エレベータ乗り場戸の手動開閉装置
【課題】この発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、鍵棒の操作で開放が許容された乗り場戸を手動で簡易に開放できるようにし、作業負荷を著しく軽減できるエレベータ乗り場戸の手動開閉装置を得る。
【解決手段】無端状のゴックドベルト10がケーシング2の下部側に幅方向に離間して配設された一対の従動プーリ9とケーシング2の上部側に配設された駆動プーリ7とに掛け渡されている。プーリ台車11は一対の従動プーリ9を回転可能に支持してケーシング2に上下動可能に取り付けられ、レバー18に連結された偏芯カム19をカム受け15に係合させることにより下降し、従動プーリ9がケーシング2の下端から所定距離延出した位置に保持される。フォーク25が先端側をケーシング2の下端から背面側に延在するようにケーシング2に取り付けられ、第1手回しハンドル21が駆動プーリ7を回転駆動可能に連結されている。
【解決手段】無端状のゴックドベルト10がケーシング2の下部側に幅方向に離間して配設された一対の従動プーリ9とケーシング2の上部側に配設された駆動プーリ7とに掛け渡されている。プーリ台車11は一対の従動プーリ9を回転可能に支持してケーシング2に上下動可能に取り付けられ、レバー18に連結された偏芯カム19をカム受け15に係合させることにより下降し、従動プーリ9がケーシング2の下端から所定距離延出した位置に保持される。フォーク25が先端側をケーシング2の下端から背面側に延在するようにケーシング2に取り付けられ、第1手回しハンドル21が駆動プーリ7を回転駆動可能に連結されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベータの故障時や保守点検時に、エレベータ乗り場戸を手動で簡易に開けることができる手動開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータ乗り場戸は、その頂部に立設されたドアハンガーに回動可能に軸支されたローラを、出入り口の上方に位置する壁の昇降路面に取り付けられたハンガーケースに水平に支持されたレールに係合させて、出入り口を開閉可能に配設されている。そして、乗り場戸の上部に枢着されたらラッチが、ハンガーケースに取り付けられた係合子に係合して閉塞状態の乗り場戸の開放を拘束している。さらに、係合子に係合しているラッチを揺動させて閉塞された乗り場戸の開放を許容するレバーが乗り場戸に揺動可能に枢着され、ラッチを揺動させるための鍵棒を差し込むための鍵穴が乗り場戸の上部にあけられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−162393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のエレベータにおいては、故障時や保守点検時に、作業者は、乗り場側から鍵棒を鍵穴から差し込み、鍵棒の操作によりラッチを揺動させて係合子との係合を解除し、乗り場戸の開放を許容する状態とする。ついで、作業者は、手のひらを広げて乗り場戸の表面に密着させて乗り場戸を開き、昇降路内に入って、作業を始めることになる。
このとき、ばねや重りの作用を利用して乗り場戸が自動的に閉まるようにするクローザが乗り場戸に装着されているので、作業者は、戸駆動装置の抵抗に加えて、クローザの力に打ち勝つ力、例えば40Kg〜60Kg以上の力で乗り場戸を開けることになり、作業負荷が多大となるという問題があった。
【0005】
この発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、鍵棒の操作で開放が許容された乗り場戸を手動で簡易に開放できるようにし、作業負荷を著しく軽減できるエレベータ乗り場戸の手動開閉装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエレベータ乗り場戸の手動開閉装置は、背面側を乗り場戸に向けて該乗り場戸の戸当たり側に近接して乗り場床面に配設され、該乗り場戸と係合して該乗り場戸を手動開閉するエレベータ乗り場戸の手動開閉装置であって、ケーシングと、上記ケーシングに固着されて該ケーシングの下端から背面側に延設され、その先端側が上記乗り場戸と乗り場敷居との間に挿入されるフォークと、上記ケーシング内の下端側に該ケーシングの幅方向に離間して、該ケーシングの幅方向と上下方向とに直交する軸周りに回転可能に配設された一対の従動プーリと、上記ケーシング内の上記一対の従動プーリより上部位置に、該ケーシングの幅方向と上下方向とに直交する軸周りに回転可能に該ケーシングに支持された駆動プーリと、上記一対の従動プーリと上記駆動プーリとに掛け渡されて循環走行可能に配設されたゴックドベルトと、上記一対の従動プーリを回転可能に支持して上記ケーシングに上下動可能に取り付けられた従動プーリ支持部材と、上記一対の従動プーリが上記ケーシングの下端から所定距離延出するように上記従動プーリ支持部材を下降・保持させ、上記フォークの先端側を上記乗り場戸の下端に押圧させる従動プーリ下降・保持手段と、上記駆動プーリの軸に動力伝達可能に連結されて上記ケーシングに装着され、該駆動プーリを回転駆動して上記ゴックドベルトを循環走行させる第1手回しハンドルと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、一対の従動プーリがケーシングの下端から所定距離延出するように従動プーリ支持部材を下降・保持させることにより、フォークの先端側が乗り場戸の下端に押圧され、手動開閉装置と乗り場戸とが移動可能に連結される。そこで、作業者は、第1手回しハンドルを操作して駆動プーリを回転駆動してゴックドベルトを循環走行させることにより、手動開閉装置が移動し、乗り場戸が開けられるので、作業者の作業負荷が著しく軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1に係るエレベータ乗り場戸の手動開閉装置を正面側から見た斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るエレベータ乗り場戸の手動開閉装置を背面側から見た斜視図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るエレベータ乗り場戸の手動開閉装置を乗り場戸に設置した状態を乗り場側から見た図である。
【図4】図3のIV−IV矢視断面図である。
【図5】図3のV−V矢視断面図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係るエレベータ乗り場戸の手動開閉装置を乗り場戸に設置する方法を説明する斜視図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係るエレベータ乗り場戸の手動開閉装置の操作方法を説明する斜視図である。
【図8】この発明の実施の形態2に係るエレベータ乗り場戸の手動開閉装置を示す一部破断斜視図である。
【図9】図8のIX−IX矢視断面図である。
【図10】図8のX−X矢視断面図である。
【図11】図8のXI−XI矢視断面図である。
【図12】この発明の実施の形態2に係るエレベータ乗り場戸の手動開閉装置の操作方法を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るエレベータ乗り場戸の手動開閉装置を正面側から見た斜視図、図2はこの発明の実施の形態1に係るエレベータ乗り場戸の手動開閉装置を背面側から見た斜視図、図3はこの発明の実施の形態1に係るエレベータ乗り場戸の手動開閉装置を乗り場戸に設置した状態を乗り場側から見た図、図4は図3のIV−IV矢視断面図、図5は図3のV−V矢視断面図、図6はこの発明の実施の形態1に係るエレベータ乗り場戸の手動開閉装置を乗り場戸に設置する方法を説明する斜視図、図7はこの発明の実施の形態1に係るエレベータ乗り場戸の手動開閉装置の操作方法を説明する斜視図である。なお、図3では、ケーシングのフロント板を省略している。
【0010】
図1および図2において、手動開閉装置1は、フロント板3を有するケーシング2と、ケーシング2内の上部側に配設された駆動プーリ7と、ケーシング2内の下部側に、ケーシング2の幅方向に離間して配設された一対の従動プーリ9と、駆動プーリ7と一対の従動プーリ9とに掛け渡された無端状のゴックドベルト10と、一対の従動プーリ9を回転可能に支持し、従動プーリ9をケーシング2の下端から出没可能にケーシング2に取り付けられた従動プーリ支持部材としてのプーリ台車11と、従動プーリ9をケーシング2の下端から延出させるようにプーリ台車11を下降・保持させる従動プーリ下降・保持手段と、表面側からフロント板3を挿通して駆動プーリ7に係合し、駆動プーリ7を回転駆動してゴックドベルト10を循環走行させる第1手回しハンドル21と、ケーシング2の幅方向に離間してケーシング2に固定され、ケーシング2の下端から下方に所定距離離反した位置からケーシング2の背面側に延在する一対のフォーク25と、を備えている。
【0011】
ケーシング2は、略直角三角形に成形されたフロント板3、フロント板3の斜辺と一方の隣辺とからフロント板3と直角に裏面側に折り曲げられて他方の隣辺の一端から他端に至るように延設された周壁4、周壁4の先端から直角に外方に折り曲げられてフロント板3の斜辺に沿って延設されたフランジ部5を有する。そして、保護部材としての保護ゴム6がフランジ部5の裏面に貼り付けられている。なお、フロント板3の他方の隣辺が、ケーシング2の下端となり、他方の隣辺の長さ方向がケーシング2の幅方向となり、フロント板3の裏面と直交する方向がケーシング2の奥行き方向となる。
【0012】
駆動プーリ7は、フロント板3の斜辺と一方の隣辺との交差部に近接して、フロント板3の裏面と直交する軸7a周りに回転可能にフロント板3の裏面側に取り付けられている。そして、貫通穴8が駆動プーリ7の軸心位置に一致するようにフロント板3に形成されている。
【0013】
プーリ台車11は、コ字状に曲げ成形され、ケーシング2の幅より僅かに短い長さを有する台車部12と、矩形平板をL字状に曲げて作製され、L字状の折り曲げ辺13aを台車部12の底部外面に固着して、起立辺13bの表面を台車部12のコ字状の側辺と平行にして台車部12に取り付けられた台車押え13と、を備えている。そして、一対の従動プーリ9が、台車部12の長さ方向の両端部で、台車部12のコ字状の一対の側辺に側辺と直交する軸周りに回転可能に支持されている。一対のガイド穴14が、起立辺13bの幅方向の中央位置に、起立辺13bの長さ方向に離間して、長軸が起立辺13bの長さ方向に一致する細長の穴形状に形成されている。カム受け15が、起立辺13bの外面の幅方向中央、かつ長さ方向の先端側に、台車部12側に凸の円弧状に突設されている。
【0014】
プーリ台車11は、起立辺13bの外面をフロント板3の裏面に向け、ガイド穴14にフロント板3の裏面に突設されたピン16のそれぞれを挿通し、ピン16の先端に抜け止め17を装着して、ケーシング2に取り付けられる。そして、ピン16は、フロント板3の他方の隣辺と直交する方向に離間して設置され、プーリ台車11は、ガイド穴14とピン16との嵌合により、フロント板3の他方の隣辺と直交する方向、すなわち上下方向に往復移動可能となっている。また、台車部12に支持された従動プーリ9が、ケーシング2の下端から所定距離出没するように、ガイド穴14の穴形状、およびガイド穴14とピン16との位置関係が設定されている。
【0015】
レバー18は、一端に突設されたピン18aをフロント板3に形成された貫通穴20に表面側から挿通され、偏芯カム19をピン18aの延出端に固着して、ケーシング2に取り付けられている。そして、レバー18のピン18a周りの回動により、偏芯カム19がカム受け15に係合し、プーリ台車11を下降させる。これにより、従動プーリ9が、ケーシング2の下端から所定距離延出される。ここで、レバー18、偏芯カム19、およびカム受け15が、従動プーリ下降・保持手段を構成している。
【0016】
第1手回しハンドル21は、断面四角形の軸部22とハンドル部23とが梃子部24の両端から反対方向に延設されて構成されている。第1手回しハンドル21は、軸部22をフロント板3の表面側から貫通穴8から差し込んで駆動プーリ7の軸心位置にあけられた断面四角形の嵌合穴7bに嵌着して取り付けられる。そして、ハンドル部23を持って、軸部22周りに回転させることにより、駆動プーリ7が回転駆動され、ゴックドベルト10が循環走行される。
【0017】
一対のフォーク25は、それぞれ、矩形平板を長さ方向の3箇所の位置で折り曲げ方向を交互に変えてそれぞれ90度折り曲げて作製されている。そして、一対のフォーク25は、台車押え13の起立辺13bを挟むように、一端側をフロント板3の裏面に固着して取り付けられる。各フォーク25は、一端をフロント板3の裏面に固着され、台車部12の上部側および背面側を通って、他端側がケーシング2の下端から下方に所定距離離反した位置からケーシング2の背面側に延在している。一対のフォーク25のケーシング2の背面側への延在部の上面は、一対の従動プーリ9の軸心を含む平面と平行な同一面となっている。また、架橋板26が一対のフォーク25の台車部12の背面側を通る部位の外面間に架設され、保護部材としての保護ゴム27が架橋板26の外面に貼り付けられている。なお、架橋板26の外面がフランジ部5の裏面と面一となっている。
【0018】
つぎに、乗り場戸装置の構造について図3乃至図7を参照しつつ説明する。
乗り場出入り口50が、かご(図示せず)が昇降する昇降路51と乗り場52とを連通するように、建物躯体であるコンクリート製の壁53に形成されている。そして、三方枠54が乗り場出入り口50に設置されている。ハンガーケース(図示せず)が乗り場出入り口50の昇降路51側の上部に取り付けられ、ドアレール(図示せず)が乗り場出入り口50の間口方向に延在するようにハンガーケースに固定されている。乗り場敷居55が、乗り場52の床面52aの乗り場出入り口50の昇降路51側に、間口方向に延在するように取り付けられている。乗り場敷居溝56が溝方向を間口方向として乗り場敷居55の上面に凹設されている。
【0019】
乗り場戸57は、表面を意匠面とする鋼板を断面コ字状に折り曲げて作製され、ガイドシュー58が乗り場戸57の下端から延出して、間口方向に離間して乗り場戸57に取り付けられている。そして、乗り場戸57は、その頂部に立設されたドアハンガー(図示せず)に回動可能に軸支されたローラ(図示せず)をドアレールに係合させて、かつガイドシュー58を乗り場敷居溝56内に収納させて、乗り場出入り口50を開閉可能に配設されている。
【0020】
そして、図示していないが、乗り場戸の上部に枢着されたラッチが、ハンガーケースに取り付けられた係合子に係合して閉塞状態の乗り場戸57の開放が拘束されている。さらに、係合子に係合しているラッチを揺動させて閉塞された乗り場戸57の開放を許容するレバー(図示せず)が乗り場戸57に揺動可能に枢着され、ラッチを揺動させるための鍵棒60を差し込むための鍵穴59が乗り場戸57の上部にあけられている。
【0021】
このように構成された手動開閉装置1を用いた、故障時や保守点検時における乗り場戸57の開閉操作について説明する。
【0022】
まず、作業者Mは、図6に示されるように、乗り場52にしゃがんで、フォーク25の先端側を乗り場戸57の戸当たり側の下端と乗り場敷居55との間に差し込む。これにより、手動開閉装置1が、保護ゴム6,27を乗り場戸57の表面に接し、一対のフォーク25をガイドシュー58を挟むように乗り場戸57の下端に差し込んで、配設される。
【0023】
ついで、作業者Mは、鍵棒60を鍵穴59に差し込んで、ラッチを揺動させて係合子との係合を解除し、乗り場戸57の開放を許容する状態とする。そして、作業者Mは、レバー18をピン18a周りに回動し、偏芯カム19をカム受け15に係合させる。これにより、プーリ台車11が降下・保持され、従動プーリ9がケーシング2の下端から所定量延出した状態に保持される。このとき、従動プーリ9がゴックドベルト10を介して乗り場52の床面52aに載置されているので、従動プーリ9のケーシング2の下端からの延出はケーシング2の上昇を意味する。このケーシング2の上昇にともない、図3乃至図5に示されるように、フォーク25の先端側が乗り場戸57の下端に下方から押付けられた状態となり、手動開閉装置1と乗り場戸57とが一体に移動可能に連結される。
【0024】
そこで、作業者Mは、図7に示されるように、軸部22をフロント板3の表面側から貫通穴8に差し込んで駆動プーリ7の軸心位置にあけられた嵌合穴7bに嵌着して、第1手回しハンドル21を取り付ける。そして、ハンドル部23を持って軸部22周りに回転させる。これにより、駆動プーリ7が回転駆動され、ゴックドベルト10が循環走行され、手動開閉装置1が乗り場戸57の開方向に移動する。この手動開閉装置1の移動力がフォーク25を介して乗り場戸57に伝達され、乗り場戸57が開放される。そこで、作業者Mは、昇降路51内に入り、所定の作業を行う。
【0025】
作業が終了すれば、作業者Mは、ハンドル部23を逆方向に回転させて、手動開閉装置1を乗り場戸57の閉方向に移動させる。そして、乗り場戸57が全閉状態となった後、レバー18をピン18a周りに逆方向に回動させ、偏芯カム19とカム受け15との係合を解除させる。ついで、手動開閉装置1を引き抜き、鍵棒60を引き抜いて、ラッチと係合子とを係合させて、一連の作業を終了する。
【0026】
このように、この実施の形態1によれば、ゴックドベルト10が駆動プーリ7と一対の従動プーリ9とに掛け渡され、第1手回しハンドル21の軸部22を駆動プーリ7の嵌合穴7bに嵌合させ、第1手回しハンドル21の操作により駆動プーリ7を回転駆動させてゴックドベルト10を循環走行させるように構成されている。さらに、フォーク25の先端側がケーシング2の下端から背面側に延在され、一対の従動プーリ9がケーシング2の下端から延出可能に構成されている。そこで、フォーク25の先端側を乗り場戸57の下端に進入させ、一対の従動プーリ9をケーシング2の下端から延出させることにより、フォーク25が乗り場戸57の下端に押圧され、手動開閉装置1と乗り場戸57とが移動可能に連結される。そして、作業者Mが第1手回しハンドル21を回すことにより、ゴックドベルト10が循環走行し、手動開閉装置1が移動して乗り場戸57を開閉できるので、作業負荷が著しく軽減される。
【0027】
保護ゴム6,27がケーシング2のフランジ部5およびフォーク25の乗り場戸57と相対する面に取り付けられているので、ケーシング2やフォーク25が乗り場戸57の表面である意匠面に直接当たることがなく、乗り場戸57の意匠面の損傷の発生を抑えることができる。
【0028】
実施の形態2.
図8はこの発明の実施の形態2に係るエレベータ乗り場戸の手動開閉装置を示す一部破断斜視図、図9は図8のIX−IX矢視断面図、図10は図8のX−X矢視断面図、図11は図8のXI−XI矢視断面図、図12はこの発明の実施の形態2に係るエレベータ乗り場戸の手動開閉装置の操作方法を説明する斜視図である。
【0029】
図8乃至図11において、アダプタ取付穴30がケーシング2のフロント板3に細長の穴形状に形成され、フロント板3の一方の隣辺に沿って延設された周壁4の部位の先端が外側に湾曲され、保護部材としての保護ゴム31が周壁4の湾曲部4aの内面に貼り付けられている。
【0030】
遠隔操作アダプタ32は、長さ方向と直交する断面がコ字状に作製され、かつ長さ方向の両端が閉じられた長尺の筐体33と、回転軸34aの軸心方向が筐体33の長さ方向および幅方向と直交するように筐体33内の一端側に回転可能に支持された第1歯車34と、回転軸35aの軸心方向が筐体33の長さ方向および幅方向と直交するように筐体33内の他端側に回転可能に支持された第2歯車35と、第1歯車34と第2歯車35とに掛け渡された無端状のチェーン36と、筐体33の他端から筐体33の長さ方向に延設された平板状の取付腕37と、回転軸34aの筐体33の断面コ字状の底部からの延出部に取り付けられた第2手回しハンドル38と、取付腕37に取り付けられた固定ハンドル41と、を備えている。なお、筐体33の断面コ字状の両側壁の相対する方向を幅方向とする。
【0031】
第2手回しハンドル38は、一端を回転軸34aの筐体33の底部からの延出部に固着され、回転軸34aと直交する方向に延在する梃子部39と、梃子部39の他端から回転軸34aと逆方向に延在するハンドル部40と、を有する。また、第2歯車35の回転軸35aの端部側が断面四角形に作製され、かつ筐体33の断面コ字状の開口から延在し、駆動プーリ7の嵌合穴7bに嵌合可能となっている。固定ハンドル41は、取付腕37に軸41a周りに回動可能に取り付けられ、ハンドル部41bが取付腕37から延出する軸41aの一端に固着され、固定片41cが取付腕37から延出する軸41aの他端に固着されている。固定片41cはアダプタ取付穴30に挿入可能な細長の外形形状に形成されている。また、固定ハンドル41の軸41aの軸心方向は、第1歯車34の回転軸34aおよび第2歯車35の回転軸35aの軸心方向と平行となっている。
【0032】
このように構成された遠隔操作アダプタ32は、回転軸35aの端部を貫通穴8から駆動プーリ7の嵌合穴7bに嵌合させ、固定片41cをアダプタ取付穴30に挿入した後、ハンドル部41bを回して、取付腕37と固定片41cとの間にフロント板3を加圧挟持して、フロント板3に固定状態に装着される。このとき、図10および図11に示されるように、筐体33と取付腕37とがフロント板3の表面に接し、遠隔操作アダプタ32がガタツキなくケーシング2に装着される。そして、遠隔操作アダプタ32は、ケーシング2から上方に延在している。
【0033】
また、筐体33の第2歯車35の収納領域の断面コ字状の一方の側壁が外側に湾曲されている。そして、遠隔操作アダプタ32がケーシング2に装着された際に、図10に示されるように、該湾曲部42がフロント板3と周壁4との角部に接するようになっている。
【0034】
筐体33の第1歯車34の収納領域の断面コ字状の両側壁が回転軸34aの軸心方向に延設されている。一方の側壁の先端が外側に湾曲され、保護部材としての保護ゴム44が該湾曲部43の内面に貼り付けられている。他方の側壁の先端が外側に90度曲げられ、保護部材としての保護ゴム46が90度曲げられた折り曲げ辺45の裏面に貼り付けられている。そして、遠隔操作アダプタ32がケーシング2に装着された際に、筐体33の長さ方向の上方から見て、湾曲部4a,43の内面が面一となり、フランジ部5と折り曲げ辺45の裏面が面一となるように、筐体33の両側壁の延設長さが設定されている。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
【0035】
このように構成された手動開閉装置1Aを用いた、故障時や保守点検時における乗り場戸の開放操作について説明する。
【0036】
まず、作業者Mは、乗り場52にしゃがんで、フォーク25の先端側を乗り場戸57の戸当たり側の下端と乗り場敷居55との間に差し込み、レバー18をピン18a周りに回動し、偏芯カム19をカム受け15に係合させる。これにより、フォーク25の先端側が乗り場戸57の下端に下方から押付けられた状態となる。また、保護ゴム6,27が乗り場戸57の表面に接し、保護ゴム31が乗り場戸57の戸当たり側の角部に接する。
【0037】
ついで、作業者Mは、回転軸35aの端部を貫通穴8から駆動プーリ7の嵌合穴7bに嵌合させ、固定片41cをアダプタ取付穴30に挿入し、その後ハンドル部41bを回して、固定片41cをフロント板3に強制的に乗り上げさせる。そこで、取付腕37とフロント板3とが締着される。これにより、遠隔操作アダプタ32が、ケーシング2から上方に延びて、ケーシング2に固定状態に装着される。そして、図10および図11に示されるように、筐体33と取付腕37とがフロント板3の表面に接し、湾曲部42がフロント板1と周壁4との角部に接し、遠隔操作アダプタ32のガタツキがなくなる。また、図9に示されるように、保護ゴム44が乗り場戸57の戸当たり側の角部に接し、保護ゴム46が乗り場戸57の表面に接する。
【0038】
ついで、作業者Mは、鍵棒60を鍵穴59に差し込んで、ラッチを揺動させて係合子との係合を解除し、乗り場戸57の開放を許容する状態とする。そして、図12に示されるように、ハンドル部40を持って回転軸34a周りに回転させる。これにより、第1歯車34が回転駆動される。そして、第1歯車34の回転トルクがチェーン36を介して第2歯車35に伝達され、第2歯車35が回転される。この第2歯車35の回転トルクが回転軸35aを介して駆動プーリ7に伝達され、駆動プーリ7が回転駆動される。これにより、ゴックドベルト10が循環走行され、手動開閉装置1Aが乗り場戸57の開方向に移動する。この手動開閉装置1Aの移動力がフォーク25および湾曲部4aを介して乗り場戸57に伝達され、乗り場戸57が開放される。そこで、作業者Mは、昇降路51内に入り、所定の作業を行う。
【0039】
作業が終了すれば、作業者Mは、ハンドル部40を逆方向に回転させて、手動開閉装置1Aを乗り場戸57の閉方向に移動させる。そして、乗り場戸57が全閉状態となった後、ハンドル部41bを回して、取付腕37とフロント板3との締着を解除し、遠隔操作アダプタ32を取り外す。ついで、レバー18をピン18a周りに逆方向に回動させ、偏芯カム19とカム受け15との係合を解除させる。ついで、手動開閉装置1Aを引き抜き、鍵棒60を引き抜いて、ラッチと係合子とを係合させて、一連の作業を終了する。
【0040】
このように実施の形態2によれば、遠隔操作アダプタ32は、第1歯車34が長尺の筐体33の一端側に配設され、第2歯車35が筐体33の他端側に配設され、チェーン36が第1歯車34と第2歯車35とに掛け渡され、第2手回しハンドル38が第1歯車34の回転軸34aに連結されている。そして、遠隔操作アダプタ32が、第2歯車35の回転軸35aの端部を駆動プーリ7の嵌合穴7bに嵌合させて、ケーシング2から上方に延在するようにケーシング2に装着可能に構成されている。そこで、作業者Mは、立った姿勢で第2手回しハンドル38を操作して乗り場戸57をあけることができるので、作業負荷をさらに軽減できる。
【0041】
保護ゴム6,27,31がケーシング2のフランジ部5、フォーク25および湾曲部4aに取り付けられているので、ケーシング2およびフォーク25が乗り場戸57の表面である意匠面に直接当たることがなく、乗り場戸57の意匠面の損傷の発生を抑えることができる。
保護ゴム44,46が筐体33の湾曲部43および折り曲げ辺45に取り付けられているので、筐体33が乗り場戸57の表面である意匠面に直接当たることがなく、乗り場戸57の意匠面の損傷の発生を抑えることができる。また、筐体33の上部側が保護ゴム44,46を介して乗り場戸57に支持されているので、筐体33の上部側が安定し、第2手回しハンドル38の操作がし易くなる。
【0042】
ここで、実施の形態2では、固定ハンドル41により取付腕37をフロント板3に締着固定するものとしているが、フロント板の表面にボルトを立設し、取付腕の貫通穴を形成し、貫通穴に挿通されたボルトにナットを締着して、取付板をフロント板に締着固定してもよい。
【0043】
なお、上記各実施の形態では、手動開閉装置を操作して乗り場戸を閉じるものとして説明しているが、昇降路内での作業が終了した後、偏芯カムとカム受けとの係合を解除して手動開閉装置を引き抜き、クローザにより乗り場戸を閉じるようにしてもよい。
また、上記各実施の形態では、一対の従動プーリが離間して台車部に回転自在に支持されているものとしているが、台車部に支持される従動プーリの数は2個の限定されるものではなく、3個以上であってもよい。
【0044】
また、上記各実施の形態では、ゴックドベルトの循環走行路が略三角形に構成されているものとしているが、ゴックドベルトの循環走行路は略三角形に限定されるものではない。そして、駆動プーリと一対の従動プーリとの間に従動プーリを配設することにより、循環走行路の形状を任意に設定することができる。また、駆動プーリは、一対の従動プーリより上部に位置していればよい。
また、上記各実施の形態では、ケーシングのフロント板が略三角形に構成されているものとしているが、フロント板の形状はゴックドベルトの循環走行路の形状に合わせて適宜設定すればよい。
【0045】
また、上記各実施の形態では、ケーシングの背面側が開口されているものとしているが、ケーシングの背面側を塞口してもよい。この場合、フォークをケーシングの背面側を塞口する背面板に固着すれば、フォークの形状を簡略化できる。
また、上記各実施の形態では、手回しハンドルの回転トルクを駆動プーリに直接伝達するものとしているが、手回しハンドルの回転トルクを輪列を介して駆動プーリに伝達するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1,1A 手動開閉装置、2 ケーシング、6 保護ゴム(保護部材)、7 駆動プーリ、7a 軸、9 従動プーリ、10 ゴックドベルト、11 プーリ台車(従動プーリ支持部材)、15 カム受け(従動プーリ下降・保持手段)、18 レバー(従動プーリ下降・保持手段)、19 偏芯カム(従動プーリ下降・保持手段)、21 第1手回しハンドル、25 フォーク、27 保護ゴム(保護部材)、32 遠隔操作アダプタ、33 筐体、34 第1歯車、35 第2歯車、36 チェーン、38 第2手回しハンドル、44 保護ゴム(保護部材)、46 保護ゴム(保護部材)、52 乗り場、52a 乗り場床面、55 乗り場敷居、57 乗り場戸。
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベータの故障時や保守点検時に、エレベータ乗り場戸を手動で簡易に開けることができる手動開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータ乗り場戸は、その頂部に立設されたドアハンガーに回動可能に軸支されたローラを、出入り口の上方に位置する壁の昇降路面に取り付けられたハンガーケースに水平に支持されたレールに係合させて、出入り口を開閉可能に配設されている。そして、乗り場戸の上部に枢着されたらラッチが、ハンガーケースに取り付けられた係合子に係合して閉塞状態の乗り場戸の開放を拘束している。さらに、係合子に係合しているラッチを揺動させて閉塞された乗り場戸の開放を許容するレバーが乗り場戸に揺動可能に枢着され、ラッチを揺動させるための鍵棒を差し込むための鍵穴が乗り場戸の上部にあけられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−162393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のエレベータにおいては、故障時や保守点検時に、作業者は、乗り場側から鍵棒を鍵穴から差し込み、鍵棒の操作によりラッチを揺動させて係合子との係合を解除し、乗り場戸の開放を許容する状態とする。ついで、作業者は、手のひらを広げて乗り場戸の表面に密着させて乗り場戸を開き、昇降路内に入って、作業を始めることになる。
このとき、ばねや重りの作用を利用して乗り場戸が自動的に閉まるようにするクローザが乗り場戸に装着されているので、作業者は、戸駆動装置の抵抗に加えて、クローザの力に打ち勝つ力、例えば40Kg〜60Kg以上の力で乗り場戸を開けることになり、作業負荷が多大となるという問題があった。
【0005】
この発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、鍵棒の操作で開放が許容された乗り場戸を手動で簡易に開放できるようにし、作業負荷を著しく軽減できるエレベータ乗り場戸の手動開閉装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエレベータ乗り場戸の手動開閉装置は、背面側を乗り場戸に向けて該乗り場戸の戸当たり側に近接して乗り場床面に配設され、該乗り場戸と係合して該乗り場戸を手動開閉するエレベータ乗り場戸の手動開閉装置であって、ケーシングと、上記ケーシングに固着されて該ケーシングの下端から背面側に延設され、その先端側が上記乗り場戸と乗り場敷居との間に挿入されるフォークと、上記ケーシング内の下端側に該ケーシングの幅方向に離間して、該ケーシングの幅方向と上下方向とに直交する軸周りに回転可能に配設された一対の従動プーリと、上記ケーシング内の上記一対の従動プーリより上部位置に、該ケーシングの幅方向と上下方向とに直交する軸周りに回転可能に該ケーシングに支持された駆動プーリと、上記一対の従動プーリと上記駆動プーリとに掛け渡されて循環走行可能に配設されたゴックドベルトと、上記一対の従動プーリを回転可能に支持して上記ケーシングに上下動可能に取り付けられた従動プーリ支持部材と、上記一対の従動プーリが上記ケーシングの下端から所定距離延出するように上記従動プーリ支持部材を下降・保持させ、上記フォークの先端側を上記乗り場戸の下端に押圧させる従動プーリ下降・保持手段と、上記駆動プーリの軸に動力伝達可能に連結されて上記ケーシングに装着され、該駆動プーリを回転駆動して上記ゴックドベルトを循環走行させる第1手回しハンドルと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、一対の従動プーリがケーシングの下端から所定距離延出するように従動プーリ支持部材を下降・保持させることにより、フォークの先端側が乗り場戸の下端に押圧され、手動開閉装置と乗り場戸とが移動可能に連結される。そこで、作業者は、第1手回しハンドルを操作して駆動プーリを回転駆動してゴックドベルトを循環走行させることにより、手動開閉装置が移動し、乗り場戸が開けられるので、作業者の作業負荷が著しく軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1に係るエレベータ乗り場戸の手動開閉装置を正面側から見た斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るエレベータ乗り場戸の手動開閉装置を背面側から見た斜視図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るエレベータ乗り場戸の手動開閉装置を乗り場戸に設置した状態を乗り場側から見た図である。
【図4】図3のIV−IV矢視断面図である。
【図5】図3のV−V矢視断面図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係るエレベータ乗り場戸の手動開閉装置を乗り場戸に設置する方法を説明する斜視図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係るエレベータ乗り場戸の手動開閉装置の操作方法を説明する斜視図である。
【図8】この発明の実施の形態2に係るエレベータ乗り場戸の手動開閉装置を示す一部破断斜視図である。
【図9】図8のIX−IX矢視断面図である。
【図10】図8のX−X矢視断面図である。
【図11】図8のXI−XI矢視断面図である。
【図12】この発明の実施の形態2に係るエレベータ乗り場戸の手動開閉装置の操作方法を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るエレベータ乗り場戸の手動開閉装置を正面側から見た斜視図、図2はこの発明の実施の形態1に係るエレベータ乗り場戸の手動開閉装置を背面側から見た斜視図、図3はこの発明の実施の形態1に係るエレベータ乗り場戸の手動開閉装置を乗り場戸に設置した状態を乗り場側から見た図、図4は図3のIV−IV矢視断面図、図5は図3のV−V矢視断面図、図6はこの発明の実施の形態1に係るエレベータ乗り場戸の手動開閉装置を乗り場戸に設置する方法を説明する斜視図、図7はこの発明の実施の形態1に係るエレベータ乗り場戸の手動開閉装置の操作方法を説明する斜視図である。なお、図3では、ケーシングのフロント板を省略している。
【0010】
図1および図2において、手動開閉装置1は、フロント板3を有するケーシング2と、ケーシング2内の上部側に配設された駆動プーリ7と、ケーシング2内の下部側に、ケーシング2の幅方向に離間して配設された一対の従動プーリ9と、駆動プーリ7と一対の従動プーリ9とに掛け渡された無端状のゴックドベルト10と、一対の従動プーリ9を回転可能に支持し、従動プーリ9をケーシング2の下端から出没可能にケーシング2に取り付けられた従動プーリ支持部材としてのプーリ台車11と、従動プーリ9をケーシング2の下端から延出させるようにプーリ台車11を下降・保持させる従動プーリ下降・保持手段と、表面側からフロント板3を挿通して駆動プーリ7に係合し、駆動プーリ7を回転駆動してゴックドベルト10を循環走行させる第1手回しハンドル21と、ケーシング2の幅方向に離間してケーシング2に固定され、ケーシング2の下端から下方に所定距離離反した位置からケーシング2の背面側に延在する一対のフォーク25と、を備えている。
【0011】
ケーシング2は、略直角三角形に成形されたフロント板3、フロント板3の斜辺と一方の隣辺とからフロント板3と直角に裏面側に折り曲げられて他方の隣辺の一端から他端に至るように延設された周壁4、周壁4の先端から直角に外方に折り曲げられてフロント板3の斜辺に沿って延設されたフランジ部5を有する。そして、保護部材としての保護ゴム6がフランジ部5の裏面に貼り付けられている。なお、フロント板3の他方の隣辺が、ケーシング2の下端となり、他方の隣辺の長さ方向がケーシング2の幅方向となり、フロント板3の裏面と直交する方向がケーシング2の奥行き方向となる。
【0012】
駆動プーリ7は、フロント板3の斜辺と一方の隣辺との交差部に近接して、フロント板3の裏面と直交する軸7a周りに回転可能にフロント板3の裏面側に取り付けられている。そして、貫通穴8が駆動プーリ7の軸心位置に一致するようにフロント板3に形成されている。
【0013】
プーリ台車11は、コ字状に曲げ成形され、ケーシング2の幅より僅かに短い長さを有する台車部12と、矩形平板をL字状に曲げて作製され、L字状の折り曲げ辺13aを台車部12の底部外面に固着して、起立辺13bの表面を台車部12のコ字状の側辺と平行にして台車部12に取り付けられた台車押え13と、を備えている。そして、一対の従動プーリ9が、台車部12の長さ方向の両端部で、台車部12のコ字状の一対の側辺に側辺と直交する軸周りに回転可能に支持されている。一対のガイド穴14が、起立辺13bの幅方向の中央位置に、起立辺13bの長さ方向に離間して、長軸が起立辺13bの長さ方向に一致する細長の穴形状に形成されている。カム受け15が、起立辺13bの外面の幅方向中央、かつ長さ方向の先端側に、台車部12側に凸の円弧状に突設されている。
【0014】
プーリ台車11は、起立辺13bの外面をフロント板3の裏面に向け、ガイド穴14にフロント板3の裏面に突設されたピン16のそれぞれを挿通し、ピン16の先端に抜け止め17を装着して、ケーシング2に取り付けられる。そして、ピン16は、フロント板3の他方の隣辺と直交する方向に離間して設置され、プーリ台車11は、ガイド穴14とピン16との嵌合により、フロント板3の他方の隣辺と直交する方向、すなわち上下方向に往復移動可能となっている。また、台車部12に支持された従動プーリ9が、ケーシング2の下端から所定距離出没するように、ガイド穴14の穴形状、およびガイド穴14とピン16との位置関係が設定されている。
【0015】
レバー18は、一端に突設されたピン18aをフロント板3に形成された貫通穴20に表面側から挿通され、偏芯カム19をピン18aの延出端に固着して、ケーシング2に取り付けられている。そして、レバー18のピン18a周りの回動により、偏芯カム19がカム受け15に係合し、プーリ台車11を下降させる。これにより、従動プーリ9が、ケーシング2の下端から所定距離延出される。ここで、レバー18、偏芯カム19、およびカム受け15が、従動プーリ下降・保持手段を構成している。
【0016】
第1手回しハンドル21は、断面四角形の軸部22とハンドル部23とが梃子部24の両端から反対方向に延設されて構成されている。第1手回しハンドル21は、軸部22をフロント板3の表面側から貫通穴8から差し込んで駆動プーリ7の軸心位置にあけられた断面四角形の嵌合穴7bに嵌着して取り付けられる。そして、ハンドル部23を持って、軸部22周りに回転させることにより、駆動プーリ7が回転駆動され、ゴックドベルト10が循環走行される。
【0017】
一対のフォーク25は、それぞれ、矩形平板を長さ方向の3箇所の位置で折り曲げ方向を交互に変えてそれぞれ90度折り曲げて作製されている。そして、一対のフォーク25は、台車押え13の起立辺13bを挟むように、一端側をフロント板3の裏面に固着して取り付けられる。各フォーク25は、一端をフロント板3の裏面に固着され、台車部12の上部側および背面側を通って、他端側がケーシング2の下端から下方に所定距離離反した位置からケーシング2の背面側に延在している。一対のフォーク25のケーシング2の背面側への延在部の上面は、一対の従動プーリ9の軸心を含む平面と平行な同一面となっている。また、架橋板26が一対のフォーク25の台車部12の背面側を通る部位の外面間に架設され、保護部材としての保護ゴム27が架橋板26の外面に貼り付けられている。なお、架橋板26の外面がフランジ部5の裏面と面一となっている。
【0018】
つぎに、乗り場戸装置の構造について図3乃至図7を参照しつつ説明する。
乗り場出入り口50が、かご(図示せず)が昇降する昇降路51と乗り場52とを連通するように、建物躯体であるコンクリート製の壁53に形成されている。そして、三方枠54が乗り場出入り口50に設置されている。ハンガーケース(図示せず)が乗り場出入り口50の昇降路51側の上部に取り付けられ、ドアレール(図示せず)が乗り場出入り口50の間口方向に延在するようにハンガーケースに固定されている。乗り場敷居55が、乗り場52の床面52aの乗り場出入り口50の昇降路51側に、間口方向に延在するように取り付けられている。乗り場敷居溝56が溝方向を間口方向として乗り場敷居55の上面に凹設されている。
【0019】
乗り場戸57は、表面を意匠面とする鋼板を断面コ字状に折り曲げて作製され、ガイドシュー58が乗り場戸57の下端から延出して、間口方向に離間して乗り場戸57に取り付けられている。そして、乗り場戸57は、その頂部に立設されたドアハンガー(図示せず)に回動可能に軸支されたローラ(図示せず)をドアレールに係合させて、かつガイドシュー58を乗り場敷居溝56内に収納させて、乗り場出入り口50を開閉可能に配設されている。
【0020】
そして、図示していないが、乗り場戸の上部に枢着されたラッチが、ハンガーケースに取り付けられた係合子に係合して閉塞状態の乗り場戸57の開放が拘束されている。さらに、係合子に係合しているラッチを揺動させて閉塞された乗り場戸57の開放を許容するレバー(図示せず)が乗り場戸57に揺動可能に枢着され、ラッチを揺動させるための鍵棒60を差し込むための鍵穴59が乗り場戸57の上部にあけられている。
【0021】
このように構成された手動開閉装置1を用いた、故障時や保守点検時における乗り場戸57の開閉操作について説明する。
【0022】
まず、作業者Mは、図6に示されるように、乗り場52にしゃがんで、フォーク25の先端側を乗り場戸57の戸当たり側の下端と乗り場敷居55との間に差し込む。これにより、手動開閉装置1が、保護ゴム6,27を乗り場戸57の表面に接し、一対のフォーク25をガイドシュー58を挟むように乗り場戸57の下端に差し込んで、配設される。
【0023】
ついで、作業者Mは、鍵棒60を鍵穴59に差し込んで、ラッチを揺動させて係合子との係合を解除し、乗り場戸57の開放を許容する状態とする。そして、作業者Mは、レバー18をピン18a周りに回動し、偏芯カム19をカム受け15に係合させる。これにより、プーリ台車11が降下・保持され、従動プーリ9がケーシング2の下端から所定量延出した状態に保持される。このとき、従動プーリ9がゴックドベルト10を介して乗り場52の床面52aに載置されているので、従動プーリ9のケーシング2の下端からの延出はケーシング2の上昇を意味する。このケーシング2の上昇にともない、図3乃至図5に示されるように、フォーク25の先端側が乗り場戸57の下端に下方から押付けられた状態となり、手動開閉装置1と乗り場戸57とが一体に移動可能に連結される。
【0024】
そこで、作業者Mは、図7に示されるように、軸部22をフロント板3の表面側から貫通穴8に差し込んで駆動プーリ7の軸心位置にあけられた嵌合穴7bに嵌着して、第1手回しハンドル21を取り付ける。そして、ハンドル部23を持って軸部22周りに回転させる。これにより、駆動プーリ7が回転駆動され、ゴックドベルト10が循環走行され、手動開閉装置1が乗り場戸57の開方向に移動する。この手動開閉装置1の移動力がフォーク25を介して乗り場戸57に伝達され、乗り場戸57が開放される。そこで、作業者Mは、昇降路51内に入り、所定の作業を行う。
【0025】
作業が終了すれば、作業者Mは、ハンドル部23を逆方向に回転させて、手動開閉装置1を乗り場戸57の閉方向に移動させる。そして、乗り場戸57が全閉状態となった後、レバー18をピン18a周りに逆方向に回動させ、偏芯カム19とカム受け15との係合を解除させる。ついで、手動開閉装置1を引き抜き、鍵棒60を引き抜いて、ラッチと係合子とを係合させて、一連の作業を終了する。
【0026】
このように、この実施の形態1によれば、ゴックドベルト10が駆動プーリ7と一対の従動プーリ9とに掛け渡され、第1手回しハンドル21の軸部22を駆動プーリ7の嵌合穴7bに嵌合させ、第1手回しハンドル21の操作により駆動プーリ7を回転駆動させてゴックドベルト10を循環走行させるように構成されている。さらに、フォーク25の先端側がケーシング2の下端から背面側に延在され、一対の従動プーリ9がケーシング2の下端から延出可能に構成されている。そこで、フォーク25の先端側を乗り場戸57の下端に進入させ、一対の従動プーリ9をケーシング2の下端から延出させることにより、フォーク25が乗り場戸57の下端に押圧され、手動開閉装置1と乗り場戸57とが移動可能に連結される。そして、作業者Mが第1手回しハンドル21を回すことにより、ゴックドベルト10が循環走行し、手動開閉装置1が移動して乗り場戸57を開閉できるので、作業負荷が著しく軽減される。
【0027】
保護ゴム6,27がケーシング2のフランジ部5およびフォーク25の乗り場戸57と相対する面に取り付けられているので、ケーシング2やフォーク25が乗り場戸57の表面である意匠面に直接当たることがなく、乗り場戸57の意匠面の損傷の発生を抑えることができる。
【0028】
実施の形態2.
図8はこの発明の実施の形態2に係るエレベータ乗り場戸の手動開閉装置を示す一部破断斜視図、図9は図8のIX−IX矢視断面図、図10は図8のX−X矢視断面図、図11は図8のXI−XI矢視断面図、図12はこの発明の実施の形態2に係るエレベータ乗り場戸の手動開閉装置の操作方法を説明する斜視図である。
【0029】
図8乃至図11において、アダプタ取付穴30がケーシング2のフロント板3に細長の穴形状に形成され、フロント板3の一方の隣辺に沿って延設された周壁4の部位の先端が外側に湾曲され、保護部材としての保護ゴム31が周壁4の湾曲部4aの内面に貼り付けられている。
【0030】
遠隔操作アダプタ32は、長さ方向と直交する断面がコ字状に作製され、かつ長さ方向の両端が閉じられた長尺の筐体33と、回転軸34aの軸心方向が筐体33の長さ方向および幅方向と直交するように筐体33内の一端側に回転可能に支持された第1歯車34と、回転軸35aの軸心方向が筐体33の長さ方向および幅方向と直交するように筐体33内の他端側に回転可能に支持された第2歯車35と、第1歯車34と第2歯車35とに掛け渡された無端状のチェーン36と、筐体33の他端から筐体33の長さ方向に延設された平板状の取付腕37と、回転軸34aの筐体33の断面コ字状の底部からの延出部に取り付けられた第2手回しハンドル38と、取付腕37に取り付けられた固定ハンドル41と、を備えている。なお、筐体33の断面コ字状の両側壁の相対する方向を幅方向とする。
【0031】
第2手回しハンドル38は、一端を回転軸34aの筐体33の底部からの延出部に固着され、回転軸34aと直交する方向に延在する梃子部39と、梃子部39の他端から回転軸34aと逆方向に延在するハンドル部40と、を有する。また、第2歯車35の回転軸35aの端部側が断面四角形に作製され、かつ筐体33の断面コ字状の開口から延在し、駆動プーリ7の嵌合穴7bに嵌合可能となっている。固定ハンドル41は、取付腕37に軸41a周りに回動可能に取り付けられ、ハンドル部41bが取付腕37から延出する軸41aの一端に固着され、固定片41cが取付腕37から延出する軸41aの他端に固着されている。固定片41cはアダプタ取付穴30に挿入可能な細長の外形形状に形成されている。また、固定ハンドル41の軸41aの軸心方向は、第1歯車34の回転軸34aおよび第2歯車35の回転軸35aの軸心方向と平行となっている。
【0032】
このように構成された遠隔操作アダプタ32は、回転軸35aの端部を貫通穴8から駆動プーリ7の嵌合穴7bに嵌合させ、固定片41cをアダプタ取付穴30に挿入した後、ハンドル部41bを回して、取付腕37と固定片41cとの間にフロント板3を加圧挟持して、フロント板3に固定状態に装着される。このとき、図10および図11に示されるように、筐体33と取付腕37とがフロント板3の表面に接し、遠隔操作アダプタ32がガタツキなくケーシング2に装着される。そして、遠隔操作アダプタ32は、ケーシング2から上方に延在している。
【0033】
また、筐体33の第2歯車35の収納領域の断面コ字状の一方の側壁が外側に湾曲されている。そして、遠隔操作アダプタ32がケーシング2に装着された際に、図10に示されるように、該湾曲部42がフロント板3と周壁4との角部に接するようになっている。
【0034】
筐体33の第1歯車34の収納領域の断面コ字状の両側壁が回転軸34aの軸心方向に延設されている。一方の側壁の先端が外側に湾曲され、保護部材としての保護ゴム44が該湾曲部43の内面に貼り付けられている。他方の側壁の先端が外側に90度曲げられ、保護部材としての保護ゴム46が90度曲げられた折り曲げ辺45の裏面に貼り付けられている。そして、遠隔操作アダプタ32がケーシング2に装着された際に、筐体33の長さ方向の上方から見て、湾曲部4a,43の内面が面一となり、フランジ部5と折り曲げ辺45の裏面が面一となるように、筐体33の両側壁の延設長さが設定されている。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
【0035】
このように構成された手動開閉装置1Aを用いた、故障時や保守点検時における乗り場戸の開放操作について説明する。
【0036】
まず、作業者Mは、乗り場52にしゃがんで、フォーク25の先端側を乗り場戸57の戸当たり側の下端と乗り場敷居55との間に差し込み、レバー18をピン18a周りに回動し、偏芯カム19をカム受け15に係合させる。これにより、フォーク25の先端側が乗り場戸57の下端に下方から押付けられた状態となる。また、保護ゴム6,27が乗り場戸57の表面に接し、保護ゴム31が乗り場戸57の戸当たり側の角部に接する。
【0037】
ついで、作業者Mは、回転軸35aの端部を貫通穴8から駆動プーリ7の嵌合穴7bに嵌合させ、固定片41cをアダプタ取付穴30に挿入し、その後ハンドル部41bを回して、固定片41cをフロント板3に強制的に乗り上げさせる。そこで、取付腕37とフロント板3とが締着される。これにより、遠隔操作アダプタ32が、ケーシング2から上方に延びて、ケーシング2に固定状態に装着される。そして、図10および図11に示されるように、筐体33と取付腕37とがフロント板3の表面に接し、湾曲部42がフロント板1と周壁4との角部に接し、遠隔操作アダプタ32のガタツキがなくなる。また、図9に示されるように、保護ゴム44が乗り場戸57の戸当たり側の角部に接し、保護ゴム46が乗り場戸57の表面に接する。
【0038】
ついで、作業者Mは、鍵棒60を鍵穴59に差し込んで、ラッチを揺動させて係合子との係合を解除し、乗り場戸57の開放を許容する状態とする。そして、図12に示されるように、ハンドル部40を持って回転軸34a周りに回転させる。これにより、第1歯車34が回転駆動される。そして、第1歯車34の回転トルクがチェーン36を介して第2歯車35に伝達され、第2歯車35が回転される。この第2歯車35の回転トルクが回転軸35aを介して駆動プーリ7に伝達され、駆動プーリ7が回転駆動される。これにより、ゴックドベルト10が循環走行され、手動開閉装置1Aが乗り場戸57の開方向に移動する。この手動開閉装置1Aの移動力がフォーク25および湾曲部4aを介して乗り場戸57に伝達され、乗り場戸57が開放される。そこで、作業者Mは、昇降路51内に入り、所定の作業を行う。
【0039】
作業が終了すれば、作業者Mは、ハンドル部40を逆方向に回転させて、手動開閉装置1Aを乗り場戸57の閉方向に移動させる。そして、乗り場戸57が全閉状態となった後、ハンドル部41bを回して、取付腕37とフロント板3との締着を解除し、遠隔操作アダプタ32を取り外す。ついで、レバー18をピン18a周りに逆方向に回動させ、偏芯カム19とカム受け15との係合を解除させる。ついで、手動開閉装置1Aを引き抜き、鍵棒60を引き抜いて、ラッチと係合子とを係合させて、一連の作業を終了する。
【0040】
このように実施の形態2によれば、遠隔操作アダプタ32は、第1歯車34が長尺の筐体33の一端側に配設され、第2歯車35が筐体33の他端側に配設され、チェーン36が第1歯車34と第2歯車35とに掛け渡され、第2手回しハンドル38が第1歯車34の回転軸34aに連結されている。そして、遠隔操作アダプタ32が、第2歯車35の回転軸35aの端部を駆動プーリ7の嵌合穴7bに嵌合させて、ケーシング2から上方に延在するようにケーシング2に装着可能に構成されている。そこで、作業者Mは、立った姿勢で第2手回しハンドル38を操作して乗り場戸57をあけることができるので、作業負荷をさらに軽減できる。
【0041】
保護ゴム6,27,31がケーシング2のフランジ部5、フォーク25および湾曲部4aに取り付けられているので、ケーシング2およびフォーク25が乗り場戸57の表面である意匠面に直接当たることがなく、乗り場戸57の意匠面の損傷の発生を抑えることができる。
保護ゴム44,46が筐体33の湾曲部43および折り曲げ辺45に取り付けられているので、筐体33が乗り場戸57の表面である意匠面に直接当たることがなく、乗り場戸57の意匠面の損傷の発生を抑えることができる。また、筐体33の上部側が保護ゴム44,46を介して乗り場戸57に支持されているので、筐体33の上部側が安定し、第2手回しハンドル38の操作がし易くなる。
【0042】
ここで、実施の形態2では、固定ハンドル41により取付腕37をフロント板3に締着固定するものとしているが、フロント板の表面にボルトを立設し、取付腕の貫通穴を形成し、貫通穴に挿通されたボルトにナットを締着して、取付板をフロント板に締着固定してもよい。
【0043】
なお、上記各実施の形態では、手動開閉装置を操作して乗り場戸を閉じるものとして説明しているが、昇降路内での作業が終了した後、偏芯カムとカム受けとの係合を解除して手動開閉装置を引き抜き、クローザにより乗り場戸を閉じるようにしてもよい。
また、上記各実施の形態では、一対の従動プーリが離間して台車部に回転自在に支持されているものとしているが、台車部に支持される従動プーリの数は2個の限定されるものではなく、3個以上であってもよい。
【0044】
また、上記各実施の形態では、ゴックドベルトの循環走行路が略三角形に構成されているものとしているが、ゴックドベルトの循環走行路は略三角形に限定されるものではない。そして、駆動プーリと一対の従動プーリとの間に従動プーリを配設することにより、循環走行路の形状を任意に設定することができる。また、駆動プーリは、一対の従動プーリより上部に位置していればよい。
また、上記各実施の形態では、ケーシングのフロント板が略三角形に構成されているものとしているが、フロント板の形状はゴックドベルトの循環走行路の形状に合わせて適宜設定すればよい。
【0045】
また、上記各実施の形態では、ケーシングの背面側が開口されているものとしているが、ケーシングの背面側を塞口してもよい。この場合、フォークをケーシングの背面側を塞口する背面板に固着すれば、フォークの形状を簡略化できる。
また、上記各実施の形態では、手回しハンドルの回転トルクを駆動プーリに直接伝達するものとしているが、手回しハンドルの回転トルクを輪列を介して駆動プーリに伝達するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1,1A 手動開閉装置、2 ケーシング、6 保護ゴム(保護部材)、7 駆動プーリ、7a 軸、9 従動プーリ、10 ゴックドベルト、11 プーリ台車(従動プーリ支持部材)、15 カム受け(従動プーリ下降・保持手段)、18 レバー(従動プーリ下降・保持手段)、19 偏芯カム(従動プーリ下降・保持手段)、21 第1手回しハンドル、25 フォーク、27 保護ゴム(保護部材)、32 遠隔操作アダプタ、33 筐体、34 第1歯車、35 第2歯車、36 チェーン、38 第2手回しハンドル、44 保護ゴム(保護部材)、46 保護ゴム(保護部材)、52 乗り場、52a 乗り場床面、55 乗り場敷居、57 乗り場戸。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面側を乗り場戸に向けて該乗り場戸の戸当たり側に近接して乗り場床面に配設され、該乗り場戸と係合して該乗り場戸を手動開閉するエレベータ乗り場戸の手動開閉装置であって、
ケーシングと、
上記ケーシングに固着されて該ケーシングの下端から背面側に延設され、その先端側が上記乗り場戸と乗り場敷居との間に挿入されるフォークと、
上記ケーシング内の下端側に該ケーシングの幅方向に離間して、該ケーシングの幅方向と上下方向とに直交する軸周りに回転可能に配設された一対の従動プーリと、
上記ケーシング内の上記一対の従動プーリより上部位置に、該ケーシングの幅方向と上下方向とに直交する軸周りに回転可能に該ケーシングに支持された駆動プーリと、
上記一対の従動プーリと上記駆動プーリとに掛け渡されて循環走行可能に配設されたゴックドベルトと、
上記一対の従動プーリを回転可能に支持して上記ケーシングに上下動可能に取り付けられた従動プーリ支持部材と、
上記一対の従動プーリが上記ケーシングの下端から所定距離延出するように上記従動プーリ支持部材を下降・保持させ、上記フォークの先端側を上記乗り場戸の下端に押圧させる従動プーリ下降・保持手段と、
上記駆動プーリの軸に動力伝達可能に連結されて上記ケーシングに装着され、該駆動プーリを回転駆動して上記ゴックドベルトを循環走行させる第1手回しハンドルと、
を備えることを特徴とするエレベータ乗り場戸の手動開閉装置。
【請求項2】
上記第1手回しハンドルが上記ケーシングに着脱可能に構成され、
上記ケーシングに着脱可能に装着される遠隔操作アダプタを備え、
上記遠隔操作アダプタは、長尺の筐体と、上記筐体内の一端側に配設された第1歯車と、上記筐体内の他端側に配設された第2歯車と、上記第1歯車と上記第2歯車とに掛け渡されて該第1歯車の回転トルクを該第2歯車に伝達する無端状のチェーンと、上記第1歯車の回転軸に取り付けられて該第1歯車を回転駆動する第2手回しハンドルと、を備え、
上記遠隔操作アダプタは、上記第2歯車の回転軸が上記駆動プーリの軸に動力伝達可能に連結されて、上記筐体が上記ケーシングから上方に延在するように装着されることを特徴とする請求項1記載のエレベータ乗り場戸の手動開閉装置。
【請求項3】
背面側を乗り場戸に向けて該乗り場戸の戸当たり側に近接して乗り場床面に配設され、該乗り場戸と係合して該乗り場戸を手動開閉するエレベータ乗り場戸の手動開閉装置であって、
ケーシングと、
上記ケーシングに固着されて該ケーシングの下端から背面側に延設され、その先端側が上記乗り場戸と乗り場敷居との間に挿入されるフォークと、
上記ケーシング内の下端側に該ケーシングの幅方向に離間して、該ケーシングの幅方向と上下方向とに直交する軸周りに回転可能に配設された一対の従動プーリと、
上記ケーシング内の上記一対の従動プーリより上部位置に、該ケーシングの幅方向と上下方向とに直交する軸周りに回転可能に該ケーシングに支持された駆動プーリと、
上記一対の従動プーリと上記駆動プーリとに掛け渡されて循環走行可能に配設されたゴックドベルトと、
上記一対の従動プーリを回転可能に支持して上記ケーシングに上下動可能に取り付けられた従動プーリ支持部材と、
上記一対の従動プーリが上記ケーシングの下端から所定距離延出するように上記従動プーリ支持部材を下降・保持させ、上記フォークの先端側を上記乗り場戸の下端に押圧させる従動プーリ下降・保持手段と、
上記ケーシングに装着されて上方に延在する長尺の筐体、上記筐体内の上端側に配設された第1歯車、上記筐体内の下端側に配設され、上記駆動プーリの軸に動力伝達可能に連結される第2歯車、上記第1歯車と上記第2歯車とに掛け渡されて該第1歯車の回転トルクを該第2歯車に伝達する無端状のチェーン、および上記第1歯車の回転軸に取り付けられて該第1歯車を回転駆動する手回しハンドルを有し、上記駆動プーリを回転駆動して上記ゴックドベルトを循環走行させる遠隔操作アダプタと、
を備えることを特徴とするエレベータ乗り場戸の手動開閉装置。
【請求項4】
上記ケーシングの背面側に取り付けられた保護部材を有し、上記乗り場戸との係合時に、該ケーシングが該保護部材を介して該乗り場戸の表面に接するようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3にいずれか1項に記載のエレベータ乗り場戸の手動開閉装置。
【請求項1】
背面側を乗り場戸に向けて該乗り場戸の戸当たり側に近接して乗り場床面に配設され、該乗り場戸と係合して該乗り場戸を手動開閉するエレベータ乗り場戸の手動開閉装置であって、
ケーシングと、
上記ケーシングに固着されて該ケーシングの下端から背面側に延設され、その先端側が上記乗り場戸と乗り場敷居との間に挿入されるフォークと、
上記ケーシング内の下端側に該ケーシングの幅方向に離間して、該ケーシングの幅方向と上下方向とに直交する軸周りに回転可能に配設された一対の従動プーリと、
上記ケーシング内の上記一対の従動プーリより上部位置に、該ケーシングの幅方向と上下方向とに直交する軸周りに回転可能に該ケーシングに支持された駆動プーリと、
上記一対の従動プーリと上記駆動プーリとに掛け渡されて循環走行可能に配設されたゴックドベルトと、
上記一対の従動プーリを回転可能に支持して上記ケーシングに上下動可能に取り付けられた従動プーリ支持部材と、
上記一対の従動プーリが上記ケーシングの下端から所定距離延出するように上記従動プーリ支持部材を下降・保持させ、上記フォークの先端側を上記乗り場戸の下端に押圧させる従動プーリ下降・保持手段と、
上記駆動プーリの軸に動力伝達可能に連結されて上記ケーシングに装着され、該駆動プーリを回転駆動して上記ゴックドベルトを循環走行させる第1手回しハンドルと、
を備えることを特徴とするエレベータ乗り場戸の手動開閉装置。
【請求項2】
上記第1手回しハンドルが上記ケーシングに着脱可能に構成され、
上記ケーシングに着脱可能に装着される遠隔操作アダプタを備え、
上記遠隔操作アダプタは、長尺の筐体と、上記筐体内の一端側に配設された第1歯車と、上記筐体内の他端側に配設された第2歯車と、上記第1歯車と上記第2歯車とに掛け渡されて該第1歯車の回転トルクを該第2歯車に伝達する無端状のチェーンと、上記第1歯車の回転軸に取り付けられて該第1歯車を回転駆動する第2手回しハンドルと、を備え、
上記遠隔操作アダプタは、上記第2歯車の回転軸が上記駆動プーリの軸に動力伝達可能に連結されて、上記筐体が上記ケーシングから上方に延在するように装着されることを特徴とする請求項1記載のエレベータ乗り場戸の手動開閉装置。
【請求項3】
背面側を乗り場戸に向けて該乗り場戸の戸当たり側に近接して乗り場床面に配設され、該乗り場戸と係合して該乗り場戸を手動開閉するエレベータ乗り場戸の手動開閉装置であって、
ケーシングと、
上記ケーシングに固着されて該ケーシングの下端から背面側に延設され、その先端側が上記乗り場戸と乗り場敷居との間に挿入されるフォークと、
上記ケーシング内の下端側に該ケーシングの幅方向に離間して、該ケーシングの幅方向と上下方向とに直交する軸周りに回転可能に配設された一対の従動プーリと、
上記ケーシング内の上記一対の従動プーリより上部位置に、該ケーシングの幅方向と上下方向とに直交する軸周りに回転可能に該ケーシングに支持された駆動プーリと、
上記一対の従動プーリと上記駆動プーリとに掛け渡されて循環走行可能に配設されたゴックドベルトと、
上記一対の従動プーリを回転可能に支持して上記ケーシングに上下動可能に取り付けられた従動プーリ支持部材と、
上記一対の従動プーリが上記ケーシングの下端から所定距離延出するように上記従動プーリ支持部材を下降・保持させ、上記フォークの先端側を上記乗り場戸の下端に押圧させる従動プーリ下降・保持手段と、
上記ケーシングに装着されて上方に延在する長尺の筐体、上記筐体内の上端側に配設された第1歯車、上記筐体内の下端側に配設され、上記駆動プーリの軸に動力伝達可能に連結される第2歯車、上記第1歯車と上記第2歯車とに掛け渡されて該第1歯車の回転トルクを該第2歯車に伝達する無端状のチェーン、および上記第1歯車の回転軸に取り付けられて該第1歯車を回転駆動する手回しハンドルを有し、上記駆動プーリを回転駆動して上記ゴックドベルトを循環走行させる遠隔操作アダプタと、
を備えることを特徴とするエレベータ乗り場戸の手動開閉装置。
【請求項4】
上記ケーシングの背面側に取り付けられた保護部材を有し、上記乗り場戸との係合時に、該ケーシングが該保護部材を介して該乗り場戸の表面に接するようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3にいずれか1項に記載のエレベータ乗り場戸の手動開閉装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−251840(P2011−251840A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128512(P2010−128512)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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