の返し車23と、釣合錘12に設けられた2つの吊り車20,21、及び乗りかご11に設けられた2つの吊り車18,19とにそれぞれ巻き掛けて、N:1(N:4以上の整数)ローピングを施したエレベータシステムであって、釣合錘12は、駆動シーブとなる吊り車20と、そらせシーブとなる吊り車21とのいずれか一方を、釣合錘12のフレーム12a内に設置し、いずれか他方をフレーム外の上方に設け、中継用の返し車24を経たロープ17は、吊り車20、返し車23、吊り車21に順次交互に巻き掛け、さらに、フレーム内の吊り車20の直径を、その上部のフレーム外の吊り車21の直径より大きく設定したことを特徴とする。
【解決手段】吊り支持用のロープ17を、昇降路13の頂部に固定された乗りかご11用の返し車22、乗りかご11側と釣合錘側との中継用の返し車24、釣合錘用の返し車23と、釣合錘12に設けられた2つの吊り車20,21、及び乗りかご11に設けられた2つの吊り車18,19とにそれぞれ巻き掛けて、N:1(N:4以上の整数)ローピングを施したエレベータシステムであって、釣合錘12は、駆動シーブとなる吊り車20と、そらせシーブとなる吊り車21とのいずれか一方を、釣合錘12のフレーム12a内に設置し、いずれか他方をフレーム外の上方に設け、中継用の返し車24を経たロープ17は、吊り車20、返し車23、吊り車21に順次交互に巻き掛け、さらに、フレーム内の吊り車20の直径を、その上部のフレーム外の吊り車21の直径より大きく設定したことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊り支持用のロープを、昇降路頂部に固定された返し車、釣合錘側に設けられた吊り車、及び乗りかご側に設けられた吊り車にそれぞれ巻き掛け、このロープを釣合錘に搭載したモータにより釣合錘側に設けられた吊り車を回転させることによって乗りかご及び釣合錘を昇降させるエレベータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物内の空間を効率良く利用するとともに日照権等の問題を回避するために、昇降路の頂部に機械室を持たない、いわゆるマシンルームレスエレベータが種々開発され提案されている。
【0003】
このようなマシンルームレスエレベータには様々な形式のものがあるが、そのなかには釣合錘に設けた駆動装置を用いて釣合錘を昇降させ、それによって乗りかごを昇降させる形式のものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このような構成のエレベータシステムは、釣合錘にモータなどの駆動装置を設けたことにより、従来の、昇降路内に駆動装置を設けた構成に比べ、機器配置が合理的となり、省スペース化を一層向上させることができる。
【特許文献1】特開2003−104665号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、これまでの釣合錘にモータなどの駆動装置を設けたエレベータシステムでは、ローピングが2:1までのものであり、昇降に大きな駆動力を要するものであった。このため、駆動装置として比較的大型のものが必要となり、釣合錘に搭載するためには、釣合錘の搭載部分を大形化しなければならないなどの問題が生じた。
【0006】
また、釣合錘自体に設けられた吊り車をモータにより回転駆動し、駆動シーブとして用いるため、その取り付け構造もこれまでの釣合錘とは異なってくる。特に、吊り車の数を増やしてローピングを4:1以上とする場合は、釣合錘の限られた形状範囲の中でこれらを配置構成しなければならず、新たな構成が要望されていた。
【0007】
本発明の目的は、モータにより駆動される駆動シーブとしての吊り車、及びそれ以外のそらせシーブとなる吊り車を効果的に配置構成したエレベータシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるエレベータシステムは、吊り支持用のロープを、昇降路頂部に固定された乗りかご用の返し車、乗りかご側と釣合錘側との中継用の返し車、釣合錘用の返し車と、釣合錘に設けられた複数の吊り車、及び乗りかごに設けられた複数の吊り車とにそれぞれ巻き掛けて、N:1(N:4以上の整数)ローピングを施したエレベータシステムであって、前記釣合錘は、この釣合錘に設けられたモータにより回転駆動される駆動シーブとなる吊り車と、そらせシーブとなる吊り車とを有し、これら駆動シーブとなる吊り車及びそらせシーブとなる吊り車のいずれか一方を、前記釣合錘を構成するフレーム内に設置し、いずれか他方を前記フレーム外で、このフレーム内に設けられた吊り車の上方に設け、前記乗りかご側からの中継用の返し車を経た前記ロープは、前記駆動シーブとなる吊り車、前記釣合錘用の返し車、前記そらせシーブとなる吊り車に順次交互に巻き掛けられており、さらに、前記フレーム内の吊り車の直径を、その上部に設けられたフレーム外の吊り車の直径より大きく設定したことを特徴とする。
【0009】
また、本発明によるエレベータシステムは、釣合錘を構成するフレーム内の吊り車の回転面と、その上部に設けられたフレーム外の吊り車の回転面とを、それらの上方から見て互いに交差する角度関係で設置した構成としてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、釣合錘側にモータにより駆動される駆動シーブとしての吊り車、及びそらせシーブとしての吊り車を設けてN:1(Nは4以上の整数)ローピングを施し、駆動部分の小形化を可能とするとともに、これら吊り車を効果的に配置構成することにより、釣合錘の大形化を生じることない構造とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明によるエレベータシステムの一実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0012】
図1は本発明の一実施の形態によるエレベータシステムの乗りかご11と釣合錘12との関係を示す正面図であり、図2はその平面図、図3はこれら乗りかご11及び釣合錘12に対するローピングの状態を示している。なお、図3では、図1で示している後述する案内レールについては図示を省略している。
【0013】
図1及び図2において、乗りかご11は、建物の昇降路13内に昇降可能に設置されており、この乗りかご11の両側面の奥行方向(図1の左右方向)ほぼ中央部に、縦方向に沿って設けられた一対のガイドレール14により昇降案内される。釣合錘12は、同じ昇降路13内において、乗りかご11の一側面(図1の奥側の側面)と、昇降路13の図示しない内壁面との間に、昇降可能に設置されている。そして、この釣合錘12の幅方向(図1及び図2の左右方向)両側面に縦方向に沿って設けられた一対のガイドレール15により昇降案内される。
【0014】
これら、乗りかご11及び釣合錘12に対しては、吊り支持用のロープを、釣合錘12側に設けられた2つの吊り車、乗りかご11側に設けられた2つの吊り車、及びこれら吊り車に対応して昇降路13の頂部に固定された返し車にそれぞれ巻き掛けて、N:1(Nは4以上の整数)ローピングを施している。そして、このロープを釣合錘12に搭載したモータにより釣合錘12側に設けられた吊り車を回転させることによって乗りかご11及び釣合錘12を相互に昇降させている。
【0015】
例えば、図3は4:1ローピングの場合で、吊り支持用のロープ17は、その両端17a,17bが昇降路13の頂部に固定されている。また、このロープ17を巻き掛けるために、乗りかご11及び釣合錘12は、それぞれ2つの吊り車18,19及び20,21が設けられ、昇降路13の頂部には、これら吊り車18,19及び20,21に対応する数の返し車22,23,24が設けられている。
【0016】
乗りかご11の上面に設けられた複数の吊り車18,19は、それらの回転面が、直方体状を成す乗りかご11の幅方向(図2の上下方向)に沿う状態で、この乗りかご11の幅方向に並設されている。また、釣合錘12側に設けられた複数の吊り車20,21は、それらの回転面が、直方体状をなす釣合錘12の幅方向(図2の左右方向)に沿う状態で、一方の吊り車20が釣合錘12内に設けられ、他方の吊り車21は、釣合錘12外において、この釣合錘12内に設けられた吊り車20の上方に設けられている。
【0017】
返し車22は乗りかご11用のものであり、2つの滑車22a,22bにより構成され、乗りかご11上に設けられた一方の吊り車18を経たロープを他方の吊り車19へ折り返すために設けられている。返し車23は釣合錘12用のものであり、釣合錘12上に設けられた一方の吊り車20を経たロープ17を他方の吊り車21へ折り返すために設けられている。また、返し車24は、乗りかご11側と釣合錘12側との中継に用いられるもので、乗りかご11側の吊り車19を経たロープ17を、釣合錘12側の吊り車20に向かって折り返すために、図2で示すように、所定の角度で設けられている。
【0018】
ここで、乗りかご11用の返し車22を構成する2つの滑車22a,22bは、図4で示すように、乗りかご11用の一対のガイドレール14の内側近傍に配置されている。すなわち、2つの滑車22a,22bが、一対のガイドレール14のレール14a又は14bの近くに位置しており、これらレール14a又は14bの対応するものに、片持ち梁構造で取り付けられている。このように、返し車22を2つの滑車22a,22bで構成し、これらを一対のガイドレール14の対応するレール14a,14b近くに配置したことにより、これら2つの滑車22a,22bを、レール14a,14bにより簡単な構造で強固に保持固定することができ、レール14a,14bへの負荷を小さくすることができる。
【0019】
釣合錘12側に設けられた2つの吊り車20,21は、前述のように、一方の吊り車20が釣合錘12内に設けられ、他方の吊り車21は、一方の吊り車20の上方に設けられている。
【0020】
釣合錘12は、実際には図5で示すように、釣合錘12の外郭を成すフレーム12aと、このフレーム12a内に設けられる錘部分12bとで構成されている。したがって、一方の吊り車20は、図示のようにフレーム12a内に設けられ、他方の吊り車21は、フレーム12a外において、吊り車20の上方に設けられている。
【0021】
ここで、釣合錘12のフレーム12a内に設けられた吊り車20の直径は、その上部に設けられたフレーム12a外の吊り車21の直径より大きく設定している。
【0022】
ロープ17は、図3で示すように、一端17aが昇降路13の頂部に固定されており、乗りかご11上の一方の吊り車18に巻き掛けられたのち昇降路頂部の返し車22の二つの滑車22a,22bに巻き掛けられ、下方に向かって折り返される。その後、乗りかご11上の他方の吊り車19に巻き掛けられたのち、昇降路頂部に設けられた中継用の返し車24に巻き掛けられ、釣合錘12に向って変向され、折り返される。その後、釣合錘12内に設けられた大径の一方の吊り車20に巻き掛けられたのち昇降路頂部の返し車23に巻き掛けられ、下方に向かって折り返される。さらに、釣合錘12上の比較的小径の他方の吊り車21に巻き掛けられたのち、ロープ17の他端17bは昇降路13の頂部に固定される。
【0023】
このように、図3の例では、これら吊り車18,19,20,21及び返し車22,24,23に順次交互にロープ17を巻き掛けたことにより、4:1のローピングが施される。
【0024】
ここで、釣合錘12内に設置される吊り車20を、その上部に設置する吊り車21より大径としたので、前述のように、中継用の返し車24を経たロープ17を吊り車20に巻き掛け、その後、昇降路頂部の返し車23に巻き掛け、さらに、釣合錘12上の他方の吊り車21に巻き掛けても、ロープ17は互いに接触することなく張設でき、2つの吊り車20,21の釣合錘12内外おける上下配置が可能となる。
【0025】
また、釣合錘12には、ロープ17をその長さ方向に駆動して、釣合錘12と乗りかご11を相互に昇降動作させる駆動シーブが設けられる。図3の例では、乗りかご11側からの中継に用いられる返し車24を経たロープ17が最初に巻き掛けられる釣合錘12内の吊り車20を駆動シーブとしている。この駆動シーブとなる吊り車20は、この釣合錘12内において扁平形のモータと一体的に構成され、このモータにより回転駆動される。
【0026】
ここで、吊り車20,21は動滑車であり、返し車23,24とともに4:1のローピングを構成している。この場合、釣合錘12側についてみると、吊り車20,21と返し車23,24が互いに同径であれば、ロープ17の固定端17bから最初にロープ17が巻き掛けられる吊り車21の回転速度をVとすると、次にロープ17が巻き掛けられる返し車23の回転速度は2Vとなり、さらに次にロープ17が巻き掛けられる吊り車20の回転速度は3Vとなる。すなわち、釣合錘12及び乗りかご11の昇降動作に伴い、釣合錘12に設けられた一方の吊り車20は、他方の吊り車21に比べ3倍の速度で回転することとなる。
【0027】
但し、この実施の形態では、釣合錘12内に設けられた駆動シーブとなる吊り車20は、その上部のフレーム外に設置されたそらせシーブとなる吊り車21より大径に形成されているので、径の大きさにもよるが、上述した同径の場合のように、他方の吊り車21に比べ3倍の速度で回転することはない。それでも、駆動シーブとなる吊り車20直径を、そらせシーブとなる吊り車21の直径の3倍未満にすれば、駆動シーブとなる吊り車20は、そらせシーブとなる吊り車21より高速で回転することになる。このように高速回転となる場合、必要とする回転トルクは少なくなる。
【0028】
一般にモータは、発生トルクを増大させるためには、大きな電流を流さなければならず、大形化は避けられない。これに対し、回転速度の高速化は、入力パルス数を増やすことなどにより容易に対応でき、モータ自体の大形化を必要としない。したがって、駆動シーブである吊り車20を駆動するモータは、低トルク化により小形に構成でき、釣合錘12への搭載に適した構造とすることができる。
【0029】
このように、釣合錘12内に駆動シーブとなる吊り車20とともに搭載される駆動モータを小形化でき、釣合錘12内への設置も容易となる、このため、各機器の配置構成をより一層合理化でき、しかも十分な昇降駆動力を得ることができる。
【0030】
また、2つの吊り車20,21のいずれか一方を、釣合錘12のフレーム12a内に設け、他方をそのフレーム12a外の上部に設けた上下配置としたことにより、これら2つの吊り車20,21が釣合錘12の幅方向中央部に配置される。したがって、釣合錘12が重心吊りされることとなり、スムースな昇降が可能となる。さらに釣合錘12の幅寸法や、或いは厚さ寸法を増大することなく、エレベータシステムを構成することができる。
【0031】
上記実施の形態では、乗りかご11用の返し車22を2つの滑車22a,22bで構成しているが、図6で示すように1つの滑車により返し車22を構成してもよい。このように、返し車22を1つの滑車とすると、昇降路13の頂部における構成を簡素化できる効果が生じる。
【0032】
次に、乗りかご11側の吊り構造を説明する、上記実施の形態では乗りかご11側の吊り車18,19を、乗りかご11の上面部に設けていたが、図7で示すように乗りかご11の側面下部に設けたり、図8で示すように乗りかご11の側面上部に設けたりしてもよい。
【0033】
ここで、直方体状の乗りかご11の前後方向(図2の左右方向)中間部には、図示しないが、乗りかご11の上面及び下面に、その横断方向(図2の上下方向)に沿って上梁及び下梁が設けられている。また、これら上梁と下梁の両端部間を連結する縦枠が乗りかご11の両側面に設けられている。図3及び図6で示した乗りかご11の上面に設けられる吊り車18,19は、実際にはこの上梁にそれぞれ回転自在に設けられている。
【0034】
また、図7で示した乗りかご11の側面下部の吊り車18,19(図7では吊り車18は乗りかご11に隠れて見えない)は、上述のように、乗りかご11の両側面に設けられた縦枠の下部にそれぞれ回転自在に設けられている。同様に、図8で示した乗りかご11の側面上部の吊り車18,19(図8でも吊り車18は乗りかご11に隠れて見えない)は、乗りかご11の両側面に設けられた縦枠の上部にそれぞれ回転自在に設けられている。
【0035】
このように吊り車18,19を乗りかご11の側面部分に設けると、乗りかご11の上梁部分を簡素化することができる。また、吊り車18,19を乗りかご11の側面部分に設けたことにより、乗りかご11に対するロープ17の巻き掛け作業を含む据え付け作業が容易になる。さらに図8の構成ではロープ17を短くすることができる。
【0036】
図9の例では、吊り車18,19をそれぞれ2つの滑車18a,18b及び19a,19bで構成し、これら2つの滑車18a,18b及び19a,19b乗りかご11の上面に配置し、図示しない上梁に取り付けている。すなわち、吊り車18,19は乗りかご11の奥行方向(図2の左右方向)に間隔を保って配置し、また各2つの滑車18a,18b及び19a,19bは、乗りかご11の幅方向(図2の上下方向)に間隔を保って配置している。
【0037】
この場合、ロープ17は、昇降路13の頂部の図示手前側に固定された一端17aから、吊り車18の一方の滑車18a及び他方の滑車18bに巻き掛けられたのち、昇降路13の頂部に設けられた返し車22に巻き掛けられ、再び乗りかご11上に向って折り返される。この返し車22は、昇降路13の一方の壁面に寄せて配置され、その回転面は乗りかご11の奥行き方向に沿っている。したがって、この返し車22によって折り返されたロープ17は、乗りかご11の奥行き方向に所定の間隔を保って折り返され、乗りかご11上の吊り車19の2つの滑車19b,19aに巻き掛けられたのち、釣合錘12との中継に用いられる返し車24に巻き掛けられる。
【0038】
図10は、上記乗りかご11側の吊り車18,19の滑車18a,18b及び19a,19bを乗りかご11の下面に配置し、図示しない下梁に取り付けている。その他の構造は、ロープの巻き掛け順を含め、図9と同じであり説明は省略する。
【0039】
図9及び図10のように構成すると、返し車22は、昇降路13の一方の壁面に寄せて配置され、その回転面は乗りかご11の奥行き方向に沿っているので、返し車22を、図2で示した一対のガイドレール14の一方のレール14aの上端部に直接的に取り付けることができる。したがって、昇降路13の頂部に、返し車22用の梁を設ける必要はなくなり、昇降路13の頂部構造を簡素化することができる。
【0040】
図11で示す実施の形態は、これまで説明した実施の形態と同様に4:1のローピングを施しているが、釣合錘12に設けられた2つの吊り車20,21の配置が異なる。すなわち、2つの吊り車20,21は、それらの回転面が、直方体状をなす釣合錘12の幅方向に沿っているが、この釣合錘12内には、反らせシーブとなる吊り車21を設け、この吊り車21の上方で釣合錘12のフレーム12a外には、扁平な駆動モータと一体的に構成された駆動シーブとなる吊り車20を設けている。この場合も、釣合錘12のフレーム12a内に設けられる吊り車21を、フレーム外の吊り車20より大径とする。
【0041】
ロープ17は、図11で示すように、一端17aが昇降路13の頂部に固定されており、乗りかご11上の一方の吊り車18に巻き掛けられたのち昇降路頂部の返し車22の二つの滑車22a,22bに巻き掛けられ、下方に向かって折り返される。その後、乗りかご11上の他方の吊り車19に巻き掛けられたのち、昇降路頂部に設けられた中継用の返し車24に巻き掛けられ、釣合錘12に向って変向され、折り返される。この返し車24を経たロープ17は、釣合錘12に配置された2つの吊り車20,21のうち、まず、図示フレーム12a外の上部に設置された比較的小径の駆動シーブとなる吊り車20に巻き掛けられる。この後、昇降路13の頂部に設けられた返し車23に巻き掛けられて、再び釣合錘12に向かって折り返される。この返し車23に巻き掛けられたロープ17は、釣合錘12のフレーム12a内に設置された比較的大径のそらせシーブとなる吊り車21に巻き掛けられ、こののち、その端部17bは昇降路13の頂部に固定される。
【0042】
この場合も、吊り車20,21は動滑車であり、返し車23,24とともに4:1のローピングを構成しているため、吊り車20,21と返し車23,24が互いに同径であれば、ロープ17の固定端17bから最初にロープ17が巻き掛けられる吊り車21の回転速度をVとすると、駆動シーブとなる吊り車20の回転速度は3Vとなる。しかし、この実施の形態では、駆動シーブとなる吊り車20よりそらせシーブとなる吊り車21の方が大径なので、釣合錘12及び乗りかご11の昇降動作に伴い、駆動シーブである一方の吊り車20は、他方の吊り車21に比べ3倍より高速度で回転することとなり、高速回転となる分、必要とする回転トルクは少なくなる。したがって、駆動シーブである吊り車20を駆動するモータをより一層小形に構成でき、釣合錘12への搭載に適した構造とすることができる。
【0043】
また、2つの吊り車20,21のいずれか一方を、釣合錘12内に設け、他方をそのフレーム外の上部に設けた上下配置としたことにより、釣合錘12の重心吊りを可能とするとともに、その幅寸法や、或いは厚さ寸法を増大することなく、エレベータシステムを構成することができる。
【0044】
なお、図11では、乗りかご11用の返し車22を2つの滑車22a,22bで構成しているが、図6で示したように、1つの滑車によって返し車22を構成してもよい。また、乗りかご11側の吊り構造についても、図7乃至図10で説明した構造を同様に適用することができる。
【0045】
次に、図12及び図13で示す実施の形態を説明する。この実施の形態でも、釣合錘12に2つの吊り車20,21を設け、釣合錘12用の返し車23及び乗りかご11側からの中継用返し車24と共に4:1のローピングを施している。但し、2つの吊り車20,21は同径とする。また、このうち一方の吊り車20は、扁平な駆動モータと一体的に構成された駆動シーブとなるもので、その回転面が、直方体状をなす釣合錘12の幅方向に沿った状態で、釣合錘12のフレーム12a内に設けられる。
【0046】
これに対し、他方の吊り車21は反らせシーブとして用いられるもので、前記吊り車20の上方で、このフレーム12a外に設置される。この吊り車21の回転面は、図12で示すように、直方体状をなす釣合錘12の幅方向と交差した方向に沿って設けられる。
【0047】
その他の構成は、図2及び図3で説明したものと同じであり、説明は省略する。
【0048】
この場合、ロープ17は、図13で示すように、一端17aが昇降路13の頂部に固定されており、乗りかご11上の一方の吊り車18に巻き掛けられたのち昇降路頂部の返し車22の二つの滑車22a,22bに巻き掛けられ、下方に向かって折り返される。その後、乗りかご11上の他方の吊り車19に巻き掛けられたのち、昇降路頂部に設けられた中継用の返し車24に巻き掛けられ、釣合錘12に向って変向され、折り返される。この返し車24を経たロープ17は、釣合錘12に配置された2つの吊り車20,21のうち、まず、釣合錘12内に設置された駆動シーブとなる吊り車20に巻き掛けられる。この後、昇降路13の頂部に設けられた返し車23に巻き掛けられて、再び釣合錘12に向かって折り返される。この返し車23から折り返されたロープ17は、釣合錘12外の上部に設置されたそらせシーブとなる吊り車21に巻き掛けられ、こののち、その端部17bは昇降路13の頂部に固定される。
【0049】
この場合も、吊り車20,21は動滑車であり、返し車23,24とともに4:1のローピングを構成している。また、吊り車20,21と返し車23,24とが互いに同径であるため、ロープ17の固定端17bから最初にロープ17が巻き掛けられる吊り車21の回転速度がVであれば、駆動シーブとなる吊り車20の回転速度は3Vとなる。すなわち、釣合錘12及び乗りかご11の昇降動作に伴い、釣合錘12に設けられた一方の吊り車20は、他方の吊り車21に比べ3倍の速度で回転することとなる。言い換えると、駆動シーブである吊り車20は、釣合錘12の昇降速度に対して3倍の速度で回転させる必要がある。しかし、高速回転となる分、必要とする回転トルクは少なくなる。したがって、駆動シーブである吊り車20を駆動するモータを小形に構成でき、釣合錘12への搭載に適した構造とすることができる。
【0050】
また、釣合錘12に設けた2つの吊り車20,21は互いに同径であり、しかも、これらを上下に配置しているが、2つの吊り車20,21の回転面が、それらの上方から見て互いに交差する角度関係で設置したので、上述した順序でロープ17を掛けまわしても、このロープが互いに接触することはない。
【0051】
さらに、2つの吊り車20,21のいずれか一方を釣合錘12内に設け、他方をそのフレーム外の上部に設けた上下配置としたことにより、釣合錘12の重心吊りを可能とするとともに、その幅寸法や、或いは厚さ寸法を増大することなく、エレベータシステムを構成することができる。
【0052】
なお、図13では、乗りかご11用の返し車22を2つの滑車22a,22bで構成しているが、図6で示したように、1つの滑車によって返し車22を構成してもよい。また、乗りかご11側の吊り構造についても、図7乃至図10で説明した構造を同様に適用することができる。
【0053】
なお、図示しないが、釣合錘12用の返し車23の他に、もう一つの返し車を昇降路13の頂部に設け、釣合錘12に設けたそらせシーブとなる吊り車21を経たロープ17をこの追加された返し車に巻き掛けて釣合錘12側に再度折り返し、このロープ17の端部17bを釣合錘12上に固定することで、5:1ローピングを施してもよい。この場合、釣合錘12における2つの吊り車20,21の関係は、図3、図11、図13のいずれでもよい。もちろん、乗りかご11側についても、上述した釣合錘12側に合わせ、返し車22の他に、もう一つの返し車を昇降路13の頂部に設け、乗りかご11に設けた吊り車18を経たロープ17をこの追加された返し車に巻き掛けて釣合錘12側に再度折り返し、このロープ17の端部17aを乗りかご11上に固定することで、5:1ローピングを施す。
【0054】
このように上述した各実施の形態では、釣合錘12に設けられる2つの吊り車20,21を、釣合錘12の内外に、上下に配置したので、釣合錘12の重心吊りが可能であり、しかも、釣合錘12の幅や厚さを増大させることなくN:1(Nは4以上の整数)のローピングが可能となる。また、N:1のローピングを施し、乗りかご側からの中継に用いられる返し車を経たロープが最初に巻き掛けられる釣合錘側の吊り車を、釣合錘上に設けられた駆動モータにより回転駆動される駆動シーブとしたので、駆動モータを高速回転による低トルク仕様により小形化することができ、釣合錘への搭載に適した構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明によるエレベータシステムの一実施の形態を説明する正面図である。
【図2】図1の実施の形態の機器配置を示す平面図である。
【図3】図1の実施の形態におけるローピングを説明する斜視図である。
【図4】図1の実施の形態における乗りかご用返し車を構成する2つの滑車とこれを支持するガイドレールとの関係を示す部分図である。
【図5】図1の実施の形態における釣合錘とつり車との関係を示す正面図である。
【図6】図1で示した実施の形態における乗りかご用返し車を1つの滑車で構成した場合の斜視図である。
【図7】図1で示した実施の形態における乗りかご用吊り車を乗りかごの側面下部に設けた場合の斜視図である。
【図8】図1で示した実施の形態における乗りかご用吊り車を乗りかごの側面上部に設けた場合の斜視図である。
【図9】図1で示した実施の形態における乗りかご用吊り車を乗りかごの上面に設けた場合の斜視図である。
【図10】図1で示した実施の形態における乗りかご用吊り車を乗りかごの下面に設けた場合の斜視図である。
【図11】そらせシーブとなる吊り車を釣合錘内に設けた実施の形態の機器配置を示す平面図である。
【図12】そらせシーブとなる吊り車を、釣合錘内に設けた駆動シーブとなる吊り車と同径にし、それらの回転面を互いに交差させた実施の形態の機器配置を示す平面図である。
【図13】図12で示した実施の形態におけるローピングを説明する斜視図である。
【符号の説明】
【0056】
11 乗りかご
12 釣合錘
13 昇降路
14 乗りかご用のガイドレール
15 釣合錘用のガイドレール
17 ロープ
18,19 乗りかご側の吊り車
20 駆動シーブとなる釣合錘側の吊り車
21 そらせシーブとなる釣合錘側の吊り車
22 乗りかご用の返し車
23 釣合錘用の返し車
24 中継用の返し車
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊り支持用のロープを、昇降路頂部に固定された返し車、釣合錘側に設けられた吊り車、及び乗りかご側に設けられた吊り車にそれぞれ巻き掛け、このロープを釣合錘に搭載したモータにより釣合錘側に設けられた吊り車を回転させることによって乗りかご及び釣合錘を昇降させるエレベータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物内の空間を効率良く利用するとともに日照権等の問題を回避するために、昇降路の頂部に機械室を持たない、いわゆるマシンルームレスエレベータが種々開発され提案されている。
【0003】
このようなマシンルームレスエレベータには様々な形式のものがあるが、そのなかには釣合錘に設けた駆動装置を用いて釣合錘を昇降させ、それによって乗りかごを昇降させる形式のものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このような構成のエレベータシステムは、釣合錘にモータなどの駆動装置を設けたことにより、従来の、昇降路内に駆動装置を設けた構成に比べ、機器配置が合理的となり、省スペース化を一層向上させることができる。
【特許文献1】特開2003−104665号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、これまでの釣合錘にモータなどの駆動装置を設けたエレベータシステムでは、ローピングが2:1までのものであり、昇降に大きな駆動力を要するものであった。このため、駆動装置として比較的大型のものが必要となり、釣合錘に搭載するためには、釣合錘の搭載部分を大形化しなければならないなどの問題が生じた。
【0006】
また、釣合錘自体に設けられた吊り車をモータにより回転駆動し、駆動シーブとして用いるため、その取り付け構造もこれまでの釣合錘とは異なってくる。特に、吊り車の数を増やしてローピングを4:1以上とする場合は、釣合錘の限られた形状範囲の中でこれらを配置構成しなければならず、新たな構成が要望されていた。
【0007】
本発明の目的は、モータにより駆動される駆動シーブとしての吊り車、及びそれ以外のそらせシーブとなる吊り車を効果的に配置構成したエレベータシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるエレベータシステムは、吊り支持用のロープを、昇降路頂部に固定された乗りかご用の返し車、乗りかご側と釣合錘側との中継用の返し車、釣合錘用の返し車と、釣合錘に設けられた複数の吊り車、及び乗りかごに設けられた複数の吊り車とにそれぞれ巻き掛けて、N:1(N:4以上の整数)ローピングを施したエレベータシステムであって、前記釣合錘は、この釣合錘に設けられたモータにより回転駆動される駆動シーブとなる吊り車と、そらせシーブとなる吊り車とを有し、これら駆動シーブとなる吊り車及びそらせシーブとなる吊り車のいずれか一方を、前記釣合錘を構成するフレーム内に設置し、いずれか他方を前記フレーム外で、このフレーム内に設けられた吊り車の上方に設け、前記乗りかご側からの中継用の返し車を経た前記ロープは、前記駆動シーブとなる吊り車、前記釣合錘用の返し車、前記そらせシーブとなる吊り車に順次交互に巻き掛けられており、さらに、前記フレーム内の吊り車の直径を、その上部に設けられたフレーム外の吊り車の直径より大きく設定したことを特徴とする。
【0009】
また、本発明によるエレベータシステムは、釣合錘を構成するフレーム内の吊り車の回転面と、その上部に設けられたフレーム外の吊り車の回転面とを、それらの上方から見て互いに交差する角度関係で設置した構成としてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、釣合錘側にモータにより駆動される駆動シーブとしての吊り車、及びそらせシーブとしての吊り車を設けてN:1(Nは4以上の整数)ローピングを施し、駆動部分の小形化を可能とするとともに、これら吊り車を効果的に配置構成することにより、釣合錘の大形化を生じることない構造とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明によるエレベータシステムの一実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0012】
図1は本発明の一実施の形態によるエレベータシステムの乗りかご11と釣合錘12との関係を示す正面図であり、図2はその平面図、図3はこれら乗りかご11及び釣合錘12に対するローピングの状態を示している。なお、図3では、図1で示している後述する案内レールについては図示を省略している。
【0013】
図1及び図2において、乗りかご11は、建物の昇降路13内に昇降可能に設置されており、この乗りかご11の両側面の奥行方向(図1の左右方向)ほぼ中央部に、縦方向に沿って設けられた一対のガイドレール14により昇降案内される。釣合錘12は、同じ昇降路13内において、乗りかご11の一側面(図1の奥側の側面)と、昇降路13の図示しない内壁面との間に、昇降可能に設置されている。そして、この釣合錘12の幅方向(図1及び図2の左右方向)両側面に縦方向に沿って設けられた一対のガイドレール15により昇降案内される。
【0014】
これら、乗りかご11及び釣合錘12に対しては、吊り支持用のロープを、釣合錘12側に設けられた2つの吊り車、乗りかご11側に設けられた2つの吊り車、及びこれら吊り車に対応して昇降路13の頂部に固定された返し車にそれぞれ巻き掛けて、N:1(Nは4以上の整数)ローピングを施している。そして、このロープを釣合錘12に搭載したモータにより釣合錘12側に設けられた吊り車を回転させることによって乗りかご11及び釣合錘12を相互に昇降させている。
【0015】
例えば、図3は4:1ローピングの場合で、吊り支持用のロープ17は、その両端17a,17bが昇降路13の頂部に固定されている。また、このロープ17を巻き掛けるために、乗りかご11及び釣合錘12は、それぞれ2つの吊り車18,19及び20,21が設けられ、昇降路13の頂部には、これら吊り車18,19及び20,21に対応する数の返し車22,23,24が設けられている。
【0016】
乗りかご11の上面に設けられた複数の吊り車18,19は、それらの回転面が、直方体状を成す乗りかご11の幅方向(図2の上下方向)に沿う状態で、この乗りかご11の幅方向に並設されている。また、釣合錘12側に設けられた複数の吊り車20,21は、それらの回転面が、直方体状をなす釣合錘12の幅方向(図2の左右方向)に沿う状態で、一方の吊り車20が釣合錘12内に設けられ、他方の吊り車21は、釣合錘12外において、この釣合錘12内に設けられた吊り車20の上方に設けられている。
【0017】
返し車22は乗りかご11用のものであり、2つの滑車22a,22bにより構成され、乗りかご11上に設けられた一方の吊り車18を経たロープを他方の吊り車19へ折り返すために設けられている。返し車23は釣合錘12用のものであり、釣合錘12上に設けられた一方の吊り車20を経たロープ17を他方の吊り車21へ折り返すために設けられている。また、返し車24は、乗りかご11側と釣合錘12側との中継に用いられるもので、乗りかご11側の吊り車19を経たロープ17を、釣合錘12側の吊り車20に向かって折り返すために、図2で示すように、所定の角度で設けられている。
【0018】
ここで、乗りかご11用の返し車22を構成する2つの滑車22a,22bは、図4で示すように、乗りかご11用の一対のガイドレール14の内側近傍に配置されている。すなわち、2つの滑車22a,22bが、一対のガイドレール14のレール14a又は14bの近くに位置しており、これらレール14a又は14bの対応するものに、片持ち梁構造で取り付けられている。このように、返し車22を2つの滑車22a,22bで構成し、これらを一対のガイドレール14の対応するレール14a,14b近くに配置したことにより、これら2つの滑車22a,22bを、レール14a,14bにより簡単な構造で強固に保持固定することができ、レール14a,14bへの負荷を小さくすることができる。
【0019】
釣合錘12側に設けられた2つの吊り車20,21は、前述のように、一方の吊り車20が釣合錘12内に設けられ、他方の吊り車21は、一方の吊り車20の上方に設けられている。
【0020】
釣合錘12は、実際には図5で示すように、釣合錘12の外郭を成すフレーム12aと、このフレーム12a内に設けられる錘部分12bとで構成されている。したがって、一方の吊り車20は、図示のようにフレーム12a内に設けられ、他方の吊り車21は、フレーム12a外において、吊り車20の上方に設けられている。
【0021】
ここで、釣合錘12のフレーム12a内に設けられた吊り車20の直径は、その上部に設けられたフレーム12a外の吊り車21の直径より大きく設定している。
【0022】
ロープ17は、図3で示すように、一端17aが昇降路13の頂部に固定されており、乗りかご11上の一方の吊り車18に巻き掛けられたのち昇降路頂部の返し車22の二つの滑車22a,22bに巻き掛けられ、下方に向かって折り返される。その後、乗りかご11上の他方の吊り車19に巻き掛けられたのち、昇降路頂部に設けられた中継用の返し車24に巻き掛けられ、釣合錘12に向って変向され、折り返される。その後、釣合錘12内に設けられた大径の一方の吊り車20に巻き掛けられたのち昇降路頂部の返し車23に巻き掛けられ、下方に向かって折り返される。さらに、釣合錘12上の比較的小径の他方の吊り車21に巻き掛けられたのち、ロープ17の他端17bは昇降路13の頂部に固定される。
【0023】
このように、図3の例では、これら吊り車18,19,20,21及び返し車22,24,23に順次交互にロープ17を巻き掛けたことにより、4:1のローピングが施される。
【0024】
ここで、釣合錘12内に設置される吊り車20を、その上部に設置する吊り車21より大径としたので、前述のように、中継用の返し車24を経たロープ17を吊り車20に巻き掛け、その後、昇降路頂部の返し車23に巻き掛け、さらに、釣合錘12上の他方の吊り車21に巻き掛けても、ロープ17は互いに接触することなく張設でき、2つの吊り車20,21の釣合錘12内外おける上下配置が可能となる。
【0025】
また、釣合錘12には、ロープ17をその長さ方向に駆動して、釣合錘12と乗りかご11を相互に昇降動作させる駆動シーブが設けられる。図3の例では、乗りかご11側からの中継に用いられる返し車24を経たロープ17が最初に巻き掛けられる釣合錘12内の吊り車20を駆動シーブとしている。この駆動シーブとなる吊り車20は、この釣合錘12内において扁平形のモータと一体的に構成され、このモータにより回転駆動される。
【0026】
ここで、吊り車20,21は動滑車であり、返し車23,24とともに4:1のローピングを構成している。この場合、釣合錘12側についてみると、吊り車20,21と返し車23,24が互いに同径であれば、ロープ17の固定端17bから最初にロープ17が巻き掛けられる吊り車21の回転速度をVとすると、次にロープ17が巻き掛けられる返し車23の回転速度は2Vとなり、さらに次にロープ17が巻き掛けられる吊り車20の回転速度は3Vとなる。すなわち、釣合錘12及び乗りかご11の昇降動作に伴い、釣合錘12に設けられた一方の吊り車20は、他方の吊り車21に比べ3倍の速度で回転することとなる。
【0027】
但し、この実施の形態では、釣合錘12内に設けられた駆動シーブとなる吊り車20は、その上部のフレーム外に設置されたそらせシーブとなる吊り車21より大径に形成されているので、径の大きさにもよるが、上述した同径の場合のように、他方の吊り車21に比べ3倍の速度で回転することはない。それでも、駆動シーブとなる吊り車20直径を、そらせシーブとなる吊り車21の直径の3倍未満にすれば、駆動シーブとなる吊り車20は、そらせシーブとなる吊り車21より高速で回転することになる。このように高速回転となる場合、必要とする回転トルクは少なくなる。
【0028】
一般にモータは、発生トルクを増大させるためには、大きな電流を流さなければならず、大形化は避けられない。これに対し、回転速度の高速化は、入力パルス数を増やすことなどにより容易に対応でき、モータ自体の大形化を必要としない。したがって、駆動シーブである吊り車20を駆動するモータは、低トルク化により小形に構成でき、釣合錘12への搭載に適した構造とすることができる。
【0029】
このように、釣合錘12内に駆動シーブとなる吊り車20とともに搭載される駆動モータを小形化でき、釣合錘12内への設置も容易となる、このため、各機器の配置構成をより一層合理化でき、しかも十分な昇降駆動力を得ることができる。
【0030】
また、2つの吊り車20,21のいずれか一方を、釣合錘12のフレーム12a内に設け、他方をそのフレーム12a外の上部に設けた上下配置としたことにより、これら2つの吊り車20,21が釣合錘12の幅方向中央部に配置される。したがって、釣合錘12が重心吊りされることとなり、スムースな昇降が可能となる。さらに釣合錘12の幅寸法や、或いは厚さ寸法を増大することなく、エレベータシステムを構成することができる。
【0031】
上記実施の形態では、乗りかご11用の返し車22を2つの滑車22a,22bで構成しているが、図6で示すように1つの滑車により返し車22を構成してもよい。このように、返し車22を1つの滑車とすると、昇降路13の頂部における構成を簡素化できる効果が生じる。
【0032】
次に、乗りかご11側の吊り構造を説明する、上記実施の形態では乗りかご11側の吊り車18,19を、乗りかご11の上面部に設けていたが、図7で示すように乗りかご11の側面下部に設けたり、図8で示すように乗りかご11の側面上部に設けたりしてもよい。
【0033】
ここで、直方体状の乗りかご11の前後方向(図2の左右方向)中間部には、図示しないが、乗りかご11の上面及び下面に、その横断方向(図2の上下方向)に沿って上梁及び下梁が設けられている。また、これら上梁と下梁の両端部間を連結する縦枠が乗りかご11の両側面に設けられている。図3及び図6で示した乗りかご11の上面に設けられる吊り車18,19は、実際にはこの上梁にそれぞれ回転自在に設けられている。
【0034】
また、図7で示した乗りかご11の側面下部の吊り車18,19(図7では吊り車18は乗りかご11に隠れて見えない)は、上述のように、乗りかご11の両側面に設けられた縦枠の下部にそれぞれ回転自在に設けられている。同様に、図8で示した乗りかご11の側面上部の吊り車18,19(図8でも吊り車18は乗りかご11に隠れて見えない)は、乗りかご11の両側面に設けられた縦枠の上部にそれぞれ回転自在に設けられている。
【0035】
このように吊り車18,19を乗りかご11の側面部分に設けると、乗りかご11の上梁部分を簡素化することができる。また、吊り車18,19を乗りかご11の側面部分に設けたことにより、乗りかご11に対するロープ17の巻き掛け作業を含む据え付け作業が容易になる。さらに図8の構成ではロープ17を短くすることができる。
【0036】
図9の例では、吊り車18,19をそれぞれ2つの滑車18a,18b及び19a,19bで構成し、これら2つの滑車18a,18b及び19a,19b乗りかご11の上面に配置し、図示しない上梁に取り付けている。すなわち、吊り車18,19は乗りかご11の奥行方向(図2の左右方向)に間隔を保って配置し、また各2つの滑車18a,18b及び19a,19bは、乗りかご11の幅方向(図2の上下方向)に間隔を保って配置している。
【0037】
この場合、ロープ17は、昇降路13の頂部の図示手前側に固定された一端17aから、吊り車18の一方の滑車18a及び他方の滑車18bに巻き掛けられたのち、昇降路13の頂部に設けられた返し車22に巻き掛けられ、再び乗りかご11上に向って折り返される。この返し車22は、昇降路13の一方の壁面に寄せて配置され、その回転面は乗りかご11の奥行き方向に沿っている。したがって、この返し車22によって折り返されたロープ17は、乗りかご11の奥行き方向に所定の間隔を保って折り返され、乗りかご11上の吊り車19の2つの滑車19b,19aに巻き掛けられたのち、釣合錘12との中継に用いられる返し車24に巻き掛けられる。
【0038】
図10は、上記乗りかご11側の吊り車18,19の滑車18a,18b及び19a,19bを乗りかご11の下面に配置し、図示しない下梁に取り付けている。その他の構造は、ロープの巻き掛け順を含め、図9と同じであり説明は省略する。
【0039】
図9及び図10のように構成すると、返し車22は、昇降路13の一方の壁面に寄せて配置され、その回転面は乗りかご11の奥行き方向に沿っているので、返し車22を、図2で示した一対のガイドレール14の一方のレール14aの上端部に直接的に取り付けることができる。したがって、昇降路13の頂部に、返し車22用の梁を設ける必要はなくなり、昇降路13の頂部構造を簡素化することができる。
【0040】
図11で示す実施の形態は、これまで説明した実施の形態と同様に4:1のローピングを施しているが、釣合錘12に設けられた2つの吊り車20,21の配置が異なる。すなわち、2つの吊り車20,21は、それらの回転面が、直方体状をなす釣合錘12の幅方向に沿っているが、この釣合錘12内には、反らせシーブとなる吊り車21を設け、この吊り車21の上方で釣合錘12のフレーム12a外には、扁平な駆動モータと一体的に構成された駆動シーブとなる吊り車20を設けている。この場合も、釣合錘12のフレーム12a内に設けられる吊り車21を、フレーム外の吊り車20より大径とする。
【0041】
ロープ17は、図11で示すように、一端17aが昇降路13の頂部に固定されており、乗りかご11上の一方の吊り車18に巻き掛けられたのち昇降路頂部の返し車22の二つの滑車22a,22bに巻き掛けられ、下方に向かって折り返される。その後、乗りかご11上の他方の吊り車19に巻き掛けられたのち、昇降路頂部に設けられた中継用の返し車24に巻き掛けられ、釣合錘12に向って変向され、折り返される。この返し車24を経たロープ17は、釣合錘12に配置された2つの吊り車20,21のうち、まず、図示フレーム12a外の上部に設置された比較的小径の駆動シーブとなる吊り車20に巻き掛けられる。この後、昇降路13の頂部に設けられた返し車23に巻き掛けられて、再び釣合錘12に向かって折り返される。この返し車23に巻き掛けられたロープ17は、釣合錘12のフレーム12a内に設置された比較的大径のそらせシーブとなる吊り車21に巻き掛けられ、こののち、その端部17bは昇降路13の頂部に固定される。
【0042】
この場合も、吊り車20,21は動滑車であり、返し車23,24とともに4:1のローピングを構成しているため、吊り車20,21と返し車23,24が互いに同径であれば、ロープ17の固定端17bから最初にロープ17が巻き掛けられる吊り車21の回転速度をVとすると、駆動シーブとなる吊り車20の回転速度は3Vとなる。しかし、この実施の形態では、駆動シーブとなる吊り車20よりそらせシーブとなる吊り車21の方が大径なので、釣合錘12及び乗りかご11の昇降動作に伴い、駆動シーブである一方の吊り車20は、他方の吊り車21に比べ3倍より高速度で回転することとなり、高速回転となる分、必要とする回転トルクは少なくなる。したがって、駆動シーブである吊り車20を駆動するモータをより一層小形に構成でき、釣合錘12への搭載に適した構造とすることができる。
【0043】
また、2つの吊り車20,21のいずれか一方を、釣合錘12内に設け、他方をそのフレーム外の上部に設けた上下配置としたことにより、釣合錘12の重心吊りを可能とするとともに、その幅寸法や、或いは厚さ寸法を増大することなく、エレベータシステムを構成することができる。
【0044】
なお、図11では、乗りかご11用の返し車22を2つの滑車22a,22bで構成しているが、図6で示したように、1つの滑車によって返し車22を構成してもよい。また、乗りかご11側の吊り構造についても、図7乃至図10で説明した構造を同様に適用することができる。
【0045】
次に、図12及び図13で示す実施の形態を説明する。この実施の形態でも、釣合錘12に2つの吊り車20,21を設け、釣合錘12用の返し車23及び乗りかご11側からの中継用返し車24と共に4:1のローピングを施している。但し、2つの吊り車20,21は同径とする。また、このうち一方の吊り車20は、扁平な駆動モータと一体的に構成された駆動シーブとなるもので、その回転面が、直方体状をなす釣合錘12の幅方向に沿った状態で、釣合錘12のフレーム12a内に設けられる。
【0046】
これに対し、他方の吊り車21は反らせシーブとして用いられるもので、前記吊り車20の上方で、このフレーム12a外に設置される。この吊り車21の回転面は、図12で示すように、直方体状をなす釣合錘12の幅方向と交差した方向に沿って設けられる。
【0047】
その他の構成は、図2及び図3で説明したものと同じであり、説明は省略する。
【0048】
この場合、ロープ17は、図13で示すように、一端17aが昇降路13の頂部に固定されており、乗りかご11上の一方の吊り車18に巻き掛けられたのち昇降路頂部の返し車22の二つの滑車22a,22bに巻き掛けられ、下方に向かって折り返される。その後、乗りかご11上の他方の吊り車19に巻き掛けられたのち、昇降路頂部に設けられた中継用の返し車24に巻き掛けられ、釣合錘12に向って変向され、折り返される。この返し車24を経たロープ17は、釣合錘12に配置された2つの吊り車20,21のうち、まず、釣合錘12内に設置された駆動シーブとなる吊り車20に巻き掛けられる。この後、昇降路13の頂部に設けられた返し車23に巻き掛けられて、再び釣合錘12に向かって折り返される。この返し車23から折り返されたロープ17は、釣合錘12外の上部に設置されたそらせシーブとなる吊り車21に巻き掛けられ、こののち、その端部17bは昇降路13の頂部に固定される。
【0049】
この場合も、吊り車20,21は動滑車であり、返し車23,24とともに4:1のローピングを構成している。また、吊り車20,21と返し車23,24とが互いに同径であるため、ロープ17の固定端17bから最初にロープ17が巻き掛けられる吊り車21の回転速度がVであれば、駆動シーブとなる吊り車20の回転速度は3Vとなる。すなわち、釣合錘12及び乗りかご11の昇降動作に伴い、釣合錘12に設けられた一方の吊り車20は、他方の吊り車21に比べ3倍の速度で回転することとなる。言い換えると、駆動シーブである吊り車20は、釣合錘12の昇降速度に対して3倍の速度で回転させる必要がある。しかし、高速回転となる分、必要とする回転トルクは少なくなる。したがって、駆動シーブである吊り車20を駆動するモータを小形に構成でき、釣合錘12への搭載に適した構造とすることができる。
【0050】
また、釣合錘12に設けた2つの吊り車20,21は互いに同径であり、しかも、これらを上下に配置しているが、2つの吊り車20,21の回転面が、それらの上方から見て互いに交差する角度関係で設置したので、上述した順序でロープ17を掛けまわしても、このロープが互いに接触することはない。
【0051】
さらに、2つの吊り車20,21のいずれか一方を釣合錘12内に設け、他方をそのフレーム外の上部に設けた上下配置としたことにより、釣合錘12の重心吊りを可能とするとともに、その幅寸法や、或いは厚さ寸法を増大することなく、エレベータシステムを構成することができる。
【0052】
なお、図13では、乗りかご11用の返し車22を2つの滑車22a,22bで構成しているが、図6で示したように、1つの滑車によって返し車22を構成してもよい。また、乗りかご11側の吊り構造についても、図7乃至図10で説明した構造を同様に適用することができる。
【0053】
なお、図示しないが、釣合錘12用の返し車23の他に、もう一つの返し車を昇降路13の頂部に設け、釣合錘12に設けたそらせシーブとなる吊り車21を経たロープ17をこの追加された返し車に巻き掛けて釣合錘12側に再度折り返し、このロープ17の端部17bを釣合錘12上に固定することで、5:1ローピングを施してもよい。この場合、釣合錘12における2つの吊り車20,21の関係は、図3、図11、図13のいずれでもよい。もちろん、乗りかご11側についても、上述した釣合錘12側に合わせ、返し車22の他に、もう一つの返し車を昇降路13の頂部に設け、乗りかご11に設けた吊り車18を経たロープ17をこの追加された返し車に巻き掛けて釣合錘12側に再度折り返し、このロープ17の端部17aを乗りかご11上に固定することで、5:1ローピングを施す。
【0054】
このように上述した各実施の形態では、釣合錘12に設けられる2つの吊り車20,21を、釣合錘12の内外に、上下に配置したので、釣合錘12の重心吊りが可能であり、しかも、釣合錘12の幅や厚さを増大させることなくN:1(Nは4以上の整数)のローピングが可能となる。また、N:1のローピングを施し、乗りかご側からの中継に用いられる返し車を経たロープが最初に巻き掛けられる釣合錘側の吊り車を、釣合錘上に設けられた駆動モータにより回転駆動される駆動シーブとしたので、駆動モータを高速回転による低トルク仕様により小形化することができ、釣合錘への搭載に適した構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明によるエレベータシステムの一実施の形態を説明する正面図である。
【図2】図1の実施の形態の機器配置を示す平面図である。
【図3】図1の実施の形態におけるローピングを説明する斜視図である。
【図4】図1の実施の形態における乗りかご用返し車を構成する2つの滑車とこれを支持するガイドレールとの関係を示す部分図である。
【図5】図1の実施の形態における釣合錘とつり車との関係を示す正面図である。
【図6】図1で示した実施の形態における乗りかご用返し車を1つの滑車で構成した場合の斜視図である。
【図7】図1で示した実施の形態における乗りかご用吊り車を乗りかごの側面下部に設けた場合の斜視図である。
【図8】図1で示した実施の形態における乗りかご用吊り車を乗りかごの側面上部に設けた場合の斜視図である。
【図9】図1で示した実施の形態における乗りかご用吊り車を乗りかごの上面に設けた場合の斜視図である。
【図10】図1で示した実施の形態における乗りかご用吊り車を乗りかごの下面に設けた場合の斜視図である。
【図11】そらせシーブとなる吊り車を釣合錘内に設けた実施の形態の機器配置を示す平面図である。
【図12】そらせシーブとなる吊り車を、釣合錘内に設けた駆動シーブとなる吊り車と同径にし、それらの回転面を互いに交差させた実施の形態の機器配置を示す平面図である。
【図13】図12で示した実施の形態におけるローピングを説明する斜視図である。
【符号の説明】
【0056】
11 乗りかご
12 釣合錘
13 昇降路
14 乗りかご用のガイドレール
15 釣合錘用のガイドレール
17 ロープ
18,19 乗りかご側の吊り車
20 駆動シーブとなる釣合錘側の吊り車
21 そらせシーブとなる釣合錘側の吊り車
22 乗りかご用の返し車
23 釣合錘用の返し車
24 中継用の返し車
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊り支持用のロープを、昇降路頂部に固定された乗りかご用の返し車、乗りかご側と釣合錘側との中継用の返し車、釣合錘用の返し車と、釣合錘に設けられた複数の吊り車、及び乗りかごに設けられた複数の吊り車とにそれぞれ巻き掛けて、N:1(N:4以上の整数)ローピングを施したエレベータシステムであって、
前記釣合錘は、この釣合錘に設けられたモータにより回転駆動される駆動シーブとなる吊り車と、そらせシーブとなる吊り車とを有し、
これら駆動シーブとなる吊り車及びそらせシーブとなる吊り車のいずれか一方を、前記釣合錘を構成するフレーム内に設置し、いずれか他方を前記フレーム外で、このフレーム内に設けられた吊り車の上方に設け、
前記乗りかご側からの中継用の返し車を経た前記ロープは、前記駆動シーブとなる吊り車、前記釣合錘用の返し車、前記そらせシーブとなる吊り車に順次交互に巻き掛けられており、
さらに、前記フレーム内の吊り車の直径を、その上部に設けられたフレーム外の吊り車の直径より大きく設定した
ことを特徴とするエレベータシステム。
【請求項2】
吊り支持用のロープを、昇降路頂部に固定された乗りかご用の返し車、乗りかご側と釣合錘側との中継用の返し車、釣合錘用の返し車と、釣合錘に設けられた2つの吊り車、及び乗りかごに設けられた2つの吊り車とにそれぞれ巻き掛けて、N:1(Nは4以上の整数)ローピングを施したエレベータシステムであって、
前記釣合錘は、この釣合錘に設けられたモータにより回転駆動される駆動シーブとなる吊り車と、そらせシーブとなる吊り車とを有し、
これら駆動シーブとなる吊り車及びそらせシーブとなる吊り車のいずれか一方を、前記釣合錘を構成するフレーム内に設置し、いずれか他方を前記フレーム外で、このフレーム内に設けられた吊り車の上方に設け、
前記乗りかご側からの中継用の返し車を経た前記ロープは、前記駆動シーブとなる吊り車、前記釣合錘用の返し車、前記そらせシーブとなる吊り車に順次交互に巻き掛けており、
さらに、前記フレーム内の吊り車の回転面と、その上部に設けられたフレーム外の吊り車の回転面とを、それらの上方から見て互いに交差する角度関係で設置した
ことを特徴とするエレベータシステム。
【請求項3】
前記駆動シーブとなる吊り車を、前記釣合錘を構成するフレーム内に設置し、前記そらせシーブとなる吊り車を、前記フレーム外で、このフレーム内に設けられた前記吊り車の上方に設置したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエレベータシステム。
【請求項4】
前記そらせシーブとなる吊り車を、前記釣合錘を構成するフレーム内に設置し、前記駆動シーブとなる吊り車を、前記フレーム外で、このフレーム内に設けられた前記吊り車の上方に設置したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエレベータシステム。
【請求項5】
乗りかごは直方体状を成し、その両側部には、この乗りかごを前記昇降路内において昇降案内する一対のガイドレールが縦方向に配設されており、前記乗りかごの一方の吊り車を経たロープを、乗りかごの他方の吊り車に向けて折り返す乗りかご用の返し車は、前記一対のガイドレールの内側近傍に配置された2つの滑車により構成され、これら2つの滑車は前記一対のガイドレールの対応するものに取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のエレベータシステム。
【請求項1】
吊り支持用のロープを、昇降路頂部に固定された乗りかご用の返し車、乗りかご側と釣合錘側との中継用の返し車、釣合錘用の返し車と、釣合錘に設けられた複数の吊り車、及び乗りかごに設けられた複数の吊り車とにそれぞれ巻き掛けて、N:1(N:4以上の整数)ローピングを施したエレベータシステムであって、
前記釣合錘は、この釣合錘に設けられたモータにより回転駆動される駆動シーブとなる吊り車と、そらせシーブとなる吊り車とを有し、
これら駆動シーブとなる吊り車及びそらせシーブとなる吊り車のいずれか一方を、前記釣合錘を構成するフレーム内に設置し、いずれか他方を前記フレーム外で、このフレーム内に設けられた吊り車の上方に設け、
前記乗りかご側からの中継用の返し車を経た前記ロープは、前記駆動シーブとなる吊り車、前記釣合錘用の返し車、前記そらせシーブとなる吊り車に順次交互に巻き掛けられており、
さらに、前記フレーム内の吊り車の直径を、その上部に設けられたフレーム外の吊り車の直径より大きく設定した
ことを特徴とするエレベータシステム。
【請求項2】
吊り支持用のロープを、昇降路頂部に固定された乗りかご用の返し車、乗りかご側と釣合錘側との中継用の返し車、釣合錘用の返し車と、釣合錘に設けられた2つの吊り車、及び乗りかごに設けられた2つの吊り車とにそれぞれ巻き掛けて、N:1(Nは4以上の整数)ローピングを施したエレベータシステムであって、
前記釣合錘は、この釣合錘に設けられたモータにより回転駆動される駆動シーブとなる吊り車と、そらせシーブとなる吊り車とを有し、
これら駆動シーブとなる吊り車及びそらせシーブとなる吊り車のいずれか一方を、前記釣合錘を構成するフレーム内に設置し、いずれか他方を前記フレーム外で、このフレーム内に設けられた吊り車の上方に設け、
前記乗りかご側からの中継用の返し車を経た前記ロープは、前記駆動シーブとなる吊り車、前記釣合錘用の返し車、前記そらせシーブとなる吊り車に順次交互に巻き掛けており、
さらに、前記フレーム内の吊り車の回転面と、その上部に設けられたフレーム外の吊り車の回転面とを、それらの上方から見て互いに交差する角度関係で設置した
ことを特徴とするエレベータシステム。
【請求項3】
前記駆動シーブとなる吊り車を、前記釣合錘を構成するフレーム内に設置し、前記そらせシーブとなる吊り車を、前記フレーム外で、このフレーム内に設けられた前記吊り車の上方に設置したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエレベータシステム。
【請求項4】
前記そらせシーブとなる吊り車を、前記釣合錘を構成するフレーム内に設置し、前記駆動シーブとなる吊り車を、前記フレーム外で、このフレーム内に設けられた前記吊り車の上方に設置したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエレベータシステム。
【請求項5】
乗りかごは直方体状を成し、その両側部には、この乗りかごを前記昇降路内において昇降案内する一対のガイドレールが縦方向に配設されており、前記乗りかごの一方の吊り車を経たロープを、乗りかごの他方の吊り車に向けて折り返す乗りかご用の返し車は、前記一対のガイドレールの内側近傍に配置された2つの滑車により構成され、これら2つの滑車は前記一対のガイドレールの対応するものに取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のエレベータシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−111460(P2010−111460A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−284281(P2008−284281)
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
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