説明

エレベータ群管理制御装置

【課題】従来技術においては、例えば、応答するカゴ表示の点でさらなる改善の余地がある。
【解決手段】実施形態のエレベータ群管理制御装置は、エレベータの複数のカゴから、各前記カゴの状態に応じて前記エレベータの乗場からの乗場呼び登録に応答する前記カゴを割り当てると共に当該応答するカゴを前記乗場に表示する制御を実行する。そして、エレベータ群管理制御装置は、前記乗場呼び登録がなされた階床に、前記応答するカゴ以外の前記カゴが先着すると予測され、当該先着するカゴの予測到着時間が予め設定される変更許容時間以上である場合に、当該先着するカゴを前記応答するカゴに変更し当該応答するカゴの表示を変更する応答カゴ変更制御を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータ群管理制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータの制御装置として、例えば、エレベータの複数のカゴから、各カゴの状態に応じて乗場からの呼び登録に応答する最適なカゴを割り当てると共に当該応答するカゴを乗場に表示する群管理制御を実行するエレベータ群管理制御装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−255913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来技術においては、例えば、乗場における応答するカゴ表示の点でさらなる改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のエレベータ群管理制御装置は、エレベータの複数のカゴから、各前記カゴの状態に応じて前記エレベータの乗場からの乗場呼び登録に応答する前記カゴを割り当てると共に当該応答するカゴを前記乗場に表示する制御を実行する。そして、エレベータ群管理制御装置は、前記乗場呼び登録がなされた階床に、前記応答するカゴ以外の前記カゴが先着すると予測され、当該先着するカゴの予測到着時間が予め設定される変更許容時間以上である場合に、当該先着するカゴを前記応答するカゴに変更し当該応答するカゴの表示を変更する応答カゴ変更制御を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、実施形態1に係る群管理制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、実施形態1に係るエレベータのカゴ呼び先着を説明する模式図である。
【図3】図3は、実施形態1に係る群管理制御装置におけるカゴ呼び先着検出処理の一例を説明するフローチャートである。
【図4】図4は、実施形態1に係る群管理制御装置における応答カゴ変更判断処理の一例を説明するフローチャートである。
【図5】図5は、実施形態2に係る群管理制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る群管理制御装置の機能構成を示すブロック図、図2は、実施形態1に係るエレベータのカゴ呼び先着を説明する模式図、図3は、実施形態1に係る群管理制御装置におけるカゴ呼び先着検出処理の一例を説明するフローチャート、図4は、実施形態1に係る群管理制御装置における応答カゴ変更判断処理の一例を説明するフローチャートである。
【0008】
図1に示すように、本実施形態のエレベータ群管理制御装置としての群管理制御装置1は、エレベータ群2を群管理し効率的な運行サービスを行うものである。ここでは、エレベータ群2は、A号機からD号機までの複数のエレベータ3からなり、複数のカゴ4がそれぞれ昇降路を昇降することで運行サービスを行う。なお、以下の説明では、エレベータ群2は、A号機からD号機の4つのエレベータ3を備えるものとして説明するが、これに限らず、2つ、あるいは3つを備えるものであってもよいし、5つ以上を備えるものであってもよい。また、以下の説明では、A号機からD号機の4つのエレベータ3は、特に断りのない限り、単にエレベータ3として説明する。
【0009】
各エレベータ3は、それぞれ、カゴ4、乗場呼びボタン(乗場呼び操作部)5、乗場表示部6、単体制御装置7等を含んで構成される。エレベータ3は、単体制御装置7によって各部の駆動が制御されてカゴ4が昇降路内を昇降することで、任意の目的階に移動することができるものである。
【0010】
カゴ4は、メインロープが接続され、建造物の鉛直方向に沿って設けられる昇降路内に配置され、この昇降路を昇降可能なものである。カゴ4は、当該カゴ4に対応して設けられる巻上機のシーブに巻き掛けられたメインロープを介してカウンタウェイトと連結されており、巻上機の駆動によるシーブの回転に伴い、カウンタウェイトとともに互いに上下反対方向に昇降する。カゴ4は、利用者による操作入力に応じていわゆるカゴ呼び登録等を行うカゴ呼びボタン(カゴ呼び操作部)やカゴ4内の荷重を検出する荷重検出器等を含んで構成される。
【0011】
乗場呼びボタン5は、例えば、カゴ4が着床可能な各エレベータ停止階床の各乗場8(図2参照)の扉9(図2参照)の脇にそれぞれ設けられ、利用者による操作入力に応じていわゆる乗場呼び登録等を行うものである。乗場表示部6は、乗場8からの乗場呼び登録に応答するカゴ4を乗場8に表示するためのものであり、例えば、各乗場8の扉9の脇にそれぞれ設けられた上下の予報灯(ホールランタン)10(図2参照)により構成される。
【0012】
単体制御装置7は、通常の形式の双方向コモン・バスにより相互に連結されたCPU(中央演算処理装置)、所定の制御プログラム等を予め記憶しているROM(Read Only Memory)、CPUの演算結果を一時記憶するRAM(Random Access Memory)、予め用意されたマップデータ、エレベータ3の仕様等の情報を記憶するバックアップRAM及び入出力ポート装置を有するマイクロコンピュータ及び駆動回路を備えている。単体制御装置7は、種々のセンサ、検出器や巻上機、カゴ4のカゴ呼びボタン、荷重検出器、乗場呼びボタン5、乗場表示部6等のエレベータ3の各部と電気的に接続され、エレベータ3単体の各部の動作を統括的に制御する。単体制御装置7は、例えば、カゴ呼びボタン、乗場呼びボタン5への利用者からの操作入力に応じて、巻上機の駆動を制御し、カゴ4を呼び登録に応じた指定の目的階に移動させる。
【0013】
上記のように構成される各エレベータ3は、利用者によりカゴ4のカゴ呼びボタン、乗場呼びボタン5等を介してカゴ4の呼び操作が行われた場合に、カゴ呼びボタン、乗場呼びボタン5から単体制御装置7にこれに応じたカゴ呼び登録信号、乗場呼び登録信号が入力され、単体制御装置7がこの呼び登録信号に応じてカゴ4のカゴ呼び登録、乗場呼び登録を行う。そして、単体制御装置7は、このカゴ呼び登録信号、乗場呼び登録信号、種々のセンサ、検出器からの出力、カゴ4の現在の移動方向(昇降方向)等に基づいた後述の群管理制御装置1からの割り当てに応じて、巻上機を駆動制御し、カゴ4を目的の階床へと移動させる。これにより、各エレベータ3は、カゴ4が昇降路内を鉛直方向上下に昇降移動し、任意の目的階の乗場8に移動する。そして、各エレベータ3は、カゴ4が目的階の乗場8に着床し、所定の着床位置に着床したことが検出されると、その後、単体制御装置7が扉9を開放する。これにより、乗場8で待機している利用者は、カゴ4内に乗り込むことが可能となり、また、カゴ4内の利用者は乗場8に降りることが可能となる。
【0014】
そして、群管理制御装置1は、通常の形式の双方向コモン・バスにより相互に連結されたCPU(中央演算処理装置)、所定の制御プログラム等を予め記憶しているROM(Read Only Memory)、CPUの演算結果を一時記憶するRAM(Random Access Memory)、予め用意されたマップデータ、エレベータ3の仕様等の情報を記憶するバックアップRAM及び入出力ポート装置を有するマイクロコンピュータ及び駆動回路を備えている。群管理制御装置1は、複数のエレベータ3の各単体制御装置7と相互に検出信号や駆動信号、制御指令等の情報の通信、授受を行い、エレベータ群2を群管理する。
【0015】
群管理制御装置1は、例えば、各エレベータ3の複数のカゴ4から、各カゴ4の状態に応じてエレベータ3の乗場8からの乗場呼び登録に応答する最適なカゴ4を割り当てると共にこの応答するカゴ4を乗場8に表示する群管理制御を実行する。
【0016】
群管理制御装置1は、例えば、カゴ呼び登録信号、乗場呼び登録信号、種々のセンサ、検出器からの出力、カゴ4の現在位置及び移動方向(昇降方向)、これから発生すると予測される乗場呼び、カゴ呼び、予測される行先階等の各エレベータ3、各カゴ4の状態に基づいて、発生した呼びに対して所定の評価演算を行う。そして、群管理制御装置1は、この所定の評価演算に応じて、各カゴ4が合理的に移動しながらそれぞれの呼びに最適に応答するように、カゴ4の着床順序等を定めて各呼びに応答するカゴ4(以下、「応答カゴ4」という場合がある。)を割り当てて、応答カゴ4を決定する割当処理を行い、複数のカゴ4の運行を効率的に割り振り、エレベータ群2全体として効率的な運行サービスを行う。群管理制御装置1は、乗場8からの乗場呼び登録に応答するカゴ4を割り当てると、この応答カゴ4に対応した乗場8に設けられた予報灯10を即時に点灯し、どの号機が今回の乗場呼びに応答するのかを乗場8に表示し報知する。
【0017】
そして、本実施形態の群管理制御装置1は、乗場8からの乗場呼び登録がなされた際に、所定の条件下で応答カゴ変更制御を実行することで、乗場8により適正に応答するカゴ4を表示することが可能となる。
【0018】
すなわち、本実施形態の群管理制御装置1は、乗場8からの乗場呼び登録がなされた際、乗場呼び登録がなされた階床(以下、「乗場呼び登録階床」という場合がある。)に、上記のようにして一旦割り当てられた応答カゴ4以外のカゴ4が先着すると予測され、この先着するカゴ4(以下、「先着カゴ4」という場合がある。)の予測到着時間(乗場呼び登録階床までの予測応答時間)が予め設定される変更許容時間以上である場合に、この先着カゴ4を応答カゴ4に変更すると共に、各乗場8の予報灯10の点灯状態を変更し、応答カゴ4の表示を変更する応答カゴ変更制御を実行する。一方、群管理制御装置1は、先着カゴ4の予測到着時間が変更許容時間より短い場合、応答カゴ変更制御を禁止し、すなわち、先着カゴ4を応答カゴ4に変更することを禁止し、応答カゴ4の表示を変更することを禁止する。
【0019】
ここで、変更許容時間は、例えば、応答カゴ4を切り替えて乗場8の応答カゴ4の表示を切り替えた場合に、これに応じて利用者が変更後の応答カゴ4に対応した乗場8まで移動し、適切にこの変更後の応答カゴ4に乗り込むことが可能な時間等に応じて予め設定され記憶されている。すなわち、変更許容時間は、応答カゴ4を変更したと仮定した場合に、応答カゴ4の表示を切り替えてから利用者が変更後の応答カゴ4に対応した乗場8に向かって移動し到着するまでの予測移動時間に応じて設定される。つまり、群管理制御装置1は、乗場8からの乗場呼び登録がなされた際、一旦、この乗場呼び登録に応答する応答カゴ4を割り当てた後に先着カゴ4が生じた場合に、この利用者の予測移動時間を踏まえて、実際に応答カゴ4を切り替えて表示を切り替えるか否かを判定する。
【0020】
すなわち、この群管理制御装置1は、乗場8からの乗場呼び登録がなされた際、一旦、この乗場呼び登録に応答する応答カゴ4を割り当てた後に先着カゴ4が生じた場合に、この先着カゴ4が実際に乗場呼び登録階床に着床するまでの時間として、応答カゴ4の表示を切り替えてから利用者が変更後の応答カゴ4に対応した乗場8に移動し到着するまでの移動時間を確保できるか否かを判定する。そして、群管理制御装置1は、上記移動時間を確保できる場合に実際に各乗場8の予報灯10の点灯状態を変更し、応答カゴ4の表示を変更する一方、上記移動時間を確保できない場合に各乗場8の予報灯10の点灯状態をそのままで維持し応答カゴ4の表示の変更を行わない。さらに言い換えれば、群管理制御装置1は、乗場8からの乗場呼び登録がなされた際に、一旦、この乗場呼び登録に応答する応答カゴ4を割り当てた後に先着カゴ4が生じた場合には、先着カゴ4の中から上記移動時間を確保できるカゴ4を応答カゴ4とする。
【0021】
具体的には、群管理制御装置1は、図1に例示するように、乗場呼び検出処理部11、割当処理部12、乗場表示制御処理部13、カゴ呼び先着検出処理部14、応答カゴ変更判断処理部15等の各機能構成を備える。これらの機能構成は、例えば、群管理制御装置1のプログラムROMなどに格納されたプログラムが演算装置(CPU)によって読み出され、群管理制御装置1のメインメモリ上にロードされることによって実現される。なお、これらの機能構成は、必ずしも全ての機能構成を群管理制御装置1において実現する必要はなく、複数のハードウェア上で分散して実現するようにしてもよい。
【0022】
乗場呼び検出処理部11は、乗場8からの乗場呼び登録がなされた際に、各号機の各単体制御装置7における乗場呼び登録情報を検出するものである。各号機の乗場8で乗場呼びボタン5を介して乗場呼び登録がなされると、各乗場呼び登録情報は、乗場呼びボタン5から単体制御装置7を経由して乗場呼び検出処理部11に入力される。そして、乗場呼び検出処理部11は、各号機の乗場呼び登録情報を割当処理部12に出力する。
【0023】
割当処理部12は、乗場8からの乗場呼び登録がなされた際に、乗場呼び検出処理部11から入力される各号機の乗場呼び登録情報、各単体制御装置7から入力される各カゴ4のカゴ運行情報等に基づいて、当該乗場呼び登録に応答する最適な応答カゴ4を判断して割り当てるものである。割当処理部12は、上述したように、例えば、カゴ呼び登録信号、乗場呼び登録信号、種々のセンサ、検出器からの出力、カゴ4の現在位置及び移動方向(昇降方向)、これから発生すると予測される乗場呼び、カゴ呼び、予測される行先階等の各エレベータ3、各カゴ4の状態に基づいて、当該乗場呼び登録に対する応答カゴ4を割り当てる。そして、割当処理部12は、割り当てた応答カゴ4に対応するいずれかの単体制御装置7に対して、該当する乗場呼び登録に応答するように応答指令を出力する。これにより、単体制御装置7は、割当処理部12から入力される応答指令に基づいて、該当する応答カゴ4を乗場呼び登録階床に移動させ着床させる。このとき、割当処理部12は、応答指令の出力と共に、ほぼ同時に乗場表示制御処理部13に応答カゴ情報を出力する。
【0024】
乗場表示制御処理部13は、各乗場8の乗場表示部6の駆動を制御するものである。乗場表示制御処理部13は、割当処理部12から入力される応答カゴ情報に基づいて、割り当てられた応答カゴ4に対応するいずれかの単体制御装置7に対して、乗場呼びに応答する応答カゴ4を乗場8に表示するように表示指令を出力する。これにより、単体制御装置7は、乗場表示制御処理部13から入力される表示指令に基づいて、該当する応答カゴ4に対応した乗場8の予報灯10を点灯する。
【0025】
カゴ呼び先着検出処理部14は、各カゴ4のカゴ運行情報に基づいて、乗場呼び登録階床に対して応答カゴ4以外のカゴ4が先に応答することを検出するものである。ここで、一旦割り当てられた応答カゴ4以外のカゴ4が乗場呼び登録階床に先着する現象は、例えば、利用者の操作による変動要因等によって、乗場呼び登録時の予測の運行状態と、実際の運行状態との差が大きくなった際等に生じることがある。一旦割り当てられた応答カゴ4以外のカゴ4が乗場呼び登録階床に先着すると予測される場合としては、例えば、所定の条件下にてカゴ4内でカゴ呼びボタンを介して乗場呼び登録階床がカゴ呼び登録された場合等があげられる。
【0026】
例えば、図2に例示するように、利用者が乗場呼びボタン5を操作しDN(下降)方向の乗場呼びを登録し、この乗場呼び登録に対して、A号機が応答カゴ4として割り当てられて、このA号機の乗場8のDN方向の予報灯10が点灯されたとする。そして、A号機の乗場8の予報灯10が点灯された後、各カゴ4の運転状況が変化し、D号機のカゴ4内でのカゴ呼びに起因してこのD号機のカゴ4が現在の応答カゴ4より先に乗場呼び登録階床に対してDN方向で先着することとなったとすると、応答カゴ4をA号機のカゴ4からD号機のカゴ4に変更しないと、D号機のカゴ4が先着するにもかかわらず、A号機の乗場8の予報灯10の点灯によって、利用者がA号機のカゴ4を待つことになり、結果的に相対的に長く待たされることとなるおそれがある。また、利用者がA号機、D号機のいずれのカゴ4に乗車したとしても、乗車されなかった他方のカゴ4が無駄応答となってしまうので、エレベータ群2全体での運転効率が悪化してしまうおそれがある。
【0027】
また、このような群管理制御装置1は、カゴ運行状況の予測に際して、乗場呼び登録時に、発生しうるカゴ呼びも予測する場合があるが、仮に、利用者が当初割り当てられた応答号機であるA号機のカゴ4ではなく、先着したD号機のカゴ4に乗車してしまうと、A号機のカゴ4に登録されると予測されていたカゴ呼びが、実際にはA号機のカゴ4に登録されず、かわりに、カゴ呼びが登録されないはずのD号機のカゴ4に登録されてしまうこととなり、その後の実際の運行状況が予測の運行状況に対してさらに大きく異なってしまうおそれがある。
【0028】
また、上記のような例示で、例えば、応答カゴ4をA号機からD号機に変更し、A号機の予報灯10を消灯し、D号機の予報灯10を点灯した場合、利用者は、D号機の予報灯10の点灯にしたがってA号機の乗場8からD号機の乗場8まで移動することとなる。このとき、利用者のD号機の乗場8への移動が完了する前に、D号機のカゴ4が乗場呼び登録階床に対する応答を完了させてしまうと、D号機の予報灯10の点灯によって、D号機の乗場8に向かって移動していた利用者は、予報灯10にしたがってカゴ4の到着を待ったにもかかわらず、急に応答カゴ4が変更された上に、結局、乗車できなかったことで、不快感が生じるおそれがある。
【0029】
そこで、本実施形態の群管理制御装置1は、乗場8からの乗場呼び登録がなされた際に、カゴ呼び先着検出処理部14、応答カゴ変更判断処理部15によって所定の条件下で応答カゴ変更制御を実行することで、利用者の移動時間を加味して応答カゴ4を変更し、余裕を持って予報灯10により利用者を誘導することが可能となり、これにより、利用者の不快感を低減させつつ、応答カゴ4の変更を行う。
【0030】
本実施形態のカゴ呼び先着検出処理部14は、典型的には、各カゴ4のカゴ運行情報に基づいて、各カゴ4内でのカゴ呼びによって応答カゴ4より先に乗場呼び登録階床に到着する先着カゴ4、いわゆる、カゴ呼び先着による先着カゴ4が発生したか否かを判定する。カゴ呼び先着検出処理部14は、各カゴ4のカゴ運行情報を監視し、登録された乗場呼びと同じ方向に移動するカゴ4であって、該当する乗場呼び登録階床にカゴ呼びで先着するカゴ4に対して、現在位置から乗場呼び登録階床(すなわち、カゴ呼び先着階床)までに未応答の乗場呼びがなく、追加されるカゴ呼び等による予想到着時間の変動がないと推定される場合に、カゴ呼び先着が発生すると予測する。そして、カゴ呼び先着検出処理部14は、乗場呼び登録階床にカゴ呼び先着する先着号機とその先着カゴ4の予測到着時間を決定、算出し、先着号機、予測到着時間の情報を含むカゴ呼び先着発生情報を応答カゴ変更判断処理部15に出力する。なお、カゴ呼び先着検出処理部14は、応答カゴ4より先に乗場呼び登録階床に到着するカゴ4の有無を判定できるものであればよく、カゴ呼び先着以外にも、例えば、扉9の開き時間延長や乗場呼び登録の追加等に起因して発生する先着カゴ4の有無を判定するようにしてもよい。
【0031】
ここで、図3のフローチャートを参照してカゴ呼び先着検出処理部14によるカゴ呼び先着検出処理の一例を説明する。
【0032】
まず、カゴ呼び先着検出処理部14は、複数のカゴ4のうち、カゴ呼び先着を判定する対象のカゴ4が乗場呼びに対する応答カゴ4ではなく、かつ、該当する乗場呼びと同方向で運転中であるか否かを判定する(ST1)。
【0033】
カゴ呼び先着検出処理部14は、カゴ呼び先着を判定する対象のカゴ4が乗場呼びに対する応答カゴ4ではなく、かつ、該当する乗場呼びと同方向で運転中であると判定した場合(ST1:Yes)、カゴ呼び先着を判定する対象のカゴ4において該当する乗場呼びと同一階にカゴ呼びが登録されているか否かを判定する(ST2)。
【0034】
カゴ呼び先着検出処理部14は、カゴ呼び先着を判定する対象のカゴ4において該当する乗場呼びと同一階にカゴ呼びが登録されていると判定した場合(ST2:Yes)、カゴ呼び先着を判定する対象のカゴ4のほうが、乗場呼び登録がなされた際に割当処理部12によって割り当てられた応答カゴ4より、乗場呼び登録階床への予測到着時間が短いか否かを判定する(ST3)。
【0035】
カゴ呼び先着検出処理部14は、カゴ呼び先着を判定する対象のカゴ4のほうが、乗場呼び登録階床への予測到着時間が短いと判定した場合(ST3:Yes)、カゴ呼び先着を判定する対象のカゴ4が予め設定される位置より乗場呼び登録階床に近い位置にあり、今後も乗場呼びが追加発生する可能性が低いか否かを判定する(ST4)。カゴ呼び先着検出処理部14は、例えば、乗場呼びの単位時間あたりの発生頻度等を統計データとして学習し、カゴ呼び先着を判定する対象のカゴ4の現在位置、判定対象時間帯、これに応じた乗場呼びの発生確率等を元に、カゴ呼び先着を判定する対象のカゴ4が今後も乗場呼びが追加発生する可能性が低いか否かを判定する。
【0036】
カゴ呼び先着検出処理部14は、カゴ呼び先着を判定する対象のカゴ4が今後も乗場呼びが追加発生する可能性が低いと判定した場合(ST4:Yes)、カゴ呼び先着を判定する対象としたカゴ4を応答カゴ変更要求候補とし(ST5)、カゴ呼び先着の判定を群管理制御対象の全カゴ4に対して確認したか否かを判定する(ST6)。
【0037】
カゴ呼び先着検出処理部14は、ST1にて、カゴ呼び先着を判定する対象のカゴ4が乗場呼びに対する応答カゴ4である、あるいは、カゴ呼び先着を判定する対象のカゴ4が該当する乗場呼びと逆方向で運転中であると判定した場合(ST1:No)、ST2にて、カゴ呼び先着を判定する対象のカゴ4において該当する乗場呼びと同一階にカゴ呼びが登録されていないと判定した場合(ST2:No)、ST3にて、カゴ呼び先着を判定する対象のカゴ4のほうが、乗場呼び登録階床への予測到着時間がながいと判定した場合(ST3:No)、ST4にて、カゴ呼び先着を判定する対象のカゴ4が今後、乗場呼びが追加発生する可能性が高いと判定した場合(ST4:No)、カゴ呼び先着の判定を群管理制御対象の全カゴ4に対して確認したか否かを判定する(ST6)。
【0038】
カゴ呼び先着検出処理部14は、カゴ呼び先着の判定を群管理制御対象の全カゴ4に対して確認していないと判定した場合(ST6:No)、ST1に戻って以降の判断を繰り返し実行する。カゴ呼び先着検出処理部14は、カゴ呼び先着の判定を群管理制御対象の全カゴ4に対して確認したと判定した場合(ST6:Yes)、このカゴ呼び先着検出処理を終了する。
【0039】
図1に戻って、応答カゴ変更判断処理部15は、上記のようにしてカゴ呼び先着検出処理部14から入力される先着号機、予測到着時間の情報を含むカゴ呼び先着発生情報に基づいて、カゴ呼び先着検出処理部14が応答カゴ変更要求候補として検出したカゴ呼び先着カゴ4の乗場呼び登録階床への予測到着時間が変更許容時間以上確保される場合に、応答カゴ4の変更を要求する応答カゴ変更要求を割当処理部12に出力する。
【0040】
ここで、図4のフローチャートを参照して応答カゴ変更判断処理部15による応答カゴ変更判断処理の一例を説明する。
【0041】
まず、応答カゴ変更判断処理部15は、複数のカゴ4のうち、応答カゴ変更を判定する対象のカゴ4がカゴ呼び先着検出処理部14によって応答カゴ変更要求候補であるとされた先着カゴ4であるか否かを判定する(S21)。
【0042】
応答カゴ変更判断処理部15は、応答カゴ変更を判定する対象のカゴ4が応答カゴ変更要求候補の先着カゴ4であると判定した場合(ST21:Yes)、応答カゴ変更を判定する対象のカゴ4の乗場呼び登録階床への予測到着時間が変更許容時間以上確保されるか否かを判定する(ST22)。
【0043】
応答カゴ変更判断処理部15は、応答カゴ変更を判定する対象のカゴ4の乗場呼び登録階床への予測到着時間が変更許容時間以上確保されると判定した場合(ST22:Yes)、応答カゴ変更を判定する対象のカゴ4が応答カゴ変更要求候補の先着カゴ4の中で、乗場呼び登録階床への予測到着時間が最短であるか否かを判定する(ST23)。
【0044】
応答カゴ変更判断処理部15は、応答カゴ変更を判定する対象のカゴ4が応答カゴ変更要求候補の先着カゴ4の中で、乗場呼び登録階床への予測到着時間が最短であると判定した場合(ST23:Yes)、この応答カゴ変更を判定する対象のカゴ4を応答カゴ変更要求する先着カゴ4であるものとし(ST24)、応答カゴ変更の判定を応答カゴ変更要求候補の全カゴ4に対して確認したか否かを判定する(ST25)。
【0045】
応答カゴ変更判断処理部15は、ST21にて、応答カゴ変更を判定する対象のカゴ4が応答カゴ変更要求候補の先着カゴ4でないと判定した場合(ST21:No)、ST22にて、応答カゴ変更を判定する対象のカゴ4の乗場呼び登録階床への予測到着時間が変更許容時間以上確保されないと判定した場合(ST22:No)、ST23にて、応答カゴ変更を判定する対象のカゴ4が応答カゴ変更要求候補の先着カゴ4の中で、乗場呼び登録階床への予測到着時間が最短でないと判定した場合(ST23:No)、応答カゴ変更の判定を応答カゴ変更要求候補の全カゴ4に対して確認したか否かを判定する(ST25)。
【0046】
応答カゴ変更判断処理部15は、応答カゴ変更の判定を応答カゴ変更要求候補の全カゴ4に対して確認していないと判定した場合(ST25:No)、ST21に戻って以降の判断を繰り返し実行する。応答カゴ変更判断処理部15は、応答カゴ変更の判定を応答カゴ変更要求候補の全カゴ4に対して確認したと判定した場合(ST25:Yes)、この応答カゴ変更判断処理を終了する。
【0047】
そして、割当処理部12は、応答カゴ変更判断処理部15から入力される応答カゴ変更要求に基づいて、応答指令と応答カゴ情報とを変更し、各単体制御装置7を介して応答カゴ変更要求する先着カゴ4を新たな応答カゴ4に変更し、乗場表示制御処理部13、各単体制御装置7を介して最初に割り当てられていた応答カゴ4に対応した乗場8の乗場表示部6の予報灯10を消灯し、新たに割り当てられた変更後の応答カゴ4に対応した乗場8の乗場表示部6の予報灯10を点灯する。
【0048】
したがって、この群管理制御装置1は、乗場8からの乗場呼び登録がなされた際に、一旦、割り当てられた応答カゴ4よりも、乗場呼び登録階床に、先に到着すると予測される先着カゴ4の予測到着時間が変更許容時間以上である場合に、応答カゴ変更制御を実行することで、利用者の移動時間を加味して応答カゴ4を変更し、予報灯10により、余裕を持って利用者を変更後の応答カゴ4の乗場8に誘導することができることから、乗場8により適正に応答するカゴ4を表示することができる。これにより、この群管理制御装置1は、利用者の不快感を低減させつつ、応答カゴ4の変更を行い、運行効率を向上することができ、応答カゴ4の変更を行った上で、利用者の不快感の低減と運行効率の向上とを両立することができる。
【0049】
すなわち、群管理制御装置1は、乗場呼び登録に対して、一旦応答カゴ4が割り当てられ、対応する乗場8の予報灯10が点灯された後、各カゴ4の運転状況が変化し所定の条件を満たす先着カゴ4が発生した際に、先着カゴ4を応答カゴ4に変更することで、利用者がカゴ4を待つ時間を相対的に短くすることができる。またこれにより、群管理制御装置1は、例えば、変更前の応答カゴ4か先着カゴ4のどちらかが無駄応答となってしまうことを防止することができ、この結果、エレベータ群2全体での運転効率を向上することができる。また、群管理制御装置1は、所定の条件を満たす先着カゴ4が発生した際にこの先着カゴ4を応答カゴ4に変更することで、例えば、予測されていたカゴ呼びが変更前の応答カゴ4に登録されずに、かわりに、カゴ呼びが登録されないはずの先着カゴ4に登録されてしまうことで、その後の実際の運行状況が予測の運行状況に対してさらに大きく異なってしまうような事態が生じることを抑制することができ、例えば、他の乗場呼びに対して悪影響を与えてしまうことを抑制することができる。
【0050】
そしてこのとき、群管理制御装置1は、先着カゴ4の予測到着時間が変更許容時間以上であることを条件として、先着カゴ4を応答カゴ4に変更し、乗場8の応答カゴ4の表示を変更することで、利用者の変更後の応答カゴ4に対応する乗場8への移動が完了する前に、応答カゴ4が乗場呼び登録階床に対する応答を完了させてしまうことを抑制することができ、利用者の不快感を低減することができる。これにより、群管理制御装置1は、予報灯10の点灯が変更されることによって、変更された乗場8に向かって移動した利用者が、応答カゴ4に乗車することができない事態が生じることを抑制することができ、また、応答カゴ4に乗り込めずに、再度、乗場呼びがなされることを抑制することができ、この点でもエレベータ群2全体での運転効率を向上することができる。
【0051】
上記のように構成される群管理制御装置1は、エレベータ3の複数のカゴ4から、各カゴ4の状態に応じてエレベータ3の乗場8からの乗場呼び登録に応答するカゴ4を割り当てると共にこの応答するカゴ4を乗場8に表示する群管理制御を実行し、乗場呼び登録がなされた階床に、応答するカゴ4以外のカゴ4が先着すると予測され、先着するカゴ4の予測到着時間が予め設定される変更許容時間以上である場合に、この先着するカゴ4を応答するカゴ4に変更し、この応答するカゴ4の表示を変更する応答カゴ変更制御を実行する。
【0052】
したがって、群管理制御装置1は、利用者の不快感の低減と運行効率の向上とを両立することができ、より適正に乗場8に応答するカゴ4を表示することができる。
【0053】
なお、以上で説明した変更許容時間は、種々の条件に応じて変更されてもよい。例えば、応答カゴ変更判断処理部15は、一般乗場呼び、車椅子乗場呼び等の乗場呼びの種類に応じて変更許容時間を変更してもよい。これにより、群管理制御装置1は、例えば、車椅子乗場呼びがなされた場合に、一般乗場呼びがなされた場合と比較して、変更許容時間を相対的に長めに設定することで、予測される利用者の移動速度(移動時間)の差異に対応して、適正な変更許容時間を設定することができ、よって、応答カゴ4の変更精度を向上し、より好適に利用者の不快感の低減と運行効率の向上とを両立することができる。
【0054】
また、応答カゴ変更判断処理部15は、例えば、応答カゴ変更制御により変更する前の応答カゴ4に対応した乗場8と、先着カゴ4に対応した乗場8との位置関係に基づいて、変更許容時間を変更するようにしてもよい。変更前の応答カゴ4に対応した乗場8から変更後の応答カゴ4に対応した乗場8までの移動時間は、典型的には、2つの乗場8の平面図上の位置関係に応じて変化する傾向にある。例えば、図2に示すように、変更前の応答カゴ4がA号機である場合、変更後の応答カゴ4がB号機であれば、利用者の移動距離は距離L1であるのに対して、変更後の応答カゴ4がD号機であれば、利用者の移動距離は距離L1よりも長い距離L2となり、その分、利用者の移動時間が長くなる傾向にある。
【0055】
このため、応答カゴ変更判断処理部15は、例えば、変更許容時間補正処理として、2つの乗場8間の距離が相対的に長い場合に変更許容時間を相対的に長くする一方、2つの乗場8間の距離が相対的に短い場合に、変更許容時間を相対的に短くする。言い換えれば、応答カゴ変更判断処理部15は、先着カゴ4の予測到着時間と変更許容時間とを比較する場合に、変更前の応答カゴ4と先着カゴ4との組み合わせに応じて変更許容時間を変更する。これにより、群管理制御装置1は、例えば、変更前の応答カゴ4に対応した乗場8と、先着カゴ4に対応した乗場8との位置関係に基づいて、適正な変更許容時間を設定することができ、よって、応答カゴの変更精度を向上し、より好適に利用者の不快感の低減と運行効率の向上とを両立することができる。
【0056】
また、応答カゴ変更判断処理部15は、例えば、変更許容時間学習処理として、応答カゴ4が乗場呼び登録がなされた階床に着床し、この応答カゴ4の扉9が開いた時点からこの応答カゴ4の荷重が変化する時点までの時間に基づいて、変更許容時間を学習するようにしてもよい。応答カゴ変更判断処理部15は、例えば、カゴ4の荷重検出器による荷重の検出結果等に基づいて、応答カゴ4の扉9が開いた時点からこの応答カゴ4の荷重が変化する時点までの時間を検出する。この応答カゴ4の扉9が開いた時点からこの応答カゴ4の荷重が変化する時点までの時間は、乗場呼び応答時に、利用者が実際に応答カゴ4に乗り込むために要した所要時間に応じた時間となる傾向にある。このため、応答カゴ変更判断処理部15は、例えば、変更許容時間学習処理として、応答カゴ4が乗場呼び登録がなされた階床に着床し、この応答カゴ4の扉9が開いた時点からこの応答カゴ4の荷重が変化する時点までの時間に基づいて、変更許容時間を学習することで、より適正な変更許容時間を設定することができ、よって、応答カゴの変更精度を向上し、より好適に利用者の不快感の低減と運行効率の向上とを両立することができる。
【0057】
[実施形態2]
図5は、実施形態2に係る群管理制御装置の機能構成を示すブロック図である。実施形態2に係るエレベータ群管理制御装置は、応答指令抑制処理部を備える点で実施形態1とは異なる。その他、上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略する。
【0058】
図5に示す本実施形態のエレベータ群管理制御装置としての群管理制御装置201は、応答カゴ変更制御により変更された後の応答カゴ4が他の乗場呼び登録に応答することを禁止する。具体的には、群管理制御装置201は、乗場呼び検出処理部11、割当処理部12、乗場表示制御処理部13、カゴ呼び先着検出処理部14、応答カゴ変更判断処理部15等に加え、さらに応答指令抑制処理部216の各機能構成を備える。
【0059】
応答指令抑制処理部216は、応答カゴ変更制御により変更された後に所定の条件に応じて割当処理部12による応答指令を抑制するものである。応答指令抑制処理部216は、応答カゴ変更判断処理部15から入力される応答カゴ変更要求、割当処理部12から入力される候補カゴ情報等に基づいて、応答カゴ変更制御により応答カゴ4が変更された場合、この変更後の応答カゴ4が他の乗場呼び登録に応答することを禁止し、変更後の応答カゴ4に対し、乗場呼び登録階床までの順方向の乗場呼びに対する応答指令の追加を抑制する。
【0060】
ここで、候補カゴ情報とは、応答カゴ4の変更後に新たに発生した他の乗場呼び登録に応答する候補のカゴ4に関する情報である。割当処理部12は、応答カゴ4の変更後に新たに発生した他の乗場呼び登録に応答する候補のカゴ4を選んだ際に、この候補カゴ情報を応答指令抑制処理部216に出力する。そして、応答指令抑制処理部216は、候補カゴ情報に応じた候補のカゴ4が、新たな応答カゴ4とする先着カゴ4であり、新たに生じた乗場呼びがこの先着カゴ4の現在位置から乗場呼び登録階床までの順方向の乗場呼びであった場合には、この候補のカゴ4が新たに生じた他の乗場呼び登録に応答することを許可しない旨の応答許可情報を割当処理部12に出力する。割当処理部12は、応答指令抑制処理部216から入力される応答許可情報に基づいて、候補のカゴ4による応答が許可されなかった場合には、この候補のカゴ4以外のカゴ4に対する応答指令と応答カゴ情報を出力する。これにより、群管理制御装置201は、応答カゴ変更制御により変更された後の応答カゴ4が他の乗場呼び登録に応答することを禁止することができる。
【0061】
上記のように構成される群管理制御装置201は、利用者の不快感の低減と運行効率の向上とを両立することができ、より適正に乗場8に応答するカゴ4を表示することができる。そして、本実施形態の群管理制御装置201は、上記のように応答カゴ変更制御により変更された後の応答カゴ4が他の乗場呼び登録に応答することを禁止することで、応答カゴ4の変更後に新たに登録された乗場呼びによって、再び先着カゴ4が変化してしまうことを防止することができ、これにより、より好適に利用者の不快感の低減と運行効率の向上とを両立することができる。
【0062】
以上で説明した実施形態、変形例に係るエレベータ群管理制御装置によれば、より適正に乗場に応答するカゴを表示することができる。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0064】
1、201 群管理制御装置(エレベータ群管理制御装置)
2 エレベータ群
3 エレベータ
4 カゴ
5 乗場呼びボタン
6 乗場表示部
7 単体制御装置
8 乗場
9 扉
10 予報灯
11 乗場呼び検出処理部
12 割当処理部
13 乗場表示制御処理部
14 カゴ呼び先着検出処理部
15 応答カゴ変更判断処理部
216 応答指令抑制処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの複数のカゴから、各前記カゴの状態に応じて前記エレベータの乗場からの乗場呼び登録に応答する前記カゴを割り当てると共に当該応答するカゴを前記乗場に表示する制御を実行し、
前記乗場呼び登録がなされた階床に、前記応答するカゴ以外の前記カゴが先着すると予測され、当該先着するカゴの予測到着時間が予め設定される変更許容時間以上である場合に、当該先着するカゴを前記応答するカゴに変更し当該応答するカゴの表示を変更する応答カゴ変更制御を実行することを特徴とする、
エレベータ群管理制御装置。
【請求項2】
前記応答カゴ変更制御により変更された後の前記応答するカゴが他の乗場呼び登録に応答することを禁止する、
請求項1に記載のエレベータ群管理制御装置。
【請求項3】
前記応答カゴ変更制御により変更する前の前記応答するカゴに対応した前記乗場と、前記先着するカゴに対応した前記乗場との位置関係に基づいて、前記変更許容時間を変更する、
請求項1又は請求項2に記載のエレベータ群管理制御装置。
【請求項4】
前記応答カゴ変更制御により変更された後の前記応答するカゴが前記乗場呼び登録がなされた階床に着床し、当該カゴの扉が開いた時点から当該カゴの荷重が変化する時点までの時間に基づいて、前記変更許容時間を学習する、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のエレベータ群管理制御装置。
【請求項5】
前記予測到着時間が前記変更許容時間より短い場合に、前記応答カゴ変更制御を禁止する、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のエレベータ群管理制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−180185(P2012−180185A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44265(P2011−44265)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】