説明

エンハンスト・アップリンク送信における不連続データ・ブロックを転送する方法および装置

【課題】送信エラーは回避不可能であるため、RLC再送信手順を実行する際にこのタイマの仕組みにより遅延時間が増大し、許容できない遅延時間にまで至る可能性がある。
【解決手段】エンハンスト・アップリンク送信における、不連続データ・ブロックを転送する方法および装置が開示される。無線送受信ユニットおよび1つまたは複数のノードBは、E−DCHを支援する1つまたは複数の自動再送要求/ハイブリッド−ARQ処理を含む。WTRUによって送信されたデータ・ブロックは、ノードBまたは無線ネットワーク制御装置中に位置する再順序化エンティティにおいて再順序化される。欠落しているデータ・ブロックが識別されると、ノードBまたはRNCにおけるデータ転送タイマが起動される。その後のWTRU送信が監視され、欠落しているデータ・ブロックがWTRUによって廃棄されたかどうかを判定する。欠落しているデータ・ブロックの廃棄を認識した場合、その不連続データ・ブロックが上位層に転送される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、1つの無線送受信ユニット(Wireless Transmit/Receive Unit:WTRU)、少なくとも1つのノードB、および1つの無線ネットワーク制御装置(Radio Network Controller:RNC)を含む無線通信システムに関する。より詳細には、本発明はエンハンスト・アップリンク(Enhanced Uplink:EU)送信において、不連続データ・ブロックを転送する方法およびシステムに関する。
【0002】
3GPP(3rd Generation Partnership Project)のリリース6において、上りリンク(UpLink:UL)のカバリッジ、スループット、および伝送遅延を改善するための方法が検討されている。これらの方法をうまく実装するために、RNCは、ノードBに対して総合的な制御権は保持しているけれども、ULの物理的資源のスケジューリングおよび割り当てが、RNCからノードBへと移されている。これにより、ノードBは、短期的にはRNCより効率的にUL無線資源を決定し管理することができる。
【0003】
1つまたは複数の独立しているUL送信が、共通の時間間隔内に、WTRUおよびUTRAN(UMTS(Universal Mobile Telecommunication System) Terrestrial Radio Access Network)の間のE−DCH(Enhanced Dedicated Channel)上において処理される。この一例は、媒体アクセス制御(MAC)層H−ARQ(Hybrid-Automatic Repeat reQuest)または単純なMAC層のARQ動作であろう。これらにおいては、UTRANによる受信が成功するためには、個別の送信のそれぞれが異なる数の再送信を必要とする場合がある。この動作は、MAC層において送信シーケンスの欠落をもたらす場合がある。
【0004】
適切な動作のためには、無線リンク制御(Radio Link Control:RLC)層によって、順序通りの(In-sequence)データ配送が必要とされる。受信データ・ブロックをWTRUのRLCエンティティにおいて発生された順序に従って編成するために、再順序化(re-ordering)機能が必要である。従来技術においては、不連続データ・ブロックの上位層への配送のために、データ転送タイマが利用されている(このタイマは、HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)においては、T1タイマと呼ばれる)。正しく受信されたデータ・ブロックが不連続受信のために上位層に配送不可能である場合に、このタイマは初期化される。タイマが満了すると、次の不連続受信データ・ブロックまでの再順序化バッファ中のすべてのデータ・ブロックが上位層に転送される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常の動作においてさえ、送信の間に時折セルの輻輳により比較的長い間隔が発生する。このため、データ転送タイマに対して、適切に期間を設定することは難しい。加えて、RLC確認モード(Acknowledged Mode:AM)において順序が狂って配送されると、不必要な再送信がもたらされる場合がある。このため、データ転送タイマが適切に動作するように設定をする際には、最悪の場合の遅延が考慮されねばならない。送信エラーは回避不可能であるため、RLC再送信手順を実行する際にこのタイマの仕組みにより遅延時間が増大し、許容できない遅延時間にまで至る可能性がある。
【0006】
サービス品質(Quality of Service:QoS)を維持するために、連続配送を提供する際に送信は不必要に遅延されるべきではない。適切なQoSを提供するためには、タイマの仕組みは効率的ではない。タイマの期間が短過ぎる場合には、ある特定の送信が遅延しただけで、順序の狂った(out of sequence)送信として誤って認識される場合があり、不必要にRLC再送信を求める要求やチャンネルのリリースが起こり得る。タイマの期間が長過ぎる場合には、失敗した送信の検出および復旧が遅れ、伝送遅延は小さくなければならないというQoS要件を達成するのが難しくなり得る。狂った順序のための転送タイマの期間を決定することは、再送信のスケジューリングにおける変動が比較的大きいことによってさらに複雑になる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、EU送信において不連続データ・ブロックを転送する方法および装置に関連する。WTRUおよび1つまたは複数のノードBは、EU送信を支援するための1つまたは複数のARQ/H−ARQ処理を含む。WTRUによって送信されたデータ・ブロックは、ノードBまたはRNC中に位置する再順序化エンティティにおいて再順序化される。欠落しているデータ・ブロックが識別されると、ノードBまたはRNCにおいてデータ転送タイマが起動され、その後のWTRU送信は監視される。そして、欠落しているデータ・ブロックがWTRUによって廃棄されたかどうかを判定する。欠落しているデータ・ブロックの廃棄を認識した場合には、その不連続データ・ブロックは上位層に転送される。
【0008】
絶対的優先度方式において、上位優先度のデータ・ブロックは常に下位優先度のデータ・ブロックの前に処理され、かつ同一優先度のデータ・ブロックの中では最も前の(earliest)送信シーケンス番号(Transmission Sequence Number:TSN)を持つデータ・ブロックが最初に処理される。そのような仕組みにおいて、次の場合に、ノードBは、WTRUが欠落しているブロックを廃棄したと認識することができる。すなわち、ノードBにおけるWTRUに対する利用可能でかつアクティブなすべてのH−ARQ処理が、1)欠落しているデータ・ブロックと比較して同一の優先度かつより後のTSNを持つ新規な送信、または2)欠落しているデータ・ブロックと比較してより低い優先度の新規な送信、のいずれかの受信に成功した場合である。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明によって、1つの無線送受信ユニット、少なくとも1つのノードB、および1つの無線ネットワーク制御装置(RNC)を含む無線通信システムが得られ、従来技術の問題を解決する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】本発明の一実施形態による、データ再順序化エンティティを持つ1つまたは複数のノードBを含む無線通信システムのブロック図である。
【図1B】本発明の別の実施形態による、データ再順序化エンティティを持つRNCを含む無線通信システムのブロック図である。
【図2】図1Aおよび図1Bのシステムのいずれかを使用して不連続データ・ブロックを転送する処理のフロー図である。
【図3】図1Bのシステムを使用して不連続データ・ブロックを転送する処理のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
好適な実施形態の記述から、本発明をより詳細に理解することができる。これらの実施例は、例示的なものとして与えられており、添付されている図面とともに理解されるべきである。
【0012】
これ以降、用語「WTRU」には、これらに限定するものではないが、ユーザ装置(User Equipment:UE)、移動機、固定または移動体の加入者ユニット、ページャ、または無線環境において動作可能な他のいかなるタイプの装置も含まれる。用語「ノードB」には、これ以後参照される場合、これらに限定するものではないが、基地局、サイト制御装置、アクセス・ポイント、または無線環境における他のいかなるタイプのインタフェース装置が含まれる。
【0013】
本発明の機能は、集積回路(IC)に組み入れること、または多数の内部接続された部品より成る回路に構成することができる。
【0014】
図1Aは、本発明の一実施形態による無線通信システム100のブロック図であり、データ再順序化エンティティ122を持つ1つまたは複数のノードBを含む。システム100は、WTRU102、1つまたは複数のノードB104、およびRNC106を備えている。WTRU102は、割り当てられたE−DCH(Enhanced Dedicated CHannel)142を通して、E−DCHデータを送信する。ノードB104は、H−ARQまたは単純ARQ動作を使用してノードB104におけるデータ復号の成否に従って、確認(ACK)メッセージまたは非確認(NACK)メッセージのいずれかを、DL(Down Link)EU信号チャンネル144を通して送信する。これは、WTRU102およびノードB104において、それぞれARQ/H−ARQ/H−ARQ処理112およびARQ/H−ARQ処理128として示されている。
【0015】
図1Aを参照すると、EU送信のための新しいMACエンティティ110、120、130(すなわち、「MAC−e」エンティティ)が、それぞれWTRU102、ノードB104、およびRNC106に含まれている。ノードB104のMAC−eエンティティ120は、順序通りのデータ配送を行うための、再順序化エンティティ122、データ再順序化バッファ124、およびデータ転送タイマ126を含む。WTRU102によりE−DCH142を介して送信されたデータは、上位層に転送される前に再順序化エンティティ122により再順序化される。再順序化エンティティ122は、データ・ブロック(MAC−eプロトコル・データ・ユニット(Protocol Data Unit:PDU))を受信し、連続したTSNを持つMAC−e PDUを上位層に配送する。連続していないMAC−e PDUは(すなわち、データ・ブロックが欠落していることになる)、データ転送タイマ126の満了まで、上位層には配送されない。再順序化エンティティ122は、ARQ/H−ARQ処理128が認識していること(knowledge)を使用して、欠落しているデータ・ブロックがWTRU102によって廃棄されたかどうかを判断し、不連続データ・ブロックを上位層に転送する。
【0016】
図1Bは、本発明の別の実施形態によって動作する、無線通信システム150のブロック図である。システム150は、データ再順序化エンティティ132を持ったRNCを含んでいる。システム150はまた、図1Aのシステム100と同様に、WTRU102、1つまたは複数のノードB104、およびRNC106を備える。しかしながら、再順序化エンティティ122を含むノードB104の代わりに、データ・ブロックの順序通りのデータ配送を行うために、RNC106のMAC−eエンティティ130が、再順序化エンティティ132、データ再順序化バッファ134、およびデータ転送タイマ136をそれぞれ含んでいる。E−DCH142を介してWTRU102により送信されたデータは、上位層に転送される前に、再順序化エンティティ132により再順序化される。再順序化エンティティ132は、ノードB104を介して、データ・ブロック(MAC−eプロトコル・データ・ユニット(PDU))を受信し、連続したTSNを持つMAC−e PDUを上位層に配送する。連続していないMAC−e PDUは、データ転送タイマ136の満了までは、上位層には配送されない。再順序化エンティティ132は、ノードB104におけるARQ/H−ARQ処理128が認識していることを使用して、欠落しているデータ・ブロックがWTRU102によって廃棄されたかどうかを判断し、不連続データ・ブロックを上位層に転送する。
【0017】
H−ARQ処理割り当ての仕組みは、データ・ブロックの絶対的優先度に基づいていることが望ましい。UTRAN(すなわち、ノードBまたはRNCのいずれか)における再順序化バッファにおいて、特定の送信シーケンス番号(TSN)のデータ・ブロックが欠落していることが認識された後で、再順序化エンティティ122、132は、次の場合に、欠落しているデータ・ブロックが失われていると判定する。すなわち、欠落しているデータ・ブロックの検出に引き続き、ノードB104の中において、そのWTRU102に対する利用可能であり、しかもアクティブなすべてのARQ/H−ARQ処理128が、1)同一の優先度クラスでより後のシーケンス番号を持つ送信として起動された新規な送信、または2)より低い優先度クラスを持つ送信として起動された新規な送信、のいずれかを有する場合に、データ・ブロックが失われたと判定する。このような場合には、再順序化エンティティ122、132は、データ・ブロックがMAC層において失われていると判定し、その不連続データ・ブロックを上位層に転送する。
【0018】
図2は、本発明の一実施形態による不連続データ・ブロックを転送する処理200のフロー図である。処理200は、図1Aのシステム100または図1Bのシステム150の構成のいずれかを使用して実施することができる。ノードB104は、それぞれのWTRU102に対して有限な数のARQ/H−ARQ処理128を維持(maintain)している。RNC106における再順序化エンティティ132は、WTRU102およびノードB104におけるH−ARQ動作に関する情報(knowledge)を持っていない場合がある。したがって、図1Bに示されたシステム150の構成が使用される場合には、再順序化エンティティ132が、WTRU102が欠落しているデータ・ブロックを廃棄しているか否かを判定することができるように、ノードB104はRNC106に必要な情報を提供する。
【0019】
ノードB104またはRNC106は、WTRU102からデータ・ブロックを受け取り、正しく復号されたデータ・ブロックはノードB104の再順序化バッファ124、またはRNC106の再順序化バッファ134において順序通りに再配列される。システム150の構成が使用される場合には、送信が受信された際に、ノードB104は、H−ARQ処理ID、および/またはフレーム番号とともに、復号化に成功したデータ・ブロックをRNC106に転送する。フレーム番号は、NDIが受信された際のフレーム、または送信が成功した際のフレームのいずれかでありえる。
【0020】
ノードB104の再順序化エンティティ122、またはRNC106の再順序化エンティティ132は、TSNを利用して欠落しているデータ・ブロックを認識する(ステップ202)。WTRU102により、それぞれのデータ・ブロックに一意なTSNが割り当てられる。欠落しているデータ・ブロックがあることを認識すると、ノードB104はデータ転送タイマ126を初期化し、またはRNCはデータ転送タイマ136を初期化する(ステップ204)。再順序化エンティティ122または再順序化エンティティ132は、それぞれデータ転送タイマ126または136が満了したかを判定する(ステップ206)。タイマ126またはタイマ136が満了した場合には、再順序化エンティティ122または132は、不連続データ・ブロックを上位層に転送し、そして上位層のデータ復旧手順が起動される(ステップ210)。
【0021】
データ転送タイマ126またはデータ転送タイマ136が満了していない場合には、再順序化エンティティ122または再順序化エンティティ132はさらに、WTRU102での既知のH−ARQ処理割り当ての仕組みに基づき、欠落しているデータ・ブロックがWTRU102によって廃棄されたかを判定する(ステップ208)。ステップ208において廃棄されたデータ・ブロックをRNC106が決定すると、その送信が受信されたフレーム番号からそのH−ARQ処理が暗黙のうちに決定できる。H−ARQ処理割り当ておよびH−ARQ処理の引き続く割り当てに対する規則に基づいた順序の狂った受信に引き続き、ノードB104またはRNC106は、WTRU102が特定の送信をいつ廃棄したかを判定することができる。
【0022】
WTRU102におけるH−ARQ処理割り当ての仕組みは、他の仕組みによって実装することもできるが、データ・ブロックの絶対的優先度に基づいていることが望ましい。絶対的優先度方式においては、より高い優先度のデータ・ブロックは常に低い優先度データ・ブロックより先に処理され、そして同一優先度のデータ・ブロックの中では、最も先のTSNを持つデータ・ブロックが最初に処理される。このような仕組みにおいては、ノードB104またはRNC106は、次のような場合に、WTRU102が欠落しているデータ・ブロックを廃棄したと認識することができる。すなわち、ノードBにおいてWTRU102に対して利用可能かつアクティブなすべてのARQ/H−ARQ処理128が、1)欠落しているデータ・ブロックと比較して同一の優先度であってしかもより後のTSNを持つ新規な送信、または、2)欠落しているデータ・ブロックと比較してより低い優先度の新規な送信のいずれかを受信することに成功している場合である。
【0023】
あるいはまた、次の場合にも、ノードB104またはRNC106は、そのWTRU102がその欠落しているデータ・ブロックを廃棄したと認識することができる。すなわち、失われたデータに関連付けられたH−ARQ処理が、1)欠落しているデータ・ブロックと比較して同一の優先度であってしかもより後のTSNを持つ新規な送信、または、2)欠落しているデータ・ブロックと比較してより低い優先度の新規な送信、のいずれかを受信することに成功している場合である。そのH−ARQ処理は、送信/受信の時間により識別することができる。その時間は、フレームまたはサブフレーム番号のいずれかとして示すことができる。
【0024】
いずれかの条件が満足された場合には、ノードB104またはRNC106は、MAC層において、欠落しているデータ・ブロックがWTRU102によって廃棄されと判定する。そして、データ転送タイマ126またはデータ転送タイマ136の満了を待つことなく、再順序化エンティティ122または再順序化エンティティ132は不連続データ・ブロックを上位層に転送する。いずれの条件も満足されない場合、ノードB104またはRNC106は、欠落しているデータ・ブロックは廃棄されていないと判定する。処理200はステップ212に進み次のTTIまたはデータ・ブロックを待ち、そして処理200はステップ206に戻る。
【0025】
ノードB104は、新規データインジケータ(New Data Indicator:NDI)を受信することによって、新しい送信を認識することができる。NDIは、ある送信が新規データであるかそれとも古いデータ(再送信)であるかを表示するために使用される。古いデータに関しては、ノードB104おいてある種の組み合わせることが可能である。H−ARQ処理送信カウンタによってNDIを表現することもできる。H−ARQ処理送信が初期値に設定された場合には、これがNDIを表すこととなる。新規な送信はまた、復号の後に、受信された送信待ち行列識別子(ID)およびTSNによっても判定できる。
【0026】
ノードB104はそれぞれのWTRU102に対して、いくつかの再順序化待ち行列を支援することができ、そして順序の狂いの検出および転送のロジックは、それぞれの再順序化待ち行列に対して独立して動作することができる。
【0027】
別の実施形態において、WTRU102におけるH−ARQ処理割り当ての仕組みは、失われたデータ・ブロックに関連付けられる。絶対的優先度方式においては、より高い優先度のデータ・ブロックが常に低優先度のデータ・ブロックより先に処理され、そして同一優先度のデータ・ブロックの中では、最も先のTSNを持つデータ・ブロックが最初に処理される。このような仕組みにおいては、ノードB104は、次のような場合に、WTRU102が欠落しているデータ・ブロックを廃棄したと認識することができる。すなわち、ノードBにおけるWTRU102に対して利用可能であってアクティブなすべてのARQ/H−ARQ処理128が、1)欠落しているデータ・ブロックと比較して同一の優先度であってより後のTSNを持つ新規な送信、または、2)欠落しているデータ・ブロックと比較してより低い優先度の新規な送信、のいずれかを受信することに成功している場合である。
【0028】
いずれかの条件が満足された場合には、ノードB104は、MAC層において、欠落しているデータ・ブロックがそのWTRU102によって廃棄されたと判定し、次にデータ転送タイマ126の満了を待つことなく、再順序化エンティティ122は不連続データ・ブロックを上位層に転送する。いずれの条件も満足されない場合には、ノードB104は、欠落しているデータ・ブロックは廃棄されていないと判定し、処理200はステップ212に進む。ノードB104の場合には次のTTIを、またはRNC106の場合には次のデータ・ブロックを待つ。次のTTIが起こり、または次のデータ・ブロックが受信されると、処理200はステップ206に戻る。
【0029】
ノードB104は、新規データインジケータ(NDI)を受信することによって、新規な送信を認識することができる。ノードB104においてH−ARQ追跡が組み合わせることを可能とするために、NDIを使用することができる。新規な送信は、受信された送信待ち行列識別子(ID)およびTSNが復号されることによっても判定できる。
【0030】
図3は本発明の第3の実施形態による、不連続データ・ブロックを転送する処理300のフロー図である。この実施形態においては、欠落しているデータ・ブロックがあるということを、RNC106がノードB104に通知する。ノードB104は、WTRU102がその欠落しているデータ・ブロックを廃棄したかを検出し、それをRNC106に報告する。
【0031】
RNC106における再順序化エンティティ132は、再順序化バッファ134中に欠落しているデータ・ブロックがあるかをチェックする(ステップ302)。欠落しているデータ・ブロックが全くなければ、処理300はステップ312に進み、次の受信データ・ブロックを待つ。欠落しているデータ・ブロックがあると、再順序化エンティティ132はデータ転送タイマ136を初期化し、ノードB104へ、「監視開始(start watch)」コマンドを送る(ステップ304)。再順序化バッファ134中において順序の狂ったデータ・ブロックが認識されたときにノードB104によって元々報告されたフレーム番号、ならびに欠落しているデータ・ブロックの優先度およびシーケンス番号もまた、「監視開始」コマンドに含まれている。
【0032】
RNC106から監視開始コマンドを受け取った後に、ノードB104はその時点のデータベースをチェックし、RNC106により示されたフレーム番号に引き続くすべてのデータ・ブロックを確認する。さらに、WTRU102での既知のH−ARQ処理割り当ての仕組みに基づき、欠落しているデータ・ブロックをWTRU102が廃棄したかを判定するために、引き続く送信を監視する(ステップ306)。上で説明されたように、ARQ/H−ARQ処理112は、絶対的優先度方式に従い割り当てられることが望ましい。そのような場合においては、ノードBは、WTRU102に対して利用可能であってアクティブなすべてのノードB内のARQ/H−ARQ処理128が、1)欠落しているデータ・ブロックと比較して同一の優先度であるがより後のTSNを持つ新規な送信、または、2)欠落しているデータ・ブロックと比較してより低い優先度の新規な送信、のいずれかを有するかどうかを判定する。
【0033】
いずれかの条件が満足された場合には、ノードB104は、E−DCHフレーム・プロトコルを介してRNC106における再順序化エンティティ132に送信失敗メッセージを送る(ステップ308)。送信失敗メッセージにおいては、再順序化待ち行列IDを示す優先度、およびデータ・ブロックのシーケンス番号もまた、含まれている。その後、ノードB104は、そのようなイベントを監視することを停止する。いずれの条件も満足されない場合には、処理300はステップ312に進み、次の受信データ・ブロックを待つ。
【0034】
送信失敗メッセージを受け取ると、タイマが満了する前にRNC106中の再順序化機能は、不連続データ・ブロックを上位層に転送する(ステップ310)。
【0035】
本発明の機能および要素が特定の組み合わせにおける好適な実施形態において記述されている。それぞれの機能または要素は、好適な実施形態の他の機能および要素なしで単独で使用することができる。また、本発明の他の機能および要素のあるなしにかかわらず様々に組み合わせることによって、使用することもできる。
【0036】
本発明を好適な実施形態にとともに説明してきたが、当業者にとっては、特許請求の範囲の中に記載された本発明の範囲の中にある他の変形が可能なことも明らかであろう。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、一般的に無線通信システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0038】
100 システム
102 WTRU
104 ノードB
106 RNC
110、120、130 MAC−e
122 最順序化エンティティ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ネットワーク装置によってアップリンクデータを受信する方法において、
無線ネットワーク装置の少なくとも1つのハイブリッド自動再送要求(HARQ)エンティティを使用して、アップリンク信号を受信するステップと、
少なくとも1つのHARQエンティティを使用する前記無線ネットワーク装置によって、前記受信されたアップリンク信号に応答して、ダウンリンクシグナリングチャネル上で肯定応答(positive acknowledgment)メッセージまたは否定応答(negative acknowledgment)メッセージを送信するステップと、
無線ネットワーク装置によって、前記受信されたアップリンク信号から、プロトコルデータユニット(PDU)を再生するステップと、
前記再生されたPDUを、前記無線ネットワーク装置の少なくとも1つの再順序化バッファの中にストアするステップと、
少なくとも前記再生されたPDUのシーケンス番号に基づいて順序が狂ったPDUを識別するのに応答して、前記無線ネットワーク装置のタイマを起動するステップと、
前記タイマが満了する前に失われたPDUが再生されないという条件で、前記無線ネットワーク装置によって、前記タイマの満了に応答して少なくとも1つの再生されたPDUを上位レイヤに配送するステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記無線ネットワーク装置は、ノードBであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記再生されたPDUは、媒体アクセス制御(MAC)PDUまたは無線リンク制御(RLC)PDUであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの再順序化バッファは、無線リンク制御(RLC)エンティティに関連付けられていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
アップリンクデータを受信する無線ネットワーク装置において、
少なくとも1つのハイブリッド自動再送要求(HARQ)エンティティを使用して、アップリンク信号を受信するよう構成された回路であって、
前記少なくとも1つのHARQエンティティを使用して、前記受信されたアップリンク信号に応答して、肯定応答(positive acknowledgment)メッセージまたは否定応答(negative acknowledgment)メッセージを送信するようさらに構成され、
前記受信されたアップリンク信号から、プロトコルデータユニット(PDU)を再生し、および、前記再生されたPDUを少なくとも1つの再順序化バッファの中にストアするようさらに構成され、
少なくとも前記再生されたPDUのシーケンス番号に基づいて、順序が狂ったPDUを識別するのに応答して、タイマを起動するようさらに構成され、ならびに、
前記タイマが満了する前に失われたPDUが再生されないという条件で、前記タイマの満了に応答して少なくとも1つの再生されたPDUを上位レイヤに配送するようさらに構成された回路
を備えたことを特徴とする無線ネットワーク装置。
【請求項6】
前記無線ネットワーク装置は、ノードBであることを特徴とする請求項5に記載の無線ネットワーク装置。
【請求項7】
前記再生されたPDUは、媒体アクセス制御(MAC)PDUまたは無線リンク制御(RLC)PDUであることを特徴とする請求項5に記載の無線ネットワーク装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの再順序化バッファは、無線リンク制御(RLC)エンティティに関連付けられていることを特徴とする請求項5に記載の無線ネットワーク装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−60654(P2012−60654A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233127(P2011−233127)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【分割の表示】特願2007−510744(P2007−510744)の分割
【原出願日】平成17年4月4日(2005.4.4)
【出願人】(596008622)インターデイジタル テクノロジー コーポレーション (871)
【Fターム(参考)】