説明

エレベータ扉センサの電源供給装置

【課題】エレベータ扉に設置するセンサを扉の開閉に連動して可動とし、このセンサに発電装置を備えることにより、外部に電源部を設けないようにしたエレベータ扉センサの電源供給装置を得る。
【解決手段】エレベータの乗場扉1と、乗場扉の上方部に設けられたドアレール2と、乗場扉の上端部に取り付けられ、ドアレール上を転動することにより乗場扉を開閉するドアハンガー3と、乗場扉が全閉したときに動作するインターロックスイッチ5と、乗場扉に設置され、乗場扉の開閉と連動して可動し乗場扉の開閉時間を測定して正常/異常を判定するセンサ9と、ドアレールに設けられ、乗場扉の開閉と連動して発電し、センサに電源供給する自家発電装置10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベータ扉に設置されるセンサに対し電源を供給する電源部を備えたエレベータ扉センサの電源供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータ扉に設置されるセンサは、設置スペースの制約などにより、センサに電源を供給する電源部と、対象物を識別するセンサ部とを分離して設置するのが普通である。そのため、センサを設置するためには、センサ部だけでなく、電源部の設置方法も考慮する必要があった。また、電源部とセンサ部を接続するケーブルは、電圧が高く、扉の開閉に連動して可動するため、断線する恐れがある。もしケーブルが断線すると、扉廻りのケーブル配線の取替工事は煩雑な作業となっていた。
【0003】
また、従来技術として、エレベータのかごをレールに案内するためのローラガイドに連結され、ローラガイドの回転を利用して発電する発電手段を備え、かごの電装品へ電力を供給するようにしたものや(例えば、特許文献1参照)、カウンターウエイトの昇降警報装置に発電機を電源として用いるもの(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−21035号公報
【特許文献2】特開2008−56411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のセンサ部と電源部とを分離して設置する場合では、両者を接続するケーブルは、電圧が高く、扉の開閉に連動して可動するため、断線する可能性があり、万一断線した場合は、扉廻りの配線の取替工事となるので、極めて煩雑な作業となり、手間が掛かってしまうという問題があった。
【0006】
また、従来技術に記載されたものでは、エレベータのかご又はカウンターウエイトを案内するレールに接触してエレベータのかご又はカウンターウエイトの昇降中に発電させるものであるが、エレベータ扉に設置されるセンサに対し電源を供給するものではない。
【0007】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、エレベータ扉に設置するセンサを扉の開閉に連動して可動とし、このセンサに発電装置を備えることにより、外部に電源部を設けないようにしたエレベータ扉センサの電源供給装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るエレベータ扉センサの電源供給装置においては、エレベータの乗場扉と、乗場扉の上方部に水平方向に設けられたドアレールと、乗場扉の上端部に取り付けられ、ドアレール上を転動することにより乗場扉を開閉するドアハンガーと、乗場扉が全閉したときに動作するインターロックスイッチと、乗場扉に設置され、乗場扉の開閉と連動して可動し乗場扉の開閉時間を測定して正常/異常を判定するセンサと、ドアレールに設けられ、乗場扉の開閉と連動して発電し、センサに電源供給する自家発電装置とを備えた
ものである。
【0009】
また、自家発電装置は、ドアレールに接触するローラーを有し、ローラーの回転により発電する回転式発電装置である。
【0010】
また、自家発電装置は、ドアレールに設けられたリニア式磁石を有し、リニアモータの原理により発電するリニア式発電装置である。
【0011】
また、ドアレールに接触するローラー又はドアレールに設けられるリニア式磁石は、ドアレールの上下、左右の四方向に設けたものである。
【0012】
また、エレベータの乗場扉と、乗場扉の上方部に水平方向に設けられたドアレールと、乗場扉の上端部に取り付けられ、ドアレール上を転動することにより乗場扉を開閉するドアハンガーと、乗場扉が全閉したときに動作するインターロックスイッチと、乗場扉に設置され、乗場扉の開閉と連動して可動し乗場扉の開閉時間を測定して正常/異常を判定するセンサと、ドアレールに設けられ、乗場扉の開閉と連動して可動する太陽電池と、乗場扉が閉じたときに 太陽電池が光を受ける位置に設置された光源とを備えたものである。
【0013】
また、光源はLEDである。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、エレベータの乗場扉と、乗場扉の上方部に水平方向に設けられたドアレールと、乗場扉の上端部に取り付けられ、ドアレール上を転動することにより乗場扉を開閉するドアハンガーと、乗場扉が全閉したときに動作するインターロックスイッチと、乗場扉に設置され、乗場扉の開閉と連動して可動し乗場扉の開閉時間を測定して正常/異常を判定するセンサと、ドアレールに設けられ、乗場扉の開閉と連動して発電し、センサに電源供給する自家発電装置とを備えたので、外部に電源部を設ける必要がないため面倒なケーブル配線を考慮せずに、センサを乗場扉に設置することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】エレベータ乗場扉の概略構成を示す斜視図である。
【図2】この発明の実施例1におけるエレベータ扉センサの電源供給装置を示す斜視図である。
【図3】この発明の実施例1におけるエレベータ扉センサの電源供給装置の扉開閉判定動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】この発明の実施例2におけるエレベータ扉センサの電源供給装置を示す斜視図である。
【図5】この発明の実施例3におけるエレベータ扉センサの電源供給装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0016】
この発明をエレベータ乗場扉に実施した場合について説明する。
図1において、1は左右一対のエレベータの乗場扉、2は乗場扉1の上方部に水平方向に設けられたドアレール、3は乗場扉1の上端部に取り付けられたドアハンガーで、ドアレール2上を転動することにより、左右一対の乗場扉1が開閉される。4は左右一対の乗場扉1を連動して動作させるための連動ロープ、5は左右一対の乗場扉1が全閉したときに動作するインターロックスイッチ、6は乗場扉1の下端部に取り付けられたドアシュー、7は乗場敷居、8はトーガードである。
図2において、9は乗場扉1に設置されたセンサであり、乗場扉1の開閉時間を測定して、正常/異常を判定するものである。このセンサ9は、ドアハンガー3の近傍に設置されて乗場扉1の開閉と連動して可動する。10はドアレール2の下面に接触するローラー10aを有する回転式発電装置で、ローラー10aの回転により発電するので、乗場扉1の開閉と連動して発電する自家発電構造である。この回転式発電装置10は、極短い距離でセンサ9に電気的に接続されているので、センサ9の電源部を外部からでなく、内部より提供することができる。なお、ローラー10aは、ドアレール2の下面に接触させた場合について説明したが、ドアレール2の上下、左右の四方向に設置しても良い。
【0017】
次に、扉開閉判定動作について、図3により説明する。
先ず、乗場扉1が開き始めたか又は閉じ始めたかを判定する(ステップS1)。次に、センサ9により乗場扉1の開閉時間を測定し、乗場扉1が規定時間内に開いたか又は規定時間内に閉じたかを判定する(ステップS2)。ステップS2で乗場扉1が規定時間内に開けば又は規定時間内に閉じれば、正常と判定する(ステップS3)。また、ステップS2で乗場扉1が規定時間内に開かなければ又は規定時間内に閉じなければ、異常と判定する(ステップS4)。
【実施例2】
【0018】
上記実施例1では、ドアレール2の下面に接触するローラー10aを有する回転式発電装置10を設け、ローラー10aの回転により発電する構成としたが、この実施例2においては、図4に示すように、ドアレール2の下面にリニア式磁石11を設置し、リニアモータの原理により発電するリニア式自家発電装置を構成するようにしたものである。なお、リニア式磁石11は、ドアレール2の下面に設置した場合について説明したが、ドアレール2の上下、左右の四方向に設置しても良い。
【実施例3】
【0019】
上記実施例1、2では、乗場扉1の開閉と連動して発電する自家発電装置について
説明したが、この実施例3においては、図5に示すように、ドアレール2の上面に太陽電池12を設置し、乗場扉1が閉じた状態のときに、太陽電池12が光を受ける位置にLED等からなる光源13を設置したものである。太陽電池12は、センサ9に接続されており、乗場扉1の開閉と連動して可動する。
【符号の説明】
【0020】
1 エレベータの乗場扉
2 ドアレール
3 ドアハンガー
4 連動ロープ
5 インターロックスイッチ
6 ドアシュー
7 乗場敷居
8 トーガード
9 センサ
10 回転式発電装置
10a ローラー
11 リニア式磁石
12 太陽電池
13 光源(LED)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの乗場扉と、
前記乗場扉の上方部に水平方向に設けられたドアレールと、
前記乗場扉の上端部に取り付けられ、前記ドアレール上を転動することにより前記乗場扉を開閉するドアハンガーと、
前記乗場扉が全閉したときに動作するインターロックスイッチと、
前記乗場扉に設置され、乗場扉の開閉と連動して可動し乗場扉の開閉時間を測定して正常/異常を判定するセンサと、
前記ドアレールに設けられ、前記乗場扉の開閉と連動して発電し、前記センサに電源供給する自家発電装置と、
を備えたことを特徴とするエレベータ扉センサの電源供給装置。
【請求項2】
自家発電装置は、ドアレールに接触するローラーを有し、ローラーの回転により発電する回転式発電装置であることを特徴とする請求項1記載のエレベータ扉センサの電源供給装置。
【請求項3】
自家発電装置は、ドアレールに設けられたリニア式磁石を有し、リニアモータの原理により発電するリニア式発電装置であることを特徴とする請求項1記載のエレベータ扉センサの電源供給装置。
【請求項4】
ドアレールに接触するローラー又はドアレールに設けられるリニア式磁石は、ドアレールの上下、左右の四方向に設けたことを特徴とする請求項2又は請求項3記載のエレベータ扉センサの電源供給装置。
【請求項5】
エレベータの乗場扉と、
前記乗場扉の上方部に水平方向に設けられたドアレールと、
前記乗場扉の上端部に取り付けられ、前記ドアレール上を転動することにより前記乗場扉を開閉するドアハンガーと、
前記乗場扉が全閉したときに動作するインターロックスイッチと、
前記乗場扉に設置され、乗場扉の開閉と連動して可動し乗場扉の開閉時間を測定して正常/異常を判定するセンサと、
前記ドアレールに設けられ、前記乗場扉の開閉と連動して可動する太陽電池と、
前記乗場扉が閉じたときに 前記太陽電池が光を受ける位置に設置された光源と、
を備えたことを特徴とするエレベータ扉センサの電源供給装置。
【請求項6】
光源はLEDであることを特徴とする請求項5記載のエレベータ扉センサの電源供給装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate