説明

エレベータ

【課題】誤登録を十分に防止しながら、指先で行き先階釦を操作することが困難な利用者が乗りかご内の利用者の有無に関わらず簡便に音声による行き先階登録を行なうことができるエレベータを提供することである。
【解決手段】エレベータ10は、フットスイッチ21と、マイクスピーカ22と、マイクスピーカ22により取得された音声に基づいて行き先階登録を行なう制御装置30とを備える。制御装置30は、フットスイッチ21が操作されているか否かを判定する判定手段31と、判定手段31によりフットスイッチ21が操作されていると判定されたときに、マイクスピーカ22のマイクを起動して音声を取得させ、取得した音声に基づいて行き先階登録を行なう音声登録手段32とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータに関し、より詳しくは、かご内操作盤の操作による行き先階登録に基づいて、乗りかごの昇降運転を制御する制御装置を備えたエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータは、乗場操作盤の呼び登録釦の操作による乗場呼び登録に基づいて乗りかごを乗場に停止させ、かご内操作盤の行き先階釦の操作による行き先階登録に基づいて目的階床の乗場に乗りかごを移動させる昇降装置である。ここで、乗場操作盤やかご内操作盤は、利用者が手指で操作し易い高さに設けられてため、荷物等で両手がふさがった利用者にとって、その操作は容易ではない。例えば、肘等で複数並んで配置された行き先階釦を操作しようとしても、誤って目的階床以外の釦を押してしまうことがある。
また、視覚障害のある利用者にとっても、複数の行き先階釦の中から目的階床の釦を操作することは容易ではない。
【0003】
このような状況に鑑みて、音声による行き先階登録が可能なエレベータが提案されている。例えば、特許文献1には、かご内秤装置によって乗客が1人であることが検出されたときに音声による行き先階登録を可能にしながら、いたずらによる登録を防止できるエレベータ音声行き先階登録装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009‐203038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献に開示されたエレベータでは、両手のふさがった利用者が乗りかご内に1人でいる場合に、音声による行き先階登録を行なうことができる。しかしながら、乗りかご内に利用者が複数いる場合にも音声による行き先階登録を実施できる方が、両手がふさがった利用者や視覚障害のある利用者にとって便利である。なお、利用者の話声やいたずら等による誤登録は十分に防止する必要がある。
【0006】
即ち、本発明の目的は、誤登録を十分に防止しながら、指先で行き先階釦を操作することが困難な利用者が乗りかご内の利用者の有無に関わらず簡便に音声による行き先階登録を行なうことができるエレベータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るエレベータは、かご内操作盤の操作による行き先階登録に基づいて、乗りかごの昇降運転を制御する制御装置を備えたエレベータにおいて、少なくとも乗りかご内の床面又は壁面下部に設置されたフットスイッチと、フットスイッチが操作されたときに音声を取得する集音装置と備え、制御装置は、集音装置により取得された音声に基づいて行き先階登録を行なうことを特徴とする。
当該構成によれば、行き先階音声登録の機会をフットスイッチが操作されたときに限定することで、利用者の話声等によるご登録を防止しながら、両手がふさがった利用者であっても足を使って簡単に行き先階登録を行なうことができる。
【0008】
また、乗りかご内の壁面下端に取り付けられた幅木に爪先を挿入可能な挿入孔が形成され、フットスイッチは、当該挿入孔内に設置されることが好ましい。例えば、幅木と壁面を構成する土台部との間に存在する隙間にフットスイッチを設置することができる。
当該構成によれば、音声登録を行なわない利用者が誤ってフットスイッチに接触することを防止することができる。
【0009】
また、集音装置は、フットスイッチと同じ壁面に設置されることが好ましい。例えば、フットスイッチの略鉛直上方、つまりフットスイッチを操作する利用者の顔の位置に対応して設置されることが好ましい。
当該構成によれば、フットスイッチを操作する利用者、つまり行き先階音声登録を行なう利用者の音声を精度良く取得することができる。
【0010】
また、乗りかご内の床面に、フットスイッチの設置位置を案内する表示を備える構成とすることができる。例えば、乗りかどの出入口又はその近傍からフットスイッチが操作可能な操作位置にわたって列状の表示が設けられる。
【0011】
また、乗りかご内の床面に、乗りかごの出入口又はその近傍からフットスイッチが操作可能な操作位置にわたって設置された視覚障害者誘導ブロックを備える構成とすることができる。
また、当該構成において、少なくとも操作位置の視覚障害者誘導ブロック上に予め定めた時間以上滞在する利用者又は視覚障害者誘導ブロック上を乗りかごの出入口から操作位置まで進む利用者を検出するセンサと、当該センサによって当該利用者が検出されたときに、フットスイッチの音声案内を出力する音声案内出力装置とを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るエレベータによれば、誤登録を十分に防止しながら、指先で行き先階釦を操作することが困難な利用者が乗りかご内の利用者の有無に関わらず簡便に音声による行き先階登録を行なうことができる。例えば、荷物等で両手がふさがった利用者や視覚障害のある利用者の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態であるエレベータを示す図であって、乗りかごおよび乗場を上方から見た図である。
【図2】図1のエレベータにおいて、乗りかご内を示す図である。
【図3】図2のA‐A線断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態であるエレベータを示す図であって、乗りかごおよび乗場を上方から見た図である。
【図5】図4のエレベータにおいて、乗りかご内を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態であるエレベータにおいて、視覚障害者の行き先階音声登録の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を用いて、本発明に係るエレベータの実施形態につき、以下詳細に説明する。実施形態では、ロープ式のエレベータを例示して説明するが、本発明の適用はこれに限定されず、機械室レスエレベータや油圧式エレベータにも適用することができる。
【0015】
<第1実施形態>
図1〜図3を参照して、第1実施形態のエレベータ10を詳細に説明する。
図1に示すように、エレベータ10は、昇降路11内において、乗りかご12が各階床に設置された乗場13の間を昇降する昇降機構部と、その動作を制御する制御装置30とで構成されている。なお、エレベータ10は、誤登録を十分に防止しながら、指先で行き先階釦15を操作することが困難な利用者(例えば、両手がふさがった利用者)にとって簡便な行き先階登録を可能にすべく、フットスイッチ21が操作されたときに音声による行き先階登録(行き先階音声登録)を行なう機能を有する。
【0016】
昇降路11は、建造物内等に鉛直方向に貫通して設けられた乗りかご12の昇降通路である。昇降路11の上部に設けられた上部機械室には、乗りかご12を昇降させる巻上げ機や制御装置30が設置されている。巻上げ機のシーブには、一端が乗りかご12の上部、他端がカウンターウエイトに連結された主ロープがかけられており、制御装置30による制御の下、巻上げ機を駆動させることで主ロープが巻上げられ又は送り出されて、乗りかご12が昇降路11内を昇降する。
【0017】
乗りかご12は、利用者が乗り込むことのできる室内スペースを有し、巻上げ機の駆動により昇降路11内を昇降する。乗りかご12内には、制御装置30と接続されたかご内操作盤14が設置されている。かご内操作盤14は、行き先階釦15、ドア開閉釦、およびかご内インジケータなどを有している。また、乗りかご12には、かごドア16、かごドア16を開閉するかごドア開閉装置などが設置されている。
【0018】
乗場13は、各階床に設けられた乗りかご12の乗降口である。乗場13の壁面は、かごドア16に追従して開閉する乗場ドア17、乗場インジケータ、および制御装置30と接続された乗場操作盤18などが設置されている。乗場操作盤18は、乗場呼び登録を行なうための上方向および下方向の乗場呼び釦19を有している。
【0019】
ここで、行き先階音声登録に関連する要素について、図1に加えて、図2(乗りかご12内を示す斜視図)および図3(図2のA‐A線断面図)を適宜参照しながら詳説する。
【0020】
図1に示すように、乗りかご12内の壁面20には、上記かご内操作盤14が設置されており、かご内操作盤14から離れた壁面20に、フットスイッチ21と、マイクスピーカ22とが設置されている。なお、フットスイッチ21およびマイクスピーカ22は、同じ壁面20設置されている。また、乗りかご12内の床面23には、フットスイッチ21の設置位置を案内する案内表示24が設けられている。
【0021】
図2に示すように、乗りかご12の壁面20は、壁パネル25aと、土台部25bとで形成されている。土台部25bは、かごドア16が取り付けられる乗りかご12の出入口を除く床面23の周囲に設けられ、その上に壁パネル25aが載せられて互いに締結されている。壁パネル25aは、土台部25bよりも内側に配置され、その下端が乗りかご12の外側に向かってL字状に曲げられている。一方、土台部25bの上端は乗りかご12の内側に向かってL字状に曲げられており、当該L字状に曲げられた部分同士が締結されている。そして、土台部25bの内側には、壁パネル25aの壁面20とほぼ同一平面を形成する平坦な幅木26が取り付けられている。つまり、幅木26の裏側には、土台部25bとの間に隙間が存在する。
【0022】
フットスイッチ21は、行き先階音声登録時に足で操作されるスイッチであって、図2に示すように、壁面20の下部に設置されている。より詳しくは、幅木26に爪先が挿入可能な挿入孔27が形成されており、挿入孔27内にフットスイッチ21が設置されている。なお、後述のスイッチ本体28が土台部25bに取り付けられ、後述のスイッチヘッド29の先端が幅木26の表面よりも裏側に位置している(図3参照)。当該設置形態によれば、音声登録を行なわない利用者が誤ってフットスイッチ21に接触することを防止することができる。
【0023】
図3に示すように、フットスイッチ21は、スイッチ本体28と、スイッチヘッド29とで構成されている。スイッチヘッド29は、音声登録を行なう利用者の爪先で押される部分であって、スイッチ本体28に対して進退自在に取り付けられている。例えば、スイッチヘッド29が爪先で押されてスイッチ本体28内に押し込まれることで、図示しないスイッチ接点が接続されてフットスイッチ21がONされ、スイッチ本体28から制御装置30にON信号が出力される。
ここで例示する形態では、スイッチヘッド29が図示しないバネ等によりスイッチ本体28と反対側に付勢されており、スイッチヘッド29がスイッチ本体28内に押し込まれている間だけ、スイッチ接点が接続されてON信号が出力される。
【0024】
マイクスピーカ22は、フットスイッチ21が操作されたときに、音声を取得する集音装置であるマイクと、行き先階音声登録の音声案内を出力するスピーカとを含む装置であって、フットスイッチ21が設置された壁面20と同じ壁面20に設置されている。より詳しくは、フットスイッチ21の略鉛直上方であって、例えば、床面23から150〜170cm程度の高さに配置される。
【0025】
案内表示24は、フットスイッチ21およびマイクスピーカ22の設置位置を利用者に案内するための表示であって、床面23に設けられている。図1に示す例では、乗りかご12の乗降口の近傍からフットスイッチ21の操作が可能な位置にわたって、「音声案内」の文字が描かれた矢印形状の表示が設けられている。
【0026】
制御装置30は、昇降装置を構成する各要素の動作を統一的に制御する装置である。例えば、制御装置30は、かご内操作盤14の操作に基づき、巻上げ機に指令を与えて乗りかご12の昇降運転を制御する機能を有する。さらに、制御装置30は、乗りかご12内の話声等による誤登録を防止しながら、両手がふさがった利用者等にとって簡便な行き先階音声登録を可能にするための手段として、判定手段31と、音声登録手段32とを有する。
【0027】
なお、制御装置30は、CPUと、上記各手段の機能を実行する際に使用される制御パラメータ等の入力に用いられる入力部と、制御パラメータや制御プログラム等を記憶する記録部と、入出力ポートなどを備えるコンピュータである。各機能は、ソフトウェア、例えば、対応する制御プログラムを実行することで実現できる。
【0028】
判定手段31は、フットスイッチ21が操作されたか否かを判定する機能を有する。より好ましくは、フットスイッチ21が操作中であるか否か、つまり爪先でスイッチヘッド29が押されていてON信号が出力されているか否かを判定する。つまり、判定手段31は、ON信号を取得している間、フットスイッチ21が操作中であると判定する。そして、フットスイッチ21が操作中であると判定したときに、音声登録手段32に対して音声登録許可信号を出力する。
【0029】
音声登録手段32は、音声登録許可信号を取得したとき、即ち判定手段31によりフットスイッチ21が操作中であると判定されたときに、マイクスピーカ22のマイクを起動して音声を取得させ、取得した音声に基づいて行き先階登録を行なう機能を有する。また、音声登録手段32は、音声登録許可信号を取得したときに、例えば、「前方のマイクに向かって行き先階を言って下さい」等の音声登録を促す音声案内をマイクスピーカ22のスピーカから出力することができる。
【0030】
以上のように、エレベータ10は、幅木26の挿入孔27内に設置されたフットスイッチ21と、フットスイッチ21が操作されたときに音声を取得する集音装置を含むマイクスピーカ22と、マイクスピーカ22により取得された音声に基づいて行き先階登録を行なう制御装置30とを備える。そして、制御装置30は、フットスイッチ21が操作されているか否かを判定する判定手段31と、判定手段31によりフットスイッチ21が操作されていると判定されたときに、マイクスピーカ22のマイクを起動して音声を取得させ、取得した音声に基づいて行き先階登録を行なう音声登録手段32とを有する。
【0031】
上記構成を備えるエレベータ10において、利用者は、例えば、次のようにして行き先階音声登録を行なうことができる。ここで、利用者としては、両手がふさがった利用者(健常者)を想定する。
【0032】
まず初めに、利用者は、乗りかご12の床面23に設けられた案内表示24を見て、音声登録を行なう場所を確認することができる。そして、フットスイッチ21およびマイクスピーカ22の手前まで進んだ利用者は、例えば、壁面20に設けられた操作方法の表示に従って、爪先でフットスイッチ21を操作することができる。フットスイッチ21が操作されると、ON信号が制御装置30の判定手段31に送信され、フットスイッチ21が操作されていることが判定されて音声登録許可信号が音声登録手段32に出力される。
【0033】
音声登録許可信号を取得した音声登録手段32は、マイクスピーカ22のスピーカから音声登録を促す音声案内を出力し、その音声案内に従って利用者が行き先階をマイクスピーカ22のマイクに向かって発声する。マイクスピーカ22のマイクは、音声登録手段32の機能によって音声登録許可信号を取得している間だけ音声を取得し、取得した音声に基づいて行き先階音声登録を行なう。例えば、利用者がフットスイッチ21を操作しながら「5階」と発生すると、5階の行き先階登録が行なわれ、5階の行き先階釦15が点灯する。音声登録手段32は、マイクから取得した音声に基づいて行き先階が特定できない場合には、再度の音声登録を促す音声案内をマイクから出力してもよい。
【0034】
なお、上記では、乗りかご12内にフットスイッチ21およびマイクスピーカ22が設置されるものとして説明したが、乗場13の壁面等にも、フットスイッチ21およびマイクスピーカ22が設置され、乗場13で行き先階音声登録を行なえるようにしてもよい。或いは、足で操作可能な乗場呼び釦19を設置してもよい。
【0035】
また、上記では、音声登録手段32が音声案内を出力するとして説明したが、音声案内の代わりに、フットスイッチ21、マイクスピーカ22が設置された壁面20に音声登録方法の表示を設けて対応してもよい。
また、上記では、制御装置30が判定手段31を有するものとして説明したが、判定手段31の機能は、マイクスピーカ22に内蔵されていてもよい。
また、上記では、スイッチ本体28と、スイッチヘッド29とで構成されたフットスイッチ21を例示したが、フットスイッチの形態は特に限定されず、例えば、アクセルペダルのようなフットスイッチを用いてもよい。
【0036】
<第2実施形態>
図4〜図6を参照して、第2実施形態のエレベータ50を詳細に説明する。
図4に示すように、エレベータ50は、昇降路11内において、乗りかご51が各階床に設置された乗場52の間を昇降する昇降機構部と、その動作を制御する制御装置60とで構成されている。また、図5に示すように、乗りかご51には、フットスイッチ21とマイクスピーカ22とが同一の壁面20に設置されており、フットスイッチ21は、幅木26に形成された挿入孔27内に設置されている。
【0037】
一方、エレベータ50は、誤登録を十分に防止しながら、指先で行き先階釦15を操作することが困難な利用者にとって簡便な行き先階登録を可能にすべく、フットスイッチ21が操作されたときに行き先階音声登録を行なう機能を有するが、特に視覚障害のある利用者に配慮した設備を備える点でエレベータ10と異なる。
なお、以下では、エレベータ10と同一の構成要素については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0038】
エレベータ50では、乗場52の床面に乗場用視覚障害者誘導ブロック53(以下、乗場誘導ブロック53とする)が設置されている。乗場誘導ブロック53は、足底等で感じることができる突起の集合体であって視覚障害のある利用者を乗場ドア17まで誘導する機能を有する。乗場ドア17の前に設置される乗場誘導ブロック53は、停止位置を示す点状ブロック(警告ブロック)である。
【0039】
また、エレベータ50では、乗りかご51の床面23にもかご内視覚障害者誘導ブロック54(以下、かご内誘導ブロック54とする)が設置されている。なお、かご内誘導ブロック54は、乗りかご51の出入口からフットスイッチ21が操作可能な操作位置にわたって設置されている。そして、操作位置に設置されたかご内誘導ブロック54の下には、荷重センサ55が設置されている。
【0040】
荷重センサ55は、かご内誘導ブロック54にかかる荷重、つまり利用者の重量を検出することができ、その上の利用者の存在を検出することができる。荷重センサ55によれば、操作位置のかご内誘導ブロック54上に長時間滞在する利用者を検出することができる。なお、荷重センサ55としては、例えば、ロードセル方式のセンサなど公知のセンサを使用することができる。
また、荷重センサ55は、列上に並んだ複数のかご内誘導ブロック54について設置することができ、例えば、かご内誘導ブロック54上を乗りかご12の出入口から操作位置まで進む利用者を検出することもできる。
【0041】
制御装置60は、判定手段31および音声登録手段32に加えて、案内判定手段61と、案内出力手段62とを有する。
【0042】
案内判定手段61は、操作位置のかご内誘導ブロック54上に予め定めた時間以上滞在する利用者の有無を判定する。案内判定手段61は、例えば、荷重センサ55から検出信号を取得して、継続して取得される検出信号の長さが予め定めた時間以上(例えば、2秒以上)であるときに、視覚障害のある利用者が存在すると判断して、案内出力手段62に対して案内許可信号を出力することができる。
【0043】
案内出力手段62は、案内許可信号を取得したとき、即ち案内判定手段61によりフットスイッチ21の操作位置に視覚障害のある利用者が存在すると判断されたときに、例えば、「前面下部のフットスイッチ21を爪先で押しながら、前方のマイクに向かって行き先階を言って下さい」等の音声登録を促す音声案内をマイクスピーカ22のスピーカから出力する。
【0044】
ここで、図6のフローチャートを参照して、上記構成を備えたエレベータ50による行き先階音声登録に関する制御を例示する。
【0045】
まず初めに、操作位置のかご内誘導ブロック54上に長時間滞在する利用者の有無を判定する(S10)。この手順は、案内判定手段61の機能によって実行され、荷重センサ55から取得される検出信号の長さと予め定めた閾値(例えば、2秒以上)とを比較することで、当該利用者の有無を判定することができる。操作位置のかご内誘導ブロック54上に長時間滞在する利用者が確認されたときには、案内出力手段62に対して案内許可信号が出力される。
【0046】
S10において、操作位置のかご内誘導ブロック54上に長時間滞在する利用者が確認されたときには、音声登録、つまりフットスイッチ21の操作および行き先階の発声を促す音声案内をマイクスピーカ22のスピーカから出力する(S11)。この手順は、案内許可信号を取得する案内出力手段62の機能によって実行される。
【0047】
次に、フットスイッチ21が操作されているか否かを判定する(S12)。この手順は、判定手段31の機能によって実行され、フットスイッチ21のON信号を取得し、ON信号を取得している間、音声登録手段32に対して、音声登録許可信号を出力する。
そして、フットスイッチ21が操作されているとき、つまり音声登録許可信号を取得しているときに、マイクスピーカ22のマイクから音声を取得し、取得した音声に基づいて行き先階音声登録を行なう(S13)。この手順は、音声登録手段32の機能によって実行される。
【0048】
なお、上記では、かご内誘導ブロック54上の利用者を検出するセンサとして、荷重センサ55を例示したが、例えば、荷重センサ55の代わりに、乗りかご12内に設置された監視カメラを用いることもできる。
【符号の説明】
【0049】
10,50 エレベータ、11 昇降路、12,51 乗りかご、13,52 乗場、14 かご内操作盤、15 行き先階釦、16 かごドア、17 乗場ドア、18 乗場操作盤、19 乗場呼び釦、20 壁面、21 フットスイッチ、22 マイクスピーカ、23 床面、24 案内表示、25a 壁パネル、25b 土台部、26 幅木、27 挿入孔、28 スイッチ本体、29 スイッチヘッド、30,60 制御装置、31 判定手段、32 音声登録手段、53 乗場用視覚障害者誘導ブロック(乗場誘導ブロック)、54 かご内視覚障害者誘導ブロック(かご内誘導ブロック)、55 荷重センサ、61 案内判定手段、62 案内出力手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
かご内操作盤の操作による行き先階登録に基づいて、乗りかごの昇降運転を制御する制御装置を備えたエレベータにおいて、
少なくとも乗りかご内の床面又は壁面下部に設置されたフットスイッチと、
フットスイッチが操作されたときに音声を取得する集音装置と、
を備え、
制御装置は、集音装置により取得された音声に基づいて行き先階登録を行なうことを特徴とするエレベータ。
【請求項2】
請求項1に記載のエレベータにおいて、
乗りかご内の壁面下端に取り付けられた幅木に、爪先を挿入可能な挿入孔が形成され、
フットスイッチは、当該挿入孔内に設置されることを特徴とするエレベータ。
【請求項3】
請求項2に記載のエレベータにおいて、
集音装置は、フットスイッチと同じ壁面に設置されることを特徴とするエレベータ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1に記載のエレベータにおいて、
乗りかご内の床面に、フットスイッチの設置位置を案内する表示を備えることを特徴とするエレベータ。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1に記載のエレベータにおいて、
乗りかご内の床面に、乗りかごの出入口又はその近傍からフットスイッチが操作可能な操作位置にわたって設置された視覚障害者誘導ブロックを備えることを特徴とするエレベータ。
【請求項6】
請求項5に記載のエレベータにおいて、
少なくとも操作位置の視覚障害者誘導ブロック上に予め定めた時間以上滞在する利用者又は視覚障害者誘導ブロック上を乗りかごの出入口から操作位置まで進む利用者を検出するセンサと、
センサによって当該利用者が検出されたときに、フットスイッチの音声案内を出力する音声案内出力装置と、
を備えることを特徴とするエレベータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−140189(P2012−140189A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291958(P2010−291958)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】