説明

エレベータ用巻上機及びそれを用いたエレベータ

【課題】潤滑剤を受ける容器に清掃等を行う際に、巻上機を分解することなく、最小限の隙間で作業可能な巻上機、及びこれを用いたエレベータを提供することを目的とする。
【解決手段】駆動軸を回転させるモータと、駆動軸に連動して回転する綱車を備える。また、駆動軸を支える軸支部と、軸支部内に配設される軸受と潤滑剤とを封する軸受カバーと、を有する軸受台も備える。またさらに、軸受カバーに締結され、潤滑剤を排出する排出口を有し、軸受台から突出した駆動軸の外周を覆う潤滑剤受けカバーと、排出口の下方に配設された潤滑剤受け容器と、潤滑剤受け容器と、軸受け台とを一体して締結する通しボルトと、を備えるものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗りかごを昇降させる巻上機と、この巻上機を用いたエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建築基準法の改正により、エレベータにおいて駆動装置や制御器の安全基準が強化されており、制動力に影響を与える箇所への油付着防止構造の採用が必須となっている。
【0003】
例えば、下記特許文献1では、巻上機の軸受を支持するハウジング部に突出部が設けられている。この突出部上には油溜りが配設されており、これにより軸受けハウジング部内から漏れ出るグリースを受け止めている。
また、この油溜りによって受け止められたグリースは、巻上機の回転軸を支持するフレームの外端まで貫通する排出孔を通って油受け容器に排出され、回収される。
【0004】
下記特許文献1によれば、ハウジング部内から漏れ出たグリースは、いったん油留りにて受け止められた後、排出孔を通って排出されるので、漏れグリースを回収するための回収装置を不要にできるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−280380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述の特許文献1の構成においては、油溜りは巻上機の回転軸を支持するフレームに一体化して設けられている。また、油溜りから油受け容器へとグリースを排出する排出孔は、フレームを貫通して設けられている。
このため、これらのグリースを排出するための部位を清掃するためには、わざわざ巻上機を分解して取り出したり、露出させる等の必要性があり、その作業が煩雑なものとなっていた。
また、油溜りからフレームの外端まで貫通する排出孔によってグリースを油受け容器へと回収しているため、この排出孔が詰まることによりグリースが溢れ、油溜りから漏れ出す恐れがある。
【0007】
また、近年の機械室レスエレベータでは、巻上機が昇降路内に配置されるため、配置スペースを削減し、巻上機自体を小型化することが求められている。したがって、清掃時において巻上機を分解したり、個々の部位を取り出したりする作業スペースは限られている。
【0008】
そこで本発明は上記課題に鑑み、グリース等の潤滑剤を受ける容器の清掃等を行う際に、巻上機を分解することなく、最小限の隙間で作業可能な巻上機、及びこれを用いたエレベータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明による巻上機は、駆動軸を回転させるモータと、駆動軸に連動して回転する綱車と、駆動軸を支える軸支部と、軸支部内に配設される軸受と潤滑剤とを封する軸受カバーと、を有する軸受台を備える。
また、軸受カバーに締結され、潤滑剤を排出する排出口を有し、軸受台から突出した駆動軸の外周を覆う潤滑剤受けカバーと、排出口の下方に配設された潤滑剤受け容器を備える。また、潤滑剤受け容器と、軸受け台とを一体して締結する通しボルトと、を備える。
【0010】
また、本発明によるエレベータは、昇降路内を昇降する乗りかごと、乗りかごに対してロープを介して連結された釣り合い錘と、ロープを巻き掛けることにより乗りかごを昇降させる巻上機と、を含む。そしてこの巻上機には、上述の巻上機を用いるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の巻上機によれば、潤滑剤を受ける潤滑剤受け容器は、通しボルトによって軸受け台に取り付けられる。このため、通しボルトを外すことにより、巻上機を分解することなく、潤滑剤受け容器を取り外すことが可能である。このため、潤滑剤受け容器を清掃する時に必要とする作業スペースが削減される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係るエレベータの構成を示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る巻上機の概略側面図である。
【図3】図2における巻上機のA矢視図である。
【図4】本実施の形態に係る巻上機における潤滑剤受けカバーを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態に係る巻上機及びエレベータについて、図1〜図4を基に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
【0014】
図1は、本実施の形態によるエレベータ1の構成を示す概略構成図である。本実施の形態によるエレベータ1は、建築構造物内に形成された昇降路110内を昇降する乗りかご120と、乗りかご120に対してロープ130を介して連結された釣り合い錘140を備える。
また、昇降路110の頂部に配設され、ロープ130を巻き掛けることにより乗りかご120を昇降させる巻上機100と、巻上機100の近傍に配設され、ロープ130が装架される反らせ車150を備える。
【0015】
図2にこの巻上機100の概略側面図を示す。また、図3は、図2のA矢視図である。
本実施の形態による巻上機100は、駆動軸11を回転させるモータ10と、駆動軸11に連動して回転する綱車40と、駆動軸11に連動して回転するブレーキディスク50を備える。
また、駆動軸11を支える軸支部32と、軸支部32内に配設されるグリース等の潤滑剤と軸受31とを封する軸受カバー33,34と、を有する軸受台30を備える。
また、軸受けカバー33に締結され、軸受カバー33を貫通して突出した駆動軸11の外周を覆う潤滑剤受けカバー80を備える。
【0016】
また、本実施の形態による巻上機100は、潤滑剤受けカバー80から滴下される潤滑剤を受ける潤滑剤受け容器81と、軸受けカバー33に取り付けられ、潤滑剤受け容器81が案内されるガイド部82も備える。
また、潤滑剤受け容器81とガイド部82と軸受台32とを一体して締結する通しボルト等の締結具91a,91bを備える。
なお、本実施の形態において、モータ10と軸受台20,30は、マシンベース101上に載置されている。
【0017】
モータ10は、駆動軸11を回転させ、駆動軸11と連動する綱車40を回転させることにより、綱車40に装架されたロープ等を巻き上げる。また、ブレーキディスク50は駆動軸11に対して固定されており、駆動軸11に連動して回転可能となっている。このブレーキディスク50が図示しない制動腕等によって挟持されることにより、駆動軸11の回転にブレーキが掛かる。
【0018】
また、駆動軸11は、2つの軸受台20,30によって支えられている。
軸受台30は、軸受31を備え、軸受31を介して駆動軸11を支える軸支部32と、軸支部32内に充填されたグリース等の潤滑剤を封する軸受カバー33,34を備える。
駆動軸11は、軸受カバー33の略中央を貫通して軸受台30から突出している。また、図3に示すように、軸受カバー33,34は、例えば、8個の通しボルト91a〜91hによって軸支部32に一体して締結されている。
【0019】
また、軸支部32の外周面には、突出部32a〜32dが設けられている。この突出部32aと突出部32cとの間の空隙、及び突出部32bと突出部32dとの間の空隙には、例えば図示しない制動腕がそれぞれ配設される。
軸受台20は、軸受台30と同様の構成であってもよい。ただし、図1においては、軸受け台20の2つの軸受カバー両方を駆動軸11が貫通している。また、軸受台20には制動腕は配設されていない。
【0020】
軸受カバー33を貫通して突出した駆動軸11は、潤滑剤受けカバー80によってその外周が覆われている。したがって、駆動軸11と軸受カバー33の隙間から漏れ出た潤滑剤は、潤滑剤受けカバー80によって受け止められる。
なお、図2に示すように、その径方向に突出する突出部12を駆動軸11に設け、モータ10の停止時には、駆動軸11を伝うグリース等の潤滑剤をこの突出部12において滴下させるようにしてもよい。また、駆動軸11の回転時においても、回転の遠心力により、同様にこの突出部12においてグリースが駆動軸11から分離される。
【0021】
図4に、潤滑剤受けカバー80の斜視図を示す。この潤滑剤受けカバー80は、軸受カバー33を貫通して突出した駆動軸11の上部外周を覆う上部潤滑剤受けカバー60と、上部潤滑剤受けカバー61に締結され、軸受カバー33を貫通して突出した駆動軸11の下部外周を覆う下部潤滑剤受けカバー70を備える。
上部潤滑剤受けカバー60は、駆動軸11の上部外周を覆う例えば半円筒形状の軸覆部61と、軸覆部61の側面端部より突出するフランジ部62とを備える。
また、下部潤滑剤受けカバー70は、駆動軸11の下部外周をその内周によって覆う例えば半円筒形状の軸覆部71と、軸覆部71の側面端部より突出するフランジ部72とを備える。
【0022】
上部潤滑剤受けカバー60のフランジ部62と、下部潤滑剤受けカバー70のフランジ部72は、例えばボルト等の締結具93によって締結され、軸覆部61,71の内周によって形成された貫通孔65内に駆動軸11が配設される。
【0023】
このように本実施の形態においては、上部潤滑剤受けカバー60と下部潤滑剤受けカバー70とにそれぞれフランジ部62,72が設けられている。このため、このフランジ部62,72に締結具93を配設することにより、上部潤滑剤受けカバー60と下部潤滑剤受けカバー70との締結箇所を、駆動軸11から離して配置することが可能となる。
【0024】
したがって、締結具93を軸受カバー33の外周面近傍に配設することにより、作業者は軸受カバー33とブレーキディスク50との間の隙間に手を差し込むことなく、締結具93を外すことができる。特に本実施の形態においては、軸受カバー33の外周面近傍において作業ができるように、図3に示すように、軸支部32の側面32aから50mm〜100mmの位置に締結具93が配設されている。
また、作業者が軸受カバー33とブレーキディスク50との間の隙間に手を差し込む必要が無いため、この隙間を最小限に抑えることが可能であり、巻上機100の小型化を図ることができる。
【0025】
また、貫通孔65を形成する軸覆部61,71の内周の継ぎ目部分には、例えば軸覆部61の内周から下方に突出する重なり代64が配設されている。この重なり代64は、例えば板状部材を溶接等により固着することで設けられる。
【0026】
重なり代64は、上部潤滑剤受けカバー60を下部潤滑剤受けカバー上に被せ、位置合わせする際のガイドとされる。
また、この重なり代64を設けることにより、軸覆部61,71の内周の継ぎ目が覆われ、この継ぎ目への潤滑剤の滲入を防止できる。したがって、重なり代64を軸方向に延長して設け、継ぎ目全てを覆うようにしてもよい。
また、フランジ部62,72の互いの接触面において、軸覆部61,71の内周の継ぎ目近傍に、一方の面には凸部を、もう一方の面には凹部を設け、嵌め合わせることによって重なり代を形成してもよい。
【0027】
上部潤滑剤受けカバー60には、上方に延伸する2つの締結板63が配設されている。この締結板63はボルト等の締結具94によって軸受カバー33に締結され、これにより上部潤滑剤受けカバー60と下部潤滑剤受けカバー70とが軸受台30に固定される。
【0028】
なお、この締結具94は、軸受けカバー33の外周面近傍に配置される。したがって、作業者は軸受カバー33とブレーキディスク50との間の隙間に手を差し込むことなく、締結具94の取り外しを行うことが可能である。本実施の形態では、例えば軸支部32上面より50mm〜100mmの位置に締結具94が配設されている。
【0029】
一方、下部潤滑剤受けカバー70のフランジ部72の下面には、掛け留め部73が設けられている。本実施の形態において、この掛け留め部73は、例えばフランジ部72の下面から下方に延伸する板状部材に切欠き部を設けた構成とされており、この掛け留め部73の切欠き部を通しボルト91c,91dに引っ掛けることが可能とされている(図3参照)。
【0030】
また、下部潤滑剤受けカバー70の軸覆部71には、排出口75が設けられている。この排出口75は、例えば軸覆部71の内周面に溝部を設け、この溝部の一部分が軸覆部71の外周面に貫通するようにしてもよい。
上部潤滑剤受けカバー60及び下部潤滑剤受けカバー70によって受け止められた潤滑剤は、この排出口75を通って下方に滴下される。軸覆部71の内周面から外周面へと貫通する排出口75を設けることにより、潤滑剤の流れる流路が短縮される。これにより、排出口75の目詰まりが抑制される。
【0031】
排出口75から滴下された潤滑剤は、下部潤滑剤受けカバー70の下方に配設された潤滑剤受け容器81によって受け止められる。
図2に示すように、潤滑剤受け容器81は、軸受カバー33に配設されたガイド部82に例えば軸受カバー33の面方向に沿って挿入され、位置決めされる。
【0032】
ガイド部82は、例えばボルト等の締結具95により軸受カバー33に締結されている。
また、ガイド部82と、ガイド部82に挿入された潤滑剤受け容器81は、通しボルト91a,91bによって軸受けカバー33,34と軸支部32に対し一体して締結されている。
【0033】
したがって、本実施の形態においては、通しボルト91a,91bを外すことにより、潤滑剤受け容器81は、ガイド部82、軸受けカバー33,34と軸支部32との締結から外れる。また、ガイド部82は、締結具95により軸受けカバー33に締結されているので、通しボルト91a,91bを外しても、潤滑剤受け容器81がガイド部82上に載置された状態は保持される。
このため、通しボルト91a,91bを外すことにより、潤滑剤受け容器81をガイド部82に沿って引き出し、取り出すことが可能である。潤滑剤受け容器81に溜まった潤滑剤は、このようにして潤滑剤受け容器81を取り出すことにより回収される。
【0034】
なお、この通しボルト91a,91bは、例えば巻上機100の外周とされる軸受カバー34側から挿入される。また潤滑剤受け容器81には、通しボルト91a,91bに螺合するナット等の螺合部材92が固着されている。
このため、軸受カバー34側から通しボルト91a,91bを回すことによって、通しボルト91a,91bの締め・緩め作業を行うことが可能である。
したがって、作業者は、軸受けカバー33とブレーキディスク50の隙間に手を差し込むこと無く、潤滑剤受け容器81を取り外すことが可能であり、作業性の向上が図られる。また、取り外された潤滑剤受け容器81は、ガイド部81に沿って容易に引き出せる。
【0035】
潤滑剤受け容器81及びガイド部82にそれぞれ設けられ、通しボルト91a,91bが挿入される図示しないボルト孔は、潤滑剤受け容器81がガイド部82に挿入された状態において、その互いの高さ方向の位置が一致するように、予め設けられている。
また、ガイド部81にストッパー部材等を設けて潤滑剤受け容器81の挿入長さを制限するようにしてもよい。本実施形態では、潤滑剤受け容器81がストッパー部材に当接した時に、上述のボルト孔の潤滑剤受け容器81の挿入方向の位置がちょうど一致するように設けられている。
これにより、潤滑剤受け容器81をガイド部82に挿入するだけでボルト孔の位置決めが行われ、潤滑剤受け容器81の取り付け、取り外し作業が簡易化される。
【0036】
このように、本実施の形態による巻上機100では、排出口75から滴下された潤滑剤を回収する潤滑剤受け容器81が、通しボルト91a,91bによって軸支台30に取り付けられている。このため、潤滑剤受け容器81を容易に取り外すことが可能であり、清掃時の作業性の向上を図ることが可能である。以下に、本実施形態の巻上機100に対して実際に清掃を行う際の手順の一例を例示する。
【0037】
例えば、潤滑剤受けカバー80を清掃する際には、まず上部潤滑剤受けカバー60と下部潤滑剤受けカバー70とを締結している締結具93を外す。上述のように、本実施の形態では、締結具93が軸受けカバー33の外周面近傍に配設されている。したがって、軸受カバー33とブレーキディスク50との隙間に手を差し込むこと無く締結具93の取り外し作業を行える。
なお、締結具93を外しても、下部潤滑剤受けカバー70は、掛け留め部73が締結具通しボルト91c,91dに引っ掛かることにより、落下が防止される。
【0038】
締結具93を外すと、下部潤滑剤受けカバー70のフランジ部72を手で持ち、下部潤滑剤受けカバー70を外に引き抜く。
次に上部潤滑剤受けカバー60の締結板63に配設された締結具94を外す。そして、例えば締結板63をつかんで上部に引き上げることにより、上部潤滑剤受けカバー60を取り外す。
上部潤滑剤受けカバー60には、締結板63が設けられているため、作業者は狭いスペースでも容易に取り外しを行うことが可能である。
【0039】
取り外した上部潤滑剤受けカバー60と下部潤滑剤受けカバー70の清掃を終えると、再びこれらを取り付ける。まず、下部潤滑剤受けカバー70を軸受カバー33とブレーキディスク50との間に差し入れ、掛け留め部73を通しボルト91c,92に引っ掛ける。
次いで、上部潤滑剤受けカバー60を軸受カバー33とブレーキディスク50との間に差し入れ、上部潤滑剤受けカバー60に設けた重ね代64を下部潤滑剤受けカバー70に嵌め合わせることにより、位置決めを行う。
【0040】
上部潤滑剤受けカバー60の位置決めを終えると、上部潤滑剤受けカバー60のフランジ部62と、下部潤滑剤受けカバー70のフランジ部72とを、締結具93により締結する。
そして、上部潤滑剤受けカバー60に配設された締結板63を、締結具94により軸受カバー33に締結する。
締結具93,94が軸受けカバー33の外周面近傍に配設されているため、上部潤滑剤受けカバー60及び下部潤滑剤受けカバー70の取り付け作業もまた容易である。
【0041】
また、潤滑剤受け容器81の清掃を行う場合には、軸受カバー34側から通しボルト91a,91bを抜く。これにより、潤滑剤受け容器81はガイド部82のガイド方向に移動可能とされる。
そして、潤滑剤受け容器81を引き抜くことにより、潤滑剤受け容器81を取り出す。本実施の形態においては、潤滑剤受け容器81をガイド部82によって軸受カバー33表面の面方向にガイドし、出し入れさせる構成とされている。このため、軸受カバー33とブレーキディスク50間の僅かな隙間であっても、潤滑剤受け容器81を軸受カバー33の面方向に引き抜く、または挿入することで、潤滑剤受け容器81を軸受台30から容易に脱着できる。
【0042】
なお、本実施の形態では、潤滑剤を受ける潤滑剤受けカバー80と、潤滑剤受け容器81、ガイド部82は、軸受台30とブレーキディスク50との間に配置されている。
このように、ブレーキディスク50のようなブレーキ機構と軸受台30との間に潤滑剤を回収する構成を配設すると、潤滑剤が駆動軸11を伝ってブレーキディスク50に達することが防止される。したがって、ブレーキ機能に対する安定した保守管理がサポートされる。
【0043】
また、軸受台20とモータ10との間に同様な構成を設け、軸受台20から漏れ出た潤滑剤を受けるようにしてもよい。この場合には、軸受台20から漏れ出た潤滑剤が駆動軸11を伝ってモータ10内に進入することが抑制され、モータ10の安定した動作の維持が容易となる。
また他にも、軸受台20と綱車40との間に同様な構成を設けてもよい。
【0044】
以上、本発明によるエレベータ用巻上機及びエレベータの実施の形態について説明した。本発明は上記実施の形態にとらわれることなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、考えられる種々の形態を含むものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0045】
1・・・エレベータ、10・・・モータ、11・・・駆動軸、12・・・突出部、20,30・・・軸受台、31・・・軸受、32・・・軸支部、32a,32b,32c,32d・・・突出部、33,34・・・軸受カバー、40・・・綱車、50・・・ブレーキディスク、60・・・上部潤滑剤受けカバー、61,71・・・軸覆部、62,72・・・フランジ部、63・・・締結板、64・・・重なり代、65・・・貫通孔、70・・・下部潤滑剤受けカバー、73・・・掛け留め部、75・・・排出口、80・・・潤滑剤受けカバー、81・・・潤滑剤受け容器、82・・・ガイド部、91a,91b,91c,91d,91e,91f,91g,91h・・・通しボルト、92・・・螺合部材、93,94,95・・・締結具、100・・・巻上機、101・・・マシンベース、110・・・昇降路、120・・・乗りかご、130・・・ロープ、140・・・釣り合い錘、150・・・反らせ車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸を回転させるモータと、
前記駆動軸に連動して回転する綱車と、
前記駆動軸を支える軸支部と、前記軸支部内に配設される軸受と潤滑剤とを封する軸受カバーと、を有する軸受台と、
前記軸受カバーに締結され、前記潤滑剤を排出する排出口を有し、前記軸受台から突出した前記駆動軸の外周を覆う潤滑剤受けカバーと、
前記排出口の下方に配設された潤滑剤受け容器と、
前記潤滑剤受け容器と、前記軸受台とを一体して締結する通しボルトと、
を備えた
巻上機。
【請求項2】
前記軸受カバーに対して前記通しボルトにより締結され、前記潤滑剤受けカバーの位置決めを行うガイド部を備える請求項1に記載の巻上機。
【請求項3】
前記潤滑剤受けカバーは、前記軸受台から突出した前記駆動軸の上部外周を覆う上部潤滑剤受けカバーと、前記軸受台から突出した前記駆動軸の下部外周を覆う下部潤滑剤受けカバーと、を備え、前記上部潤滑剤受けカバー及び前記下部潤滑剤受けカバーは、前記駆動軸の径方向外側へ突出するフランジ部に設けられた締結部により互いに締結される請求項1又は2に記載の巻上機。
【請求項4】
前記下部潤滑剤受けカバーは、前記軸受台から突出する突出部に掛け留めることのできる掛け留め部を備える請求項3に記載の巻上機。
【請求項5】
前記潤滑剤受け容器は、前記通しボルトに螺合するナットが固着されている請求項1〜4に記載の巻上機。
【請求項6】
前記ガイド部は、前記駆動軸の軸方向に垂直な方向に前記潤滑剤受け容器を案内する請求項2〜5に記載の巻上機。
【請求項7】
前記上部潤滑剤受けカバーは、上記駆動軸の回転面方向に延伸する締結板を備える請求項3〜6に記載の巻上機。
【請求項8】
昇降路内を昇降する乗りかごと、
前記乗りかごに対してロープを介して連結された釣り合い錘と、
前記ロープを巻き掛けることにより前記乗りかごを昇降させる巻上機と、
を含み、
前記巻上機は、駆動軸を回転させるモータと、前記駆動軸に連動して回転する綱車と、前記駆動軸を支える軸支部と、前記軸支部内に配設される軸受と潤滑剤とを封する軸受カバーと、を有する軸受台と、前記軸受カバーに締結され、前記潤滑剤を排出する排出口を有し、前記軸受台から突出した前記駆動軸の外周を覆う潤滑剤受けカバーと、前記排出口の下方に配設された潤滑剤受け容器と、前記潤滑剤受け容器と、前記軸受台とを一体して締結する通しボルトと、を備える
エレベータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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